ウルトラマンアバドン【完結】   作:りゅーど

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一角超獣バキシム
登場


お祭り騒ぎだ

 夜、大部屋。

 男性陣はコエドビールを飲んでいた。

「あのビール甘めだけど度数高いから大丈夫かな?」

 いきなりコエドビールの味を説明しますと、川越の時に出てきたコエドビールは5種類あり、必ずしも名前がついています。

 瑠璃・紅赤・白・漆黒・伽羅と呼ばれています。

 ちなみに瑠璃は川越の時に古橋が飲んでいたビールで香りが高いがほろ苦さがちゃんとあって飲みやすい。

 紅赤は芋でできていて廃棄される規格外の芋をなんとかするために開発されたビールである。

 白は最もライトで飲みやすく甘みもあってビールが苦手な人も問題なく飲める。

 漆黒は黒ビールで、個性はあるが軽い口あたり。

 伽羅は琥珀のような色と豊かな香りがするフルーティーで1番ビールっぽいのである。

 慎太郎は漆黒を一気に飲んだ。

「……ふぅ……」

 朝からずっと案内をしていたせいか、溜息を吐きながらベットの上に座った。

「っかぁ、うんめぇえ!」

 軽い口当たりだからか、直ぐに開けてしまう。いかんこれは飲みすぎる、そう慎太郎は直観した。

 迫水は紅赤を気に入ったようだ。

 肇は伽羅を気に入ったらしく、さっきからしきりに飲んでいる。

 古橋は瑠璃を飲んでいた。

「…………父さんの分まで買っておいてよかった」

 ちなみに紗和はホテルに着いた後、速効で光の国の宅配便に頼んでセブンのために買ったコエドビールを配達を頼みました。

「……気に入ってくれるかな?」

 

 夜は更けていく……。

 翌朝。

 まだかなり熟睡しながらベッドの中で丸まっている紗和。つまり起きるのが遅いのである。

 牧原はサラッと慎太郎の毛を入手していた。まるでニンジャ。

ニンジャ……アイエエエエエ!? ニンジャ! ニンジャナンデ!? 

「……二度寝……」

 危険を察知したのか布団に潜って二度寝をする紗和であった。

「起きなさい、紗和」

 基町が紗和を見た。

「う〜〜〜……後5分お願いします。ここんところよく眠れてなかったので……」

 常に徹夜をしている紗和がこうやってまともに寝ているのは何年ぶりなのだろうか。

「ダメよ、モーニングに遅れるわ」

「……わかりました。起きます」

 ようやくベットから出てきた紗和。眠そうな顔で身支度を整え始める。

 基町は既にいつもの服装に着替え終わっており、奏も着替え済みだ。

「…………あ……そういえば……でもまだ……」

 着替え中の紗和はバックの中に別の服が入っていて、それを見ているが悩んでる。

「どっちでもいいでしょ? 早くしましょ?」

「え? でも……これ……浴衣」

 2人に見せると、黒と紫の生地の中に朝顔と金魚の柄が描かれていた。綺麗な浴衣であった。

「……何で?」

「そ、そのぉ〜……夜は大宮で神幸祭があるし、午前中は氷川神社を参拝するためにせっかくだから着ようかなと持ってきたんです。それでどうしようかなと……いつもの私服はちゃんとありますが……」

「……勝手になさい」

「(冷たい人……)……じゃあ、あの……ちょっと手伝ってくれます?」

 2人に帯を見せて察しさせる。

「……着付けね、任せて」

 基町は手慣れた様子で紗和に浴衣を着せた。

「たまに1人でもやるのですが時間がかかるので……ありがとうございます」

「……そう(無関心)」

 着付け終えたのか鏡で軽く確認していた。

「……苦しくないです。ちょうど良いです。ありがとうございます」

「……そう」

「では、ボクも支度は終えたので行きましょうか」

 

 さて、男性陣一同はグロッキーだ。

「おはよう……どうしたの?」

 浴衣姿の紗和がやってきた。

「あ゛ー……飲みすぎた」

 慎太郎の顔が暗い。

「え? あのコエドビール全部飲んだの?!」

「さすがに残ってるよ……」

「…………それでも飲み過ぎだよ。調べたけどコエドビールは意外とアルコール度数高いんだから……せめて分けて1本ずつにしなよ。……モーニング食べに行けば気分治るかもよ? 副隊長曰く、モーニングバイキングらしいよ」

