ウルトラマンアバドン【完結】   作:りゅーど

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古代怪鳥バードン
宇宙恐竜ゼットン
疾風魔人フラカン
古代怪獣ゴモラ
寵愛神ブレシス
暗黒怪盗アルセーヌ
エリ巻き恐竜ジラース
ダークフラツェル
登場


『戦士』の降臨ッ

「……変身者の名前は」

 迫水は口を開いた。

「……ダークフラツェルの変身者(暗黒適能者)の名前は、佐久間(さくま)(なぎさ)。そこにいる佐久間優作の、実の父親さ」

 紗和はガタッと肩を動かした。何もかもが突然過ぎて驚いてしまったからだ。そして驚いた表情も消えなかった。

「……!? 奴は、凪は僕がぶっ殺したはずッ」

 佐久間は目を丸くし、立ち上がった。

「まだ生きていた……ってことですか? (下手したら何かしらの方法で……)」

「おそらくは、な」

 迫水はそう言った。

 その時、紗和のバトルナイザーが震えた。

「! ……アルセーヌ?」

 即座にポケットからバトルナイザーを取り出した。

「……?」

 画面を全員に見せた。

 その時、紗和の意志関係なく、怪獣達が人間大で勝手に抜け出てきた。

「あ、コラ! なんで!!?」

『す、すまない。皆を抑えられなかった……ッ』

 アルセーヌはすこししょんぼりしていた。

「き、気にしなくていいよアルセーヌ……そしてそこに並ぶ!」

 紗和はどこにも行かせないように叫んで並ばせた。

 そも彼らは、考察に加わるが為に出たのである。

 よって彼らは、素直に並んだ。

「よし……いきなり暴れないでね? (何体か不安だ)」

 不安なのは本当のことである。でも今はなんとか抑えられている。

「ぜっとーん、ぜっとーん……ヾ(・ω・`;)ノ」

 ゼットンは、身振り手振りで意思疎通をしようとし、

「ギシャァアアア、ギシャウアア:(ºωº`;):」

 ゴモラはこれから何が起きるかを予想し、震えながら話そうとしていた。

「……みんな分かる?」

 紗和は分かっているようだが……

「無理」

 一同は同時に答えた。

「OK、翻訳する……いっぺんは無理だから1人にして。もしくはアルセーヌ、フラカン、ブレシス……頼んだ」

「こんなこともあろうかと」

 そう言って牧原は、ある機械を取り出した。

「あ、翻訳機ですか?」

「正解!」

 そう言って取り出したのは翻訳機。

「モンスタートランスレータ、怪獣翻訳機です」

「おぉー♪」

 紗和は興奮気味で目を輝かせて喜んでいた。

 これを使うと……と言って、牧原は起動した。

「ぜっとー……ぜっ……」

 ノイズがかかり始めた。

「おっ、ゼットンの声が聞こえてきた……!」

 とりあえず興奮を抑えろ。

「聞こえてます?」

 そんな声がした。

 それは、翻訳されたゼットンの声だった。

「おぉ──!!!」

 紗和は興奮が抑えれない小学生と化している。

「よしよし。あの、本当に優作くんのお父様なんでしょうか」

 ゼットンはそう言った。柔らかい女性の声であった。

「(え? めっちゃ礼儀が良い……w)」

 いつも鳴き声だけで分かるので翻訳機での会話が初めてなので驚きながら多少笑ってる。

「ああ、間違いはないよ」

 迫水は肯定した。

「……だとしたら。あのあの、優作くん」

「あ゛?」

「ピェッ……あのあの、凪さんってほんとに死にました……?」

「くだらねえ事聞くな畜生」

「ひぃっ……」

 その殺意にゼットンは震えた。

「あ……」

 立ち上がって紗和は即座にゼットンを慰めるように抱きしめて頭を撫でた。

「アイツはぶっ殺したんだよ。何度も刺して何度も切って、僕を虐待した天罰さ」

「……ふむ……そこまでしたのなら……誰かが蘇られたとかは……あり得ます?」

「知るか、あんなゴミクズの行く末なんざ興味ねえよ」

「(……でも、そしたら……どうしてあのダークフラツェルに……? あの日死んでお互い蘇った? いや、それでも……)」

 ゼットンを慰めながら脳内の思考回路を動かし続けた。

「んじゃ、つぎ俺が聞いていいか?」

 バードンの質問だ。

「……何があったんだ?」

「(直球で……まぁバードンらしいから良いけど)」

「アイツは……アイツは、僕を……」

 佐久間が震え出した。

「……地雷踏んじまったな、俺しーらね」

 慎太郎は呆れた。

「バ〜〜〜〜ドォォン?」

 紗和はバードンを見て威圧を感じさせながら笑っていた。恐怖の笑みで。

「お姉さんゆるして」

「はぁ〜〜……全く、直球で言うのは今後やめてね? もうちょい人の気持ちを考えて発言するように。前に慎太郎の頭を燃やしゲフンゲフン……あ、あの、ごめんね優作君……大丈夫?」

