イナズマイレブン『黒山羊の意思』   作:mr.?

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お久しぶりです、まだまだ暑さの治まらない9月もよろしくお願いします。

1度書いたデータが消えた時はふて寝しました。


9/5みなてぃー様誤字報告ありがとうございます
同じく9/5サッカーの知識不足によるルールミスがあったため修正


じゅうななわ

「なんだあの技は……」

 

鬼道は困惑していた、真・帝国学園は影山が発足したチームであり前回の試合などでも使っていた技は帝国学園のものに通ずるものがあった。

だが、今彼女が使った技は帝国学園には全くないものだ。

つまりは彼女のオリジナル、だが前回彼女がMFをつとめていたこともあり完全にノーマークだった。

更には源田の新技もビーストファングの調整など技の考案者である影山と源田とは繋がりが無いはずなのに技を改良できている。

まだパワーシールドの強化版などなら話は分かる、あの技もビーストファングの派生だからだ。

だがアレは今源田の使った技とは真逆の方向性だ。

ビーストファングの効率化、影山も源田も着手したものの到達できていなかった領域にも関わらず短時間で成功している。

真・帝国学園の背後に何者かいるかもしれない、鬼道はそう思うものの、その存在が誰かまでは辿り着けない。

まさか、エイリア学園のザ・ジェネシスのメンバーだなんて想像もつかないだろう。

 

目座のスローインで再び試合が始まる、受け取った比得は即座にパスを繋げようとするものの士郎がそれをカットした。

士郎から鬼道へとボールが繋がり、鬼道は前線へと攻め込む。

鬼道の目前にはモヒカンの少年、真・帝国学園のキャプテンである不動明王。

鬼道がフェイントを仕掛けるも不動はそれに騙されない、鬼道が突破しようと加速するのを立ちはだかって阻害する。

不動がボールを奪おうとすれば鬼道はそれを回避する、不動がボールを弾こうとするがそれすらも鬼道は許さない。

2人の実力はほぼ互角。

 

不動程の選手がFFに出場していれば話題になっていたはずなのに。

瞳子監督や入院中の佐久間から聞いた話によれば。

鬼道程ではないが不動は実力者としてその地域では有名な選手だったらしい。

鬼道と違う点は……簡潔に言えば財力である。

鬼道は鬼道財閥に引き取られたことで金銭的には余裕があるどころか余るほどであると言えるだろう。

だが不動はその才を伸ばすのより、母親の力になる事を選んだ。

金銭的に余裕が無い中、自分のサッカーに母の努力して稼いだお金を使わせるわけにはいかない。

それが彼の選択だった。

他の真・帝国学園の選手たちもそのような家庭環境らしい。

そして、そこを影山に狙われたとのこと。

彼らの親を人質に彼らを無理矢理従わせていたとの事、前回の試合も源田と佐久間の暴走を止めようとしていたらしい。

 

エイリア学園との試合とは違う、正々堂々な上に実力はほぼ互角な展開に無意識に口角が上がる。

鬼道はボールを踏み付けるとまるでボールが増えたような錯覚を起こし、さらに鬼道の周りを舞ってみせたではないか。

 

「イリュージョンボール……!!」

 

鬼道有人の十八番ともいえる技、イリュージョンボール。

不動は自らを抜いてみせた鬼道に対し軽く舌打ちする、鬼道はそのまま前線へと突き進む。

鬼道に追従するかのように前線へとあがる一之瀬、2人は息のあったコンビネーションで真・帝国学園のDFたちを軽々突破していく。

そしてゴール前へと躍り出た2人、一之瀬が飛び上がり鬼道が真上へとボールを蹴り上げると一之瀬がヘディングで鬼道の元へボールを弾き返す、そのボールへと渾身の蹴りを繰り出す鬼道。

2人の連携によりパワーが込められたボールは勢いよくゴールへと迫る。

 

「ツインブースト!!」

 

そんなボールの前に立ちはだかる男、土方は軽く手を広げ脚を大きく上げる。

すると宙に巨大な足の形をしたオーラが現れる、そして勢いよく迫るシュートに対しソレは土方の動きに連携するかのように叩きつけられた。

 

「スーパーしこふみ!」

 

