イナズマイレブン『黒山羊の意思』   作:mr.?

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ジェミニストーム戦、最終章

ユニークアクセスが2900を突破、そろそろ3000です……!
そしてお気に入りが100件を超えました、皆さんに読んでいただけて嬉しい反面プレッシャーが……。




だいはちわ

レーゼを初めとした、ジェミニストームの面々は今の状況が上手く呑み込めなかった。

自分たちはたしかに初心者ではあったがエイリア石により、圧倒的なパワーとスピードを手に入れた。

サッカー経験者で、圧倒的な力を持っていたマスターランクのチームにだって最初は圧倒していた程のパワーだ。

そして何より、そんな彼らにとって敗北とは。

自分たちを助けてくれた『父さん』への恩返しの機会を奪われることを指し、そんなことは決して。

 

「決してこんなことは許されない……!!」

 

1/0

 

ジェミニストームボールでの開始である。

リームがディアムへとボールを渡し、ディアムとリーム、そしてレーゼが一気に駆け上がる。

染岡とアツヤを3人がかりでパスを回しながら一気にすり抜ける。

 

「クソがっ!」

 

「わかってはいたが、やっぱり速ぇな……!!」

 

続く鬼道と塔子をスピードを重点に置いたパス回しや立ち回りで翻弄し必殺技や連携の隙を与えず、MF2人を一気に抜き去った。

鬼道と塔子を突破した隙を狙って一之瀬がリームへとスライディングを仕掛け、リームのキープしていたボールを弾いた。

だが、弾かれたボールの先には連携をとっていたレーゼが待機していた。

レーゼはボールを掠め取り、まだセンターラインからそこまで離れていない現在の地点にて足下のボールに強烈な回転をかけた。

 

「あんな位置から狙うでヤンスか?!」

 

「クソっまたあのシュートかよ……!」

 

土門と栗松が思わず大声をあげる、周囲から風を巻き込むように地面を抉るほどの高エネルギーがボールへと込められた。

レーゼはゴールを睨みつけ、思い切りその脚を振り切る。

 

「アストロブレイク!!」

 

エネルギーにより地面を抉りながらゴールへと向かうアストロブレイクの前に一人の男が立ちはだかる、その巨体をまるで動物の威嚇のように両腕を広げ身体中に力を込めるその男は叫んだ。

 

「ザ・ウォール!うぉおおお!!」

 

壁山渾身のザ・ウォールがアストロブレイクと暫しの間拮抗するものの、遂には突破された。

そして壁山によって威力の多少削がれたアストロブレイクがゴールで待つ円堂の元へとたどり着く。

それに対し円堂は懇親のエネルギーを右手に込め、金色の巨大な右手が現れる。

 

「ゴッドハンド!!」

 

壁山のザ・ウォールにより、幾分かエネルギーが減ったとはいえジェミニストーム最強であるレーゼが撃ったアストロブレイクに少しずつゴッドハンドにヒビが入り、円堂が押さえ込もうとするものの。

 

「その程度の技で……止められてたまるかぁっ!!」

 

レーゼの激昴、そしてヒビが一際大きくなるとゴッドハンドが砕け散り、円堂ごとゴールネットへと突き刺さった。

1/1

 

これで、同点となった。

 

これまでの試合を見て、ニグラスは一人思考する。

やはり、正規ルートに存在する吹雪アツヤの人格を内包した二重人格の吹雪士郎1人が加わる事よりも、吹雪兄弟として2人加入した今の雷門は強い。

1人で2人分こなすとしてもフィールドにおける影響力は凡そ1.5倍やその程度だろう。

だが2人ならば攻守常に試合に影響を与える事ができ、下手に攻め込めば士郎にカットしアツヤへ繋ぐといった黄金パターンへ移行してしまう。

本人たちも意識してか否かはわからないが、士郎のパスコースはやはりアツヤへと繋ぐ前提で前線へと送られたように見える。

それにまだ試合では見せていないがアイスグランドという強力なディフェンス技を持ち、ジェミニストームに匹敵する……いや技術面も考えるとジェミニストームを圧倒するスピードでプレッシャーをかけることができる士郎の存在がジェミニストームの攻めを阻害してる事は明らか。

なにより、スキーしかしていないはずの雷門イレブン全体のパフォーマンスがかなりレベルアップしているのも雷門を後押ししている。

 

「こりゃまずいなぁ……」

 

