イナズマイレブン『黒山羊の意思』   作:mr.?

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ユニークアクセス9600突破と1万という数字がそろそろ見えそうです……!
お気に入りも約280人、ありがたい話です。



8/11ハチミツりんごさんより誤字報告いただきました、ありがとうございます。


じゅうさんわ

沖縄にて真帝国学園の9人と雷門のエースストライカー豪炎寺修也はグラウンドを駆ける。

目標はたった1人の少女、真帝国学園のフィールドプレーヤー用のユニフォームを着用しているのはエイリア学園マスターランクチームザ・ジェネシスのGKのニグラスこと黒山羊秀子。

 

秀子へと一つ目のゴーグルと青いスカーフで顔を隠したMFの目座(めざ)と青いマスクで顔を隠した同じくMFの日柄(ひがら)がスライディングでボールを奪いにかかるも、ボールを少し蹴り上げると軽く跳ねてそれを回避。

 

「目座くんは相手の動きを見切ろうとする反面、相手への対処にワンテンポ遅れてるよ!日柄くんはスライディングのキレは良いけど動きが単調だよ!」

 

空中に跳んだところを顔を白塗りしたFWの比得と桃色の髪をした紅一点MFの小鳥遊が空中戦を仕掛ければ秀子は空中で身体を捻るとボールを地面へと叩きつけ空中で奪取される事を回避、小鳥遊が舌打ちをした時に比得が少しビクついていたのは内緒である。

 

「比得くんは空中戦を仕掛けるならもう少し練習後の柔軟に力入れてね!それと小鳥遊ちゃんは身体柔らかいからあとは筋力だよ!それと舌打ちしない!」

 

秀子が地面へと叩きつけたボールがバウンドする際にそのボールを片足で踏み付けることでバウンドを阻止、そこへ大柄なDFの郷院と灰色の髪にバンダナを巻いた同じくDFの弥谷(いやたに)がボールを奪おうとタックルを仕掛けるのを秀子はすり抜けるようにして回避、2人はお互い衝突してしまう。

 

「郷院くんはパワーあるんだから相手の動きをよく見て!弥谷くんはスタミナだけじゃなくて瞬発力も鍛えようか!」

 

猫背で分厚い唇が特徴のDF帯屋(たいや)と面長で左右の髪が跳ねている同じくDFの竺和(じくわ)はお互いに目配せをするとまず竺和がスライディングを仕掛け、それを難なく右ステップで避ける秀子へと回避直後の隙をつくように帯屋がタックルを仕掛けたが秀子はニヤリと笑うと右足を軸にしてボールごと回転、帯屋の脇をすり抜けた。

 

「竺和くんは瞬発力よりスタミナを活かしてスライディングよりタックルが向いてるよ!あと帯屋くんは重心はしっかりとしてるから相手の動きをよく見て!」

 

8人を軽く回避してみせた秀子に対し、残る不動と豪炎寺は冷や汗をかくも先に不動が仕掛けた。

足先を伸ばしてボールを弾こうとするが秀子もボールをコントロールして巧みに不動の足をボールに触れさせない。

痺れを切らした不動がタックルを仕掛けるも逆に秀子が不動を押し退けた。

 

「不動くん……いやあっ君wは身体細いし軽すぎ!タックルは不意を突かないと成功しないんだから焦らない焦らない」

 

「あっ君言うな!」

 

「あっく〜んw」

 

「うぜェ!」

 

そんな会話をしている隙に豪炎寺がボールを奪わんと一気に秀子に接近、流石のスピードに秀子も目を丸くするも先程帯屋に対して行った右足を軸にした回転でそれを回避、だが豪炎寺も即座にターンしそれに食らいつく。

 

「おっ、豪炎寺くんはさすがに基礎体力の差か速いねー、でも」

 

秀子はボールを軽く蹴ると豪炎寺の股下を通り抜け、その脇をすり抜けた秀子に突破を許してしまう。

だが、秀子はそこで一時停止、全員へと目を配ると一言。

 

「うん!全員ざっこいね!」

 

『うるせぇ!!』

 

これが最近の練習メニューといつものパターンである。

練習メニュー第1:秀子ちゃんにボールを奪われるな!奪われたら筋トレ増量だゾ!

練習メニュー第2:秀子ちゃんからボールを奪え!奪えなかったら走り込み増量だゾ!

練習メニュー第3:筋トレと走り込み!時間内に終わらなかったら朝食後に秀子ちゃん特製某漫画再現乾汁完飲だゾ!

