舎弟と化したガッツ星人、メトロン星人、バド星人などの宇宙人
ブルー・フィーリング
フォーレン・エンジェル
登場
そして
降臨
「────────ッ!! あ、あれって……ウルトラマン、アバドン……」
震えた声で奏が言った。
「…………嘘……あの姿……ベリアルに似てる……」
あまりにも驚愕して、身体の痛みなんかすっかり忘れてしまった紗和。
ウルトラマンベリアル。
ウルトラマンアバドンの実兄であり、かつて光の国の全球凍結を成し遂げた悪魔である。強大な力を渇望し、その結果周囲からの孤立を招いて、最終的に悪への道へと転落していった。
ウルトラマンベリアル。彼は昔から恐ろしく、当時の思想が「平和のために敵は皆殺しにすべき」「絶対的な力を持ったものが全てを支配すれば宇宙は平和になる」というもの、と言えばわかるだろうか。
「ッ……」
グッと胸を抑えながら今のアバドンを見つめながら、ある覚悟を決めた。
「…………行かなくちゃ」
「待て、紗和。今の君はまだダメージが抜けていないんだ」
「いいえ……元々、彼と初めて会った時から覚悟を決めてた」
起き上がって身支度を整える。
「早まるな!!」
古橋が叫んだ。
「ッ……! ……お願い、光エネルギーは寝てる間に充分溜まってるから大丈夫。ボクは大丈夫」
もう止める気も失せたらしい。
「……大丈夫。ボクはあのウルトラマンゼロの妹! ウルトラマンベリアルを倒した兄。そんな兄の妹であるボクができないのはおかしい。だから……みんなは人々を避難させてください。そしてボクは、倒す」
そういって走りだして外へ出る。
「お、おい待てよ!」
古橋が追いかけようとしたが、基町が止めた。
「あの子には凄みがあるわ」
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ…………ッ……!!」
アバドンの近くまで走り続ける。今では傷の痛みなんて全く気にしてなんかいない。
アバドンの身体は黒かった。
黒く、ウルトラマンベリアルのようであった。
その目は赤く、歩を進める度に侵略宇宙人がアバドンを向いてはアバドンの後ろを歩き出す。
時折街を向いては無意味に手を振り、あるいは中指を立てた。
「…………兄さんができたんだ……ボクだって……できる!!」
スマホを取り出して変身する。
「ハァッ! デリャァァァァァァァァァ!!!!」
ご自慢の炎の蹴りでアバドンの背中を蹴って吹き飛ばした。
「……?」
ゆっくりと後ろを向いた。
「……ボクは、ラピス。ウルトラウーマンラピス!!! セブンの娘であり、ゼロの妹だ!!」
そう叫んで目を合わせた。
「……構わん、やれ」
ガッツ星人やメトロン星人、バド星人などの宇宙人がラピスに襲いかかった。
「ッ……ボクの相手はお前らなんかじゃなぁい!!」
星人たちをあっという間に倒していく。攻撃は全て、あのウルトラマンゼロと似ていていた。
あっという間に爆散させていく。
「やはり雑魚か」
無言で膝蹴りを放った。
「ッ……よっ!」
軽々と避ける。
「君は必ずボクが取り戻してみせる。何があったのか分からないけど……君が闇の奥で何があったの? 君は……大切な地球でさえ、ベリアルと同じことを犯すの?」
「俺に価値は無い」
「…………そう。ボクは、君はとても良い人だと思っているよ?」
拳を作りながら話し続ける。
「みんな、君を待っている。松本君……ヴェラムも君のことを待っている。君は今まで何を見てきたの? 君もアイツと同じ過ちを起こすの?」
「あの時と同じだよ。俺はお前らに失望したンだ。だから消えろ」
雄叫びを上げて殴りつけた。
避けて自分も殴りつける。
「君の兄は……ゼロによって倒された。だったらボクだって、君を倒して君を取り戻すことなんて可能だ!!」
叫びながら拳をぶつけ合う。
「またそれか」
一本背負いをかけてから十字固め。
「兄貴を罵って楽しいか? そうかそうか、つまり君はそういう奴だったんだな……」
ぎりぎりと締め上げる。
「イダァ……! ……楽しくないさ。ボクはただ、兄さんと同じことをするだけさ!!!」
どうにか
「弱い、弱い。無駄だよ、無駄無駄」
そう言うと、アバドンはブルー・フィーリングを出した。
