イナズマイレブン『黒山羊の意思』   作:mr.?

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エイリア学園の二次創作の方が個人的に書きやすい、雷門の話は基本アニメの流れに沿って書くだけだからなぁ……。


にじゅーよんわ

雷門の地下通信室、そこでは理事長である雷門氏と瞳子監督がモニターに映った財前総理とその護衛たちとお話していた。

 

「最近、エイリア学園による校舎破壊がピタリと止んでいる……これも雷門中のおかげだな」

 

「ありがとうございます」

 

「だが、これはエイリア学園が雷門中の撃破に集中しているだけとも考えられる」

 

「……なるほど、1番の障害である雷門の排除を優先……考えられますな」

 

「……だが、気になる事もある

基山ヒロトと南雲晴矢という少年たちのことだ」

 

「実力のある者をエイリア学園が拐った……そういう事ですね」

 

「……瞳子監督はなにかありますか?」

 

「いえ、今のところは何とも……」

 

財前総理と雷門氏の会話にヒヤヒヤしながらも表情をなんとか変えずに済んではいるが……瞳子としては財前総理と雷門氏がどこまで知っているかが掴めない。

裏に吉良財閥が絡んでいる事がわかれば、恐らくは瞳子自身が疑われることとなる。その場合、地上最強チームの監督の座も恐らくは降ろされてしまうだろう。

瞳子が思案する中、一瞬躊躇して財前総理が切り出した。

 

「瞳子監督、それともう1人……シューコという人物に心当たりはないか?」

 

「……ッ?!」

 

一瞬、表情が出てしまった。

何故、財前総理がその名を……?もう既にお日さま園や吉良財閥にまで調べが及んでいるのだろうか……?

 

「……心当たりがあるようだな」

 

「えぇ、私の知り合いに同じ名前がいるのですが……関係があるかは私にもわかりません」

 

「……」

 

財前総理がなにかハンドサインを送ると護衛たちがモニターに映らない場所へと移動し、暫くしたあとにドアの開閉音が聞こえた。

想像できるのは護衛が財前総理のいる部屋から出ていった可能性だ。

 

「雷門氏、少し瞳子監督と2人で話させて欲しい」

 

「私は良いのですが……瞳子監督はよろしいですかな?」

 

「私も構いません」

 

その言葉の後、雷門氏も退室した。

瞳子は本当に護衛たちが退室したかも確認できないので、黙り込んでいたが。

不意に画面の向こう、モニター越しの財前総理がため息をついたかと思うとネクタイを緩めて椅子の背もたれに体重を預けた。

 

「瞳子監督、塔子は頑張っていますか?」

 

「……えぇ、ミッドフィールダーとして中盤での活躍はたのもしい限りです」

 

「そうですか、吉良財閥の用意したエージェントたち相手にそこまで……」

 

「……」

 

財前総理の言葉に表情を変えないようにと拳を痛い程握り締める。

財前総理は恐らくは瞳子からなにか聞き出そうとしている。

彼の言葉を聴き逃してはいけない、彼の言葉から真意を……瞳子からなにを聞き出そうとしているのか。

それを計らねばいけない。

 

「シューコさんは……君の妹と名乗るあの子はね、私に取引を持ち掛けてきたよ」

 

「……」

 

「いや、あれは脅迫に近かったかな……こんなだらしのない男ではあるが一応はこの国を任せられている私に……物凄い胆力だ

『戦争したくなかったら吉良財閥の野望を止めてください、鬼瓦という刑事と雷門の監督である姉さんなら信用できるはずです。総理の判断にはお任せしますが、くれぐれも2人の邪魔をしないでください』だったかな……まぁ他にも色々頼まれはしたが」

 

「……あの子は聡い子ですから」

 

「吉良シューコなんて人物はいないはずだがね」

 

「あの子は私を姉と言って慕ってくれているんです、血の繋がりはありませんが」

 

