イマージュグロマイト
登場
『最悪』の復活…
「っ、はぁ、はぁ……はぁ……」
その女性は、壁に追い詰められていた。逃げられるとも思えないのに逃げようとする。
「……逃げるんじゃない」
そう言って、黒いローブの青年は女性の膝関節を蹴り、そして折った。
「……生かして返す訳には行かないんだ、諦めろ」
そう言うと青年は、女性の頭を鈍器で殴り付け、殺害した。
「……ふふ、ははは」
そう笑い、青年は立ち去った。
「………………え?」
旅行から帰ってきたフツヌシチームのメンバーの1人である紗和は朝からスマホでニュースの一連を読んでいたが、見覚えがある記事を口を震わせながら読んできた。
紗和はもう終わったはずと思っていたからだ。
慎太郎も紗和と同様に、動揺していた。
「うそだ、そんな訳あるまいて」
慎太郎は震えた声でそう言うと、しかしどこか嫌な予感がしたようだ。
「ッ……! ダメだ……落ち着け……」
メンバーの中で一番動揺し、震えていたのは紗和だった。あの日自分の犯した過ちが今となって蘇り……操られていたのは後々教えられたが記事を見ながら震えていた。
「……模倣犯じゃね?」
溝呂木はそう言うと、指パッチンをした。
「アイツの犯行ってさ、
「!? ……確かにそうだ。優作君の時は確かに……なら……アイツがまだいるってこと?」
「そういう事だね。世間を騒がせていた殺人鬼・佐久間優作は死んだ。だけど……もしかしたら、贖罪のために世間を救うダークヒーロー・佐久間優作はいるのかもしれない」
溝呂木はそう言うと、少し
「それなら……最悪な展開だよ。この世に及んでまだそんな奴が潜んでいるなんて……」
焦りが顔に出て、迅速に解決をさせたいという気持ちが顔に出ているのがよく分かる。
「この期に及んで、だな。お前日本語学んでるか?」
慎太郎は紗和を嘲るように言った。その言葉には、多少の憔悴と怒りが含有されていた。
「……悪かったけど動揺して、後は……思い出したくなことを……何故か、蘇ってきて……ごめん。煽るなら好きなだけ煽っていいけど……」
何かに怯えてるかのように紗和はその場に震えながらしゃがんだ。
「……佐久間特有の闇の香りを嗅がせてもらう。その為に現場に行かせてくれ」
慎太郎はそう言うと、迫水は静かに頷いた。
「……お前の嗅覚が頼りだ」
慎太郎は死体のあった現場に急行した。
「……思い出したくない……匂いがする……(でも……彼とは多少違う? いや、でも……この匂いは)」
多少顔が青ざめてながら現場を確認している。ただ、現場から何故か距離を置いてる。
慎太郎は闇の香りを嗅いだ。
「……(この香りは、佐久間のものではないな。佐久間の魂の本質とも全くもって違う香りだ。……ウルトラマンに似ているが、いや待てよ。ケィアンは確か死んだはず。となると……)」
慎太郎は脳内で思考を巡らせた。
「……別の闇のウルトラマンか」
そして、こう結論づけた。
「やっぱそう思うよね……似ているけど別の……(似ているとなるとこの匂いを身に覚えておかないとマズいな……ケィアンとは違い、優作君とは違う。ならどうして……今更こんなことを? 何かの因縁? 因縁……というより同じ過去の持ち主?)」
隣で匂いを頼りにずっと思考回路をしている。ケィアンの闇に関しては一番敏感だった。
「……そうか」
「……ケィアンの闇じゃないのは分かる。ただ……これだけだとまだハッキリとした匂いは……(いや? この匂い……ダメだ。何故か吐き気がしてきた)」
「……これは、なんなんだろな」
慎太郎はそう言うと、ふらついた。
「……流石にずっとここにいたら吐き気が増しそう。ケィアン……というより優作君とは異常で多分……悪化してる。匂いが……」
紗和はその場で軽く咳き込んでしまった。
慎太郎は地面にくずおれたが、しかしなんとか立ち上がると、頭を振って、そして再度嗅ぎ出した。
「……(ボクしばらく立ち直るの遅いかも……)」
自分に呆れながらも現場の状態を確認しながら嗅ぎつづけた。だがあまり長時間いたくないようだが、任務でもあるため耐えて続けた。
「…………ん?」
「……ケィアンの闇とは違う闇、これはまさか」
「……ボクも同じこと思っているはずだよ」
「……まさか、な」
一同は基地に帰投した。
さて、いつも通りの考察タイムだ。
「ダメだ……アレは異常過ぎる。優作君と同じだけど……なにが起きているの?」
