ウルトラマンアバドン【完結】   作:りゅーど

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海獣 キングゲスラ
暗黒の巨人
登場


再会

 海辺の工場地域。

「デュァァ!」

 アバドンはキングゲスラと闘っていた。キングゲスラは誰かに操られているようだった。

 キングゲスラは腕を振り回した。アバドンはバックステップすると軽く後ろ蹴りをした。

「ヂィッ!」

 アバドンは構えた。

「ヴゥァァアアアア……!!」

 キングゲスラは苦しげな声を上げた。

 何か、闇のウルトラマンが操っているかのようだった。死にたくないという意思が強く感じられた。アバドンは、キングゲスラを殺さない事にした。

 キングゲスラの攻撃を次々と捌き、平手で優しく押した。

 アバドンは、三戦立ちをすると両方の拳を脇に引いて、力を込めた。

「アバドニックヒーリング」

 ゆっくりと両腕を伸ばし、金色の光線がキングゲスラを包んだ。キングゲスラは大人しくなり、アバドンは頷くと海に戻そうと歩を進めた。

 刹那、黒い雷がキングゲスラを襲った。キングゲスラは、気付かれないように毒針をアバドンの背後に向けて発射した。アバドンは、直ぐに近づいてキングゲスラを快復させると、海に放り投げた。そして、背中に痛みが走ったことに気付いた。

 鋭い痛み、とは言い難い。痺れるような、感電でもしたかのような。

「っ! 黒い巨人を撃て!」

 防衛チームがガトリングキャノンを乱射した。アバドンの背後にいたウルトラマンらしき存在は、闇に紛れてそれらを粉砕。直後に姿を晦ました。

 アバドンは、しばらく気を張っていたが、やがて光とともに消え去った。

 

「っはぁ……!!」

 人のいない路地、壁に背を預け荒い呼吸を何とか整える。近くのコンビニで購入したミネラルウォーターを一気に飲み干す。

 直に呼吸も落ち着いてきて、深く、且つ素早く息を吸い込んで長く息を吐き出した。最後まで、息を全て搾り取るように。

「こぉおおおおおお……コッッ」

 強制的に息を戻し、肩をゴキゴキと鳴らす。

 だがしかし、汗がだくだくと流れ落ち、パーカーの下に着たタンクトップが肌に貼りついているのは確かだ。さらに言えばかっと開かれた目は非常事態を表しているかのようだった。

 慎太郎は崩れ落ちた。救われることはない、と思い込んだか、彼は静かに瞼を閉じた。

 

 目を覚ました慎太郎はあまりの空腹に飯屋に駆け込んだ。大抵の傷は、飯を食えば治る。もっとも、治るのは外傷のみだが。

 

 慎太郎は飯屋、それも鰻屋に駆け込むと、迷わず鰻丼を頼む。それから、肝吸いも注文した。

 そこからは急ぎだった。

 パリッとした皮目とジューシィな肉質、少し辛めのタレが白米とスーパーベストマッチしている。肝吸いもあっさりしていて滋味あふれる風味だ。五臓六腑に染み渡る。だが味わっている時間はない。近くに暴走の犯人はいるだろうと慎太郎の鋭い直感が叫んでいた。

 慎太郎は急いで金を払い、街を駆け抜けた。

 

 街をひた走る。

 闇の香りには生まれつき敏感なのだ。生まれながらの体質である。闇の香りを追いかけた。暫くして、見失ってしまった。どこだ、と周りを見渡せば、気付けば慎太郎は動けなくなっていた。

 縛り付けられている。念縛、ともとれる超常的なチカラを浴びているのだ。

 慎太郎は、ハイスピードで近づいてくる10トントラックを見た。闇の香りがする。あれが元凶だ! と慎太郎は直感した。慎太郎は、体にバリアを貼った。その瞬間、慎太郎はトラックにぶち当たる。

 慎太郎の体は投げ出された。

 硬いアスファルトに体が落ち、慎太郎は目を開きつつ追いかけようとした。しかし体は動かない。轢かれてしまった衝撃で、体が言うことを聞いてくれない。

 慎太郎は力を振り絞って立ち上がり、よろめきながら追いかけようとした。

 数歩歩いて、慎太郎は再度崩れ落ちた。

 

「お前のせいで人が死んだ」

「無駄に殺したんだ」

「死ね」

「失せろ」

「お前に味方などいない」

「死ね、諸星慎太郎」

「垢消すより先に自殺するほうがいいっての」

「死ねよ」

 

「死ね。諸星慎太郎」

 

 慎太郎は目を覚ました。だくだくと流れる汗。

 病院に運ばれていたらしい。慎太郎は体を動かした。

「ダメだよ、まだ動かないでくれたまえ!」

 慎太郎は声のする方を向いた。

 赤く死んだ目をした、やや筋肉質な青年が慎太郎の方を見ている。

 その声色は、何故か慎太郎にとって「懐かしい」と思えるものであった。

「キャップ! あの青年が目を覚ましました!」

「お、おい! キャップって……どういうことだ!?」

 慎太郎の問いに答えないまま、青年は人を呼んだ。

 

 暫くして、7名の男女が現れた。

「自己紹介でもしておきましょうよ、皆さん!」と先程の青年が言った。

 まずは三十代後半の男性からだった。

迫水(さこみず)重輔(じゅうすけ)だ。このチームのキャップだ。宜しく頼む」

 次いで、やや気の強そうな女性が声をかける。

基町(もとまち)由奈(ゆな)。副キャプテンよ」

 続いてマッシヴな男性だ。

古橋(ふるはし)重吉(じゅうきち)! 筋肉こそ正義だぜ!」

 気が弱そうな女性が声をかける。

「え、えと……牧原(まきはら)(かな)です……。よろしくお願いします……」

 赤メッシュの入った赤いグラデーションの髪をした少女が声をかけてきた。

宝星(ほうせい)紗和(さわ)、このチームの医療担当でーす!」

 そして最後に、先程の青年が声をかけた。

「久しぶりだね、慎太郎。俺のことは覚えてるか?」

 慎太郎は目を丸くした。

「……お前、誰だ?」

「おいおい、覚えてないのかよ! 二人してよく闘ったろ!」

「……???」

「ったく……俺は松本(まつもと)(はじめ)。お前の相棒、ヴェラムさ」

 

「……ヴェラっち!?!?」

 慎太郎の「信じられねぇ!」という声がこだました。




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