機動戦隊アイアンブラッドサーガー悪魔と少女と機甲ー   作:野生のムジナは語彙力がない

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お帰りなさい! 指揮官様!

少しだけ、例のアレについて語らせて下さい。
皆さんもみましたか? ムジナも勿論みさせていただきました!
それでですね、「これは凄い!」と心の底から思いました。
やっぱり熱くなれるのはいいですよね!強大な敵を前に、皆が力を合わせて敵を討つ様はやはり惚れ惚れとさせられます……各所で流れる魅力的な歌も相まって、まさに傑作と呼ぶに相応しい出来だったと思われます。


本当に最高でした! 鬼滅の刃 無限列車編!


は? ダンクーガイベントですか?
正直言って、あれはクソイベでしたね。はい
なぜかって? 決まっているでしょ……ハゲヤクザが性懲りも無く登場したからですよ!(ムジナ脳では、あのハゲが出たイベントは即クソイベ判定が適用されます)ハゲヤクザよ! 貴様の存在価値はダッチーから与えられた偽りの強キャラ設定とその悪趣味な機体によって保たれているのであって、貴様自身はただの一般市民、故にアイサガ世界での存在価値はなきに等しい。せいぜいダッチーから与えられた補正を貪ってイキり続けるがいい!

それとムジナは別にソロモンの活躍なんて見たくはないです。(リヒャルト……お前はやりすぎた) ましてやカーズの活躍なんて興味ないのです。


総評して、ダンクーガイベントはクソイベだったと言えます。


それで、次はゲッターロボですか?
はぁ……また古臭いものを……いえ、別にゲッターロボが嫌いなわけではないのですよ。ムジナはカラオケに行ったら大体歌うほど、ゲッターロボは好いていますので。まあ、その理由については後ほど……


それでは、続きをどうぞ……



第30話:小隊(後編)

 

 

『オーガス小隊、戦闘二参加ス』

 

 

 

通信兵によって部隊名が読み上げられるのと、液体の名を冠したバルキリーが顔を上げたのは、ほぼ同時だった。

 

「…………」

 

コックピットの中には1人の少女の姿があった。

 

母親の忘れ形見であるルビーのネックレスを首にかけ

 

自身の背後に佇む、大切な人の存在を感じながら

 

少女は決意を胸に秘め、操縦桿を強く握りしめた。

 

「テッサ、そこにいる?」

 

「はい、三日月さん」

 

三日月の声に応え、テッサは振り返った。

赤い天使と白い悪魔が対面する形となり、双方のツインアイから発せられた、2つの視線が空中で交わった。

 

「あれ? というか来るの早いね……到着は明日の朝ぐらいになるって聞いてたんだけど?」

 

「それは……」

 

三日月の疑問にテッサが答えようとした時だった。

 

「それはですねー! 我が社で開発された、新型ロケットブースターを使ったからなんですよ〜」

 

三日月の真上からそんな声が響き渡った。三日月が見上げると、先程テッサがやっていたように6枚の大きな翼を広げ、黒いバルキリーと赤いバルキリーが降下してきた。

 

2機のバルキリーはスラスターを吹かし、三日月の両側面をカバーするように、ゆっくりと地面に着地した。こうして赤、青、黒……3機のバルキリーが出揃うこととなった。

 

「ミドリちゃん?」

 

「はーい、ミドリちゃんですよ〜」

 

三日月は黒いバルキリーへと視線を送ると、ミドリは茶目っ気たっぷりにそう返した。

 

「るる、アイルーもいるなの〜!」

 

「ん、アイルーも来たんだ」

 

青いバルキリーから発せられるアイルーの楽しそうな声に、三日月は少しだけ以外そうな顔をして青いバルキリーを見つめた。

 

「驚きましたか?」

 

「うん、ロケットって?」

 

ミドリの言葉に、三日月はそう聞き返した。

 

「はい、BMの移動速度を数倍に引き上げることのできる大型ロケットブースターです。使い捨てなので、ここに来る途中で切り離してきましたが、どうやら間に合ったみたいですねー」

 

「そっか、空を飛んできたんだ」

 

「そりゃあ勿論〜。三日月くんの為ならば、地球の裏側からだろうとひとっ飛びですよ」

 

ミドリはそう言って、とびっきりの笑みを浮かべた。

 

「俺の為?」

 

「そうなんですよ〜。実はテッサさんが〜、三日月くんのことが心配だって言って聞かなくて」

 

「テッサが?」

 

三日月はテッサへと視線を送った。

 

「その……なんだか嫌な予感がして……」

 

すると、テッサは顔を赤くして気まずそうに呟いた。

 

「ごめんなさい。でも、居ても立っても居られなくて……」

 

「いいよ、別に……謝らなくても」

 

「邪魔……だった?」

 

「ううん、邪魔なんかじゃない。むしろ、倒す手間が省けてよかった……ありがと」

 

「三日月さん……」

 

優しげな三日月の言葉に、テッサはうっとりとした表情を浮かべた。お互いに姿は見えていないものの、まるで2人はお互いの存在をすぐ近くに感じているかのようだった。

 

「心が通じ合ってますね〜、かわい〜」

 

「お姉ちゃんと三日月お兄ちゃん、お似合いなの〜!」

 

そんな2人を茶化すように、ミドリとアイルーは「そうだねー」と頷き合った。

 

「ち、ちょっと……2人とも……」

 

2人にからかわれていることに気づいたテッサが、恥ずかしそうに顔をうつむかせた時だった……

 

「……ッ!」

 

突然、何かに気づいたテッサが機体を反転させると……遠方で待機していた反乱軍の陸上艦船から無数の何かが打ち上げられた。

 

「ミサイルなの!」

 

ミサイルの接近警報を耳にして、アイルーが叫ぶ

夜空を埋め尽くすほどの大量のミサイルが4人へと迫る。

 

「任せて!」

 

その言葉を放ったのはテッサだった。両腕のバスターライフルを連射モードに変更し、さらに両肩部のレールガンと腰部のビームライフルを機体の前面に向けた。

 

「マルチロック……」

 

テッサが迫り来るミサイルの一発一発に素早く視線を巡らせると、視線の動きと連動して自動的にロックオンがなされていく

 

「みんなは……私が、守る!」

 

テッサがトリガーを引き絞ると、バルキリーに装備された全ての火器が一斉に咆哮を轟かせた。バルキリーから放たれた弾丸、ビームの火線は正確にミサイルの弾頭を捉え、着弾前に空中で叩き落としていく。

 

「…………!!!」

 

テッサのMD(ミサイルディフェンス)はまだ続く

 

テッサが視線を巡らせる度にバスターライフルの射線がその都度変化し、レールガンとビームライフルの砲身がフレキシブルに稼働した。火線が放出される度に、次々と空中に小規模な爆発が生まれる……

 

そうして、テッサはその場から一歩も動くことなくミサイルの迎撃に成功した。数十を超えるミサイルの嵐は、全て着弾前に空中で撃墜され、それによって夜空に大輪の花を形成した。

 

 

 

『リキッドバルキリー』

それOATHカンパニーにて、三日月の元で急激な成長を遂げたテッサ用に、最先端のカスタマイズが施された赤いバルキリー。

リキッド……『液体』の名を冠し、絶え間ない水の流れを彷彿とさせる圧倒的火力を発揮することができる、超攻撃型のBMだった。

 

また、本機は数ヶ月前のパラダイス・ヴィラでの戦いにて中破していたものを改修し、更なる高性能化を実現すると共に、長時間の滞空が可能な新型ウィングユニットを搭載していた。それによってリキッドバルキリーは、最早バルキリーの形をした別の何かへと生まれ変わっている。

 

 

 

「ふぅ……」

 

テッサはため息とともに両腕のバスターライフルを振り払った。ただちに排熱作業が行われ、その砲身から高熱の白煙が吹き上がった。

 

「凄いな、テッサ……」

 

三日月が関心したようにそれを見ていると……

 