豪炎寺くん比得くん不動くん用特別メニュー:秀子ちゃんからゴールを奪え!他の皆はわざと秀子ちゃんが遠くへと投げ返すボールを拾ってきてネ!!

 

 

既に第1も全滅しており第2も失敗と全員の士気は落ちる一方である。

地獄の筋トレと走り込みが始まり、私の乾汁を飲むのが怖くて仕方ないんだろうと秀子は思い込んでいるが。

実は秀子特製乾汁擬き……もとい秀子汁は……実はとても美味しいのである。

試飲した不動があまりの美味さに絶句したのを秀子は不味くて黙り込んでしまったと勘違いしてご満悦で筋トレと走り込みが遅くなった際のお仕置きとして用意したものの実は彼らのお楽しみになっていることを知らない。

だが、何故彼らの士気が低下しているか、それは単純に筋トレと走り込みの量がおかしいのである。

秀子は練習メニューをジェネシス計画から一部引用して今回彼らへの特訓に用いているが、それはエイリア修練所で基礎体力や体幹などを一定まで鍛えた後のメニューであり、イプシロンと戦った後の雷門の面々なら着いて来れていたかもしれないがエイリア石でブーストしていた真帝国学園のメンバーには少し……いやかなりオーバーな特訓になっていた。

辛うじて着いてこれているのは先に沖縄にて単身特訓に励んでいた豪炎寺のみであの不動でさえ筋トレと走り込みに対して馬鹿じゃねぇの?!と叫んだ程である。

なお、既にハイソルジャーとして完成の域まで達している秀子は走り込みしている真帝国学園のメンバーに対して某灼熱の男シューゾー・マツオカ並の野次を飛ばす余裕がある程である。

 

そして数時間後、全員が秀子汁を完飲して黙り込んでいる(不動が下手に不味くされたらたまったもんじゃないと皆に告げ口している)のを見て秀子が満足そうに頷く中、比得と不動、そして豪炎寺の3人は秀子へと向き直る。

シュート特訓の時間である。

 

比得がボールを蹴り上げると空中へと飛び上がり、ボールへと何発……約100発も連続して蹴りを叩き込み、そのパワーを注がれたボールがゴールへと迫る。

 

「百裂ショット!」

 

秀子はそのシュートを見据え、両手を軽く広げると正三角形のエネルギーが展開する。

 

「プロキオンネットー」

 

比得のその名の通り強烈なシュートは秀子の間延びした声とともに展開されたプロキオンネットに触れると勢いが緩まってしまい簡単にキャッチされてしまう。

それを見た比得は思わず舌打ちしそうになるが下手に舌打ちなんてしようものなら秀子ちゃん特別メニュー!とか変な事を言い出すに違いないといつも弧を描いている口をギュッと結んだ。

 

「ぶふっ!!」

 

白塗りのピエロのような様相の比得が急にそんな風に顔を変容させたことでツボに入ってしまったのか秀子が噴き出してむせているのもお構い無しに不動はボールを軽く蹴り上げるとボールが空中で分裂、そのボールが円を描くように宙を舞い、それらを連続で蹴り出すとボールは合体しエネルギーを纏ったそれがゴールへと突き進む。

 

「マキシマムサーカス!」

 

「ゴホッ!ゴホッゴホッ!!」

 

むせる秀子へと迫るシュート、流石にやり過ぎたかと不動が後悔するも、それは甘い見通しだった。

秀子は片腕を振り上げると勢いをつけてボールを裏拳で弾き返した、必殺技も無しにだ。

一瞬のことに呆ける不動と比得、やっと笑いが収まり、呼吸の安定した秀子が比得の放ったシュートのボールを遠くへと投げると。

 

「あー、笑った……球拾い班はボール拾ってきてねー!あとあっ君は後で苦手な筋トレ追加で」

 

「ぐっ……仕方ねぇ……」

 

秀子の声に日柄と帯屋が遥か遠くへと飛ばされたボール達を追い掛け、不動は肩を落としながら豪炎寺に順番を譲る。

豪炎寺は一言行くぞ、と声をかけるとボールを蹴り上げ、回転しながら空中へと舞い上がる。

炎を纏って回転の勢いをつけた脚をボールへと叩きつける。

 

「ファイアトルネード!!」

 

爆炎を纏いながらゴールへと突き進むボールを秀子は再度正三角形のエネルギーを展開してそれを防ぎ、またも簡単にキャッチしてみせた。

 

「プロキオンネットっと、次は郷院くんだね……いってこーい!!」

 

