24歳独身女騎士副隊長。   作:西次

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 色々と書いたり直したりで、今も悩んだりしています。

 とりあえず先に進まなくてはならない、と思って投稿しました。

 あんまり話に動きがありませんが、どうかご容赦を。 



戦後についてのお話

 生きている内は、悩みって尽きないものなんだなぁって。最近は何となく気落ちすることが多いモリーです。

 だからと言って、仕事に手を抜けるわけもなく、勤務に穴をあけること等ありえません。

 言うても特殊部隊は精鋭の集まりなんで、私が心配する余地なんてないんですけどね。気がかりがあるとすれば、ソクオチ関連ですけれど――。

 

「王子様は、ウチの姫様にご執心だ。人質である自覚はあるはずだが、どうにも絆されている感じがする。――こちらはこちらで、将来的にどうなるかは未知数ではあるが、期待を込めてもいいくらいには順調だろう」

「内輪で囲んでいれば、とりあえず大きな問題にはならない、と。我々とは別の部署で、関係ない分野ではありますが。ソクオチを担当している官僚たちは、結構な苦労をしているんじゃないですかね」

「……そっちを気にするのがお前らしいな。しわ寄せがくることを懸念してのことだろうが、今のところ運営状況は悪くない。この辺り、わざわざ口ばしを突っ込んでもいいことはないぞ」

 

 ソクオチはクロノワークの管理下にある。ゼニアルゼは賠償金だけを分捕って、国土自体に手はつけていない。……あくまでも名目上は。

 ぶっちゃけ、ゼニアルゼの資金援助が無ければ、こちらもソクオチを管理掌握する余裕なんて消し飛んでしまうんだから。どこまで行っても、シルビア王女に首根っこ掴まれている現状に変わりはない訳です。

 

「それはそれとしてもザラ隊長、楽観していい状況とも思えません。身近に視点を合わせるなら、人の心は変わるもの。男心はなおさらと言うものです。……王子の齢は十、多感で未成熟な男子なのですから、扱いは慎重にするべきでは?」

 

 未熟な男女の色恋沙汰、それを楽しみたい気持ちは理解しよう。

 年頃の姫様と王子様が、近しい所で寝起きしているのだ。男女の色恋沙汰は、どこでも関心事であるし、応援したくもなるだろうさ。

 でも野次馬の期待のために、子供たちは生かされているわけじゃない。当事者の気持ちをかんがみれば、余計な気を回してもいいことはないと思う。

 

「心配なのはわかるが、安心しろ。エメラ王女は、シルビア王女と比べれば驚くほど心優しいお方だ。男心を弄ぶことはあるまいし、傍目にも気遣いは十分すぎるほどになさっている。……恋愛感情まではわからんが、将来的には候補の一人くらいにはなっているかもな」

 

 ソクオチの王子様の扱いは、今後の外交において基準になるだろうし、重要視すべき案件なんですよね。

 敗者の常とはいえ、ソクオチの国体を維持する名目だけで、王子は生かされている。滅ぼされても王族が健在で、そのうち復活することが明言されているなら、あえて反乱を起こす気力も沸いてこないと言うものだ。

 

「候補の一人、ですか」

「あくまで候補。そうしておけば、最低限の体裁は整えられる。……実際には、適当な都合のいい相手をあてがわれるだろうよ。思えば不憫な男の子じゃないか、あの王子様も」

「……エメラ王女が是非に、と望まれない限りは。もしそうなったとしても、ソクオチがクロノワークの紐付きになるのは確定ですし、主導権はこちらにある、と。戦争に負けたのだから仕方ないと言えば、そこまでですが」

 

 成人すれば国王として、ソクオチの領土をまるっと相続できる――か、どうかと言えばいささか微妙なんじゃないかな。王位継承は認められても、権限のないお飾りってパターンが鉄板だと思う。

 表向きは防衛の結果ってことになってるけど、クロノワークとゼニアルゼが、共同で攻め潰した初めての国家なんだから。切り分けた肉は、身内に分配したくなるのが心情というものだろう。

 外交的には共同声明を発表済みだし、そこまで無体な扱いはしないとしても、命の保証と権限の保証は別物だ。

 クロノワークとソクオチで、王族同士が交わることがあるならば、実質的にはこちらがあちらを併合する行為と言って良い訳で。……周辺各国としては、クロノワークがソクオチの領土を食らって、大きくなることを危惧するのは当然の流れになる。

 

「考慮するに、これまた怪しくなりそうな情勢ですね。ゼニアルゼのシルビア王女は、今頃どんな絵図を描いているやら。――そう思えば、あの王子様をおざなりに扱うのも気が引けると言うものではありませんか?」

