ウルトラマンアバドン【完結】   作:りゅーど

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撞木海獣 ワニザメ
登場


任務開始!

 フツヌシメンバーの周りに神々が集まる。

「なんだこの連中は」

「おもしれえ服してるなあ」

 口々に神々は言った。

「んっ……んんぅ?」

 声に反応したのか、最初に目を覚ました紗和。ゆっくりと目を開ける。

「おお、別嬪が起きたぞ!」

 天津久米という神が紗和を心配した。

「んんぅ〜〜……ここ、は? ……へ?」

 身体を起こして目をパチリと開けると、目の前の光景に驚愕した。

 その光景は閑散とした田舎である。

 しかし、その場所は光に充ちていた。

「え? ちょ、ま……ここどこ!? ちょ、え、ちょ、えぇ!?」

 かなり驚愕して混乱状態となった。

「落ち着け」

 ある青年が紗和を宥めた。

「ふぇ!? あ、す……すみません。…………君は?」

「私は瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)。そしてここは高天原(たかまがはら)だよ」

「…………高天原……えぇ!? 古事記に含まれてるあの!? …………え? なんでボクが……そんな高貴なところに? ……だってここは、神が住んでるところでは……」

「その件は追って話す。今は或者のところへ」

「…………もしかして……隊長達も?」

「無論だ」

「……まさかのフツヌシチームのメンバー全員いるってこと? ……まぁ、会いに行くけど……」

 さてさて、全員はある人の所へ向かったのである。

「うぅ……いまだに状況が追いつけない……」

 まだ少し混乱している紗和である。

「ここです」

「…………ここは?」

「……天岩戸です。最近、あの人がまた引きこもりはじめまして」

「…………それって……天照女神のこと……ですか?」

「……ええ。それでは、イメージ崩壊を覚悟してお進み下さい」

「……イ、イメージ崩壊?」

 何か嫌な予感を察したようだ。

 天岩戸が開く。

 その中では、

「……むりつら」

 オタク生活を満喫している天照大御神がいたのである。

「…………えぇ〜〜〜〜〜!!?」

 これは流石の紗和もドン引きするくらい驚愕したを

「……何やってんだ天照大御神さン!!!」

 冨良が叫んだ。

「あの女神様が何してんのぉ!? オタク!? 現代っ子ですか!?」

「……あれ、それペルソナ4じゃね?」

 しかも丁度シャドウ完二の所である。

『ボク完二』

 テレビから声がした。

「はぁー……完二くん嘘でしょむりつらノンケ堕ちさせたい」

 あまりの気持ち悪さに男性のイマージュ使いは即座にイマージュを出した。

「い、イマージュを発動させちゃった……」

「すまん、なんかキモいとしか」

 愛国者の慎太郎も身の危険を感じた模様。

「…………あの引きこもりで地球が常に暗い曇り空になるよりかはマシか……」

「……ん? なに?」

 天照大御神が振り向いた。

 その顔は美しく、穢れを知らぬようであった。

「…………綺麗な人……」

 ボソッと紗和は呟いた人。

「……何この人」

 呆れた人が溝呂木である。

「…………綺麗なのは確かだけど……こりゃ誰でも呆れるよ。でも綺麗なのは今のうち、今のうちに外に出ないとブスになるもんね〜……引きこもりな人は生活バランスを崩しているから顔にシワが増えたりとか……」

 …………? なんか煽ってる口調に聞こえるような……

 ぴきっ。

 美しい顔に青筋が立った。

「(効いてる……)日蔭にいた方が日焼けしないで済むけど顔がさらにむくんでいくらしいよ……若い人でも引きこもっていたら太るからどんな美人でも引きこもっていたら……可愛くないよね〜♪」