圧倒的な圧力によりシュートは止められ、土方がそれをキープするとアツヤが待っていたと言わんばかりにボールを奪いに走るが。

土方はアツヤが辿り着くより早く、それを思い切り蹴り飛ばした。

高く放物線を描いて飛ぶボールの先、待ち構えるは不動と比得の2人。

2人はボールに合わせて飛び上がり、二人同時に比得の打った百列ショットの構えをとると同時に連続でボールへと蹴り込む。

単純計算で先程の倍の蹴りがボールへと叩き込まれ、勢いよくボールはゴールへと突き進む。

 

『二百烈ショット!!』

 

壁山がボールの前に立ちはだかり、その背後に巨大な壁が現れた。

 

「ザ・ウォール!うぉおお!!」

 

巨大な壁が少しシュートの勢いを削るものの壁はシュートの勢いに負けてしまい砕かれた。

円堂は脚を高く上げてから強く地面を踏み締め捻りを加えた拳を突き出した。

 

「正義の鉄拳……!!」

 

回転する拳型のエネルギーがシュートにぶつかり、少し拮抗した後、シュートを弾き返した。

 

だが、その先に待っていた小暮がボールを確保するより早く、小鳥遊がそれを抑えた。

 

「なあっ!?」

 

「今度こそ決めてやる……!!」

 

小鳥遊が右手を凪ぐと、女性のような風貌の紫色の魔人が現れ彼女がボールを蹴り上げるとそれに魔人は追従する。

高く上がったボールを魔人は地面に向けて殴りつけ、下方で待ち構えていた小鳥遊はソレを強く蹴りつける。

 

「ヴェノムドライブ……!!」

 

紫色の毒々しいオーラを纏ったボールが間髪入れずにゴールへと向かう。

だが、円堂は再度脚を高く上げて地面を踏み締める。

捻りを加えた拳を突き出す……がエネルギーが現れるより早く、小鳥遊のヴェノムドライブが円堂の拳へとぶち当たり、勢いが増す前に円堂を拳ごと弾き飛ばしてゴールへと突き刺さった。

 

「……」

 

小鳥遊の表情が心なしか少し明るくなって彼女自身声を上げようとした時だ。

 

『よっしゃあっ!!!』

 

きょとんとする小鳥遊、今の声は?と後ろを振り向けば。

 

「やったな小鳥遊!あの円堂からゴールを奪うなんて!!」

 

「雷門相手に先制点……!!行けるぜ!!」

 

小鳥遊が決めた先制点により0-1で真・帝国学園リード、そう背後にいたメンバーたちはまるで自分が決めたと言わんばかりの歓喜の表情を浮かべ、小鳥遊を祝福する。

 

「テメェら!まだ前半なんだ、気ぃ抜いたら逆転されっかもしれねぇだろ!!落ち着け!!」

 

そんな風に窘める不動も心なしか口角が少し上がっている。

そんな彼らの姿を見て更に燃えるのが雷門イレブン。

 

「俺達も負けてられないぞ!」

 

「よし!ここから逆転だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒髪が跳ねる、デザームはドリブルでゴールに向かって走り、突如その姿が沈んだ。

 

よく見ればデザームがいた場所にはワームホールのような穴が生まれており、その奥には渾身の力でボールを蹴り出すデザームの姿。

 

「グングニル……!」

 

空中に現れる穴から一筋の槍のようなエネルギーを纏ったボールが現れ、一直線にゴールへと迫る。

ゴール前に立つのは1人の黒髪の少女。

 

「ザ・プレデター」

 

腕を凪ぐと爪のようなエネルギーが現れ、槍と爪が拮抗する。

拮抗したソレに向かって彼女が回転すると複数回の打撃音の後、ボールは真っ直ぐに反対側のゴールへと突き進む。

 

「ワームホール!!」

 

ゴール前に立ちはだかるゼルが両手を広げると緑の穴が現れソレを吸収せんとするがその穴は引き裂かれ、ゼルの身体を弾き飛ばしてゴールへと吸い込まれた。

 

「……覚えた?」

 

黒髪の少女……ニグラスが尋ねると悔しそうな顔をしているふたりが同時にもう一度……!と吠えた。

再度グングニルを放つデザーム、ニグラスはザ・プレデターでソレを難なく跳ね返し、ザ・プレデターを止めれず弾き飛ばされるゼル。

この光景はもう何度目だろうか。

 

