ウルトラマンアバドン【完結】   作:りゅーど

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誘拐怪人ケムール人
暗黒怪盗アルセーヌ
疾風魔人フラカン
寵愛神ブレシス
異次元人ヤプール
登場


誘拐

 前回から怪我人であるピグマリオンの様子を見てる紗和。

「ふむ……怪我はもう大丈夫みたい。今日なら家に帰れるかもね」

「うむ、ありがとう。助かったよ」

 そういうピグマリオンは、一口サイズのシュークリームをすぐに描いて生み出した。

「……シュークリーム……?」

「甘いものは好きなのだろう?」

「? ……好きだよ?」

「よし、これはほんのお礼だ。もっとまだいい場所があればそこで大量に描き作るのだが……」

 ピグマリオンは言う。

「い、いや……別に気にしなくていいのに」

「わたしのプライドが許さないのだ」

 ピグマリオンはそう熱く語った。

「……君は本当に情熱に満ちているね〜」

「そうか?」

「うん。ボクはそう思う……とはいえ、また何かしら被害に遭ったら大変だから……時間になったらボクが君の家まで送ることにするよ。隊長やみんなにも言っておくから」

「……何から何まで申し訳ない」

「いやいや、気にしなくていいよ。君がまた怪我したら大変だからね。あんな奴らに遭うのも辛いと思うし……」

 少し不安げな顔をしながらそう言った。

 そういう紗和にピグマリオンは言った。

「もう慣れたよ、だからあまり案じないでくれ!」

「!? ……あ、う、うん……わかったよ。でも……送るのは、変わらないからね。最近だと、奇妙な事件が起きてるし……」

「奇妙な事件?」

「あれ? 知らないの? 連続誘拐事件……何故か高校生が狙われてるみたい。だから君は一応ネット上だと有名人だし……仮に顔を知ってる奴がいたらマズいからね。だから君を家まで送ることにしたの」

「なるほど、そういう事か」

「隊長達に伝えておくから。君は少しの間、ここで待機してて」

 そう言って部屋を出る。

「了解した」

 みんながいる部屋についてこの事を報告をする。

「……というわけで、彼を家に送りたいので許可をもらえませんか? 迫水隊長」

「ああ、許可しよう。用心しなさい」

 迫水は優しく言った。

「ありがとうございます。一応念のために護身用のナイフと小型の拳銃を隠して充備するので……まぁ、例の誘拐事件がありますからね」

「ああ、そうだ。決して気を抜いてはいけないよ。無事に戻るまでが護衛任務だからね」

 そう言うと、迫水は一つ祈りを捧げた。

「もちろんです。必ず、無事に戻ってきます。…………あの、あくまでボクの推測なんですが……例の連続誘拐事件の犯人……人間、じゃないと思います?」

 迫水は言った。

「人ではないよ」

「やはり……だとしたら……あの怪人……? ……あ、マズい……そろそろ送る時間だ……なるべく早めには帰ってきますので。では……」

 そう告げた後、部屋を出て彼のところに向かった。

「……頑張れよ」

 慎太郎が呟いた。

 

