ウルトラマンアバドン【完結】   作:りゅーど

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ひったくり犯 バド星人
一角超獣 バキシム
くノ一超獣 ユニタング
暗黒怪盗 アルセーヌ
宇宙恐竜 ゼットン
寵愛神 ブレシス
ベムラー人ジュウキチ
登場


ウルトラマンにとって平和な旅というものは無縁なようで

 八月一日。

 CET、フツヌシチームはいままで休日返上、ほぼ徹夜でやっていたせいで溜まりに溜まった休みを活かして埼玉に向かった。

「あらかじめ電車に一本で埼玉に行ける路線調べておいて良かった」

 嬉しそうに電車に揺れながら朝ごはんを食べてる。

 寝坊はしてない。いつもの癖で食べてないだけだった。

「(朝食に味噌ポテト……秩父の郷土料理だけどなんで朝ごはんとしてタッパーに入れて作ったんだ?)」

 今更になって疑問に思うようになった。

 慎太郎は寝ていた。今までずっと徹夜ないしショートスリープだったからだ。

「ぐかー……」

 慎太郎は深い眠りについた。

「(まぁ本家みたいに甘じょっぱく出来たからいっか……)」

 なお、紗和も寝てないが食べなさ過ぎているので電車内で食べる方を優先したようだ。

「(予定より早めに着きそうだ……大宮に着いたら行田と川越へ行こう。先に行田だね)」

 プランを確認しながら味噌ポテトを食べ続けた。

 迫水は久しぶりの電車でうずうずしているようだ。

 朝早くに電車に乗ったからか、人はあまりいなかった。だから味噌ポテトの美味そうな匂いが充満していた。

「(誰もいなかったから良いけど……匂い、大丈夫かな?)」

 古橋は紗和の隣に座っている様子。

 チラチラと紗和の方を見ていた。

「…………ん?」

 古橋の様子に気づいて顔を見つめた。

「……美味そう」

「え? あ……良かったら、食べる? 味噌ポテトは秩父の郷土料理であって、味噌の甘じょっぱさが効いてとても美味しいんだよ。秩父に行くことがないからせっかくだから昨日、家で作ったんだ」

「マジ? いいの?」

 リア充爆発しろ。

「もちろん。一応念のために多目に作っておいたからね。軽食にもなるからせっかくだから食べてみて♪ とても美味しいよ♪」

「やったぜ」

 そういうと古橋は一個味噌ポテトをもらうと食べた。

「~! うめぇ!!」

 味噌ポテトは先程言ったように埼玉県秩父地方の郷土料理であり、ジャガイモの天ぷらに甘い味噌がかかっている料理である。

 揚げているのでイモの甘さが引き立ち、サクサクの衣に甘じょっぱい味噌がしみていて美味しいのである。

 軽食にはもちろわ、おつまみにも合うのでビールによく合う! 

「美味く出来たのなら良かった♪」

「めっちゃうめぇよ! 紗和すげぇや……!」

 どこかから、「リア充爆発しろ」と胃を痛めていそうな声がした。

「やった♪ ありがとう古橋君」

 めっちゃ嬉しそうに微笑んだ。

『ご乗車ありがとうございます。次は、大宮、大宮でございます。お降り忘れにご注意くださいますよう宜しくお願い申し上げます』

 車内ベルが鳴り響いた。

「!? も、もう着いた……! 奏さん! 慎太郎起こして!」

「慎太郎さーん、起きてー。慎太郎さー……はっ(天啓)」

 奏は慎太郎の耳元に顔を寄せると、こう囁いた。

「起きて、朝だよダーリン」

 慎太郎は即座に目を覚ました。

「…………お、お二人さん……荷物持って降りてください」

 いつの間にか味噌ポテトが入っていたタッパーをリュックにしまって電車を出ていた。

 一同は大宮駅に降りた。

「大宮に到着〜♪ 大宮はショッピングの街と言われていて、とても良いところですよ!」

 周りを見れば人盛りの中、ドレスアップした人やイマドキのようなオシャレな格好をしている人がたくさんいた。

「うわぁ、ケバケバしいなぁ」

 慎太郎は眉をひそめた。

 それ程までに慎太郎には、ウルトラマンアバドンにとっては面倒な事であったのだ。

 早く飯にありつきたい、そう思っているようで。

「ま、まぁ今から行田へ向かうために行田駅までの路線に乗り換えるのでさっさといきましょう。着いたらさきたま古墳を堪能して、行田フライとゼリーフライを食べましょうか!」

