ウルトラマンアバドン【完結】   作:りゅーど

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天涯孤独

 高天原の観光を終えて夜となり、各自部屋で休んでいた。

 紗和は疲れ果てて自分の部屋で眠っていた。

 慎太郎たちも同様である。

 だが紗和は前回、自分から心をやられてしまったせいか……

 テレビに新たなる番組が開始されていた。

 起きたのは古橋である。古橋はふと胸騒ぎがして、テレビを見た。

 テレビが勝手に起動をした。テレビ画面には、誰もが見覚えのある少女がクールにカッコよく、ステージのド真ん中で踊っていた。

「……」

 古橋は目を疑った。

 クールにカッコよく、そしてキレのあるステップを刻んで踊っていたのは……紗和だった。とても楽しそうに踊っていた。汗が宝石のように輝き、ポーズを決めるたびに歓声が上がる。

 そしてそのステージを囲むように、観客が大勢いた。

「……あれって」

 紗和は踊り続けた。何故か笑顔は……普段見せるより輝いていた。

 周りの観客はおそらく認知上の人物。だがその観客は様子がおかしかった。

「みんなー! もっと踊ってほしいー!?」

 そう叫んだ瞬間、歓声が上がった。

「それならー……ボクを裏切らないでね?! もしボクを嫌ったら……打ち首だよ?」

 踊りながら物騒なことを言った。だが、事実だった。

「……紗和、かよ」

 古橋は拳を握りしめた。

 紗和は物騒な発言は画面には現れた。

 踊っている紗和を少しでも愚痴る人がいたらその場で……首がはねられた人がいた。

 そしてその首はそのまま床に転がり、踏み潰された。それでも紗和は楽しそうに踊り続けた。キレッキレのダンスを楽しんで踊り続けた。

「……どんだけ歪んでんだアイツ」

 ようやく慎太郎が起きた。

 ダンスを終えて足を止める。タオルで汗を拭きながら紗和は……

「みんな! ボクのことを1人にしないよね!? ボクのことをずっと見ていてねー! ボクを裏切る人は……」

 そう告げた直後、紗和はステージ裏に入り、画面がプツリと消えた。

 慎太郎は即座に銃を手に取った。

 古橋は紗和の部屋へと向かう。

 当の本人の紗和は疲れ果てているせいか、テレビに気づかず眠っていた。

 寝顔がとても可愛かった。

 古橋は、違和感を覚えた。今までカミカクシテレビの番組持ちはすぐに消えたはずだと。

 それでも紗和は目の前で眠っていた。

 おそらく、欲望の心がテレビ番組を開始させたのだろう。

「……!」

 古橋はぎょっとした。

 瞬きの僅か0.1秒。その間で突如として紗和が消えたのである。

 

