イナズマイレブン『黒山羊の意思』   作:mr.?

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脅威の侵略者:re
だいいちわ


社畜、そんな言葉が俺には似合うだろう。

 

会社に行って、定時になっても帰れずサービス残業して、帰ったら録画したアニメ見て飯食って風呂入って寝て、をただ繰り返す毎日。

 

久し振りの給料は先月より少なくて、上司に聞いたら、経費削減とのことで。

 

気づいたら俺は、目の前が真っ暗になってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「治(おさむ)!タツヤがそっち行ったぞ!!」

 

「任せろリュウジ、この私に止められぬシュートなぞない!!」

 

永世学園の運動場では、幼い子供たちが和気藹々とサッカーにのめり込んでいた。

赤髪の少年がボールを蹴りながら駆ける、ゴールの前には黒い長髪の少年が仁王立ちで立ちはだかった。

 

「いくよ治!」

 

「いいぞ!こい!タツヤ!!」

 

タツヤと呼ばれた赤髪の少年の足が鮮やかな軌跡を描きながらボールへと吸い込まれる、その蹴りの威力を十二分に得たボールは真っ直ぐにゴールへと突き進む。

治という名の黒髪の少年がそれを難なく押さえ込んだ、ゴールネットを揺らさなかったことに憤りを感じるものの、それはすぐに相手への賞賛へと昇華した。

 

「次こそは決めるからな治!」

 

「ふふ、何度でも打ち込んでこい!その度に私が立ちはだかろう!!」

 

ボールは跳ね、転がり、弾み、飛ぶ。

 

そんな光景は『俺』は反対側のゴールから見つめていた。

 

「へへっ!今日こそお前からゴールを奪ってやるからな秀子(しゅうこ)!!」

 

緑髪の少年……リュウジがドリブルしながら駆けてくる。

 

ドリブルの勢いを殺さぬように走りながら、勢いよくボールを蹴り出す、なかなかの勢いだ、『私』じゃなきゃ、焦っちゃうかもね。

 

「プロキオン・ネット!!!」

 

私が両手を広げると正三角形を象ったエネルギーが目の前に展開、そしてボールを絡めとる、勢いの死んでしまったボールを私は受け取るだけだ。

 

「ああっ!くっそぉー!必殺技使わせちまったぁー……」

 

「ふふっ、なかなか速いシュートだったよ、治だったら少しテンパるんじゃないかな?」

 

悔しそうにたたらを踏むリュウジにそう声を掛けると遠くから否定の声が聞こえてくるが私は無視する。

 

「よーし!石平(いしだいら)!玲名(れいな)がフリーだからねー!!」

 

「今言ったら意味なくないか?!秀子!!」

 

 

 

前世の『俺』は死んだ、多分過労死とかかな……そして目が覚めたらこの『イナズマイレブン』の世界でお日さま園っていう施設に預けられてた、どうやら両親が死んだ上に親戚が片っ端から受け取り拒否したらしい……。

 

この世界では黒山羊秀子(くろやぎしゅうこ)という名前で黒髪ロングのスタイル抜群な美少女として生まれてしまった、そう、男子サッカー大会がメインである世界に女の子として生まれたのだ……ぐぎぎ。

だが、エイリア学園編では女子も表立ってサッカーしていたので、エイリア学園の女戦士として戦う運命を得たのは不幸中の幸いなのかもしれない。

 

前世の記憶持ちということもあり、他の子達より先にサッカーの特訓に励んでいたおかげで、プロキオン・ネットやワームホール等、エイリア学園のキーパー技は大抵覚えられたのもポイントが高いはずだ、最近は治(デザーム)や根室(ネロ)たちに技を教えている。

 

キーパーなのにはわけがある、たしかに円堂守や立向居勇気の存在が確かに大きい、だが、それは男子サッカーの話だ。

イナズマイレブンの数少ない女プレーヤーたちの中でゴールキーパーはやはり数が極端に少ない。

それに、今でこそタツヤやリュウジたちと一緒にプレイしてるものの、フィールドプレーヤーではいずれ遠くない未来で男子に体力面で劣ってしまう……だからこそ、私はゴールキーパーを選んだ。