「11時方向、敵です」

 

レーダー表示に目を光らせていたミドリが報告した。

するとミドリの言葉に通り、三日月達のいる場所から遠く離れた小高い丘に狙撃銃を持ったBM小隊が姿を現した。

 

「アイルー!」

 

「任せるなの!」

 

バスターライフルのチャージに入ったテッサがそう言い放つと、アイルーは待ってましたとばかりに両腕のシールドを構えた。

 

「ディフェンスドローン、展開なの!」

 

次の瞬間、両腕のシールドが3つに分かれたかと思うと、それはバルキリーの腕を離れて飛び立ち、三日月達の正面へ移動した。それから、合計6枚のディフェンスドローンはその表面にビームシールドを展開して結合し合い、その結果、巨大なビームシールドとなって4人を覆い尽くした。

 

狙撃部隊が次々と砲弾を撃ち込んでくる。しかし、ビームシールドはそれをいとも容易く弾き返した。

さらに、砲撃は敵の装甲部隊・BM部隊からも行われたが、ディフェンスドローンのシールドはその全てを無力化した。さらに、陸上艦船からの砲撃を真正面から受けてもなお、シールドは健在だった。

 

「三日月お兄ちゃん! これ、凄いなの?」

 

「うん、凄いね」

 

「そうなの!そうなの! 」

 

アイルーは天真爛漫な笑顔を見せた。

 

 

 

『ソリッドバルキリー』

テッサの要望を参考に、OATHカンパニーによって後方支援型のカスタマイズが施された、アイルー専用の青いバルキリー。

『固体』を意味するソリッドは、仲間を守る強い意志、姉妹の固い絆からきている。

 

後方支援型でありながら、時に仲間の盾となることを求められた結果、防御性能に特化したディフェンスドローンを両腕に搭載しており、これによって支援攻撃を行いつつ、前衛の味方を守ることを可能としていた。

 

 

 

「次は私の番ですね〜」

 

敵の砲撃が止んだのを見て、黒いバルキリーに搭乗したミドリが前に出た。そして、アイルーがミドリの射線を確保するためにディフェンスドローンの一部を開閉させると、その穴から両腕に装備したプラズマ砲を構えた。

 

プラズマ砲は大口径の砲身が5つも束ねられたもので、巨大な砲門を形成したそれは、まるで龍の口に見えることから『ドラゴントゥース』という名前が付けられている。

 

その射線上には三日月たちを攻撃しようとした反乱軍の狙撃部隊の姿があった。狙撃部隊の兵士たちは、ドラゴントゥースの砲門が向けられていることを察知すると、すぐさま丘を反対側に下り、その射線を切ろうとするが……

 

「逃がしません♫」

 

ミドリは小さく笑うと、ドラゴントゥースの砲身を少しだけ上に向け……そして、トリガーを引いた。

 

直後、両腕合わせて計10門のプラズマキャノンから一斉に緑色の光球が放たれた。両腕からマシンガンのように連続的に放たれるプラズマ球は、曲線を描いて丘の向こう側へ落下……丘の裏側に隠れた敵の頭上めがけて、雨あられの如く降り注いだ。

 

そして、光球は着弾と同時に大爆発を発生させ、丘の向こう側に隠れていた敵部隊を一瞬にして全滅させた。

 

 

 

『バルキリーSC改』

三日月専用の予備機として改造された本機は、バルバトスに搭載された阿頼耶識システムを参考にしたインタフェース……通称、試製阿頼耶識システムが搭載されており、三日月の背中にあるインプラント機器との接続を可能にしている。

そのため網膜投影などの一部機能を使うことが可能となっており、バルバトス程ではないがある程度の感覚的な操縦が可能となっていた。また、阿頼耶識システムとの接続は必須ではない為、やや性能がピーキーではあるものの、ミドリのような一般のパイロットでも扱うことができる。

 

まだ特別な名前を冠してはいないが、前述の2機と同様に重厚なカスタマイズが施され、ベース機となったバルキリーSCとは比べ物にならないほど性能が向上している。

 

 

 

「うんうん、悪くないですね!」

 

生じた爆音の数から敵機撃破の手応えを感じたミドリは、両腕のプラズマキャノンを下ろして清々しい笑みを浮かべた。

 

「へぇ……ミドリちゃん、その武器面白いね」

 

「そうでしょう? 曲射弾道なので慣れないと若干使いづらい所がありますが、その分破壊力は抜群なんですよ〜、使ってみますか?」

 

三日月がプラズマキャノンを興味深そうに見つめていると、ミドリは両腕に装備したプラズマキャノンの片方を三日月へと差し出した。

 

「ん……今はいいかな」

 

「そうですか。それじゃあ……代わりにこちらの斧を使ってみますか?」

 

ミドリはそう言って、今度はバルキリーの腰部にマウントされた二本の巨大な斧を指差した。現在は非使用時の為、コンパクトに折り畳まれてはいるが、展開した時の大きさは一般的な量産型BMの全長を軽く超えるほどの大きさの斧だった。

 

「うん、じゃあ後で」

 

「そうですか〜じゃあ、この盾を……」

 

「あの、ミドリさん……」

 

戦闘中であるにもかかわらず、ミドリがバルキリーSC改に搭載された武器を次々と三日月にオススメしているものだから、それを見ていたテッサは申し訳なさそうに声をあげた。

 

「今はそんな場合じゃ……」

 

「そうなの! 今はまだ戦闘中なの〜!」

 

「おっと! すみません、ついうっかり……てへ☆」

姉妹からの指摘に、ミドリは小さく舌を出した。

 

「…………」

そんな余裕たっぷりの3人を見て、三日月は頼もしさを覚えるのだった。

 

反乱軍大地を埋め尽くすほどのBMと戦闘車両が迫りつつあるのが見えた。さらに後方には、圧倒的な存在感を放つ陸上戦艦が1隻と、巡洋艦と駆逐艦クラスの陸上艦が2隻ずつ並走している。

 

物量で押し潰そうと言うのだろう。

 

三日月は右手に滑空砲を、左手に太刀を持ち、迫り来る反乱軍の大部隊へ向き直った。それに合わせて3機のバルキリー達もそれぞれ銃火器を手に身構えた。

 

「それでは2人とも、後ろは任せてくださいね〜」

 

 

 

「分かった」

 

「お願いします!」

 

 

 

まず、先陣を切ったのはテッサのリキッドバルキリーだった。

 

テッサはフライトユニットをブーストさせ、星々が煌めく夜空の中へ飛び立つと、そのまま反乱軍の上空へと素早く移動した。

 

反乱軍の兵士たちは上空のテッサめがけてBMの携行火器による対空砲火を行うものの、夜空を流星の如く駆け抜けるバルキリーの圧倒的な機動性を前に、予測照準すらままならず、機体にかすり傷を負わせることすらできなかった。

 

「なんてスピードだ!」

 

「弾が……弾があたらねぇ!」

 

「ミサイルだ! ミサイルを使え!」

 

一発も命中せず、無駄弾を増やすだけの攻撃に不毛なものを感じた反乱軍の兵士たちは、次に命中精度の高いミサイルによる攻撃を実施した。

しかし、対BM用の威力が高いがその分鈍重なミサイルでは高速で動き回るバルキリーを捕捉し続けることができず、対戦闘機用の高機動ミサイルではBMを仕留めるには威力が足りなかった。

 

それでも、反乱軍は花火の如く無数のミサイルを夜空に向けて順次撃ち上げたのだが、その全て夜空を縦横無尽に駆け巡るバルキリーのハイマニュエーバーによって躱されるか、着弾前にライフルによるMDで撃ち落とされるなどして失敗に終わった。

 

「馬鹿な!」

 

ありったけの弾薬を放ったにも関わらず、バルキリーが未だに健在であることに反乱軍の兵士たちが驚きを隠せないでいると、そこへワンテンポ遅れて三日月の奇襲が繰り出された。

 