 さて、いつも通りカミカクシテレビに侵入したわけである。

 そこはイベントとかで行われそうなアリーナの外だった。このアリーナの中に紗和がいるのだろう。アリーナの外まで歓声が聴こえてくる

「うるっせえな!!」

 慎太郎はイライラしながらアリーナを見た。

「でもこれじゃP4というよりP4U……いやなんでもない」

 小声で肇が呟いた。

 だが、その歓声の中には……時折悲鳴も聞こえてくる。

 そしてアリーナの外は……どことなく、寂しげを感じる。

「……! とにかく行こう!」

 古橋は焦りと共に向かった。

 アリーナの中には警備員のようなシャドウが徘徊していた。

 紗和へ辿り着くにはステージの上に立つしかない。アリーナかスタンドだと本人に気づかれないからだ。

「邪魔だ」

 古橋はその剛腕で警備員たちを、正確には警備員のシャドウを撲殺した。

「怖ぇ」

 慎太郎が呟いた。

 だがその場はまだ通路。

 紗和がいるステージに向かわないと紗和に会えない。

「……殺す」

 古橋の目は血走っている。

 通路を走るたびに警備員のシャドウが増えるが、舞台裏の通路に近づいてくる。

「っぶな!?」

 慎太郎は奏を庇いながら進んでいる。

 歓声の声が低くなっていき、紗和の声が大きくなっている。おそらく舞台裏が近いのだろう。

 古橋は拳にガントレットを嵌めた。

 だが舞台裏は予想以上のシャドウの数が多くいた。

 その目の前には、楽しそうに踊っている紗和が見えた。

「……強行突破だ」

「無茶だろ?」

「やるんだよ」

 古橋は頭に血を昇らせながら言った。

 舞台裏のシャドウは紗和に近づけないように一斉に襲いかかってきた。

 古橋の鉄拳がシャドウたちを殴り飛ばす。

 そのシャドウはステージまで吹っ飛び、紗和に気づかれた。

「え……?!」

 曲が止み、紗和も踊りをやめた。

「……アイドル気分か、紗和!! 正直推せるぞ!! 投げ銭箱どこだ!!!」

 古橋は本音を叫んだ。

「え、えーと……ありがとう。投げ銭は……って、そんなことより……何故ここに?! どうやって舞台裏から!? あそこはシャドウがいるし……厳重に扉もロックしているはず」

 褒められたことを喜んでるが、それどころではないように感じて叫ぶ。

 慎太郎はその銃で観客の虐殺を開始した。

「……けっ。テメー、アイドル気取りかよ。斗真の方が1145141919810倍可愛かったぞ」

「あ……ボクはアイドルではなくただのトップダンサーだ。それの……どこが悪い!? ボクの好きでやっていることだ!! みんななんかどうせボクの気持ちなんて分かってくれないもんね!!!」

「承認欲求の塊か? おーゴルァ……」

「違う! 裏切られるのが嫌だからだ! どうせみんなボクを見捨てる!! 君もそう! 古橋"君"に松本君! 隊長達も見捨てる! だからせめて、自分の好きなダンスで誰かに認められるような人になりたい! だから……だからやっているんだ!」

 紗和は心の奥底の憎しみを告げた。

「……今なら、見逃す。さっさと出てけ!」

「黙れよ、メンヘラのメスガキ」

 慎太郎は無慈悲に言った。

「ッ……! 誰がメンヘラだ。てかそもそも……誰のせいでこうなっているの? 君達みんなだ! みんなボクを1人にして!! みんなボクの気持ちなんか分かってくれない! だから……それのどこがいけないの!? みんなボクの孤独の過去なんか知らないくせに! みんなボクを罵倒して!!」

 叫び続けた。自分の苦しみを知ってもらいたく、どんな気持ちでいたのかを……

「これで分かったでしょ? ……君達にボクは助けられない。ボクは一生このままだ。それでも助ける……いや、ボクを倒すなら……こい」

 紗和はシャドウへと変わった。

「お前が勝手に逃げてるだけ定期はい論破」

 慎太郎は煽った。

「力に頼るクソザコナメクジ」

「違う……! ボクだって本当は……こんなことしたくない……! でも、分かってもらうしかないの! どーせ慎太郎は何も分かってくれないくせに! だから……だから君の『兄さん』を助けられなかったんだよ!!」

