進化神獣 オウノオロチ
登場
その敵の名は、ヤマタノオロチ。
かつて
「ぐ……ッ!」
冨良は血反吐を吐きながら、ヤマタノオロチのもとへと走った。
「ちょ、冨良君!! まだ血が少ないんだから動いちゃダメ!」
「僕にしか、やれないんだ! 僕が、やるんだ!! 素戔嗚尊の負担を減らすためにも!」
冨良はヤマタノオロチの近くに向かうと、G-ドライバーを起動した。
「フラットチェンジ!!」
冨良は巨大化した。
「ちょ……負担を減らすのは良いけど、君の身体が1番心配されそう……」
「デェレァッ!」
フラットはヤマタノオロチの八つの頭を回し蹴りで蹴り飛ばした。
「ゲゲゥウウ……」
ヤマタノオロチはその頭を戻す勢いで頭突きをした。しかし、フラットはある力を纏い、回避した。
『ピースドオン! ウルトラマンティガ・スカイタイプ!』
「パラレルワールドでもティガは強いなぁ……」
空中から一方的に撃つ、と思われた。
ヤマタノオロチは伝承とは違い、翼を生やしたのだ。
「ちょ!?」
キリキリとフラットの胃が痛んだ。
「よっと!」
ラピスに変身した紗和はアメイジングアメシストになって頭を1つ切り落とした。
「…………はい、胃薬」
そのまま真顔で胃薬を渡した。ウルトラマン専用の胃薬だ。
フラットは、それを受け取ると即座に服用した。
胃痛が治まったようだ。
その時、ヤマタノオロチの首は復活した。
二股となってである。
「うそぉ!? なんで!? これじゃあクマタノオロチじゃねーか!!」
このヤマタノオロチは何者かに改造された、言わばEXヤマタノオロチともいえる物なのである。
「魔改造なんて聞いてねーよ!」
フラットはヤマタノオロチと対峙した。
「いっぺんに首を切り落としてもダメかもね……」
それでも刀を構え続けた。なるべくフラットの邪魔にならないように援護する。
「ヴェーッハハハハ!! ハッハッハッフゥーン!!」
ウルトラマンアバドンのシッコクジェノサイダーがヤマタノオロチの体を殴りつけた。さらにウルトラマンヴェラムとダークメフィストが追い討ちをかけた。
「パレードACT2・『Lab=01』!!」
パレードが手を開くと、無数の工具がヤマタノオロチに突き刺さる。
さらにダークメフィストはダークレイ・シュトロームをヤマタノオロチに照射した。
しかし効いていないようだ。
「やっぱ効いてない……! ボクの刀で斬っても再生するからどうすれば……」
「ふーむ……試してみたいことがある」
そう言うとアバドンはアバドニックチャクラムを手に着けた。
「ヴェラっち! フラット! 炎頼む!」
そういうや否や、アバドニックチャクラムでヤマタノオロチの首を落とした。
「今だ!」
「イマージュ!」
ヴェラムはタロットカードを砕く。背後に現れるは溶岩怪獣グランゴン。
「【マハラギ】!」
『ピースドオン! ウルトラマンメビウス・バーニングブレイブ!』
「ファイヤー、ファイヨー! 喰らえ、バーニングフラニウムバースト!」
二つの炎が裂かれた場所を燃やす、すると再生は止まった。
「しめた!」
「どういう事だ? 説明してくれ」
「つまりこういう事だ、名付けて復刻版ヒュドラー退治作戦。ヘーラクレースがヒュドラーを退治しに行った時に、ヒュドラーの首を棍棒で叩き潰しても、傷口からすぐに2つの首が再生し、倒せば倒すほど首が増えてしまうことにヘーラクレースは気が付いたんで、甥のイオラーオスに尋ねてみたら、そのイオラーオスは首の傷口を松明の炎で焼き焦がす方法を思いつき、次々に傷口を焼いて再生するのを防いだっていうギリシャ神話の逸話を元にしたんだよ。それが、復刻版ヒュドラー退治作戦」
「はぇー……すっごい博識」
なお、その後ヘーラクレースはヒュドラーの毒で死んだ模様。悲しいなぁ(諸行無常)
さて、戦闘に戻ろう。
「ようやく出せる! イマージュ! アルセーヌ!!」
仮面を外すとアルセーヌが現れた。バトルナイザーのアルセーヌとは違う見た目だ。
「【スラッシュ】」
残りの首を切り落とした。
フラットとヴェラムが焼き付けた。
首はもう再生しない。
「……首が再生しない……倒せた?」
その瞬間、一同は吹き飛ばされた。
「うわぁ……?! な、なに!?」
ヤマタノオロチはその首を再生させるには至らなかったが、しかしその首を合わせコブラのような姿へと変貌した。火炎属性への耐性をつけて。
「コブラ……?! イッツツ……毒ヘビ、だっけ?」
ゆっくりと立ち上がる。
フラットは叫んだ。
「こいつ毒持ちだ! 気をつけろみんな!」
「毒を操れるボクならなんとか耐性はあるけど……他のみんなが危ない……!」
ラピスは硫化水銀で攻撃した。
「ふぃー……」
ヴェラムは牽制をした。
「なら今回はフォーレン・エンジェルが出しづらい。イマージュ! アルセーヌ! 【夢見針】」
銃撃をさせておまけに睡眠効果もあるが……眠ったか?
