リハビリの待ち時間に書いてたぶんを吐き出しきってしまったけど悔いはない……。
ダイアモンドダストとの戦いの後、試合で活躍したアツヤと仲間として新たに加わったアフロディによって雷門の面々の士気は上がっていた。
「一緒に戦ってくれるんだな!」
「ああ、よろしく!」
「歓迎するわ」
「感謝します監督……失礼ですが、外から見ていた者として前回のイプシロン戦までの感想としては今は改善されつつありますが雷門は決定力不足でしたから」
「ふっ、言ってくれるじゃないか」
「言うねェ、アフロディさァん?」
アフロディが挑発するように言うと豪炎寺とアツヤは挑発にわざと乗って笑顔で返す。
その反応を見てアフロディ自身も笑顔で返す。
「君たちの強さはこんな物じゃ無いはずだよ?僕は君たちを勝利に導く力になりたいと思ってる」
「ニシシ……さっきは勝てなかったけどね」
「こら!!」
小暮もアフロディのことを心強い味方と認識したのか軽口を叩き、リカも燃えているが一之瀬にやんわりとまずは怪我を治さないとねと言われてイチャついていたり。
活気に満ちていた。
「ようし!エイリア学園を完全にやっつけるまで頑張るぞ!!」
『おう!!』
そんな中、瞳子が円堂に声をかけた。
瞳子の真剣な表情に面食らう円堂、暫しの沈黙の後。
「円堂くん、あなたにはゴールキーパーを辞めてもらうわ」
「……え?」
その言葉に皆凍りついた。
ダイアモンドダストとの戦いよりも冷たいものが背筋を襲った者もいる。
それ程までの衝撃だ。
だが、その言葉に納得している者たちもまたいた。
だが、円堂自身まだ言葉を呑み込めてすらいなかった。
「監督、今なんて?」
「キーパーを辞めてもらう、と言ったのよ」
「そんな……急にそんな事言われても……」
瞳子は何人かに視線を送る、その面々は頷いた。
だが、反発の方が大きい。
塔子や綱海といった途中参加メンバーや最初から雷門のメンバーだったもの達の反発はそれよりも大きい。
だが、瞳子は全員の意見を聞き遂げた上で更に言葉を重ねた。
「勝つために、キーパーを辞めて欲しいの」
「……勝つため?」
円堂がその言葉の真意を理解する前に、鬼道が声を上げた。
「俺は監督に賛成だ」
その言葉に裏切られたかのような表情になる円堂だが。
鬼道はその表情を見て少し心が痛むが、まだ誤解しているとわかり言葉を続けた。
「俺たちは地上最強のサッカーチームにならなければならない……お前が必殺シュートのために前に出る事で敵に得点のチャンスを与えてしまうならそれは大きな弱点だ」
「鬼道クンの言う通りだ、ゴールキーパーのキャプテンがフラフラしてたら守備の連中も縮こまっちまうんだよ……なんせ後ろに控えてるはずのゴールキーパーがいねぇんだもんなぁ」
2人の言葉に試合中に連続で起きたダイアモンドダストの得点チャンスを思い出す面々、たしかにあの時はプレッシャーに強い綱海や不動はまだしも壁山や小暮は思うように力を発揮できていなかったように思える。
「そして、今回の試合での士郎クンのプレイを思い出してみろよDFが1人前線に出たくらいだったら俺たちはカバーできる……そうだろ鬼道クン?」
「……その通りだ不動、だからこそ円堂お前には代わってもらうんだよ。
お前はリベロになるんだ」
リベロ、イタリア語で自由という意味を持ちサッカーにおいて前線にも攻めるが基本はディフェンダーを務めるポジションの名を聞いて円堂はハッとするが……綱海や小暮……あとは元々サッカー部だが壁山といった知識が浅いものたちはピンと来ないようで目金が説明している。
「2人も同じ事を思っていたようね」
「ええ、エイリア学園に勝つために俺たちはもっと大胆に変わるべきなんじゃないかと……その鍵になるのが円堂じゃないかと」
鬼道のその言葉にダイアモンドダストとの戦いの最後、円堂が出したあの名前すらまだない正義の鉄拳に似たあの技を円堂自身思い出した。
