機動戦隊アイアンブラッドサーガー悪魔と少女と機甲ー   作:野生のムジナは語彙力がない

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お帰りなさい!指揮官様!

ニコ動の方で『鉄血・ブレッド』の最新話が公開されたので頑張りました。(もう1つ言わせてもらうと『鉄血のプリンセスコネクト』も凄く面白かったです)

いや、凄いですよ『鉄血・ブレッド』! 編集技術も回を追うごとに向上していって、よくある異世界オルガにありがちなオルガと三日月の空気化が一切なく、まるで最初からオルガとミカがブラックブレッドの世界にいたのではないかと錯覚するくらいに違和感が仕事しないのです! 何よりも、視聴者の期待を裏切らない展開の数々なので観ていてワクワクが止まらなくなるのです!

いや、正直言ってこんなの読んでるより『鉄血・ブレッド』の方観に行って欲しいというくらいで……や、それはそれでダッチーに失礼ですかね

とにかく、あれのおかげでムジナの創作意欲が回復したので、これからも頑張りたいと思います(鉄オルのゲームがリリースされるまで……)作者の方々、有難うございました!

まあまあまあ、
それでは続きをどうぞ……


第39話:空の攻防戦(後編)

スロカイ一行と影麟が、ドームの内側から現れるシヴァの群れを相手にしていたちょうどその頃……遠く離れた丘の上には、エイハブの命を受けスロカイの護衛についていた5人の騎士たちの姿があった。

 

丘の上に横並びになった5機のICEY–V

狙撃体制を取るその手には、それぞれ長大な狙撃銃が握られている。その内3つの銃口はスロカイたちの乗機であるハニンバルの周囲をカバーし、残る2つは油断なくドームの中心部に向けられていた。

 

勘が鋭い影麟ですら認識不能なステルスシステムを周囲に展開し、この場所に彼らの存在を知っているのは、護衛対象であるスロカイのみだった。

 

「アルファ・ワン、2時方向……」

 

「どうした、フォー」

 

薔薇十字騎士団アルファチームに所属する唯一の女性騎士、アルファ・フォーことビアンカはドームに急速接近する飛行物体を捕捉し、仮面の部隊長(ネームレス)へと報告した。

 

「所属不明機1、今なら撃ち落とせますが……」

 

「いや、あれは報告にあったベカス・シャーナムのウァサゴだ。見逃せ」

 

「サー」

 

ネームレスの言葉に、ビアンカはウァサゴ飛行型からライフルの照準を外した。まもなくウァサゴは鋭いスパークを伴ってドームの中へと突入していった。

 

「それにしても、これは一体どういうことだ?」

 

ネームレスは目の前に広がる巨大なドームへと視線を送り、共にドームの監視を続けている副隊長(ツー)に向かってそう尋ねた。

 

「何がだ」

 

「なぜ十二巨神がいる?」

 

「それとファントムもだ」

 

ツーの言葉に、ネームレスは仮面の下で息を吐いた。

そして、言葉を続けた。

 

「これまでのことを整理しよう。まず、マスターの戦術予測によれば、ブラーフマ軍の本格進行に合わせて十二巨神・シヴァの復活があるとされていた」

 

ネームレスの言葉に、そのスロカイのことをスコープ越しに見守っていたビアンカも彼にチラリと意識を向けた。

 

「だから我々は、シヴァのエネルギー源となるマスターの少女……ポヨーナを先んじて保護することで、シヴァの復活を阻止しようとした。マスターのいない古臭い機甲など、ただの鉄屑と変わりないからな」

 

「ああ、かくしてシヴァに対する襲撃作戦は成功に終わった。仲介者を排除し、俺たちはポヨーナを無事にマスター・エイハブの元へ送り届けることが出来た」

 

ネームレスの言葉にツーが補足した。

 

