機動戦隊アイアンブラッドサーガー悪魔と少女と機甲ー   作:野生のムジナは語彙力がない

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ところで皆様は『境界戦機』っていう、悲しいアニメをご存知でしょうか? 作品内容を一言で説明すると、アイサガみたく近未来の日本におけるロボットによる戦争を描いた物語です。ロボットものとしては珍しい非ガンダム作品で、かつコードギアスに匹敵するほどのポテンシャル持っているとまで言われており(当初は)、機体のデザインも良好、プラモもめっちゃ作られている作品なのですが……まあ色々と構成やら脚本やらが酷くて低評価喰らってる作品です。
なんでそう言われているかについては、まあYoutubeで沢山の動画投稿者たちが当作について批評しているのでそちらをどうぞ……

どうして制作元のサンライズビヨンドは、こんな悲しい作品を作ってしまったのか……

でも私は好きなんですよね、この作品
(ちなみにヒロインの声がスレッタなんですよ)
機体デザインやら何やらで色々と思い入れがあり、なんなら個人的に非公式外伝作品とか書いてたりするほど好き……というか、色々悲しすぎて哀れに思ってるというのが正直なところ

その『境界戦機』がですね……
この度、リニューアル?することが明らかになりまして……まだ詳細とか全然不明とのことですが、よう分かりませんが駄作の原因となった監督とか脚本とか全部入れ替えるっぽくて……とにかく新しく生まれ変わるっぽいです!

ガンダムほど壮大かつ革新的ではなくて、コードギアスほどの斬新な傑作は作れないとしても……それでも近未来の日本を舞台としたリアルな現代戦争が描かれるため、数ある日本のロボットアニメの中でも貴重な存在であるのは明らかです。
なんと言いますか……これがコケたまま終わってしまったら、もう日本の(リアル路線な)ロボットアニメはガンダム以外で作られないような気がしてですね。なので日本のロボットアニメの未来を考えて『境界戦機』にはもっと頑張って貰ってですね。だからロボットアニメ好きな皆さま、これから一緒に『境界戦機』を応援していきましょう!

そんな訳で、私も『境界戦機』を応援するべく小説『最果てのニライカナイ』(非公式外伝作品)の執筆をしていきたいと思います。多忙なため最近しばらくお休みしていたのですが……
前に私が書いてみようかなって言ってた『鉄血』×『水星の魔女』のクロスオーバー作品については、現時点で『水星の魔女』があまりにも展開の先読みが出来ないので執筆は見送ります。

投票までしたにも関わらず、ごめんなさい……
これも日本のロボットアニメ(非ガンダム作品)の未来のためなのです……



それで、なぜ私が本編とは全く関係のないアニメの話をしているのかというと、ここまでアイブラサガ第3章の設定を簡単に書いてきたつもりだったのですが……詰め込みすぎたせいで38000文字という私にしては超長文となってしまったからです。

なのでもうアイサガに関して何も書きたくないです。
もう未練はないのでここでは一切語りません。
(しいて言えば、シェロン……)



というわけで、前々より予告していたアイブラサガ第3章の大まかな設定と解説です。前述した通り長いので、呆れて『もういいや』ってなったら構わず飛ばし読みして『あとがき』の方まで飛んでください。
それでは、続きをどうぞ……


第3章『Beyond the Apocalypse to Day』
第3章ー全体プロット&解説ー


第3章 概要

 

 

 

・【集合タイトル】

『Beyond the Apocalypse to Day』(略称BAD)

直訳すると「黙示録を超えて今日まで」となっています。強力な敵・ファントムとの全世界を巻き込んだ最終決戦を黙示録と例えていることに加え、第2章の『yesterday(過去)』から『Today(現在)』へと時代が移り変わることで、「三日月を縛るオルガという過去の呪縛からの解放」そして「(オルガではない)自らの意思で今日を生きる」ということを表しています。

 

実はムジナは、鉄血本編でのオルガの死を三日月は納得しきれていないのだと解釈していまして(視聴者的にもそうなのだが……)

その後、三日月は誰よりも早くそれを理解し「オルガの命令はまだ自分の中に生き続けている」と言って鉄華団の仲間を鼓舞した……ように見えるものの、実際にオルガの死を目の当たりにしたわけではないので、言葉ではそう言いつつも心の奥底では信じられずにいるという、そういう解釈のもと本作の執筆を始めたというのが正直なところでして、それがまた人間らしいというか……

