ウルトラマンアバドン【完結】   作:りゅーど

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暴走せし守護者 ウルトラマンサマエル
愛憎戦士 ケィアン
ブルー・フィーリング
登場

今回、かなりおぞましくなっております。
閲覧する際は心の準備を決めてからでよろしくお願いします。
少しでも不快感を覚えた場合、即座にブラウザバックするか他の作者の方の別の作品を見てください。


巨星墜つ

「……貴様は」

 黒ローブの男と冨良(ふら)が接触した。

「名乗る名など……。強いて言うならば、ケィアンとでも名乗ろうか」

「そうかケィアン、貴様はなぜウルトラマンたちを狙う?」

「楽しいからだ」

 そうか、と言うと死ねと呟き冨良はケィアンを殴る。

「いってえなあ」

「黙れ」

 ケィアンはその時に、冨良に耳打ちした。

「力が欲しくないか?」

「あぁ!?」

「この力があれば、宇宙は平和になる。余計な争いも消える。そう、絶対的な力で悪を滅する事が可能なのだよ」

「それがどうし」

 そこまで言って、冨良は仮面をつけられた。

「……! なんだこの仮面!?」

「力の仮面さ。存分に使え」

「嫌だ、心を壊されるものか! 俺は抗ってや」

 そこまで言って、彼の自意識は無意識へと追いやられた。

 

「ショアッ!」

 鎧を纏ったウルトラマンが現れる。

 しかしウルトラマントレギアではない。今回は冤罪である。

「……これが力。俺の力」

 断じて違うと思いつつも体は辺りを破壊する。

(やめろ、やめろ! 止めておくれ!)

 そう思いながらも体は闇を撒き散らす。

 慎太郎は、直ったばかりのアバドスティックを掲げて変身した。

「……お前、フラットなのか?」

「我が名はサマエル。ウルトラマンサマエル……」

(ああそうだフラットだ、早く俺を止めてくれ)

 意思は捻じ曲げられ、アバドンとの戦闘はなし崩し的に始まった。

「デェリャ!」

「フゥリャッ!」

 蹴りの応酬。そこにしれっと加わるヴェラムである。

「シェララララララララ!!」

 サマエルのキックラッシュに、

『無駄無駄無駄無駄無駄!!』

 自動的反撃を浴びせるブルー・フィーリング。

 しかしダメージは双方になく、さらに蹴りの応酬が始まった。

 ヴェラムのペイル熱線は避けられて、しかしホーミングが功を奏した。

「ぐぇあ!?」

 サマエルは即座に目から『ガコフォストマキオ』という光線を放つ。さらに『ペルエルギアカタストロフィ』という切断攻撃を放った。

「っ!!」

 反応が一歩遅く、ヴェラムの体が切れた。

 ヴェラムの目から光が消えた。頚部と腹部で両断されたのだ。カラータイマーが黒く染った。

「ヴェラム!?」

 アバドンはついヴェラムを見た。

 しかし直ぐに相手を見据えた。

 悶えている。もがいている。彼の心で抵抗しているみたいだ。

 アバドンは好機とばかりにアバディウム光線(アンチウルトラマンタイプ)を放射した。

 それに気付いたサマエル、すぐさまトレラフォーシャクティを放った。

「はぁあああああああああ……ッ!」

「でぇええりゃあああああああ!!」

 トレラフォーシャクティとアバディウム光線(アンチウルトラマンタイプ)の衝突で、撃ち合いに変わる。

 最大出力で光線を放つアバドンだが、次第に押されていき、カラータイマーも鳴り始めた。

「こんなところで死んでたまるか! 俺は、俺は……ッ」

 脳裏に、無駄という言葉が浮かんだ。

「……俺のやることは、無駄なのか?」

 それからは頭の中が絶望で染まりきった。

「……無駄」

 呟いた。

 トレラフォーシャクティがアバドンの肉体を貫いた。

 カラータイマーの点滅が早くなる。そしてカラータイマーの光とともに、目の光すらも消滅。

 巨星墜つ。

 ウルトラマンアバドンとウルトラマンヴェラムが死んだ。

 