 近づいて軽く頭を撫でた。

「触んなッ……!」

「ッ……でも、心配なんだよ」

 一瞬だけ驚いたが、それでもやめなかった。

「なんで僕の言う事聞かないのかな? なんで? 僕の事バカにしてるの?」

 佐久間は怯えた顔になった。

「だから……みんな君のことを心配しているから、ボクも心配なの。頭撫でられても不安なら……なんとかしてあげるよ」

「ああああああああああ!! なんでなんでなんでなんでなんでなんで!?」

 そっと頭から手を離した。

「……満足?」

「ふぅーっ、ふぅーっ、ふぅーっ……」

 佐久間の警戒は解かれなかった。

「…………?」

 首を傾げている。しかも顔も真顔で『慣れた』みたいな顔をしていた。

「人を苦しませて気持ち良かったんだね。うん、良かった。じゃあ、死のうか(暗黒微笑)」

「…………で?」

 その瞬間、佐久間は呪銃創で紗和の心臓を撃った。

「……あ……」

 それも一撃や二撃では無い。何度も撃った。

 止めに入った古橋も撃った。

「ぁ〜〜〜……(ちょいやり過ぎたかな?)」

 アルセーヌとフラカンに指を指して『止めて』と合図した。

 無言で二人は佐久間を止めた。

 その間に、ブレシスは弾丸を摘出。二人の傷を癒した。

「……ありがとう。2人とも」

 ブレシスは傷を治した後、ゆったりと古橋に生命エネルギーを分けた。

「……落ち着いた? 優作君?」

 佐久間は半狂乱であった。

「……ブレシス、光で落ち着かせることできる?」

「……出来ますわ」

「お願い……ボクがやり過ぎたのも悪いけど……落ち着かせて。このままだとアイツを倒す方法が思いつかなくなるからね……」

「……」

 ブレシスは、光の波動で佐久間を沈静化させた。

「……大丈夫?」

「は、はあ、は……」

 佐久間は震えていた。

「……ごめんなさい」

「……」

 

 数十分たった頃だ。

「…………」

 気まずそうに机の上に顔を乗せていた。相当落ち込んでいた。自分が落ち着かせるためにやったものの、判断を間違っていたことに相当落ち込んでいた。

「……主」

 実態化したアルセーヌが、心配げに近づいた。

「! ……なに?」

 目の光が無く、生気を感じない。

「……そう気に病むな」

「……う、うん……」

「そうだぜ(便乗)」

 慎太郎の声だ。

「! ……いたんだ……」

「今回テメェは深刻なミスをした、しかしだ! これをバネにすればいいじゃあねえか。主役食うくらいの状態なんだからよ、もっと気楽にいけや(皮肉)」

「アレで気楽にいけるかっつーの……でも、ちょい元気になったよ……」

「つーかよ、お前この主役の出番食ってんだからさ。自信持てよ」

「え!? なんかごめん……!」

 その時だった。

「……ん?」

 何かを感じたように顔をゆっくりと机から離れるように起こした。

「……ジェード!」

「ど、どうしてここに?」

 ジェードは首を横に振った。

「……言わないのか」

 心配気な顔をしながらジェードを見ていた。何か嫌な予感がする……と思っているからだ。

「……大丈夫だ……大したことじゃないから」

「……そうか」

「……」

 紗和は何も言わずにずっと不安や心配な表情で見つめていた。

「……心配すんな……大丈夫だ」

「! …………分かっ……た」

 