(三日月はけっして悪魔などではなく)

それで、その想いを解消できぬままアイサガ世界へ転生してしまったことで(しかもオルガとなかなか出会えないことも影響して)、やがてオルガへの依存と渇望という形で現れており、それを表現するべく、今作では多作品に比べて三日月のオルガに対する気持ちが強く描かれていたりします(事あるごとに『オルガを探す旅』を強調していることから)。

それが、本作第1話冒頭の「だけど……」という一言に込められています。(それが、先に述べた『オルガという名の過去の呪縛』)

 

・【テーマ】『絆を裏切る物語』

あの頃には、もう戻れない。

暴走し取り返しのつかないオルガを倒すことを決意する(=三日月の裏切り)、そして三日月の期待を裏切って暴走を続けるオルガ・イツカ、この2つの裏切りによって構成されていることから

 

・【要約】

第3章は以下の項目によって構成されている。

①機械教廷 編

②対ソロモン戦役 編

③逆襲のオルガ 編

④今日へのプロローグ

アイサガ本編と同様、チュゼール編終了後に舞台は機械教廷へと移り、そこでの長い長い内乱を経て次のステージへ移行するというところまでは殆ど変わらず。

問題は②以降、ここに来てアイサガ本編とは全く違うオリジナルのシナリオになる予定だった。特に②のソロモン戦役編は、指揮官(エイハブ)を中心に物語が展開することとなる。迫り来る世界終焉シナリオへの機運から、指揮官(エイハブ)は敵対する世界秘密結社ソロモンへと宣戦布告、自ら白鯨の空中艦隊を率いて殲滅作戦を実行する。

③以降では、ファントムもといオルガ討伐のために三日月と指揮官(白鯨)は共闘することになる。ソロモンと真正面から戦えるほどの巨大な組織の後ろ盾を得たことで、三日月も今まで以上に支援を受けて戦えるようになるのだが、そこへオルガによって再興された鉄華団が立ちはだかる。

そして物語の最終局面である④では、鉄華団と白鯨の激闘が繰り広げられる。ベカスvsサイクロプス(アキヒロ)、テッサvsリカントロープ(シノ)とそれぞれ戦うべき相手を定め各地で激戦が続く中、三日月はオルガが生み出した最終兵器・強化型ハシュマルとの死闘を繰り広げる。

戦いの果てに、満身創痍となった三日月

その眼前に、オルガの乗るファントムが姿を現す

そして『裏切り』の結末へ……

 

 

 

【概要:①機械教廷 編】

0.プロローグ

・オーストラリアにあるソロモン本部での会合。

そこで機械教廷の地下深くに埋蔵された紅石の有用性が議題になり、密かに潜入しこれを奪取するという計画が持ち上がる。しかし、機械教廷は軍事国家であることから生半可な戦力では返り討ちにあうのは明白。しかし、そこにテクノアイズのトップであるシンシアによってクーデターが計画されているという情報が入ってくる。

そこでソロモンは、大部隊を送り込むと共に強大な力を持つファントムを投入することで、クーデターの混乱に乗じて紅石を初めとする地下資源の数々と、そしてあわよくば機械教廷の全権を手中に収めようと画策する。

 

 

1.漂着少女

・機械教廷の領域内、海岸線沿いをパトロールするコンスタンス。すると波打ち際に、1人の少女が流れ着いているのを発見する。(しかも何故か、ほとんど全裸に近い姿で瀕死の状態だった。)

そのため教廷に対する脅威レベルは低いと判断された。ただの漂着物として本来であれば気にも留めないところなのだが、しかし、体の一部が機械化されていることに気づく。少女のことが気になったコンスタンスは、同僚のアンドレアと相談し、ひとまず祭司たちの意見を仰ごうと少女の身柄を機械教廷へと連れ帰ることにした。

・少女の特徴:ロリ、黒髪、無口、たい焼きが好き

 

 

2.スロカイとウィオラの会話(マティルダも)