「元々、十二巨神復活の兆しである高出力EMPがチュゼールの各地で観測されていたこともあり、どちらにしろシヴァとの決着はつける予定だった。ブラーフマ率いる反乱軍を殲滅し、争いの無くなったこの地に復活したシヴァを、我々の手で改めて破壊する……そのはずだった」

 

そう言って、ネームレスはドームの中央をスコープで覗き込んだ。スコープによって拡大された映像は機体の光学カメラによって処理され、コックピットのモニター上にシヴァとファントムの姿を投影した。

 

「それで、これはどういうことだ? なぜシヴァが復活している? 復活に必要なマスターは我々の手で確かに保護したはずだ。それに、なぜファントムがここにいる……?」

 

「恐らく、ポヨーナに代わる新しいマスターを見つけてきたんだろ。最も、この短期間で新しいマスターを見つけられるとは思えないが……」

 

「十二巨神のマスターといっても、BMのパイロットのように誰しもがそうなれるわけではない。十二巨神に対応したマスター適性の持ち主は数百万から数千万人に1人と言われている……早々に見つけられる筈がない」

 

「それよりもファントムだ。あれの出現はマスター・エイハブも想定していない。ワン、あれは明らかにイレギュラーだ……どうする?」

 

ツーの言葉に、ネームレスは息を吐いた。

 

「……待機だ。今、アレに我々の存在を知られるわけにはいかない」

 

「サー……だがレーザー誘導システムは用意しておく。周波数は53.2……クィークェグの精密誘導爆撃ユニットと連動している」

 

薔薇十字騎士団の母艦である空中戦艦クィークェグ、その艦に搭載された無差別破壊爆弾『グリッチバスター』

放射線を出さないが、核爆弾に匹敵するほどの威力と効果範囲を持つ燃料気化爆弾である。

 

「これで奴を破壊できれば御の字だが……」

 

「いや、恐らく無理だろうな。なにしろあのバケモノは衛星ビーム砲の直撃に耐えるくらいだ。しかし、それ以外を終了するのなら造作もない……」

 

そう言ってネームレスはスコープを覗き込んだ。そしてファントムと激戦を繰り広げている白い機体を薄く照準し、仮面の下でニヤリと笑った。

 

「状況的に見て、ファントムの狙いはあの白い機体だろう。ゼオライマーの件も考慮して、これ以上アレが強化されるようなことがあれば……分かっているな?」

 

「ああ。もしあの少年が負けるようなことがあれば……ファントムに喰われる前に、こいつでバルバトスを破壊する」

 

レーザー誘導システムのトリガーに手をかけ、ツーは淡々と答えた。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

一方その頃……

シャラナ王女率いるカピラ陣営

 

薔薇十字騎士団ブラヴォーチームの活躍により、ファントムの放ったメイオウ攻撃を凌いだカピラ陣営だったが、そこへ新たな脅威が迫っていた。

 

『試練を与えよう……』

 

スロカイ一行と同様に、突如としてドームの内側から姿を現した無数のシヴァ分身体が、カピラ陣営の部隊に対して一斉に攻撃を仕掛けてきた。

 

被害は皆無だったとはいえ突然の襲撃に対し、メイオウ攻撃のショックから未だ立ち直れていないカピラ陣営の兵士たちは慌てた。

 

「あ、あれは何だ!?」

 

「ブラーフマの新兵器か!? こっちに来るぞ!」

 

「撃て! 撃て!」

 

カピラ陣営の兵士たちは、壁のように迫り来るシヴァの分身体めがけて銃撃を行い、ミサイルをお見舞いし、砲弾を叩き込んだ。

しかし、分身体のフレームから放たれるジャミングの影響か、ミサイルの誘導システムは無効化され命中弾はなかった。銃撃や砲撃はジャミングに惑わされることはなかったものの……分身体は胴体を撃ち抜かれようが腕を吹き飛ばされようが、まるで御構い無しといったように進撃を続けた。

 

