ウルトラマンアバドン【完結】   作:りゅーど

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原始怪獣キングザウルス(原種)
古代怪獣キングザウルス三世
偏愛宇宙人レデャン星人カナ
超絶駆動パワードスーツABBADON
登場


堕天

「失礼します」

 澄んだ声が技術班の部屋に聞こえた。

「……ん? 戦闘班が何故ここに?」

「少し依頼したいものがあるんです」

「依頼? 何かを作ってほしいのですか?」

 1人の技術班の1人が問いかける。

「はい」

 そう言うと、草案を幾つか出した。

「……これは?」

「巨大パワードスーツ?」

「しかもそちらの戦闘班チームにいるアバドンの……」

「はい。パワードスーツを作って欲しいのです。身長65メートルのパワードスーツを……」

 至って真剣に、奏は言った。

「……うわっ……すげぇなこれ」

 1人の技術班は驚愕していて

「こんなの作るの……ちょっと興味あるな」

 1人は興味深々に話を聞いていて

「……費用どれくらいするんだ?」

 1人は現実的な話をしてるのが沢山いた。

「費用に関しては任せて下さい。私が何とかします」

 啖呵を切る奏の背後で、よく通る低い声がした。

「俺が出す」

 何人かの技術班は肩をビクッとさせた。

「あ、慎太郎さん」

「いくら必要だ? 宝石で良ければ幾らでも渡すぜ」

 未だに蔵には数万トンとも思えるレベルの宝石が貯蔵されている。

「ふむ……まぁこんなに作るなら……100万くらいだな」

「でも光線とかも放つようにさせませんか?」

「もちろんそれ相応の耐久性も必要なので」

 技術班の数名が考案を始めた。

「オーケイ、超希少な奴をオークションにかけてやる」

 具体的にいえば超高純度のフォスフォフィライトなどである。

 宝石の星から取ってきたようだ。

「いや、そこは耐久性をあげた方が……」

「そこは上手く動けるように……」

「ここはなるべく……」

 全く話を聞いてないなこの技術班。

「話を聞け!」

 慎太郎が吠えた。

 全員肩をビクッとさせて慎太郎に顔を向ける。

「す、すみません……よ、予算だとやはり100万〜500万くらいはするかもしれません。何せアーマーだとやはり大量の鉄や技を似せるための光線とかが必要なので」

 1番上そうな技術班の1人が予算とかを説明する。

「なるほど、鉄か……」

 そう言えば、と思い出す。

 慎太郎は高純度のウルトニウム-鉄-クロム合金を渡されたことを思い出した。

「ウルトニウム-鉄-クロム。この合金を使ってみるのはどうだ」

「なるほど……! その手があったか」

「ちょうど持っているのなら是非、我々に……!」

「…………だがこいつ……例の赤い女の仲間だろ?」

 1人の技術班が後ろで小声で呟いた。

「やかましい! 俺が善意で提供してやると言っているんだ、意見をはっきりさせやがれこのド低能がァーッ! ブルー・フィーリングでチャックまみれのバラバラ死体にしてやろうかこの腐れ脳ミソ共がァーッ!」