「ペナルティエリア外のあのプレイか……?」
「あの技をマスターすれば、お前は攻守に優れたリベロになれる」
不動はその後ろで士郎にも同じような事を言っている。
「リベロの案件はお前もだぜ士郎クン、アイスグランドにホワイトダブルインパクト……アツヤとの連携もバッチリ……キャプテンと士郎クンどちらかが攻撃に加わる事で攻撃に変化を加えて敵を揺さぶるってのは中々良いとは思う……だが、それだけ俺たち司令塔との連携も重要になってくる
士郎クンはリベロを務めるにはちょいとばかりスタミナが足りねぇからなぁ」
「うん、僕も頑張るよ」
その会話の裏、円堂はついに決意を固めたようで。
「わかった、やるよ
勝つために強くなるために変わる……リベロになる!」
決意を込めた言葉に燃えてきた雷門のメンバー、豪炎寺は軽く笑うと。
「リベロ円堂か……面白いじゃないか……!!」
そして会話は進み円堂が不在のゴールを誰が守るか……だが、円堂は既に決めていた。
円堂は笑顔で1人の少年を指名した。
「立向居がいる」
「俺が……ですか?」
動揺する立向居、そしてそんな彼の姿を見て不安がるメンバーたちを説得するように、立向居を鼓舞するように円堂は続ける。
「大丈夫だ、俺さ……上手く言えないけど、立向居からは可能性を感じるんだ
なんか物凄いやつになる気がするんだよな、コイツに任せておけば大丈夫な気がしてくるんだ」
「……でも、俺……俺が……雷門のゴールを守るんですか……?」
その言葉に感動しながらも、自分の敬愛する円堂の代わりが務まるのか?そんな不安が消えない。
「私からもお願いするわ」
「ゴッドハンドもマジン・ザ・ハンドも覚える事ができたお前だ、円堂の後継者には最も相応しいと言えるだろう」
「てか、他にいんのかよ?キャプテンと立向居クン以外に俺たちのゴールを任せていいってやつ?」
監督の瞳子、司令塔の鬼道と不動の賛同を得られた事に満足し頷く円堂。
円堂は笑顔で立向居へと再び向き直る。
「なっ?俺たちのゴールを守ってくれ!」
「……はい!やります!!」
敬愛する円堂を含めて皆が自分を認めてくれている、その言葉の感動して少し返事に詰まってしまいはしたが立向居は勢いよく応えた。
立向居の事を鼓舞するように周りのメンバーも次々に立向居へと声をかける。
「ありがとうございます監督!ありがとうございます円堂さん!!
俺、頑張ります!よ、よろしくお願いします!!」
緊張のし過ぎで先程から固くなってしまっている立向居の緊張を解すように周りが笑顔で立向居へと声をかける。
そして、ドヤ顔で目金も語り始める。
「これは……雷門イレブンにとって革命です……!!円堂くんのリベロ!アフロディくんのフォワード!立向居くんのキーパー!
まさに超攻撃型雷門イレブンの誕生です!!」
言っている事は先程までの会話の纏めだが、改めて言葉にした事によって士気が再度上がる。
攻めあぐねて得点のチャンスを逃した事は今までの試合で何度かあった……だが、それはこの革命によって改善され雷門イレブンはもっと強くなる、強くなれる。
その思いは皆に更なる活力を与えた。
その後、イナズマキャラバンで移動中アツヤが病院の前で声を上げた。
「おっと!おっさん!!ここで1回降ろしてくれ!!」
「どうしたんだアツヤ?」
「なにかあったのかいアツヤ?!」
アツヤの言葉に驚く円堂と士郎、アツヤはちょっとな!と声をかける。
イナズマキャラバンの運転手も務めている雷門中の用務員、古株がイナズマキャラバンを病院の近くで停車させる。
「試合の前に染岡にデッケェ借りができちまったからな!礼の1つも言わなきゃ男じゃねェしな!!」
「気をつけるんだぞアツヤ!俺の家の場所わかるか?!」
「キャプテン、僕に住所を送ってくれれば夜には辿り着くから安心して!