 と、言いながらサクサクと1人で改札に向かった。

「おい待て! 置いてくなメスガキッ!」

 慎太郎は追いかける。肇もそれに続いた。

「まったく……」

 一同は、路線を乗り換え行田へとむかった。

「え〜と……行田までは……ふむ……39分。でもこれなら天気が良い古墳の上へ行って忍城が見えるね♪」

 忍城(おしじょう)とは、映画『のぼうの城』で有名になった城であり、室町時代中期の文明年間に成田氏によって建築されたと伝えられており、北を利根川、南を荒川に挟まれた扇状地に点在する広大な沼地と自然堤防を生かした構造となっている。

「……(でも流石にこの時間帯だと通勤の人が多いなぁ。制服を着ている人は部活のためかな?)」

 慎太郎たちは電車に座った。

「(ネットで調べたら行田といえば古墳、かぁ。埼玉はダ埼玉と言われながらも歴史にまつわる建物が多いよね〜)」

 行田駅に着くまでスマホで色々と調べているようだ。

 慎太郎は珍しく左眼を輝かせていた。楽しみなのだろうか。

「(美味いもんが食える美味いもんが食える美味いもんが食える美味いもんが食える美味いもんが食える美味いもんが食える美味いもんが食える美味いもんが食える……)」

 前言撤回。

 食欲に支配されているだけだった。

「(着いたら慎太郎にために先に行田フライを食べに行こうかな? アレは……ヤバイな)」

 何かを察したのか、古墳を見る前に軽く食べに行こうというのを決めたようだ。

 

『次は行田、行田。お出口は右側です。お客様にお願い致します。優先席付近では 携帯電話の電源をお切りください。それ以外の場所では マナーモードに設定の上 通話は お控えください。ご協力をお願い致します』

 車内アナウンスが流れた。

「! あっという間に着いた……早く降りようか」

「おう」

 

 一同は行田に着いた。

「旅行の始まりは行田! 行田といえば古墳! 古墳も良いが、のぼうの城で一躍有名になった忍城もあり! さてさて、まずは古墳に登っていきます? それともご当地グルメを食べますか?」