 慎太郎が脅した。

「ヒィィ!! ごめんなさいすみません!!」

 紗和の件については……仕方ないだろう。

 だが何人かは紗和のことを理解してくれている。

「ま……まぁとにかく。予算は先ほど言ったようになるので……後は我々で……」

「早速ウルトニウム-鉄-クロム合金を持ってくる。ちょっと待ってろよ」

 そう言うと、慎太郎は基地を飛び出して家の蔵に直行した。

「……私が資金を出そうと思っていたのに。けどあの啖呵、かっこよかったです……」

 恍惚とした表情を浮かべる奏。

「……お前、今後余計なことを言うな」

 1人の技術班が先ほど紗和のことを話した人に説教をしている。

「申し訳ござません……」

 紗和の噂は……しばらくは消えないだろう。原因はこの基地、ほとんど全員が分かってはいるのだが。

「……さて、提案があるんです。アバディウムをエネルギーに使うのはどうですか?」

 既にアバディウムの兵器利用は出来ている上、エネルギー効率の高さが異常なので、電池にもなっている。

「あの兵器を使うのですか……」

「良いんじゃないですか?! 攻撃力もさらにパワーアップするのでは!?」

 また技術班は話し合いを始めた。

「アバディウム自体、エネルギー効率の高さは異常です。これでも高専出てるんですから!」

 胸をどんと叩く。

奏の大きい胸が揺れた。

「悪くはない。これなら使えそうだな」

「効率も高いうえに強いなら今後の戦闘に期待が上がるのでは?」

 賛成者が多い。早めにも実行することになったようだ。

「おまたせ。五トンあれば十分だろ?」

「こ、こんなに沢山……! 良いのですか?」

「まだ在庫はある。足りなければ言え」

 全く、やれやれだぜ。そう言うと、慎太郎はいなくなった。

「あの人……なんでこんなにパーツを?」

「そんなことはどうでも良い。少し予算があまりそうだが、これはなかなかだぞ。早速取り掛かるぞ」

 技術班は作業を始めた。

 

 それから一週間経った。

 怪獣が出る度に倒す。頑張っても無理な時にアバドンたちが助ける。

 そんな日々が続いた。

「……ヤバイ。怪獣の出現率が今年めっちゃ高い……」

 疲れ果てた顔をしながら話す紗和。

「そろそろ疲れてきたぞおい……」

 疲労困憊の慎太郎。それもそうか、かつてウルトラマンを苦しめた怪獣が何体も野生で現れたのだから。

「…………アルセーヌ達に頼ってもアルセーヌ達も疲労が増しているから流石に出しにくいんだよな〜……」

 流石に相棒達に手助けてしてもらってもこんな連続だと申し訳なく感じて出すのが難しく感じるようになってきた紗和。

 でもそのおかげか、剣術はさらに身についたようだ。

「そろそろキツいわね。……慎太郎?」

 慎太郎の顔が青ざめる。

「無い! 無い! 俺のアバドスティックが無いッッ!?」

「……え?」

 不安を感じて自分のポケットを確認する。

「あ、あれ? ない?! ボクのスマホがない!!! いつもならちゃんとポケットの中に入れてあるのにないよ!!? アルセーヌ達が出せない!」

 服の隅々まで探すが見つからない。

「……げ、俺のヴェラムドライバーもないじゃあないか!」

 ウルトラマン三人が力を奪われたも同義である。しかも、

「余力で変身しようにもイマージュしか使えなくされてやがるっ!?」

 とまあ光の力も無くなったわけだ。

 無論、光の力を奪ったのは黒ローブの男である。しかし、変身アイテムについては違った。

「で、でもどうやって? しかも狙われたのは……ボクら3人だけ?」

 バトルナイザーが無いと怪獣達が呼べなくて変身も不可な紗和にとってはかなりピンチだ。使える武器が刀だけだ。

「うわぁーっ!?」

 古橋が叫びながら走ってきた。

「さささささっき、奏が走ってきたんだけど!!??」

 無論、奏はこの場所にいる。

「どうしたんです?」

「…………ヤバイ……凄い嫌な予感がする」

 顔が不安げになってみんなを見つめる。

「奏が二人だと??」

 慎太郎はイラつきつつ言った。

「……もしかして……また例の青年が何かここに仕込んだんじゃ?」

「それは無いと思われる。あの黒ローブはいなかった」

 迫水が真っ先に否定した。

「……じゃあ、別の推理を言っていい? さっき走って行ったのが……ボクらの変身アイテム盗んだんじゃ?」

 1番あり得る話だぞこれは。

「それだと思うぜ」

 肇はそう言った。

「え? じゃあ……早く追いかけないと……ヤバくない?」

 色んな意味でヤバさを感じる雰囲気になる。

 紗和は一足先に探し始める。

 慎太郎たちも追いかけた。

 