「ザ・プレデターは私の考案した中でも中々高威力な技だからね、マスターランクのキーパーの皆にだって教えてないんだよ?」

 

ニグラスのその言葉に真剣な表情を向ける2人、ニグラスは笑顔で続ける。

 

「この技の前提条件は脚力に優れてることだからねー、FWとGKの両方を務められる君らじゃないと覚えられないかもしれないんだー……だって」

 

彼女の口が一際ニィと弧を描く、その様はまるでいたずらに成功した子供のようでありながらどこか妖しさも伴っている。

 

「ザ・プレデターはシュート技だからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「円堂、真・帝国学園は佐久間と源田、それとキャプテンの不動を警戒すればいいだけの前回とはまるで違う……あのディフェンスを無理に突破しようとすればカウンターで追加点を取られるかもしれない」

 

鬼道の言葉に雷門イレブンは顔を暗くする。

既に前半が終了しており未だに点数は0/1のまま、FWの2人とキャプテン不動の不意をつくような連携に防戦一方となっていた。

ディフェンスの厚いチームではあるが、その3人の連携は1+1+1は3よりもっと大きいものとなっていたのだ。

今の雷門にかけているもの、吹雪のエターナルブリザードは確かに強力な技ではあるが威力よりスピードを重視したあの技では突破できないのだ。

強力なシュート技が求められていた。

 

「アツヤ……」

 

「んだよ兄貴……」

 

そんな中、士郎はアツヤへと声をかけた。

アツヤの目線は兄の士郎ではなく、真・帝国学園の源田と土方へと向けられていた。

アツヤは内心焦っている、それは士郎もわかっていた。

 

「いいかいアツヤ、アツヤのエターナルブリザードはたしかに凄い技だ……僕には真似できてもアツヤほどの威力は絶対に出ない、でもエターナルブリザード小学生の時にアツヤが考えた技だ……これから先更に厳しくなっていく戦いでは通用しないのかもしれない」

 

その言葉を否定しろと鬼のような形相で士郎を睨むアツヤ、士郎はそれでも続ける。

 

「僕達が諦めてた技を今こそ試そうよアツヤ、ウルフレジェンドはまだできないかもしれないけど……もう1つのホワイトダブルインパクトならきっと源田くんのあの技も突破できるはずだよ、僕とアツヤ、1人では壊せない壁でも2人なら……!!」

 

「……俺一人じゃ不足だってか?」

 

「違うよ、僕だけじゃボールを奪えても勝負には勝てない、君だけじゃディフェンスを守ることはできない……1人で完璧な人なんていないんだよアツヤ……2人でやれば僕達はもっと強くなれるんだ」

 

その言葉にニヤリと笑ってみせたアツヤ、その顔を見た士郎も同じく笑う。

 

「わかったよ……行くぜ、兄貴」

 

「うん、頑張ろうアツヤ」

 

アツヤが拳を突き出せば、士郎もそれに応える。

 

歪んだ歯車は時間をかけることができれば修復できるのだ。

 

「キャプテン、僕達に秘策があるんだ」

 

士郎が声を掛ければ円堂とその隣にいた鬼道が振り返った。

 

「僕とアツヤ2人の必殺技で源田くんのあの技を突破してみせるよ」

 

「わかった!任せたぜ2人とも!!」

 

「……たしかに、俺たちの中で1番突破力が高いのはアツヤだ……任せるしかないか」

 

満面の笑みで答える円堂とは対称的に少し不安げな表情なのが鬼道だ。

たしかにアツヤは凄いシュートを打てるのだが連携に難があるためか、序盤の1回以外、ゴール前まで辿り着けていない。

 

「大丈夫だ」

 

そんな鬼道に向かってアツヤは不敵に笑う。

 

「俺達が決めてやる……!」

 

 

後半は雷門ボールでの試合開始、浦部が蹴り出しアツヤが走り出すがアツヤの前に立ちはだかる不動。

アツヤは確かにフィジカルに優れた選手だが、そういう選手を翻弄するのが得意なのが不動……それはアツヤ自身もなんとなく察知していた。

だから。

 

「ほらっ!!鬼道サン!」

 

