イナズマイレブン『黒山羊の意思』   作:mr.?

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最近、ペースが落ちていますが……今後は2~3日に1回と今のこのペースになりそうです。




じゅうよんわ

開始10数秒での失点にもめげずに、果敢に攻めようとする雷門。

浦部や風丸、鬼道や一之瀬が懸命にジェネシスの守備を突破しようとするものの、ジェネシスメンバーのあまりの速さに文字通り一瞬、瞬きの合間にはボールを奪われてしまう。

ニグラスの目線から見ても単純なステータスの差によるもので技量が最早意味を成していない。

そんな調子だと自分たちには出番が無さそうだと、ジェネシスのDF4人、巻き髪の少女キーブ、蛇のような男ゲイル、ふくよかで特殊な肌色のハウザー、大柄な金髪のオールバックのゾーハン。

そして誰よりも自分が出番が無さそうだと思ってしまう黒髪ロングの少女ニグラス。

 

雷門陣営のボールはセンターラインを超えた直後には奪われ、円堂の守る雷門ゴールへと一瞬で運ばれてしまう。

小暮や士郎といった雷門の優秀なディフェンスラインをものともせず、結局はグランへとボールは渡り、グランの放つノーマルシュートが円堂のマジン・ザ・ハンドを軽々と突破する。

点差が10/0となった時、ついに雷門の必死のパス回しで前線へと躍り出たアツヤへとボールが渡る。

DFの4人がやっと出番かと動き出す、アツヤへと迫るゾーハン、アツヤは持ち前のスピードで突破しようと試みるものの、ゾーハンの仕掛けたスライディングで簡単にボールは弾かれ、キーブ、ゲイル、ハウザーを含めたDF4人は出番が無くてボールに触れなかった腹いせにアツヤを翻弄するようにその場でパスを回し始めた。

アツヤが猛スピードで迫るものの、ジェネシスのメンバーにとってはそんなもの大した脅威にならず、悠々とパスは続く。

飽きた、と誰かが呟くとボールは再度ジェネシスの前線へと繋がり、そのボールは最終的には雷門ゴールへと吸い込まれた。

ニグラスの目から見て、既に心が折れているのがベンチの栗松、フィールドでは風丸と意外にもアツヤも折れかけていた。

風丸がジェネシスとの戦いで戦意喪失してしまうのを先程の彼の表情を見てニグラスは思い出した。

何度も特訓してやっとエイリア学園のイプシロンと同点へと漕ぎ着けた彼ら、そんな彼らの努力を嘲笑うかのように出現したエイリア学園マスターランクチーム、ザ・ジェネシス。

風丸と栗松の2人は完全に意気消沈、風丸は自らの長所であるスピードがエイリア学園には通用せず、しかも更には雷門に途中から参加した吹雪兄弟にも及ばない彼はもう自分に自信が持てず。

栗松は雷門の選手としてここまで残り続けたというのに、塔子、士郎、浦部、そして誰よりも小暮にレギュラーの座を奪われ、そんな彼らすらジェネシスにはまったく歯が立たないという事実。

 

「……あーあ、見たくないなー」

 

そんなニグラスの呟きは雷門陣営から響く悲鳴や轟音によってかき消されるのであった。

 

そして鬼道がやっとの思いで、ウィーズからボールを奪取、浦部がボールを奪われるのすら計算に入れ、ウィーズがボールを奪った直後の隙を突き、前線へと上がる。

反面、ジェネシス陣営もウィーズがボールを奪うのを計算に入れていた故にMFもほぼ前線へと上がっていたせいで守備はDF4人だけとなっていた。

先程のアツヤのプレイを見て、雷門陣営の風丸や栗松とは真逆な意味で完全にやる気を無くしているDF4人はアツヤへのパスをわざと見逃し、シュートチャンスを作る。

アツヤ程度のシュートはニグラスなら簡単に止めれる、事実とはいえ完全に舐め切っている。

 

「……いいぜ!!やってやんよォ!!」

 

そして、ジェネシスのDFのスピードを直に体験したアツヤ自身、わざと道を譲ったDFの4人の意図は完全に気づいていた。

あのキーパーからゴールを奪って、その余裕を無くしてやる。

そんな意思が感じ取れる。

 

「吹き荒れろ……!」

 

ボールを中心に荒れ狂うブリザード、アツヤはその身を翻し、回転で勢いをつけた蹴りをボールへと叩き込む。

 

「エターナルブリザード……!!」

 

圧倒的な氷と風の猛威がゴールへと迫る中、ニグラスは溜め息を1つ着くと、そのボールを。

 