 その後だ。

「……ジェード……」

 嫌な予感がして、身体から少し寒気を感じた。

「……ああ」

 そう呟き、慎太郎は一つため息を吐いた。

「……ッ……(何が、起きているの?)」

「……嫌な予感」

 その時である。

 佐久間がかけてきた。

「おい慎太郎!! なにぼさっとしてんだ! 急げ!!」

「あん!?」

「ジェードと、龍治が、龍治が……ッ!」

「まさか……! 何があったの!?」

 一同は現場に向かった。

 そこは巨大なクレーターであった。

「こ……これ……なに?」

「……ジェードと龍治が、赤い火の玉に」

「……赤い火の玉? (隕石……なわけないか。そしたら……まさかアイツか?)」

「ああ、赤い火の玉さ……」

 佐久間はくずおれた。

「ゆ、優作君……! (赤い火の玉……どこからか怪獣が? それとも……何かの罠?)」

 紗和は焦りながら脳内の思考回路を回し続けた。

「ぼくの、ぼくのせいだ。ぼくが……っ」

「…………自分をそんなに責め込まないで……」

「……あれ」

 慎太郎は何かに気づいた。

「……あのー、あそこになんか居るんじゃが」

「……え? あ……本当だ」

 気配を感じたようにその方向へ顔を上げた。

「ゲギァアアアアアッ!!!!」

「……おい、あれって」

「襟巻き着いた怪獣王……じゃね?」

「どうして……こんなところに?」

「とにかくやるぞ!!」

 かくして、ジラース対アバドン、ラピス、ケィアン、さらっと混じったヴェラムという戦闘が開始された訳だが。

「ヤバイ……開幕早々、嫌な予感がする。アイツがジェード君達をやったのならって思うと……」

「つかこれ……襟巻き気になるな」

 そう言ってヴェラムは、思いっきり襟巻きを引きちぎった。

「ゲギァアアアアアッ!!!!」

「おい、あれって」

「あっ……やってしまった……」

 ジラースは、権利的にアウトな姿(GODZILLA)になってしまった。

「そ、そそそそそれはヤバイよ!! 流石に返してあげなよ!!」

 両手で目を隠して見ないようにしている。

「ゴジラだな」

 ケィアンは臆せず言ってしまった。

「…………まぁ……うん……それで良いか」

 ラピスは呆気ない声でそう言った。

 襟なしジラースは、途端に目を赤くした。

「ねぇ、アレ……怒られた?」

「ギギェャァアアアングォオオン!!!」

「おいおいおいおい!? 鳴き声までアウトすぎんだろ!!!!」

「もう倒そう!! じゃないと今回ヤバイよ権利的に!!」

「よしじゃあ殺るか」

「どっからでもこいやー! 全裸怪獣!!」

 言っちゃったよこのウルトラウーマン……。

「違うだろ、ありゃどう見てもゴジラだ」

 おいこら復讐鬼。

「あ、ゴジラか」

 そう言いながら渾身のかかと落としを喰らわせた。

 しかし襟巻きのないジラースは、それを受け止め、投げ飛ばした。

「だぁぁ!!? ……いってて……(物理は難しいかな? いや、もうちょい様子見しよう)」

 ジラースは吠えた。そして、ヴェラム目掛け突進した。

 ヴェラムは闘牛士よろしくひらり回避、その直後アバドンのローリングソバットがジラースを襲う。

 即座に立ち上がったラピスはそのまま背後を蹴った。

 ジラースはそれを喰らい、ケィアンの方向へと向かう。その時、ケィアンは右腕に闇の鞭を作り上げ、ジラースを縛りあげるや否や『一途の束縛』という技でジラースを攻撃した。

「そのままトドメを刺す?」

 そう言ったラピスのスターシンボルは、不意に割れた。

 ジラースが口から放った「原子光波熱線」である。

「あ……」

 そのままゆっくりと倒れてしまった。

 その直後、ジラースはアバドンとヴェラムを吹き飛ばした。

 そして、ジラースはケィアンを殴り飛ばした。

「がっ、あ……」

「ギギェャァアアアングォオオン!!!」

 勝鬨のように、ジラースが咆哮を上げた。

 