「馬鹿な……! 攻撃が効かない!?」

 

直撃しているにもかかわらず、全くと言っていいほど怯んだ様子を見せない分身体の群れを見て、兵士たちは悲鳴をあげた。

 

『試練を……』

 

「く、来るな! 来るなァ!!!」

 

次々と着弾する弾丸を気にした様子もなく、やがて兵士の1人を射程に捉えた分身体が戦杖の先端を掲げ、そこから紫色の雷撃を迸らせ……

 

「え……!?」

 

しかし、雷撃が兵士の乗るBMを切り裂こうとしたまさにその瞬間……雷撃の軌道が逸れ、分身体の攻撃は兵士の足元を穿つだけに終わった。それはまるで、雷撃の方から兵士を避けているかのようだった。

 

逆に、攻撃を行った分身体は頭部を撃ち抜かれ、炎上していた。それだけに留まらず、周囲にいた分身体も上空から飛来した無数の火線に頭部を撃ち抜かれ、次々と機能停止へと追い込まれていった。

 

「な、なんだ……!?」

 

「これは……BMなのか……?」

 

兵士たちが振り返ると、そこには6本の足を持つ赤色のBMがいた。その巨大な脚で兵士たちのことを跨ぐようにして、地面に大きな影を作っている。

 

「狼狽えるな」

 

下半身が蜘蛛にも似た独特な移動ユニットへと換装されたICEY–Vは、バックパックに搭載されたタレットから直上にホーミングレーザーを照射した。

発射された6本のレーザーは、まるで意志を持っているかのように空中で向きを変えると、地上を埋め尽くす分身体めがけて殺到した。

 

たった一度の攻撃で、6機もの分身体が頭部を撃ち抜かれて地面に膝をつくこととなった。その光景を前に、苦戦を強いられていた兵士たちの中で歓声が沸き起こる。

 

「こいつらはゾンビと同じだ、頭部を撃ち抜けば破壊できる……全員、頭を狙え!」

 

蜘蛛型の機体に乗っているのはブラヴォーチームのリーダー、ブラヴォー・ワンだった。ワンはカピラ兵たちにそう告げると、両腕のビームライフルを斉射し……高出力の火線が分身体の頭部を貫き、次々に機能停止へと追いやった

 

シヴァの分身体はワンめがけて雷撃を放つも、ICEY–Vの周囲に展開されたバリアーはそれらを全て弾き返した。

 

「全機、前進セヨ」

 

ワンの言葉に、ブラヴォーチームのICEY–Vが一斉に動き始めた。地上を前進する5機のVはバリアーで背後のカピラ兵たちを防衛しつつ射撃を行い、上空に展開した4機のVはシヴァの集団に対して濃密な爆撃を行う……

 

「有象無象どもが! 落ちろよ!」

 

その時、地上を進むICEY–Vの1機がアサルトライフルを構えてシヴァの集団へと肉薄……バリアーで電撃を凌ぎつつ、薙ぎ払いの射撃で一度に複数の分身体を撃墜した。

 

「十二巨神、恐るるに足らずッッッ!」

 

「はしゃぐな! スリー!」

 

ホーミングレーザーによる砲撃でスリーを援護しつつ、ワンはドームの方に視線を送った。すると、ドームの内側からさらに数十機もの分身体が姿を現し、シヴァの群れの中へと加わった。

 

「敵増援を確認……突出し過ぎだ、下がれ」

 

「チッ、まだ来るのか……」

 

弾切れを起こしたスリーは、リロードの為にアサルトライフルを右肩のコンテナに格納し、代わりにサイドアームのハンドガンを装備した。

 

「騎士の方! お下がりになって!」

 

「ン……うお!?」

 

その時、スリーの背後からシャラナ姫の乗る陸上戦艦が飛び出し、シヴァの群れめがけて火炎放射器による波状攻撃を敢行した。

攻撃対象が密集していたこともあり、火炎放射器はその威力を最大限に発揮し、分身体の装甲を焼き尽くしていった。

 

