ウルトラマンアバドン【完結】   作:りゅーど

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複製怪獣 クローンガーゴルゴン
複製邪神 クローンガタノゾーア
邪神 メドゥーサ
登場


石化事件

 前回晴れて恋人同士となった紗和と古橋は、人気のないところで2人っきりになった。

「…………」

 沈黙が続いていた。ヘタレかな? 

「……あ、あー……」

「! ……な、なに?」

「……どうするよ、これから」

「……どうする……って言われても〜……こんなこと5000年生きて初めてだから……分からない」

「……」

 顔面紅潮、肉体硬直。さてどうするか。

「……」

 自分からそっと手を握った。

「わっ」

 古橋は驚いたが、手を繋ぎ返した。

「…………(この後どうしよう)」

 そこから先は何も考えてなかったようだ。

「……ふふ」

 軽く笑うと、古橋は紗和をだきしめた。

「え……?!」

 いきなり抱きしめられて赤面状態で驚いた。

 古橋は、紗和の事を抱きしめると紗和の頭を優しく撫でた。

「ふぁ……!? ど、どど……どうしたの?」

 いきなりのことで脳内がパニックを起こしてる。

「……やっぱ、お前可愛いわ」

 古橋は紗和を優しく見つめ、そして囁いた。

「好きだ」

「……ぴぇ!?」

 顔から湯気が出てきそうなくらい顔がさらに赤くなった。

「……何度でも言うぞ、好きだ」

 古橋は紗和の耳もとで囁いた。

「んっ……!」

 ピクリと反応する。抱かれた状態でなにもできずにパニックっている。

「……ふふ」

 優しく紗和を抱き締めた。

「ひゃ…………ッ〜〜……/////」

 顔を見つめた瞬間に頬にキスした。

「ん」

 古橋は動揺した。

 そのまま顔を隠しながら逸らした。恥ずかしい顔を見せないためにそうしたのであった。

 紗和のその行動を見た彼は、紗和の顔を此方にむけると、紗和の唇に自分の唇を重ねた。

「ふぇ……? ……んぅ」

「……ん。紗和、好きだ」

 そして二人は……。

 

 さて、その翌日である。

「……はァ」

 慎太郎は目を死なせていた。

 紗和は昨日から顔を赤くしたままであった。

「……(5000年生きてアレは恥ずい……)」

 なに考えているんだ? 

 慎太郎は、紗和を見るとこう言った。

「昨日はお楽しみでしたね」

 もっとも、それは慎太郎もなのだが。

 腰をさする慎太郎。そして横で艶々している奏。

 まぁ、賢明な読者諸君は何が起きたかはお察しください。

「えぇ!?」

 顔を赤くしながら叫んだ。めっちゃ顔が真っ赤になった。まるでトマトのようだった。

 慎太郎は「お゛ー、いてて……」と言うと、ごろりと横になる。

「……歳食ってんのに何無理してんだ俺」

 慎太郎、いやアバドンは十四万三千歳である。

「……こちとら5000歳で初めてだったんだけど……」

 もうどうにもなれ、ということでそう言った。

「……だな」

 

 さて、朝飯をとったCET一同である。

 珍しく一番最初に食べ終えた紗和は1人で部屋にいた。いつものことだが……

 時間があれば薬や道具の確認とかをしている。

 そんな中、SNSにある情報が入る。

『石化事件』

 そういうタイトルだ。

 スマホでその情報を即目にした。そしていつものように色々と考察を始めた。

「石化は……ガーゴルドンしか思いつかん。アバドンを宝石化……ヴェラムを石にさせたアイツ……」

 ブツブツと独り言を言いながら。

 他のサイトにもあった。天上における2ちゃんねる、7ちゃんねるではこのようなスレッドが立っていた。

 

【速報】高天原のある村、石化を免れるwwwwwwwww

 0001 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 なんか生存者は「頭に蛇がいた女」っつってるらしいね

 0004 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 なにそれこわい

 0005 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 こわいなーとづまりストIV

 0007 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 特定した

 多分それギリシャ神話の

「石化……(ここで起きているなら……やっぱり、前に話を聞いたアレが緩んだいるのが原因?)頭が蛇……メデューサ? いや、メデューサだね。なんでギリシャ神話の?」

 ずっと考察や独り言を言いながら記事を読み続けた。

 0012 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 ギリシャから高天原に来るわけないだろ常識的に考えて

 0014 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 あのさぁ……(呆れ)

 0015 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 半年ROMれと言いたいんやがたしかに解せないンゴねぇ

 0016 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 そーいやあれやね

 黄泉の国から色んなものが出てきてるらしいね

 0029 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 千引きの岩にヒビが入った可能性が微粒子レベルで存在している……? 