続いて前半残り僅かとはいえ雷門ボールでのスタート。

染岡は1度司令塔である鬼道へとバックパス、一之瀬と風丸もジェミニストーム陣営へと切り込む。

グリンゴが単身、鬼道へとボールを奪いにかかるものの鬼道はボールへと特殊な回転をかけ、ボールが意思を持ったかのように鬼道の周りを衛星のように回りグリンゴを混乱させた。

 

「イリュージョンボール……!」

 

困惑するグリンゴを尻目に一之瀬へとパスが繋がった、一之瀬は更に風丸、染岡、そして先程先制点をもぎ取ったアツヤへと繋ぐことができる立ち位置だ。

ジェミニストームの守備陣営がそれぞれの選手へとマークに付き、コラルが一之瀬へとボールを奪いにかかった。

 

コラルは必殺技が強力だけど、それに頼らない個人技も鍛えようか。

 

コラルが一之瀬のボールを奪わんとプレッシャーをかけるものの、彼はフィールドの魔術師と呼ばれるほどの技術を持ち、初心者に毛が生えた程度のプレッシャーではものともしない。

だがコラル自身、それはわかり切っていた。

今回の雷門との試合は、既に格下ではなく同格……いや技術面では負けている分自分たちジェミニストームが不利だということに。

一之瀬は更に敵陣地奥へと迫る鬼道へとパスを繋げようとするが、そこに僅かな隙が生まれた。

 

「グラビティション!」

 

蹴り上げたボールごと一之瀬の身体に圧がかかり動きが止まる。

まるで重力を何倍にも引き上げられたかのようなソレによって一之瀬のパスは失敗した。

更にコラルは一之瀬からボールを奪うとイオへとパスを繋げた。

 

「しまった!」

 

鬼道が声を上げる、何故なら鬼道を初めとしたMFの大半は攻めの構えで前線へと上がっており、ディフェンスラインはDFと塔子のみ。

イオはある程度雷門のディフェンスラインへと切り込むと、更に前線。

ゴール前のディアムへとボールを繋げた。

 

ディアムのシュートはキレがない、そんなシュートじゃ次は止められちゃうよ。

 

1人で止められるというのなら、2人で越えれば良いだけだ。

ディアムが切り込み、そこへレーゼが追走する。

2人同時にボールを蹴り上げ、空中へと上がるボールを追い越しまたも2人同時に踏み付けるように蹴りつけた。

 

『ユニバースブラスト!!』

 

蹴り付けられたボールは黒と緑のオーラを纏い、軌跡を残しながらゴールへと突き進む。

強大なエネルギーは先程レーゼが放ったアストロブレイクよりも更に増していた。

そしてそのシュートの前に塔子と壁山が立ち塞がる。

 

「ザ・ウォール!うぉおおお!」

 

「ザ・タワー!!」

 

突如現れる塔と壁はユニバースブラストと拮抗したものの、数秒の後には崩れ去った。

巨大なエネルギーの濁流に吹き飛ばされる塔子と壁山、だがしかし、円堂は既に心臓へと溜めたエネルギーを右手に収束させていた。

 

「マジン・ザ・ハンド!!」

 

金色のエネルギーが魔神を形取り、宇宙を彷彿とさせるエネルギーのシュートを抑え込まんと右手を振るう。

拮抗する2つのエネルギー、円堂の足が少しずつゴールラインへと押されていく。

 

「……ぐぐ」

 

「いっけぇえ!!」

 

レーゼが叫ぶ、円堂が耐える。

しかし円堂は目を見開き渾身の力を再度魔神へと注ぎ込む。

 

「絶対に……止めるんだぁあっ!!」

 

言霊というものがある、言葉自体に力があり、声に出すことでそのエネルギーを発揮するというそれが正に円堂に起きたかのように。

その手にはしっかりとボールが収められていた。

 

ここで前半終了のホイッスルが鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後半はジェミニストームボールで開始となった。

リームがレーゼへとバックパスを出すが、レーゼはなんとそのボールを確保し損ねた。

 

『?!!』

 

ジェミニストームだけではなく、雷門にも動揺が走る。

レーゼを通り過ぎたボールをガニメデが確保し、DFである彼へとアツヤが怒涛のスピードで襲いかかる。

 

「そのボール、貰ったァ!!」

 

ガニメデは動いてる相手へのパスが苦手だね、だったらイオと練習してみようか、2人とも連携が苦手みたいだし。

 

ガニメデはライン側ギリギリを陣取るイオへと渾身の力を込めボールを蹴り出した。

そのパスはまるでシュートのように真っ直ぐ飛んでいく。

鬼道や一之瀬はその軌道を読むと、あのパスは失敗だと、一瞬気が緩む。

だが。

 