 一方その頃、ニセモノの奏はというと基地の中を走っていた。

 近づくものにスタンガンの一撃を浴びせ、盗んだ変身道具をリュックに入れて走った。

「いたぁ!」

 先に気づいた紗和が叫んだ。

「イマージュ! 閉じろチャック!」

 地面にびっしりと伸びたチャックが一気に閉じる。その勢いのまま慎太郎は高速で移動した。

「もぉぉぉぉぉ!!! 刀しか使えない自分がめっちゃ悔しい!!」

 刀を手にして後を追いかける。

「よっしゃ! くらえぇっ!」

 そう言うと、慎太郎は跳び蹴りをかました。

「君は何者!? ボクらの変身アイテムを返して!」

 刀の刃を向ける。

「返すわけないだろう!? 私達ピット星人の勝利のために破壊してやる!」

「不味い! ブルー・フィーリング!」

 ズームパンチで中距離攻撃を試みるブルー・フィーリング。

 しかしそれは悪手だった。

 ゴキャッ、という音が鳴り響き、

「ざーんねん」

 がらくただけが残った。

「ガラクタ……?! て、てか……君はボクらが知ってる彼女じゃないから偽物なのは分かってる! さっさと正体を現せ!」

 怒りに任せたまま叫んで刃を向け続ける。

「そのがらくた、君達の変身道具だったものなんだよ? さっきのズームパンチをこれで受け止めた。変身不可能、はいさようなら♪」

 元の姿に戻り、逃げ出すピット星人。その時に、「馬鹿な悪魔」と言ったことが慎太郎を怒らせた。

「ぶっ殺そうぜ、ブルー・フィーリング……!」

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄』

「っ、はははは! ざまあないわね! ごぶふ、私のぉっ! 勝ちだぁあああはははっごぶぇふぁああ!!!」

 前身にチャックが着き、バラバラ死体になるピット星人。

「ぜってえにこの宇宙のピット星人を絶滅させてやる」

「アイテムの恨み!! ここで晴らしてやる!!」

 紗和の変身アイテムはバトルナイザーでもあるので……中にいる怪獣達がいなくなったのも当然だ。

「……バトルナイザーは無事だな」

 肇は紗和にスマホを渡した。

「あ……良かったぁ〜……」

 安心してスマホを手にする。異常ないか確認して戦闘に戻る。

「さてさて……どうする?」

「ただ、バッテリーが抜かれた可能性がある。バッテリーを確認してみろ」

「…………あ。電源押しても動かない!! もー! いつもちゃんと100%にしてるのに!」

 怒りながら神速で前進して刀を振り回す。

「これだめみたいだな」

 慎太郎が呟いた。

「へ?」

 紗和は間抜けな言葉を言った瞬間に動きを止める。

「……なにが?」

「エネルギーも出せんこの状態で……どうしろと」

「…………君達なら……イマージュしかない……」

 自分は刀しかないと証明するために刀を前に突きつけて見せる。

 いや、やってる場合か。

「……だな」

『CETにスクランブル要請……』

「でも……今のうちに動き止めた方がいいんじゃない? なんか……めっちゃ嫌な予感がする」

 冷や汗をかきながら刀を構え続ける。

「……スクランブル要請だ、出動しよう」

 慎太郎はみんなを掴んで虚空にチャックを作り、全員の居るところに戻る。

 刀をしまって準備する。

「…………バトルナイザー……使えるかな?」

 それを呟かない方が良いと思うが。

 