「(やっぱり一度……アレを見に行かないとまずいかな? いや、見に行かないとダメだ。下手したら高天原が危ない……)」

 紗和はスマホで情報を見ながら一人で何処かへ向かった。

 

 0810 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

【速報】千引きの岩こわれる

 

 0893 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 とある村が石化したぞ! 

 

 0931 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 なんか巨大で、触腕があり、象のような長い鼻が備わり、蛸の目を持ち、なかば不定形で、可塑性があり、鱗と皺に覆われていて、オウムガイみたいな殻を被った奴が住民石化させて殺してる

 やべえ助けて

「……? (やっぱこれって……メデューサ?)……あ、ヤバイ……」

 噂の村へ1人でたどり着いてしまった紗和。いや、早すぎる……

 

 例の石化集団ヲチスレ

 0001 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 やべぇな、みんな石だ

 0002 以下、7ちゃんねるからVIPがお送りします

 ウルトラマンがほしい

 

 さて、紗和がいる土地に人はほとんど居なかった。

「(ウルトラマンいるっつーの! いやボクはウーマンだけど……! ……いや、今はそんなことはいいか)……石化、かぁ〜……」

 敵がいない様子を見て周りを探索を始める。そして何故か視界を塞ぐようにフードを被っていた。

 辺りで悲鳴が聞こえる。そして、それらの放つ瘴気もしてきた。

「ッ……(いつもの悪い癖だなぁ〜……ボクが1人でこんなところに来ちゃうなんて)」

 悲鳴する方へ近づいて行く。

「うわぁあああああ!!」

「!? あっちか……!」

 慌てて走ってその叫び声がする方へ向かう。

 風を超えて、雷のような素早さで。

 そこは死屍累々であった。

 様々な石像があった。

 家屋が潰された。

 これほどまでの絶望はないだろう。

「うっ……(これは酷い……ここ周辺を全て襲ったということ……)」

 身体中に悪寒が通り、鳥肌も止まらない。

「ヴガアアアァアアアンン!!」

 地獄の底から聞こえるかのような低い唸り声がした。

「え……?!」

 唸り声の方向に顔を向けた。

「まさか……ガーゴルドン?」

 その時、駆けてくる足音がしていた。

「!?」

 警戒しながら銃を取り出す。視界をフードで塞いだまま。

「……奴か、敵は」

 その声は迫水であった。

「迫水……隊長?」

 フードを外して顔を見せた。

「紗和か、探したぞ」

 迫水はそう言うと、銃を構えた。

「あ、あははは……すみま……せん、じゃあないですね。何故銃を構えるのですか? ……隊長? ではないですよね?」

 またフードを被って視界を塞いだ。

「紗和、そこをどけ。奴らは駆除するべきなんだ」

 迫水は、銃を構えつつ紗和の後ろの敵を見すえた。

「……ビックリ……しましたよ」

 そう言って軽く一回転して避けた。

「……来るぞ」

 古橋が呟いた。

「! ……うん」

 銃を構えながら、刀も構えた。

 慎太郎は銃撃を開始した。

「というか……よく分かったね。ボクがここにいるってこと。(いや? 最初からバレていた……ということにもなるね)」

 古橋は言った。

「直感だよ」

「……なるほどね」

 紗和は笑みを見せながらそう言った。

「……来るぞ」

 ガーゴルゴンがこちらを向く。

 巨大なメドゥーサもこちらを向いた。

 そして、本物とは程遠いがしかし神々しく恐ろしい存在である、クローンガタノゾーアが一同の方を向いた。

「目を合わせたら一瞬で石化だよ。目に注意だね。そして……多い」

 予想外だよ、という顔をしている。

 慎太郎は即座にガタノゾーアの眼球を撃つ。

 紗和は援護をしながら雷のような素早さで一瞬で斬り倒した。

 ガタノゾーアは切られた触手を再生させ、殴り飛ばした。