「ご意見ごもっともだが、ソクオチとクロノワークが一つになるとしても未来のこと。未来のための布石は重要だが、まずは目の前の仕事も処理せねばならんぞ」

「最近はだいぶ楽になりました。……まだ仕事は残ってはいますけれど、ちょくちょく暇になるくらいの余裕は出てきましたので。余計なことを考えるのは、そのせいですかね」

 

 私としては事実を述べただけだし、ザラ隊長も実感しているはずのことだ。だから普通に口にしただけなんだけど。

 彼女は意味ありげな笑みを浮かべて、私の言葉に応える。

 

「ほうほう。……合間に余計なことが出来るだけの余力はあるわけだ。いや、私自身わかっていることだが、最近は暇を持て余していかんな。新兵の教育も、以前とは比較にならんほど温くなっているらしいぞ? でないと、別の仕事を求めて出て行ってしまうそうだ。これは、国全体に余裕が出た弊害だな」

「ははぁ、それは結構なことですね。……いえ、十年後二十年後を考えると、軍隊の弱体化は深刻な話になりますが。それこそ別部署の問題ですし、私たちが憂慮しても仕方ないんじゃないでしょうか」

 

 それはそうだけど、私ら特殊部隊に関係があるんだろうか。あるんですよね、そうじゃないとザラ隊長がわざわざ話題に出す訳ない。

 副隊長に復帰した私としては、この前置きに不吉なものを感じるのです。ザラ隊長って、話の流れにさらっと難題を乗せてくるからね。警戒するのも仕方ないと思うの。

 

「で、物は相談だが」

「……はい」

「例のソクオチの王子様だが、相当大事に育てられてたみたいでな。剣の握り方から体の鍛え方まで、エメラ王女が心配するレベルで出来ていないらしい。王家の剣術指南役はもとより、ウチの教官たちも持て余して、扱いに苦労する有様だ」

「それはそれは。……彼も王子としての立場があるでしょうし、肩身が狭い思いでしょう。同情します」

「王子自身、劣等感を感じているようでな。――せめて男子として、エメラ王女に恥ずかしくない力量は身につけたいと望まれている。いじらしい話だとは思わんか?」

 

 何やら話が不穏な方向に進んでいる気がする。

 ええと、それで何の相談なんでしょうか。王子様が身の丈に合った望みをかなえたいなら、私が出る幕はないと思うんですけど。

 

「クロノワークとしては、外交的にもソクオチの王子様に、無体な真似は出来ん。むしろ丁重に扱って、将来の布石にしたい――というのが前提の話だったな?」

「ええ、まあ、それは。……理屈はわかりますが、私には関わりないことでは?」

「ところがそうでもない。――モリー、王子様からの御指名だ。自分をさらって、ソクオチを見事なまでにかく乱し、武力でも交渉でも上回った女騎士殿に、直々に指導してほしいとの要望でな。――教官たちは新兵の訓練に集中させたいし、現役兵で他国の王族に、適切な訓練を施せる人物を探すのも難しい。で、お前にお鉢が回ってきたという具合だ」

 

 だからって、どうして私に王子様の指導なんて役割が回ってくるのか。年頃の男の子にどうやって接したらいいのか、私にはわかりません。

 ……いや、私は今でも男だし? 体は別だけど精神は男の子だから。自分本来のノリで接すれば、案外上手くいくかも。

 いや、でもなー。失敗したら取り返しが利く話じゃないでしょ? これ。――ああ、なるほど。つまりこれは、『誰が貧乏くじを引くか』って話なのか。

 

「……私なら出来る、と見込んだ理由は? むしろ直接的に関係している以上、かえって反感を買ってしまうのではありませんか?」

「それはそうだが、似たような経験はあるだろう。ソクオチの諜報員を軽くあしらった経験と、ゼニアルゼの淑女を精兵に変えた実績を買われてのことと思え。――出来れば私としても、特殊部隊の政治的な功績を強調するために、お前に王子様のお守りを頼みたいと思うんだが」

 

 貧乏くじを引いて見せて、特殊部隊の有用さをアピールするってことですね。わかります。

 失敗したらこっちで泥をかぶるわけだから、よそに借りを作れる。成功したらその実績を以て、自らの能力の証明になる。

 もちろんメリットだけじゃなくて、デメリットも当然あるわけだけど、全部飲み込んで私が担当するのが一番だって、ザラ隊長は思ったわけですね?