 さて、ピグマリオン達は基地を出たわけである。

「……念のために私服で来たけど、大丈夫かな? 君の家……確かここをまっすぐ行けば……」

「ああ、そうだが」

 その瞬間、叫び声がした。

「ッ!!? 今の声は……?!」

 叫び声に向かって走り出す。

「ネコザメッ! ネコザメェッ!!」

 一人の青年が虚空をみて叫んでいた。

 その隣には、異形の怪人が居た。誘拐怪人ケムール人だ。

「き、君は確か……あの時の……!? ケ……ケムール人!? 何してる!?」

 護身用の小型の拳銃を向ける。

「フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ……」

 ケムール人は走り出す。

「ネコザメを返せぇ!!」

 照路は紗和の拳銃をひったくると、ケムール人の目を撃った。

「あ……ちょ!? か、返しなさい!! 素人が使うようなものじゃないから!!」

 取り返して、2人の前に立つ。

「ピグマリオンさん……ごめんね、巻き込んじゃって……2人とも、後ろにいて。ケムール人! 彼を離せ! さもなきゃ応援を呼んで君を連続誘拐犯として逮捕するぞ!?」

 再度拳銃を向ける。

「……フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ」

 怯むことなく襲いかかる。

 しゃしゃっ、とピグマリオンは二丁の銃を描いた。

「完成! ストライクメーサー!」

 そう言うと、二丁の銃を絵から取り出して、照路とともに撃ち始めた。

「あ────バカバカバカバカバカ!!! 素人が使うようなものじゃないから!!! 下手したら銃刀法違反だから!!!」

 止めてる場合ではないだろうが……言いたいことは分かるが。

「フォッフォッフォッフォッ……」

 軽々と避けるケムール人、すると頭部の突起物から粘液を放った。

「ッ!? 避けて! うっ……!」

 2人を粘液から避けさせようとしたら自分が喰らってしまった。

「……ッ! 紗和さん!」

 驚愕する照路。それとともに、紗和の体が消え始める。

「ッ……ッ……!」

 限界まで力を入れてスマホを取り出す

「アルセー……ヌ! ブレ……シス……! フラ……カン!!」

 三体の怪獣を召喚して、スマホを託す。

「3人……共……基地へ……急いで。2人は……逃げて!」

「……ッ、逃げましょう!」

「無論だ!」

 逃げようとする二人だが、ケムール人は無慈悲にも消失液を放つ。

「あ……ッ! 避け、て!! ……アルセーヌ……! 急いで基地へ行って!!」

「あっ」

 二人は思いきりかかった。

 体が消失していく。

「主ィッ」

 アルセーヌが苦悶の声を上げた。

「ッ…………アルセー……ヌ……早……く……」

 その場で気を失ってしまった。

 そして全員消失した。

 

「ッ……行くぞ……!」

 アルセーヌは2人を連れて基地へ大至急飛んで向かった。

「あいよォ! 任せとけ!」

 音速で基地にたどり着くフラカン。

「ちょ、ちょっとー!」

 ブレシスは急いで飛んだ。

「オラァ!」

 扉を蹴破って基地に入る。

 いや待て壊すなよ! 

「……どうしたアルセーヌ! それにフラカンにブレシス!?」

 古橋が驚愕した。

 呼吸を荒くしながら伝える。

「主と……青年3人が……誘拐された!! 誘拐怪人のケムール人に誘拐された!! 頼む! 助けてくれ!!」

「ケムール人だと? ゼットン星人の間違いじゃねえの?」

 慎太郎は疑った。

「ケムール人だ! アイツが粘液を主達にぶっかけて体を消したんだ! 主が護衛してたあの青年と、以前出会った猫山ってやつとその相棒のアイツもだ!!」

 相当戸惑っているように怒鳴って呼吸を荒くしながらアルセーヌは伝える。

「よし、それならケムール人だ。殺しに行こう」

 慎太郎は言った。

「だ、だが……我らはアイツの居場所がわからん。そして主達のことも……お主らが分かるなら」

「異なった時空に送られているみたいですね」

 そう奏は言った。

「……粘液が身体が消えたのはそういうことか。あの青年2人を庇って主は……護身用なんか……勝手に使われていたからな……」

 どうやってあの一部始終見てたんだ? 