「飯」

 慎太郎が即答した。

「…………じゃ、じゃあ行田フライ食べにいきますか」

 紗和の案内で行田フライを食べに行くことに。

 一同は行田フライの店に到着した。

「行田フライはフライだけど揚げ物ではないんです。他のお店によっては焼きそば入りもあるんですよ」

 注文して10分ほど……フライがやってきた。

「……こ、これがフライ?」

 慎太郎は目を丸くした。

「これじゃまるで、フライというより具入りのクレープのような……!」

「いや、お好み焼きに近くないか? この感じからすると」

 慎太郎と肇は考察をしたが、直後慎太郎は一つ瞬きして言った。

「考えるのは辞めだ! 喰いましょう!!」

「青のりのふりかけはお好みでどうぞ」

 一口食べると、生地がふわっともちっとしてネギがシャキシャキとしている。

 中には卵が入っていて、完全に混ざってないパパッと作った感じがする。屋台とかにありそうである。

「うっま! えっ、めっちゃうめぇぞこれ!」

「確かに美味しい♪ 流石、埼玉が誇るB級グルメの1つ!!」

 ここで軽く作り方を説明すると、小麦粉を水で柔らかく溶き、鉄板の上で薄く焼き、ネギ、豚肉、卵などを入れ、ソースまたは醤油で味付けをする。

「昭和初期に全盛期を迎えた足袋工場で働く女子工員さんなどとおやつとして食べていたそうです。だから手軽に食べれる軽食にもあるんですよ」

「マジで屋台の飯だなコレ」

 慎太郎も絶賛した。

「めっちゃうめぇぞコレ」

「他のお店によっては焼きそば入りのフライもあるんです! これ食べ終えたらゼリーフライも食べに行きませんか!?」

 今いる店にはゼリーフライが無かったようだ。

「待て、待て! ゼリーフライって、ゲテモノか!?」

 肇は心配になって聞いた。

「だってゼリーだぜ!? あれを、フライ!?!?」

「いや中身はあのゼリーではありませんからね?」

 即答で答えた。

「は? いやどういう、えぇ……(困惑)」

 肇は当惑し、

「未開の地ダサイタマか何か??」

 奏は笑った。

「違う! と、とにかく……フライを食べ終えたらその店に行きますよ! でもイメージしてもらいたいなら、コロッケと思ってください」

「コロッケが何でゼリーなんだ?」

 迫水は眉をひそめた。

「食べに行く前に説明すると、『おからの素揚げコロッケ』です。名前にも色々と由来があり、小判型なので『銭』→『銭富来』→『ゼリーフライ』になったと言われているんです」

「あ、なるほど。ゼニーフライが音韻変化してゼリーフライになったと。紗和はよく知ってるなぁ」

 古橋は紗和を撫でた。

「!? /////……い、行く前に軽く調べておいたので……////」

 撫でられて軽く照れている。

「ちなみにゼリーフライは明治後期から100年以上食べられてきた歴史があり、全国ご当地グルメの祭典B-1グランプリではベスト10に入ったことがあるんですよ! 行田フライを早く食べて食べに行きましょうか!」

「おー!」

 

 一同は食べ終えると、金を払ってその店に歩き出した。

「えーと……店は確か……忍城の近くです! そこでゼリーフライを堪能してくださいな! そしてそれを食べたら古墳を!」

 めっちゃウキウキと楽しみながら案内している。

「元気だなァ」

 慎太郎はいつも通り死んだ目で紗和を見た。

「そりゃあみんなと旅行は楽しいからね! さてさて、もうすぐ着きますよ」

「お」

 目的地の忍城の近くのお店へ到着。席に着いたら早速ゼリーフライを全員分を頼んだ。

「なーんか怖いなぁ」

「行く前に説明したから説明したのをイメージして待っていてよ。美味しいから♪」

 15分後、10cmくらい大きいゼリーフライが全員分やってきた。しかも100円だったようだ。

「やっっす……てかコレ美味いんか? まあ……いただきます」

 慎太郎は恐る恐る口に入れた。

「やわらかっ……確かにこれはおからだな……!」

 慎太郎の目が輝く。

 口に放り込み、咀嚼。ゼリーフライに染みたソースはどこか素朴さがあるが、ピリッとした濃厚さもある。素朴な中身とややサクサクとした衣、そして先程も記載したがゼリーのような食感が顎に心地よく、嚥下するや否やまた一切れと食べ。

 まるで麻薬をキメた人が次々と欲するように、まるで好きでもない節分の豆を気付けばひと袋食ったかのように不思議と味の虜になる。

 うまい、うまい、うまい……そう思いながら食べ続け。

「来た甲斐があった♪ ゼリーフライ美味しい♪」

 ゼリーフライのことを説明すると、おからとジャガイモ、ニンジン、ネギを刻んだものを混ぜて小判型にして衣をつけずに揚げたものである。

「テイクアウトも可能みたい」

「ガワが衣みたいでフツーにうめぇんだが」

 肇は驚いていた。

「美味ッ……」

「作り方を調べれば自分で作っていつでも食べれるかもね。ごちそうさまでした〜♪」

「ごちそうさまでしたーっ」

 一同は食事をやめて古墳を見るために歩き出す。

「さきたま古墳公園内にあって、日本最大規模の円墳なんですよ。丸墓山古墳の上へ登ってみましょうか。天気が良いから忍城が見えますよ。あの石田三成が落とせなかった城が!」