 さて、山奥である。

「こんな山奥に怪獣がいるの? 確率は高いけど……」

 よくよく考えたらバトルナイザーのバッテリーが全くないので呼び出せないのを今思い出したようだ……

「……これは、キングザウルスか」

 バリアなどでウルトラマンジャックを苦しめた怪獣、キングザウルス三世。その改造前の怪獣、原始怪獣キングザウルスである。

「……改造前みたいだから倒せそうかな? (とはいえボクのスマホは充電中なんだけどね……)」

「いや、キングザウルスの突然変異種だろう」

「変異種……前に現れたガーゴルゴンみたいなやつ? ……だとしたら、ちょいピンチじゃない? 光エネルギーが足りないし……」

「とにかくやるしかない!」

「ヤケクソだ! 打ってけ打ってけー!」

 ミサイルが飛んでいく。

 しかしバリアがそれらを防いだ。

「うわっ……例のバリアが……! ……あのバリアって破壊できたっけ? …………ッ?!」

「あの角をこわさない限り無限に湧くぞ!」

「そ……そう……」

 何故か手が震えている。

「……どうした?」

 慎太郎が言った。

「い……いや……なんでも……ない。(きのせい……だよね? 一瞬だけ……アイツの気配を感じた……)」

 アイツ……ということは、例の青年のことなのでは

「……そう言えば、肇は何処だ!」

 古橋が叫んだ。見れば、肇がいない。

「ッ……! いる……いるんだ……! アイツがどこかにいるんだ!! 松本君が危ない!!」

 挙動不審になりながら叫んで伝えた。

 アイツの闇の力を1番分かっているのは紗和だけだ。

「……俺はここだよ」

 そう言うと、肇は銃を放った。

「ッ……松本、君?」

「ああ、そうさ。お疲れちゃん……」

 無表情なまま銃を撃つ。慎太郎は即座に着陸、ブルー・フィーリングで外に出した。

「……違う……アレは……操られてる!!! ボクと同じだよ!! やめて!」

 声を震わせながら叫んだ。

「てめえ、なんでまたこんな……」

 慎太郎は問い、

「おれは……俺はどうしたらいいんだい? ねえアバドン。ねえ、答えてよ」

 肇に問い返された。

「……松本君?」

 着陸して慎太郎の隣に立つ。

「っはは。迷ってやがる、おい殺せよこの肉体」

 抵抗の力があるようで、彼はなんとしても死なすまいと闇をはじき飛ばすために強く心を持っている。

「……耐えてる。あの時のボクと違って……耐えてるんだ」

 そう言いながら紗和の顔は歪みだす。悔しさに満ちた顔だ

「慎太郎……彼を……止める?」

「……ったりめえよ」

「でも……今仮に攻撃をしてきたとしても、イマージュだけ……だよ? イマージュは……君しか使えない。ボクも援護する。だから……闇から解放してあげよう」

 刀を取り出して構える。

「無駄だ、邪魔だ。消え失せろ」

「……いや、守る……ボクら同族だし、仲間だもんね」

「俺たちでお前を止める」

 慎太郎はそう呟いた。

「イマージュでもなんでもこい! だから……闇に負けないで!」

 神速で前進して刀を振り回す。

「……邪魔だ」

「抗え! だからお前は今イマージュを使えねえ! 現実に抗え! 抵抗の意志を見せろ、肇ェーッ」

「邪魔だ、と言っている!」

 肇は、2人にトラウマを見せつけた。

「ッ?! ……トラ、ウマがなんだ!! トラウマに縛られているのはやめたんだよー!」

 攻撃を続ける。

「……無駄だ」

 紗和の脳裏に、ウルトラマンゼロとウルトラセブンが罵る姿が見えた。

「ッ?! ッ……ッッ……!! ……やめ、て……松本……君……!」

 動こうにも足が震えだして動こうともしない。

「ッ!! 紗和、抗え! そんなもん弾き飛ばせ! 紗和、紗和! 諦めるなぁあああ!!」

 慎太郎が吠えた。

「ッッ!! そんなの……当たり前だ!! ボクはもう……過去の過ちに縛られたりなんかしない!!」

 立ち上がって刀を構え続ける。今溜まっている光エネルギーを無駄に消耗して刀に力を溜め込む。

「……無駄だと言っておろ──」

「シャアッ!」

 慎太郎の左の回し蹴りが松本の肝臓を射抜いた。

「抗え! 抗って、己を認めるのだ!」

「分かってる……!! ボクだって……できるんだ!! ボクだって……松本君を救うことができるさ!」

 耐え続けた。闇に耐え続けたが、表情は違う……悔しそうな顔のまま。

『力が欲しいか?』

「ッ!!? う、うぐっ……! うぅ……!」

 突然刀を地面に落として膝ついて呻き始めた。

『あの男を助けられる力が欲しいか? 裏切り者である自分でも助けたい、そう思っているというのか』

「あぐっ……! う、うぐっ……うぅ……そう、だ……思ってる……! う、うぅ……!!」

 頭を抱えて呻き続けた。

『よろしい、ならば契約だ。我は汝、汝は我。たとえ消しえぬ汚名など、周りを黙らせる力で拭えばよい。今こそ叛逆の時だ。いかなる悪魔も幻も、もはやお前を惑わせない……』