不動が迫る中、アツヤはノールックでのバックパス。

これは真・帝国学園だけではなく、雷門も少し困惑していた。

だが、そのパスを受け取った鬼道はニヤリと笑った。

やっと、連携を取るようになったかアツヤ!と内心歓喜していた。

今までは手綱を握るようなゲームメイクだったが、アツヤが協力してくれるのなら、それはより効率的なゲームメイクが可能になるのだから。

 

鬼道、一之瀬が中心となって真・帝国学園のディフェンスを少しずつ、だが確実に掻い潜って進む。

そして、2人が前線に上がることでできたディフェンスの隙をつくように士郎が前線へと上がった。

そして士郎へとボールが渡り、アツヤが士郎の元へと駆けるが。

アツヤよりも早く士郎の前に立ちはだかる土方。

 

「行かせねぇぞ!スーパーしこふ……」

 

彼が片足を高く上げるのに対し、士郎はボールと共に高く跳んだ。

土方が作り出した巨大な足の形のエネルギーを飛び越え、更にその背後からは幻想的なオーロラが顔を覗かせる。

 

「オーロラドリブル……!」

 

土方は幻想的なオーロラに目を奪われ、気づけば士郎はもう既に彼を抜き去っていた。

しまった!と彼が叫ぶ中、吹雪兄弟がゴール前へと躍り出たのだ。

 

「合わせろアツヤ!」

 

「無理に合わせなくたって俺たちならいけるに決まってんだろ兄貴!!」

 

士郎がボールを蹴り上げ、それに回転をかけるアツヤ。

それと共にエターナルブリザードの時よりも強い吹雪が辺りを包み……まるで雪原へと迷い込んでしまったかのような錯覚を起こす程だ。

吹雪の中心に舞うボールへと両サイドから同時に回転しながら跳ぶ吹雪兄弟、そして2人は回転の勢いと捻りを加えた蹴りをボールへと叩き込んだ。

 

『ホワイトダブルインパクトォオ!!』

 

圧倒的な質量の氷と風が一気にゴールへと迫る中、源田は心臓へと手を掲げると鼓動と共に彼の背後へと現れる獣のようなオーラ。

そして巨大な吹雪へと彼は飛びかかった。

 

「ハイビーストファング!!」

 

源田の両手がまるで牙のようにボールへと食らいつく、巨大な吹雪へと立ち向かう獣。

そして拮抗する両者だが、長くは持たなかった。

凍りついていく牙、獣は少しずつ消耗しても尚吹雪はその勢いを止めない。

源田が必死に抗うが、そのパワーは源田の許容範囲を超えていたらしい。

 

「ぐっ、がぁっ?!」

 

苦悶の声をあげる源田は吹き飛ばされ、ゴールネットへとボールが突き刺さった。

 

「協力したからこそ、あの技を決められた……やったねアツヤ!」

 

「ああ!俺たち2人のゴールだ!!」

 

アツヤの言葉に思わず声をかけようとする士郎だが、その声は自陣からの歓喜の声に掻き消された。

賞賛の声が吹雪兄弟へと向けられる。

浦部なんて悔しいと言いながら賞賛する矛盾じみた行動に一之瀬も困惑しながら抱きつかれている。

 

「次はアタシたち2人のラブラブバタフライドリームやね、ダーリン!」

 

「えぇ?!」

 

次第に笑い声へと変わっていく最中、士郎は言えずにいた。

士郎はアツヤが本当にわかっているのか不安だ。

今のシュートを打てたのは他の皆も協力してくれた故なのだから。

だが、そんな彼の思案も他所に試合は続く。

 

その後も試合は暫く一進一退の白熱したものとなった。

小鳥遊が再度ゴール前へと迫る、それに応対するは塔子と壁山。

巨大な塔と壁が現れると、身軽故に体の軽い小鳥遊を弾き飛ばした。

 

「ぐっ!!」

 

「ボールは貰ったっスー!……ってあれぇー?!」

 

だが、弾き飛ばした小鳥遊はボールを持っていない。

 

「ヒャッハァ!!」

 

気づけば宙に舞い上がる比得、そしてボールを持っていたのは不動。

 

「マキシマムサーカス!!」

 

不動の掛け声と共にボールが5つに別れ、不動はそのボールを連続で宙へと蹴り上げた。

空中で1つへとまとまるボールには不動渾身の5発分のエネルギーが込められており、それを比得は踏みつけるかのように何度も何度も蹴りつけた。

 