「……駄目か」
どうやら、ヤマタノオロチもといオウノオロチは眠っていないらしい。
「眠り効果はないけどダメージは受けたはずだから大丈夫、かな?」
それでもなお、攻撃を続けた。
だがしかし、オウノオロチは怯んでいないようだ。
「……まだダメか……流石に一斉にダメージを与えないと難しいかな?」
そう言うラピスに、フラットは言う。
「……僕が命を賭してやります」
「…………え?」
「僕が命を賭して、奴を殺す」
「……命を……賭して……無理、しないでよ?」
「迷惑かけたんです、僕がやります! 特攻です!」
「! ……でも本当に、無理しないでね!? 作戦決行しようか……」
「……まず僕がフラニウムで体を包みます。その間にパレードACT1で視線を逸らしておいてください。ダークメフィストさンは奴のピット器官に闇を塗ったくって使えなくしてやってください。アバドンさンはアバドニックチャクラムを一点集中でお願いします。そしてその傷口にアルセーヌの【夢見針】をぶつけて下さい」
「了解……よっ」
風のようにその場から気配を消した。
「パレード・ACT1! 【Big Brother】!!」
オウノオロチは視線を逸らした。
「(よし……ここら辺に……!)」
気配を消しながらアバドンの動きを見て攻撃場所を考える。
「デヤッ! ヘアッ!」
正確にアバドニックチャクラムを当てる。
「チェックメイトだ! アルセーヌ!! 【夢見針】」
一瞬でその場に現れて傷口に【夢見針】を放った。
その【夢見針】は瞬間的に睡眠を促した。
オウノオロチは眠りに就いた。
その瞬間、アバドンとヴェラムはフラットから高エネルギーを感じた。
「はぁぁあ……」
そのフラットの姿はエネルギーでもあった。
「フラニウムだけではない、ウランやネプツニウム、プルトニウムにポロニウムにそしてスペシウム……! そしてその光的なエネルギーをエルビウムで増幅させる! 喰らえ、僕の渾身の一撃を!」
フラットは光エネルギーとなり、その傷口に入り込む。
「
そのままフラットは、体内に潜り込んだ。
「その攻撃で決めれば鮮やかな勝利が決まるけど、その攻撃がダメなら相手は目を覚ますよ……! だから、君のその
ラピスは叫んだ。
傷口が膨らみ、フラットは自爆した。
体内でミサイルの810倍の威力の爆発が起き、オウノオロチは爆発四散した。
「やった! ご苦労様、アルセーヌ」
アルセーヌは仮面に戻って自分に付けられた。
しかしフラットの姿はなかった。
「…………フラット?」
高天原の地面にフラットは、いや冨良はいた。
「……フラ……違、冨良君!」
変身を解除して近づく。
「冨良君……?!」
もう冨良は虫の息である。
「コヒュー……カヒュー……」
「ッ……血が少なすぎる。それに心拍数も少ない……息もしてない。だからアレ程無理しないでって……」
「はは、僕なんて、換えが効く、機械、ですよ。ギャラクシーレスキューフォースとして、レスキューで、殉職でき、るな、ら……ガ……ッフ……本望、です……」
「…………君は、素敵なヒーローだよ。冨良君……ボクが治してみせる」
「はは、もう無駄、です。さっきので、たぶんからだ、壊れた。ははは……」
乾いた笑いを浮かべる冨良。
「自然のままに、命を委ねる……」
「……光エネルギーも確かに0%……なんとか与えようにも難しい。それでも、君は仲間だ。…………死なせたくない」
「もう、死ぬ他ない……」
冨良は全てを諦めたようだ。
「ボクはそれに関しては反対。みんな……反対していると思う。ボクは君に何度も輸血させたり薬を渡したりしているの? 君の身体のことは、もう分かっているんだ。だから……まだ救える。(でも、確実に油断した……! 道具は全て置いて来てしまった……! あるものでなんとかしないと……)」
その時、溝呂木があるものに乗ってきた。高天原の車である。
「おい! 今すぐこいつを載せるんだ!」
「溝呂木君……! 分かった!」
抱き上げて車の中で寝かせる。
溝呂木は即座に帰投した。
紗和は即座に治療を開始した。
「(さっき足した輸血も切れてる……輸血パックを4つ。それと傷を癒すための傷薬とかも大量に使わないと……! 光エネルギーはなるべく太陽と月でなんとか……そしたら天照様の太陽の力を……いや、貸してくれるのかな?)」
ずっと冨良の様子を見て治療法を考えている。
「んー……何? 煩いけど……」
寝起きのような
すっぴんでも非常に美しい姿である。
「天照様……! ちょうど良いところに……お願いが!」
紗和はこれまでのことを説明し、太陽の力で光エネルギーを増やしてほしいとお願いする。
「んー? いいけど」
そう言うと、天照は冨良に
「口付け!!? あ、天照様……口付けで光エネルギーを?」
紗和の疑問を聞いた天照は頷いた。
光エネルギーを渡すには長い気が、と溝呂木は思った。
「……ぷは、これでよしと」
僅かに唾液が線になっていた気がしたが気の所為だろう。きっと気のせいだ。
「天照様って随分と勇気があるのですね……ちょっと、その勇気が羨ましいと思ってしまいました……」
え? 今なんて?