反乱軍の兵士たちの意識が上空のバルキリーへ向けられている間に、バルバトスを超低空飛行で侵攻させ、反乱軍の至近に至った三日月は、左手の太刀を閃かせ反乱軍のBMへと斬りかかった。

 

「……え?」

 

超低空での侵攻により、敵機の接近警報すら聞くことのなかった反乱軍の兵士が、バルバトスの奇襲に気づいたのは、自機が真っ二つに切り捨てられた後のことだった。

 

「何!?」

 

バルバトスが反乱軍のBMを撃破したことで、ようやくその存在に気づいた兵士たちが三日月めがけて銃火器を放とうとするも……

 

「遅い!」

 

兵士たちがトリガーを引き絞る前に、三日月は右腕の滑空砲を3回横薙ぎに放った。大口径の砲門から放たれた巨大な砲弾は敵BMの装甲を容易く貫通……それだけに留まらず、単純な威力を追求した滑空砲による攻撃は、敵機を突き抜けてもなお勢いそのまま、直線上にいた別の機体へと飛来した。

 

密集していたこともあって、滑空砲の砲弾は一度に複数のBMを串刺しにて、通り抜けてきた機体のほぼ全てを大破させた。辛うじて砲弾から逃れた機体も、すぐさま三日月の振るった太刀の斬撃を受けて撃墜される……

 

まさかこれだけの大部隊を前に、たったの2機で真正面から挑もうとするとは思いもしなかったのか、反乱軍の兵士たちは驚愕し混乱した。

 

それにより、リキッドバルキリーに向けられていた対空砲火の手が薄くなった。そして、それを見逃すテッサではなかった。

 

「そこ!」

 

地上から絶えず弾丸の雨が降り注ぐ中を、テッサは回避機動を続けながら二丁のバスターライフルを連射モードに切り替え、対地攻撃を敢行した。

 

「ぐああっ!」

「なっ!?」

「ぎゃ……」

 

敵部隊の中に降り注がれた火線の雨は、正確に反乱軍の頭上へと降り注がれ、瞬く間に甚大な被害を生み出していった。

 

広大な空を独り占めし、自由に動き回れるバルキリーとは違い、反乱軍は密集していたこともあってロクな回避運動を取ることすら出来ず、なす術なくバルキリーのビーム攻撃に晒された。

 

防御手段を持たない戦闘車両は次々に大破炎上し、BMは実体盾を展開してブロックを試みるも、バスターライフルから放たれる火線は盾ごと機体を貫き、盾としての意味を成さなかった。

 

唯一、防御性能に特化した重装甲型のBMは火線の直撃に耐えることができたが、テッサはバスターライフルの一丁を単発モードへと切り替え再度射撃を行うと、重装甲のBMは高出力の光球を前にあっさりと爆発四散してしまった。

 

「……!」

 

対空砲火の手が格段に薄くなったのを確認したテッサは、より正確な射撃を行うべくバルキリーを下降させた。

 

そして、地上を埋め尽くす反乱軍のBMとスレスレになる超低空高速飛行で敵陣のど真ん中へと侵入……地上の敵とすれ違いざまにマルチロックし、バスターライフル、肩部レールガン、腰部ビームライフルのトリガーを引いた。

 

これにより、バルキリーの通った後には巨大な火柱が吹き上がり、地上を埋め尽くしていた敵機はことごとく炎上する鋼鉄の塊と化した。

 

「テッサ、凄いな……」

 

地上で太刀を振るい、1機ずつ地道に撃墜していた三日月は、夜空を優雅に飛び、華々しい戦果を上げるテッサのバルキリーを見上げ、小さく呟いた。

 

その時、三日月の背後で動く機影があった。

「くっ……せめて、一矢報いて……」

それは反乱軍の兵士だった。三日月の太刀で機体の半身を両断され、上半身だけになったものの、その腕には照射砲が握られており、パイロットはこちらに背中を向けるバルバトスめがけてその銃口を向け……

 

「……な!?」

 

次の瞬間、パイロットの顔が蒼白に染まった。

なぜなら、完全に背後を取っているにも関わらず、ましてやレーダー照射をしてすらいないにも関わらず、バルバトスはまるで全てを見越していたかのように、兵士の方へ振り返ることなく滑空砲の砲身を向けたからだ。

 

バルバトスと一体化した三日月は背中に爆発を感じつつも、その視線は上空のバルキリーへと注がれていた。両腕の巨大なライフルから緑色のビーム光線が放たれる度に、地上では爆発が生まれている……

 

「ビーム兵器って、楽そうだな」

 

ふと、三日月はポツリとそう呟き……

「あ」

そこで、何かを思い出したように声をあげた。

 

「そっか、そういえば俺も……」

 

そこまで言いかけたところで、三日月は接近する人型機の存在を感じた。数は7機、その手に近接戦闘用のブレードを構え、滑空砲の貫通力を警戒してか、散開しながらバルバトスへと迫っている。

 

しかし、それに対してバルバトス……三日月は一歩も動くどころか、太刀と滑空砲を使って敵機の迎撃を行うこともなく、ジッとその場に佇んでいた。

 

やがて、バルバトスの目と鼻の先にまで迫った1機が、ブーストをかけバルバトスとの距離を一気に詰め、やがてブレードの射程に入ると得物を高く振り上げ……

 

ギンッッッッ……

 

「!?」

 

次の瞬間、バルバトスへと斬りかかった反乱軍の兵士は驚愕した。日ノ丸からの技術供与を受けて製造されたブレードには、BMの装甲を容易く切り裂くことのできるほどの威力があった……にも関わらず、バルバトスの胸部に突如として出現した大型の黒いリアクティブアーマーに阻まれ、斬撃が弾き返されてしまったからだ。

 

攻撃を防がれてしまった兵士はバルバトスから距離をとってブレードを構え直すと……追いついてきた後続の2機と共に、今度は息のあった同時攻撃を繰り出そうとして……

 

「…………」

 

その瞬間、バルバトスのリアクティブアーマーが炸裂し、その中から白い増加装甲が出現した。装甲は胸部だけではなく、いつのまにか両肩にも装着されており、そしてバルバトスのバックパックには、大小合わせて6基の赤い突起物が突き刺さっていた。

 

3機のBMがブーストし、バルバトスに迫る

バルバトスの背中から突起物が消失する。

 

次の瞬間、機体はバラバラに切断された。

 

一瞬にして所持していた得物、両手や両足、腰部、頭部を切り裂かれ……反乱軍の機体は勢いを失い、残った3機分の残骸はちょうどバルバトスの足下に来る形で崩れ落ちてしまった。

 

「なんだ今のは!?」

 

ブレードを構えてバックアップに備えていた反乱軍の兵士4人は、目の前で繰り広げられた謎の現象に驚き慌てふためいた。しかし、バルバトスは一歩も動いておらず、それどころか攻撃するそぶりすら見せていなかった。

 

 

 

「当たれ!」

 

 

 

三日月の目先からスパークが放たれた。

 

そのスパークに同調するようにして、それは空間の中を目にも留まらぬ速さで移動し、そこから放出された目に見えない攻撃が兵士たちを襲った。

 

見えたのは、空気中を漂う6条の赤い光跡だけだった。

 

稲妻のような軌道を描きながら、光跡が反乱軍の機体のすぐ側を通過すると……次の瞬間、4機の人型機たちは先の3機と同じように空中分解を引き起こし、ぐしゃりと地面の上に崩れ落ちてしまった。

 

「ビーム兵器……俺も、使えたんだっけ」

 

攻撃を終え、バルバトスの背中へと帰還し再接続がなされた6基の突起物を見て、三日月は小さく呟いた。それはかつて三日月がA.C.E.学園に在籍していた時に、とある風紀委員の女学生から貰い受けたドローン砲だった。

 

第6形態にも似た装甲を纏い、バックパックに大型2基、小型4基のドローン砲を悪魔の翼の如く搭載したこの形態こそ、バルバトスがこの世界に適応するために進化した姿……通称『バルバトス・神威』だった。

 

(あれ、そういえば返さなきゃいけないんだっけ?)