 

私は今年タツヤや晴矢(はるや)、風介(ふうすけ)と同じ中学1年生、そして治は2年生だ。

つまり来年ジェネシス計画の第1段階、エイリア学園が発足する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吉良 星二郎(きら せいじろう)、私たちのいた施設であるお日さま園や永世学園のスポンサーにして、多くの仲間達が『父さん』と慕う彼の細い瞳は疲れを表していた。

 

「父さん、話ってなんですか?」

 

タツヤから会話を切り出した、父さんの願いにより、永世学園に通う中でも特にお日さま園出身の私たちが一同に会した、私を含めれば56人もいる。

 

「おお、皆、よく集まってくれました」

 

私たち一人一人の顔を見て、穏やかに笑う父さん、そして穏やかな表情のまま語りだした。

 

「君たちにやってもらいたい事があるんです」

 

 

 

 

 

 

『ジェネシス計画』

 

突如、富士山脈に不時着した隕石より摘出された謎の鉱石である『エイリア石』には人体を活性化させる効果があった。

エイリア石を用いて強化人間を作り出し……更に、その強化人間を踏み石としてただの人間から戦士を育成するシステム『ハイソルジャー計画』

私たち56人は、そのハイソルジャー計画の第1歩として、適正テストを受けてほしい。

とのことだった。

 

ここまでは原作通りだ、私はいかにしてハイソルジャー計画の候補に入るかを思案する、ただ単純にサッカーでの侵略を考えているならば、この中でも1番のキーパーの自負があるので、ハイソルジャー計画には入れるハズだ。

しかし、問題は、適正がない場合。

その場合は問答無用で、ファーストランクかセカンドランク送りだろう。

ファースト、セカンドで私がもしエイリアののパワーで無双するようなことがあった場合、雷門たちはジェミニストームかイプシロンとの戦いで勝てず、ジェネシス計画は成就してしまうだろう……ジェネシスになった場合?ジ・アースとウルフレジェンドくらいならわざと通してもいいけども……。

 

「タツヤ、風介、晴矢、治、リュウジ、秀子……来なさい」

 

おっと、考え事してたら呼び出しだ……なんとなく想像つくけど……。

私たち6人は別室へと連れていかれた、ちなみに言うと、私以外の5人は原作ではそれぞれのチームのキャプテンをしていた。

 

リュウジのジェミニストーム

治のイプシロン

晴矢のプロミネンス

風介のダイアモンドダスト

タツヤのガイア

 

5人だけならまだ分かるのだが、私が一緒なのはあれか?11人チーム×5で55人なのに1人余るから私だけ除け者か?

 

「秀子以外の5人には、それぞれチームを率いてもらいます、名前等は自分たちで考えなさい」

 

『はい!』

 

父さんの言葉に5人は嬉しそうに応え、そしてそのまま5人の視線はこちらへと向く、それはたしかに疑念の視線だった。

自分たちが選ばれたのに、何故秀子もここにいる?と、物語っている気がした。

父さんは私に向き直り、穏やかな表情のまま、口を開く。

 

「秀子、瞳子から聞きました、お前はここにいるメンバーの中で1番優れていると」

 

ん?なんか流れが……変わってない?この5人がすげーって話じゃないの?てか瞳子(ひとみこ)姉さん、チクったな!

 

「先程も話したジェネシス計画、5人にはそのジェネシスの座を争ってもらいます……そして」

 

嫌な予感しかしないぞ父さん、やめろ晴矢、殺意を向けるんじゃない。

 

タツヤはそんなワクワクした視線をこっちにむけないで!変な事だったらどーするのさ!!

