イナズマイレブン『黒山羊の意思』   作:mr.?

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イナイレアニメ再視聴中……そして書きだめていた分をほぼ出し切る計画性のなさ

1部誤字があったため修正しました……


だいさんわ

その部屋は暗く、何も無い場所だった。

正確にいえば何も無いは間違いだろう。

柱が4本だけ存在し、あとは明かりだけだった。

 

1つの目の柱を紅い照明が照らす、灼熱の太陽のように燃ゆる瞳の少年。

 

「どう思うよ、雷門中と世宇子中の決勝戦」

 

2つ目の柱を蒼い照明が照らす、氷のような冷やかな蒼い瞳の少年。

 

「やはり全国の頂点を決める戦いだけある、前の私たちだったら勝つ事は容易いが、圧倒的……とはいえなかったかもしれないな」

 

3つ目の柱を白い照明が照らす、生い茂る木々のような翠の瞳の少年。

 

「うん、そうだね……でも今の俺たちにとっては取るに足らない……『あの程度』の実力じゃジェミニストームで充分だね」

 

4つ目の柱を紫の照明が照らす、滴る鮮血のような紅い瞳の少女。

 

「まぁ、いいんじゃないかなぁ……それと見せしめは何校かやっといた方がいいと思うから……全国のFF(フットボールフロンティア)出場校から他にもやっとこうか」

 

気だるげに、やる気無さげに少女は続けた。

 

「じゃあ、イプシロンは木戸川清修

ダイアモンドダストは戦国伊賀島

プロミネンスは千羽山

ジェミニストームは雷門中スタメン不在の雷門中って感じでどうかな?」

 

紅い瞳の少女の言葉に黄色い瞳の少年が不満を漏らす。

 

「おいニグラス……なんでガイアがいねぇんだよ?ぁあん?父さんのお気に入りのタツヤといい、お前といいよォ……あの頃とは違って今の俺ならお前からだって簡単に点を取れるぜ?命令すんじゃねぇ」

 

黄色い瞳の少年の言葉に、蒼い瞳の少年が同調する。

 

「たしかに君は唯一のジェネシス正規メンバーだ……だけどいずれ私がキャプテンになるんだ、命令を聞く義務は私にはないぞニグラス」

 

てめぇ!と黄色い瞳の少年が声を荒らげ、えぇ……と紅い瞳の少女……ニグラスがぼやく、すると翠の瞳の少年が最後に。

 

「やめろバーン、ガゼル……父さんの決めたことでもあるんだ……父さんの命令に逆らうのか?」

 

その言葉に舌打ちする黄色い瞳のバーンと目をしかめる蒼い瞳のガゼル。

 

「ありがとねグラン、さて……短期決戦だ、やるよ、皆」

 

ハッ!と柱の下方の床から声が響く、そこには緑の髪の少年と黒髪の少年が座していた。

それから数時間後、日本各地でニュースが流れることになる。

 

 

 

 

 

『全国で一斉に襲撃事件発生、犯人は宇宙人か?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここを何処で俺たちを誰だと思ってるし?宇宙人だかなんだか知らないけど、ここを天下の木戸川清修だとわかっててかな?」

 

グラスをかけ、特徴的なモヒカンチックな髪型の少年、そして似た特徴の少年が更に2人現れた。

どうやら3つ子のようだ。

 

「貴様らなど我らエイリア学園ファーストランクチーム、イプシロンの敵ではないわ……3分だ……3分で貴様らは自らの非力さを嘆くことになる」

 

黒い髪の少年が目を見開く、その目は暗く、黒く染まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我らが戦国伊賀島だと知っての狼藉か侵入者め……!!怪しい術を使うようだが、我らが忍法に貴様らは……」

 

薄紫色の浮雲のような髪の少年の言葉を遮るように、黒と蒼のサッカーボールが少年の足元に沈んだ。

蒼い瞳の少年、ガゼルがボールを蹴ったままの体勢で冷たく続ける。

 

「さっさとしたまえ、エイリア学園マスターランクダイアモンドダスト……君らには凍てつく闇の冷たさを教えてあげるよ」

 

北風のような冷たさが周囲を包む、それはきっとこれから起こる惨劇を予期するものだったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おめぇらなんだあ?!最近の都会もんはそんなファッションが流行ってるんかぁ?!」

 

ガヤガヤと古ぼけた服の少年たちが騒ぎ出す中、紅い髪の少年バーンが吠えた。

 

「っだぁっ!!うるせぇなぁ!!!いいからテメェらは俺らエイリア学園マスターランクプロミネンスにやられときゃァいいんだよ!!」

 

太陽が照りつける、まるでバーンの怒りに呼応するかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ……お前ら、今雷門中のサッカー部は決勝戦のためここにはいないし、生徒達も応援のためにいないぞ」

 

紫色のユニフォームを着た壮年の男性たちの言葉に緑の髪の少年はフンと鼻で笑う、不敵な笑みを浮かべたまま。

 