 消えたかのように避けて、また触手を切り落とした。切られた瞬間に、触手から体内へ感電を始めた。

「……鞘の中に電気通せる方法を試してみたけど……凄い威力」

 ガタノゾーアは痺れた。

「痺れているなら今のうちにトドメをさせるかも……!」

 しかしガーゴルゴンは石化光線を放った。

「なっ……! しまった……!」

 油断をして光線をなんとか避けたが、刀を持った腕に当たってしまった。

「なっ……?!」

 刀を持った左腕が完全に石化されてしまった。幸い、腕だけで済んだが……左腕が重くて動かないようになってしまった。

 古橋はキレた。

 古橋専用の銃である、『メーサーランチャー』をガーゴルゴン向けて放つ。

 メーサーランチャーの放った擬似アバディウム光線は、ガーゴルゴンの顔面をミンチに変えた。

「ッ〜〜……左腕……重っ」

 なんとか立ち上がって銃だけでなんとか倒そうとする。

「てめぇええええ!! よくも俺の嫁さんの腕石にしやがったな!!」

 気づけば慎太郎もアバディウム光線を放っていた。

「死ね! メドゥーサテメェ! 俺の奏に傷がついたらどうしてくれんだ、あぁ!? ギリシャの地獄に爆弾落としてやろうかこの知的障害!! 死ねぶっ殺すぞクソガイジ! つか死ね!!!」

 ああ、この馬鹿共は……。

 迫水は叫んだ。

「掃討せよ!」

「(過保護だなぁ〜……あの2人)」

 嬉しそうに見つめながら動ける右腕で討伐をする。

 慎太郎は、銃を取り出して頭を撃つ。そしてイマージュバレバドンを呼び出すと、銃撃させた。

 肇はカードを機械に通した。

「来い!」

 後ろにイマージュのミズノエノリュウが立ちはだかり、相手を焼き尽くした。

「ッ〜! (腕が、重い……! 動けるけど、いつもより鈍くなる……! 下手したら……また光線を受けてしまう……!)」

 左腕が石化されてしまっているせいか、その重さに慣れずにいつもより動きが鈍いが、足に雷の力を発揮させてスピードを上げ続けた。

 ミズノエノリュウの放つ炎とメーサーランチャーの砲撃が功を奏し、ガーゴルゴンは爆発四散した。

「よし……! って、あ……」

 倒せたのは良いものの、いつのまにか紗和の石化された腕にヒビが大きく入っていた。爆発四散したので元に戻るだろう。

 慎太郎は変身した。

 ウルトラマンアバドンは、メドゥーサの両眼を素手で摘出しようとした。

「……?! 目、合わせてなきゃ問題ないか……」

 左腕が治るのを確認しながらアバドンの様子を見る。

 アバドンは目を瞑りながら、巨大メドゥーサの左眼を摘出した。

「……自分で自分を石化させて木っ端微塵にした方が早いのでは?」

 あくまで紗和の考えた作戦なので本人がそうするかは分からないが、そう言った。

「! ……倒せても……治るの遅いっけ?」

 何故かなかなか右腕が元に戻らない。

 肇はヴェラムに変身した。

 アバドンとヴェラムは、光で巨大な鏡を作り上げた。

「!? (ボクの考え読まれた!?)」

 左腕が治らないと変身ができないので見守るしかなかった。

 しかしその鏡は不完全であった。古橋はベムラー人の姿に戻ると、巨大化して光の鏡を手伝った。

 メドゥーサは、自分自身に視線が当たった。

 メドゥーサは石になる。その瞬間、アバドンはその石の元素配列を変化させ、巨大なラピス・ラズリにしたのだった。

「……え? (なんで……ラピスラズリにしたの?)」

 自分の体力と光エネルギーを消耗させてしまうが、アメシストの力が覚醒した時に使った『ジェダイト』で腕を元に戻していく。

 アバドンはそのラピス・ラズリの塊に光を与え、紗和に……ウルトラウーマンラピスに分け与えた。

 それは紗和の体を数倍強くした。

「!? (今……アバドンはなにをしたの? 力が……今までより高くて、強く感じる……)あ」

 いつの間にか左腕は完全に元に戻っていたので動かせるようになった。

「よし! これであとはあの貝類モドキを捌くだけだ!」

 アバドンは、光の包丁を作った。

「捌いていくゥ!」

「またあの時みたいに捌き始めた……?!」

 左腕が動けるようになった紗和はそれを見ながら刀を鞘に戻した。

「……腕の関節に違和感を感じるのはどうして」

 あ、もしかして負傷してしまった? 