「殺せ、ブルー・フィーリング」
「……そうかもね。1人だと難しいかもしれない。兄さんと同じには出来ないかも。それでも……やるしかないんだ!!」
フォーレン・エンジェルを出した。
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄っ』
諦めずに刀を振り回し続けるフォーレン・エンジェル。
ラピスは決して足と手を止めずに攻撃を続ける。
「……邪魔だ」
そう言うと、アバドンはラピスの腹部を殴る。
「どこを狙ってるの?」
目の前にいたラピスが溶けて消えていつの間にか背後にいた。そしてそのまま連続で蹴飛ばした。
そのアバドンは居ない。何故かって? 即座に背後に回ったからだ。
「バレバドン」
銃弾が地面をうがった。
「なっ……!?」
ギリギリのところで避けられた。
「…………ふぅ……」
息を整えながら殴り続ける。
「絶対! 絶対に!! 君を!! 取り戻してみせる!!」
そう叫びながら何度も何度も攻撃をした。叫び続けてる瞬間……脳裏に、先程の夢を思い出す。
「……俺は、光を捨てた。ウルトラマンとして戦う気もなくなった」
アバドンは淡々と言った。そして、顔をつかんでひざをはなつ。
「ッ……! 君は……君はそんなウルトラマンじゃない!!」
回し蹴りで横顔を蹴って倒し続ける。その度に何度も何度も……夢の記憶が蘇ってくる。ゼロとラピスが2人っきりで話してる夢だ。
「ッ……(どうして? どうして今……こんな夢を思い出すの? ……兄、さん?)」
「兄の果たせなかった、銀河帝国を樹立して支配するという壮大なる夢を、俺色に染めあげつつ俺が果たす。その大義のための犠牲となれ、裏切り者のラピス」
「そんな野望……ボクが叩き潰す!!」
何度も何度も攻撃を続けた。自分が押されているのが分かっていながらも……拳をぶつける。
それでも……攻撃をしてる間にゼロが何か話しているの夢の記憶が蘇ってくる。
「(今はそんな場合じゃない……! 兄さん……どうして今……その記憶を持ってくるの?!)」
「アイツを倒すためには、俺の力じゃ足りなかった。仲間達と協力してあった結果、ベリアルに勝ったんだぜ!」
「────ッ!!!」
攻撃をやめて距離を遠くする。何故か攻撃をしなくなった。
「……何をする気だ。ビンロウジギロチン」
ギロチンがラピスを襲った。
「あっはは……忘れてた」
ギロチンを避ける。
「忘れてた……大切なことを忘れてた。どんなに強い敵も1人では必ず勝てない。なら……どうすれば……協力だ! 仲間達の絆があるからこそ勝てる!!」
大きく両手を広げた。
「……無駄な事を」
そう言うとアバドンは拳を握りしめ、ラッシュした。
「ッ……! この世界の地球人達よ……そして、アバドンを取り戻したいチームのみんな!!! ボクの声を聞けぇぇぇ!!!!」
ラピスの声が地球上に響いた。ラピスの想いが、地球人とチームのみんなと一つになり……ラピスに変化が訪れる。
「……無駄だと言っている!」
そう言って殴り続けるアバドン。ブルー・フィーリングも同時にラッシュを開始した。
「無駄じゃない!! ボクは分かる!!! 1人だと必ず勝てない!! だから、どうすればいいと思う? 仲間達がいるから勝てるって!! 教えてくれたんだ! なぁ、そうだよね!? 兄さん!!!」
今の叫び声は、何の因果か、いやノアの奇跡だろうか。兎にも角にも、光の国のある人物まで届いた。
光の国。
宇宙警備隊本部にウルトラマンゼロはいた。その時にラピスの声が聞こえたのだ。
『無駄じゃない!! ボクは分かる!!! 1人だと必ず勝てない!! だから、どうすればいいと思う? 仲間達がいるから勝てるって!! 教えてくれたんだ! なぁ、そうだよね!? 兄さん!!!』
ウルトラマンゼロは答えた。
「ああ、仲間との絆で強くなる! それがウルトラマンってもんだろ!」
ゼロのブレスレットが輝いた。
「悪い、親父! ラピスを助けに行ってくる!!」
「待て! 俺も同行するぞ、ゼロ」
「……ああ! 行こうぜ親父ッ」
ウルトラマンゼロにウルティメイトイージスが装着され、セブンとゼロはアバドンのいる世界の地球に向かった。