 

「ジェネシスのゴールキーパーをお前に任せます」

 

やっぱりかー!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

適正テストとは名ばかりで、要するに5人それぞれが率いるチームで総当たり戦を行い、上位3チームはマスターランク、4位はファーストランク、5位はセカンドランクに割り振る、との話。

私はシード枠で、最初からジェネシスのゴールキーパーとして配置、マスターランク3チームの中で最も優れているチームに改めて加入されるとの事だ。

 

「でも父さん、治もゴールキーパーだよ?秀子が入ったら治キーパーできなくなっちゃうけど……」

 

リュウジの疑問も尤もだ、だけど。

 

「リュウジ、気にするな……私は普段お日さま園のみんなでサッカーをする際に不足しがちだという理由でキーパーをやっているに過ぎない、本職はフォワードだ」

 

その通りである、原作では力を抑えるためーとか言ってたけど、実際は治が言った通り、お日さま園ではゴールキーパーは人気がないのだ……治は最年長だからという理由でキーパーを務めてくれていたのだ。

 

「だが、ゴールキーパーとして秀子に劣っているなど微塵も思っていないがな」

 

なんだとこの野郎。

 

「待ってくれよ父さん!納得がいかねぇぜ、たしかに秀子はすげえキーパーだけどよ、サッカーってのはポジションごとに別れるもんだ、最も優れている選手が秀子ってのは少し違うんじゃねーか?」

 

最もらしいことを言った晴矢が好戦的な目でこっちを見る。

 

たしかにね、ゴールキーパーである私とフォワードやミッドフィルダーの君たちじゃドリブルテクとかは明らかに私が不利だもんね。

 

「父さんの決定に逆らうのか?晴矢」

 

タツヤが私を庇うように移動した、そんなことされたらおじさんちょっとドキッとしちゃう。

でも、基本父さんが絶対!って感じになってる私たちお日さま園メンバーだとしても、譲れないプライドってものがあるんだと思う、実際、私は生まれ変わりの利点を活かしただけだし……同じ練習メニューとかを消化していくようになったら、きっと私はそのうち置いていかれることになるんだろうな……。

 

「私も不本意だが晴矢に賛成だ、秀子だけ特別扱いというのは気に入らないな」

 

風介もか、でも私が特別ってわけじゃないと思うんだよね……。

単純に能力差だと思うな(慢心)

 

そんな私たちを見かねたのか、父さんが1歩踏み出した、そうです父さん、私の決定は絶対だとかそんな感じに場を収めて……私は喧嘩は苦手です。

 

「なら、確かめてみましょうか」

 

ゑ?今なんて?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わってグラウンド、サッカーゴールの前に私は不本意ながら立たされている、全員ジャージに着替えて、さらに私は髪をお団子みたいに結っていつでも準備OKだ……。

今回の勝負は必殺技ありのPK戦、キャプテン候補5人のシュートを私が止める、というものだ。

えー、最低でも5回もシュートを受け止めなきゃならないのは面倒だな……まぁ、でも。

 

「5人がどれくらい成長したか確かめてあげないとなー」

 

私がグローブをしっかり填めてる間に順番が決まったらしい。

まずはリュウジ、彼の本職はミッドフィルダーだけども、シュート力はお日さま園でもトップクラスだ。

普段は温厚な彼も、今ばかりは眉間に皺がより、本気で私を越えようとする熱意が伝わってくる。

 

「アストロ……!!」

 

リュウジが利き足でボールに回転をかけた、その回転は徐々に早まり、周りの空間を歪ませ、破壊力を目に見えて増していく、その威力が頂点に達し、リュウジはその足を振り抜いた。

 

「ブレイクっ!!!」

 

原作の侵略者編……未来のリュウジ自身には及ばずとも、もし……永世学園としてフットボールフロンティアに出場できていれば、きっとリュウジは多くの選手から畏怖や尊敬の念を持って接されていたと思う。

それ程までの威力、この前道場破りならぬ学校破りで木戸川清修の3つ子のトライアングルZを体験してきたから間違いない……。

私はそのシュートを。

 

「そらぁっ!!!」

 