アツヤ、僕も行くよ!!」
吹雪兄弟はイナズマキャラバンから下車し、病院へと足を運んだ。
他のメンバーも行きたい気持ちはあったが、大人数でいきなり行くのは失礼よ?とマネージャーの雷門夏未からのお言葉もあり自重したようだ。
吹雪兄弟が受付に声をかけるが。
「ええと……染岡竜吾さんでしたら本日退院なさってますね、ご友人でしたらお家の方に訪ねてみてはいかがでしょうか?」
「え?」「は?」
イナズマキャラバンはもう既に姿がなく、兄弟は2人で並んで東京の地を歩く。
「染岡のやつ……今日退院ならちゃんと言っとけって話だよな」
「アツヤの事だから話も聞かずにこっちに来たんじゃないの?」
「アァ?!有り得るな……」
「今日の試合、勝てなかったけど楽しかったねアツヤ」
「そうだな……でも次は俺一人でも決めてやるよ」
「アツヤ、またそんなこと……!!」
士郎がアツヤの方を振り向けばニヤニヤとアツヤが笑っており、わざと前の協力できなかった自分を演じて言っていた事がわかった。
「……アツヤ?」
「ちょっ!兄貴こえーって!顔が超こえーって!!落ち着けよ兄貴!ちょっ!!」
走るアツヤと士郎、2人の表情はとても穏やかで笑顔で。
2人とも思った。
こんな風に戻れて良かった、と。
暗い部屋にて3人はまたも集まった。
紅蓮の炎のような少年バーンが嘲笑うかのように告げる。
「まったく……情けねぇ野郎だ……自分から喧嘩売っといて引き分けとはなぁ?
同点は敗北と同じ……だっけ?という事は今のお前は」
「私は負けた訳では無い」
視線の先極北のような冷たさを纏った少年ガゼルが睨み返し、言葉を遮った。
「雷門イレブンのスペックは十分に把握出来た、勝利は確実だ」
「生憎、そのデータは無駄となった」
逆立った赤髪、青い大地のような静かな瞳をもつ少年グランが更に遮り冷たい視線をガゼルへと送った。
「なにっ?!」
「ダイアモンドダストに次はないって事だ、終わりなんだよ」
「……あのお方がそう言ったのか?」
「そうだ」
バーンとグランの言葉に目の前が真っ暗になるガゼル、バーンとグランの続く言葉は彼の耳へと届く事すらない。
2人が自分には関係の無い話を続けている、その事実が彼の薄暗い気持ちを更に際立たせる。
「あのお方は……選択を誤った……!!」
焦点の合わない瞳で彼は虚空を睨み付けながら呟くように闇へと消えていった。
雷門イレブンはまだ改装中の雷門中のグラウンドにて特訓を行っていた。
大きな目標は2つ、円堂のあの正義の鉄拳に似たヘディング技の習得。
そして立向居は円堂守の祖父、円堂大輔の残した究極奥義の1つムゲン・ザ・ハンドを習得する事だ。
円堂は長年のキーパーとしての熟達した経験がそれを妨げており、豪炎寺や鬼道たちがシュートをしそれを打ち返そうとするものの。
「どりゃあああああ!!」
「違う!!」
いつも通り右拳で打ち返してしまっていた。
「リベロって難しい……」
そんな彼の様子を見て、ならばと鬼道が成した策は。
円堂の両腕をタイヤなどで無理やり身体に固定するという拷問のような方法だった。
「これで額に力を集中しやすくなったな」
「こんな方法あるか?!!!」
円堂が叫びながら奮闘する中、一方の立向居は悩んでいた、
円堂大輔の文字は歪で円堂守しか解読できない究極奥義のノート、それによればムゲン・ザ・ハンドとは『全てのシュートを見切る技なり。その極意シュタタタタタン、ドバババババァーン!これあらば上下左右、前から後ろからどんなシュートも防御する事ができる』
目と耳、円堂と立向居は全身の感覚でシュートを見切り受け止める技と認識し立向居は目を閉じたままシュートを受け止めるという特訓をしてはいるが……。
まだキーパー自体の経験は少ない立向居ではシュートの音で大体の方向まではわかるのだが、いやわかる時点でも凄いのだがタイミングが掴めずシュートに触れもしていない。