「だから……だからッ……ボクは絶対に諦めない!! 隊長達もそうだ!! 迫水隊長達みんなが君を待ってる!!! だから、待ってて……光の戦士、ウルトラマンアバドン!」
ラピスが神々しく暖かい光の柱に包まれた。
「ああ、よく言ったラピス!」
「さすがは俺の子だな」
それと共に、ふたつの光も降臨したのである。
「ッ……え!?」
ラピスは新たな姿に変わりながらも2人が来たことに驚いた。
「……まさか……本当に来てくれるなんて思ってなかった」
「ああ! 主役は遅れてやって来るってな!」
その言葉にアバドンはイラついた。
「この作品の主人公は俺だ! タイトルもしっかり『ウルトラマンアバドン』だろうがぁああっ!」
メメタァ。
そのアバドンにウルトラ念力を浴びせるウルトラセブン。
「ラピス、待たせたな。たまには娘にいいところを見せてやらんとな」
「アバドン、言いたい気持ちは分かるけどメタイし……主人公が闇堕ちしちゃったら意味ないじゃん。それに……ボクら親子に勝とうなんざ……2万年早いんだから!!」
今のラピスはさながらダイヤモンドのように神々しく、そしてスターシンボルが強調されている。
腹部のバックルも神々しく輝き、まるでその姿は戦の女神のようだった。
「今のボクは星の金剛。ウルトラウーマンラピス・スターダイヤモンドだ!」
「ほう、さすがは俺の妹だ」
ゼロが感心しながら言った。
「さあ、この血を吐きながら続ける悲しいマラソンを終わらせよう、ゼロ、ラピス。そしてアバドン、貴方を闇から取り戻す!」
セブンが啖呵を切る。
「俺たち家族の絆に立ち向かおうなんざ、二万年早いぜ! さあ、ブラックホールが吹き荒れるぜェッ!!」
ゼロは構えた。
「よ──し!! やろう! 2人とも!!!」
新究極形態で突撃をするラピス。
「……無駄な事を。今楽にしてやる。ブルー・フィーリング!」
ブルー・フィーリングは地面に大きなチャックを作成した。
「堕ちろ、ゴミ共」
しかし彼らは落ちることは無かった。何故ならばラピスがそのチャックを神力にも似た力で止めていたからだ。
「チッ。こうなれば! 殺せ、ブルー・フィーリング」
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ』
「デェエリャッ!」
ウルトラマンゼロは、ますブルー・フィーリングを退けてからストロングコロナゼロにフォームチェンジした。さらに分身、そしてルナミラクルゼロにフォームチェンジ。
そしてウルトラセブンは、その肉体に力を込め鋭角化。ULTRASEVEN Xへと強化変身を遂げた。
意識を集中させて拳に光出す。
「はぁぁ!!」
思いっきり殴って吹き飛ばす。先ほどより威力が強い。
「チィッ」
舌打ちをするアバドンの腹にゼロの拳が突き刺さる。
さらに拳の速度を上げていくゼロ。
「ダァララララララララララララララララララララララ!!!!」
「うぐっ」
「もっと食らっとくかぁ!?」
「ブルー・フィーリング! ラッシュ対決だ!」
「ドラララララララララララララララララララララララララララララ!!!」
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ!!!』
しかし、アバドンのシッコクジェノサイダーとなった肉体が宙に浮いた。
「ふん、ジュワッ!」
ULTRASEVEN Xはそのアイスラッガーを投げた。ULTRASEVEN Xの本編ではまるで鈍器のようであったアイスラッガーは、しかしアバドンの肉体を力強く切り裂いた。
アバドンの腹部に傷をつけたのだ。
「…………2人とも……なるべく……彼を傷つけないで……彼は確かにベリアルの弟。それでも……あの闇から、助けてあげたいの。少し聞こえるの……苦しがってる声が」
攻撃をしながらも、アバドンを助けたい気持ちは変わらない。
「ふざけるな」
見れば背中にやや大きめの棘が刺さっているようだ。
禍々しい瘴気を感じた。
「……それでも……ボクは……君を助ける!」
いつの間にか片手には偉大なる聖騎士が持っていたかのような高貴な剣を持っていた。
「はぁあ……! ウルトラハリケーン! ガルネイトバスター!!」