 その時、赤い火の玉が降りてきた。

「…………(助けて)」

 ジェードの心の声であった。

 それは龍治も同様で、気付けば二人は赤い火の玉の中に収容されていた。

「……起きたまえ、青年たちよ」

 優しい声がした。

 ゆっくりと目を開けた。

 そこには、二人の巨人がいた。

「ん、んん……!? 誰だ!?」

「私は……M78星雲からやって来た、ウルトラジーク」

「同じくM78星雲光の国からやって来たウルトラマンフィアだ」

「ウルトラマンジーク? ……ウルトラマンフィア?」

「ジェード、彼はウルトラジークなのだ……」

「あ、あぁ……悪りぃ。突然のことだから驚いてしまってな」

「……話進めてもいいか?」

 ジークは半分怒りを顕にした。

「す、すまん……続けてくれ」

「……有り体に言おう。お前たちは、死んだ」

「!? え、あ……う、嘘だろ?」

「そっ、そんな……」

「……それを私たちは救いたいのだ」

「……救い。どうするんだ?」

「簡単に言えば一体化さ」

「一体……優作と同じ感じか?」

「まあそうだな」

「なるほど……どうする?」

「……それで、この星を守れるのか?」

 そんな龍治の問に、ふたりは同時に答えた。

「「ああ、絶対に守れる」」

「なら……一体化するのだ」

「決まりだな。やってやる」

「分かった」

 そう言って、ジークは龍治に、フィアはジェードに取り憑いた。

 龍治の腹に、青いベルトが巻かれた。

 同時に、ジェードの腕にはブレスレットが巻かれた。

「これは……?」

 龍治は訊いた。

「これは『ジークドライバー』……これを使うといい」

「これが……変身アイテムなのか?」

「そうだ」

 ジェードは、腕のブレスレットを確認した。

「俺は、これだな」

「ああ。フィアチェンジャーだ」

「なるほどな……俺の障壁魔法も使えるか?」

「適合率高いしな、行ける行ける」

「なら、問題ないな。アイツを倒そうか」

「ああ」

 二人は立ち上がり、それぞれのアイテムを起動した! 

 