「我らは星の使徒、惑星エイリアより来た……この星の秩序に基づき……貴様らに戦いを挑む……」

 

その足下に突如、黒いサッカーボールが現れた。

 

「サッカー……この星で勝者を決めるもの……なんだろう?」

 

何故か……先程まで晴れ渡っていた空は……暗雲に覆われていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我々がこの国、ジャパンとの親善試合に招待されているのを知っているのはこの国のサッカー委員会だけだと思っていたが……とんだ邪魔が入ったな……ファンやマスコミの類ならお断りだ……まさか日本のスパイか?今は練習に集中したいのだがな」

 

大柄な男性……いや、この子今の『私』と同い年だっけ、何食ったらこんなに大きくなるんだろうなぁ……国籍の違いかなぁ。

てか、生まれ変わって何回かしか着てないんだけどこの『身体』でスーツなんて着るもんじゃないなぁ……前世と違って胸とお尻がちょいキツイ……。

 

「えぇーと、確認なんですけど、バルセロナ・オーブのクラリオさん……ですよねあなた」

 

「たしかにそうだ……で、あなたは?」

 

「私は……サッカー委員会から命じられてあなた方が日本代表とまともに戦える程の力を本当に持っているか確認の為に参りました」

 

勿論、嘘だ。

 

エイリア学園が……父さんの『ジェネシス計画』がある程度の実験データを取るためにはこの国にハイソルジャーと戦える程の実力を兼ね備えている可能性のある彼らには消えてもらわないといけない、じゃなければエイリア学園問題は実際の脅威の侵略者編ほどの時間をかけずに早期解決していただろうし……。

 

「クラリオさん、あなたとPKで勝負致します、必殺技は使ってくださって構いません

もし……あなたのシュートが日本代表ではない私に止められることがあった場合……残念ながら今回の親善試合のお話はなかったことになります」

 

「……ほう」

 

クラリオの目ぇ怖っ!!え?まって?!怖?!

ていうか見ただけでもわかるけど、やば……映像で見た雷門中メンバーと筋肉の付き方が根本から違うわぁ……こりゃ負けるよリローデッド……。

 

「負けるのが怖いなら勝負自体を蹴って下さっても構いませんよ……私のような女子に負けるのが怖いなら……ね?」

 

「ふふ……はっはははははははははははは!」

 

私の言葉に笑うクラリオ、顔付きのせいか笑ってても顔が怖い。

 

「面白い、受けて立とう」

 

その言葉に悪役らしく不敵な笑みを浮かべたつもりだけど、引きつってないといいな。

 

 

 

 

 

 

 

謎の少女……サッカー委員会からの刺客を名乗る彼女は信用出来ないが、あそこまで挑発されて……なにもしないのは私のサッカー選手としてのプライドに関わること、さっさと終わらせて練習に戻ろう。

私とチームメンバーに連れられグラウンドに移動した彼女はジャケットだけ脱ぐと、シャツとパンツのままグローブを嵌めてゴールの前に立った。

 

「一本勝負、お互いまったなしですよ、なので……全力で来ることをオススメします」

 

「ほう……私のシュートであなたが怪我をしてしまうかもしれないが構わないか?」

 

国際問題にするわけにはいかない、なので言質を取らせて頂いた……証人には私のチームメンバーと監督がなってくれることだろう。

 

「ええ、構いませんよ、あなたのシュートで怪我をする心配なんて……私にはありませんし」

 

少女の言葉に少しプライドがほんの少しだけ傷ついた、まるで私のシュートを受けるだけの自信があるかのような一言だ。

 

「ほう、ならば手加減はいらないようだ……本気で行かせてもらおう」

 

私の足元にボールが転がってくる、チームメイトの目は『見せてやれ』と私に伝えてくる。わかっているさ、当てないようにゴール端に渾身のダイヤモンドレイを叩き込むさ。

少女はどうぞ、とでも言わんばかりに片手をこちらに向け手招きした。

私は行くぞ……と軽く声をかけボールを目の前に軽く浮かせ……。

ボールに私のエネルギーを叩き込み……鍛え上げる、洗練させる……!!

エネルギーが硬質化し、磨きあげられ、まるでダイヤモンドのように輝く。

これが……!!

 

「ダイヤモンド……レイ!!」

 

私のシュートはゴールの右下、寸分の狂いもなく叩き込ま……。

 

「ザ・プレデター」

 

鉤爪のようなエネルギーと複数の打撃音……気付いた時には。

 

「あらあら、この程度でしたか」

 

ボールが私の足元に突き刺さっていた。

 

「可愛くて綺麗な……シュートでしたね」

 

目の前の黒髪の少女はニコリと笑うとグローブを外しジャケットを拾う、何も無かったかのようにスタスタと出口に向かって歩き始めた。

 

「待て!いや、待ってくれ……あなたは一体何者だ!!」

 

「私は……今は名乗れませんが……ですがいずれ世界でお会いできることをお祈りだけしておりますね」

 