 怒りのあまりに慎太郎の地雷を踏んだみたいだ。

 慎太郎は即座にアバドニックビュートを伸ばし、紗和のシャドウの首を絞めた。

「……今、俺の兄貴を愚弄したか? 愚弄したな! 愚弄した!! ウルトラセブンもウルトラマンゼロもぶっ殺して、テメーのニタニタ笑いをぶった切ってやる! 死ね!!」

「アグァ……! そうやって……そうやって……仲間を見捨てるんだ。ヘェー……君はやっぱり……ボクの気持ちなんかなぁ〜んにも分かってくれない」

 そう言った直後、毒液となって消えた。

「もともと俺に友なんて居ないってんだろーが、ちゃんとほんへ見ろ」

 正確には描写が無いだけである。

「メタイなぁ〜……相変わらず」

 いつの間にかステージの端にいた。

 指を鳴らすと頭上から【マハジオ】が放たれた。

「【マカラカーン】」

「【マカラカーン】」

「うぉらあどうじゃあ!!」

 慎太郎と肇は電撃を反射し、古橋は回避した。

「足元にはご注意を」

 軽くステップして距離を置くと、また指を鳴らした。今度は床が毒沼となる。

 慎太郎と肇は空に浮く。古橋は毒沼に落ちるも、即座に戻ってきた。

 毒でぬらぬらとしている。

「だっしゃあああああ!! おい目ェ覚ませや!!」

「……シャドウだけいる……?」

 慎太郎は思案した。

「……ふーむ……」

 数秒だけ考え込むが、すぐに指を鳴らした。

 紗和はその瞬間にその場から消えた。どこからか火薬の匂いがする……

 古橋は紗和のシャドウを見付けると、そこに向かって飛んだ。

「おや……古橋に見つかった。よく分かったね〜♪ 褒めてあげるよ♪」

 陽気に軽く拍手をしている。

「でも……足元ご注意を」

 また一瞬で消えた。ステージ上で大爆発が起きる。

 これは飛んでも避けても回避は不可能の大規模だ。

 その瞬間、爆風をかきけす暴風が吹き荒れた。

 ジュウキチがその翼を大きくはためかせたのだ。

 鎮圧を行うやいなや、マッハで紗和のシャドウを追い詰めた。

「なっ……?! しまった……彼の正体のことを忘れてた……でも、どんな手をしてもボクはやめない。みんなが……ボクを……理解してくれるまで!!」

 だがそんなふうに叫ぶ紗和から一瞬だけ……何かが聞こえた。

「……!」

 ジュウキチはそれを聞き取った。

「なに? なに……ジロジロと見ているの?」

『助けて……どうして、どうしてまたこんなことをしちゃうの……助けて』……と、聞き覚えのある少女の声が言ってた。

「……今救うぞ」

 ジュウキチは紗和のシャドウにラリアットした。

「は、はぁ? なに言って……ッ!? イッ……!」

 回避が間に合わず、直撃してしまいその場に倒れたがすぐに立ち上がる。

「…………どうせ誰もボクを見ない。どうせボクは天涯孤独。そう……500万年生き続けた結果が天涯孤独という運命……今更なにを言われてもなお、だーれも分かってくれないだろうね」

 1人でブツブツと言い始める。

「るっせぇ! なにが天涯孤独だ、こっちの気もしれねえで!!」

「……は?」

「何度てめえを庇ったか! ほとんど被弾はテメー庇っての事だ!!」

「え、あ、あ……うん……確かに……何度も君には助けられたね。でも……それが今なにと?」

 流石に困惑しているシャドウ紗和。

「いい加減認めろ。お前の周りには仲間がいる。お前を裏切ったことはあったか? 言え!!」

「ッ……そ、それ……は。でも……だってみんながボクを1人にする……」

「何言ってんだ、お前」

「だって……側にいても……すぐに離れて、ボクの血のことが分かるとすぐに愚痴り、陰口をいい……離れる……だから……ボクはそう思ってた。ボクは天涯孤独……500万年も独りぼっちだった……」

「俺たちのチーム見てみろ。罪人やら悪魔やら大量に居るだろうが!」

 紗和は真顔でみんなを見つめた。呆然とずっと……

「みんなお前を助けるためにいるんだ、それをわかってやれ!!」

 肩を少しビクッとさせたが、紗和は負けを認めたかのようにその場で座り込んで呆然と顔を見つめ続けた。

「……だからよ、諦めんな」

「…………ボクはね……天涯孤独という自分の思い込みで誰かに頼るというのが嫌いで……誰にも相談しない、誰にも手伝いを頼まない……そうやって生き続けた。でも……それが間違いなのは分かっていた。ここができた本当の理由はきっと……怖かった……! それだけのために……孤独には慣れているけどこうやって仲間ができたときの恐怖心が強かったんだ……だから気がつけば心を弱くして……こんなところを作ってしまった……仲間に見捨てられるのが怖くて……本当の想い人なんか……来ないのを覚悟して……」