 

ふと、ドローン砲を始めて使った時のことを思い出して三日月は頰をかいた。しかし、そう考えつつも全方向から接近する反乱軍のことも忘れてはいない……

 

「まあ、いいか……後で……」

 

阿頼耶識システムを介して、三日月はドローン砲『光輪』へ攻撃指令を送った。三日月の意思を感知した光輪はバルバトスの背中から勢いよく射出されると、迫り来る大量の敵機めがけて飛翔……

 

三日月が頭の中に光輪の動きをイメージすると、光輪はその通りの機動を発揮し、さらに彼が「当たれ!」と念じれば、光輪は敵機の間を超高速ですれ違いながら、その先端から強力なビームを放っていく……

 

光輪による攻撃は敵機の装甲を無視して貫通……ビーム攻撃に晒された敵機は一機、また一機と地面に崩れ落ち、時折爆発四散し……その結果、三日月はその場から一歩も動くことなく大量の戦闘車両と30機以上のBMを撃墜した。

 

エネルギー充填の為に帰還した光輪を回収した三日月は、さらなる敵を求めて機体を前進させた。そして、密集して上空のテッサへ濃厚な対空砲火を行なっていたBM小隊へ滑空砲を撃ち込んで部隊の半数を大破させると、懐に飛び込んで太刀を振るった。

 

小隊を全滅させると、三日月はさらに前進……戦車部隊の上空へと跳躍した。戦車に一発撃ち込んだところで弾切れとなった滑空砲を亜空間へ格納し、太刀を右手に持ち替えつつ、両腕部に機関砲を出現させ、戦車部隊へ砲弾の雨を降らせた。

 

戦車隊を壊滅させてもなお、三日月の攻勢は止まらない。弾切れになった機関砲を格納し、今度は右腕部にロケットランチャー、左腕部にワイヤークローを装備。

 

地面に着地すると同時にワイヤーに接続されたクローを射出し、バルバトスを狙っていたBMを捕縛すると、三日月はBMを引き寄せ、太刀の射程に入ると即座に切り捨ててしまった。

 

「……!」

 

三日月が嫌な気配を感じて僅かに機体を傾けると、その時……バルバトスの肩を1発の銃弾が掠めた。三日月が視線を向けると、そこには横並びに展開し、こちらへと前進してくるBM部隊の姿があった。

 

彼らは皆、実弾の突撃銃で武装しており、突撃銃の射程に入るや否やバルバトスめがけて制圧射撃を実施した。

 

三日月は迫り来る無数の弾丸を右に左に華麗なサイドステップで避けながら、再度クローを射出……横並びになった内の一機を捉えると、敵機を捕縛したままクローを振り回し、捕縛した機体を横薙ぎに敵機へと衝突させていき、片っ端から彼らを転倒させていった。

 

そこへ追い討ちとばかりに光輪を射出し、右腕部のロケットランチャーとの併用でダウンした敵機を容赦なく撃ち抜き、一網打尽にしてみせた。

 

「ん?」

 

ワイヤーを巻き戻していた三日月は、そこで今まで遠くにいたはずの陸上艦船のうちの1隻が戦列を抜け、こちらへと迫りつつあることに気がついた。

 

反乱軍の巡洋艦クラスの陸上艦

サイズは戦艦に比べると一回り以上も小さいが、それでもバルバトスや一般的なBMと比べると、数十倍もの質量差があった。

 

巡洋艦は徐々に地上を滑走する速度を増し、それはバルバトスを前にしても変わらなかった。恐らく止まるつもりはないのだろう、陸上艦の艦首に設置された鋭利なリムが三日月に迫る。

 

「体当たり……?」

 

巡洋艦の狙いはその圧倒的な質量を用いてバルバトスを押し潰す気だった。いくら頑強なバルバトスと言えど、敵艦の体当たりを真正面から受けてはひとたまりもない……敵の意図に気づいた三日月は、右腕部のロケットランチャーを敵艦に向けた。

 

三日月はトリガーを引き絞り、ロケットランチャーの全弾を敵艦へと叩き込んだ。しかし、巨大な敵艦の動きを止めるには至らなかった。

 

「やっぱり硬いな……」

 

三日月は弾切れになったロケットランチャーを格納し、チラリと……先程からバルバトスの周囲を浮遊し、三日月からの命令を待ちわびている6基の光輪を見やった。

 

「どうせなら、もっと大雑把にやるか」

 

小さく呟くと、迫り来る敵艦を指差し、頭の中で光輪の軌道をイメージした後……そして、三日月は目先にスパークを走らせた。

 

三日月の意思に呼応し、6基の光輪は一斉に敵艦へと殺到した。そして、三日月が思い描いた通りの軌跡で空間に赤い残光を残して敵艦の頭上へ到達する。そこで動きを止め、その砲身を敵艦ではなく……あろうことか敵艦の進行方向の地面に向けた。

 

「そこ!」

 

指差した手を三日月が握りしめると、光輪から放たれた6条の光の柱が地面へ突き刺さり、3つのX形が組み合わさった光の格子となって陸上艦の前に出現した。

 

突如として船の前方に出現した光の柱を前に、陸上艦の乗組員たちは慌てて艦を停止しようとするが……大質量かつ猛スピードで移動する物体が急な停止をすることなど、できるはずもなく……

 

光の柱の中へと突入した陸上艦は、艦首部分から細かくカットされていき、船体、甲板、艦橋、主砲、エンジン、格納庫……巡洋艦のありとあらゆる箇所を細切れにし、見事なサイコロステーキを作り上げた。

 

これによって三日月は敵艦の体当たりを阻止した……かに思えた。しかし、つい先ほどまで陸上艦だった残骸は勢いそのまま空を飛び、その落下地点にはバルバトスがいた。

 

鋼鉄のサイコロステーキが三日月へと迫り来る。

 

「……」

しかし、この状況下で三日月は落ち着いていた。

 

そして、彼は思い返した。

かつてその威力を目の当たりにして、剣に対して真摯に向き合うことを決め、強くなるためにひたむきな努力を続けた学園での日々を。そして、ほぼ独学で会得したあの技を……

 

三日月は太刀を両手で構え……

 

「佐々木流……」

 

自身に剣を教えてくれた恩師の名前を口にして

迫り来る鋼鉄の塊を真っ直ぐに見つめ……

 

 

 

 

 

……雷電!!!

 

 

 

 

 

三日月が太刀を縦に振るうと、鋼鉄の塊はまるで豆腐でも切るかのように軽々と、綺麗な断面図を残していとも容易く両断されてしまった。

 

しかし、切断したその先からまた新たな鉄塊が三日月へと迫り来る。三日月は即座に刀を構え直し……

 

「雷電! 雷電! 雷電!」

 

次々と技を繰り出した。

技名と共に正確な一閃が繰り出されていくと、鉄塊は次々と両断されていき……そして、ついに三日月へと迫る鉄塊が最後の1つとなった。

 

「雷……」

 

最後の鉄塊へ太刀を叩きつけた三日月だったが……その瞬間、度重なる強烈な斬撃に耐えきれなくなったのか、刀身にひび割れが生じた。

辛うじて鉄塊の切断には成功するも、もはや太刀の状態はこれ以上の戦闘には耐えられないほど酷く損傷してしまっていた。

 

「まだ、修行が足りないか……」

 

大量の鉄くずとスクラップをバックに、三日月は損傷した太刀をじっくりと見つめ自分の未熟さを痛感し、小さなため息を吐いた。

 

 

 

「……やっぱり、三日月さんは凄い」

 

反乱軍へ対地攻撃を行いつつ、先ほどから三日月の戦闘をチラチラと見ていたテッサは、陸上艦をあっさりと撃沈?してみせた彼の活躍に心をときめかせていた。

 

「ううん、私も負けてられない!」

 