 軽く説明をしながら『さきたま古墳公園』へ向かう。

「まて、さきたま古墳公園って誤記じゃないのか?」

「さきたま古墳公園って名前ですよ?」

「あっそうなの!?」

「この先に見える階段に登れば古墳の真上に登れますよ」

 スタスタと先へ向かう。

 その最後尾で、

「ちょと、まってぇ……」

 奏が半泣きになっていた。

「え? ……もしかして疲れました?」

「きつ、たすけ」

 そこまで言って、慎太郎が奏をおぶった。

「ったく、手のかかる嫁だ」

 慎太郎の頬が緩む。

「ちょっと段数があるから……慣れないと流石に疲れるのかな?」

 普通にサクサクと階段を登っている紗和、まるで元気が良過ぎる小学生かな? 

 慎太郎は奏をおぶりながらも、しかしこたえていないかのように登った。

「お──ー♪ 古墳の真上に着いたー♪」

 階段を登って古墳の上に到着したようだ。

 ここで軽く説明すると、さきたま古墳公園内にある埼玉古墳群の1つ丸墓山古墳にら、城攻めを指揮を豊臣方の総大将・石田三成が陣が張ったといわれている。

「あ。アレが忍城だ!」

 指を指した方向に復元された忍城が見えた。

「へぇ、なかなかいい城だな」

 慎太郎がそう言った瞬間、基町の目が輝いた。

「要害堅固な城であったことから戦国時代には関東七名城の一つとされてたのよね! 1590年に豊臣秀吉の小田原征伐に伴い発生した攻城戦の際には豊臣方の水攻めに耐え抜いた逸話から浮き城または亀城と称された由緒あるお城じゃないの! 明治維新の後、1871年の廃藩置県と同時に廃城となり、1873年に土塁の一部を残して取り壊されちゃったけどこんな復元をされてるなんて思わなかったわ……」

 基町は早口で言っていた。そう、所謂城ガールなのである。

「副隊長は城好きだったんですね……でもここからでも石田堤と高源寺が見れるんだ♪」

「本当に美しい眺めね……」

「石田堤は豊臣勢の総大将・石田三成が、城を包囲する堤を築き、そこに水を引き入れて水攻めにしようとしたんです。2万人を投入して全長28kmに及ぶ堤を、わずか1週間で造り上げたといわれているみたいです。のぼう様らしい考えだ……ww」

「なんだそれは……たまげたなぁ……」

「でも、堤の内側には水が思うように溜まらず、水攻めは結局失敗に終わったみたいだけどね」

「はぇーぐう無能」

 辛辣ゥー! 

「ま、まぁ……いいじゃないか。ちなみにあれは高源寺と言います。忍城の籠城戦で激戦地となった佐間口を守り抜いた成田家の家老が、開城後に命を落とした多くの人々を庇うために建立したんですよ」

 指を指した方向に、そんなに見えないが小さい寺が見えた。

「……お寺さんか」

「合戦で人々を庇うために作られた寺……ぶっちゃけボクは氷川神社しか調べてないから詳しくは分からないけどねw」

 能天気に景色を楽しみながらそう言った。

 その時である。

「私のカバンーっ!」

 何者かが誰かのカバンを持って走っていた。

「ッ!? ゲホッ、ゲホッ!」

 食べてたゼリーフライを喉に詰まらせたが、水を飲んで回復。

「え、ちょ……えぇ!?」

 無論、いきなり過ぎて驚愕していた。

 即座に動いたのはこの作品の主人公、慎太郎である。

「くっそ、止まりやがれひったくり犯! あなたは犯罪者です! 拘置所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい! いいですね!!!!!」