 本人は気付いてないだけで、煽り演技のようだ。しかもめっちゃ上手い。

「うーるーさぁああああい!!」

 天照、キレた。

「……では、そこから出てくれば良いじゃないですか」

 ビビリもせず、神に対して反発した。なんて勇気なんだ……

「今! 溜め込んでたゲーム並列でやってるの!! 邪魔しないでよ!!」

「…………それ終わったらちゃんと出てきます? ちゃんとお詫びはしますので」

「わかってるわよ!!」

「……分かりました。約束を破るような人は神以下ですからね?」

 そう告げた後、みんなに向かって『やったぜ』とピースサインをした。

 それからは、もうめちゃくちゃになるまで行った。

 これこそが神の本気である。

「…………天照女神様……満足するまでできたでしょうか?」

「……ちょっと待て、なんかいろんな音がしてる」

「…………確かに……なんの音?」

「……これ、ゲームの音だ」

「……凄い音だし……天照様、延長した?」

「……いや違う、これまさか」

 一人で、四台の同時操作。

「……うそ〜ん……」

 驚愕し過ぎて間抜けな発言をしてしまった。

「ゲームプレイヤーなら……っ! 一度は夢見たであろうこと……!」

「……これ何時間かかるのかな?」

「……おい、今P3(ペルソナ3)クリアした音がしたぞ!?」

「うそぉん!? ヤバくない!?」

 冨良の胃がキリキリと痛んだ。

「冨良君……?! 大丈夫!!?」

「いぐすりください……ざいこぎれなんです……いぐすりください……」

「……どうぞ」

 常に持っている胃薬を渡す。流石は医療担当だ。常に薬を持つようにしているだけある。

「ありがとうございます……紗和さン……」

 冨良は胃薬を飲んだ。

「まぁ……いい加減に終わらせてほしいですけどね。天照様……」

「……今P4(ペルソナ4)P5(ペルソナ5)終わったな……あとはICEY(アイシー)だけ……」

「まだやる気なのですか? …………以外と趣味が合いそう」

 紗和も気分転換にゲームすることがあるようで。

「……あ、ICEYも終わった」

「早いな……?!」

 天照は天岩戸から出た。

「うぉっほん。私が天照大御神、太陽の神であります」

「……ようやく出てきてくれましたね……」

 紗和は呆れたようにそう言った。

 そして冨良さっき胃薬を飲んだばかりなのに未だ胃痛である。

「胃が痛い」

「……大量に持ってきてよかった」

 胃薬を大量に渡す。

「……天照女神様。先ほどは失礼しました。ですが……引きこもりにもほどほどに。女神の名が恥ですよ?」

「日本語おかしいね、貴女」

 天照大御神は煽った。

「ッ……! ……天照女神様は美人なのは認めますが……ずっと暗いところにいたせいか最初は老けていたように見えました」

 さらに煽った。

「そもそも、日本語もろくに使えないような子がウルトラマン? ちゃんちゃらおかしいわ。在日朝鮮人だって、出稼ぎ労働者だってもっと喋れますのよ?」

 煽り返した。

「…………はあ……今時のですか。だから天照女神様はみんなに迷惑をかけるんですよ?」

 煽られたのに呆れて溜息を吐いて気にせずに話を続ける。

「そもそも私は弟の迷惑で引きこもったんですよ?」

 スサノオのことである。詳しくは古事記を読んで欲しい。

「ヘェー……ボクの兄と同じです」

 出逢ってまもない頃に色々とあって部屋に引きこもったことがある紗和である。

「じゃあ分かるじゃないの。黙ってて」

「醜い……」

 冨良の胃が痛んだ。

「…………でも、申し訳ないことを言いますが……太りましたか?」

 胃薬を渡して女性にとってダメージを喰らう言葉を放った。いや、紗和が痩せすぎているだけだ……

「だまれモヤシがぁああああああああ!!!!!!」

 それを見ている連中は一斉に呟いた。「醜い」と。

「ゲバラァッ」

 冨良が吐血したことは言うまでもない。

「えぇ!!?」

 いきなりのことでめっちゃビビった紗和である。

「ヴォエ! ヴォェエエッ!! げほ、げっはぁ……ッ!」

 冨良は大量に吐血した。

「えぇ!? 冨良君!!?」

 慌てて止血を始めた。

「もうやめて……僕の胃を苦しめないで……」

 冨良は涙目になった。

「え!? なんのこと!?」

 無自覚にもほどほどがあるし……今日、紗和は食事を取った人を目撃していない。

 その時、冨良の心はどす黒くなる。

(なんでだ? 俺の心はどうなんだ? まさかこいつら僕を馬鹿にしてるのか? 僕を嫌ってるからだよな! 僕がいらないの? ああそうかいらない子か! そうか、僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は僕は……!!)