「危険です姫様! お下がりください!」

 

国のトップが最前線に出るという暴挙に、シヴァージは量産型パイモンを操って陸上戦艦に取り付くと、コックピットの中にいるシャラナ姫めがけてそう告げるが……

 

「ごめん、シヴァージ……でもここは私の国なの、もうみんなを失うのはいや……だから私にも守らせて頂戴……」

 

「姫様……! くっ!?」

 

前に出たことで、分身体の攻撃がシャラナ姫の艦に集中する。いくら堅固な陸上戦艦の装甲とはいえ、何度も直撃を受けてしまえば撃沈されてしまうのは明白だった。

 

「いかん! 姫様が危ない!」

 

「俺たちの手で姫様を守るんだ!」

 

「そうだ! あのお方はチュゼールの未来に必要なお方……絶対に死なせてはならない、我々の命に代えても守り抜いてみせるぞ!」

 

皆を守りたいというシャラナ姫の意志に心を動かされたのか、カピラ兵たちは目の前を埋め尽くすシヴァの群れに臆することなく前進を始めた。

 

シヴァの分身体とはいえ、カピラ兵の運用する寄せ集めの兵器と比較すれば性能は圧倒的で、しかもドームの内側から無尽蔵に湧き出るという……明らかに劣勢の状況にも関わらず、少しずつではあるが、カピラ兵たちは分身体をドーム側へと押し返していった。

 

兵器の質でもなければ、パイロットの腕前でも、

ましてや銃弾の数でもない……

戦局を覆すほどの別の力がそこにはあった。

 

「戦いの流れが変わったな……」

 

「凄いな、一瞬にして兵士たちの士気を取り戻しやがった。ハッ……ただのお飾りじゃないってことか」

 

「よし。スリー、シャラナ姫を援護しろ」

 

「サー」

 

短い返答と共に、スリーはシャラナ姫の後を追って機体を飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦隊アイアンブラッドサーガ

第39話:空の攻防戦(後編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……落ちろ、このクソ野郎が!」

 

ベカスはファントムをロックオンし、トリガーを引き絞った。ウァサゴ飛行型の前面に設置された高出力ビームキャノンと4門のビームバルカンが一斉に火を噴いた。

 

『…………!』

 

咄嗟に、ファントムは右腕を構えて防御態勢を取った。火力を一点に集中した攻撃だったが、しかしファントムの巨大な質量を貫通するには威力が足りず、全て弾き返されてしまう。

 

「まだだ!」

 

続いて、ベカスはウァサゴの周囲に展開されていた防御フィールドを円錐形……ちょうど先端が鋭利な形状になっているものに変化させると、まるで戦艦のリムのように機体前方へ展開させた。

 

飛行機でありながら格闘武器を装備したウァサゴは、ブースターを全開にして、勢いを一切殺すことなくファントムへ刺突攻撃を仕掛けた。

 

それに対し、ファントムは左腕の爪を束ね、ウァサゴめがけて刺突を繰り出した。間も無く、ウァサゴの刺突フィールドとファントムの爪が空中で激突する。

 

『…………!』

 

甲高い轟音と共にフィールドと爪が擦れ、2機は弾かれるようにして交錯した。

 

「三日月!」

 

「分かってる!」

 

ファントムとすれ違った瞬間、三日月は背後に視線を送り、滑空砲を用いたバックファイアを仕掛けた。

ファントムの背中を狙った完璧なバックスタブにも関わらず、巨大な砲弾はファントムの周囲に張られたフィールドに弾かれ、無力化されてしまった。

 

「やっぱりダメか!」

 

「捕まれ、三日月!」

 

ベカスはフットバーを蹴っ飛ばし、アフターバーナーを焚いた。ファントムは足場にしたSFSを反転させ、その後を猛追する……

 