「……はあ。取り敢えず行こうか。ケムール人の居場所は!」

「もう割れてます! ケムール人特有の波長を調べたところ、確定できました!」

「……我の推測が正しければ……主の気を感じるぞ。残りの3人もな。連続誘拐事件の犯人はやはりコイツなんだな……!」

 紗和に託されたスマホを手に握りしめながら強くそう言った。

「あったりまえよ、それでそのスマホはなんの意味がある」

 バッサリと切り捨てる慎太郎。

「こ、これは……その…………ぬ、主の……今のステータスを確認できるんだ……! だから主がその空間にいてどんな状況なのか分かるんだ……! それに、我らの残りの仲間を召喚も可能だし、空間の中にも入れるようになっているんだ!」

 少し焦りが見えるが、言っていることは事実。よほど紗和を心配しているんだろう……

「ぬ、主よ……大丈夫なのだろうか……せめて、その空間の中が見えるように出来ないのか?」

「不可能ね」

 基町もばっさりと切り捨てた。

「やはりか……ついでに、このスマホを託された理由は……あの親バカセブンとシスコンであるゼロをなんとかするためだ」

 娘と妹のことになるといろんな意味でヤバイ07親子をどうにかするために託されたのも理由である。

 正直に言うと、今はそんなこと言ってる場合じゃない……紗和と他の3人は無事なのだろうか。

「あのバカどもか」

「バカと言いたい気持ちは分かるが……それより、我らは主と青年達が心配だ。主のステータスは…………ん? 体力が消耗されている? 手足が圧迫……」

 スマホで紗和のステータスを見ている。

「……どんだけ詰め込まれてんだろうなあ」

「…………おそらくは、拘束されてる可能性もあるだろうな」

「いや、それはなさそうだ。ただ密集しているだけだろう」

「…………流石が連続誘拐事件の犯人……しかも高校生だけ。……主がこの基地のチームで良かっただろうな……」

「……待てよ、ケムール人って事は肉体を求め……あっ……(察し)」

「早く主を助けに行くぞ!!」

 とりあえず誰かアルセーヌを落ち着かせてくれ! 

「落ち着けって、の!」

 そう言うと、フラカンはアルセーヌの腹に何発もの蹴りをあびせた。

「ぐあっ」

 その場に倒れたアルセーヌ。心配する気持ちは分かるが……

「……さて、どうするべや」

「…………主は護身用の武器を持っていたが……流石にそれは盗まれているだろうな」

 ヨロヨロと立ち上がりながら言うアルセーヌ。

「……さあどうする、ケムール人拷問する?」

「…………まぁ、連続誘拐事件の犯人として牢に放り込まれるかもしれないが……相手は怪人だから普通の人間の警察は……大丈夫なのだろうか」

 絶対大丈夫じゃない……

「……! こちらCET、えっ、警察官が失踪した!?」

 ついぞ先程入った情報である。

「……まさか警察共も巻き添えに?!」

「だな」

「……我らで行くしかないようだな。全く……最近の人間の警察は……」

 少し苛立っているように見えるアルセーヌ。

「うるせえよ盗人が」

 フラカンはイライラしながら言った。

「……すまん……主のことになるとつい、苛立ってな……」

 流石に反省をするアルセーヌ。

「いいから殺しに行くぞ」

 ドルルン、とバイクをふかす慎太郎。

「我らも行くぞ……! フラカン、ブレシス!」

「ったりめーだろ」

「皆様に加護のあらんことを」

「よし……主を助けるぞ……!」

「フツヌシ、出動!」

「了解ッ」

 