「ゲッヘッヘ♪ いいもん入ってるじゃねーか♪ これを売って生活費にしてやろうかなぁ?」

 素早い逃げ足で逃げ回り続けた。だがこのひったくり犯は確実に油断していた。

 慎太郎は左目を光らせ、即座に飛び掛る。そしてその腕に飛びつくと、即座に逆十字をぶちかました。

「ぐぁ!?」

 攻撃を喰らった直後、手に持ってたバックを上に放り投げた。

「あ、宙に上がった!」

 それを見た慎太郎は、ひったくり犯の顔面に踵をぶちかまし、その反動で高く飛び上がる。そしてそのバッグを掴み、スーパーヒーロー着地。

「ナイスキャッチ♪」

 紗和は笑いながらそう言った。

 ひったくり犯はその場で義絶していた。流血しながら。

「ほらよ、アンタのバッグ取り返してきたよ」

「あ、ありがとうございます」

 その少女はぺこりと頭を下げると、そそくさと去っていった。

「……(いや、なにも言わないでおこう)……あ、警察に連絡するね」

「宜しく」

 紗和はあまり人気のないところでスマホを取り出して警察に連絡を入れた。

 ひったくり犯はまだピヨっていた。

 慎太郎はひったくり犯を縛り上げた。

 そのうちにひったくり犯は姿を変えていった。

「ん? ……あ、えぇと……住所は確か……」

 会話中、嫌な予感を感じたが切り替えて色々と説明していた。

 数分ぐらいで来るようだ。その間になにも問題が起きなければ良いが……

「……手癖が悪いな、このバド星人」

 慎太郎が言った直後、何処かで悲鳴が上がった。

「ま、また悲鳴……!?」

 連絡を終えた直後、その声に反応して向かった。

 慎太郎はバド星人を警察に引き渡すと、虚空からアバドストライカーを召喚。

 搭乗するとその方角に向かったのであった。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……あ!!」

 走りながらも一足先にその場に着いた紗和。

 その直後、アバドストライカーに搭乗した慎太郎と、ハイエースに乗った他メンバーが到着した。

 どうやら、肇が時のゲートを開いた事で召喚できたらしい。

「走った意味なかった……でも、すぐに終わらせられるね」

「何が来るんだr」

 そこまで言って、肇は目を見開いた。

「…………普通の旅行……じゃなくなったね。まさか埼玉にもいるとは予想外……」

 冷静さを保っているが、流石に突然過ぎて驚愕しているように見える。

「来るぞ」

 空間が割れ、人間サイズのバキシムが現れる。

「……ここでアルセーヌ達呼んでも問題ないかな?」

 スッとバトルナイザーを出して構える。

「人間サイズにしろよ」

「そしたらアルセーヌとフラカン、ブレシスしか出せないか。でも……すぐに終わらせるつもりだから……アルセーヌ!」

 バトルナイザーを上に上げるとアルセーヌが現れた。

『バトルナイザー! モンスロード!』

「アルセーヌ! 開始早々に【エイハ】を浴びせて!」

 アルセーヌは言われた通りにバキシムに【エイハ】を浴びせた。

 バキシムはそれを回避するや否や、角をミサイルとして放った。

 慎太郎はアバドンに変身した。

「【夢見針】」

 眠くなる効果はかけられないがミサイルを相打ちさせた。

 アバドンはバキシムのミサイル発射部分に、フグ毒のテトロドトキシンを注入した。

「(毒……でも、ボクのは……やめておこう)」

 毒に弱いだろうと思い、自分の身に詰まっている毒で倒そうと思ったようだが……やめてアルセーヌに攻撃をさせ続けた。

 バキシムは苦し紛れにその手の棘でアルセーヌの頭を刺し貫く。

 アバドンは硬直した。

「アルセーヌ!!」

 アルセーヌがもがき苦しんでいるのを見ていられず、手袋を外すと飛び上がり頭上から水銀の毒を浴びせた。

「あ…………(しまった……また、汚してしまう……周りを)」

 バキシムは空間の穴を開けると、水銀を紗和の上にワープさせる。アバドンは即座に空間の穴を塞ごうとし、しかし攻撃を喰らう。

「なっ!? ああああああああ……!! ガハッ! ゲホッ、ゲホッ……」

 水銀の毒を全部かけられて身体中に毒が回り、水銀中毒になってしまった。

 だがなんとかアルセーヌをバトルナイザーに戻して助けることができた。自分より相棒の救うことを優先していたようだ。

 古橋はベムラー人の姿になると、紗和から毒を抜く為に精神を集中させる。

 一方肇は変身するとバキシムを殴り飛ばしていた。

「ジャオラァッ!」

 アバドンは攻撃してきた超獣、ユニタングを蹴り飛ばす。そして、光でチェーンソーを作ると、ユニタングの頸動脈目掛けて振るった。

「はぁ……はぁ……はぁ……あ、危うく……呼吸不全と口内炎、手足の痺れや言語障害などが起きかけた。(いや……死ぬところ、だった……)」

 まだ手足が痺れてまともに立てないが、なんとか立ち上がれたようだ。

 ジュウキチは紗和を解毒すると、バキシムとユニタングにこう吼えた。

「よくも俺の紗和に傷をつけやがったなぁぁああ!? ヤプールとかいう土人に操られるゴミのようなクソ超獣め、苦しみ抜いて死ねぇ!! このオレがぶっ殺してやる!!! てめぇらの内臓ぐちゃぐちゃ抉り出して、その癪に障るメクラなチョンボみてぇなニヤニヤ笑いを斬り裂いてやる!!」