投げられたボールはまたも緩やかな軌跡を描いて飛んでゆく、郷院はそそくさとボール目掛けて走り出すのであった。

 

「さてと……とりあえず1人100本くらいやってみようか」

 

結果から先に言っておくと、ゴールネットは微塵も揺れ動くことは無かったそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその日は突然訪れた。

毎日の練習メニューをこなす真帝国学園と豪炎寺、秀子にボールを奪われるな!をしていた時にそれは起こった。

グラウンドに突如響く携帯の着信音、ベンチで秀子の持っていた端末からのようだ。

 

「……」

 

画面を見ればそこには基山タツヤの文字、秀子は真帝国学園の面々へと向き直ると口元に指を1本押し当て、静かに、とハンドサインを送ると電話に応答する。

 

「どうしたのグラン?」

 

電話の先からやぁ、とグランの軽い声がする。

秀子、いや、ニグラスは要件を早く伝えてと急かすとグランはそのまま軽い調子で続けた。

 

「明日の12時にザ・ジェネシスとして雷門に試合をしようと思ってね、試合になるようなら君にも声をかけなきゃと思ってね……場所は福岡の……」

 

「福岡……?!」

 

真帝国学園の面々と豪炎寺は黙ってその光景を見つめるが、秀子は電話先の相手と揉めているようにしか見えない。

しばらくの会話の後、通話を切った秀子が溜め息をついて口を開いた。

 

「ごめん、私が皆に特訓をつけてあげられるのはここまで……エイリア学園の任務で福岡に向かうから皆は各自特訓を続けて、特に豪炎寺くんは対エイリア学園のあの技の完成を急いでね」

 

秀子はそれだけ伝えるとじゃあね、とその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夜の陽花戸中のグラウンドに木に吊り下げたタイヤを殴りつけるというやや特殊な特訓をする人影の姿があった。

円堂守、雷門のキャプテンにしてGKである彼は彼の祖父が遺した究極奥義の1つ、正義の鉄拳を取得するためとパンチングの特訓の為ひたすらタイヤを殴りつけていた、さらに身体への負荷のためかタイヤを紐で身体にリュックサックのように背負っている状態で……本当に特殊である。

 

そんな彼の近くに更に1つの影が近づいてきた。

 

「やぁ、円堂くん」

 

その声に円堂が顔を上げるとそこには赤髪の少年、基山ヒロトがサッカーボールを抱えて立っていた。

 

「雷門中の試合、見せてもらったよ」

 

「あれ、お前……どうしてここに?」

 

円堂は前回、京都の漫遊寺にて出会ったはずのヒロトが何故か福岡にいることを疑問に思い問い掛けるが、ヒロトは円堂の質問には答えないまま話を続ける。

 

「ねぇ、俺のチームと試合しない?」

 

「え?チーム……?」

 

前回の対話の際、ヒロトは軽くパスされたボールに反応すること無くいつの間にか消えていた。

そんな彼の口から試合の申し込みがあるとは微塵も思っていなかった円堂は少し面食らう。

 

「うん、俺のチームと」

 

ヒロトの問い掛けに円堂は困惑したまま、思わず思った事を口にする。

 

「え?ヒロト、サッカーできたのか?」

 

ヒロトから突然の軽く投げ渡されるボール、それを咄嗟とはいえ軽くキャッチした円堂へとヒロトは続けて口にする。

 

「時間は……明日の12時、場所はー……ここのグラウンドでどうかな?」

 

「そりゃあ、いいけど……」

 

円堂が困惑したまま話は進み、彼自身陽花戸中の生徒や教師に確認もとらずに返事した事を意識しないまま。

 

「でもなんで?この前サッカーできるなんて一言も言わなかったじゃないか?」

 

「明日……約束だよ?」

 

そう言うと円堂に背を向けて歩き出すヒロト、円堂はヒロト、と声をかけるものの彼はそのまま呆然とする円堂を残して立ち去ってしまう。

 

そして、ヒロトが歩を進めた先の校舎の裏にワンピース姿の黒髪の少女が1人彼を待っていた。

 

「……試合も確定ってわけじゃないのに急に呼びつけるなんて、酷くないタツヤ?」

 

秀子の言葉に少し反応し立ち止まるヒロト、彼は秀子へと向き直ると。

 

「俺はヒロトだよ秀子」

 

「何言ってんの?ヒロトはまだ寝てるだけじゃん、まだアンタの親友は死んでない、それなのにアンタは諦めるの?」

 