「もっとお願いします!!」
「へっ!よく言ったぜ立向居!!」
「よっしゃァ……俺たちのシュートを身体に叩き込んでやるぜ立向居よォ……!!」
逆境に燃えるという円堂の心意気を継承している立向居、そしてノリノリな綱海とアツヤによってこちらも見ようによっては拷問に近い。
そんな中、不動とアフロディは体力作りにランニングしてくる。そう言って河川敷付近を走っていた。
「アフロディクンよ……アイツに会ったみてぇだな」
「あぁ、黒山羊さんだね?彼女は凄いね、実は僕がこの付近で練習しているのを見つけて焚き付けてくれたのさ……僕の戦意にね」
「……あいつの事は鬼道クンたちには言うな」
「どうしてだい?彼女は雷門のサポーターじゃないのかい?」
「アイツはエイリア学園に潜入してる瞳子監督のスパイだ、今後俺たちの敵として現れるだろうが……アイツの実力も考えも底が見えねぇ」
「……」
「アイツの実力はあのバンダナ野郎(ベルガ)とは比べ物にならねぇだろうな、更に頭の回転なんざ俺や鬼道クンよりも良いかもしれねぇ……」
「ふふっ」
「あぁ?なんだよ?」
「いや、君も影山の被害者と聞いていてね……あの人がいつも害をなす相手は総じてプライドが高い……僕もそうだった
そんな君がそこまで買うだなんて、そうとう楽しい試合になるんだろうね」
「雷門と世宇子の試合は俺もテレビで見てたけど、相当アンタも性格変わったんだな」
「まぁね」
2人は軽く笑いながらもランニングを続けた。
2人は出会ってから間もない筈なのに、どこか似たところがあるからか旧知の友と言われても信じられる程仲良く見えた。
エイリア学園本拠地にて、黒髪の少女ニグラスはバーンと対面していた。
「バーン、ごめんね?」
「なんて言ったお前……俺たちプロミネンスを……!!」
「そう、計画の邪魔だから待機しててって言ったの」
彼女の血のように紅く冷たい瞳に気圧されるバーン、だがバーンは吼えた。
「ダイアモンドダストはまだわかる!!雷門の連中に引き分けやがったんだ!!なのになんで俺らプロミネンスまで!!」
「だーかーら、私から1点も奪えないチームじゃ意味無いんだよねぇ」
「……!!テメェ、今なんつった?アァッ?!」
「まったく……おいてよ、バーン……現実、見せてあげるから」
2人はエイリア学園本拠地のグラウンドへと降り立った。
その光景は正しく適性検査前の焼き写しのようだった。
バーンはボールを足蹴にしてニグラスを睨みつける。
だが、とんでもない迫力が目の前の彼女から発せられている事にバーンは一瞬たじろいでしまった。
ニグラスもジェネシスのユニフォームを纏って挑発するように指を振った。
来なよ?その動作に脳は危険信号を送ってはいるが……心が、プライドが我慢の限界を迎えたバーンはボールを蹴りあげた。
「アトミックフレア!!」
オーバーヘッドキック、技術としてはそう呼ばれる物だ。
その足に炎を纏わせ蹴りの挙動に合わせて豪炎が舞う。
炎と蹴りが同時にボールへと叩き付けられると灼熱の太陽の権化とも言える程の力を纏ったボールがゴールへと迫る。
「ザ・プレデター……!!」
ニグラスが腕を凪いだ、鉤爪のようなオーラが展開しアトミックフレアを太陽の権化を受け止める。
ニグラスがその場で回転したかと思うと銃撃音のような重い音が3回、連続して鳴り響いた瞬間である。
「ガッ?!!」
気づけばバーンの腹部にボールが突き刺さっていた、叩き付けられていた。
ボールごと吹き飛び、バーンは地面へと叩き付けられた。
「ねぇ、わかった?」
うつ伏せの体勢のまま動けないバーンの耳元で声が聞こえた。
その声はとても美しく、艶やかだがバーンはまるで背中に氷を押し付けられたかのように震えている。
「これが、私とバーンの実力差だよ?で、私を正キーパーとして任命できるのはグランのガイア……じゃなかったね、ザ・ジェネシスだけ……わかるよね?頭のいいバーンなら」