 その絶望のエネルギーを食って黒ローブの男は、いやケィアンは食った。

「絶望の味は素晴らしい……! さしずめ頼れるヒーローの死というものは!」

 ケィアンは変身、そして巨大化をするとサマエルの隣に立った。

「さすがだねウルトラマンサマエル、邪魔を二人片付けてくれた」

「黙れ」

 回し蹴り。

「おおっと、危ない危ない」

 そう言うと、ケィアンはサマエルの顔に手をやった。

「じゃあ、その仮面は返して頂こうかな。これでお役御免だよ、ウルトラマンサマエル」

「……大義の為の犠牲になれ」

 抵抗して殴るサマエル、しかし。

「ほう、私に歯向かうかサマエル。邪魔だ」

 そう言うと、ケィアンは強引にサマエルの仮面を剥がした。

 サマエルのアーマーがパージされ、フラットに戻る。

 闇を植え付けられた彼は、必死に抗いなんとか正気に戻った。

 しかしダメージのでかさからか、彼は人間態にまでおいやられた……

 

「…………はぁ〜〜……」

 疲れた顔をしながら何か資料を見ている紗和のもとに、

「紗和、大変だ!」

 古橋が走ってきた。

「ヒェ!? ど、どうしたの?!」

 慌てて資料を閉じて棚に戻した。

「……悲しい報せがある」

「…………へ?」

 息を整え、古橋は淡々と言った。

「ウルトラマンアバドンとウルトラマンヴェラムが敗北、そして死亡した」

「………………え?」

 絶句した。あの2人は自分より強いから大丈夫なはず。だから……心配しながらも信じていた。

 その信じることが……裏切られた気分になり、その場に膝ついた。

「事実だ」

 さらに追い討ちをかけるように古橋は言う。

「ウルトラマンヴェラムの遺体はこっちで回収。蘇生手術を開始しているが、アバドンの死体は見つかっていない……」

「え? アバドン……の?」

 嫌な予感がした。でも、その気持ちは裏腹に……

 紗和の心と目には、怒りが満ちていた。

「倒したのは誰? ボクが……ボクがソイツを倒す!!」

「あの巨人だ」

 黒い巨人が、静かに紗和を見下ろした。

「…………ッ!!?」

 何かを察知したように顔が歪む。

 あの日に感じて、人1番わかる……あの闇の力を。

「おやおやぁ? 変身しないのかい、裏切り者のラピス」

「ッ!!」

 スマホを取り出して変身した。

 

「……なんで君は……ボクらを狙うの?」

 目が怒りに満ちていて、怒りながらも問いかける。

「絶望の味を教えたいからだ。絶望は君たちがパンケーキにかけるメープルシロップの何万倍も甘く、うまいからね……!」

「……絶望の味は……パンケーキより不味いよ!!!」

 世界一の甘党なラピスにとってはかなり怒りを増す言葉のようだ。

 ははは、と大笑いするケィアン。

「それは本当の味をみていないからだ。絶望を見る時に君たちはこういうだろう? 『人の不幸は蜜の味』とね」

「ッ……ボクはそんなことは言わない。ねぇ? どうして? なんで君は……闇を増やしたがるの? 闇は、恐怖そのもの。みんなを恐怖に落とし、絶望は意味ないもの。そんなの……そんなのは必要ない!」

「その無意味を私は味わった。はあ、怨憎会苦(おんぞうえく)たりうる故に貴様の心をぶち殺す!」

 ケィアンは、呪いのごとき拳を浴びせた。

「ッ!!?」

 咄嗟に避けて回転して腹を蹴る。

 その蹴り足を掴むや否や華麗に一本背負い。そして腹部に呪いの拳を叩き込んだ。

「なっ……がぁ!!?」

 一撃を喰らった瞬間……脳裏に何かの記憶が見えた。

「…………(誰? この……記憶は……まさか彼の?)ガフッ! ゲホッゲホッ!」

 体勢を整える。

 その瞬間、紗和の脳裏に浮かんだのは記憶。彼の記憶。

 