「あぐっ……うぅ……分かった……なら……この力が2人のあの力なら……ボクだって……使ってみせる!! 絶対に……助けてみせる!!!!」

 紗和は立ち上がって松本を見た。

「……何だ?」

『我は心の海より出でし者。一切の不浄をなぎ払う、絆の運び手、フォーレン・エンジェル(堕ちた天使)なり!』

 フォーレン・エンジェルが叫んだ。

 

「松本君を取り戻す……! 絶対に!! フォーレン・エンジェル!!」

 紗和は、漸く覚えた自分のイマージュの力で召喚した。

『我は汝、汝は我……』

「俺を、止、めてッ……く、レルナァアアア!!!」

 松本が暴走した。

「あの闇を切り倒す!! 慎太郎! 彼の動きを一瞬だけ止めて!!」

 そう言いながら刀を構える。

「フォーレン・エンジェル……刀を構えて……」

 軽く息を吸いながら力を溜める。

「あいよ! 僅かな力だが……ウルトラ念力!」

 僅かに残った力でウルトラ念力をした。

「今だ!! スラッシュ・バージ!」

 神速で前進して切り倒した。

 中にいる……闇だけを打ち切った。

「イ、ヤァアアアア!? オレハァアアアア!! オレハァアアアア!!」

「……さて、松本は解放されたわけだが変身はできねーわけで」

「特大ダメージを与えるだけで良い……闇は完全に切ったから……♪」

 ニヤリと笑いながら体勢を整える。

「心配する必要はありません!」

 凛とした声がした。

「この声……まさか、奏さん!?」

「はい! この超絶駆動パワードスーツ、ABBADONにお任せを!」

「…………完成、早いね」

 言ってる場合か。

「でも……ちょうど良いね♪」

「私が、慎太郎さんの変わりに戦います!」

「……え? マジ?」

 苦笑しながら驚いている。

「……無理はしないでね?」

「お任せ下さい! 諸星親衛隊リーダーレデャン星人カナ、出動!」

「いや待てそんなんあったのかよ、てかもう一体いるぞぉおお!?」

 慎太郎が驚愕した。

「………………」

 ドン引きで言葉が出ない紗和である。

「やべえな、これ……」

「……俺を忘れてんじゃねえ! アタッカーフラット!」

 X型の光線がキングザウルス三世の背を焼いた。

「ギャラクシーレスキューフォース、ウルトラマンフラット! ただいま到着! レスキュー対象はウルトラマン三名、出動!」

「わぁぁぁぁぁフラットさん!!?」

 全く気づいてなかったようだ……

「よく……分からないけど……まぁ、松本君を取り戻せるなら……良いチャンスみたいだね」

「俺たちに任せてくれ! と、その前に。ピュリファイケーション・フラット!」

 フラットが手から優しい光を放つ。

 闇の温床を完全に除去したようだ。

「……イマージュでさえもそんなに闇の力が消えなかったからラッキーだった」

 嬉しそうに呟いた。

「シェアアッ!」

「キュエエエエ!!」

「ヘリャァッ!」

「ギュイイイ!!」

 方やパワードスーツ、方やギャラクシーレスキューフォース。

「……お手並み拝見♪ パワードスーツの力も気になるね……♪」

 楽しそうに見物を始める。

 キングザウルス三世がABBADONに突撃した。

「遅い!」

 軽やかなる回避、そして浴びせるはシネラマショット。

 ウルトラマンジャックが扱う光線で、あのワイドショットの数倍の威力がある。

「あのスーツ、めっちゃ動きやすい設計にされてる……!」

 驚いて思わず声に出した。

 バク転側転、そしてキックキックキック! 