「お前は……やっぱりパスが下手だな蟹目(がにめ)……!!」

 

だが、イオはギリギリで間に合った。

鬼道と一之瀬の対応が遅れたため、イオは雷門陣営へと一気に駆け上がる。

風丸が咄嗟にカバーに当たったものの、またもや空間に穴を開け風丸の背後へと一瞬で移動する。

 

「ワープドライブ……!!希望(のぞみ)!!」

 

イオがワープドライブで風丸を抜き去ると、再度鋭いパスが今度はパンドラへと繋がった。

パンドラへと迫る一之瀬と土門、パンドラはリームへと渾身のパスを送った。

 

「取られて……たまるもんですか……!!理夢(りむ)!!」

 

マークに付いていた栗松をくぐり抜け、既のところギリギリでボールへと喰らいつくリーム。

そんな彼女の元へ、颯爽と現れた士郎。

士郎は空中でスピンし、片脚で地面へと降り立つとそこから氷が地面を這いリームへと迫る。

 

「アイスグランド……!」

 

凍りつくリームからボールを奪った士郎は栗松へボールを繋ぎ、栗松が前線の一之瀬へと更にボールを繋いだ。

 

「なんだこいつら……キャプテンのレーゼが動かなくて様子がおかしくなってから……何故か逆にプレイに力がこもってるぞ……!!」

 

一之瀬が発した通り、まだレーゼは最初のポジションから動いておらずブツブツとなにか呟いている。

なぜ……なぜ……と。

普通ならキャプテンが戦意喪失したチームは他のものにもそれが伝染し、試合が続行不可能になってもおかしくない。

だが、逆にジェミニストームの選手達の動きが何故か活発になっているのだ。

ドリブルでジェミニストーム陣営へと切り込む一之瀬へとカロンが迫る、最初にアツヤをも止めた必殺技を披露したカロン相手に分が悪いと、一之瀬は鬼道へとボールを回した。

 

「……たしかにレーゼの様子はおかしい、だがこれは地球の命運をかけた試合……ここで一気に行かせてもらうぞ!!」

 

鬼道へと迫るジェミニストームのMFたちを鬼道は必殺技を使わず持ち前のテクニックで翻弄し突破する。

突破した鬼道は即座にアツヤへとボールを送ると、ガニメデとコラルが一気に襲いかかった。

 

「珊瑚(さんご)なんとしても止めるぞ……!」

 

「わかっているさ……!」

 

コラルが両手を広げ、ガニメデが両手を上から下へと振り下ろす。

2人の必殺技が放たれる瞬間、アツヤはニヤリと笑うと逆サイドにいた染岡へとボールを蹴り出した。

 

「決めろ染岡ァ!!」

 

「っ?!」

 

染岡自身、まさかアツヤがここで自分へとパスを繋げるとは思っていなかった。

そして、アツヤのパスを受け取った瞬間、雷門から離れてしまった彼の姿がアツヤに被る。

 

「ったく……ナイスだぜアツヤ……!!」

 

染岡は強烈な縦回転を加えたボールを空へと打ち上げる、するとまるで巨大な翼を携えた飛龍のようなオーラがボールに追従し空へと上がり。

ボールへとかけられた回転が再びボール自身を染岡の元へと辿り着かせた。

 

「これが俺の……!!」

 

染岡の渾身の蹴りがボールへと吸い込まれ、ドラゴンを越えたワイバーンがジェミニストームのゴールへと襲いかかる。

 

「ワイバーンクラッシュ!!」

 

ゴルレオは意識を右手に集中させる、今の自分にできることはただ一つ。

仲間の託してくれた最後の守りとして、雷門のシュートを防ぐのみ。

 

「ブラックホール!!」

 

ゴルレオの右手に黒い球体が現れ、ワイバーンのエネルギーを吸い込まんと空気が揺れる。

ゴルレオの右手がボールを押さえ込もうと力がこめられる、徐々に後ろへと下がっていくゴルレオ。

ジェミニストームの面々は玲於(れお)と彼の名を叫ぶ。

少しずつワイバーンの余波によって後退させられる身体、ワイバーンの力によって軋む右腕。

けれど彼は、止まらない。

 

「レーゼ……いや、リュウジよォ……諦めんなよ……!」

 

ゴールラインへと押し出されそうな体を必死に抑え込むゴルレオの悲痛な叫びに、レーゼの身体がピクリと動いた。

彼の顔が自陣のゴールへと向く、ゴルレオとレーゼの目が合う。

 

「お前は……俺たちの……キャプテンだろうが!!」

 