頭が痛む、目の前が真っ赤に染まる。
お前は弱い、ハッキリとは言わないがそう言われている。
「じゃあね、バーン……ダイアモンドダストもプロミネンスもいい線まで行ってたとは思うよ」
グラウンドからプレッシャーの元が消えたことに安堵してしまっている自分がいる。
「クソが……クソがァァァァァァァァ!!!!!」
「悔しいだろうバーン!!だが、私たちはまだ負けていないさ!!!」
咆哮を遮るように鋭い声がグラウンドに響いた。
バーンが向いた先、そこには瞳に冷たい闇を宿したガゼルが立っていた。
「あのお方は私たちを見限った、だが……それは間違いだと私たちで証明すればいい!!」
「ガゼル……!!」
「ネオジェネシス計画だ、私たちはザ・ジェネシスも雷門も……そしてニグラスも越えた高みへと至る」
その言葉にバーンがニタァと口角を酷く歪に上げた、彼の視線の先ガゼルの視点の焦点は合っていない。そしてバーンの目も暗く歪んでいた。
「あぁ、俺たちで証明してやろう」
「待ってくれ!!」
プロミネンス、ダイアモンドダスト。
2つのマスターランクのキャプテンの会話を遮ったのはベルガやアイキューといったダイアモンドダストの面々だった。
そして、よく見ればその背後にはプロミネンスたちもいる。
同時に振り向いた2人の暗い瞳に気圧されるベルガはそれでも続けた。
「俺たちは正しい事をしているのか?!!たしかにお父様の力に俺たちもなりたい……!!だが!……だが!!俺たちの敬愛するお父様が本当にこんな残酷な事を俺たちに強いるとは思えない!!考え直そう!まだ俺たちはあの頃に……楽しいサッカーをしていたあの頃に戻れるはずだ!!」
「俺たちに着いてこれる奴はこっちに来い」
「……雷門に感化されるだなんて、甘すぎる」
ベルガの決死の想いを込めた叫びをバーンとガゼルは無視した。
耳ではなく、心に届いていない。
そんな絶望がベルガを襲う。
「俺は行くぜ、負けっぱなしは趣味じゃねぇからな」
「俺もだ……!!」
「私も……!」
「お前ら!!何でだ!!」
ダイアモンドダスト、プロミネンスから何人かがキャプテンたちの元へと行ってしまう。
ダイアモンドダストからはクララ、ゴッカ、ドロル、リオーネ。
プロミネンスからはグレント、ボンバ、ボニトナ、ネッパー、サイデン。
「晴矢!夏彦(なつひこ)!!やめろ!今なら間に合うかもしれないんだぞ!!」
「そうよ晴矢!皆!考え直して!!」
プロミネンスの白髪の少年ヒートと赤髪の少女レアンが仲間たちに……お日さま園の皆へとかけるが。
「……晴矢が馬鹿にされて悔しくねぇのかよ?!俺は悔しいね、雷門もガイアも……秀子も!!俺にとっちゃもう敵だ!」
「そんな……!!」
バンダナを巻いたプロミネンスのフォワードであるネッパーこと夏彦の言葉も分からない訳では無い、だけども。
「でも、友達が間違っているのなら……間違いだって止めるのも友達だろう……!!」
「私たちは道具じゃない!私たちでちゃんと考えて……私たちの言葉でお父様と1度話さないと!!」
パチパチパチ……とグラウンドに何故か拍手が響いた。
「素晴らしい、君たちの英断も会長を思うからこその思案も……大変素晴らしいですよ」
その場の全員が目を向ければ、そこに立っていたのはお父様の秘書を勤める不健康そうな男、研崎が立っていた。
「だが、私は両者の気持ちがわかってしまう……あぁ、どちらも会長を思ってこその行動だ……」
演技くさい動きで彼は続ける。
「ならば試合で決めてみては?丁度ここには選手が22人、紅白戦ですね……勝った方が正しく!勝った方こそが正義なのだと!!それは歴史も証明している事です」
その言葉にヒートやベルガが反対する前にバーンがおもしれぇ!!と吼えた。
「やろうじゃねぇか!俺たちは前に進むぜ?前に進む事を諦めたお前たちを否定してやるよ!!」