 さて、ところ変わって異時空である。

「ッ…………ッ……?」

 ゆっくりと目を覚ました紗和。

「……ここは」

 ピグマリオンも目を覚ました。

「……あ〜〜〜……どうやら、アイツの空間に巻き込まれたようだね……あ、ふ、2人とも……!」

 2人を揺すって起こす。

「……この高校生達は……」

 まぁ立ち上がって辺りを見渡す。

「……」

 みんな怖がっているみたいだ。

「…………怖がるのは分かるよ……でも、ボクはCETの1人だから大丈夫だよ……(……私服だけど一応持ってきてよかった)」

 いつものCETの格好になる。

「とはいえ……ここはアイツの空間だ。あの粘液を受けたからだろうね……あ〜……もうッ。拳銃とナイフが奪われているし……光エネルギーがあっても変身ができない……」

「……どうすればいいのだろうな」

 いっぽう、ネコテル二人組はというと。

「ネコザメ! ネコザメ生きてたんだね!」

「テルルーっ!」

「その2人は一旦落ち着こう……? 寄り添ってる場合じゃない……」

 辺りをゆっくりと回りながら探索をする。

「…………でも……空間は割れているなら……なんとかはなるだろうね。他のみんなは怪我してない? 大丈夫?」

「は、はいなんとか……」

「大丈夫ですけど……」

「……怖がるのはわかるよ。でも、怪我がないのなら良かったよ……かすり傷とかもないみたいだね」

 優しく声をかけながら様子を伺っている。

「……だね」

 そう言うと、猫山ははあ、とため息をついた。

「…………アイツに捕まってどれくらい経った?」

「二時間弱だね」

「……てことは……てことはボクらも同じだね……」

 ため息を吐きながらそう言った。

「でも……大丈夫。きっとボクの仲間が助けに来てくれるから」

 微笑みながらそう言った。

「……ウルトラマンは来てくれるの?」

「……もちろん、ボクの仲間はウルトラマンなんだ。誰かがピンチな時は助けに来てくれるから大丈夫。…………それより……ここにしばらくいるみたいだけど……空腹とかそう言うの大丈夫?」

「どうもここではお腹が空かないんだ」

「……それなら大丈夫か。それより……アイツもここに来る? 来るなら……一発はブン殴る」

 拳を作って決意したようだ。

「……アイツとは?」

「……君達もボクを攫ったあの怪人だ。アイツの名前は誘拐怪人ケルーム人……本当は……もう誘拐はやめているはずだった」

「……やめているって!」

「!? ……やめている?」

「そんなはずないじゃないか!!」

「……話がややこしくなりそうだけど……とりあえず……時間が解決してくれるのを待つのもありだけど……アイツが今から何をするのかわからない……嫌な予感がする……」

 視線が鋭くなる。

 そのとき、空間が割れた。

「!? ……空間が割れた?」

「……なんだあ!?」

「…………なるべく後ろにいて……」

 前へ出て守るように拳を構える。

「ヌッハッハッハッハ!! 貴様ら! 哀れだな!! 助けも来ぬまま野垂れ死にとはな!!」

「……うるさいのが来たなぁ〜……」

 呆れた表情をしながら頭を掻く。

「ボクらをどうする気?」

「この私、ヤプールが貴様らに選択肢をやろう! 一つはここでまとめて死ぬ事! もうひとつがこの私の軍門にくだ」

「大っ嫌いだ! バーカ! 畜生め! 貴様なんかアウシュヴィッツに収容してくれるわ、この腐れ外道の【自主規制】野郎!」

 ピグマリオンはヤプールを罵った。それもそのハズ、ピグマリオンはアドルフ・ヒトラーの転生した姿だからである。

「……どちらもノーセンキューだ。ボクらはまだ死にたくないし、どうせ君は負けるさ」

 煽り口調でそう答えた。

「ッ、言わせておけば!」

「お前なんざガス室送りだ! 私がNSDAPの総統であればガス室に送って実験をしてやったんだぞ! このど外道め、意地汚い【差別語】め! 大っ嫌いだバーカ!」

「待っちょっ」

「私たちを洗脳するにはお前の脳が足らんかった! 全てにおいて弱い、その無能さがありありと目に刺さるニャン!」

 ブチギレるピグマリオン。

「ピグマリオン! それ以上は何も言わない!! とりあえず冷静になって!」

 ピグマリオンの怒りを抑えようとする紗和。

 だけど彼女の目も、怒りに満ちていた。

 ベルリンの壁ならぬ腹筋の壁が崩壊する高校生たち。

 まるでニコニコ動画やYouTubeでみた『総統閣下シリーズ』のようだとくすくすと笑う高校生もいる。

「一昨日来やがれ、【自主規制】【差別語】!!」

「……ごめん誰でも良いから彼の暴走止めてくれない? 気持ちは分かるけど……まぁ、結論からまとめると……ヤプール……君はどのみち負ける、ということにしておこう。すぐにでもCETの仲間が助けに来るから」