「グラーン、パス!」

 

いとも容易く蹴り返した。

 

呆ける彼を置き去りにして、雷門とジェネシス両方のメンバーの隙間を縫ってボールは一直線に反対側、ゴール前に立つグランの足元へとボールが渡り、彼自身困惑したような表情のままシュートを放つ。

 

「マジン・ザ・ハンドォ!!」

 

ジェネシスの猛攻に備えて、いつシュートが来てもおかしくないと構えていた円堂の背後から現れる魔神、そしてボールは魔神をかき消して円堂ごとゴールへと突き刺さる。

驚愕に包まれる雷門と『ジェネシス』

ジェネシスのメンバーですら、ここまでとは思っていなかった。

吹雪アツヤの必殺技をただの蹴りでゴール前まで弾き返したニグラスに対し、フィールド、いやフィールドのみならず周囲の人間は困惑し、そして畏怖した。

そして誰よりも。

 

「っ!!……ァァァ!!!!!」

 

アツヤの心が正に今完全に折られた。

シュートを止められることはあった、デザームに何回も止められた。

だがそれは、キーパーとして、キャッチングして止められたのだ。

ワームホールやドリルスマッシャーといった技に止められるのはまだわかる、自分も鍛えたとはいえあのデザームはかなり優れたGKだ。

だが目の前の少女はどうだ?

自身が渾身の力で蹴り出したボールをいとも容易く同じ土俵である脚力、シュートの要領で蹴り返したのだから。

 

自分のシュートがあのキーパーには完全に通用しなかったばかりか、シュートのパワーも負けた。

 

だが、そんな彼の想いなんて知らないと言わんばかりに試合は無情にも続く。

またも一瞬でゴール前へと迫るグラン、彼を止めようと風丸が迫るが、グランはそんな心の折れている彼に対して感じていた不満、そう覚悟もなにもなくフィールドに立つその態度に苛立ち、無意識に少しの殺意を抱いてしまう。

そんな気迫が、風丸の足を完全に止め。

 

「……来い!」

 

「好きだよ円堂くん……君のその目……!!」

 

グランはボールを宙へと軽く蹴り出す。

ボールへと追従し、捻りを加えた蹴りがボールへと叩き込まれ、強大なエネルギーと共にボールがゴールへと迫る。

 

「流星ブレード!!」

 

圧倒的なエネルギー、それを見て彼は反射的に駆け出した。

自身が渾身の力で放ったシュートよりも優れたパワー、それを彼自身2度も認めるわけにはいかなかった。

 

「クソがァァァ!!」

 

前線からアツヤが流星ブレードの前に立ちはだからんと駆ける、それを見た士郎が彼を守ろうと駆け出した。

 

「っ!!アツヤ危ない!!」

 

流星ブレードの正面へと躍り出てしまう吹雪兄弟、そして圧倒的なエネルギーの前に2人は弾かれ投げ出される。

なんとかして流星ブレードの軌道もゴールから逸れたものの、アツヤと士郎、2人は完全に気を失っていた。

 

心配そうに彼らに駆け寄る雷門の面々とそれを見るグラン、1人蚊帳の外といった感じの風丸。

グランは流石に自身のシュートをもろに食らった吹雪兄弟へと哀れみの視線を向ける。

 

「大丈夫かな……」

 

「行こうぜグラン、こんな奴らとやってもウォーミングアップにもなりゃしない」

 

その言葉を聞いてしまった風丸の目が再度驚愕に包まれる。

グランを除くジェネシスのメンバーが歩く姿に恐ろしい幻覚すら見えてしまう程に彼は打ちのめされていた。

最後にグランは。

 

「円堂くん……」

 

ふと、彼らを見つめる瞳子へと一瞬目を向けると、気にせずにまたね、とだけ言うとジェネシスのメンバーの元へと歩く。

グランがジェネシスのメンバーの元へ辿り着いた瞬間、黒い渦のようなものが現れ、彼らの姿を一瞬にして消してみせた。

そんな彼らを睨むように見送る瞳子。

 

1箇所が治ったとしても、歯車は欠けてしまえば別の場所に負荷がかかり、そこが更に欠け、更なる崩壊を生む。

歪む、歪む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいニグラス……てめぇ、なんだあれは」

 

不機嫌そうに彼女へと声をかけるジェネシスの大柄なFWウィーズ。

そんな彼の声音に不可解と言わんばかりの表情でニグラスは振り返るとなに?と首を傾げた。

 