「だが、私と話している時のシューコさんの表情は今の君の表情と瓜二つだ、血の繋がりはなくとも……君たちは姉妹なんだろうね

瞳子監督、貴女が抱えている問題を私は全て理解している訳では無いが……塔子を……娘をよろしくお願いします」

 

そう言って頭を下げる財前総理の表情はただ娘を心配する父親の顔だった。

瞳子は暫し悩んだ後。

 

「私も全力でエイリア学園の撃破に努めます……親子喧嘩は早く終わりにしたいので」

 

「信じてますよ瞳子監督」

 

そして瞳子は通信を切った、ある程度のことは知られてはいるようだが……まだ猶予は貰えているらしい。

ダイアモンドダスト、風介のチームは恐らくそう遠くない未来に彼らならきっと倒せるだろう。

そしてまだ戦えていないプロミネンスと圧倒的な差で実力差を示してきたガイア……プロミネンスは瞳子の持つ知識の範囲ではダイアモンドダストとチームのプレイスタイルこそ違えど実力差はほとんど無いはず、だがザ・ジェネシスを名乗っていたガイアは2つのチームよりも確実に強い……だが、今の彼らなら勝機がまったく無い訳では無い。

瞳子は思案する、もしもハイソルジャーとしてただでさえ強かった秀子がより強大になっていたなら……豪炎寺くんやアツヤ、アフロディで突破できるのか……そこだけが懸念材料だった。

 

そして総理官邸、財前は再度深く息を吐いた。

思い返すのは自らの娘、塔子の姿。

 

「娘と父親の喧嘩なんて、父親の意見が折れる以外の決着を私は知らないな……」

 

そう言って財前総理は情けなさそうに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エイリア学園本拠地、グラウンドには選手たちが倒れ伏していた。

そこへ現れたのは黒髪の少女、少女は携帯を片手に一人一人に声をかけているようだった。

 

「ええ、脈は安定していますが意識がない人が多いです……ですが肉体的、精神的に疲労とダメージが溜まっています……すぐに医療班を呼んでください、カオスの調整に人数を割いている?空いているスタッフが1人もいないとは言わせませんよ」

 

「……その声……秀子か?」

 

先程まで意識を失っていた一角が意識を取り戻したようで、とてもか細い声を絞り出している。

彼の様子を見て秀子はすぐさま駆け付けた。

 

「一角!大丈夫?!今医療班を呼んでるからしっかりして、君は何回も強力なシュートを受けてるんだ。今は休んでおいて、」

 

「……なぁ秀子、なんで晴矢を焚き付けたんだ」

 

「ッ!!」

 

「お前がお父様の意志を伝えたんだとしても、あんな風に実力ではっきりさせるなんてお前らしくもない……なにがあった?」

 

「……今はなにも考えないで」

 

「お前は!!」

 

一角の手が秀子の腕を掴んだ、意識もまだ朦朧としているせいかその力は弱々しい。

秀子はその手を握り返す。

 

「皆の味方だよ、お日さま園の皆のために……私は頑張ってるつもり……待ってて、あの時のお日さま園を私が……私が……!!」

 

「お前は昔からそうだったな……なんでも1人で抱えて、アイツがいない今……お前が本音を出せる相手は少ないだろうけどな……俺たちを頼れ……頼ってくれ……」

 

「一角……」

 

秀子の目には薄らと涙が浮かぶ、一角は少し笑うとまた意識を失った。

秀子は医療班の到着を見届けると医療班に指示だけ出してまた歩き出した。

 

「ネオジェネシス計画、ザ・カオス……いよいよマスターランク戦本番だよ姉さん……私も……そろそろ準備を終わらせないと」

 

彼女の紅い瞳が細められる、その先には不健康そうな男がニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべながら医療班……いや、倒れ伏した選手たちを見ていた。

研崎とのすれ違いざま2人は言葉を交わす。

 