 紗和のテレビ番組が出来てしまったのは結局、己の恐怖を隠すために作られた……ということになる。

 すると、スタンドの方から扉の開く音が聞こえた。

「……」

 ジュウキチはその方向を見た。

 スタンド席ではなく、アリーナ席の扉から現れたのは……水銀の仮面を着けた紗和本人だった。

「…………ここ……って」

「……紗和」

「……古橋……それにみんな」

 周りの状況をよく確認。

「…………あ〜〜……OKよく理解した。また……あの日のように迷惑をかけちゃったみたいだね……」

 仮面の後ろでめっちゃ反省したような顔が見える。

 古橋は即座にシャドウの紗和の関節を極めた。

「いたぁ!?」

 少し痛がってるように見える……

「……やっぱな! 落ちろ!」

 華麗に絞め技に移った。

「アガァ……?!」

「!?」

 目の前の光景に唖然としている。

 頸動脈を締め、落とす。

「ガァ……!? ッ〜〜〜……」

 その直後、待ってましたと言わんばかりにウルトラマンアバドンが飛んできた。アバディウム光線が炸裂した。

「イッアアアガァ!!?」

 見事にぶっ倒された。

「…………自分がやられたところを見るのなんか気まずい……というかなんというか……」

 アリーナ席から眺めているが、ちょっと気分悪そう。

 さて、シャドウは本来に戻ったわけだ。

「……今なら分かる。ボクがこんな世界を作ってしまった理由が……ボクが原因だ」

 仮面越しで落ち込んでいるのがよく分かる。

「……お前は悪くないよ」

「! ……古橋……君」

 紗和は古橋に向かって初めて『君』付けを何故かした。

「うん……ありがとう。自分の恐怖を隠すために他人を頼らないなんて、ボクはまだまだだね。心が弱いと誰かを守ることすらできない……でも、そんな自分はもうやめる。新しいイマージュも手に入った。これからもう……抗い続けるよ」

「……抗い続けるのもいいが、それだけじゃ疲れるだろ」

「……そうかもね。ボクは天涯孤独、という気持ちはおさらばするよ。でも……君やみんながいてくれるだけで嬉しいんだ。慎太郎はなんだかんだ口悪いけど良い人だし……松本君も優しい。みんな、こんなボクを受け入れてくれた。特に……君にはよく助けられたね。あまりお礼してなくてごめんね」

「……いいんだ」

「でも、君が初めてだったよね。こんなボクに声をかけてくれるなんて。あの時はちょっと驚いたけど……1番話しかけやすかった。それにいつも助けてくれてた。ありがとう……♪」

「……そうか」

「でも……ちょっと不思議なの。なんでこんなボクを優しくしてくれるのかな? って……まるで……恋愛ドラマみたい」

「……言わせんな」

「……え?」

「……恥ずかしいんだよ」

「……え?」

 こっちもつられて恥ずかしくなる。

「え、えーと……つまり……古橋君は……そ、その……」

「……おう」

「…………言ってくれれば……ボクだって受け入れてたのに…………ボクだって古橋君を最初は……」

 小声でブツブツと何か言っているが、気を取り戻して……

「…………言って、ほしいな」

「……おう」

 古橋は紗和の方を向いた

「……俺は、お前が好きだ」

「……うん、これからよろしくね♪ 古橋君♪」

 嬉しそうな満面の笑みを浮かばせる。

「……おう」

 古橋はひどく赤面した。

「……フフッ。顔が凄く真っ赤だね♪」

「……うるせ」

「フフッ……大丈夫だよ……ボクも顔が赤いみたいだから」

 なるべく顔を見せないようにして赤面状態である。

「……あれ? 待って? まだボクらってテレビの中だよね?」

「……ああ」

「……なんだろう……めっちゃニヤニヤ顔でみんなに見られているようなぁ。いや、見られてるかも」

「……そーなのか?」

「気のせいなら……いっか。めっちゃ隊長とかが羨ましそう、もしくはニヤニヤと笑われているような……まぁ、気のせいということで」

 身につけていた仮面を外して頭の上に乗っける。顔を見やすくするためにしたようだ。

「……」

「あ、あのさ……その……戻ったらでなんだけど……その〜……デ…………デート……したい……なぁ〜……」

 視線を逸らしながらめっちゃ照れながら伝える。

「……だな、行こうか」

「!! ……うん。行こうか。それより今は……ボクの異世界から出ようか。みんなお疲れみたいだし……」

 