「なにじゃねぇよ、てめぇ……キーパーの癖になんだあの脚力、俺やグラン並、下手すりゃそれ以上じゃねえか」

 

「……で?なんでそんなことを聞くの?」

 

睨み合う両者を窘めんとMFの細目の少年コーマと特殊なグラスをかけた少年アークの2人が駆け寄るもウィーズは構わずに吠える。

 

「あれは俺たちへの当てつけかって聞いてるんだよニグラス!!1人だけ最初からジェネシスの正規メンバーだもんなぁ!!ネロを押し退けてまでGKに居座って楽しいか?あ?!」

 

「……!」

 

ウィーズの一言に周囲のメンバーと誰よりもニグラスの目に動揺が走る。

ジェネシスの前身ともいえる、グラン率いるマスターランクチーム、ガイア。

そのキーパーをつとめていた小柄な少年ネロはジェネシスのレギュラーメンバーとしての参加を認められなかった。

必死の思いでバーン率いる圧倒的な攻撃力のチームであるプロミネンスとガゼル率いる攻守の切り替えの俊敏なチームのダイアモンドダストからジェネシスの座を手に入れた彼ら。

そんな彼らに告げられた『父さん』からの言葉は彼らを驚かせた。

 

『これからはキーパーは秀子に任せます、君之(きみゆき)はジェネシスの補欠選手としてこれまで通り特訓に励んでください』

 

君之……ネロのあの時の表情をジェネシスの面々は忘れないだろう。

そして、ニグラス自身も。

 

「……言いたいことはそれだけ?」

 

「ァア?!」

 

ニグラスはウィーズに背を向け、何処かへと歩き出す。

 

「どこに逃げる気だテメェ!」

 

「父さんからの指令だよ、私は引き続き豪炎寺修也を探すんだよ……大丈夫、ザ・ジェネシスの出番には間に合わせるから」

 

「逃げるなって意味だ!」

 

歩くニグラスの肩に手を伸ばしその歩を止めるウィーズ、振り返ったニグラスの目は酷く濁っていた。

 

「っ!!」

 

「邪魔だよ由宇(ゆう)」

 

肩にかけられた手を無理矢理に剥がすニグラス、ウィーズは思わず彼女から距離をとる。

 

「わりぃ……秀子……気が立ってたみてぇだ」

 

「あっそ」

 

それ以上彼女の歩を止める者は……否、止められる者はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗い部屋にて、再度彼らは集う。

 

「面白かったかよ、グラン」

 

「なんのことだい?」

 

3本の柱、そしてその座に居座るは3人の影。

蒼い光を浴びるガゼル、紅い光を浴びるバーン、そして白い光を浴びるグラン。

 

「とぼけちゃってよぉ……」

 

「雷門とやりあったみたいだね、ザ・ジェネシスの名の元に」

 

「あれはただのお遊びさ」

 

「ほぉ……?」

 

どこか苛立ちのようなものを感じさせる2人に対し、グランは飄々とした態度で続ける。

 

「興味深いと思わないか?雷門イレブンは……特に円堂守、彼は面白い」

 

「軽く捻り潰した相手がか?」

 

バーンの言葉に軽く笑って再度グランは言葉を紡ぐ。

 

「君も戦えばわかるさ」

 

グランの言葉なんて興味ないと言わんばかりにガゼルから。

 

「たしかに今は……君たちガイアがザ・ジェネシスの地位についているが油断をしない方がいい」

 

「忠告として聞いておこう」

 

「ふん、すぐに俺たちプロミネンスがその座を奪ってやるさ」

 

「それはどうかな?我々ダイアモンドダストも引き下がるつもりは無いよ」

 

言葉の隅に棘を混ぜ、視線で静かに火花を散らす3人。

そんな中バーンは静かに笑うと小さな声で呟いた。

 

「……円堂守」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、今の君たちには雷門の練習相手になるだけの充分な実力がついたわけだけど」

 

福岡から、ついに舞台は沖縄に。

 

秀子は影山の支配から脱した彼ら真・帝国学園のメンバーに力を貸してほしいと2つのことを頼んでいた。

1つは豪炎寺を隠すための隠れ蓑。

元々、鬼瓦という刑事の指示で沖縄にある土方の家に隠れていた豪炎寺だが、思いの外すぐに吉良財閥の手が沖縄へと迫った。

秀子が土方の家の付近へと調査に当たるなどしてなんとか誤魔化してはいたがついに限界が訪れた際に秀子は瞳子を通して真・帝国学園のメンバーを影山から保護するという名目の元、彼らを土方の家へと派遣、元々真・帝国学園にあまり興味のなかった彼らは秀子がいない沖縄での調査の際、真・帝国学園のメンバーが1人増えていることに気づかなかった。