「あーキツ……マジで?」

「お酒はないのは当たり前だからコーヒーとか飲んで落ち着けば? 今日は大宮に行くんだから……」

「うげぇ飲みすぎた」

 久々に慎太郎がグロッキーだ。

「……吐かないでよ? はい、とりま水。ボクは飲んでないからどうぞ」

 ペットボトルの水を渡した。

 慎太郎はそれを貰うとすぐに飲んだ。

「……気分良くなった?」

「っあー……助かったぁー」

「ちなみに隊長達は?」

「そこだあ」

「……ペットボトルの水……また買ってこようかな?」

 嫌な予感を察したように迫水と他2人を見た。

 ところが彼らはけろりとしていた。

「あれ? 無事だ……」

「……おはよう」

 古橋はにこりと笑った。

「! お、おはよう。き、今日は浴衣なんだ! 気が早いかもだけど……どうかな?」

 髪には何も付けてないが全体を見せるように両手を広げた。

「……キレイだなぁ」

「!? あ、ありが……とう。そ、それより……コエドビール飲んだんでしょ? 大丈夫なの? なんか……慎太郎が顔色悪いのに古橋君と隊長達は元気だから……」

「アイツめっちゃ呑んでたからな」

「このメンバーの中でお酒めっちゃ強いからね……流石にモーニングバイキングで食害しないかもね」

 それはフラグでは……? 

「……ヘイヘイ腹減ってるよな? ヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイヘイ平々凡々」

「うぜぇぞ慎太郎」

 親友だからこその口の悪さである。

「前言撤回。やっぱ仲良いよね〜2人とも。ま、早く行こうか。朝からたくさん食べれるからね」

 あの紗和がまともに食事する時は槍が降る可能性あり(多分)

 

 さて、モーニングの描写は割愛する。長い食害の描写はキャンセルだ(迫真)。

「……浴衣……少し動きづらいけど着るって決めたからいっか。(この時のために下駄も買ってよかった♪)」

 髪には何もアクセが付けられていないが、浴衣で今回は大宮を案内するようだ。

 慎太郎はいつも通りの服装である。

「(でも頭の髪飾りくらい買えばよかったかな? でもいっか……ボクが目立ってもなんの意味ないし)……移動しようか。氷川神社を先に、午後からは人盛りですからね」

「おー」

 一同はホテルを出て大宮へ向かうために電車に乗った。

「(新都心から歩きでホテルに行ったから電車に乗っても1分くらいで大宮駅に着く。まぁ大宮って渋谷のスクランブルみたいな感じで人が多いからね。特に巷は今夏休みだから通常より倍かも……)」

「うっわあぶね」

 綺麗に関節を決める慎太郎。どうやら殴りかかられたらしく。

「……(まぁ今時の学生は夏休みだからね。もうすぐしたらお盆だから部活とかないんだろうね……なんだろう、嫌な予感がするなぁ。昨日みたいに色々と巻き込まれなきゃいいけど……)」