少女は1度立ち止まるものの、振り返ること無く歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再度、暗い部屋にて……面々は集まった。

 

「うんうん、みんなお疲れ様」

 

紫の光を浴びながら、ニグラスは笑顔で地図を指さす。

 

「次のターゲットは奈良……式典に参加予定の財前総理を誘拐するよ」

 

ガゼル、バーン、グランは他の柱の上で何も発さないまま静観する。

 

「マスターランク、ファーストランクは暫く待機だね、雷門中はやっぱりジェミニストーム相手に手も足も出なかったみたいだし、下手したらマスターランクに出番があるかどうかすら危ういねぇ……」

 

ニグラスはけたけたと笑った後、緑の髪の少年……エイリア学園セカンドランクチームジェミニストームキャプテンのレーゼに向かって指を指す。

 

「レーゼたちなら大丈夫だよね、君たちに任せたよ」

 

柱の下方に控えていたレーゼに光が当たる。

 

「了解しました……ニグラス様」

 

「それと、気になることがあるんだけどいいかな皆」

 

レーゼに当たっていた光が消え、グランに当たっていた光が光量を上げた。

バーンとガゼルは不機嫌そうに顔を向け、ニグラスはなぁに?と軽い調子で顔を向けた。

 

「豪炎寺修也……彼の存在が雷門中の中では1番邪魔だ、ジェミニストームにシュートをことごとく止められたっていうのに彼の目からは闘志が消えてなかったからね」

 

ただ1人本部に残り、雷門中の試合のデータを閲覧していたグランならではの発言は的を得ていた。

豪炎寺ならどうにかしてくれる、豪炎寺ならきっとエイリア学園のゴールだって奪える……この頃の雷門はそんなことばかり考えていたのだから。

 

「……へぇ」

 

ニグラスが目を細めた、くだらないと言わんばかりにガゼルは目を閉じ、興味が無いとバーンは欠伸をする。

続けてグランはこう告げた。

 

「精神的支柱は……早めに排除しないとね」

 

「じゃあ、いっその事エイリア学園にスカウトでもしてみる?」

 

続けて発せられたニグラスの一言に興味なさげだった筈の2人が目を開く。

 

「ああん?なんでだよニグラス?」

 

「だって……そんなチームの中心的なメンバーが相手チームに引き抜かれたって知ったらさ……自らの非力さと仲間への疑心感で……雷門は闘う前から戦意喪失……もっと面白いことになるんじゃないかな?」

 

けたけたと笑う声がする。

少女の紅い瞳が……まるで遠くに行ってしまったかのようで……グランはその瞳を自分の発言への後悔で歪ませるのであった。

けらけらと、子供のような笑い声が部屋に響く、それを止められる者は……いなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、瞳子姉さん」

 

永世学園の中等部、その廊下にて少女は一人の大量の荷物を持つ女性、瞳子へと声をかけた。

振り向いた彼女の顔には表情があまり感じられないが、それが彼女の基本だと知っている少女……秀子はそのまま続けた。

 

「教えて欲しいことと……やって欲しいことがあるの」

 

「……用件なら手短に……それと、私に何か出来るとしても出来ないかもしれないけれど」

 

「わかってる、ここを離れるんだよね」

 

秀子の言葉に目を見開く瞳子、その反応に秀子は口元をニヤリと歪めた。

 

「大量の荷物、PCまで持ち運んで……どこに移動したかバレないようにしたんでしょ?」

 

黙りこくる瞳子の様子に更に秀子は続ける。

 

「エイリア学園……つまり未来のジェネシスに勝てる見込みがあるとしたら現在暫定日本最強の雷門中……まだまだ弱いけど何人かは才能あると思うよ、キャプテンの円堂守とかFWの豪炎寺修也、元帝国学園の司令塔である鬼道有人あたりはねぇ……

もしくは西の最強漫遊寺……は実力なら現在時点でもジェミニストームくらいありそうだけど閉鎖的で頭カッチコチ集団じゃ瞳子姉さんの意見を柔軟に取り入れられると思えないから却下

大穴で熊殺しのアツヤと雪原のプリンスの士郎率いる白恋……はその他のメンバーが弱すぎるから主要メンバーの2人を引き抜いて雷門中に加入させる……ってとこかな?」

 

「……そこまで、調べていたとは驚きね」

 

「まぁまぁ……続きを聞いてよ瞳子姉さん、頼みたい事って言うのはね、雷門中の強化、それとジェネシス計画の打破……」

 

「……へぇ」

 

「お日さま園の皆は、今後の事業拡大のためって言われて信じちゃってジェネシス計画に協力的だけど……もし、もしだよ」

 

そこまで言葉を紡ぐが、秀子は苦虫を噛み潰したように表情を歪めた。

続く言葉に躊躇いが見える。

それを飲み込み、彼女は続けた。

 

「ジェネシス計画が成就した先は戦争だよね?」

 

瞳子の表情が驚愕に歪み、指先が震えている。

 

「だから……」

 

 

 

 

 

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