技も何も無く、ただ普通に蹴り返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

リュウジのアストロブレイクは、俺の流星ブレードにも負けないシュートを身につけてやるってリュウジが意気込んで習得した技だった。

威力は十二分にある、少しタメに時間がかかるのが玉に瑕だけど、今回はPK戦だ、タメに時間をかけても問題ない。

その威力は今まで見た中でも最高のデキだったんだと思う、いつにもまして覇気のこもった必殺技をリュウジは繰り出した。

でも、秀子はそれを、ただの蹴りで跳ね返してしまったんだ。

治のガニメデプロトンも、軽くキャッチされてしまっていた。

次は風介の番だった、いつもの皆で楽しむサッカーとは違う緊張感、今はただ俺たちにとって秀子は、いつも一緒にサッカーを楽しむ友達ではなく。

 

「おいで風介、全力でね!!」

 

あの頼もしい姿は、僕達にとって脅威だった。

 

「ふん、私のシュートを止められるか?!秀子!!」

 

気温が下がった、そう思うほどのエネルギーが風介から発されている、南極や北極にでも来てしまったかのような錯覚を俺たちは受ける。

 

「ノーザンインパクト!!!」

 

消えたかと思うほどの素早いソバットで風介はボールを蹴り飛ばした、ボールの周りには氷のようなオーラがまとわりつき、一直線にゴールへと進む。

秀子の先程までの余裕綽々といった表情が曇る、あのシュートは2人には悪いが、リュウジと治のシュートより速く、鋭い。

秀子が両手を広げると、正三角形のオーラが現れた、あれはいつも秀子が使ってる技、根室が最近なんとか形になってきたって喜んでいた必殺技。

 

「プロキオン・ネット!」

 

ボールの周りのオーラは正三角形のオーラに触れた瞬間、まるで溶かされてしまったかのように消え失せ、勢いが弱まってしまった。

オーラが収束し、消えた時にはボールは秀子の手の中だった。

 

「いいシュートだったよ!でも風介ならもっとこの技を強くできるはずだよ!!」

 

風介は勿論、俺と晴也もこの時ゾッとしたんだ。

秀子の笑顔はいつもと違って、とてもつまらなそうで、目が、笑ってなかったんだ。

 

「はっ!面白ぇ!」

 

晴矢の眼孔が秀子を捉える、俺にもわかるがあれは強がりだ、どこか焦りを晴也に感じる。

そんなことを知ってか知らずか秀子はいつでもいいよ、とボールを晴矢へと軽く転がした。

 

風介が冷たい吹雪のようなスピード特化のストライカーなのに対して、晴矢は燃え盛る炎のようなパワー特化のストライカーだ。

風介のノーザンインパクトを寸分の狂いもなく的確なタイミングで捉えた秀子に対して、技術を使わせる隙もなく、ただ秀子の技をぶち破るだけだ。と晴矢は吠えた。

 

「俺自身が証明してやるよ!お日さま園で最強なのは俺だってなぁっ!!」

 

軽く空中へとボールを蹴り出す、晴矢はその脚に炎を纏わせオーバーヘッドキックの体制へと移行した。

 

「アトミックフレア!!」

 

炎の軌跡が鮮やかな弧を描いて、ボールへと莫大なパワーを秘めた脚が吸い込まれる。

ひと目でわかる、パワーだけなら、俺の流星ブレードよりも強い。

ボールへと込められた炎が周囲の空間を焦がしながらゴールへ突き進む、秀子は焦る様子もなくそれをしっかりと目に捉え、両手を広げた。

 

「プロキオン・ネット」

 

再度展開される正三角形のオーラは全てを焼き焦がさんとする炎を優しく包み、先程と同じようにボールの勢いを殺した。

苦もなく両手に収められたボール、晴矢は嘘だろと弱々しく呟いた。

 

「うんうん、晴矢らしいシュートだよね、でもね、私だって負けないんだから」

 

そういって俺へと視線を向けた秀子と目が合う。

 

「おいでタツヤ、本気の流星ブレードを見せてよ」

 

その目には絶対に止めるという自信が満ちていた、いや、あれは確信だろう。

俺のシュートも止めるっている確信だ……でも、俺だって。

 

「その余裕そうな表情、絶対に崩してみせるよ」

 