「うわぁなんやくそっ」

 唐突に始まるストリートファイト。

 ヒュプナスであった。

「電車の中で喧嘩したら捕まるよ? それともう着くよ」

 着いた瞬間に慎太郎とヒュプナス達は戦闘となる。

「ハッ」

 慎太郎はヒュプナスを圧倒した。

 圧倒的戦力差。

 一体他でも慎太郎は、アバドンは強かった。

 普通の人間は慎太郎達のことを見ながら通り過ぎている。

「…………行こう?」

 慎太郎はヒュプナスを縛り上げ、大宮に繰り出した。

 駅から出て一同は大宮へと到着。

 昨日は例大祭がやっていたからか街には提灯が飾れてあり、屋台の準備をしている人もいた。

「ふむ……神輿は夕方から準備なのかな?」

 紗和のように少し気が早い人でも浴衣を着ている人があれば暑そうなはっぴを着ている人もいた。

「うぎゃー……」

「人が多いから少し暑いね……でもここからずっとまっすぐ行けば表参道があって、氷川神社への入り口があるよ」

 人混みの中、紗和は前へ進んだ。

「おお……」

 大宮の街は建物が多ければ人も多かった。

 建物はビルや料理店が多かったが……道路の端には屋台の骨組みなどが置かれていた。あとは朝から神輿の準備をしている人がいれば山車を準備している人も見かけた。

「うひゃあ、浮かれてる」

「浮かれてたらまた色々と巻き込まれるよ?」

 よくよく見ると、レトロな建物もチラチラと見えた。

「後もうちょいしたら参道に着くよ。参道は約2kmある参道なんだよ」

「なっが」

 古橋は少し汗をかいている様子。

「直線の参道では日本一の長さで両脇にはケヤキなどの樹木が650本植えられているんだ。よし、ここだよ」

 木影で涼しそうに見えるが、屋台の準備をしている人とかがいるせいか、暑そうに見えた。

「朝から準備するんだ……凄っ。あ、ほら……奥に鳥居があるでしょ? それと反対側に1本。参道には鳥居が3つ建てられているんだよ。そしてあの奥をずっと歩けば氷川神社の総本社に着くよ」

 慎太郎の目付きが変わった。

「ん? どうかした?」

 一足先に前へ進もうとして真ん中の道を歩もうとする。

「真ん中の道を歩くな馬鹿者ォッ! 神社の参道の中央はな、神様が通られる道なんだ! 貴様は神にでもなったつもりか!! 片腹痛い、死に晒せ!!」

 慎太郎は紗和にスター光線を浴びせた。

「うわぁ!?」

 もろ直撃した。

「イッテテテ……ご、ごめんなさい。知らなかったから……」

「ふざけるな! 神社に来るならばわかっていて当然だろうが非国民!」

「そこまでキレるこたァねェだろてめぇ」

 肇が慎太郎の首を後ろから締めた。

「い、いや……そこまでは流石に知らなかったんだよ本当に。氷川神社の歴史や御祭神、ご利益は調べたけど。あ、ご利益なら奏さんが合うかもね」

「恋愛成就ですか!?」

 奏の目が輝いた。

「まぁ……うん。あってはいるよ。縁結びや安産のご利益があるよ。ちなみに、商売繁盛のご利益があるとも言われているです」

 このご利益が信じられている理由は、須佐之男命・稲田姫命の夫婦神が祀られていることから、縁結びや安産のご利益があると信じられている。また、両神の息子大乙貴命の別名である大国主命の「大国」がダイコクとも読めることから、商売繁盛にご利益があるとも信じられている。