 彼はもともと、優しい人であった。

 可愛い彼女もでき、文系の大学にも合格。さらに戯れに書いていた随筆が評判を呼ぶといった、極めて順風満帆な人生を送っていた。

 そんなある日、その彼女の友人と名乗る女が近づいてきた。

「あのー、彼女ちゃん貸してもらえる? この子の友人で遊びに行こうかなって」

「ちゃんと返して下さいよ?」

 疑りながらも、彼は見送った。

 その日から、彼は不幸に見舞われることになる。

 一週間後、あるメールが届いた。

「別れよう」

 その言葉を寄越しただけで、SNSもブロックされた。

 その翌日、ビデオレターが投函された。かつて彼女だった女性が、あの自称友人と盛りあっている、という内容であった。

 思わず彼はえずいた。フローリングの床に吐瀉物を吐き出した。

「なんで」

 その疑いと絶望が彼を襲っていた。

 その日からも大学には行ったし、平常であろうと心を押し殺した。自分は悪くないと慰めながら。

 

「ッ……!」

 頭を抱えて見始める。

「(この……記憶は? 彼の……? 彼は恋人がいて……それを…………同性愛に……奪われた……ってこと?)」

「……第一の苦難は衆合。たとえ愛を尽くしたとしても、別の所から『奪われる』苦しみさ」

 ケィアンはさらに拳を打ち込んだ。

「ッ!? あの時、の……ガフッ!!? ……ガハッ! ゲホッ!! ゲホッ!!」

 カラータイマーはまだ鳴っていない。

 また、頭を抱えて始める。

 その瞬間、紗和の脳裏に浮かんだのは記憶。彼の記憶。

 

 ある日から彼は変わり始めた。

 ある日は異様にテンションが高く、またある日は異様にテンションが低い。さらに今まで普通に話していた相手にもビクビクしながら話すようになった。

 平常であろうと心を押し殺したのは悪手だったようだ。

 そのうち、心配の視線が押し寄せてきた。

「大丈夫?」

 黙れ。

「顔色悪いぞ」

 黙れ。

「本当に大丈夫かよ」

 黙れと言っている。

「ねえ、聞いてる? 大丈夫?」

「黙れ黙れ黙れ! 黙れ殺すぞォーッ!!」

 一人の生徒をぶん殴った。

 その日のうちに彼は退学した。

 彼は幸い随筆の収入があり、それをもとに引きこもりはじめた。

 周りの目を閉ざすようにカーテンを閉め、家賃等を払う以外は誰とも喋らずにいたのである。

 そのうちに死にたいという思いが増えていき、『コンビニの肉まんを買いに行こう』と思うのと同じように『そうだ死のう』とも思い始めた。

 彼は心を病んだのだった。

 

「ま、また……! (…………いじめ? いや……違う? 変な目で見られて……鬱が増して……)」

「第二の苦難は焦熱! 己を焦がすかのような地獄の視線に耐えられるとでも言うのか!」

 さらに拳を叩き込む。

「ッ……! ガァァァ!!! ガフッ……! ガハッ……!」

 腹を抑えながら、頭を抱える。

 その瞬間、紗和の脳裏に浮かんだのは記憶。彼の記憶。

 かつての怒りが悲しみが、波となる。

「!!? ……(この記憶……は……あの時と同じ……似てる……一部だけ……ボクと似てる記憶もあった……あぁ、そうか……彼は)」

 

 ある日彼はふと、外に出ようとした。

 カーテンすらも開けぬまま、鍵を何重にも締めて消えた。

 雑踏を歩く彼の目は辛そうだった。その時である。

 二人の女性が仲睦まじく歩いていた。

 片方は元カノ、そしてもう片方は元カノを寝取った女であった。

 彼は遂に怒りを顕にした。路地裏に連れ込み、近くにあったブロックで思い切りぶん殴った。何度も何度もぶん殴った。

「死ね! 死ね! この世の! 同性愛者は! 全員! ゴミ! 死ね! 殺してやる!!」

 かつて彼女だった女の前で殺した。

 そしてゆっくりと顔を上げ、「次はお前だ」と彼は言った。

 四肢を丁寧に折り、両鎖骨をブロックで破壊。さらに凌辱し、そして殺害した。

「……ああ、幸せだ」

 彼は人を殺したことの焦りよりも、多幸感に支配されていた。

 漸くゴミを処理できたと。漸くゲスを駆除できたと。

 その時、彼の耳にひとつの声が聞こえた。

「ふふふ……あははははは……」

「誰だ!?」

「君の闇は美味かった。そこまで熟成させた恨みつらみ、さぞ痛かったろうに。私が来たからもう安心だ。もう誰も君を一人にはしない。私が君を最凶にしてやろう。我が身を縛り付ける愛憎を戦いの原点へとせよ。それに、君が立ち向かわないで、誰が恨みを晴らしてくれるんだい? 許す気なんて、始めからなかったじゃあないか」