「百列ショットォッ!」

 

2人の……否、囮となった小鳥遊も含めて3人の連携で高威力のシュートが再び円堂を襲う。

だが、円堂の元に辿り着く前に小暮が立ちはだかった。

逆立ちの体勢をとると、脚を高速で回転させる小暮。

 

「旋風陣!!」

 

その名の通り旋風がシュートの軌道をずらそうとするものの、不動がニヤリと笑った。

 

「その程度で防げるかよぉっ!!」

 

旋風をすり抜けシュートは小暮をスルー、勢いは止まらず円堂の元へと迫る。

脚を大きく上げる円堂、強く踏み締め、捻りを加えた拳がシュートへと向けられる。

 

「正義の……!!」

 

その時、立向居は震えた。

彼は円堂の習得した正義の鉄拳という技に少し違和感を覚えていた。

ゴッドハンドやマジン・ザ・ハンドは1度目にしただけで圧倒され歓喜で身が震えた。

だが、正義の鉄拳にはそれを感じなかったのだ。

たしかに正義の鉄拳は円堂の持つ2つの必殺技より高い威力を秘めている、それは彼も感じていた。

だが、必殺技を1匹の獣に例えるならゴッドハンドやマジン・ザ・ハンド、そしてデザームの使ったドリルスマッシャーや源田のビーストファングはライオンや虎、ジャガーを見ているかのような覇気を纏っていた。

だが、正義の鉄拳はライオンはライオンでも子供のライオンを見ているようでどこか危なげだった。

その正義の鉄拳が前よりも覇気が強まっているかのような、そう、子供のライオンが成長しているかのような錯覚を覚えたのだ。

 

「鉄拳!!」

 

回転する拳のエネルギーは前よりも密度を増しており、回転の勢いも強い。

マキシマムサーカスと百列ショットの連携技に対して少しの拮抗の後、軽々と跳ね返した。

 

『なっ?!』

 

驚愕する2人をおいてけぼりにしてボールは士郎の元へと渡った。

士郎へと迫る真・帝国学園のMF目座と日柄、だが士郎は持ち前のスピードで簡単に2人を突破してみせた。

呆気に取られる2人を後目にボールは一之瀬へと渡る。

一之瀬と鬼道、そして浦部とアツヤの4人が同時に上がることで真・帝国学園のDFたちは対応に追われるが、得点源は吹雪兄弟だということを察知したDFたちは咄嗟に皆アツヤに重点を置いたマークとなるが一之瀬は軽く笑うとパスをせずそのまま駆け出した。

その動きに反応していた土門と円堂の2人がその背後に控えていた。

既に一之瀬へとボールが渡っていた時には動き出していたのだ。

 

郷員や竺和が咄嗟に駆け出すが、3人はボールを中心に交差し炎とともにボールが舞い上がる。

炎を纏ったボールへと追従し、3人はそれを踏みつけるかのように蹴り出した。

 

『ザ・フェニックス!!』

 

蹴り出した瞬間、ボールの周りを舞っていた炎が巨大な不死鳥の如き形を描き、ボールと共にゴールへと迫る。

源田は心臓へと手を掲げ、大きな鼓動と共にその目が獣のように輝く。

背後に現れる獣のようなオーラ、そしてボールへと飛びかかった。

 

「ハイビーストファング!!」

 

野獣が不死鳥を狩らんと牙を剥き、不死鳥の身体……パワーを削る。

少しずつ圧倒していくハイビーストファングのエネルギーにザ・フェニックスがもう消えかけた……そう思われた時。

 

再度灯る炎、消えかけた炎は先程より威力を増して獣を焼く。

 

「ぐっ!!おっ……おおおお!!」

 

源田が思わず苦悶の声をあげる、真・帝国学園のメンバーが見守る中彼は渾身の力を振るうが。

彼の身体が少しずつゴールラインへと押し込まれ。

 

『いっけぇええ!!』

 

源田はボールをなんとか押さえ込んだ、あまりの威力に弾き飛ばされそうになったが彼は踏みとどまった。

だが、その身体はボールごとゴールラインを超えてしまっていた。

 

2/1

 

雷門イレブンの勝利である。

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