 自信ありげにそう伝えた紗和。無論、自信があるのは事実だ。

「いいや、悲しいが彼らは時空を越えられない。そこで私が特別n「スッゾゴラァアアア!!」いや君たちの為に時空を繋げようとな!!」

 ヤプールの胃からキリキリと音がした。

「あ、この音とこの声……」

「……この異次元ゲートを通れ!!」

「りょーかい!! 全員このゲートに向かって走って!」

 この中の高校生たちは一気に駆け抜けた。

「もういないね!? ……よしっ」

 自分もゲートに向かって走り出した。

 そして誰もいなくなった。

「よっと。みんな無事?」

「はい、まあ」

「うん! ネコザメもいるし!」

「よかった、テルルもいる」

「……良かった。みんな無事だね。…………ヤプールは?」

「私は異次元の申し子だぞ!?」

 そう言うと、ヤプールはこそこそっと胃薬を飲んだ。

「なんで……胃薬飲んでんの?」

「胃が痛い」

 悲しげにヤプールは言った。

「……で、ボクらをどうする気だ? ボクはCETの隊員の1人だからお前を倒す権利があるんだけど……」

 腕を組んで睨み続ける。

「おいおい、最近の私を考えても見てくれたまえ!」

 恫喝、恫喝、さらに恫喝。

 ストレスで胃に穴があいたことは予想し易いだろう。

「…………少しは時間をあげる。……この時間の間、どうして君がまた誘拐を始めたのか言ってはくれない? (でも……この感じ……あの闇が)」

「いや、待て! 私ではない! 行ったのはケムール人だ!」

 半分泣きそうである。

「……ケムール人?」

「あの頭に突起のある黒い宇宙人だ!」

「…………つまり……利用されてた……ってこと?」

「そもそも私は関係ない!」

「…………じゃあなんで……ボクらを? それに……申し訳ないんだけど、どのみち君のやった行為は犯罪なんだ。だから……君はおそらく処罰されるだろうね。……ボクの所属するチームに」