「ぬふふ……」

「ヒェッ……」

「ま、まぁ参道を歩いて氷川神社へ行こうか。屋台があるけど端を歩けるかな?」

「なるべく端を歩け」

「ひぇ〜……屋台の骨組みにぶつかりそう」

 そう思いながらもなるべく端を歩いて氷川神社へと向かった。

「あ、氷川神社のトリビア教えようか?」

「尺が足りなくなるからやめれ」

 慎太郎は冷ややかな目で紗和を見た。

「あ……じゃ、じゃあ中略して1つだけ。おみくじの運勢が13種類もある。以上!」

 一応これはマジで重要なトリビアではある。

「多すぎィ!」

「文末には境内にある神社や神名が記されているから着いておみくじを引く時はボクに言ってください。あまりみたい運勢が出てくるかもしれませんよ?」

 へいへい、と慎太郎は言った。

「……(まぁ後は2つあるんだけどそれは別の機会に)」

 これ以上言ったら紗和が原因でこの話が終わってしまうので我慢した。

 そして参道を歩いて数分、ようやく氷川神社へと到着した。

「ついてすぐに桜門が見える……♪」

 桜門とは、昭和15年に改築された荘厳や朱塗りの門。くぐると周りの空気が一気に神聖な雰囲気となる。

「……凄いな」

「ちなみに目の前に見えるのが出雲の家族神が祀る、本殿です」

 指を指した方向には、夫婦神である須佐之男命と稲田姫命と、子供の大己貴命が祀っている本殿が見えた。

「……あれ? 入る前に手を洗うんだっけ?」

「手水社で手と口を清めるんだ」

 慎太郎は手本を見せた。

「あ、そこにあった。ボクもやる」

 やり方通りにやってみた。

「えーと……神社だから門の前で一礼だっけ?」

「そうだよ」

「寺だとそういうのやっちゃダメなんだよね……」

 そう言った後、門の前で軽く一礼をして門をくぐり抜けた。

「あ、お参りした後におみくじ引く? あそこでお守りも買えるみたいだし、おみくじが100円で引けるみたい」

「勝手にせぇ」

 慎太郎は真剣な面持ちになった。

「……先に奏さんとお参りすれば? ボクは先におみくじ引いてくるよ」

 そういってそのおみくじが引けるところに向かった。

「あ、絵馬もあるんだ」

「みたいだな」

 古橋は紗和と共にいるようで。

「おみくじ引く? いつもとは違う運勢が出てくるかもよ? 何せ13種類あるからね」

 そう言った後、先に1人でおみくじを引いていた。

「あ……マジか……凶向吉だ」

「……吉だ」

 古橋は地味に吉だったようだ。

「凶向吉って……凶が向かってくる運勢……かな? うわっ、今年はついてないかも」

 ちょっとショックを受けているが気にせずにくじを結んだ。

「……死なせねえよ」

「いや大凶とかそういうのじゃないから……そこまで大袈裟にならなくても……グアッ」

 そう言った直後、石で足を躓いて顔面から転んだ。

「うぉわっ大丈夫か!?」

 古橋は即座に絆創膏や消毒を懐から取り出すと、紗和に傷がないかを見た。

「ッ……あ、う、うん……大丈夫だよ……」

 立ち上がって浴衣についた汚れを取った。

 とはいえずっと下駄で歩いていたせいか足に靴擦れを起こしている。そのほかは特に怪我しているところはないようだ。

 古橋は紗和を背負った方がいいのか? と思った。

「イッ……ん? どうしたの?」

 そんな古橋を見て紗和は首を傾げていた。

「大丈夫か?」

「え? う、うん……大丈夫だよ?」

 古橋は紗和を背負った。

「ぴぇ!? え、あ……なんでいきなり? 大丈夫だよ?!」

「靴擦れが起きてるだろ?」

 ぴしゃり。

 紗和はそのまま無言となってしまった。図星であるからだ。

「ならオレに任せろ」

「……え?」

「オレが、お前を運ぶんだよ。少し待ってくれよ……」

 古橋の目が赤く光る。

 紗和は何が起きるのかわからないからかはてなマークを浮かばせて首を傾げている。

「……レナクナイ タガスノソ」

 その時、二人の体が透けていった。

「!? え……身体……が?」

「……よし、これで当たり判定はオレたちだけだ。周りからは見られないし分かられない、だけど見られて恥ずかしくはないだろう?」

「え……あ、う、うん……恥ずかしくないけど……な、なんで急に?」

「オレがおぶって移動させるのさ」

「!? ……う、うん……ありがとう……」

「ほら、乗りな」

 軽く頷いた紗和はそっと古橋の背中に乗った。

「……軽いな」

「これでも慎太郎や他のみんなから食べさせられているからこれでも太った方だよ?」

 それでもまだまだ軽い。軽すぎる。

「まだ軽い! 平均体重よりも軽いぞ!」

「え、あ、はい……なんかごめんなさい……」

「行くぞ」

「う、うん……(これでもちょっと体重増やした方なんだろうけどなぁ〜……)」

 

 さて、時は過ぎる。

「あ、神輿がたくさん準備されてきたね」

 道路の端と歩道にはたくさんの神輿が置かれてあり、別のところでは山車が準備されていた。

 先ほど畳まれていた屋台も準備されていて食べ物の匂いが増していた。

 だがそれが原因か、人もさらに増えていき、下手したら離れ離れとなってしまうほどであった! 

 しかし、古橋は紗和の事を把握している。だからこそ古橋は、紗和がどこかに行かぬように念力でロックをかけた。

「あのスクランブル交差点の真ん中では梯子の芸があるんだって」

「へぇ」

「梯子乗りは神輿が全て動き始めた時、スクランブルの中心で始まって、それが終わったら阿波踊りとかもあるんだ。そこから色々となんか祭りの祝いとかあって終わるのが10時過ぎくらいらしいよ」