ブーストにより驚異的な速度で離脱するウァサゴとバルバトスだったが、ファントムの加速力はそれ以上だった。

2人の後方にぴったり位置取ると、ファントムはSFSの端を右腕で掴んで体を固定させ、左腕の指鉄砲でウァサゴを照準した。

 

「ベカス、来るよ!」

 

「ああ! 次元連結砲の空間震を観測。空間震の範囲と現在までの攻撃パターンから、AIによる目標座標を算出……信頼度、86.3パーセント。続いて、回避ポイントを抽出する……!」

 

ウァサゴに搭載されたAIが、これまでに得られたファントムとの戦闘データから、ファントムに対して有効な戦術や行動を弾き出し、モニター上でそれをベカスに伝える。

 

「避けてみせるッ!」

 

『バァン!!』

 

ファントムの指から次元連結砲が放たれるも、その瞬間、ウァサゴの側面に設置された姿勢制御用スラスターが火を噴き、機体が僅かに横滑りしてギリギリのところで直撃を免れた。

 

『バァン! バァン! バァン!!!』

 

ファントムはさらに次元連結砲を放つも、ウァサゴはその全てを紙一重で回避してしまう。

 

「今だ!」

 

次元攻撃を躱しつつ、ドームの端まで移動したベカスは、巧みなスラスター捌きで機体を垂直に立て、一瞬のスピードロスもなくドームの内壁に沿って急上昇を始めた。

 

『……!?』

 

逆に、ウァサゴを追うことに執着していたファントムはドームの接近に気づけず、衝突する直前にSFSを立てるも底部がドームの内壁に触れてしまい、一部のスラスターとウェポンベイの開閉機構が使用不能になった。

 

ドームの内壁にスパークが生じる。

SFSがスパークの海に呑まれかけるも、ファントムはその状態でスラスターを全開にし、無理やりスパークの波から脱出すると共に、直上のウァサゴへと追撃をかけた。

 

「三日月!」

下方から迫り来るファントムを見て、ベカスが叫ぶ。

 

「オレのカウントに合わせてドームを撃ってくれ! 」

 

「え? これを……?」

 

「いいから頼む!」

 

「……分かった」

 

ベカスの提案に、三日月は『飛翔』を持つ腕に機関砲を出現させると、右腕を上げてドームの内壁へと照準した。

 

「3……2……1……今だ撃て!」

 

カウントに合わせて、三日月は機関砲のトリガーを引いた。それと同時に、ベカスは上昇するエネルギーを全てカットし、代わりに機体の下方に向けられた姿勢制御用スラスターに推力の全てを注ぎ込んだ。

 

これにより、ウァサゴのスラスターに機関砲を発射したことによる衝撃が加わった。結果、ドームの内壁に対して爆発的な反発力が生まれ、ウァサゴはドームから弾かれるようにして急速に離脱した。

 

『!』

 

ドームの表面から消えたウァサゴを追って、ファントムは上昇を中断しSFSの向きを変えた。しかし、その時には既にベカス達の攻撃準備は完了していた。

 

「ファイア!!!」

「当たれ!!」

 

若干のローリングの後に機体を並行に戻したベカスは、ウァサゴに搭載されたビームキャノン、ビームバルカン、多数のミサイル、さらにはドローン砲まで展開し……ありとあらゆる兵装をファントムめがけて叩き込んだ。

それに合わせて、三日月も滑空砲と機関砲の全弾を叩き込む。

 

『ッ!!』

 

一点に集中した砲火の雨に、ファントムは次元連結システムによるシールドを展開するも、猛烈な弾幕と無数の爆発はファントムの巨体をノックバックさせ……

 

『グワアアアァァァァァァァァァ!!!!??』

 

空中であることもあり踏ん張りが効かず、ファントムは背後のドームへと叩きつけられる形となった。ドームの表面に発生した無数のスパークがファントムの体を蝕み、その口腔から苦しみとも取れる絶叫が漏れ出た。