 何かを悟ったかのような顔でそう伝える。

「あの右目を隠した男に脅されたのだ! お前に化けてホモビデオに出てやると……」

 人間のクズがこの野郎。

「…………なんでそんなことをするのかなぁ彼は……」

 薄々予測してたことが当たったようだ。

「でも、まぁ……出れたから問題はないけど。どのみち……君の罪は分からない」

「むしろ超獣は盗まれたのだぞ!?」

「そうだろ。相当やらかしたんだから……」

 キッパリと答える。

「地球人ごときに脅されてだ! しかもこんな名誉アーリア人に「純正アーリア人やぞ、黙れ二等アーリア!!」はい」

 ヤプールに合掌。

「…………(なんか……ちょい嫌な予感がするのはボクだけ? そろそろ……彼らを逃がさないとマズいな。……でも、そろそろアルセーヌ達が着いても良い頃なんだけど)」

「……! みんな危ないぞ! 散れ!」

 超スピードで怪物が通った。その後ろをバイクに乗ったアバドンが通る。

「うおっと……主役は遅れてるってか……♪」

 嬉しそうに笑った。

「あ、あれはウルトラマンアバドン! よくも私を脅し」

 アバドンはザラブ星人に化けた。

「けっ! 怨憎会苦なればなんとやら! てめえに化けてホモビに出てやるぜ!」

 なお、アバドンからザラブ星人に変身したため周りからは「偽ウルトラマン?」と思われた模様。

「ふーむ……でも、ようやく助けに来てくれたことは嬉しいから何も言わないでおこう」

「主! 無事か!? 怪我はしてないか!?」

「……ア……アルセーヌ……とりあえず落ち着こう?」

 アルセーヌが紗和の目の前でめっちゃ焦りながら言ってる。しかも顔を近づける。

「…………フラカン、ちょっと助けて……」

「はいはい」

 ジャーマンスープレックスをかけるフラカン。

「ぐえっ」

 その場に気絶したアルセーヌ。

「…………ありがとう。フラカン……」

 疲れ果てた顔しながら肩を軽く叩いた。

「あ、ボクのスマホは?」

「はい、あーるじ♪」

 スマホを渡すブレシス。

「うん。ありがとうブレシス。3人に託しておいて良かった♪」

 嬉しそうに微笑みながら言った。

「さてさて……どのみち、利用されていたヤプールはどうする? それと……ケムールを倒さないと」

「ヤプールの場合はアレだね、完全に被害者だ」

「……まぁ……ヤプールに関しては見逃してはあげようかな? 問題のケムールは完全なる犯罪。だけど……ケムール人にあった時……何かを感じた」

「……何か?」

「……ケムール人から……ケィアンと同じ闇を感じた。だから、ボクの推測だと……ケムール人はケィアンに何かされてまた誘拐を始めた……という可能性があるんだ。多分、どこかでボクらを見ているさ」

「またケィアンか」

 フラカンは呆れた。

「…………ケムール人を倒して聞かないとマズいね。それはそれとして……アバドンは何しているの?」

『こちらアバドン、ケムール人捕縛完了!』

「! ……アバドン、ご苦労様。多分、ソイツ……ケィアンの闇に取り込まれてまた誘拐を始めたのかも……」

 また自分の推測を1から説明した。

『了解、拷問して吐かせる』

 完全に憲法違反である。

「…………程々にね? 憲法違反で引っかかるから……」

 はぁ……とため息を吐きながらそう言った。

「まぁ……とりまヤプールはどうするかな? ケムール人は無事確保されたし」

「死刑! 外道異次元人」

「アイエエエエエ!? アバドン!? アバドンナンデ!?」

 ゴウランガ! 

「…………ボ、ボクは被害に遭った高校生達を家に帰しに行こうかな?」

 自分がいて良いのか不安になってきたようだ。

「それでいいと思う」

「ふむふむ、そうするよ。今度こそは……被害に遭わないようにさせないと。みんなの家まで送るから道案内お願い……♪」

『ご苦労様』と言ってスマホにアルセーヌ達を戻して、被害に遭った高校生達を両親の元へ連れて行かせた。

 

 さて、その頃。

「…………(ケムール人……拘束して拷問にするとは言ったけど……流石に程々にしてるよね?)」

 何故か不安に思ってきた紗和である。

 ……薄々予想は出来るが。

「お前何したかわかっとるんか!?」

「フォ、フォッ」

「日本語喋りやがれクソがァ!!」

「頼んだ! 紗和ァ!!」

「ふぇ?!」

「この外道の話!! 任せた!!!」

「分かった! 分かったからとりま落ち着こう!? ……つ、続けて……ちなみにさっきのは『い、痛い』……だって」

「チッ」

 そう言うと、慎太郎は拘束を解いた。

(翻訳に入ります)

「い……いてて……許してくれ……この通りだ。俺は利用されていたんだ」

「誰が許すかよてめえ。バラバラ死体になりたくないなら言え」

「ヒィ! じ、実は……俺はたまたま黒いローブを着た青年に声をかけられて……『またあの日の楽しみを味わわないか?』と言われて……俺は昭和にやらかしたあの日のことをまた繰り返した。今回は身体つきなどが良い高校生を狙ってやったんだ……俺は……俺はアイツに言われたことをやっただけだ……! あの赤い髪の女を狙えって言われていたのもそうだ……!」