「うはぁ……マジか」

「神幸祭だからね。昨日より1番盛り上がるらしいよ。だからといって普通に生ビール飲みながら歩く人多いんだよね……ちなみに屋台の食べ物はりんご飴が好き」

「ははは……慎太郎が喜びそうだ」

「最低でも100台はあるから全制覇は無理だろうね……」

 苦笑しながらそう言った。

「でももう準備している屋台もあればもう並んでいるんだね。あそこのたこ焼き屋はもう人が並んでる」

「はぇー」

「今時の屋台もで始めてるね。タピオカが売ってる」

「うわあ」

 流行りに乗ろうとしているなぁ……と古橋はしみじみ思った。

「でも……まだ神輿は動いてないみたいだね。そろそろなのかな? ここから人がさらに増えていくからね。離れないようにしないと」

 おう、と古橋はゆったり歩き出した。

「……でも慎太郎は屋台の食べ物を食べ尽くす前に大宮にあるラーメン屋を制覇してそうw」

 聞こえるくらい小声でそう言った。

「わかるわ」

 古橋はそう言うと、けらけらと笑った。

「大宮ってラーメン屋多いんだよね……氷川神社でお参りした後、屋台の前に食べてそう。そしてそこから屋台の食べ物を……よく食べれるよねあんなに……」

 この人が食わなさ過ぎなんだ。

「お前が食わないだけだろ」

「ヴッ……」

 図星。そこから何も言わずにいた。

「……すまん」

「だ……大丈夫。図星なだけだから……」

 

 午後5時、準備されていた神輿が男達の腕と肩によって一斉に動き始めた。

『せいやっ! せいやっ!』と、掛け声を上げて前へ進んで行った。

「わぁ〜〜……暑苦しいというのは失礼だけど、めっちゃ迫力あるね」

「うひゃー、凄っ……」

 紗和の事は下ろしてやっていた。

 靴擦れの手当ては楽だったようである。

「! ……ありがとう。足が楽になったよ」

 