秀子を睨むヒロト、そしてそれを正面から睨み返す秀子。

そこへさらにもう1人青髪に白のメッシュの少女が駆け寄る。

 

「2人とも……早くここから離れて、恐らくエイリア学園のことをずっとしつこく調べてる鬼瓦って刑事の部下がこの辺りで見回りをしているみたい……」

 

その言葉を聞くと、2人は視線を切ってもう1人の少女、ザ・ジェネシスのウルビダこと八神玲名に続いて陽花戸中を脱出するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、陽花戸中グラウンドは生憎の曇り、暗雲が空を覆っていた。

円堂を始めとする雷門の面々が準備をする中、鬼道有人の妹である音無春奈が腕時計を確認し、丁度12時になったことを告げる。

すると、グラウンドを這うように黒い煙のようなものが流れ出した。

動揺する雷門のメンバーや見学のため駆け付けた陽花戸中の面々。

 

「これって……イプシロン?!」

 

壁山の言葉に更に動揺する陽花戸中の面々、そして鬼道が煙の先に人影を見つけると。

 

「……来た!」

 

煙の出処と思わしき地点が突如白い光を放つ。

人影はより鮮明にシルエットとして映り、そしてついに白い近未来的なデザインのユニフォームを纏った10人と、その背後に隠れている紫色のGK用ユニフォームを纏ったニグラスはガスマスクをつけている。

 

そしてニグラスを含めた11人の矢面に立つ1人の少年が口を開いた。

 

「やぁ……円堂くん」

 

その声と姿に動揺する瞳子、そして円堂が数秒の沈黙の後、目の前の少年の顔と声に1人の人物の名が思い当たる。

 

「まさか……ヒロト?」

 

「なんやコイツら……この前のヤツらとちゃうやんか」

 

浦部がボヤき、目の前に現れた11人の姿にある想像をした風丸の表情が段々と暗くなる。

 

「エイリア学園にまだチームがあったことはわかっていたが……ファーストランク、より上があったのか……?」

 

そんな他のメンバーに微塵の興味も持たないヒロトは他の10人へと軽く手を向けて。

 

「これが俺のチーム、エイリア学園……ザ・ジェネシスって言うんだ、よろしく」

 

その言葉に呆然としたまま言葉を紡ぐ円堂。

 

「ジェネシス……お前、宇宙人だったのか?」

 

呆然とする円堂、そして目の前に現れた円堂と約束をした本人であろうエイリア学園のザ・ジェネシスのキャプテン、動揺でまだ点と点が繋がらない鬼道。

 

「……どういう事だ、円堂?」

 

鬼道が円堂を見やると円堂は悲しげな表情のまま、目の前のザ・ジェネシス、そしてそのキャプテンであろうヒロトへと顔を向けてヒロト……とか細い声で呟いた。

 

「さぁ……円堂くん、サッカーやろうよ」

 

ヒロトの声がまるで蛇のように、静かにゆっくりと響いた。

 

「どういう事なんだ……?どうして円堂の友達がエイリア学園に……?」

 

「円堂さん……」

 

土門と陽花戸中の生徒立向居が円堂へと心配から自然と言葉が漏れる。

 

「まんまと騙されたみたいですね……」

 

そんな中、目金が口を開いた。

 

その一言に音無が騙された?と思わず聞き返すと、彼は一度頷くとさらに自信満々に続けた。

 

「ヤツらの目的は友達になったフリをして円堂くんを動揺させる事……」

 

「そういう事だったんですね……!!」

 

立向居が感心しているとさらに調子づいて続ける目金。

 

「宇宙人の考えそうなことですよ……」

 

ザ・ジェネシスの全員が思った。

お前宇宙人の何を知ってるんだよ……しかも俺ら宇宙人じゃねぇし……と。

 

「それは違うよ、俺はただ……君たちとサッカーがしたいだけ」

 

その言葉に固まる雷門の面々、そして、ヒロトの背後のザ・ジェネシスのメンバーもやる事がない為暇になったのか雑談し始める始末である。

 

「おいおい……許可もなくこんな奴らと勝手に試合して大丈夫か……?」

 

「グランがやるって言うんだ、仕方ないだろ?」

 

大柄でやや肥満気味な体型のハウザーと細身で長身の蛇を彷彿とさせるゲイルの会話に円堂は思わず声を上げた。

 

「グラン……?」

 

そして、ヒロト……いや、グランを睨んで円堂は続ける。

 

「それが本当の名前なのか……?」

 