三日月の活躍に押される形で闘志を燃やしたテッサは、バスターライフルのアンダーバレルに設置したバヨネットを展開し、機体を急降下させ……自身の真下にいた敵機めがけてバヨネットを突き立て、粉砕した。

 

「今度は、私が三日月さんを守るって決めたから!」

 

さらにそこから、テッサは自身の行動に反応できていない敵をバヨネットで一刀両断。さらに大破した機体をバヨネットの剣先に突き刺し、敵機を盾にしながらバスターライフルを連射するという凶悪な戦い方をやってのけた。

 

安全装置のこともあり、銃火器が使えなくなった反乱軍は近接戦闘用のブレードを装備してリキッドバルキリーへと接近を試みた。

 

左右からの挟撃

迫り来る同時攻撃に対し、テッサはバヨネットによる防御を試みた。

 

左右からの斬撃を両腕のバヨネットで凌ぐことに成功したテッサだったが、それによって発生した衝撃によりバヨネットの剣先から盾にしていた機体が崩れ落ちてしまった。

 

これにより射撃兵装を使用可能になった反乱軍の兵士たちは、すぐさま銃火器の照準を地上のリキッドに向けるが……

 

「で、それで終わり?」

 

テッサは小さく叫ぶと、バヨネットに隠されたギミックを発動するべくトリガーを引いた。次の瞬間、バヨネットとブレードの接触面に巨大な衝撃波が発生し、リキッドの左右に取り付いていた敵機は装備していたブレードごと吹き飛ばされてしまった。

 

さらに、吹き飛ばされた敵機は銃火器を構えていた他の機体と衝突し、転倒。その隙を見逃さず、テッサはリキッドを再び飛翔させた。

 

「……!!!」

 

機体を上昇させつつ、テッサは両腕のバスターライフルを爆射モードへと切り替えた。リキッドバルキリーの装備するヴァリアブルバスターライフルは、状況に応じて単発、連射、爆射……と、様々な射撃モードでの撃ち分けが可能だった。

特に爆射モードは、パラダイス・ヴィラでの戦闘以前は2丁のライフルを横並びに連結することで爆射モードとなり得たのだが、その後のリキッド改修の際に、ライフル本体にも改良が加えられたことにより、バスターライフル単体でも爆射モードへの移行が可能になっている。

 

威力はライフル連結時とは比較的劣るが、連結時の爆射モードでは一度の発射には大量のエネルギーを消費し、発射の衝撃は機体に対して負荷を与えるというデメリットがある他、そもそも対BM戦闘においては明らかにオーバーキルと言えるほどの威力があった。

 

なので、ライフル単体での爆射モードは過剰なエネルギーの流出を防ぎ、機体のパフォーマンスを一定に保ちつつ、使用者に対してさらなる戦闘スタイルの幅を広げることを可能としていた。

 

そして、テッサが考案した新たなる戦い方。

 

「これで……!」

 

テッサは両腕のバスターライフルを地上に向け、それぞれ別々の方向へ照準し……そして、トリガーを引き絞った。

 

バスターライフルの先端から放たれた2本の巨大な光が地上へと着弾し、不運にもその場に居合わせてしまった哀れな反乱軍部隊をその圧倒的な威力で焼き払ってしまった。

 

「薙ぎ払う!」

 

しかし、テッサの攻撃はまだ終わらない。

ライフルを照射した状態で、テッサは機体をロールさせた。それにより、バスターライフルから放たれる光はリキッドの回転に合わせて円を描くように地上を蹂躙し、射線上にいた敵機を容赦なく取り込み、次々と消し炭に変えていった。

 

やがて、バスターライフルの光が収まった時には……テッサの周囲に動くものはなくなっていた。そして、攻撃に晒された地上にはミステリーサークルを彷彿とさせる巨大な赤黒い円が残され、威力の凄まじさを物語っていた。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

「お姉ちゃんも三日月お兄ちゃんも凄いなの〜!」

 

三日月とテッサが激闘を繰り広げている最前線より少し離れたところで2人の戦いを見守っていたアイルーは、その活躍に歓喜の声を上げた。

 

「そうですね! アイルーちゃん」

 

アイルーの言葉にミドリはしきりに頷いた。

 

「三日月くんもテッサさんも、ウチに来てからというもの毎日毎日沢山の努力を重ねてきていましたからね〜。流石……というべきでしょうか? ああ勿論、リキッドの方に関しては我が社が総力を上げてカスタマイズした機体だからということもありますけどね〜!」

 

しばらくの間、2人の戦いに見惚れていたアイルーとミドリだったが、途中でやるべき事を思い出し、気持ちを切り替えるためにミドリは小さく手を打った。

 

「さて……それではアイルーちゃん、私たちも2人の援護をするとしましょうか〜」

 

「はいなの〜!」

 

天真爛漫な笑みを浮かべ、アイルーは機体を片膝立ちの状態にして、ソリッドバルキリーのメインウェポンであるスナイパーライフルのバイポッドを下ろして地面につけ、スナイパーライフルを構えて静かにスコープを覗き込んだ。

 

バルキリーSC改に乗るミドリもアイルーの隣で観測手の役割を果たすべく、プラズマキャノンのスコープを覗き込んだ。

 

「えーっと、それじゃあ……これと、これ……あとはこの敵なんてどうでしょう?」

 

ミドリはスコープの中に映り込んだ敵を次々にマーキングしていった。ミドリが選別した敵機はデータリンクを通じてソリッドへと送られ、スコープを覗き込むアイルーの視界の中にもハッキリと映り込んだ。

 

「多いですが、いけますか?」

 

「やってみるなの!」

 

アイルーは本場のスナイパーがやるように息を止めると、真剣な眼差しでスコープ越しに敵機をロックオンし……そして、トリガーを引いた。

 

スナイパーライフルから超光速の光球が射出されると、それは空中で5つに分裂し、それぞれ意思を持っているかのように別々の方向へとホーミングした。

 

5つの光球はミドリがマーキングしていた5機のBMを正確に撃ち抜き、一機も残すことなく大破へと追いやった。

 

「全弾命中! お見事です!」

 

「当たったなの? やったなの〜!」

 

嬉しそうな笑みを浮かべるアイルーに、ミドリは小さく拍手して優しく笑いかけるも……その一方で、心の中ではアイルーが発揮した能力に舌を巻いていた。

 

光球が5つに分裂したことではない。

それはバーストショットという、アイルーが独自に開発した技で、種明かしをすれば、射撃直前にライフルの出力を調整しビームを拡散させただけの芸当であり、これ自体はそう珍しいものでもなかった。

 

真に着目すべきは、分裂した光球が同時に複数の敵機を目標にホーミングしたという点にあった。

 

(これも、アイルーちゃんが持つ能力の成せる技ですか……)

 

ミドリは心の中では密かに呟いた。

姉であるテッサと共にOATHカンパニーに所属することになったアイルーだったが……いくつかの試験の後、彼女の持つ並行処理能力が常人を遥かに超えていることが明らかになった。

 

並行処理能力というのは、その名の通り複数の作業を並行して行うことのできる能力という意味で、この能力が高ければ高いほど作業記憶や空間把握の面でより高度な情報処理が可能となっている。

その他の言い方として、マルチタスクが挙げられる。

 

そんなアイルーの能力を活かすべく、ソリッドバルキリーには彼女の脳波を読み取るシステムが搭載されており、先ほどの分裂したスナイパーライフルのビームがホーミングしたのは、アイルーが光球の弾道を頭の中で思い描いていたからだった。

これはディフェンスドローンの運用にも使用され、今やアイルーはドローン系兵装の扱いに関しては、あの三日月に準ずるほど卓越していると言えた。

 

だが、並行処理能力にも弱点があった。

高度な能力であるが故に、使えば使うだけ脳が疲労し、IQの低下や脳の障害を引き起こしてしまうというデメリットが存在している。

 

(ですから、アイルーさんの常日頃からの幼ない言動は、並行処理による脳機能の酷使を防ぐための自己防衛によるものであると考えると納得がいく……)