 冨良は、紗和の顔に膝蹴りをし、天照大御神の腹に蹴りをかました。

「ストレスフルかつ胃痛持ちの吐血芸人の身にもなれよ!! この|ガ【自主規制】コ《ギャラクシーレスキューフォースにあるまじき発言》共がァァァァァ!!」

「ぐぁ!? ……え!? ボクが悪いの!!?」

「全面的にてめーが悪い」

 慎太郎は呆れて言った。

「ええぇぇ〜〜?」

 完全に無自覚……この先大丈夫なのだろうか。

 

 さて。

「……という事なのだ」

「つまり生物が酷く暴れてると。なるほど、おい胃痛持ち!」

「はい!」

「胃薬くれてやるから救助してこい! 命令だ!」

「わ、わかりましたぁあああ!」

 冨良斗真。命令にはうだつの上がらない男である。

「真面目か……いや良いことだけど……」

 呆れながらそう呟いた。

「言ってきます……」

 さあ、始まるはウルトラマンフラットの奇妙な冒険であ「なんかナイスアドベンチャーみたいになってますよね!?」書いてる俺も胃が痛いし……

「…………あ、あの……天照様……」

 紗和が前へ出て近づいた。

「……なんです?」

「あの……先ほどは申し訳ございませんでした。ボクもいきなりの状況でついカァとなって……あんなことを言い出してしまいました。すみませんでした……」

「……いいんですよ」

「は……はい……」

 とはいえ、先ほど散々言われたことがやはりショックなのか、少し目が病んでいる。あんなことを言われるのは……慣れているはずなのに。

「……こちらこそごめんね」

「! ……い、いや、天照様が謝ることではありません! ボクが始めてしまったことですから!」

「私がやらかしたんです!!」

「!? ……でも……ボクも言い過ぎました。……お互い様ですよ」

 軽く微笑を見せた。

 その時である。

「うわぁあああ!? ワニみたいなシュモクザメ!? いやシュモクザメみたいなワニ!? な、なななんかシュモクザメとワニが合わさったのが来たんですけどぉおおお!?!?」

 冨良が悲鳴を上げた。

「!!? 怪獣だ! ……アイツの名前は……」

「……ワニザメか」

 慎太郎が呟いた。

「……高天原の平和を乱すなら……即倒さないと」

 スマホを取り出す。

「待って! 荒ぶってるだけの荒御魂なのよ、今のワニザメは!」

 名もない神が叫んだ。

「…………それでいきなりこっちに襲ってくることないですよね?」

「フラット・チェンジ!!」

 ウルトラマンフラットがワニザメと交戦を開始した。

「あ、フラットが……ボクも援護しに行こうかな?」

「ギャラクシーレスキューフォース! ウルトラマンフラット、出動!!」

 フラットはワニザメを天高く投げ飛ばした。

「……彼の胃痛が不安だから援護しよう」

 そう呟いて変身した。

「よっ!」

 変身してすぐにそのまま上空に蹴り上げて蹴り続けて、そして地面に蹴り落とした。

「邪魔だ! 僕のクライアントを盗むなこそ泥!!」

 フラットはストレスからか、ラピスを蹴飛ばした。

「ぐぁ!? いってぇ〜……援護したって良いじゃん!! さっきのは謝るからさぁ〜……!」

「保護は僕の仕事だ! ギャラクシーレスキューフォースでも無いやつが保護作業に関わるな!」

 フラットはギャラクシーレスキューフォースの仕事に誇りを持っている。そのため、許せないようだ。

「ッ……! ……ボクだって……ボクだって悪魔の血を引くウーマンだから怪獣の扱いなんて知ってるし、保護だってわかる!! 人の気持ちも知らずによく言えるねぇ!?」

 今日のラピスは怒りに満ちている。何かあったのだろうか。

「黙れ」

 その声にはサマエルの力があったらしく、サマエルのような声であった。

「ッ!! ……人の気持ちも何も知らずに責めるのはどうかしてる!! ……平和のためにただ単に命令を聞くだけの自分には別れたら!? 平和のために闇の力を利用するとか……平和のためとか失格じゃん!!」

 そう言った瞬間、変身を解除して1人でどこかへ行った。

「鬱陶しい! やかましいぞこのアマ! 死ね!」

 ギャラクシーレスキューフォースが言ってはならぬセリフである。

 フラットはワニザメを止めた。

「うるさいバーカ! レスキューフォースらしくないセリフを言うな!!」

 あんなに怒鳴る紗和を見たのは全員初めてだろう。……何故あんなに怒っているのか不明だ。

「あっ、おい待てィ(江戸ッ子)! 紗和さん! レスキューフォースだと爆裂的に鎮圧するチームになるからまずいですよ!! やめてくださいよ本当に! 権利こわれる!! 権利がこわれるわ!! (BANされる未来が)見える見える……」