 

「まだだ!」

 

「ああ! これならやれる!」

 

ドームの内壁に釘付けされたファントムめがけて、ベカスは機体をブーストさせた。機体の前面に刺突フィールドを形成し、その下では滑空砲を捨てた三日月が両腕で『飛翔』を構え、突き刺すように保持した。

 

驚異的な加速力を伴って、ウァサゴの刺突フィールドとバルバトスの『飛翔』がファントムの次元バリアへと突き刺さった。

 

「おおおおおおおおおおお!!!!」

 

その状態でベカスはフットバーを蹴り飛ばした。するとウァサゴの後尾から彗星の如く、アフターバーナーの巨大な閃光が尾を引いて伸び……ブーストで加算された圧力が二点に集中してかかったことで、突き刺さった面を中心に徐々にバリアが崩壊を始めた。

 

「もう少し……もう少しで……!」

 

そして、ついにその時が訪れた。

刺突フィールドと『飛翔』の切っ先が次元バリアを貫き、ファントムの黒い装甲へ深々と突き刺さった。

 

『グオオオオオ!!!!』

 

胴体と腹部を貫かれ、ファントムは絶叫した。

さらにドームから放たれる高電圧のスパークに侵食され、全くと言っていいほど身動きが取れない状態となっている。

 

「そのまま墜ちやがれええええてえ!!!」

 

昂ぶるベカスの意思に比例するようにして、ウァサゴの後尾に伸びるアフターバーナーの炎もより巨大なもの変貌を遂げる。しかし、そこで思いもよらぬ事態が発生した。

 

『…………ォォォォォォォ!!!!』

 

ドームに張り付けられたファントムの両手に、突如として赤と青、2つの光球が出現した。

 

「……ッ、ベカス!」

 

「クソッ、あと少しだってのに!」

 

そう吐き捨てると共に、ベカスは刺突フィールドとアフターバーナーを消失させ、ファントムの正面から急速離脱した。

 

『トゥイン……ロードォォォォォォォ!!!』

 

ファントムが両手を組み合わせると、掌に収まった赤と青の光球が衝突し……そして、ファントムの目前で巨大な爆発が生じた。

 

「自爆した? ぐおっ!?」

 

「ぐっ……!」

 

爆風に巻き込まれ、バルバトス、ウァサゴ共に大きく吹き飛ばされてしまった。しかも爆発の影響でウァサゴのメインスラスターは片側が損傷し、姿勢制御用のスラスターも3分の1が機能を喪失、装甲もズタズタの状態になってしまっていた。

 

推力の半分を失い、ウァサゴは失速した。

錐揉みの回転を始めて地表に落下する機体を、ベカスは揚力を得ようと主翼のフラップを最大限に下ろし、三日月もバルバトスのブースターを用いることで姿勢制御の補助を行い、なんとか空中に留まることに成功する。

 

「はぁ、はぁ……三日月、ヤツはどこに……?」

 

「ベカス、上!」

 

三日月の言葉に、ベカスは咄嗟に機体を横滑りさせた。次の瞬間、つい先ほどまで2人がいた空間に爆発が生じた。

 

『…………』

 

「クソっ! あの爆発の中でもまだ生きてるのか!」

 

ベカスが上空に視線を送ると、そこには自らの放ったトゥインロードで大きく損傷したファントムの姿があった。

しかし、それも一瞬のこと……ファントムは自身の持つ驚異的な再生能力により、一瞬にして体を修復し終えた。

 

「ベカス、さっきのもう一回できる?」

 

「いや、無理だ! さっきのでパワーダウンした、アフターバーナーの再チャージまでもう少し待ってくれ!」

 

ベカスはファントムから距離を取るようにしつつ、緩やかな旋回を始めた。2人の直上を取ったファントムは、そこへ次元攻撃を大雨の如く降り注がせた。

 