 

ミドリは真剣な眼差しでアイルーを分析した。

 

(もしくは、知的な遅れが見られる代わりにある一定の分野に関して突出した才能を見せるというサヴァン症候群の類か……はたまた、アイルーちゃんがごく稀に生まれるとされる、並行処理を行っても脳に悪影響がないスーパータスカーなのか……)

 

「ミドリお姉ちゃん、どうしたなの?」

 

機体越しにミドリの視線を感じ取ったのか、アイルーはミドリへと振り返ってそう尋ねた。

 

「……いえ、何でもありません♫」

 

「……? 変なの〜」

 

優しく微笑んでそう答えるミドリに、アイルーは可愛らしく首を傾げた。

 

(まあ……どちらにしろ、テッサさんと同じくまだまだ研究の余地はありそうですね)

 

そう考えつつ、ミドリはスコープを覗き込み、遠くの方でビームを連射するテッサのリキッドバルキリーを見つめた。

OATHカンパニーにて隠された能力が明らかとなったのはアイルーだけではなかった。テッサもまた、新たな能力を開花させていた。

 

動体視力の異常発達……

それが、テッサに発現した能力だった。

 

そのレベルは、目の前を横切った銃弾に刻まれていた小さな文章を一字一句、誤字や欠損まで正確に読み取ることが出来るほどだった。これによって、テッサはリキッドのブースターを全開にさせた超高速機動状態でも敵機めがけて正確な射撃を叩き込むことができた。

 

(そして、それを成したのは三日月くんの存在があったから?)

 

ミドリは心の中で彼のことを思い浮かべた。

テッサが並外れた動体視力を獲得したのは三日月との激しい修行があったからこそのことであり、また、アイルーの隠された能力に1番初めに気づいたのもまた、三日月だった。

 

(もしかすると……三日月くんが、彼女たちの中に眠っていた才能を目覚めさせたのではないでしょうか? 彼の存在が、テッサさんとアイルーちゃんに良い影響をもたらした……そう考えると……)

 

そこでミドリは、ニッコリと微笑み……

 

「やっぱり凄いですね! 三日月くんは」

アイルーに聞こえないように、小さく呟いた。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

カピラ城

巨大な外壁の頂上

 

「…………」

 

三日月たちがいる最前線より少し離れたその場所に1機のBMが佇んでいた。スマートなシルエット、漆黒の装甲、巨大な緋色の剣を携え、紅い瞳を光らせて遠くの戦局を見つめている。

 

この機体こそ、極東最強と名高い剣聖・朧の乗機である『カグヤ』だった。

 

「私は出なくていいのか?」

 

朧は戦場から視線を逸らすことなくそう告げた。

 

「見ての通り、その必要はないだろう」

 

朧の問いかけに答えたのはオスカーだった。

彼は今、空中を浮遊する金色のBMに搭乗しており、機体をホバリングさせつつ、ゆっくりとカグヤの近くへと降り立った。

 

「どうかね? 彼の……三日月くんの戦いは?」

 

「……神獣のような戦い方だ」

 

「というと?」

 

「獣のような荒々しい動きをしているように見えて……その実、動きに一切の無駄がない。余計なエネルギーを使わずに最小限の消耗だけで敵を倒すあの動きは、本能的でありながら全てが理想的……荒々しくもありながら、完成されたその動き方はこの世界を生きる全ての生物のお手本と呼べるだろう。そう、まさしく神話の中に登場する、神の創り出した獣の為せる技……」

 

「ほう」

朧の言葉に、オスカーは興味深そうに耳を傾けた。

 

「また、格闘、射撃、回避……どれを取っても高いレベルでこなしていることが分かる。これほどの猛者を、たった数百の反乱軍程度で仕留めることはできまい。だが……」

 

「だが?」

 

「その一方で、剣の扱いに関しては全くの素人であると言えよう。あの動きからして、多少は修練を積んではいるようだが、私に言わせればまだまだ未熟。あの程度でナマクラになってしまった太刀がいい証拠だ、真の達人ならば……どれだけ敵を叩き斬ろうとも刃こぼれ1つしない」

 

「ははは、手厳しいものだな」

それを聞いて、オスカーは朗らかに笑った。

 

「ところで、このまま戦闘を観戦するのも良いが……1つ、頼まれてはくれないだろうか?」

 

「何か問題が?」

 

「つい先ほど、我々の監視班がここから反対側の方角を移動する小規模のBM部隊を探知した。恐らく、シャラナ姫がカピラ城からの脱出を図った際に、その確保・追跡を行うための別働隊といったところだろう」

 

「なるほど。それを殲滅すれば良いのだな」

 

朧はカグヤを反転させ、カピラ城の反対側を見つめた。

 

「話が早くて助かるよ」

 

「別に……あの方から、あなたに協力するようにと言われているのでな。ならば剣聖として、果たすべきことは果たすまでだ」

 

「フッ……いい忠節だ。しかし、それは私も御同様なのでね。私も同行させてもらうとしよう」

 

そう言って、オスカーはビームライフルを構えた

 

「驚いた。閣下も戦えるのか?」

 

「見くびらないで貰いたいね。四重奏の一員とはいえ、戦えないとは言っていない……それでは、先に行かせてもらう」

 

次の瞬間、オスカーは機体をブーストさせ、カピラ城の城壁から機体を飛び立たせた。黄金の機体は真っ暗な夜空の中でも色褪せることのない輝きを放ち、高速移動する月の如く夜空を駆け抜けた。

 

それに続くように、カグヤも城壁を伝って戦場へと向かった。壁の上をパルクールの如く駆け巡り、時に華麗な跳躍をもって移動するその姿は、まるで夜の世界を生きる忍者のようだった。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

「ねえ、テッサ」

 

「はい」

 

反乱軍の約半数を蹴散らし、敵陣の中央で合流した三日月とテッサは、背中合わせになりながら言葉を交わした。

 

「空を飛ぶのって、どんな感じ?」

 

「え?」

 

テッサが三日月の質問の意図について思考を巡らせていると、2人の周囲から一斉に砲火が放たれた。

 

しかし、無数の銃弾が着弾するよりも早く、アイルーの放ったディフェンスドローンが2人を保護するように展開され、ビームの壁が反乱軍の攻撃を全て無力化させた。

 

「空を飛ぶ、感覚ですか?」

 

「うん。ほら、バルバトスは飛べないから」

 

ディフェンスドローンに守られている中で、2人は会話を続ける。

 

「ん……最初はバランスを取るのが難しくて、少し練習が必要だけど、慣れるととっても楽しいです」

 

テッサは背中に三日月を感じながら言葉を続ける。

 

「空を飛んでいると渡り鳥になったみたいで、どこまでも続く大地を超えて、広大な海を超えて、雲を超えて、どこまでも自分の行きたいところに行ける……ふと、自分が通ってきた方を振り返ると、つい先ほどまでいた場所は砂つぶみたいにちっぽけで、重力っていう足枷に縛られた私たちは、この世界にへばりついている本当にちっぽけな存在なんだって、そう思いました」

 

テッサの言葉を、三日月は真剣に聞き続ける。

 

「出来るならこの広い空をもっと早くに感じていたかった。それに、なんで今まで自分に翼が生えていなかったんだろうなって思ったりして、なんて……」

 

自分にしては珍しく、思わず長々と語ってしまったことに、テッサは少しだけ恥ずかしそうに頰をかいた。

 

「そっか」

 

テッサの言葉を聞き、三日月は少しだけ顔を緩ませた。

 

「俺もいつか、空を飛んでみたいな」

 

「三日月さんなら飛べますよ」

 

「じゃあさ、連れてってよ」

 

「え?」

 

三日月とテッサは、お互いに背中合わせになったまま視線を絡め合わせた。

 

「俺は飛べないからさ。だから……テッサが感じた広い空の中に、俺のことを連れてってよ」

 

「は、はい!」

三日月の言葉に、テッサは満面の笑みを浮かべた。

 