 紗和がそう思う中、ジュウキチは紗和の方を向くと、光の波を当てた。

 鎮痛、並びに各種関節のズレ等を治す癒しの光である。

「! ……ありがとう」

「……お大事にね」

 流石は柔道整復師である。

「うん……もちろんだよ。(今度石化から元に戻す薬作ろう……念のために石化させる薬も)」

 何故か薬を作る力が覚醒した紗和である。

 一方、クローンガタノゾーアは口から闇を吐こうとした。

 しかし……。

「この口は危ないんでね、切り落とします」

 まるでトラフグの歯を切り落とすように、アバドンは光の包丁でクローンガタノゾーアの口と闇の放出器官を切り落とした。

「……はぁ……」

 料理中のアバドンを見ずに1人でため息を吐いた。

 アバドンはその後、触手を斬った。海産物が嫌いな宇宙人によって作られたのだろうか、断面は完全にタコのそれだ。

 もはや、今のクローンガタノゾーアはまな板の鯉。クローンガタノゾーアは生への執着を辞めた。

 ヴェラムとジュウキチは住民の回復や瓦礫撤去に専念している。

 紗和はヴェラムとジュウキチの手伝いをしながら石化された人達を『ジェダイト』で元に戻していった。

 クローンガタノゾーアは殻から外され、アバドンによって部位ごとに分けられ肉塊になった。

 じきに美味しくいただかれるだろう。

「……(全体的に……この力を使わないとマズい)」

 被害に遭った村全体に力を広げた。村人が元に戻ってくるのがすぐに分かった。

 アバドンは変身したまま、肉塊を袋に詰めた。

 炊き出しに使うのだろう。

「……これで……全部かな?」

 石化から元に戻した紗和は刀を鞘に戻した。

 アバドンは、光を入れたラピス・ラズリを各地に投げた。

 ラピス・ラズリに【ジェダイト】の光を封じ込めて。

 ジェダイトの光で石化は解ける。

 そしてアバドンの分身が復興のために向かっている。

「……ふぅ……」

 軽く息を吐くと、1人で何かを探すようにどこかへ行こうとする。

「まて、紗和!」

 人間の姿をとったジュウキチ……古橋は、紗和を呼び止めた。

「?! な、なに? 古橋君?」

「……何処に行く気だ」

「……ちょっとした調査だよ」

「……調査だと?」

「……黄泉比良坂のこと」

「……黄泉比良坂に向かう気か!? 死ぬ気か!?」

「……どうしても気になるんだ。なんでこんなことが起きるのか……原因はそこしかないからね」

「……俺も行くよ!」

「…………え?」

「俺も行く。お前ひとりで行かせてたまるか!!」

「……全ての原因が黄泉比良坂にある可能性が高いからね。ボクはこの異変を終わらせたい。だ、だから……君がいてくれると……とても心強くなれる……」

 少し顔を赤くして照れ臭そうにそう言った。

「任せろ、俺に出来ることなら……!」

「……現世と他界の境目なら……ボクは、どうなるのかな? 中に入ろうとは思ってないけど……」

「……恐ろしい魔物が住んでいるだろう」

「……黄泉比良坂を封印したのは伊弉冉尊が封印しているはずなのに緩くなっているのが怪しくて……その緩さが原因で今までクトゥルフ神話から、ギリシャ神話に現れる怪獣が現れるかもしれないとボクはずっと考察していたんだ。一か八かで……行きたいんだ」

「……ああ、俺もそこが怪しいと睨んでいた」

 と古橋は告げた。

「これ以上被害を起こしたくない。行くしかないんだ……一緒に行く?」

「無論だ」

「……他のみんなはどうする? 2人だけで行く?」

 ほかのメンバーも同行するつもりである。

「……独りで探索という癖……治さないと」

 そっと微笑みを浮かばせた。

「……お前には仲間がいることを忘れないでくれよ」

 古橋は、紗和の肩を抱いた。

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