 

「源田くんもありがとうね、治療の直後なわけだけど……大丈夫?」

 

「……最初聞いた時は耳を疑った、まさか雷門の監督がエイリア学園と密かに通じ、君は君でスパイとして活動していたとは……だが実際に雷門の監督から説明された以上、協力しよう」

 

そしてもう1つ。

帝国学園のGK、源田が更にメンバーとして追加、さらに土方雷電、彼の力を借りる事で雷門イレブンの強化のために真・帝国学園は再度集まる形となったのだ。

 

「だが、本当に驚きだ……ビーストファングの改良までしてくれるとはな……」

 

その言葉に不動が不敵に笑う。

 

「そりゃあんなギャーギャー泣き叫ぶような危険な技を使われちゃあ雷門のヤツらだって気が気じゃないだろうよ」

 

「ぐっ……!!」

 

その言葉に思うところがある彼は言い返せずにいる。

そんな彼に対し、秀子は不動を窘めた後に軽い調子で声をかける。

 

「威力は本来のビーストファングの70%ってとこまで落ちるけどね、君ならそのハイビーストファングを使いこなせるよ」

 

ビーストファングが高密度のエネルギーを両手で生み出しそれを直にボールへと叩きつける技なのに対し、源田が元々使っていたパワーシールドやフルパワーシールドはそれを1度地面を緩衝材として使う事で威力が分散するものの身体への負担を最小限に留めた技と言える。

秀子はビーストファングの出力と負担を本来のビーストファングの約30%程度まで下げつつ、源田の動きから彼のより力を込めやすい体位や角度を計算し効率化させることで威力をカバーしたハイビーストファングを彼に授けたのである。

 

「いくら身体への負担を軽減したとはいっても限度はあるから3回かな、3回使ったらフルパワーシールドとかに切り替えるようにね」

 

「わかってるさ」

 

「……じゃあ、後は任せたよ」

 

秀子はそれだけ言うと沖縄に置いてある自分の荷物を片付け始める。

 

「……本当に戻んのか」

 

不動の言葉に1度は手が止まるものの、秀子は片付けを再開する。

 

「……うん、イプシロンが倒されれば次はマスターランクチームの出番、私はエイリア学園として彼らと戦わなきゃいけないから君たちにもう特訓はしてあげれないなぁ」

 

「ありがとよ」

 

不動の言葉に顔を見上げると、不動と源田含む真・帝国学園のメンバーが頭を下げていた。

 

「影山のせいで元いた学校にも戻れなくなりそうだった俺らを助けてくれたのはお前だ」

 

「佐久間と俺に忠告してくれたにも関わらず、それを無視した俺に……あの技を託してくれてありがとう」

 

2人の言葉に涙腺が緩むが、それをなんとか食いしばって涙を流すのを堪える秀子。

雷門との試合やザ・ジェネシスのメンバーとのやり取りでどこか精神的に追い詰められていた彼女は少し彼らを助けられたことに安堵し、そして彼らに助けられたと少し救われた気待ちになる。

 

「……また、一緒にサッカーするぞ」

 

最後に彼女の肩を叩いた小鳥遊の言葉に涙腺が崩壊するも、涙を見せまいと彼女は後ろを振り返らずに歩き出した。

 

「後は任せたよ……!」

 




活動報告にて、好きなイナイレキャラを募集します。
脅威の侵略者編が終わった後に読者イチオシメンバーイレブンと主人公の黒山羊秀子率いる作者の中で『ある基準』に基づいたイレブンとの試合を書きたいと思っています。
キャラの名前、所属中学、ポジション、好きな点を書いて下さると助かります。
尚、海外勢やgoのメンバーは残念ながら対象外とし、そしてアレス時空のメンバーは時間軸的に1年前となることを考慮した上でご応募下さい。
例:灰崎はアレス時空で中一なので今の時間軸では小6と虎丸と同級生となります。
よろしければご応募下さるとありがたいです。
尚、応募して頂いたキャラが秀子のチームにいる可能性もあるのでその点もご注意ください。

以下追記
yypkmn様、重要な情報を教えてくださりありがとうございます。
感想でのアンケートが禁止されているということでしたので、活動報告へと変更致しました。
無知からの行動とはいえ禁止されている行為に手を染めてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけしたこと、大変申し訳ございません。
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