 要約すると、黒いローブの青年……ケィアンが誘惑して次々と高校生を拐って、挙げ句の果てにはケィアンの命令で紗和を狙う計画も立てられていたということにある。

「よし、用済みだ。帰れ! 帰って寝ろ!!」

 イライラしている慎太郎。

「ヒィィィ!!」

 そう叫び声をあげてその場から一目散と逃げ走った。

「……ん? うわっ」

 全員を家に送り終えて戻ってきた紗和にぶつかったが、そのまま逃げて行った。

「今度見つけたら殺そ」

 慎太郎特有の漆黒の意思である。

「……はぁ……まさかこんな目に遭うとは……まだまだだなぁボクも……」

 疲れ果てる顔をしながらため息をつく。

「……どのみち、あのケムール人もケィアンの原因で利用されていた被害者側だから……流石に今回は大目にみよう……そのうち自首するかもね」

「まあヤプールは殺すとして、あれは自首するでしょ(小並感)」

「ヤプールはね……あれは仕方ない。どのみち彼はやり過ぎだからね……とはいえ……今回のボクは情けないなぁ……まさか誘拐犯に出会ってしまい……油断して粘液を喰らったかと思えば変な空間にいたかなぁ……」

 肩を落としながらそう言った。

「やれやれだぜ」

「次からは気をつけよう……ただ、家に送った高校生やピグマリオン達から……めっちゃ礼を言われた。ボク……何もしてないんだけど」

 ピグマリオンと猫山を庇って粘液を喰らったなはどこのどいつかな? 

「絶対庇ったよなお前」

「……庇ったよ。一般市民は傷つけないようにって……でも、結局喰らって一緒に空間に閉じ込められたんだけどね……」

「無駄やん」

「……庇ったの……間違いだったのかな?」

 少しショックを受けている紗和。

「まあアレやわ、無理すんな」

「……絶対隊長やみんなにもそう言われる。戻りたくな〜い……自分が情けない」

 こりゃ相当ショックを受けているな。

「ああ、まあいいだろ。隊長にはやんわりと、と言っといたし」

「……そ、そっかぁ……とはいえ、顔が合わせづらい……今から基地の部屋に入りづらいし……」

「まあいいだろ」

「うぅ……大丈夫かな?」

「大丈夫でしょ(適当)」

「適当だなぁ……君は。まぁ、報告はしなきゃいけないから会いには行こう……みんなに変な目で見られなきゃ良いけど……」

 少し嫌々そうな顔をしながら迫水のところに向かう。

 

「……ッ! よく帰ってきた、紗和! 反応がロストした時は死んだかと……!」

 迫水は泣きながら紗和を抱き締めた。

「わぁぁぁぁぁ迫水隊長!!?」

 予想外過ぎてめっちゃ驚いて叫んだ紗和。

「え……え──と……申し訳ございません……」

 優しく頭を撫でる。

「よく帰ってきてくれた……ッ」

 抱擁する迫水は、まるで帰還を喜ぶ父親のようであった。

「…………隊長はボクの父さんですか……」

 実際にこのような感じでセブンに泣いて抱かれたことがあるのである意味これが大変なのである……

「え、え──と……お詫びとして……ぜ、全員……仕事が終わったらボクの奢りで……焼肉……行きます? あと隊長……そろそろ息苦しいです……」

「あ、すまん」

 迫水は離れた。

「さすがに紗和に奢られるのはチョットなぁ」

 古橋は言う。

「え……でも……あの日のお詫びとか何にもしてないし……迫水隊長は涙を拭いてくださいな」

 ハンカチで拭いてあげる。親子かな? 

「割り勘とかどうだ?」

 そう肇は言った。

「あ〜〜〜……別にそんなのしなくて良いのに……ボクも慎太郎と同じやり方でお金持っているし」

 宝石のアレだな。

 慎太郎は察した。

「……まぁ、うん……みんなと食べたいのは本当だから……割り勘……でも良いかな? 大半はボクが払うけど」

「……だな」

 そう言うと、古橋はさらに続けた。

「まあ……お帰り、紗和!」

「…………ただいま帰還しました……♪」

 笑顔でそう言った。

「……もうあんな目に遭いたくない……見た目の問題だから仕方ないけど。高校生みたいな見た目だからね……」

 遠目でそう呟いた。




ヤプールの胃が開きそうですね。
そろそろ書きだめが消えてきたので止めます。
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