 

「いいんですか? 私のノリでやっても。やり過ぎて、お叱りを受けたことだってあるんですよ?」

「結果としてどうなれば成功で、何を以て失敗と定義すべきか、微妙な問題なんだ。将来的に禍根を残さなければ、それでいい」

 

 それでも駄目か? とザラ隊長が困ったような表情で求めて来たならば。

 私に断りを入れる余地なんてない訳ですね。……惚れた弱みと言えばそれまでだけど、それ以上に年頃の男の子を応援したい気持ちもある。

 だから引き受けること自体に問題はない。ただ、懸念すべき事柄は当然あった。

 

「私は、直接的にソクオチを害した人物と言って、差し支えないと思うのです。……くどいようですが、王子様の中にも、わだかまりとか憎しみとかが眠っていて当然でしょう。これを私に向けるようであれば、指導にも悪影響があるかもしれませんが」

「悪影響か。――さて、理屈としてはその通りだろうが、あちらはあちらの事情があろうさ。楽観的に考えるなら、こんな話が通る時点で、そこまで大きな恨みは買ってないと思ってもいい。ソクオチの王子様は、気になる王女をひきつけるためならば、一時の恨みを忘れるくらいはできるんだろう。……本当にそうであるなら、別の意味で心配だが」

 

 実際のところ、やる気があるかどうか、それが一番大事だ。

 だから、本人の気持ちを聞けるなら、そうしたいと思う。両者の同意なしに、効果的な指導は望めないのだから。

 

「気になる王女をひきつけるためならば?」

「好きな女子を振り向かせるためならば。……なんて、そんな風に言うと色ボケした男の戯言にも聞こえようが。これを十歳の男の子が、しかも攻め滅ぼした側の王女に言う言葉だとしたら、実にロマンにあふれている。――そうだろう?」

「それが本心であれば、ですがね。直々に本人から聞いたわけでもない以上、判断はできません。――微妙なお年頃の男の子ですし、あんまり露骨な聞き方だと、正直に答えないかもしれませんが」

「まさに、前途は多難だな。……と言っても、断る気はあんまりないんだろう? 子供の指導くらいなら、空いた時間を潰すいい口実になる。それが私のためになるのなら、なおさらお前は断れない」

 

 ええ、ええ。それはそうなのですが。ちょっとアピールが強くなりましたねザラ隊長。

 心境の変化とは、結構大きなものなんですね。ソクオチの王子様を笑えません。

 

「人質は基本暇を持て余すものだからな。許可さえあれば接触は容易だ。――本日中には面会できるよう、体裁は整えておいてやる」

「ありがたいことです。……では、そのように」

「苦労を掛けるな。私だって、思うところがないわけじゃない。しくじったところで、責めたりはせんよ。――この埋め合わせは、また。いつか、する。……うん」

 

 私の頭の中は、すでにこれからの指導についての考えで占められていた。初心者を玄人にまで引き上げるのは大変だが、やってやれなくはないと信じたい。

 数奇な運命だが、これが敗者の扱いだと思えば、まだしもマシな方だろう。

 敗戦国の王子様なんて、冷や飯を食わせられ、飼殺されても仕方がない立場だ。訓練に参加し、剣を振るう自由が許されるだけ、温情はあるのだ。

 敗者に救いを――なんて、今さら考えるほど慈悲深い性質でもないが。それでも子供に対しては、誠実に向き合いたいと願う。

 まさに、誠実さこそが、子供に対する大人の責任であると思うから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 くだんの王子様と面会する前に、色々考えましたが。話を単純にすると、受け入れやすくなると思うんだよ。

 実際、ソクオチの王子様が、ウチの姫様と仲良くやってるって話は微笑ましいからね。口や手を出すのは問題だけど、見守るくらいなら許される。

 ぶっちゃけ敵対国の王子様と、こちらの王女様が良好だっていうのは、外交的に大きなアドバンテージだ。

 良く言われているように、将来的に結ばれるようなことがあれば、合法的に二国を併合できるわけで――それが一番うまみのある話なんだからね。

 そこまで事を進めるには、多くの障害はあるだろうけど、クロノワークとしては望ましい展開には違いない。だから、なるべく都合よく話が進むよう、誰も彼もが期待している――と。

 

 現状としては皮算用にすぎないとしても、これはソクオチとしても悪い話じゃない。あちらは王様が心労でポックリ逝っちゃって、王子様だけが残された状態だから、保証は欲しいはずだ。

 クロノワークが主導権を握って采配するなら、ソクオチの名は残せる。国土の管理はこっちで引き受けるけど、建前の国体は維持できるわけで、土着の士官や官僚たちに不利益はない形になる。

 結局は、両国にとって無難な形に収まるわけだ。ソクオチはクロノワークに同化する形になるが、別段差別意識があるわけじゃないし、格別憎しみがあるわけでもない――よね。

 そう願いたい。珍しく、極めて短期間に手じまい出来た戦争だから、憎悪をあおる様な出来事もなかったはず。

 ソクオチの王子様の意識しだいだけど、クロノワークと協調してやっていく気があるなら、必ずしも併合は悪い手ではないんだ。

 両国の国力を合わせて、正しく国益を分配するなら、誰にとっても損にはならないと思う。それが理想に過ぎないとしても、その為の努力を怠ってはならない。なればこそ、ソクオチとクロノワークの王族同士の交流は意味のあることだと、私は信じている。