「研崎さん、ザ・カオスの試合ではあなたのネオジェネシス計画がどこまでの成果を出せるか私も同席させていただきます」

 

「えぇ、構いませんよ……これで会長もより良い選択をなさってくださるでしょう」

 

2人の距離が離れ、黒髪が闇へと消える。

研崎は舌打ちすると吐き捨てるように。

 

「はっ、たかがガキ1人になにができる……」

 

そして闇の中、秀子も呟く。

 

「アイツだけは……潰す」

 

2人の声は誰にも届かずただ闇へと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雷門のメンバーたちはとある事情で、帝国学園まで来ていた。

円堂が正義の鉄拳の亜種としてヘディング技であるメガトンヘッド(目金命名)を習得した際に、鬼道が更なる必殺技を手に入れるため彼の母校である帝国学園を練習場所として提示したためだ。

鬼道、土門、円堂は3人でボールを囲うようにして並びその場で回転、鬼道の掛け声に合わせて停止を繰り返していた。

3人ともボールの方向を向いていれば成功という話だったが……中々に成功しない。

その必殺技の名前はデスゾーン、帝国学園の必殺技で鬼道曰く3人の息を合わせる事が重要な3人がかりの連携シュートなのだが、本来のデスゾーンは鬼道が実際にデスゾーンを放つ3人への指示を出す事で連携を高める必要があるほどの技だったらしく苦戦していた。

元帝国の2人、鬼道は自身で掛け声をかけているのもありすぐできた、土門も協調性が高いためかある程度順応している。

だが、円堂は苦戦していた。

本人のリーダーシップや他者の力を引き出す事に優れている円堂だが今までゴールキーパーとして他者との連携よりも個人技が優先されていたためか1人だけてんでタイミングが合わない。

最初はボールに背を向けてしまっていたほどに。

それでも諦めず円堂たちは回転をし続けている。

 

一方立向居もムゲン・ザ・ハンドの習得にかなりの苦戦を強いられていた。

まず、円堂大介の遺したノートの説明が抽象的過ぎるのだ。

更にそこから得たヒントも全身の感覚でシュートの軌道を見切ると言ったものだったが、立向居自身キーパーとして試合に参加していた経験が少ないためか方向までは見極められても角度や回転といった様々な要素で変わるシュートの軌道に視覚なしでは追いつけない。

一体どうしたら……という焦りで練習は至難を極めていた。

 

「立向居クンよ少し気分転換した方がいいぜ……そのままじゃ集中力が切れてて話にならねぇ」

 

そこへ声をかけてきたのは不動だった。

そんな言い方無いだろ!と綱海が怒っているが不動は続ける。

 

「ただでさえ視力に頼らずシュートを見切るなんていうすげぇ集中力が試される技なんだ、そんな状態で続けてても怪我するだけだ、ランニングでも行ってこい」

 

「そうかもしんねぇけどよ!!」

 

「待ってください綱海さん!確かに不動さんの言う通りです……俺、少し頭冷やしてきます!」

 

「それだったら俺も付き合おう」

 

立向居が駆け出そうとした時、豪炎寺も一緒に走ることを提案してきた。

 

「この辺りの土地勘がないだろう、迷わないように俺も走る。

というより、な」

 

豪炎寺が後ろを指さすと。

 

「豪炎寺さんよォ?!俺との決着はまだついてねェぞ……!!?」

 

「アツヤ!僕との練習だって言ってるだろ!!」

 

必死にアツヤを引き止める士郎の姿があった。

前回の試合の際には連携を理解し、やっと目覚めたアツヤではあったのだが……それはそれこれはこれといったことなのだろうか。

今日の練習、豪炎寺と同じ練習メニューをしていた際にアツヤは燃え上がってしまっていたのだ。

そこからアツヤとの1vs1の練習をずっとやらされていた豪炎寺の少し疲れている表情を見て立向居は少し同情からほほを引き攣らせながら笑った。

 