 ジュウキチはユニタングの眼球を抉り出した。

 ジュウキチは紗和を庇うように立った。

「ヒエッ……!?」

 あんなに叫ぶジュウキチを見て肩をビクリとさせた。「あ……大丈夫。まだやれる……アルセーヌを傷つけた恨みもあるからね」

「水銀の毒は強いだろ!? オレが命に代えてでも守るからな!」

 ジュウキチの目が、闇色に染まった。

 ユニタングは眼球を失い苦しみながらジュウキチに向かって走った。

 ジュウキチはユニタングの首を絞め、両膝関節を蹴り砕いた。

「……(せめて、あの手の動きを止めればそのまま上から毒をかければダメージを受けてチェックメイトになるはず……あの空間を操る力を数分でも失えば)」

 その場に立ったまま考えているようだ。再度手袋を外してアルセーヌを呼び出した。

「呼んだか、我が主よ」

 アルセーヌは静かに聞いた。

「アルセーヌ……あの空間を操る力……奪える? もしくはその力を数分だけでも止めれる?」

 小声でそう呟いた。

「数秒でも良い……その瞬間に毒でダメージを与えてみせる」

「無論だ。奴らから空間操作を奪っておこう。それはそうと、この力を我はこう名付けたんだ。叫びながらやらせてもらってもいいか?」

 アルセーヌはうずうずしている様子。

「……もちろん、その代わり……あまりみんなを驚かせないように」

 そう言って紗和はジュウキチから離れて前へ走り始めた。

「参る! 『ソフト(柔らかく)(そして)ウェット(湿っている)ッ!』」

 アルセーヌは、バキシムとユニタングから空間操作を奪い去る。

「ナイスだよアルセーヌ!!」

 そのまま再度飛び上がり頭上から水銀を浴びせた。

「……(周りを汚したくはない……でも、倒せるなら!)」

 水銀をバキシムとユニタングに浴びせた。

 その瞬間、アバドンはブルー・フィーリングでバキシムの腕を落とし、ヴェラムはパレードACT3【論理空軍】でバキシムの両足をミンチにした。

 ジュウキチは宣言通りユニタングの腹をかっさばき内臓をぐっちゃぐちゃに抉り出した挙句、その顔面を斬り裂いていた。

「……っと」

 その場に上手く着地をした。そして慌てて水銀を吸収して回収する。

「アルセーヌ、ご苦労様♪」

「……まだヤツらは生きているかもしれないぞ主、そしてウルトラマンとベムラー人よ!」

 アルセーヌの言った通り、ユニタングとバキシムは虫の息ながら生きながらえていた。

 ジュウキチはそれに気付くと虚空から毒付きの鋸を取りだした。

「楽しい楽しい解剖タイムだ。今回の実験体はユニタング、という訳でこの雑魚を捌いていく!」

「え!? なに!? 料理……!?」

 暑くても水銀で誰も傷つけないように手袋を付けながらそう言った。

 無論料理というのは比喩表現である。ジュウキチは嬉嬉としてユニタングを雑に解剖し始めた。

 紗和は目の前のをずっと見ていた。ちょっとビビってらように見えるが……

「俺の嫁さんを傷つけたツケはその肉体で払ってもらうぜこのビチグソ野郎がァーッ」

 鋸で痛めつけるその様は正しく『復讐鬼』である。

「え……あ……自分が油断したのが悪いから……」

 どこまでも慈悲深い紗和である。

「いーや超獣死すべし慈悲はない! 下等で生物的に劣等生なヤプールの作った馬のクソ以下の下劣で手遅れ知恵遅れなパンジャンドラムよりも役立たないゴミのような兵器は破壊されるべきなんだよ!!」