 もっとも、加害者の屁理屈に過ぎない――と言われれば、その通りだ。この部分だけは、本当に突かれると弱い。だからこそ、余計な装飾を付けてでも誤魔化したくなるわけで。

 

 ……まあまあ、色々な打算込みでソクオチの王子様をクロノワークに連れてきてる訳ですからね。

 私としては、首都強襲の際にアレコレやらかしたから、ちょっと気まずい感じもあるけど、幸せになってくれたらいいなと個人的には思います。なのにどうしてこうなった。

 

「お前がモリーか。あの時は世話になったな」

「はい。私があの時にお世話をしたモリーです。……本日はお日柄もよく――」

「世辞は良い。剣を教えよ。お主は仇敵ではあるが、教導にも優れていると聞く。……手段を選ぶ余裕もないし、当面は頼らせてもらうぞ」

 

 こうして顔を合わせて見ると、実に不思議です。なんでか仇であるはずの私に、ソクオチの王子様の指南役が回ってきましたよ?

 話を聞いた時は疑ってたけど、顔を合わせて言葉を交わせば、実際に本人が望んでのことだと、ここでようやく理解できる。

 王子の顔に気負いはなく、憎悪の色もない。そうした境地に至ったからには、真摯に課題に挑む覚悟があるのだと、信じたくなりますね。ええ、ええ。

 

「私モリーが、あの戦いでどういう立場にあったのか。ご存じなのですね?」

「当たり前だ。そうでなくて、どうして『世話になった』などと言える。その能力を買ってやっているんだ。何が悪い?」

 

 他者が曲解した解釈をしたわけでもなく、純粋に王子様は私の指導を求めているらしい。わけがわからない。

 私、貴方を誘拐したり交渉のダシにしたり、割と酷いことをした自覚があるんですが。

 

「話を聞いた時は冗談とか、私に対する意趣返しだとか思ったものですが。……本気なのですね?」

「これでも、同年代と比べて頭がいい自覚くらいはある。子供だからと言って、馬鹿にするなよ。お前は将来、ソクオチを統治する王を前にしているのだ。――偽りなく、本気で僕を指導しろ。そして、それがお前の悪事に対する償いだと思うがいい」

 

 ソクオチの王子様は、毅然とした態度でそう言った。恨みには思うが、今は飲み込んでやろうという、そうした姿勢に名君とか暴君とかの資質を感じます。齢十でこれとか、末恐ろしいですね、いやはや。

 とはいえ本気で誠実に指導するとなると、マンツーマンで付きっきりになってしまう訳で。嫌とは言いませんが、良家の女子と王族系男子じゃ指導の感覚も違うだろうし、ちょっと厄介かもしれない。

 でもこれも勅命と思えば、優先せざるを得ないわけで。王様からもくれぐれも便宜を図るよう命じられているし(指導の許可証に、そうした一文が添えられていました)、この王子様はエメラ第二王女とも仲がいい。

 様々な関係性を考慮すれば、やっぱり無下にも出来ぬ。難しい仕事に苦しみつつも、適切な行動を求められている。これで失敗したらと思うと、今から頭が痛いね、まったく。

 何はともあれ、宮仕えの辛さを、改めて実感している次第です。基本王族って身勝手なものだからね、仕方ないね。

 

「もう嫌だ、やめたい、と。本気でそう思ったら、いつでも言ってください。断念して諦める勇気を持つのも、時には必要なことだと思いますよ?」

 

 やるとなったら容赦しないよ。それでこそ誠意であると、胸を張れる。

 だから、事前に無理そうならそう言ってくださいって、私としては穏健に話したつもりだった。

 

「舐めるなよ、それは勇気ではあるまい。諦めは諦めじゃないか。……僕はソクオチの王子として、クロノワークの姫に対して、恥じることのない立場を求めたい。その為なら、仇だって利用してやるんだ。それだけの覚悟を持っているんだって、わかってもらいたいな」

 

 うーん、これは統治者の器ですわ。シルビア王女みたいに、『他人は自分に従って当然』っていう、貴種特有の傲慢さを身につけていますね。せめて尽くす甲斐のある、立派な統治者になっていただきたい。

 これが他人事なら、全力で応援してあげたいよ。でも王子様の実家を直接的にぶっ潰した私としては、気まずさを堪えるところから始めなくてはいけません。

 具体的には、もうちょっと話しましょうか。理解のためにも会話は重要です。

 

「理解は示しましょう。ソクオチの王子様は、立場的にも難しい位置にあると思います」

「なら、期待に応えよ。僕は強くなるべきなんだ。そうだろ」

「……まあ、結構です。お望みとあらば、全力で応えてあげようではありませんか。ただし一度始めたならば、途中で嫌と言っても抗議は聞きませんからね?」

 