闇の匂いを嗅ぎ過ぎか、現場の状況があまりにもまずかったせいか……疲れ果てている。
「……嫌な予感しかしねえよ」
「……だよね。でも……あの匂いから分かったのは……また女性が狙われている。そして過去の闇が深過ぎる……だね。ッ……(また同性愛? いや……そんな感じは……でも被害者は女性……でも……)」
一連の記事を確認しながら脳内で考察を続けていく。
牧原は今までの闇系列のデータを処理しているようだ。
「……ッ……! (あぁ、思い出したらまた頭が痛くなる。思い出したくないのに……)」
多少涙目になっているが耐えて考察を続けた。思い出したくない記憶を思い出さないように。
「……これは、まさか……」
牧原はパソコンを打ちながら驚き、そしてこう呟いた。
「……闇の巨人」
「ッ!?」
その言葉を聞いて身体中に悪寒が通った。
慎太郎はガタッと立ち上がると、牧原に詰め寄った。
「今、なんと?」
「闇の巨人……だよ……」
「うぅ……ぅ〜〜……(予想通り過ぎるし、あの匂いもやっぱ……)」
頭を抱いて軽く呻いてる。
「……ってことは、あの時死んだあいつは生き返ったって事かな?」
肇は落ち着き払ってそう言った。
「しかもあの闇は……尋常なくらい悪化している。早めに手を打った方が良いかも。でも、ケィアンはあの時、生命力を感じなかった……優作君も結局……どうやって?」
「少なくともケィアンの復活ではないと思うわ」
基町はそう言った。
「ケィアンと似た……ケィアンと……同じ……ケィアン……が……優作君と同じ過去や経験を持つ人間が現れた?」
「……そうなのかも」
「……同じ過去や経験……同性愛?」
思い出すだけで吐き気がしそうなことだが、以前あった事件ではそれが原因で事件が発生したのでそう言った。
「そうじゃなくて、別ベクトルで暗い過去を持つ人だよ」
「あぁ……なるほど。そういうことですね」
自分に呆れながらそう返答した。
「……(とはいえ、あの闇の匂いは前より強い。慈悲なんてない。闇そのもの……でもあの匂い……途切れてなかったような)」
紗和は人の話を聞かずにずっと1人で考察を続けた。そして闇の匂いに関して疑問に思ったようだ。
「……紗和、落ち着きなさい」
「!! ……すみません……」
「……となると、闇の巨人か。我々が交戦した闇の巨人……なのか?」
「確率的には……その通りかもしれません。多分」
あまりスカッとしない返答をした。
「……そうか」
「まだハッキリとした確証を得るものがあまりない。それに黒いローブというのしか分からないなら……顔も分からず名前も不明。事件が起きたあの区域内に現れるなら……チャンス到来するかもだけど……」
「……黒い巨人」
慎太郎はそれを聞いて考えを纏めた。
「アイツだ」
「……アイツ?」
「……奴の名は」
そう言った瞬間、警報が流れた。
「!? ……なんてタイミング……」
「……行くぞ」
「了解……!」
勢いよく立ち上がって向かった。
そこに居たのはヴィラールである。
「……地球で最初に殺した怪獣か」
「ここにいるってことはやはり……」
「……生物兵器だからな」
「はぁ……そっか」
軽くため息を吐きながらそう言った。だがそのあと、何か違和感を感じて少し近づいて匂いを嗅いだ。
「……どうしたんだよお前」
「……いや、ボクの気のせいだったら反省するんだけど……あの事件現場から感じた匂いとヴィラールから同じ匂いがするのは……気のせい、か?」
「……確かにな」
「……なら早急に倒そう。……この区域の状況が悪化するかも」
即座にスマホを取り出していつでも変身出来るようにする。
慎太郎は先にアバドスティックを起動し、変身した。
「……? (ん? 今、どこからか……気のせいか)」
一瞬なにかを感じたようだが、目の前の敵に集中するためにスマホを起動し、コードを入力して変身した。
ヴェラムは既に変身済みである。
「よっと……兵器だから油断はできないね」
アバドンの隣にやってきてそう言う。
アバドンは「まあな」と言い、構える。
「さてさて……どっちから来るかな? ボクらからいっちゃう? でも……最初に倒された怪獣だからすぐに終わるかも……?」
いつでもやる気満々のような声で構える。後半は多少煽ったな。
ヴィラールは鎌を飛ばした。
「ウソだろ第一話じゃ使ってねえぞこの技!!」
「兵器にされてるからってそれはズルい!!」