 そしてこの溝呂木である。

「ッ! 分かってる……ただ、少しでも援護しようとしただけなのにあんな言い方は……ッ」

「というか、彼自体も精神的に傷があるんです! 抉ったのは貴女だ!!」

「ッ……」

 何も言えずにずっと無言でいた。自分は……少し先走っていたのか、自分勝手なのか……よく分からずにいた。

 

 いっぽう、フラットはというと。

「リカバリー・スピリッツ」

 無事ワニザメを保護していた。

「任務完了」

 

「………………憂鬱だ……」

 そう呟いた。その後からはずっと無言でいた。

 かたや保護の仕事を全うするためにすべてを排除した。

 かたや無自覚に人の地雷を踏み抜きつつも悪意に晒されてしまった。

「…………もうやだぁ……だから自分が好きになれないんだよ」

 その場でしゃがんで自暴自棄になってしまった。流石に反省はしているようだが……

 しかし冨良は探しに行けなかった。

 どうしても合わせる面がない。

 紗和はその場から動こうともしない。自分の反省とショックと自暴自棄でメンタルに色々ときているようだ。

 意を決して冨良は探しに行った。

「…………もう、帰りたい……」

 寂しそうにボソボソと独り言を呟いてた。

「ボクはこんな場所似合わないし……いくら任務だからって……無理だよ……ボクは……またあの時のようにやらかしちゃうよ……」

 冨良は紗和を探した。

「…………謝っても今更無理……だからこんな自分なんか……食べずにこのまま……地球に帰りたい……」

 あまり食べない理由が少し明らかになった。

 冨良は紗和を見つけた。

「もうやだぁ……ボクなんか……ボクなんか……どうせボクなんか……」

 気づいてないようだ。

「紗和ッ」

 冨良の声がした。

「! …………なに?」

 しゃがんで、俯いたまま。

「さっきはごめん、気がたってて」

「…………ボクもごめん……先走ってた……自分勝手だったかも……君に迷惑かけた(特に胃痛で)から……せめて援護してあげようかなと思って……」

「僕はあまり他人を信じられないんだ。だけど言いすぎた、本当にごめん!」

「…………うん……大丈夫。気にしないで良いよ……こういうのは何万年も慣れているから」

「僕がまいた種だ、ごめんなさい!」

 無言で立ち上がって、頭を撫でる。

「ボクも……ごめんなさい」

 絆ができた瞬間であった。

「……さて……ここに来てしまったからには、神様に言われたとおりに任務を遂行しようか……♪」

 いつもの紗和が戻ってきてみんなのところへ戻る。

「……」

 しかし冨良はすこし違和感を覚えた。

「……まさか、いやそれはあるまい」

 この高天原にはさすがにないだろうと冨良は判断した。

「…………どうしたの?」

 そんな冨良を見て、紗和は気になるようだ。

「……なんでもない、行きましょう紗和さン」

「? ……う、うん……」

 言われた通りに一緒に行くことにした。

「……(この世界に、高天原という神域に。カミカクシテレビだなんてあるわけが無い!)」

 冨良は呟いた。

「……あっていいはずがない」

「? ……何か言った?」

「……何でもないです!」

 

 その日の深夜、高天原で割り振られた部屋。

 紗和の部屋である。

 ちょうど、紗和は起きていた。

 草木も眠る丑三つ時である。

「…………綺麗な夜……」

 眠れる気が全くないせいか、1人で呟いた。

 その時、休止中のテレビから音がした。

「!? …………テ、テレビが……(もしかして……あの時冨良君が言ってた……)」

「すけ、れを……」

 少しずつ声がクリアになる。

「……え?」

 テレビの画面にゆっくりと近づく。

「……すけて、お……を! 助けて!! 俺を!!」

 それはある歌手であった。確か名前は、イノシンだったか。

「!!? ……イノシン?」

 テレビ画面に顔を近づけてよく見て、画面を触ろうとする。

 画面に触ろうとも、イノシンに手は届かない。そして、プツリと消えた。

「ッ……?! ……消えた……」

 テレビをずっと眺めていた。今の状況が理解できてないからだ。

「今のって…………パレス……いや、パレスとメメントスのような感じじゃない……でも、イセカイなのは……」

 それは【カミカクシテレビ】。かつてとある世界で発生した【マヨナカテレビ】のような、そしてある世界で発生した【パレス】や【メメントス】のようなものであった。

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