 毒食らわば皿まで。やるとなれば徹底的に。

 私が指導するならば、あらゆる意味で強くしてやりたいと思う。本気でそう望むならば、指導を受ける側にも相応の負担を求めたい。

 最後まで貫き通すという、強い意志が無くてはならない。さりとて、ソクオチの王子様にそこまで強要してよいものか。

 指導の内容については一任されているのだが、やはり相手の同意を得られてこそ、効果的な訓練が出来るものだ。無理やりやっても、結果は出ない。

 

「今さら遠慮か? 僕を寝室から拉致した時は、もっと大胆だったろう。……あんなに乱暴にしておきながら、今になって訓練に手心を加えるなんて。そっちの方が、絶対おかしいぞ」

「政治です。すべては政治なのです。どうか数少ないソクオチの王族として、自覚を持ってください」

 

 今さらくどくどと説教を続けるのは筋違いというか、往生際が悪いようにも見えるだろう。それでもわざわざ遠回りするのは、理由がある。

 明確な意思を、言葉にしてもらうためだ。一度口にしてしまえば、その言葉には力が宿る。

 自分の言ったことを自覚して、その通りに動こうとする『一貫性の原理』が働くわけだ。これを利用しない手はない。

 

「自覚? 自覚とはなんだ。僕がソクオチの王になるのは、決まっていることだ。今さらそれが何だと言うんだ? 未来の王を指導できるのだぞ。光栄に思ってもいいくらいじゃないか」

「……まあ、とりあえず覚悟はある、と。もう一つ疑問があるとするなら、どうして私でなければならなかったのか? 今の剣術指南役が気に入らないとしても、他の教官はいくらもいます。専門職ではない私を選んだ、その真意をお聞かせ願いたい」

 

 王族への剣術指南役は、実際には軍属じゃなかったりする。

 剣術指南って、かなり近い距離で接するものだから、人選にも政治的な配慮がいるわけで。あんまり軍と王族を近づけすぎると、官僚たちが面白くないってのもあるんだろう。

 ――他にもややこしい組織的なアレコレがあるんだろうけど、それを曲げて私に話が来た時点で異例だ。

 ソクオチの王子様は特別だから、という点を置いても、本人がそれだけ強く望まなければ在り得なかったはず。

 

「真意? 理由ならもう言ったぞ。お前には実績もあると聞いた。女子に出来て、僕に出来ないと言うことはないだろ。やると言ったら、やるんだ。――さあ、もう問答はいい。さっさと訓練を始めてくれ」

 

 よし、とりあえず同意も取り付けたんだから、細かいことはもういいよね。

 誰かの紐が付いていたとしても、当人の自覚が無ければ意味のない話。やっぱり子供に対しては単純に、誠意をもって対応すべきだと思いました。

 

「わかりました。今日は初日なので、軽く流していきましょう。まずは、いつもやっているメニューを消化しましょうか」

「……あれで軽いのか? 結構きついと思うんだが」

「私の指導方針に従ってください。それが、私を選んだ貴方の義務です。――よろしいか?」

 

 私は仮面を付け替えた。私人としての感情を捨て、公人としての義務を果たそうと思う。

 女騎士の役目は投げ捨てて、教官として生徒に真正面から向き合おう。それが彼にとって、本当にありがたい事かどうかは……。

 まあ、未来の王子様が考えることだと割り切って。私は私なりに、正直かつ丁寧に、指導すればいい。それが誰の為でもあると、信じることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モリーが王子の指導をしている頃、護衛隊隊長のメイルはゼニアルゼからの帰途についていた。

 馬車の定期便は、安価で安定した走行を保証してくれる。道路状態も良いから、帰国までの道のりはそう遠くなかった。

 トンネル工事が終わり、通行の便が良くなったせいだろう。事あるごとに、それこそ暇つぶしのような用事で、メイルはシルビア王女に呼びつけられている。

 出張のボーナスが出るのは良いし、こちらも暇を持て余していることもあってか、苦情を申し立てるほどでもないのだが。

 流石に外出が多くなると、様々な出来事に巻き込まれやすくなる。例えば、頭の上がらない恩師と出くわしたり、帰路が一緒になってしまうとか、色々と。

 

「――というわけで、凌辱する悪漢にも色々あってな。わかりやすいのは、飽きたら売るタイプと壊すタイプな。売る方は、売り物の衛生に気を付けるから生存率も相応に高くなる。だが壊すタイプは駄目だな。救助が来ないと、まず死ぬ。私は早めに助けが来たから良かったが、前任者がどうなってしまったのか、あんまり考えたくはないことだな」

「……教官。話のタネがそれしかないからって、あんまり語るのはどうかと」

 