負けるわけにはいかない、いや、負けてたまるもんか。

秀子がボールを転がした、それを脚で受け止め秀子へと向き直る。

 

さっきまで、俺は横から見てるだけだった、実際に秀子と1対1の状況になって、秀子から伝わる気迫に気圧されそうになる。

秀子は既に準備万端、身体はすぐにボールに反応できるように適度に力が抜かれつつもその眼孔が、真っ直ぐに俺とボールを捉えている。

ピリピリとしたこの感じは、嫌いじゃない、いつもの楽しむサッカーもかけがえのない時間だけど、この真剣勝負の緊張感はそれに引けを取らない程に楽しいんだ。

 

「流星……」

 

軽く宙へとボールを蹴りあげる、それに追従するように俺自身も宙へと跳び、捻りを加え、威力を少しでも高めるために力の限りに脚を振り抜く!!

 

「ブレード!!!」

 

脚とボールが触れるこの瞬間、俺の時間は限りなく遅くなる、一般的にゾーンと呼ばれる、この集中力が極限まで高められたこの瞬間が俺のフルパワーの証明だ。

脚からボールへと力を注ぎ込むとボールが俺の蹴りに合わせて形が歪む、少しずつ時の流れが元に戻る感覚、俺の脚とボールには晴矢のアトミックフレアにだって引けを取らないパワー、風介のノーザンインパクトにも負けない鋭さだってある。

脚を振り抜いた、俺がボールへと注ぎ込んだパワーが一気に解放されて、ゴールへと真っ直ぐに突き進む。

 

その瞬間、俺に見えた秀子の表情に俺はまた、悪寒を感じることになった。

獲物を喰らう瞬間の獣のような獰猛さと、彼女本来の端麗な素顔が混じって、これは昔……そう、なにかの本で読んだ一文。

 

妖艶な瞳、そう表すんだと不意に思った。

 

「ザ・プレデター!!!」

 

秀子は右手を振り抜く、すると手の凪いだ軌跡を辿って鉤爪のようなオーラが秀子の前に展開されボールに喰らいつく、ボールと鉤爪型のオーラが拮抗し、秀子の身体は右手を振り抜いた勢いのまま回転しその両脚をボールへと複数回叩き込んだ……と思う。

目にも止まらぬとはこのことだろう、秀子はあの技で連続回し蹴りをボールへと叩き込んだはずだが、俺にはそれを目で捉えられず、音でやっとわかったんだ。

重い銃撃のような複数の打撃音。

俺の繰り出した流星ブレードは呆気なく崩壊し、秀子の必殺技の勢いでボールはグラウンドの反対側のゴールへと突き刺さった。

 

驚愕、畏怖、そんな感情が俺たちを支配する。

リュウジや治なんて特にだ、必殺技すら使わせることができなかった。

晴矢と風介も自分たちのシュートを止めた技が秀子の本気の必殺技かと思いきや更に上があったし……俺の流星ブレードだって、止めるだけでは飽き足らず、逆に反対側のゴールまで決められた……。

これが、俺たちの知らない、黒山羊秀子の実力の一端だったのか……。

そんな俺たちの表情を見て、秀子の表情に影が刺した。

先程までのつまらなそうな表情から、獲物を狩るような目……そして今は申し訳なさそうな顔をする秀子、俺たちは悔しそうな表情を崩せずにいる。

 

「そこまでです、秀子、お疲れ様です……それにしても予想を上回ってくれて何より、まさかここまでとは思っていませんでした」

 

少し離れたところから見ていた父さんがゆっくりと歩いてくる、先程までの活気は俺達には既になかった。

 

「これで納得出来たでしょう、秀子が君たちの適正テストに加わってしまったら、1点も失うこと無く秀子のいるチームがジェネシス確定でしたからね」

 

皆、言葉を失っていた、特に反対意見を出していた晴矢と風介は先程までの自分自身の過剰な自信のせいで今の結果に苛立ちすら覚えているように見える。

 

「では、後でチームを発表します、テストは1週間後、それまで練習に励んでください」

 

俺たちは頷くことしかできなかった。

 

 

 

 

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