・スロカイ「ウィオラよ、クリスマスというものを知っているか?」

ウィオラ「クリスマス? ああ、異教徒の祝祭日のことですよね」

スロカイ「そう……クリスマスだ。暗闇に包まれた寒空の下、見知らぬ土地、馴染みのない空気、すぐ近くには見知らぬ者たちの姿があり、皆心の底から楽しそうに笑っていた……そして、振り返るとお前やマティの中に混じって、あやつの姿があった」

ウィオラ「教皇様? あやつとは……?」

そこで2人は、身に覚えのないクリスマスの記憶について話し合っていた。そもそもクリスマスは教廷にとって異教徒の文化なので本来であれば馴染みがないのだが、しかしあるはずのない思い出を鮮明に覚えていることを疑問に思っていた。

(これは2章にて指揮官と再会したことが影響している。接触した際に2人の記憶が干渉し『12の月の小夜曲』など『2周目』の記憶がスロカイの中で部分的に蘇っている)

・そこへ、コンスタンスが報告のために現れる

 

 

3.少女と少女

・コンスタンスの報告を受け、スロカイは例の浜辺に漂着していた少女を一目見てみようと医務室へ向かった。

治療が終わり、教皇の前に連れ出された少女。

報告通り、その体は部分的に機械化されている。

「なんだこいつは? ん……いや、お前は……?」

少女の姿を観察し、その瞳を覗き込んだスロカイはそこで全てを把握したかのようにニヤリと笑ってみせた。マティルダやコンスタンスが訳が分からないといった様子を見せる前で、スロカイは少女を自分の付き人にすると決め、ややあって『アイリ』と名付ける。

(名前に特に深い意味はない、スロカイ曰く適当)

・[解説]

実はこの少女の正体は三日月。

この時点で指揮官と協力関係を築いており、スロカイに迫る危機(シンシアの謀反とソロモンの企み)を伝えるべく機械教廷に潜入して欲しいと指揮官から頼まれていた。

ロリ化している理由は、別のシリーズで発表したTGM(性転換薬)とSCP−053−IS『おねショタ促進薬』を併用したから。か弱い見た目となることで周りから極力警戒されないようにという指揮官の判断から。

・[小ネタ]幼女の特徴については『艦これ』の三日月をベースに、そこへ『アズールレーン』の三日月の特徴(ロリ、たい焼きが好き)を落とし込んでいる。

 

 

4.教廷の日常

・かくして少女は機械教廷で働くことになった。

(といっても雑用なのだが)

しかし、どこぞの馬の骨とも知らぬ者がいきなり教皇の付き人として雇用されたことで祭司や教廷騎士たちが騒ぎ始める(構成員が排他主義だったり少女に危険性があると予感してのこと)。なによりも、あのスロカイに気に入られているという事実から、少女はマティルダの顰蹙を買ってしまうこととなり、さらにはウェスパ並みに無口で満足な意思疎通を図ることが難しいことも相まって、最初こそ少女が歓迎されることはなかった。

冷ややかな目を向けられながらも、しかし少女はよく働いた。朝から晩まで、与えられた仕事を文句の1つも言わずきっちりとこなしていき、さらにBMを用いた教廷騎士との模擬戦で想定以上の実力を発揮したことで、徐々に認められていくようになる。

具体的に言えば、コンスタンスやバモフから度々打ち合いを申し込まれたり、ウィオラがたい焼きを作ってくれたり、リルルからお菓子を貰ったり、ベルガやヴィノーラから興味を持たれたり、それをアイリスやウェスパに守られたり、更にはマティルダから差し入れを貰ったりしていた。

ネームドの中では唯一、シンシアだけが怪訝そうな目で見ていたものの、特にこちらが推し進めているクーデターに対する障害にはならないだろうと少女の存在を無視していた。

・[解説]

少女の幼い姿に周りが油断している中、スロカイだけは少女の目を見ただけでその正体が三日月であると見抜いていた。また少女が無口なのは、投薬で外見が変化しても声質までは変化しないという欠点があり、声で正体がバレるのを防ぐための措置だった。また、それまで好んでいたナツメヤシを食べなくなっているのは薬の副作用で味覚が変化したことによるもの(子ども舌になっており、たい焼きなど甘いものが何よりも好きになっている)

・[小ネタ]