だが、遂にゴルレオの身体がワイバーンの余波によって押しのけられた。

ゴールラインを優に超え、ネットを揺らすボール。

 

2/1

 

再度雷門の得点を許し、ジェミニストームは窮地へと追い込まれた。

後半も、残り時間僅か。

 

再度、ジェミニストームボールで試合が再開する。

リームとディアムがお互いに目を配り、頷き合う。

一気に行くぞと2人の身体から覇気が発せられ、雷門のディフェンス陣にピリピリとした空気が漂った。

 

「行くぞ……雷門中……!!」

 

リームからグリンゴへとボールが渡る、グリンゴはちょこまかと素早い動きで染岡を突破し、パンドラへとパスが繋がる。

パンドラへのパスを見切っていた一之瀬が一気にパンドラへと接近、そして両手を地面につけ身体を捻り回転を加えると、炎が舞う。

 

「フレイムダンス!!」

 

舞い踊る炎がパンドラからボールを掠め取り、一之瀬がそのボールを奪い取るのに成功すると。

今度はイオが一之瀬へとプレッシャーをかけにかかった。

だが、今度は一之瀬の周りをボールが衛星のように回り、イオを困惑させる。

 

「イリュージョンボール!」

 

一之瀬の快進撃、一気にディフェンスラインへと攻め込む一之瀬の背後。

彼は遂に動いた。

 

「玲於、菊間(きくま)、蟹目、聡里(さとり)、珊瑚、近畿(きんき)、宇宙(そら)、伊尾(いお)、七風(ななかぜ)、大夢(ひろむ)……待たせて済まない……!!」

 

キャプテンなんだから、試合中は無駄なこと考えないでチーム全体の事考えること。

 

必殺技を繰り出した直後の隙をつき、レーゼが一瞬で一之瀬からボールを奪い去り。

今までで最高のスピードで雷門へと突き進む。

鬼道をすり抜け、土門をかわし、栗松を欺く。

 

「行くぞ……!!」

 

ゴール前へと辿り着いた直後、ドリブルからスムーズな流れでボールへと回転をかけ、一気にボールへと蹴り込んだ。

 

「アストロブレイク……!!」

 

そして、その進行ルートには塔子と壁山が待ち構えるが……それより先にアストロブレイクへと干渉する者達がいた。

リームとディアムが同時にアストロブレイクを蹴り上げた。

 

『?!!』

 

雷門たちに走る衝撃、これはまさかと円堂の脳裏にレーゼとディアムの2人が使った2つ目のシュート技が思い起こされる。

アストロブレイクのエネルギーの周りに更に緑と黒を基調とした宇宙を彷彿とさせるオーラが纏われた。

 

『ユニバースブラスト……!!』

 

空中へと蹴り上げられたエネルギーの塊を同時に蹴り落とし。

あまりのエネルギーにリームとディアムたち自身が吹き飛ばされる。

 

だが、そのエネルギー自体はしっかりと融合していた。

圧倒的なエネルギーに技術が追いついておらず、未完成で歪んでいるかもしれないが……それは確かにこれまでで最高の一撃、パワーもスピードも最高潮。

再度展開される壁と塔を一気に破壊したそれは真っ直ぐにゴールへと迫る。

円堂は心臓へとエネルギーを溜め、それを右手へと収束させる。

身体を捻り一気に解放されたエネルギーはまるで魔神のように円堂の背後へと現れた。

 

「マジン・ザ・ハンドォオ!!」

 

先程のユニバースブラスト単体とは比べ物にならないエネルギーが円堂の右手へと襲いかかる。

足が地面へとめり込みながらも押しのけられそうになり、右手だけではない全身が軋みをあげる。

 

『いっけぇえ!!!』

 

リーム、ディアム、そしてレーゼの3人が叫び、ユニバースブラストとアストロブレイクの融合したエネルギーはまだ尚円堂を押しのけんと前へ、前へと侵略する。

円堂の身体がついに押しのけられた。

 

その瞬間、レーゼたちの顔が曇った。

ザ・ウォールとザ・タワー……そしてマジン・ザ・ハンドによってコースを斜め上へと変えられてしまったボールはゴールポストへと直撃、無残にもフィールドへと跳ね返った。

 

直後鳴り響くホイッスル。

こうして、ジェミニストームは雷門中に敗北した。

 

「お疲れ様……リュウジ……勝たせてあげれなくて……ごめん」

 

彼女の紅い瞳からは一筋の雫が流れ落ちていた。




ジェミニストーム戦終幕

次回の話……正直筆が進まない……。
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