「よろしくお願いします豪炎寺さん!」

 

気持ちを切り替え走り出した2人、帝国学園のスタジアムも敷地も越え、付近の道を走っていた。

 

「焦るのは俺もわかる、技の完成が見えないのに無理やたらと練習していても意味は無い……少しは別の事を考えて切り替えるのも大事だぞ」

 

「ありがとうございます豪炎寺さん!……でもいつも凄いプレーをしている豪炎寺さんでも悩む事なんてあるんですね」

 

「勿論だ、悩まない奴なんていないさ……円堂だって何回も悩んでいた、お前が習得したマジン・ザ・ハンドの時、円堂は今のお前のように悩んでいた」

 

「円堂さんもですか?!」

 

「あぁ、だが円堂は答えを試合の中で導き出した……お前もいずれ見つけ出すさ、お前自身の答えをな」

 

豪炎寺の言葉に感動したのか少し立ち止まってしまう立向居、豪炎寺が心配して振り返ると感極まった。といった表情の立向居は再び走り出した。

 

「俺、頑張ります!ムゲン・ザ・ハンド!絶対に覚えます!!」

 

「あぁ、俺も円堂も皆信じているさ、焦る必要はない」

 

「はい!!」

 

 

 

 

 

 

立向居と豪炎寺がランニングを終えて帝国学園のグラウンドに戻ると円堂が雄叫びを上げていた。

たった今帰ってきた2人も含めスタジアムにいたメンバーたちが円堂たちの方向を見るとどうやら鬼道、土門、円堂の練習に一区切りついたらしい。

立向居の姿を見つけると鬼道が声を掛けてくる。

 

「すまない立向居、ランニングの帰りなのはわかっているのだが俺たちの技の練習に付き合ってもらえないか?」

 

「大丈夫です鬼道さん!」

 

笑顔で答える立向居、豪炎寺が彼の肩を叩いて気楽に行けと声を掛け、鬼道は他の2人に声をかけている。

立向居は急いでグローブを嵌めるとゴールへと駆け出した。

立向居がゴール前に立ち、鬼道たち3人が駆け出し鬼道本人はボールを宙へと蹴りあげた。

 

「デスゾーン開始!!」

 

鬼道の掛け声に合わせて回転しながら飛び上がる3人、3人はボールを囲うとボールへと同時にエネルギーを込める。

 

『デスゾーン!!』

 

3人の蹴りが同時にボールへと叩きつけられ闇のようなエネルギーを纏ったそれがゴールへと迫る。

立向居は目を閉じ、全身の感覚でボールを見極めんとする。

風、音、全ての振動を感覚で捉えボールの動きを見極める。

 

「ムゲン……」

 

立向居の感覚の先、ボールから感じるエネルギーが霧散した。

 

「ザ・バンド!」

 

少し困惑しながらも立向居は両腕でボールを掴むがそれはノーマルシュート程の威力しかなく、難なくキャッチに成功した。

綱海がムゲン・ザ・ハンド完成だ!と喜んでいるが立向居はそれを否定した。

今のはただ目を閉じて両腕をボールに向かって向けただけだと。

そして鬼道たちも困惑していた、タイミングは確かに合っていたのにと。

そんな中、多数の足音が聞こえる。

 

「やってるな、鬼道!!」

 

その声の方向へと向く鬼道、視線の先には帝国学園のメンバーが欠けることなく全員、ユニフォームを纏って立っていた。

その中には佐久間の姿もある。

 

「来てくれたか佐久間、源田、皆!!」

 

帝国学園の面々の元へと進む鬼道と円堂、帝国学園のメンバーもそして鬼道もともに笑っている。

かつての仲間たちとの再会はそれほどまでに嬉しかった。

 

「お前たち!鬼道、皆を呼んでたのか?」

 

「あぁ、久しぶりだな」

 