三日月ロリ化、そのシチュエーションと薬の設定を作る為だけに、実は外伝『機動戦隊おねショタサーガ』の制作依頼を受けていたりする。そう、あの小説は本意じゃなかったのです。べ……別に、ムジナはおねショタなんて好きでも何でもないんだからなッ!(グエグエ構文)

 

 

5.シンシアの野望

・少女が機械教廷にやってきてから1ヶ月ほど経過したある日、シンシアはついにクーデターを決行する。ここから先は原作と同様、シンシアは機械教廷の全権を手中に収めるべく行動開始。ネロ(ハジャス)の起動実験と称してスロカイをネロのコックピットへ誘導。まもなくハジャスの恐るべき一面が露わとなり、スロカイは覚醒したネロの中に囚われの身となってしまう。

・その後、シンシアはスロカイのいない機械教廷内での発言力を高め、テクノアイズの圧倒的な戦力を用いてスロカイ派の者たちを追い立てていく。その中で、マティルダとウェスパはバイロンに連れられ教廷の地下へ退避する。

バイロン「ここは一度引いて、機を待つべきだ」

マティルダ「けど陛下が!」

バイロン「心配は無用だ。こうなる事態を見越して、あの方は既に手を打っている」

ウェスパ「…………?」

バイロンの言う『あの方』とは指揮官のこと。

(アイブラサガ開始時点で既に手を組んでいる)

切り札とはもちろん……

 

 

6.復活のスロカイ

・機械教廷からスロカイ派を排除し、シンシアは勝利を確信する。あとは融通の利かない中立派の者共を取り込むだけ……しかし、それも時間の問題だろう。機械教廷を手中に収めたと信じて疑わないシンシアは、玉座の間で高らかに笑ってみせる。その時、彼女の笑い声に混じって別の人物の笑い声が響き渡る。

シンシア「誰!?」

シンシアが周りを見回すと、笑い声はハジャスの中から聞こえてくる。シンシアは最悪の事態を想定して凍りついた。その予感は的中し、次の瞬間ハジャスのコックピットが割れ、中から無傷のスロカイが登場した。

・スロカイ「来ると分かっていれば対策するさ」

原作とは違い、スロカイは単独でハジャスの拘束と洗脳からあっさり脱却してみせたのだ。その表情は余裕そのもの、ギラついた瞳、不敵な笑みを浮かべている。

シンシア「まさか!? 洗脳から脱却した!?」

スロカイ「ハハッ! 足りんなぁ!? この余を洗脳し籠絡したくばその3倍は持ってこい!」

機能停止したハジャスを踏み台に、スロカイは自身の復活を機械教廷全体に宣言した。想定外の事態に戸惑うも、シンシアはテクノアイズの全戦力を用いてスロカイの捕獲を試みる。

少女「…………」

そこへ1ヶ月前に教廷にやってきた少女が姿を現した(その幼い容姿と弱そうな見た目から今まで見逃されていた)。

 

 

7.少女と悪魔

・少女は教廷製のBMを駆ってスロカイを守る盾となる。スロカイもロードエンプレスを発動し、王座の間は激戦の場と化した。

スロカイ「おい、アイリ……いや、三日月よ。もう手加減をする必要はない。余のためそして機械教廷のため……存分に働くがよい」

少女「……うん、わかった」

圧倒的な戦力差を前に押され気味となる2人だったが、少女が全ての服を脱ぎ去ると(阿頼耶識での接続に邪魔なので)、足下が割れバルバトスが出現する。ここで少女の正体が三日月であることが正式に明かされる。

スロカイの援護を受けバルバトスへと搭乗を果たす三日月。シンシアは尚も圧倒的な戦力を用いて2人を打ち倒そうとするも、神とさえ称される十二巨神の力を得ているバルバトスに敵うはずもなく、あっという間に戦力を削ぎ落とされていく。

さらにバルバトスが地面に開けた穴からマティルダとウェスパが登場、さらに隠し部屋に潜んでいたベルガやアイリスまでもが戦線に加わり、勝利の確信から一転、シンシアは窮地に立たされるのだった。

・[解説]SIN0.5(三日月機)

新米騎士用のSIN。複座も可能な練習機であり、初心者を表す白いカラーリング(まだ何物にも染まっていない無垢の色)が施されている。本来の武装はナイフやカッターだが、三日月の戦闘スタイルも相まってブラッディウルフ用のツインメイスを使用している。