拳を握りしめる円堂、その目は更に強くグランを睨みつけた。

 

「お前とは……もっと楽しいサッカーが出来ると思ってた……でも!お前がエイリア学園とわかった以上、容赦はしないぜ!!」

 

人差し指を突きつける円堂に対してグランは薄く笑う。

 

「勿論だよ……」

 

そして両者ポジションについたことで隠れていたニグラスの姿を見た数人が首を傾げる。

 

「ザ・ジェネシスのGK……どっかで見たことあるような……」

 

1番最初にそんな風に言っていたのは一之瀬であった。

その言葉に内心焦りつつ、顔もガスマスクで隠してるし髪型も違うからバレるわけないとニグラスは平静を装う。

 

「一之瀬……?何言ってんだ?ジェミニストームと真帝国学園のマネージャーしてた子だろ?」

 

円堂の口からそんな言葉が出るとは思わなかった。

 

そして円堂が言い当てたことで、他のメンバーたちも納得がいったのか次々にそうだそうだと言う中で。

 

「たしかに……あのスーツの女の子とスタイルが一緒だもんね、キャプテン」

 

士郎の言葉に慌てて身体を隠して身を屈めるニグラス、正直彼女もこの格好は身体のラインが出てしまうから苦手なのだ。

何故なら彼女がキーパーとしての特訓を施している時も、ゴルレオ、ゼル、ネロ、ベルガ、グレントの5名はたまに鼻の下を伸ばしていたのを彼女は忘れない。

デザーム?彼は既にある程度自分でGKとしての技術を独学で勉強していたので一緒に練習はしてもニグラスが直接教えることはなかったそうな。

 

黒山羊秀子は元男とはいえ……というより元男だからこそ、男からの性的な視線にめっぽう弱いのである。

だからこそイケメンとはいえ吹雪士郎にスタイルで覚えられていたことや雷門の面々に凝視されるのは彼女自身とっても恥ずかしいのである。

そしてなにより円堂も顔とかではなく身体で覚えてたなんて……と少し円堂を見損なう彼女だが。

 

「何言ってるんだ士郎」

 

彼の言葉に全員が驚愕する事になる。

 

「スタイル?あぁ体格のことな!ていうか、筋肉の付き具合でわかるだろ!」

 

円堂守、まさかの筋肉で覚えていた問題が発生。

というのも無理はない、円堂は一度ニグラスのキャッチングを目撃している。

奈良しかテレビ屋上での焔の風見鶏を片手で受け止め、投げ返したあの身のこなし等でニグラスが強いキーパーだということに気づいた円堂はそれで覚えていた、という方が正しいのである。

 

閑話休題、ニグラスを凝視していたメンバーに浦部や音無がサイテー!等の台詞を吐いたことで急に大人しくなる雷門。

適度に緊張感の解れたことに感謝するべきか否か……。

 

とにかく、雷門ボールで試合は始まる。

 

アツヤから浦部へとボールが渡り、浦部がジェネシス陣営へと駆けるが、一瞬でFWの筋肉質かつ大柄なウィーズが肉薄、そして浦部からボールを奪取する。

一瞬の出来事に対応できない雷門、急いで鬼道の指示でディフェンスラインを固めるものの、ジェネシスのメンバーが一気に前線へと駆け上がり、なんとかウィーズに接近しても気づけばボールは別の選手に渡っている。

ウィーズからウルビダ、ウルビダからアーク、アークからクィール、クィールから一気にゴール前へと既に移動していたグランへと、ほんの僅かな時間でシュートチャンスを与えてしまう雷門。

 

「行くよ……円堂くん!」

 

「来るなら来い……!!」

 

グランがその足をボールへと叩き込む、ボールは勢いよく、そして素早くゴールへと突き進む。

円堂は左手を顔の前へそして右手を腰に溜め、エネルギーを右手へと収束、一気に解放すると円堂の背後から魔神が現れる。

 

「マジン・ザ・ハンド!」

 

魔神がシュートに触れた瞬間、円堂へと襲い掛かるのは重さ。

威力、スピードそのどれもがこの前のイプシロンとの試合で受けたどれよりも強かった。

 

魔神があまりの威力に掻き消え、円堂を押し退けてボールはゴールへと吸い込まれた。

 

0/1

 

僅か10数秒でのザ・ジェネシス先制点である。

 

「……あれ?」

 

グランの小さく呟いた声を聞いたものはいない。

 




先日、我が家で女子会が行われていました、若さって凄いな……と思いました。
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