そう言って笑う佐久間の足にはサポーターが巻かれている。

それを見て真・帝国学園のことを思い出してしまう鬼道は無意識に笑顔が消えるものの。

 

「あぁ、気にするな……順調に快復しててな今はまだ試合には出れないがそろそろ許可が降りそうなんだ」

 

「雷門の監督ととあるツテでな、最新の治療を受けられてる……俺がこの前快復してたのもそのお陰だ」

 

「瞳子監督が?良かったな鬼道!」

 

「……あぁ!」

 

喜ぶ鬼道と円堂たち、そして佐久間は雷門のメンバーたちの中にアフロディがいるのを見つけると。

 

「世宇子中のアフロディ……話は鬼道から聞いた。

お前も俺たちと同じように影山に利用されていただけだと……鬼道や円堂たちを頼む」

 

「……うん」

 

そして、源田と不動は2人でなにやら話している。

 

「どうだ不動、鬼道の足を引っ張っていないだろうな?」

 

「当たり前だろうが!」

 

そう言い合う2人は悪友のように笑顔だった。

 

「さぁ鬼道、始めようか……練習試合」

 

「練習試合……?」

 

佐久間の言葉にキョトンとする円堂、鬼道が語るには。

 

「あそこまでできているなら、後は実践あるのみだ」

 

そうして円堂、鬼道、土門の3人は帝国のユニフォームを着て、雷門と帝国、かつてのライバルチーム同士の少し変わった練習試合が始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エイリア学園本部の自室にて黒山羊秀子はとある書類を見つめながら電話していた。

その顔には意地の悪そうな笑顔が浮かんでいた。

 

「……やるねぇ林さん、ここまでまとめてくれてると助かります」

 

「いえ、これも吉良財閥のためですから」

 

電話の先、秀子の目となり足となり度々雷門の情報を伝えてくれていた吉良財閥のエージェントでもある妻子持ち、今年で娘さんが4歳になるらしい彼はとある書類を秀子へと送っていた。

 

「うんうん、ありがとね林さん輝羅(きあら)ちゃんへのプレゼントは何がいいですか?」

 

「……娘は最近こずみっくぷりてぃれいな?というのにはまっていると妻から聞いてます」

 

「最新の玩具が出たら確保しときますね……でも輝羅ちゃんのためにも林さんは無理しないでくださいね?たった1人のお父さんなんですから」

 

「……肝に銘じます、ニグラスさんもお気をつけて」

 

通信が切れる、秀子は少し窮屈なジェネシスのユニフォームを脱ぎ捨てて普段着である軍服風のワンピースへと着替える。

その時、秀子の身体が少しぐらついた。

 

「……そろそろ限界かな?」

 

秀子は資料を持って部屋を出る、その視線の先には秀子と同じように私服へと着替えたグラン……タツヤが一見爽やかに見える笑顔を貼り付けて立っていた。

 

「さてと、僕に見せたいものってなにかな?」

 

「どうやら晴矢と風介が結託したらしくてねー、今から雷門に仕掛けるらしいから一緒に見に行こうよ」

 

秀子の言葉を聞いて笑顔のまま目を笑わせないタツヤ。

 

「それは面白そうだ……で凍地に聞いたけど、君が関わってるっていうのは本当かい?」

 

その目に映っていたのは疑念、秀子の行動がおかしいとさすがにタツヤも警戒しているのが見て取れる。

それを見て少し心が痛む秀子、だが彼女も無理矢理の笑顔に……愛想笑いに切り替える。

 

「なーんだタツヤも知ってたんだ、でも私は晴矢に足でまといだから諦めろって言っただけだよ?だって、ザ・ジェネシスじゃないともう雷門は止められそうに無かったからね」

 

互いの目線が交差してビリビリと空気が震える、タツヤが諦めたようにため息を吐くと通路を歩き始めた。

 

「で、今2人は……いや、カオスはどこにいるんだい?」

 