搭載されたAIにより、次元連結砲に対して絶大な回避率を誇っていたウァサゴ飛行型だったが、ここにきて爆発が機体を掠めるまでになっていた。

 

「クソっ、ヤツの攻撃パターンが変わっている……こっちのAIに対応してきやがった、このままじゃ直撃は免れねぇ」

 

ウァサゴのコックピットの中で、機体の周囲に次々と湧き起こる爆発に、ベカスは悲鳴をあげた。

 

「ねえ、ベカス」

 

「なんだ……?」

 

「一回だけでいいから、アイツのところまで上がれない?」

三日月は落ち着いた様子でファントムを見上げた。

 

「今、パワーをチャージしている。あと1分待ってくれ……」

 

「それじゃあ長すぎ。多分、その前にやられる」

 

「だが、機体を上昇させるだけのパワーが……」

 

「俺に任せて」

三日月はそう言って右手の『飛翔』を示した。

 

「考えがあるんだな?」

 

「出来るか分からないけど……」

 

「いいぜ! 実はこっちにも考えがあるんだ……それも、とっておきのやつがな」

 

「いいね……それじゃあ」

 

「ああ。どうせこのままじゃ、いつか絶対に撃ち墜とされてまうんだ……だったら、この一瞬にかけてみるか」

 

そんな言葉を交わし、ベカスはファントムに向かって反転し、不完全なスラスターを無理やり言い聞かせ、機首を上げた。

 

「クソッ、やっぱり推力が足りねぇ……」

 

「任せて!」

 

三日月は『飛翔』の刃を下方向に向けると、刀の柄から放出されるビームをバーストさせた。それにより、2つの機体がまるでロケットの如く打ち上げられる。

 

「よし、これならいけるぜ……!」

 

ベカスは機体の前面に刺突フィールドを展開。

ある程度の上昇に勢いがついたところで、三日月は『飛翔』を構えた。

 

『…………』

 

それに対し、ファントムは巨大な右腕を振りかざし、迎撃態勢を取った。

 

「……雷電!!!」

 

「……貫く!!!」

 

そして、2つの機体が交錯し……

 

「え?」

 

「しまっ……ぐはっ……!?」

 

今まさに、三日月とベカスの攻撃がファントムを捉えようとした時だった。2人の眼前から、ファントムの姿が消失……空間跳躍を用いて2人の背後へと回り込んだファントムは、ウァサゴのスラスターめがけて拳を叩き込んだ。

 

これにより、辛うじて生き残っていたメインスラスターの1基は根元からごっそりと消失。さらに、殴打による衝撃で全ての姿勢制御用スラスターも機能停止し、主翼もバラバラに砕け散ることとなった。

 

最早、通常の飛行どころか滑空すら困難となったウァサゴは、殴られた衝撃で天高く舞い上がり……無防備になったその機体めがけて、ファントムは指鉄砲を向けた。

 

『……バァン!!!』

 

そして、次元連結砲を放った。

巨大な爆発に包まれ、バルバトスとウァサゴの姿が完全に見えなくなってしまう……

 

『ハハッ!!!』

 

ファントムは直撃を確信し、ニヤリと笑った。

しかし、これで終わりではないと分かっているのか、その左手に小型化したプロトンサンダーを纏わせた。

 

「…………」

 

何処からともなく漂ってきた殺気に、ファントムが直上を見上げると、爆炎の中から白い機体……バルバトスが姿を現し、落下してくるのを見つけた。

 

三日月は落下すると共に『飛翔』の切っ先をファントムに向けた。バルバトスはバックパックにメイスとレンチメイスをマウントし、両腕にはロケットランチャー、そしてさらに第五形態用のリアクティブアーマーを装備している。

あえて重量を増加させて落下することで、斬撃の威力を上げようというのだ。

 

『ハッ!』

 