「……ッ、黙れ!」

「受け入れろ、君の闇だ。この私が君の影だ!」

「……俺の、影」

「我は汝……汝は我……。我は汝の心の海より出でし者……。法界悋気(ほうかいりんき)の愛憎戦士、ケィアン……」

「……ケィアン、ケィアン。俺を独りにしないのか? ほんとうに? ひとりには し な い のか???」

「ああ、そうだ。我は汝、汝は我。汝望む時に我を呼べ、さすれば我汝の為力を貸そう」

 こうして、彼は愛憎戦士ケィアンへと成り果てた。

 彼は世の中の同性愛者と女性たちを殺し始めた。

 それは絶望と狂乱の果てに造られた狂いしステージ。ただただ同性愛者を殺すためにいるのだ。

 あのとき猫山村雨(ネコザメ)が紗和に言ったことは、これのことも指していたのである。

 

「第三の苦難は黒縄! 我が身を縛り付ける嫉妬と愛憎が私を狂わせた!」

「(……大切な人を奪った女性を殺して……闇堕ち……あぁ……なんて……辛い闇なんだろう)…………そっか……君は……辛かったんだね」

「黙れ黙れ黙れ! 女は不義だ! 薄情であり愚かだ! 不浄な外道だ!!」

 さらに彼は続けた。

「私の求不得苦(ぐふとくく)たる人生をみてそれでもなお平和ボケするとは! 知識が困苦欠乏し流浪したと見えるな!」

「……うん……うん……そうなんだね。君は辛かった……苦しかったんだね。でもね、君は……やり過ぎだよ」

「黙れ黙れ黙れ! 何をやったところで無駄だ!」

 さらに拳を打ち付ける。

怨憎会苦(おんぞうえく)たりうる故に貴様を殺す!」

「ガハッ!! ……ゲホッ! ゲホッ……ゲホッ! ……君の記憶が見えた。……凄く苦しかったね……辛かったんだね。でも君は……それを1人で耐えたせいで光を闇に墜し……絆も分からなくなった……そういうことなんだね」

 一切、攻撃をしようとしない。

狂言綺語(きょうげんきご)狂悖暴戻(きょうはいぼうれい)狂瀾怒濤(きょうらんどとう)阿鼻叫喚(あびきょうかん)怨憎会苦(おんぞうえく)罵詈雑言(ばりぞうごん)愛別離苦(あいべつりく)雲翻雨覆(うんぽんうふく)火中疑氷(かちゅうぎひょう)四面楚歌(しめんそか)───!!」

 ケィアンは狂乱し、ラピスを殴り続けた。

 しかしラピスは、どんなに攻撃を喰らっても手を出さず、攻撃をしない。

 ラピスのカラータイマー、もといスターシンボルはあと少しで鳴りはじめるというのに……。

「ああもう、早く死ね!」

 ケィアンは拳を固め、連打した。

「ガハッ! グァ……アグァ……!」

 苦しみながらも攻撃を受け続ける。カラータイマーが鳴りだした。

 それでも何故か……攻撃をしない。

「ねぇ……辛かったよね? 苦しかったよね? 君は……大切な人を守れなかったのが……悔しいんだよね?」

 少しだけ笑い始めた。

「黙れ! 貴様に私の何がわかると言うんだ!!」

 さらに殴り続ける。

「オラオラオラオラオラオラ……!!」

「分かる……ッ……分かるよ。君もボクもお互いに苦しい思いをしてきたんだって。それを1人で耐え続けてきた。……その耐え続けた復讐のために闇堕ちしたんでしょ? でも、そんなのは間違っている。でも……ボクは、そんな人を見捨てられない」