 しばらくの間、二人は屋台を物色していた。

 その時、一人の青年を見つけた。

 紗和は古橋の服の裾を軽く引っ張って、青年に向かって指を指した。

「……アレまさか、慎太郎か?」

 その黒髪の青年は、ざっと40匹程度の金魚をすくいまくっていた。

「アレ絶対奏さんの為だよね? 凄いね……ボクなら最低でも5匹ぐらいだよ?」

「いや待て最低でもって最高何匹だよ」

「……100匹じゃない? 屋台の金魚全部取ったらマズいよ」

「お前さぁ……」

「……いや、その……ごめん……嘘吐きました……最高が7匹……」

「だろうな……」

 厨設定は往々として嫌われるものである。しかし、ここは使わざるを得ないだろう。

 ポイで目にも止まらぬ速度で金魚を掬う。それはまるで、ポイが気づいていないかのような華麗さであった。

 もはや神業、そうとしか言えない。

 慎太郎は、新記録を更新することに成功した。

「……きっちり飼ってやらんとな」

 慎太郎は、飼う気満々の様子だった。

「ってか……何に使うんだろうね。あんなに金魚を取って……食べないとは思うけど」

「……お、ようアツアツカップル」

 慎太郎はいつもの赤いパーカーではなく、キッチリとした和装であった。

「やはり日ノ本に住む者ならば、これは必要だろう!」

「まぁだろうナ……」

 古橋も着物を着ていた様子。二人のがっしりとした肉体、そして僅かに見える鎖骨がどうも色気に溢れているように見えた。

「……(古橋君……カッコいいな〜……)」

 古橋のことを顔を赤くしながら見つめている。そして無意識に繋いだ手をダメージが入るくらいめっちゃ握っている。

「ア゛ァッ痛い痛い痛゛い゛ッ! 加゛減゛し゛ろ゛よ゛ぉ゛!!」

 古橋は手を離させると、涙目で紗和を見た。

「やっぱラピカスですね間違いない」

 慎太郎は冷ややかな視線を送った。

「あ、しまった……ごめんなさい。…………やっぱ大好きな人に見惚れるとよそ見して変な力が入るって本当なんだね。今度から気をつけよう……」

 何でそのことを知ったのか分からないが、反省はしているようだ。

「ホントお前……」

 古橋は手をブンブンと振っていた。

「ごめんなさい……次からは気をつけます。すみません……」

 頭を下げて謝り続けた。

「つーか慎太郎、それなんだよその袋……」

「これからちょっと金魚を自宅に送ろうかなって」

 ウルトラマンの無駄遣い。

「……何に使うの?」

「そらお前自宅にワープトゥワープだよ」

 現在、慎太郎宅にはゼロとセブン、そしてバッターが暮らしているようだ。

 言うが早いか、慎太郎はとった金魚を自宅に送り込み、水槽の中に入れたらしく。

 その辺とかはセブンたちに任せ、即座に戻ってきた、と同時である。

「よし、二十万渡しとくぞ。小遣いだ」

「なんで君の家に父さんと兄さんがいるのかはあえて聞かないでおくよ……ってなんで!?」

「めっちゃ使うやろ?」

「え、えぇ〜〜? ……まぁお土産とかにはつかうし、あとは食べたいものもあるけど……なんで急に? ま、まぁ……ありがとうございます……」

 遠慮した方が良いとは思ったが、断るのも申し訳ないと思い、受け取った。

「サンキュ」

 ばちこりと慎太郎に向けてウィンクをキメる古橋。

 慎太郎はサムズアップをし、即座に別の屋台に向かった。

「……もらってよかったのかな? 仕方なく……貰ったけど」

「いいんじゃね? 貰えるもんは貰え!」

「え……あ……うん、分かった。でもこんなに貰っちゃうのは〜……まぁ、そこまで言うなら貰うけど」

「おう」

 さて、ここからは慎太郎にフェードインしようか。

 慎太郎は、イカ焼きを食べながら参道を歩いていた。

「あ! 慎太郎さん! たこ焼きも食べます? 私が買いますよ?」

「うお、奏! 大丈夫さ、オレが払うよ」

 慎太郎はにこやかに笑った。

「あ、良いのですか? ではお言葉に甘えて!」

「すんませーん、タコ焼き二パックください」

 タコ焼きを受け取り、食べながら参道を歩いていた。

「ありがとうございます。祭りで食べるといえばたこ焼きですよね〜♪」

 嬉しそうに食べながら一緒に歩いている。

「うめぇなぁ」

「甘いものも良いですけど、たまにはこういうの食べて祭りを楽しむのも悪くありませんね。紗和ちゃんにしては、なかなか良いプランを立てたと思います」

 笑いながらも、紗和のことを話すと少し顔が引きつったがすぐに戻って笑い続けた。

「……だな、あのウルトラのメスガキには心底辟易してるが」

 何度も言うが、厨設定は往々として嫌われるものである。

 そう言うと慎太郎はなんの躊躇いもなくタコ焼きを二個刺しし、口にほうばった。

 まさに祭りのたこ焼きという味がして、どこか昭和の懐かしさを覚えた。

「でも私は、別に紗和ちゃんのことは嫌いではありませんからね。ライバルですが、常に優しい女の子ですから」

 そう言いながら食べ終えたたこ焼きのパックをゴミ箱に捨てた。

「慎太郎さんは神輿を見るのが面白いですか? 私はなんか胸苦しいというか暑苦しいというか……」

「しょーじき、ああいうのは少し眺めるくらいで充分よ。オレは腹を満たしたい」

 こいつ、花見に来てもきっと弁当食いまくるタイプだ。

「ですよね! 私もそう思います! 景色も悪くありませんけど、食べ物も美味しいですよね」

 この2人は花より団子かな? 

「でも私は慎太郎さんと側にいれればどこでも!」

 そう言って腕に抱きついた。

「……はは」

「それに、紗和ちゃんが教えてくれた氷川神社でのお参り。一緒にやったからきっとこれからも結びますよね? あの2人に負けないくらい!」

 ずっとくっつきながら一緒に歩き続ける。

「お、そうだな」

「次はどれを食べます? そろそろ甘いものでも食べます?」

「そう言うと思って、ほれ揚げパンじゃ。うめえぞ」

「はわぁ〜〜♪ 慎太郎さんが買ってくれた揚げパン……♪ ありがとうございます! いただきます!」

 とても嬉しそうな満面の笑みを見せ一口食べた。

「んぅ〜〜♪ 美味しい♪」

 じわりじわりと甘さが広がるこの感覚がどうも堪らない。

「こりゃ人気出るわけだ」

 慎太郎は瞬時に食い終えると、口もとのシナモンをふいた。

「揚げているのに油味が無くて甘さが口の中に広がりますね〜♪」

 口周りにシナモンが付いているが、まだ食べ続けていた。

「おいちょっとこっち向け」

「はい……? なんでしょうか?」

 慎太郎は、シナモンを拭ってやった。

「ぴゃ……! す、すみません! ありがとうございます! 女なのにはしたないですね……(ひゃあああああ〜〜〜〜慎太郎さんに口拭いてもらった!! もうこの口が自分の手や他人の手で触るのやめたい!)」