「ん?今は研崎さんたちと一緒に調整に入ってるはずだよ……たしか今雷門は東京の帝国学園にいるらしいから一緒に先回りでもしとく?」

 

「いいね、じゃあ……行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

そして、帝国学園。

吉良財閥の科学力によって作られたサッカーボール型の装置がスタジアムへと投下された。

大量の煙、そして人には聞こえない音などで催眠をかけ、その隙をついてカオスのメンバーたちは帝国学園のグラウンドへと降り立った。

標的の雷門以外にも影山の被害者の集まりである帝国学園もいるようだが、関係ない。

ガゼルとバーンは無意識に笑った。

こいつらをここで倒して、俺たちが最強だと証明する。そしてお父様やグラン、そしてニグラスを見返すんだ。

そんな身勝手な思いが彼らの意識を狭める、目の前の標的を倒せと心が悲鳴をあげる。

 

『我らはカオス!』

 

「猛き炎プロミネンス」

 

心が熱い、燃えるようだ、今ならなんでもできる気がする。

 

「深淵なる冷気ダイアモンドダストが融合した、最強のチーム」

 

思考が冷えていくのを感じる、氷のようだ、今ならなんでも見通せる気がする。

 

「我らカオスの挑戦を受けろ!!」

 

「宇宙最強が誰なのか……証明しよう!!」

 

そう言って宣戦布告するカオス、円堂たち雷門は動揺を隠せない。

 

そんな彼らの様子を見て、観客席から降りてきたのは1つの影。

 

「おっと、ガゼルとバーン……少し待った」

 

軍服風のワンピースに身を包んだ彼女がスカートをたなびかせながらも降り立った。

その姿を見て舌打ちするガゼルとバーン、そして彼女の姿を見て困惑しているのは雷門も同じようだ。

 

「雷門の皆さんは練習試合の後でつかれてるみたいだよ?そんな相手に勝って……君たちは満足できちゃうんだ?」

 

明らかな挑発、雷門からしたら嬉しい展開ではあるがそれを敵であるエイリアから提案されるとは彼ら自身も驚いていた。

 

「ていうわけで雷門の皆さん、試合は2日後としましょう2日後にこの帝国学園のスタジアムで彼らカオスと戦ってもらいます」

 

「ニグラスてめぇ!?何勝手に仕切ってやがる?!!」

 

「君に指図される筋合いはないね!」

 

「……エイリア皇帝閣下の指示を待たずして勝手に来たのは君たちだ、今は私に従って貰うよ?」

 

そう言って2人の方を見るニグラス、その目は暗くいつもの2人なら少し恐怖していたのかもしれない。

だが、2人はどちらかと言うとエイリア皇帝閣下という言葉……お父様を意味するその言葉に反応して舌打ちすると装置が反応し彼らは姿を消した。

取り残される雷門と帝国学園。

彼らに向かってニグラスはそのまま続けた。

 

「今日はそちらの監督さんもいないみたいですし、ちゃんと伝えてくださいね?」

 

「受けて立つ!!」

 

円堂のその言葉に笑うニグラス、彼女もまた黒いサッカーボール型の装置を取り出すとそれを起動させた。

 

そしてそれから数時間後、雷門のマネージャーである3人は瞳子へとカオスとの試合について報告していた。

 

「ダイアモンドダストとプロミネンスの混成チーム……」

 

その報告を聞いて、瞳子はチャンスだと自分に言い聞かせる。

ダイアモンドダストは雷門のメンバーたちの頑張り次第では倒せるチームだった。

プロミネンスとダイアモンドダストが合わさればさらに強いチームになるのかもしれない、だが雷門の強みは試合中だろうと発揮されるその成長の速さにある。

そんな彼らとの戦いはきっと雷門の糧となる。

 




コズミックプリティレイナは魔法少女ものなのか果たしてプリキュア的なサムシングなのか……?
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