害悪SNSユーザ
登場
「俺は松本肇。アバドン、お前の相棒のヴェラムさ」
「……ヴェラっち!?!?」
慎太郎が叫んだ。無理もない。
ウルトラマンアバドンとウルトラマンヴェラムの関係について説明しておこう。
アバドンはウルトラマンベリアルの弟だ。そんな彼がなぜ彼と同盟的な関係を結んでいるか、それはウルトラ大戦争の時代まで遡る。
「ちっ! 埒があかねぇ!!」
「グェェエエエッァ!!」
ウルトラマンヴェラムは身につけた力で迫り来るベムラー達の群れを相手取っていた。孤軍奮闘の状態になる前はアバドンと共に居たのだが、アバドンは何者かによって飛ばされてしまい、今は一人のみだ。
そんな絶望的な状況の中、彼はある力を手に入れる。
それ以来、アバドンとはいい仲なのだ。
「まさかここで会うとは……いてて……」
立ち上がろうとした慎太郎に痛みが走る。
「大丈夫か!?」
重吉が駆け寄り、傷の具合を見る。筋肉こそ至高、そういう思考回路の彼だが実際はかなりのインテリである。彼は柔道整復師であり、戦闘担当でありながら仲間を癒す担当でもあるのだ。
「おいおい、第7〜第10肋骨が折れているんだ。幸いここは傷の治りが早くなっているから、一週間くらい寝ていた方がいい……それと、背中の傷痕、位置といい暫定的だが威力といい、あのウルトラマンと同じ位置だったな。傷は塞がっていたが。もしかして、君も松本と同じようにウルトラマンか?」
慎太郎は頷いた。骨を治すには時間がかかる。こんな時に怪獣が現れたら、と思うとゾッとする。だからこそ闘わねば、と本人は思っていた。
どうやらこの地球に来る前からの傷も残っていたらしく、肇と同じウルトラ族にしては治りが遅いらしい、とは紗和の談。
「くそ……っ」
慎太郎はイライラしながら一週間を耐え忍んだ。
一週間後、慎太郎は傷の具合を診てもらった。骨はしっかり引っ付いていて、医者からも太鼓判であった。
その日、慎太郎は松本に話があると言われて地下に向かった。
慎太郎は、松本に連れられて地下室へと向かった。
「……で、なんだ? 話って」
「単刀直入に言う。ここで働かないか?」
「……は?」
相棒からの頼み事に面を食らったらしい。慎太郎はつい聞き返してしまった。
「だから、俺と一緒にここで働こうぜ、ってことさ!」
ぽかーん。
慎太郎は「おい、正体バレしてるってのにどういうことだ」と叫んだ。しかし、松本は次のような事を言った。
「何言ってんだ。コイツらほとんど宇宙人だぞ? 地球防衛するために力を合わせている宇宙人だ」
だいたいこんな感じの発言である。
慎太郎は耳をうたがった。宇宙人が、地球防衛軍となった? だがしかし、キリマ達の前例もある。慎太郎は少し黙って考えて、やがて頷いた。
「わかった。その話乗ろう」
慎太郎は、相棒の手を取った。
「……頼んだぜ? 相棒。まだ俺は光の力が充分じゃないからね。戦線復帰にはちょいと時間かかるがそれ以外のことはサポートする」
「おう。兄貴のやらかした事を俺がフォローする」
その後、慎太郎は正式に加入することになった。
慎太郎は一人、コンビニおにぎりを貪っていた。
機械的に握られたためか食感のふわふわな米、パリッパリの海苔、そして多種多様な具。エネルギーが溜まっていくのがわかる。
正直、コンビニおにぎりってうまいな、と思う慎太郎であった。
任務にあけくれる日々だった。
慎太郎は、松本とともに色々な侵略者を倒した。
この日もそうだ。ムザン星人が出現した。
慎太郎は極真空手のようなドロドロとした泥臭い闘いを、松本はアクロバティックな格闘をして倒していた。
怪物ともされるムザン星人。今回はどうやら連続通り魔事件の犯人だったようだ。その悪行に、慎太郎の怒りは爆発していたのである。
ムザン星人はその名の通り、見るも無残に殺された。
それから数週間くらいしてからか。
「ッ! 慎太郎くんちょっと!」
基町が叫んだ。パソコンのモニタに映っていたのは、慎太郎……ウルトラマンアバドンへの誹謗中傷の数々だった。
どれも同一アカウントがやっている。そこに囲いがいるからタチが悪い。
『ウルトラマンアバドンは侵略者』という呟きに何十件ものいいねやRTが来ている。それに同調するリプライも多数あった。
さらに、『アバドン死ね』『アバドンの変身者特定しようず』『アバドンの家系って犯罪者だろ』『非もない怪獣殺すなんて!』『アバドンはアベの手先だ! アベもアバドンも死んじゃえ!』などの心無い発言を見て、アバドンは元から死んでいた目をさらに死なせた。この時点で、アバドンの目の前にはSNSという怪物が来ていたことになる。
さらに慎太郎に不運があった。慎太郎の作ったアカウントに「お前に味方などいない」「お前なんかいなくなれ」「死ねよ」「ウルトラマンなんかよりオリ骨の方が素晴らしい、ウルトラマンはクソ!」「地下語万歳!」などのリプライがあったのだ。
慎太郎は即座にブロックした。しかし別のアカウントからの攻撃が始まる。
粗目糖というアカウントからは「気色悪いですので垢消してくださいな(^^)」というDMが、ルガボというアカウントからは「お前に味方なんて居ないからな」というDMが、その他にも心無い誹謗中傷があった。
慎太郎はストレスを感じ、片っ端から通報した。
二日後、それらのアカウントは全て綺麗さっぱり凍結していた。
だが……
奴らは未だ攻撃をする気満々であった。
慎太郎の住んでいる家はちょうど基地に近い所にある。キリマ達の部屋などもしっかりあり、慎太郎の部屋もとってある。
そんな慎太郎の家に、大量の落書きがあった。そこに着いていた文字の右下には『@galgalgruru』『@Osatozarari』『@Noir_fuchs_1333』、さらには『@furry_carol』というアットマーク以降のアカウント名もあったわけで。どうやら、とうの昔に慎太郎の住所は特定済みだったようだ。
慎太郎は疑心暗鬼になっていった。
もっとも、慎太郎をさらなる不幸が襲うのだが。
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