ガルネイトバスターをもろに喰らうアバドン。
「…………金剛のような星は……決して割れない!!」
剣の刃を向ける。
「……うぉああ!!」
叫びゼロを吹き飛ばすアバドン。ゼロは大きく吹き飛んだが、ルナミラクルゼロのミラクルゼロスラッガーがアバドンを襲った。
「ッ……! 2人とも!! アバドンの動きを止めて!!」
自身が光出すと、アバドンの足元も光出して動きを封じた。どんな力でも離れない。
「はぁー……強化ウルトラ念力ッ」
「ルナミラクルストッパー」
アバドンの体が止まった。
「歯を食いしばれよアバドォォォォォォン!!!!」
神速で前へ前進する。
「そして……早く、目を覚せやクソボケがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
アバドンに向かって剣を振り回して……斬りつけた。
切ったのは外部ではない、内部の闇だけだ。
「ウグォアッ」
「…………闇の浄化……パージ」
そう告げた瞬間、アバドンの中に詰められた闇が全て浄化された。
マイナスエネルギーも感じない。光がまた感じるようになる……
「……俺は、何を」
「はぁ〜〜〜…………良かった……父さん……兄さん。ありがとう、助けに来てくれて。あとはボクらがなんとかしてみせるから、戻って大丈夫だよ」
2人にいつもの笑顔を見せた。
「いや、少し滞在させてもらう」
「なんだか、とてつもないマイナスエネルギーを感じるんでな……」
神妙な面持ちである。
「…………ふーむ……おやおや……だったらボクの家教えるからそこでしばらく住んでいいよ。でも今は……」
振り返ってアバドンに近づく。
「やぁ、調子はどう?」
「……すごくサイテーな気分だが、同時にスカッとした気分だぜ。新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝みたいによぉー……」
「何言ってんの? まぁ……覚えてないなら仕方ないか……」
ラピスがめっちゃ神々しくて眩しい。
「……てめえなんだ? その姿はよ」
「……訳ありで新しい究極形態を手に入れたの。全ての闇という闇を浄化可能。だから……ボクはたった今父さんと兄さんのおかげで君を取り戻せた。今頃基地に残ってるみんなは喜んでるだろうなぁ」
今更だが、とっくのとうに3分経ってるはずが……ラピスのカラータイマーは一切鳴っていない。
「……迷惑かけたな」
「大丈夫さ。今回は仕方ないこと……ただ、今後のお願いとしては……決して、闇に負けるな。闇に負けるからこそ……人は弱くやる。だから闇に負けないで。分かった?」
肩をポンッと叩く。
「……おうよ、てめえもな」
「……分かってる。ほら、さっさと基地に戻ってみんなに会いに行こうよ……(とはいえ……ヴェラムが起きていると良いなぁ)」
変身を解除して一足先に基地へ向かう。
「……ッ……(痛い……なに? この痛み……)」
「……」
変身解除。慎太郎は基地に戻った。
「戻りましたよー♪」
みんなのところに行く。
「……松本君、起きた?」
「……あ」
松本は弱々しく紗和を見た。
「ヴェ……松本君……! よかった、起きたんだ。…….慎太郎を助けれたよ……」
駆け寄って近づく。
それを古橋は止めた。
「そっとしておいてやれ。さっき意識が戻ったばかりなんだ」
「うん……分かったよ。ところで……慎太郎に何もないか検査してくれない? 医療担当のボクがやれって話だけど…………ッ……」
笑顔が歪んで胸を抑えてる。
「それ以前にお前だろーが、仲良くベッドでおねんねだ」
古橋は半笑いで言った。
「……だよね〜……ッ……ッ! ゲホッ!! ゲホッゲホッ!! ゲホッ!!」
紗和は咳をし始め、さらに床に膝をついた。
「……紗和ッ!」
慎太郎が帰還した。見つけた瞬間に紗和の事を支える。
「ゲホッゲホッ!! ゲホッ! ゴホッゴホッ!! …………あ……」
口から血を出してしまった。
こりゃあ……傷が悪化したな。古橋はそう思った。
「おい、無理すん──────」
盛大に吐血する慎太郎。
「……はあ、てめーら纏めて精密検査だ! だけどひとつ言うぜ、おかえり」
古橋はそう言った。