「ふふ、面白い……即席チームでは連携に難があるからね、ここで1度牙を研いでおけばより確実に奴らを報復できる」
研崎はバーンとガゼルにえぇ、えぇとにこやかに頷くと赤と青を基調としたユニフォームを手渡した。
「これはあなた方へのプレゼントですよ、是非とも受け取ってください」
アイキューがいつの間に用意したんだか……と呟く。
そしてレアンやベルガたちも俺たちで止めるぞ!と燃えているためヒートとアイキューの2人しか練習試合を止める者はおらず試合をする流れとなってしまっている。
チームカオス
ゴールキーパーのグレント
ディフェンダー、ボンバ、クララ、ゴッカ
ミッドフィールダー、ドロル、リオーネ、ボニトナ、サイデン、ネッパー
フォワード、バーン、ガゼル
FWを務めていた物が多いため攻撃的なチームとなった。
プロミネンスダイアモンドダスト連合
ゴールキーパーのベルガ
ディフェンダー、アイキュー、バーラ、バクレー、サトス
ミッドフィールダー、アイシー、バレン、ヒート、レアン、ブロウ
フォワード、フロスト
逆に中盤やディフェンダーを務めていた物が集まったため防御に厚いチームとはなったが……。
そして、試合が……始まってしまう。
連合チームはフロストこと御氷 雫(みこおり れい)と一時的にアイシーこと凍地 愛(とうち あい)、そしてヒートこと厚石 茂人(あついし しげと)が3人で攻めようと擬似的なスリートップを務めていた。
「ごめんね雫、フォワードのフォローは僕と愛(あい)ちゃんで精一杯務めるから雫は蔵人(くらんど)からゴールを奪ってくれ……そうすればあとは耐えれば済むはずだ……!」
「……あぁ、いつも冷静な涼野(すずの)があそこまで荒れているのにはなにか裏がある筈だ……俺たちでいつものアイツらを取り返すぞ厚石……!!」
「ああ!」
茂人が雫にボールを渡して3人は一気に攻め上がる。
背後からは愛の兄、アイキューこと凍地 秀児(とうち しゅうじ)の油断せずに行くぞ!という声が聞こえた。
キャプテンの2人はあちら側で厳しいかもしれない……だけど負けれない。
その想いが茂人を突き動かしていた。
だが。
「その程度かよヒート」
気づけば、バーンが……いや、晴矢が既に目の前に迫っていた。
早い、いや早すぎる。
晴矢とは何度も一緒にサッカーをやってきたがここまで早かったか?そんな風に疑問に思った時にはボールは奪われていた。
「ッ?!!すまない秀児!抜かれた!!」
「あぁ、わかっている!!薔薇園(ばらぞの)幸太郎(こうたろう)数男(かずお)止めるぞ!!」
彼の掛け声に薔薇園 華(ばらぞの はな)葉隠 幸太郎(はがくれ こうたろう)佐藤 数男(さとう かずお)それぞれバーラ、バクレー、サトスが一気に畳み掛けるが。
「遅せぇんだよ!!」
バーンは3人が辿り着く前にシュートした、単純なノーマルシュートだ。
これならばベルガ……いや白井 一角(しらい いっかく)、一角が止めてくれる。
秀児は咄嗟にそう判断したが、彼の背後から声が聞こえた。
「アイキュー、君は確かに司令塔として優秀だった……だが君自身は二流だったみたいだね!」
背後から聞こえた声はガゼル……涼野の声だった。
バーンのシュートだと思っていたそれはただのパスだった。
馬鹿な、いくら涼野とはいえ……バーンの独断専行にこんな速さで対応出来るはずがない。
秀児の計算は追い付かず、そして既に遅かった。
「ノーザンインパクト!!!」
世界が凍りついたかのような冷気に包まれ、ガゼルは一瞬姿を消し鋭いソバットをボールへと叩き付けた。
ベルガはそれに咄嗟に対応したが雷門との激闘の疲れは抜けきっておらず、片手を握り締め冷気を纏ったボールへと自身の拳を叩き付ける。
「アイスブロック!!……っぐ!!!?」
重い、今まで受けたどの一撃よりも重い。