 さて、全員外に出た訳だが。

「……とはいえ、やっぱり申し訳ないなぁって思っちゃう。確かにダンスはダンスの世界大会で総合優勝したことはあるけど……」

 この話はマジであるが、このことは誰にも言ってないので流石に驚愕した。

「……マジか」

 古橋は目を見開いた。

「……言って、なかったのはごめん。CETに入る時は個人情報にしたかったから履歴とかにもあえて書かないようにしていたんだよね……でも、バレちゃったのなら仕方ないか。とりあえず……今日はもう休もう。また神話の怪物が出てきたら困るからね」

 一同は寝床についた。

 先ほどまで熟睡してしまったせいか、紗和は部屋に戻っても寝ようとしなかった。また1人で夜の高天原を眺めていた。

 高天原の空気は澄んでいる。

「……今日も平和、かぁ。(こんな平和がずっと続けば良いのに……なんで人はそんなに過ちで人を傷つけるのかな?)……はぁ……」

 ため息を吐いて、眠れない夜の時間が過ぎるのを待つ。

 

 朝が来る。美しい朝焼けである。

 紗和はそのあとようやく眠ったのか……布団ではなく、窓の手すりで眠っていた。

 古橋はその紗和を見付けると、布団に移動させた。

「……いい夢見な」

「ん、んんぅ……古橋、君……」

 どうやら寝言のようだ。

「…………いか、ない……で。もう1人は……嫌だ」

「……」

 古橋は紗和の隣に座った。

 寝返りをして、寝顔が見やすくなった。

 とても気持ちよさそうに眠っていた。

「……いい夢見なよ」

「……ありがとう……」

 寝顔のまま少しだけ笑ったように見える。

「……ふふ」

 古橋はあぐらをかいた。

 朝日に多少照らされているのにそれでも起きない紗和。疲れや寝不足が溜まっていたのだろう。

「ん、んん……ん?」

 ゆっくりと目を開けた。目を覚ましたようだ。

 ただ右目が前髪で隠されてなく……不気味な右目が見られてしまった。

「……おはよ」

 古橋は笑顔で紗和を見た。

「……なんでボクの部屋に? ……ん? (両目で見えr)はわっ!?」

 慌てて前髪をブラシで下ろして右目を隠す。

「ははっ」

「……はぁ〜〜……これだけは見せたくないのに……」

 ちょっと落ち込んでいるようにも見えるが、気分を整えるために布団から出た。しかもめっちゃ寝巻きが着崩れている。

「そうだ、朝飯食おうぜ」

 古橋は気にせず話しかけた。

「あ……う、うん。ちょっと待ってて」

 慌てて着替えて身支度を整え始める。

 古橋は着替え終えていて、その場で待機した。

 数分して身支度を整え終えたようだ。寝癖が一瞬にして消えて髪が宝石のように輝いていた。

「……やっぱ綺麗だよなお前」

 いきなり言われてめっちゃ顔が赤くなる。

「え……あ、えっと……ありがと……う」

「はは」

「……こ、こんなこと言われるの慣れてない……いや初めてだから……」

 めっちゃ照れ臭そうに言う。

「やっぱかわいいわおまえ」

 またさらに顔が赤くなる。

「え……そんな……別に……可愛くは……」

「そういうとこが可愛いんだよ」

 古橋は紗和を抱き寄せた。

「わっ……! …………あ、あり……が……とう……」

 めっちゃ顔から湯気が湧き出てる。

「可愛いなぁ……」

「可愛くは……ないけど……ありがとう……」

「……行こうか」

「う、うん……」

 自分から手を繋いだ。

「……ん」

 まだ恥ずかしそう顔を赤くしている。

「……行こう」

 手を引いて向かった。

 澄んだ空気に朝日が輝いていた。

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