長々と続いた砲撃の雨が止み、アイルーが展開したディフェンスドローンからビームシールドが解除される。

 

「取り巻きを倒すのはこれで終わり」

「はい、次は敵の旗艦を……!」

 

三日月は武器を変え、左腕部に迫撃砲を。そして、メインウェポンにバルバトスの代名詞とまで呼べる大質量武器、メイスを選択した。

 

テッサはバスターライフルのバヨネットを展開し、スタートダッシュを決めるべく6枚の翼を広げ、スラスターをアイドリング状態にした。

 

「それじゃあ……」

「行きましょう!」

 

次の瞬間、白い悪魔と赤い天使の姿が消失した。

 

三日月はメイスを機体前方に構えて敵部隊へと突貫、テッサは超低空飛行でバスターライフルを乱射……瞬く間に反乱軍の中に甚大な被害が発生。さらに2人の攻撃の余波に巻き込まれ、連鎖的な爆発が生じた。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

同時刻

カピラ城

 

「なんということだ……」

 

シャラナ姫と共にカピラ城から三日月たちの戦闘を目撃していたシヴァージは、その圧倒的な戦いを前に、もはや歓喜を通り越して薄ら寒いものを感じていた。

 

「我らが束になって勝てなかった敵を……たったの4機で……?」

 

次々と反乱軍が打ち倒されていくのを前に、顔を真っ青にしていたのはシヴァージだけではなかった。謁見の間にいた兵士たちも彼らの戦いを見て畏れおののき、思わずチュゼールの神に祈りを捧げ、天を仰ぎ見るのだった。

 

「どうやら、決まったようですね」

 

それに対して、シャラナ姫は冷静だった。

バルコニーから謁見の間に戻ると、そばにいた兵士たちを順に見回し、最後にシヴァージを見つめた。

 

「まさか……本気であの者たちと手を組むつもりですか!?」

 

決意の定まったその視線から王女の意図を悟ったシヴァージは、慌てて王女の前へと膝をつき、意見具申を始めた。

 

「姫様、今一度お考えを! 見ての通り、彼らの強さはハッキリ申し上げて異常です! あれだけの規模の敵をたったの2機で押し返すなど、前代未聞! そんな得体の知れない力を持った者たちと手を組むことは……」

 

「いいえ、前代未聞ではありません」

 

シャラナ姫姫はシヴァージを制し、言葉を紡ぐ

 

「かつて我らが機械教廷からの侵攻を受けた際に、極東軍……かの極東武帝も、機械教廷の大部隊を前に一歩も引くことなく大打撃を与えていました」

 

シャラナ姫の言葉に、シヴァージはハッとなった。

 

「彼らもまた、極東武帝と同等の……いや、それ以上の力を持っていると考えることはできませんか?」

 

「それは……そうかもしれませんが、しかし……!」

 

「怪しいですか?」

 

シャラナ姫に問われ、シヴァージは頷いた。

 

「そうですね。シヴァージ、あなたの気持ちはよく分かります。なぜなら、あなたが彼らのことを訝しんでいるように、私もまた彼らのことを怪しく思っています。例え彼らの正体が……だったとしても……」

 

「では、なぜ……?」

 

「チュゼール南方のカリンガ藩王は、戦力を提供する代わりに、私に長子であるヴァーユとの婚約を要求していました。それに対して、彼らは戦力の提供に対して何の対価も取らないと言っています」

 

「その通りです、姫様! 本来であればカリンガ藩王のように戦力を提供する際には、何か見返りを求めるのは当然のこと、しかし彼らは何も求めてはいない……怪しい! 実に怪しいですぞ」

 

「怪しいからこそ、だからこそ……彼らとは敵になってはいけないのです」

 

シャラナ姫の言葉に、シヴァージは戸惑いを隠せないでいた。

 

「何を……おっしゃられて……」

 

「違うのです、シヴァージ」

 

シャラナ姫は力なく首を振った。

 

「彼らは私たちに見せつけているのです。あのような一騎当千の戦いを繰り広げる強者を、そして極東最強とまで呼ばれたあの剣聖さえも引き入れるだけの人脈を持っているということを……これだけでも戦力差は圧倒的であることは明確。そして、見返りを求めないということは……即ち、彼らの手元には私たちの所有する資源や財など、取るに足らないほどの資本を既に所有しているということ」

 

シャラナ姫は小さく息を吐き、続けた。

 

「この2つを並べて、彼らは問うているのです。『我々を敵に回して良いのか?』……と」

 

「……!?」

 

誰もがシャラナ姫の言葉に耳を疑った。

しかし、シャラナ姫の推測は理にかなっており、何よりも孤立無援の現状を打破する1番の方策である以上、他に反論の余地はなかった。

 

「ならば答えは……否です!」

 

シャラナ姫はその場に居合わせた全員の顔を見て、そう決断した。

 

「私は……チュゼール王を殺害し、チュゼールに混乱をもたらした逆賊ブラーフマに正義の鉄槌を下すべく、そして分裂したチュゼールを再び1つにするために、彼らの力を借りたいと思います!」

 

シャラナ姫の力強い宣言が謁見の間に響き渡った。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

一方その頃

戦場では激戦が続いていた。

 

BM部隊による防衛線を易々と突破した三日月とテッサは、反乱軍の陸上艦隊へと接近。4隻の陸上艦のうち3隻を早々に血祭りにあげると、最後に残った反乱軍の旗艦である陸上戦艦めがけて肉薄した。

 

旗艦と言うこともあり、陸上戦艦は強固な装甲と高火力の砲台、無数の銃座が取り付けられた、まさに鉄壁と呼ぶに相応しい艦船であり、しかも3部隊からなる計数十機のBMを護衛として船の周囲に配置していた。

 

だが、三日月たちが襲来すると、鉄壁の守りは瞬く間に瓦解した。護衛BMはあっという間に全滅し、船の各所に取り付けられた砲台や銃座はテッサのマルチロックによってことごとく撃ち抜かれ、防御のための火力はあっという間に削ぎ落とされてしまった。

 

「護衛の部隊はどうした!?」

 

陸上戦艦のブリッジは絶叫に包まれていた。

 

「駄目です! 3部隊ともに応答なし」

 

「他の船からも応答がありません! 撃沈されたのかと」

 

「ちぃ!」

それを聞き、陸上戦艦の艦長は舌打ちした。

 

「何でもいい! 早く奴らを叩き落とせ!」

 

「主砲塔、3番5番応答なし」

 

「対空火器、9割が被弾」

 

その時、リキッドバルキリーの放った火線が陸上戦艦の左右に配置されていた主砲を同時に撃ち抜いた。

 

「続けて主砲塔、2番と4番が沈黙!」

 

「クソが……!」

 

それを聞き、艦長は座っていた椅子を叩いた。

 

「撤退だ! 戦闘領域から離脱する!」

 

「メ、メインスラスターに異常発生!?」

 

陸上戦艦の背後に回り込んだバルバトスが船のスラスターをメイスで叩き潰し、さらに船体側面に回り込み、厚い装甲板めがけて左手を叩き込んだ。

 

さらに、バルバトスの反対側に降り立ったリキッドは、三日月がそうしたように船体側面に2本のバヨネットを容赦なく突き刺した。

 

三日月とテッサがトリガーを引き絞ったのはほぼ同時だった。バルバトスは左腕部の迫撃砲をゼロ距離で発射し、リキッドはバヨネットから発せられる強烈な指向性ショックウェーブをお見舞いした。

 

船の左右からもたらされた巨大な圧力により、陸上戦艦の心臓部とさえ呼べる巨大なメインエンジンは一瞬で機能停止へと追い込まれた。

 

「メインエンジン損傷! 出力が……!」

 

「バ……バカな……!?」

 

オペレーターの言葉を聞き、艦長は脱力して椅子から崩れ落ちそうになった。

 