もう1つの技ならば対応できたか?と考えるも自身の身体の、経験の出した答えはノーだった。
そんな一撃を受け止めきれるはずもなく。
一角ごとボールがゴールへと突き刺さった。
1-0
開始数分の……いや数十秒の先制点だった。
秀児や他のDFたちが駆けてくる、ガゼルとバーンは冷たい視線でチラリとは見たが興味を失くしたかのように踵を返して自陣へと戻ってしまった。
「一角!大丈夫か?!!」
「すまない秀児……油断……いや、正直に言おう……今の俺じゃあ恐らく風介のシュートは止められない……すまない……くそっ!!」
地面に拳を叩き付ける一角の姿を見て焦るDFたち、だがそんな事をしても時は戻らないし時計の針は止まらない。
もう一度連合チームからの開始だった。
「雫、晴矢と風介の動きが早すぎる……なんとかあの2人を避けて進むぞ……!!」
「わかっている、愛行けるか?」
「……正直不安、でもやるしかないからやるよ……!」
茂人からレアンこと蓮池 杏(はすいけ あん)へのバックパス、そして杏がパスコースを探すが。
前方に走っていった茂人、愛、雫の3人には既にネッパー、リオーネ、サイデンがそれぞれマークについておりパスは厳しい。
ならば自身で前へと進む。
そう蹴り出すが。
「おいおいレアン、随分と甘っちょろい動きしてんじゃねぇかよ?」
すぐそこにバーンが迫っていた。
「晴矢?!!このっ!!」
咄嗟にバーンを回避するためにライン際にいたブロウこと旋風野 冬司(つむじの とうじ)へとボールを回すが。
「はっ!やはり君たちは甘い!!」
ガゼルがそれをカットした。
ガゼルを止めるために薔薇園、葉隠が必殺技で迫る。
「イグナイトスティール!」
「グラビティション!!」
小柄なツインテールの少女薔薇園が炎を纏いスライディングを仕掛け、避けた隙をサングラスをかけた少年葉隠が重力波で封じる。
それが2人の咄嗟に立てた連携だったが。
「邪魔だ!!」
薔薇園を弾き、弾いた先にいた葉隠は反射で技を解除してしまう。
そして、それが隙となり。
「バーン!!」
バーンの方にも秀児と数男が控えてはいたが、その2人を容易く突破してガゼルからの乱暴なパスは無理矢理バーンへと繋がった。
「はっ!その程度のマークで取りこぼしていたら笑ってやろうと思っていたのに、残念だ!!」
「うるせぇガゼル!俺がこの程度で止められるわけねぇだろうが!」
バーンがボールを蹴りあげ宙に舞う、炎が弧を描きオーバーヘッドキックがボールへと叩き付けられる。
先程の秀子との戦いの時よりも力が高まるのをバーンは感じていた。
もう今の俺は誰にも止められない、そんな力の昂りを抑えられない。
「アトミックフレア!!」
「グレイシャル……!!!」
一角は両腕を振り上げ吹雪を纏わせながらボールへと振り降ろした。
「フィストォオオ!!」
先程のノーザンインパクトにも引けを取らない重さで腕が悲鳴を上げる。
痛い、痛い、痛い。
ただ痛い。
「くっそぉおおお!!!」
ボールはなんとか弾かれた、それを見て一角は安堵する。
止められた、今度は止めたのだ。
だが、彼の視線の先、跳ね返ったボールの先。
バーンと目が合った。
「お疲れさん」
技を打った直後、無防備な顔面へとボールが突き刺さった。
カオスのメンバーとかおぼえてなかったけども中々近いメンバーとなっていた……。
クララ→恐らくは負けず嫌いだから加入するだろうなぁ。
アイキュー、アイシー→理性的だからお父様のハイソルジャー計画に元々微妙な反応だったんじゃないかと。
リオーネ→多分二次創作の影響だけどもガゼルには賛同しそう。
ゴッカ、ドロル→ダイアモンドダストの中でも少ない肉体派だと思う、それ故にプライドが邪魔をしそう。
プロミネンスの面々→負けず嫌い多過ぎぃっ!!
ヒート、レアン→バーンの様子がおかしいから止めたい。
みたいな感じです。