飛来するバルバトスめがけて、ファントムは嘲笑と共にプロトンサンダーの拳を叩きつけた。

 

次の瞬間、巨大な爆発が空を覆った。

「ぐっ……」

やがて、爆発の中からバルバトスが姿を現わした。

しかし、コックピット周囲に纏っていたリアクティブアーマーは爆発の衝撃で一瞬にして崩壊、マウントしていた『飛翔』以外の武装も全て喪失し、小破状態になったバルバトスは力なく落下していった。

 

『ハハッ!!!』

 

今度こそ勝利を確信したファントムは、落下するバルバトスめがけて指鉄砲を照準し……そしてニヤリと笑った。

 

『バ……』

今まさに次元連結砲を放とうとした時だった。

 

「シャナム流、ならず者の剣!」

 

なんの前触れもなく振り下ろされた斬撃が、指鉄砲を形作っていたファントムの左腕を切断した。突然の出来事に、ファントムの顔に驚愕の色が映り込む。

 

『ッ!?』

 

反射的に振り返ったファントムは、そこで銀色の巨人……ウァサゴの姿を見つけた。しかし、極東の砂漠で見た機体とは違い、それは大きく形状が変化していた。

 

全体的に重装甲化が図られており、改修する以前のウァサゴに比べると、ふた回り以上も大型化されていた。

 

右手にはファントムの左腕を切断する際に用いられたソードライフルⅡを保持している。また、左腕はウァサゴ格闘型に装備されていた腕よりも巨大な高強度多目的アームに換装されており、見た目からくるそのアンバランスさは、ファントムの右腕に対する萎縮返しの意図が組み込まれていた。

 

「うおおおおおおおお!!!!!」

 

ベカスは、ファントムが空中の足場として使っているSFSを高強度アームで掴むと、掌部に配置されたゼロ距離ビーム砲『スーパーブレイザー』を起動、その最高出力をSFSへと叩き込んだ。

 

圧縮されたエネルギー波がSFSの内部に流れ込み、ウェポンベイ内部に格納された弾薬に引火、無数の誘爆を引き起こしつつ拡散を引き起こし、SFSが内側からズタズタに引き裂かれていく……

 

「……お前も落ちろ」

 

『ッッッ!!』

 

次の瞬間、SFSが爆発四散した。

足場を失ったファントムはなす術なく落下を始め、それを追ってベカスも機体を地上に向けた。

 

 

 

 

 

to be continued...




『鉄血・ブレッド』のノベライズやらせて下さいって言ったら書かせてくれるかな?
ところで指揮官の皆様は閃光のハサウェイ観に行きましたでしょうか? ムジナはですね、これがまだ観に行けてないのです……や、観に行きたいのは山々なのですがクソコロナが怖いので

そういえば、この前コロナの予防接種に行ったのですが、待ち時間に喫茶店(酒場)行こうとアイサガ開いたのですが、その際に音量を上げていたことをすっかり忘れてしまい、摂取待ちの列の中心で思いっきりタイトルコール流してしまうという……

しかも、よりによって流れたのがエル&フルのロリボイスというね……ハハッ、訴訟



クソがマジで恥ずいぞこれは……ッッッ



穴があったら入りたい……ムジナだけに
まあまあまあ、それでは次回予告なのです。


エル「戦いのステージは空から地上に移るよ!」
フル「ファントムとの永きに渡る死闘も、いよいよ決着の時なのです!」

エル&フル「「次回!『決戦』」」

エル「なるほどね! これが『終わる終わる詐欺』なのね!」
フル「え……?」

アイサガで貴方の好きなキャラを教えてください。(回答はこちらではなく気軽にコメントの方へお願いします)

  • 境界戦機もっと流行れ
  • 鉄血・ブレットもっと流行れ
  • 水星の魔女×鉄血のオルフェンズ?
  • あと、アイサガのエンディングも作ります
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