「え、ええと……ありがとうございました。この御恩はいつかお返しします。ゲームのことならなんでも……」
「んー? いいのいいの」
けらけらと笑う天照。
「光無さそうだから光を長めにチャージしただけなの」
そう言う彼女はツヤツヤしていた。
「(いや、光チャージするには五秒でいいのでは? てことはただキスしたかっただけなのか??)」
そして溝呂木は、考えるのをやめた。
「は、はぁ……でも、ありがとうございます。これなら彼を救えます」
大量の輸血パックを刺して傷などを治療する。
……輸血パックが多すぎる気もするが。
血圧、脈拍ともに安定し始めた。冨良は一命を取りとめたのである。
「……とはいえ、また戦闘とかをさせたら流石にマズい。これ以上戦闘を控えさせないと……今度こそ、死んじゃうかも」
真剣な眼差しで言った。
「……」
冨良は目覚めない。
「……でも、これなら休めれそう。しばらくは彼の部屋で寝かせておいてあげて。ボクが時折検査しに行くけどね……(心拍数問題なく動き始めてる……まだ低いけど)」
冨良は目を覚ました。
近くに紗和が居ないことに気づいた。
「……ありがとうございました」
「……(うわっ、輸血パックが減ってる……! あんなにあったのに……どこかで補給しておかないと……)」
紗和は自分の部屋で薬とかの確認をしている。
冨良は輸血の管を抜いた。そして、短めの手紙を遺して空に飛んでいった。
「冨良君。まだ寝ているかもだけど一応診察……に」
部屋に訪れると、冨良がいないことに気づいた。
「…………冨良君……?」
目にした手紙を手にしてみんなのところへ駆け足で行く。
「ん? どうした?」
「冨良君が……部屋にいなくて、抜けてた輸血パックと……手紙が」
慎太郎は手紙をひったくった。
「あ…………変わりに、読む?」
「ああ」
慎太郎は読み始めた。
「拝啓 皆様
この手紙を読んでいるということは、もう僕はこの世界からオサラバしている事かと思われます。
ボロボロのまま戦い僕は疲れました。それでも戦い続けれたのはみなさンのおかげでした。
とは言え、僕がいても足を引っ張るのみだと気づき居なくなることを決意しました。
この世界のネコザメくンを見ることも出来ましたしここらで消えましょうかねとね。
病床に就いていた僕を治そうと東奔西走する皆様の姿は非常に有難く、しかし僕からしたら申し訳なく思っておりました。故にあそこで相討ちも覚悟しまさしく死ぬる覚悟で
しかし僕は生きていました。
僕は高天原を去ります。
それでは皆様、お元気で。
僕みたいな劣等生を拾ってくださり、ありがとうございました。
生涯独身のまま生きる事になると思いますが、何かあり次第皆様の方に連絡しますんでよろしくお願いします。
最後に。
皆様と一緒にいた時間は宝物でありました。心より御礼申し上げます。
敬具 冨良斗真/ウルトラマンフラット……」
「…………そんな……」
紗和は手紙の内容を聞いてショックを受けている。
「何が劣等生だよ……」
肇は悲しげに言った。
「でも、結局……彼の決意で決めたことだから今更止めても無理なことだよ。彼の幸福を……願っておかないと」
「……だな」
ぽそりと慎太郎は呟いた。
「…………でも……やっぱ胃痛持ちだから……せめて胃薬を渡しておきたかったなぁ。彼専用の胃薬を開発が終えたのに……」
心残りが追加してしまったようだ。
「どーせ惑星シャオンだろ。ミッションの後で行こうぜ」
慎太郎はけたけた笑った。
目じりに涙をうかべながら。