 

 

8.ファントム襲来

・長期に渡ると思われていたクーデターは、スロカイの復活とバルバトスの出現で完全に覆される形となった。この時のために膨大な時間を要して築き上げた下準備も全てが無駄に終わった。テクノアイズの威信は地に落ち、クーデターに加わった司祭たちも殺害されるか捕らえられるなりして援護は期待できない。中立派の騎士たちもスロカイの復活に呼応するようにして続々と駆けつけてくる始末。この結果にシンシアは、自分は小娘の掌の上で踊らされている矮小な存在に過ぎなかったということを思い知り、心の底からの怒りと絶望に震えるのだった。

シンシア「台無し……あはは! 台無しよ!」

投降を呼びかけるスロカイに対し、シンシアは発狂、乗機であるタイラントの自爆に乗じて逃走。複雑に入り組んだ隠し通路を利用して教廷の外へ(城壁の上側)と脱出する。

・しかし、逃げ込んだ先にはどういうわけかファントムの姿があり、シンシアはロクに反応する時間すら与えられることなく黒い手に掴まれてしまう。

・追いついた三日月がファントムと遭遇。

その目の前で、ファントムはこれ見よがしにシンシアの体を引きちぎって見せるのだった。

・[解説]ファントムのステータス

正式名称:冥王ゲッターファントム

先の月面での戦闘において、ゲッター艦隊およびドラゴンを吸収した事でゲッター線の能力を獲得している。(常時バフ効果、分離能力による攻撃の無効化、一定ダメージを即回復など)

だが部分的にゼオライマーの能力と被っているところもあるため、ファントムにとっては殆ど蛇足のようなものだったりする。

 

 

【概要:②対ソロモン戦役 編】

9.教廷vsソロモン(前編)

・一方その頃、異変を察知したスロカイが監視所へ向かうと、地平線の向こうから大部隊が迫ってきているのが見えた。戦闘車両、爆撃機、そして無数の量産型パイモン……どういう意図かは不明だが、それらが一直線に教廷を目指していることを知り、スロカイは教廷全体に非常事態を発令する。

教廷vsソロモンの幕開けである。

・スロカイはすぐさま15の防衛線を構築。クーデターで疲弊しながらも、ありったけの戦力を投入しソロモンを迎え撃つ。迫り来る危機に対し、スロカイに批判的だった者たちも今回の一件で彼女の実力を認め、彼女の命令に従って自国を守るべく次々と出撃する。バモフやプライドら教廷騎士たちも専用機を駆って前線へと急行する。ソロモン側の戦力は限りがあるのに対しこちらは戦力の逐次投入ができる、さらに地の利もこちらにある、たかがソロモンの有象無象どもにこの防衛線が突破できるはずがない……当初、そう思われていたものの、事態は一変する。

教廷の厚い防衛網に対し、ソロモンはグシオン(サイクロプス)とフラウロス(リカントロープ)を投入、2機が持つ圧倒的な戦闘力を前に3つの防衛線は容易く蹴散らされてしまう。

・[解説]グシオン(サイクロプス)

1つ目の巨人の名を冠する機甲。その正体は、ファントムがアイサガ世界のグシオンへ右腕を移植したことで変異した姿。その形状はグシオンリベイクフルシティと瓜二つだが、装甲は青色かつビグザム並みの大きさがある。その巨体から発揮されるパワーは凄まじいものがあるが、それに見合わない俊敏性も併せ持つ。

武装は主に鉄血世界で運用されていたもの(ロングライフル四丁、ハルバードなど)がある他、日ノ丸で鹵獲した戦艦大和の主砲(2丁)を新たに採用している。(特に後者は掠っただけでバルバトスの腕を吹き飛ばす他、FSフィールドすら余裕で貫通するほどの威力を持つ)

アキヒロの魂を宿している。

 

 

10.教廷vsソロモン(後編)

・迫り来るソロモンの大部隊を前に、各所で全滅が相次ぐ機械教廷。全体の指揮をとるスロカイは敵の突破力を削ぐためにグシオンとフラウロスへと攻撃を集中する。驚異的な機動力で戦場を蹂躙していくフラウロスに対してはマティルダやウェスパなど精鋭の騎士たちを向かわせ、そしてグシオンに対しては同じく巨体を持つハンニバルを遠隔操作で向かわせることで対処を図る。