「……これが……お前の力……ウルトラマンの力か? フィア……」

「ああ! やろうぜ!」

 フィアは、アバドンとヴェラムの手を力強く握り締め、立たせてやった。

 龍治、そしてジークもまた、ケィアンを立たせてやった。

 ただ、問題はラピスだった。ジラースの原子光波熱線を喰らい、スターシンボルが割れているせいか……フィアの足元に倒れたまま、目の光を失っている。

「……はあ」

 ジークは、ウルトラウーマンラピスを蘇生させた。

「……ッ……うぅ……?」

 ゆっくりと目の光を取り戻す。そしてゆっくりと起き上がった。

「……? (あれ? ボクってスターシンボル割れて死んだよね?)」

「おはようラピス」

「……え? ジ…………ジーク兄さん!!!!!??」

「ああ、とりあえず……闘おうか」

「ギギェャァアアアングォオオン!!!」

「ぽぇっ……!? は、はひっ!」

 状況があまり掴めないままその場に立ち上がった。

「ギギェャァアアアングォオオン!!!」

 ジラースの叫び声がした。

「だぁぁぁぁぁスターシンボルを割った恨みを晴らす!!」

 あのラピスからめっちゃ怒っている。珍しく相当ピキッているようだ。それでも倒す方法を探るために冷静になる。

 アバドンは無言でジラースを蹴り飛ばした。

 ラピスはその瞬間を目にした時、怒りに任せて足にバードンの力を満たせて顔面に横蹴りをした。

 ジラースは仰け反り、その瞬間大気が震えた。

「……? (あれ? 電撃使ってないのに空気が揺れてる? 誰……?)」

 その瞬間、一同は吹き飛ばされた。

「体内放射かッッ」

 ヴェラムはペイル熱線を放射した。

「うっ……! いっつつ……!」

 その場に倒れたものの、多少フラつきながらも即座に立ち上がった。

「ラピス……無理すんなよ?」

「……わかってる」

 フィアの言葉に頷くラピス、そしてジークと共に構えるケィアン。

「攻撃、可能になった?」

 そう言いながらいつの間にか刃折れの刀を手にしていた。

「もういいんじゃあねえの!?」

「だったらもう首切る!!」

 あ、これは完全にピキッたな……

「つーか、その刃折れの刀で倒せるのか?」

 フィアの言葉に、

「そうだよ(笑)これだから女さんは(怨嗟)」

 ケィアンは便乗した。

「……光エネルギーを無駄に消費させる覚悟でいるから……大丈夫」

 そう言った瞬間、何故かもうラピスのスターシンボルが点滅し始めた。

「はぁー……ケィアン、いや佐久間」

「……龍治」

「共に頼むのだよ」

「ああ!」

 そう二人は言い、ラピスに力を与えた。

 その間にもアバドンとヴェラムは、ジラースをタコ殴りにしていた。

「……あれ? 点滅がしなくなった?」

「これでよし、なのだ」

「この刃、オブシディアンで出来ているから早めに修理してもらおう……いろいろあって放置しちゃってたからな〜……」

 独り言を呟きながらジラースを目掛けて振り回し始めた。

「ギギェャァアアアングォオオン!!!」

 ジラースは口から放射熱線を放った。

「おらっ」

 刀を一刀両断すると光エネルギーで作った刃で跳ね返した。

「あ、2人の方向に来るよ」

「よし来た! イマージュ!」

 そう言って、リフレクト星人を呼び出すヴェラム。

「【マカラカーン】!」

「アバドニックウォール!」

 そのふたつの壁により、ジラースはダメージを受けた。次の瞬間だった。

 アバドンが消えた。

「……え? アバドン……?」

 緑の閃光が走り、ジラースは天高く舞い上がる。その瞬間に、その緑の閃光がジラースを何度も襲った。

「…………(速い……アレは流石のボクでも追いつけない……)」

 ラピスはその様子をガン見しながら驚愕していた。そしてその閃光が誰がやっているのかわかった。

「あれ……アバドンか?」

「きっと……そうだよ(肯定)……ボクのヒートブライトトルマリンを超えてるスピードだ……あんなに早くできるなんて」

「お前そんなに形態増えたのか?」

「後で見せるから……今はそれどころじゃないよフィア兄さん」

 呑気に話してる場合か。

「ギギェャァアアアングォオオン!!!」

 ジラースが叫んだ。

「……雷のスピードを超えた速さ。アレ……なに?」

「……あれは、そうか」

「っ! ……何か分かったの?」

「……シンペキウィンドの特殊能力、光速移動だ」

 ヴェラムはそう言った。

「! ……なるほど……(光速……ボクとは多少似ているところがあるけど……やっぱ、違うところもある)」

「すげえよな……流石は本作の主人公だ!」

「メタない? まぁ言いたいことは分かる……(一度主役の座になりそうになった事はあとで謝ろう……)」

「……ほら、そろそろ落ちてくる」

「え……あ、ほんとだ」

 ジラースは高空から落ちた。

「あ、落ちてきた」

「アイツ……なかなかやるな」

「ギギェャァアアアングォオオン!!!」

 ジラースは体に裂傷を創りながら、しかしピンピンとしていた。

「あんなに傷を負いながら、まだ動けるの……!?」

 そう言いながら刃折れの刀を構えた。

「おい、少し待ってな」

 ようやくアバドンが姿を現した。緑色の姿、シンペキウィンドの姿で。

「……来い、イナゴ共ォ!」

「ッ……!?」

 ラピスは即座に察してフィアとジークの後ろに隠れてしまった。

「あ、そういえばコイツ……」

「虫嫌いだったか……っておい、どうした僕の体!?」

「ぴゃああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!! ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! むしさんこわいのだあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

「大丈夫だよ龍治……(虫嫌いな龍治もかわいい大好き愛してる龍治龍治龍治龍治龍治龍治龍治龍治龍治龍治龍治龍治龍治……)」

 ジークを庇うケィアン。……というか、怯える龍治を宥める佐久間(ヤンホモ)か。

「……フィア兄さ〜〜〜ん……!」

 ガチでビビって震えてる。

「…………とりま俺の後ろにいろ」

 フィアはそう言いながらラピスの頭を軽く撫でた。呆れているけどな……

「アバドン、僕はジークの方を宥めておくよ」

 ケィアンはそう言ってジークを撫でた。

 アバドンはまた緑の光になった。

 ラピスはそのままガタガタ……とフィアの後ろで震えていた。そしてフィアはそんなラピスに呆れながらも庇っていた。

 ジラースはまた空に打ち上がり、また落とされた。

 そしてヴェラムの火球により、ジラースは燃えた。

 アバドンは緑の閃光となり空中高く飛び上がり、ジラース目掛け急降下。

「シンリョクスラッシャー!」

 其の飛び蹴りは、ジラースを容易く斬り裂いた。

「…………終わった? ジラースの気配が消えたけど……」

「ふぅー」

 戦闘が終わったと思い、恐る恐ると少しだけ見た。

 アバドンはイナゴを消した。

「き……消えた……良かった」

 アバドンはふうと一息ついた。

「お、お疲れ〜……」

 まだ多少震えていた。

「さあ戻るぞ」

 そう言った瞬間、ダークフラツェルがカチコミに来た。

「フッハハハハハハハハ!!!!」

 ダークフラツェルは胴回し回転蹴りを放った。

 アバドンはそれを回避、そしてダークフラツェルの体に無数のイナゴを巻き付かせた。

「ぴゃああああああ!!!!!!!!!!! ぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!! またむしさん!!!!!!!!!!!!!! むしさんこわいのだあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!! アンさんたすけてええええええええええええ!!!!!!!!!!」

「ぴにゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 ラピスと龍治が怯えた事は言うまでもないだろうが、一応叫び声は表記しておこう。

「チィ……イナゴかよ!」

 そう言ってダークフラツェルは姿を消した。イナゴが体内に侵入したことなぞ知る由もない。

「……あいつは……僕が殺した筈なのに。……もう一度殺せる千載一遇のチャンスだ……!」

 ケィアンは、復讐の炎をその心で燃やした。

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