なんとか避けて先に攻撃をした。
次々と鎌が復活し、投げられる。
「後ろがお留守だぁ!」
叫びながら背後にやってきて蹴り飛ばした。
「グゲェアアアア」
ヴィラールはそれを受けて倒れ込むと、その鞭のごとき尻尾でラピスを刺し貫いた。
「ガフッ……!? ぐぅ……っ!」
刺された状態でラピスは手袋を外して水銀を出すと顔面に噴射させる勢いでかけた。毒が効かなくても多少は目を晦ますことが可能だ。
ヴィラールはそれを避けた。
「チッ……!」
貫かれた痛みに耐えながら舌打ちをしていたが、鎌が背後から飛んできていることに気づいてなかった。
ヴィラールが放ったその鎌は、確かにラピスの背中を深く抉りとった。
アバドンはヴィラールの腹を殴りつけた。
「それで……良いんだ〜よぉ!」
自分の背中に抉りとられた鎌を自分の手で持って尻尾をこれまでかと思うくらいに切断して解放された。
そしてヴェラムは、タロットカードをスキャン。イマージュグロマイトを召喚した。
「ゲホ……ゲホッ! (光エネルギーが……でも、まだいける!)」
耐えながらもアメシストに変身して刀を構えた。
グロマイトの放つ【暴れまくり】でヴィラールはダメージを受けた。
「……!? 2人の背後から鎌!」
アバドンはそれをジッパーに収納した。
「! ジッパーをボクに向けれる!? (上手く跳ね返ればアイツの両腕を切断する……!)」
アバドンに向かってテレパシーでそう言った。
「OK……開くぜチャック」
ブルー・フィーリングは虚空にチャックを開いた。
「バッチコイ! 特大ホームランからの……デットボールにする!」
刀をバットを持つように構えて、鎌が見えた瞬間、ヴィラールに向かって鎌を跳ね返した。
その鎌はヴィラールの肩に突き刺さる。その直後、アバドンが長ドスを虚空に作り上げるや否や、ヴィラールを縦一文字に裂いた。
臓物撒き散らして両断されるヴィラールである。
「上手くいった! ……あ……」
ヴィラールに突き刺せたのは良かったものの、鎌の刃が鋭かったせいか……ラピスの刀が折れた挙句の果てに、ラピスがアバドンとヴェラムより先にカラータイマーの点滅が早くなった。
アバドンはヴィラールを焼却すると、変身をとくように促した。
ヴェラムは残るようである。
ラピスは言われた通りに変身を即座にといた。貫かれたダメージがまだ残っているのが原因なのか、ラピスもとい紗和の様子がおかしかった。
「ガハッ……ゲホッ! ゲホ!」
慎太郎は古橋に紗和を明け渡すと、辺りに黒ローブがいるかを確認した。
「ゲホッゲホッ! ゲホッ! (やっぱ、あの一瞬の匂いと気は……)」
ダメージを受けた状態のせいで咳が止まらずにいた。
古橋は静かに紗和を治療しようとした。
「はぁ……はぁ……闇が膨らんでる」
治療を受けながら小声でそう呟いた。
「……そう、か」
古橋は何かを言い淀んだが、治療に集中した。
「前より……ちょっとマズいかも。黒いローブの人物の目撃情報を集めた方が良いかmイッ……!」
軽く説明しながらも治療をしてもらい、痛みに耐えた。
「……喋らない方がいい、傷が開く」
「はぁ……はぁ…………うん……分かった」
古橋の手腕はやはりピカイチである。
「……慎太郎と……ヴェラムは?」
喋るなと言われながらも聞きたいことがあるだけの時は喋るようにした。
「二人とも調査中さ」
「……そっか。なにも起きてなければ……良かった」
呼吸を整えるように息をしながらゆっくりと起き上がった。
「……あまり動くんじゃあないぞ」
「分かってるよ」
心配させないように笑いながらそう言った。だがその笑顔は一瞬で消えて考察を始めた。
「(攻撃を受けたあの時、内部から……何かを感じた。でも、アレは一体……男なのは確信している。なにが狙いだ? あんなヤツを作り上げたってことだよね? てことは……やっぱあの瞬間の匂いは……)」
深い思考の迷路。
「……んぅ〜……(解決というゴールが辿りつかなぁ!?)っう〜〜〜……!」
無理に起き上がったバチが当たったのか、また痛みを感じたようだ。それでも耐えて考察を続けた。
古橋は紗和を寝かせた。
「あ……ごめんなさい……(ヤバイ、これ光エネルギーを早めに取り戻すついでに回復速度早めないとマズい……)」
回復速度は速い方だが無理に動くと身体の内部が大変なことになるので我慢することにした。
古橋は紗和に光を浴びせた。
慎太郎達の帰還を願いながら。