 この人は見た目とは裏腹に想像しているのが怖い……

「へっ、気をつけときな?」

 慎太郎は奏の頭に手をやった。

「は、はい……! (きゃあああぁぁ〜〜〜!! 頭撫でてもらった!! もう一生頭笑わない!!)」

 いや、手なら分かるけど頭は洗いなさい。

「おーい慎太郎」

 肇が慎太郎の頭を小突いた。

「いって、お前かヴェラっち」

「へへっ、そうだよ(肯定)」

「あ、松本さん……(チッ! 邪魔者が……2人っきりでいたいのに)」

「とりあえずどうよ、おめーらも飯食っとるんけ」

「おう、そうだが」

「この先にぃ、美味いラーメン屋の屋台が来てるんだわ」

「情報サンキュー」

 慎太郎は奏を連れてその方角に向かった。

「ラーメンも悪くはありませんね。(クッソ、松本さん! 2人の間に入らないでくださいよ!)」

 笑いながらそう言ったもの、内心は色々とヤバいこと考えていた。

「とりあえず行こうぜ、ちょくちょく美味い店教えて貰ってんだわ」

 奏と会う前は普通に孤独のグルメを楽しんでいた様子。

「はぁ、そうなのですか。(慎太郎さんはなんでも食べる! なら今度私が日本中の美味しい店を調べてそれから(以下省略))」

 色々と考えていることが長すぎるので割愛しました。

 ふたりはラーメン屋の屋台のほうで時間を潰す事にした様子。

 刻々と、時間はすぎて行く……。

 

 気がつけば夜10時。ほとんどの屋台は販売を終了していて、神輿も特定の場所に置かれて終わりにしていた。もうすぐ長かった神幸祭が終わるのだろう。

 いつの間にかあんなにいた人混みも減っていた。

 

 その時だった。

 巨大な影が、近くに現れた。

 慎太郎、肇、そして紗和は変身した。

「もぉ〜〜! ずっと歩いて疲れたからさっさと休みたいのに……!? アレは……」

 一角超獣バキシムであった。

「なんでまたバキシムが現れたの? 別個体なのはわかるけど……」

「知らん! どうせスーツの都g」

「それ以上いけない」

 漫才やってんじゃねえんだよおまえら。

 そんな2人の間では開始早々にラピスはお得意の蹴りで攻撃をした。

 バキシムはそれを回避し、角をミサイルとして放った。

「おっと……」

 飛んでなんとか回避。そしてそのまま急降下の炎のキックをお見舞いさせた。

「…………いってぇ〜……流石に骨が折れそうになった……」

 バキシムはその炎エネルギーを転換しバキシマムに強化転身。

 炎でラピスを燃やした。

「あっつい──ーッ!!! あっつ!? ゾフィー隊長にさせる気か!?」

 ファイヤーヘッドのことではあるが、流石に言ったら罪悪感を感じてやめておいた。

「……バードンの力で蹴りをした意味なかったか。いや間違ってた〜……」

「馬鹿野郎!」

 アバドンはグンジョウアクアになると、水の力と超能力でバキシマムの動きをとめた。そして、ヴェラムはイマージュを呼び出して攻撃した。

「悪かったね!」

 そう叫びながらトルマリンとなった。雷の力を使ったら水で感電するのでは? 

 アバドンは水の膜をバキシマムに貼った。

 ヴェラムは、そこ電撃を浴びせた。

 ラピスは、電撃の力を溜めた拳で殴りに向かって電撃を浴びせた。

 バキシマムは感電し痺れた。

 そこに追撃とばかりにアバドンはシンペキウィンドに転身、マッハ40の速度でバキシマムを切り刻む!! 

 そしてバキシマムにトドメの一撃、ショウブストロングの回し蹴りだ。

 バキシマムは爆発四散した。

「……祭りの邪魔する奴ァ、生かしてはおけねえぜ」

 アバドンはぽそりと呟いた。

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