「俺よりも蹴りをかますとは……」

 もともとレデャン星人自体が戦闘力の高い種族ではあるが、さすがに異常である。

 これは奏の才能の賜物である。

「レデャン星人……カッコいい…………ん?」

 紗和は何かを察知したのか1人で森の奥へ入っていく。

「トゥワ!」

 さらにアバディウムのエネルギーも加わっているためか、圧倒的である。

「改造された哀れな子よ、私が天に召してあげましょう!」

 両腕に力が籠っていく。

「アバディウムストライザー!!」

 L字に組んでアバディウムストライザーが放射された。

「…………気のせい……なわけないか……まさか、な……?」

 戦闘のことなど忘れてずっと森の中を歩いて気配がある場所へ進み続ける。

 いっぽう、原種の方のキングザウルスはフラットが担当した。

 ウルトラマンコスモスのように受け流し、優しく撫でる。

 さらに軽やかに受け流しては落ち着かせるのを専念した。

「はぁああ……」

「ギュイイイ!!」

 回し受けをしてタックルを受け止め、優しく押し返す。

 ひっくり返ったキングザウルス原種にフラットは、優しく手をかざした。

「ピュリファイケーション・フラット」

 柔らかな光がキングザウルスを包み、結果的にキングザウルスは落ち着いたようで住処へと帰った。

 

「…………ッ……」

 一方、紗和は見覚えのある影を見つけてたようだ。

「……また君かあ、計画が壊れるなあ」

 青年は無感情に言った。

「……なんで今度は……彼を狙ったの? ボクと同じ過ちをするところだった……君の目的は、なんだ?」

 紗和の目は、怒りに満ちていた。

「ふふははは、絶望というものは酷く麗しいじゃあないか」

 青年は大爆笑した。さも当然のように。

「『絶望』が? そんなの……ボクらウルトラ戦士……CETには必要ないもの。君が何をしようとも、ボクらには必要ないものだ」

 刀を構えて銃を取り出す。

「おいおい……」

 口もとから茎わかめが見えている。その状態で両手を上げた。

「……茎わかめ食べているの? ……いや、まぁ良い。もう一度聞く。君の目的……なんなんだ?」

 銃口を向けて問いかける。

「簡単なことさ。闇の素晴らしさを教えたいだけ」

「……闇のどこが良いの? 闇なんて……必要ないものだ。特に、ボクにとっては」

「光は失われることがある。しかし闇は永遠に消えうせることは無い。なぜなら全ての根源は闇だからだ」

「そんなわけない。確かに、闇は暗くて何も見えない。それでも、必ず……光はあるんだ。君は、なぜ光を嫌うの?」

「はっははは。おいおい作者が説明してくれるだろうよ」

 いや、俺任せか。メメタァ。

「メタいこと言ってないで自分の口で説明しろ! 言葉が分からないのか池沼野郎!」

 流石にキレて慎太郎みたいなことを言った。

「ははは、やはり君は闇の素質があるじゃあないか!」

 そう言うと、紗和のいるあたりの土地を毒沼に変えた。

「第一の苦難は毒沼、とでも言っておこうか。愛だ恋だ、すべては毒沼であり毒沼。たとえ尽くしたとしても、別の所から『奪われる』ものだ」

「ッ……!」

 跳びながら避け続ける。そのまま銃を放つ。

 銃声は、全員に聞こえた。

「……!」

 慎太郎が駆けつけた。

「というかそもそも……ボクの能力は毒なんで、効かないんだけど」

 普通に毒沼の上に立っている。毒の耐久性は強いようだ。

「愛だ恋だ、全て幻。絆で繋がったはずのものは全て、消滅してしまったのさ」

 そう言い残すと、消えた。

 置き土産に爆発を仕込んで。

「なっ……待て……!!」

「……全ては幻、そして奪われし者……なんか聞いた事があるんだよなあ」

「…………え?」

「……後でCETのデータベースを借りますか」

 そう慎太郎が呟いた。

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