 帰り道には、クッコ・ローセ教官も同行していた。それは別段いいのだが、教官のトーク術は刺激的過ぎて、馬車の中の空気が悪くなって仕方がない。

 ただ、一人だけ。東方からやってきたという女商人だけは、真剣に話に聞き入っていた。

 

「いえいえ参考になります。ためになる話をしてくださっていると、わかりますから。できれば、続きを聞きたいくらいですよ」

「お? そうか。なら」

「教官。その人は別ですが、他の客がドン引きです。自重してください」

 

 名は聞いていないが、女商人は服の意匠からして異国風だった。自分の服装は、宣伝を兼ねているのだろう。

 物珍しい東方の交易品をもちこんで、クロノワークなりゼニアルゼなりで商売をするつもりだと、傍目にもわかる。それでいて生臭い商売っ気を感じさせない、その場の空気に合わせる作法もわきまえていた。

 

「いやいや、お気になさらないでください。我々一般客は、現役騎士であるお二方と乗り合わせることで、護衛費用をケチっているんですから。ちょっとしたユーモアくらいは、許されて然るべきでしょう」

「ほーん。だから文句は飛んでこなかった訳か。――ま、少しは気を使ってやるべきかね」

 

 教官はそう言ったが、メイルには疑問だった。少し、という程度で充分なのか。

 この場には、一般的な年若い女性もいるのだ。軍隊式のユーモアは、良くも悪くも過剰なのが常である。

 もうしゃべらない方がいいんじゃないのか――と危惧しているうちに、さらなる問題発言が飛び出してきた。

 

「せっかくだから、助言でもしようか。――そこのお嬢さん」

「え、はい」

「気分が悪そうだが、上からでも下からでも、排泄行為はちゃんと馬車から見える範囲でやるんだぞ」

 

 何を言うんですか――って、キレられても仕方がないとメイルは思う。

 実際、その一般女性も食って掛かりそうになったが、追加の忠告によって黙ることになった。

 

「私と同じく、捕らえられて犯されていた女の中に、どこかの家の御令嬢がいてな。――護衛から離れて、見えないところで腰を下ろしている最中に、サッとさらわれる。そういうケースが、結構多かったんだよ」

 

 一般の女性には、想像することすら難しい。まさか、用を足しているところを襲撃されるなんて、考えたくもないことだろう。

 だが、まさに。そうした弱みを突いて、他人を食い物にするからこそ、この世において悪党と呼ばれるのだ。

 

「言ったろ? この世には酷い悪漢がいくらでもいるってな。……一度さらわれたら、生きていられるだけでも有難いだなんて、そう思いながら地べたを這いつくばることになる。嫌だろ? そんなの」

 

 クッコ・ローセ教官としては、真摯に忠告しているつもりである。油断を戒め、教訓として生かすために、過去の失敗談やら残酷な現実を説くのだ。

 傍で見ているメイルは、わかるけど言い方を考えてほしいな、くらいの感想で済んでいるが。

 そうした教官に諭された一般女性の方は、すっかり気力が萎えたようで、顔色を悪くしたまま席でうなだれていた。

 

「我慢は長くは続かんから、あんまり無理はするなよ。……まあ、なんだ。最近は相当治安もよくなったぞ。ちょっと前、派手に盗賊団が壊滅したらしいからな」

 

 だからとりあえず、この周辺で襲撃を受ける可能性はだいぶ低い――なんて、クッコ・ローセが言うものだから。

 つい、メイルは口をはさんでしまった。

 

「ああ、アレですか。モリーがやらかしたアレ。結構話題になってるんですね」

「……何だって?」

「ほら、前に話したじゃないですか。教官への土産の話。ここらで厄介者だった盗賊団を、一人で潰したんですよ。……土産のために三十人をなで斬りにしたっていうのは、ちょっとロマンチックって領分を越えてますが」

「ああ、アレか。――そうか、アレのことだったのか。今になって思い当たるとか、いかんな、どうも。実戦以外の部分が、相当衰えているらしい。……今さら持ち出す話でもなかろうし、今度会ったらどうアプローチしたものかな」

 

 今度は、別の方向に話が飛んでいく。

 そして物騒であっても、グロテスクではない話であれば、聴衆は食いつくものだ。馬車の中は、メイルとクッコ・ローセの会話だけで満たされる。他の者は、ただ耳を傾けるだけだ。

 

「アプローチ、ですか」

「間接的なアプローチか、より直接的なアプローチか、まだ決めかねているがね。……うん? 間接アプローチっていうと、何だか軍事用語みたいだな。別段、隠語めいた言い方をするつもりはなかったんだが」

 

 とことん色気がない話になるのも、それはそれで私らしいか――なんて。クッコ・ローセは、笑っていた。

 メイルは笑わなかった。他人ごとではないからである。

 