 力の限界か、その場で膝をついてしまった。

「……死にたまえ」

 辺り一面に隕石が堕ちる。

「ッ!? グァァァァァァァ!!!??」

 直撃して倒れてしまうが……それで力がある限り、話しかける。

「辛かったよね。苦しかったよね。もう、苦しまなくて良い……ボクが必ず君を闇から救ってみせるよ……」

「黙れ」

 無言で蹴り飛ばした。

「アグァ……! ガァ……! ゲホッ……ゴホッ!! ゴホッ! ……ねぇ、辛いなら……一言で言ってよ。『助けて』……って。これ以上……闇に堕ちるのは良くない。光は……良いものだよ?」

 踏ん張って立ち上がるも……力が出ず、また倒れる。

「悪辣の隕石!」

 隕石のような火球が降り注いだ。

「ガァァァァァァァ!!」

 カラータイマーの点滅が早くなる。

「グッ……ゲホッ……ゲホッ……! ……必ず……ボクが……君を……助けてみせるよ。だから……もう……やめて」

「切望の蹴撃」

 何度も踏み付けるケィアン。

「イギッ……! あぐっ……! ッ……!!」

 踏みつける足を握って止める。

「ボクを殺すのは好きにして。ただ……これだけは言っておく……絶対、に……君を倒して……君に光を……見せてあげるよ」

 足をずっと握り締める。強く、動かさないように。

「……うるさいなあ」

 空いている手で殴りつけた。

「ッ……!! アグァ……! ボクは……絶対に…………負け、ない……ボク、は……死なない……だから絶対に……君に……光を……見せてあげるね……」

 カラータイマーの点滅が止んで……手の力が抜ける。

 青い光の目が消えていく。

 その時、ラピスはABBADONによりひったくられた。

「……ち、逃がしたか」

 ラピスは死んだ状態でずっと夢を見た。

 凄く暖かい夢だった。

「……!!」

 声がしたようだ。

「…………ん?」

「……紗和ッ!!」

「……ッハ!?」

 ガバッと身体を起こして目を覚ます。

「…………あ、あれ? ボク……確か……アイツにやられた……はず……」

「奏がお前を回収したんだ」

 迫水は言った。

「隊長……ッ! 松本君は!? そ、それと慎太郎は!?」

「慎太郎の場所は依然つかめない。肇は蘇生手術を終えて、意識が戻るのを待っている」

「…………ボク……蘇生手術しないで……目が覚めたのですか?」

 自分の両手を見つめて自分の生を確認してる。

「ギリギリ生きていたんだ」

 と言うと、古橋が顔を向けた。

「! ……古橋……そう、だったんだ……(あんなに殴ってきたのに……自分でも自覚がない……)」

 自分が生き返った理由が少し違和感を感じるようだ。

「本っ当にギリギリだったんだぜ?」

「……光エネルギーをパーセントで表すと?」

「残存は1%切ってたな」

「…………ギリギリじゃん」

 流石の自分でも驚愕したようだ。

 それよりもだ、と迫水が言った。

「奴に分身をしかけてみた。人間に化けて殺しをはじめそうな気がする……」

「ッ……でも……よく分からないんです。最初は彼を恨んでいた。なのに……今は何故か……あの闇から助けてあげたい……という気持ちがあるんです」

「何故だ? データベースで調べたところ、奴は連続殺人犯なんだぞ。ここ最近の同性愛者連続殺人事件のな」

「…………その同性愛が……彼を狂わせた原因なんです」

 あの戦いで見た光景を全て告白した。

 自分でも不思議な気持ちでいた。自分であの時言った言葉も、今となれば不思議に思っているようだ。

「……ごめん、吐いてくrウヴォエッ」

 耐えきれずに古橋は吐いた。

「…………ゲェ……」

 気持ちは分かるが流石にそこでは……という顔でドン引きしている。

「……」

 呆れた様子で迫水が見た。

「…………信じられないかもしれませんが……彼が今回の事件を起こした理由は、殴られて見せつけてきたあの光景が原因なんです……あの闇と苦しみはボクでも分かる。だから……救いたいと……思ってしまったんです」

 沈黙する一同。

「…………でも……ボクが……今1番に思っているのは……何故慎太郎が見つからないの?」

 自分では何か思っているのだ。何か……不吉なことが起きている、と。

「……!! J-33-4に巨大な反応を発見しました!!」

「え!? いッ……!」

 痛みに耐えながらモニターを見る。

「こ、この反応は……」

 奏の顔が青ざめた。

「ウルトラマン、アバドン……」

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