「開戦からまだ10分しか経過していないのだぞ!? たった10分で……全滅……!? 陸上艦5隻、230機ものBMと戦闘車両を有する我々が……!?」

 

「艦長、もう駄目です! 降伏を……」

 

「バ……バカなことを言うな!」

 

降伏という言葉に反応し、艦長は立ち上がった。

 

「わ、我々は誇り高きチュゼール軍人である! 降伏など絶対にあり得ない……! それに見よ、我が艦の前方にそびえる、1番砲塔を!」

 

艦長はちょうどブリッジの先にある主砲を指差した。

 

「これだけの被害を受けつつも、未だにあの1番砲は健在である! これを使ってカピラ城を砲撃し、奴らに一矢報いて……うおおおおおおおおお!???」

 

その瞬間、とてつもない衝撃がブリッジを襲った。

 

「な、何事だ……?」

 

「か、艦長……アレを……」

 

部下に示され、陸上戦艦の艦長が視線を向けると

 

「そ、そんな……」

艦長は絶句した。

 

ブリッジの真正面……つい先ほどまで無傷だったはずの1番砲塔はいつのまにか真っ二つに折れ、巨大な黒煙を吹き上げながら炎上していた。

 

そして、巨大な炎の中に1つのシルエット浮かび上がる。

 

ズシン……ズシン……

陸上戦艦の甲板に盛大な足音を轟かせながら、それはゆっくりと炎の中から姿を現した。

 

甲板上を進む1機の人型機。

モスグリーンの輝きを放つツインアイ、そしてV字アンテナ。背中には翼にも似た刺々しい物体、白い装甲は背後でチラつく炎を受け、返り血を帯びたように赤く染まり……そして、その右手にはメイスが握られている。

 

「ヒッ……! く、来るな!」

悪魔のようなその形相に、艦長は悲鳴をあげた。

 

悪魔の名を冠するその機体は、ブリッジを真っ直ぐに捉えると……そして、手にしたメイスを両手で構え、ブリッジめがけて一直線にブーストし……

 

その時……

ボッボッボッボッ

暗い夜空に4つの信号弾が炸裂した。

 

それは陸上戦艦のオペレーターの1人が、死にたくない一心で打ち上げたものだった。降伏を意味する4つの光が戦場を明るく照らした。

 

その瞬間、バルバトスの動きがピタリと止まった。

手にしたメイスはブリッジへ直撃する直前で停止し、陸上戦艦の艦長を含めたブリッジにいたオペレーター数名は辛うじて一命を取り留めるのだった。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

それから少し後……

 

『こちらはOATHカンパニー所属、オーガス小隊です』

 

カピラ城の兵士たちによって、降伏した反乱軍兵士たちの武装解除が行われている中、ミドリはバルキリーを飛び立たせて上空を旋回し、アナウンスを行なっていた。

 

『この戦場はオーガス小隊によって制圧されました。これ以上の抵抗は無駄です、武器を持っている人は、即刻武装解除をお願いしま〜す♫』

 

相手の怒りを買うような腑抜けた声で降伏を呼びかけるミドリだったが、信号弾が打ち上げられてからというもの、反乱軍からは目立った抵抗は見られなかった。

 

それもそのはず、抵抗をしようにも戦力の大半を失った反乱軍に最早出来ることは何もなく、生き残った反乱軍兵士たちは皆、呆然と立ち尽くすのみだった。

 

『今後とも、我がOATHカンパニーを宜しくお願いします。繰り返します……』

 

この戦いで、カピラ陣営は反乱軍将校5名と数百名の兵士を捕虜にすることができた。また、大破を免れた戦闘車両とBM計数十台を鹵獲し、アランバハの戦いで消耗した戦力を僅かに回復することができたのだった。

 

『貴公らの身柄は捕虜として扱う』

 

陸上戦艦のブリッジでは、反乱軍を率いていた艦長とシヴァージによる通信が行われていた。メインモニターにはシヴァージが映し出され、艦長は彼の発する言葉を呆然と聞いていた。

 

『なお、協定に基づいて捕虜に対する非人道的な扱いはしないことをここに誓う。それで宜しいか?』

 

「ああ」

艦長はそう答えて小さく頷いた。

 

『では、そちらには私の部下を送ってありますので、後のことは彼らに従ってもらいます……それでは』

 

「ま……待ってくれ!」

艦長はハッとしたような表情でモニターを見上げた。

 

『まだ何か?』

 

「教えてくれ! 奴らは一体何者なんだ!?」

 

オペレーターたちの弱々しい視線を受けながら、艦長は『オーガス小隊』と名乗る彼らのことについてシヴァージへと問いかけた。

 

『それは……』

 

その時、カピラ城にいるシヴァージはチラリと横を見た。そして、側で話を聞いていたシャラナ姫と視線を合わせて頷き合うと、再び通信機へと向き直り……

 

『彼らは、オーガス小隊』

そして、こう続けた。

 

 

 

 

 

『我々の、切り札です』

 

 

 

 

 

 

 

機動戦隊アイアンブラッドサーガ

第30話:オーガス小隊

 




先程、ムジナがゲッターロボとのコラボが嫌みたいに述べていたのは、またハゲヤクザが登場するんじゃないかと思ってのことです。あのクソハゲはマジンガーなど、古き良き作品とのコラボに出没する傾向にあると見られており、しょーじき、もうあんなキモいオッサンの活躍なんて見たくないので、だからこそゲッターとのコラボは嫌だ……ということなのです。


まあ、それはいいとして……鬼滅の刃ですが
マジで感動しました。
特にラストは涙を流してしまうのを必死になって堪えていたくらいです。(鉄血のオルフェンズをリアルタイムで見ていた時と同レベルで、叫びたくなりました)また、ムジナは鬼滅の刃の漫画を一切読んでおらず、そのため頭空っぽの状態で観に行ったので、まさかああいう展開になるとは思いもよらず……なので、観ていて心の昂りが抑えられませんでした。

現在……鬼滅の刃が、かのジブリが成し遂げた記録を更新するのではないかと噂されていますが、ムジナから見ても鬼滅の刃は、日本映画界の歴史を塗り替えるに値する、新しき世の素晴らしい作品であると感じました。

古いものだけが良いものではないと改めて実感しました。

ただし、真に良い作品は例え記録が塗り替えられようとも良い作品であり続けることができます。そういったものに『国破れて山河あり』はありません。そして日本映画界の記録からも、人々の記憶の中からも忘れられることはないと存じます。


(以下はムジナの自論です。無視して下さい)
ダッチー、あなたがそういうのが好きなのはもう分かっています。
しかし、そのせいで自身の作品であるアイアンサーガのリアル路線を追求した世界観を壊してしまうのは本末転倒ではないでしょうか?(せっかくの素晴らしい世界観だったのに……)正直に申し上げて、グレゼオやラガンなどのゲテモノメカに加えて、どう見ても怪獣だろ?と思われるメカが飛び交う今のアイサガに、ムジナはサービス開始直後ほどの魅力を感じなくなっています。他作品とのコラボに力を入れる前に、もっと自分の作品の魅力を磨き上げてください。もう遅いですが


以上を持ちまして、誠に勝手ながらアイブラサガの執筆を少しだけお休みとさせていただきます。理由は、アイサガの非公式クリスマスイベントの続編を制作したいからです。
最後に、鬼滅の刃 無限列車編を見た後で、改めて鉄血のオルフェンズを見返したのですが……煉獄さんのと比較すると、例のあの展開は「ないわー」と改めて思いました。なので、アイブラサガはそれを払拭させられるだけの展開を用意する予定ですので、今後ともご愛顧のほど、よろしくお願いします。

あと1年以内に完結させたいです!
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。
それでは、また……

アイサガで貴方の好きなキャラを教えてください。(回答はこちらではなく気軽にコメントの方へお願いします)

  • 境界戦機もっと流行れ
  • 鉄血・ブレットもっと流行れ
  • 水星の魔女×鉄血のオルフェンズ?
  • あと、アイサガのエンディングも作ります
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