「では、やはり教官もモリーに?」

「お前が間に入ったっていいんだぞ、メイル? お互い、共闘できるところはしようじゃないか。私は何も、彼女を独占したい――だなんて、考えちゃいないさ」

 

 クッコ・ローセの笑みは、余裕から来るものだ。『自分がないがしろにされるはずがない』という確信を得ているから、そうした態度に現れる。

 比べて、メイルはどうか。そこまでの自信を持てる根拠があるかといえば、ないというのが正直な感想だった。

 

「……難しいですね。恋愛って」

「お前だけが拗らせているわけじゃあないさ。誰だって、痛みの中で生きている。乗り越えるのも溺れるのも自由だし、何なら忘れるのもいい。依存して迷惑をかけるのだって、一つの方法だろうよ。――お勧めはせんが」

 

 いずれにせよ、モリーであれば適切に捌いて見せるだろう。お互いにとって幸いなことに、モリーは理知的で思いやりがあり、常識的な対応が出来る人物だ。

 メイルが望む限り、最大限の力を尽くしてくれるだろう。なるべく経歴に傷がつかない形に収めようとするはず。

 結果として何も解決しなかったとしても、モリーは自分への損害を度外視する。そういう相手なのだと、今やメイルでさえ理解していることだった。

 

「嫌ですよ。好きな相手を傷つけるのは、子供だけの特権です。いい年をした大人がやっていいことじゃありません」

「結構。それでこそだ、戦友。――せいぜい、健闘を祈ろうじゃないか。後は、また他の連中も集めてみるか。二度目なら、もっとやりようはあるだろ」

 

 完全に身内だけの話になっているが、聞いている周囲にとってはどう映ったものか。

 馬車の中が奇妙な感心で一杯になったところで、女騎士二人に話しかける猛者がいた。東方の女商人である。

 

「ちょっと、よろしいですか?」

「おう、どうした。――ああ、話の途中だったな。ええと、どこまで話したかな……」

「それはもうよろしいんですが、個人的に気になることが。モリーというお方について、ですが。結構な武勲を持っている様子だと、お見受けします」

 

 クッコ・ローセの目が、明らかに警戒の色を帯びた。

 今話に出て来ただけのモリーに、こいつはどんな用があるのか。単なる営業スマイルが、途端に胡散臭く映る。クッコ・ローセは、猛禽のような目で女商人を捉えた。

 しかし当の本人は、そうしたプレッシャーなどは意に介さぬ様子で、言葉をつづけた。

 

「別段、悪いことは考えておりませんよ。商人と言うものは、いつでも顧客を探し求めているものです」

「具体的には?」

「話題の人物から、格別のごひいきがいただけるなら、今後の商売のタネになります。必ずしもそうなるとは限りませんが、この場の縁で引き寄せられるなら、引き寄せたいと思ったものですから。……ご紹介いただけるなら、幸いに思います」

「そうかそうか。その程度の話なら、別段警戒せんでもいいな。対価によっては、紹介状の一つくらい、書いてやってもいいかもしれん」

 

 それだけを言うと、クッコ・ローセは視線を女商人からそらし、適当にくつろいだ。メイルの方も、すでに興味を失った様子で、黙って頬杖などをついている。

 女商人は金貨を含んだ小袋を差し出すと、クッコ・ローセは無造作に小袋から金貨を一枚だけ取り出して、懐に入れた。

 

「私の『ためになる話』は、充分に聞いたろ? お前の態度も悪くはないし、金貨の一枚くらいはもらってやってもいい。――が、それまでだな」

 

 残りには手を付けない。その態度から見て取れるのは、『ここから先はお前次第』というメッセージである。

 

「モリー様を、ご紹介まではしてくださらない?」

「私自身が、いちいち口添えしてやるつもりはない。だが、普通に公共機関を通してアポを取れば、割と簡単に会えるだろうよ。――会ってからの結果までは、知らんがね」

 

 金貨一枚の応答としては、ここまでだとクッコ・ローセは明言した。

 それならそれでやりようはある、と女商人は考える。

 

「結構な話ですが……会うな、とは申されないので?」

「なぜだ? 会いたいなら会えばいい。最初はどういう意図かと疑ったが、そもそも商売人があいつを害せる訳もない。顧客にしたいならすればいいさ。――あれで案外、上客になるかもな」

 

 やる気のなさそうな返答に、女商人の方が面食らった。

 大事な相手だから、他国の商人などと言う、胡散臭い手合いを警戒したのではないのか――と。当の本人が、そう問い質したくなった。

 

「では、モリー殿を口説いてもよろしいと?」

「お前の利益になる相手かどうか、保証はせん。――まあ、なんだ。これも何かの縁だ。質問があれば、一つだけ答えてやろう」

 