 饒舌にジュウキチは超獣を貶した。

 もちろんアバドンとヴェラムもバキシムをボコボコにしている。

「あ、あはは……(ヤバイ、まだ毒抜けてないのかな? 色々とヤバく感じる)」

 ジュウキチはユニタングの顔面を踏みにじり、そして腕を十字に組んでペイリウム光線を放った。

「抹殺完了~! スゲーッ爽やかな気分だぜ! 新しいパンツをはいたばかりの

 正月元旦の朝のよーによォ────────ッ!!」

 そして紗和のもとに駆けると、紗和を解毒した。

「うわぁぁぁぁ!!?」

 いきなり目の前に来てめっちゃビビってその場に倒れた。

「アダッ」

「暴れるなよ……暴れるな……」

 ジュウキチは体内に残留した水銀の毒を解毒し、ヤプールの住む異次元に投棄した。

「暴れない! 暴れないけど近い! 近いよ!?」

「……よし」

 投棄したのは異次元ではあったがヤプールの根城ではなかった様子。

 よかったなヤプール、ケッ。

「は、はぁ……なにが良いのか分からないけど良かった……それにマジで顔が近い……」

 多少顔が赤くなっている。

「……っと、悪いな。どくよ」

 ジュウキチは変身を解き、そして移動した。

「はぁ〜〜……ビックリした」

 腰が抜けたがゆっくりと立ち上がる。ちなみにまだアルセーヌを戻してなかったので隣でニヤニヤ笑っていた。

「仲良きことは美しきかな……くくく」

「なっ!? アルセーヌ!!」

 顔を赤くしながら強制的にアルセーヌをバトルナイザーに戻した。

 程なくして爆発音がした。

「わぁ!? 今度はなに!?」

「ふぅ、やれやれだぜ」

「このバキシムは()()()()()()()()()が出来ていたかは不明だけどよ。ナイスアバドン」

「そっちこそグレートな戦闘だったぞヴェラっち」

 優しさの欠片もないぞ、こいつら。

「……あの2人の爆発か……」

 あの2人は相変わらず仲良いなぁと思いながら見ていた。

「……アバヴェラなのかヴェラアバなのか気になるわ」

 バトルナイザーの中でブレシスが呟いていた。

「ブレシス、君はなにを考えた?」

 何かを察してそう言ったようだ。

「いえなんでも?」

 強いて言うなら新刊のネタになりそうだわと言い残した。

「え、あ……う、うん」

 困惑しながらもそう答えてそこからはなにも言わなくなった。

 バトルナイザーの中でブレシスが蠢いていた。恐らく新刊のネタに使ったのだろう。

「……(誰でもいいからブレシスの見て。なんか嫌な予感は……しないっちゃしないけど誰か見てて)」

 テレパシーでバトルナイザーの怪獣達にそう伝えた。

「ぜっとーん(`・ω・´)」

 ゼットンが監視についた模様だ。

「はぁー、ぬわああああああああんつかれたもおおおおおおん」

 慎太郎はそう言うとアバドストライカーに跨った。

「皆さんいきまひょ」

「……ところで今更なんだけど……誰かゼリーフライの会計した人います?」

「俺だ」

 慎太郎が手を挙げた。

「いつの間……ありがとう。さて、次は川越ですよ! 駅へ向かおうか!」

「せやな」

 紗和を車に乗せ、一堂は川越へと向かった。

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