 クッコ・ローセにとって、女商人の存在は、帰途の暇つぶし以上のものではなかったのだろう。だから容易く怒り、容易く許す。

 その程度のものであると、見切られていた。実際、女商人の力では、どうあっても彼女たちを害することは出来ないだろう。

 ただし、利益を提供することは出来る。あるいは、あえて利益を与えないことも出来る。それが、商人としての強みと言うものだった。

 

「お言葉に甘えて、一つだけ。――モリー殿の趣味嗜好について、詳しく教えていただけますか?」

「なんだそんなことか、いいぞ。あれの好みなら、多少は知っている。何もかもとは、流石に言えんが――」

 

 とはいえ、女商人の話術も見事なもので、それだけで二時間も潰れてしまった。

 あれが好き、これが好き、というだけの話ではない。それが好きなら、こういう嗜好があるのではないか。

 周囲の人の影響を受ける方か、むしろ与える方か。その場合、モリーはどこに注目して何を意識していたか。

 例えば、誰かが綺麗なアクセサリーをしていたとして、それをモリーが褒めたとしよう。彼女はそのアクセサリーをどのように好ましく思い、身につけた相手に如何なる種類の好意を向けたのか。そこまで知らなければ、嗜好を理解したとは言えぬ――と、女商人は言った。

 

「まったく、余計なことまでしゃべらされた気分だ。――これで最低限の線を見極めているのだから、東方の商人とやらは実にやり手だな」

「踏み込み過ぎず、ほどほどで引き下がるのは、長生きの秘訣ですよ。……あと、東方では優秀でない商人はもう絶滅しています。必然的に、いま生きている商人は全員が優秀な訳ですね」

「お、おう、そうか。……なんか、別の意味で魔境なんだな、東方って」

「文化的にも歴史的にも、この辺りとはまったく異質な土地です。何と言いますか、本当に。……豊かとも、貧しいとも言える場所ですよ。ただ一つ確かに言えることは、ひたすらに広く多い。そんな国であると言うことです」

 

 女商人が、ここで含蓄のありそうな言い方をした。表情もどこか沈んでおり、故郷に対する複雑な想いが見て取れる。

 こうすると、接しているクッコ・ローセにしろ、傍観者のメイルにしろ、口を挟みづらい。理解は難しいが、さりとて無関心に振る舞うのもはばかられた。

 微妙な空気が漂うが、この停滞の雰囲気を打ち破るのもまた、女商人であった。

 

「ともあれ、仕入れる商品も幅広いものです。対価に不足がなければ、お望みの物を調達するのに苦労しない国でもありますよ。――私は商人です。需要さえあれば、それに応えるのが己の役割であると、思い定めておりますとも」

「……まあ、何だ。商人と一口に言っても、色々あるんだろうし、大変だな」

「顧客に気遣われるようでは、商人の沽券に関わります。――どうでしょう。お近づきのしるしにと言うことで、何かしら贈り物をさせてください。何が良いでしょうか。装飾品や宝石の類なら、それなりに持ち合わせがありますが」

 

 沈んだ空気から一転して、今度は女商人の方がクッコ・ローセを圧倒した。袖の下を通したうえで、さらに贈り物となると、どうしても借りに思う気持ちが強くなる

 ここまでに作られた空気というか、展開の流れからして、一手で切って捨てるのはどうにも気持ちが悪い。

 こうなれば冷やかしも兼ねて、しばし話に付き合うのもいいかと。そんな風に答えるのが、無難な雰囲気になっていた。

 そして、ここから商談を成立させるのが、熟練の商人と言うものである。女商人はまだ若いが、仕事に対する知識や経験は浅くはない。

 

「――負けたよ。お前、やり手だな」

「ありがとうございます。売上よりも、そのお言葉こそが、最大の報酬でありましょう」

 

 東方の女商人とやらが、ここでは勝利者となった。

 もちろん、教官が敗者というのではない。売りつけられた装飾品も、場をわきまえて使えば、彼女に優位をもたらすに違いない。特に、モリーに対しては!

 考え方次第では、win-winの関係であると言えた。メイルは終始傍観する立場であったが、それだけに不安に思う。

 

「知らないところで、厄介ごとが生まれたりして。……モリー、貴女、苦労するわよ」

 

 クッコ・ローセ教官はもとより、怪しげな東方の商人にその名を知られたのだ。

 何かしら、厄介ごとが持ち込まれても、どうかこちらを恨むことが無いように。そんな風に祈るしか、メイルには出来なかったのである――。

 

 

 





 頭を使うと書くのが遅くなるのは、私の癖みたいなものでしょうか。

 原作に追いつきそうになっているから、ちょっとしたことでもネタにしたくなります。
 ただし、それで面白くなるかどうかは別物なので、ノリだけで書くのも考え物ですね。

 次の投稿は、月末を考えています。またニ、三日延びたりしたら、悩んでるんだなぁって思ってください。


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