しかし、それでも足止めが精一杯であり、グシオンのパワーに打ち負かされハンニバルは中破、騎士たちもフラウロスを捉えられず半数が撃墜されてしまう。

グシオンの砲撃で城壁は倒壊、防衛線も13まで破られ、ついにソロモンの部隊が機械教廷内部へと侵入、スロカイのいる本陣へと迫ろうとしていた。危険が迫りつつある中で、なおも全体の指揮を執りつづけるスロカイに対し、ウェスパやアイリスらは機械教廷からの脱出を進言。しかし、スロカイは三日月の言葉を信じて待ち続けた。

・[解説]フラウロス(リカントロープ)

ファントムによって発掘され、チュゼール編終盤にて登場した緑色の機甲。戦況に応じて人型と獣型の形態を使い分けることができる。その正体は、アイサガ世界のフラウロスにファントムが自身の左腕を移植したことで変異した存在。陸戦機ながら驚異的な機動力を発揮し、あの影麟ですら軽く一蹴するほどの戦闘力を持つ。

グシオンと同様、武装は主に鉄血世界で使用していたものを運用する(レールガンやアサルトナイフなど)。その他、ファントムのアイデアでテールブレードが新たに採用されていることに加え、ダインスレイブの運用能力を持つ。

シノの魂を宿している。

 

 

11.血戦の果てに…

・一方その頃、三日月とファントムは機械教廷の城壁上にて激闘を続けていた。ファントムは当初、獲得したゲッター線の効果を最大限に活かして三日月を追い詰めるも、バルバトスの中に潜んでいた十二巨神アマテラスの力が本領を発揮したことで形勢は逆転。アマテラスの浄化能力でゲッター線を無力化され、ファントムは冥王の力のみでの戦闘を強いられる。

さらに三日月はチュゼールで見せたアマテラスの力を収束させ、一点に集中させることで瞬間的にファントムの攻撃力を上回ることに成功する。

三日月「今度こそ、オルガ!!!」

三日月は冥王の力を正面から打ち破り、敵との間合いを詰める。そしてチュゼール戦後に朧からの指南で習得した剣術を最大限に発揮し、ファントムの防御フィールドごと両腕を切断、そしてファントムの中に囚われの身となったオルガを救出すべく、コックピットブロックを抉り取る。

そして、ファントムの中からオルガを引き抜こうとした……まさにその瞬間、ファントムは奥の手として隠し持っていたテールブレードを生成。三日月の背後に凶刃を忍ばせる。

三日月「…………!」

咄嗟のことに回避できず、三日月の体はバルバトスごとテールブレードで貫かれてしまう。その瞬間、オルガを掴んでいたバルバトスの右腕が跡形もなく消滅する。

 

 

12.発狂する亡霊

・勝敗は決した。

戦闘不能に陥ったバルバトス、三日月も重傷を負い意識不明となる。一方、ファントムは受けたダメージを既に回復し、勝ち誇ったようにバルバトスのコックピット部分を踏みつける。

その光景は偵察機を介してソロモン本部へと送られていた。戦闘の一部始終を傍観していたソロモンの王、オーシンはバアルの絶対命令権を用いて、ファントムにバルバトスの吸収を命じる。

黒いバルバトスを含む、あらゆるゴエティアを自身のコントロール下に置くバアルのトライアルシステムの影響を受け、ファントムは命令に従ってバルバトスを捕食

しかし、その直前……

 

ファントム「ミ……ミカ……! オレ ハ……!」

 

ファントムの口から思いがけない声が漏れ出る。

それは他でもない、オルガ・イツカの声だった。

三日月「オルガ…………?」

僅かに意識を取り戻した三日月が視線をファントムに向けると、その赤い瞳がまるで動揺しているかのように色褪せ、激しく明滅しているのが見えた。

ファントム「アアアアアアアアアア……!!!」

なかなかバアルの命令に従わないファントムに痺れを切らせたオーシンは、リヒャルトの忠告を無視して絶対命令権のレベルを最大にまで引き上げる。するとファントムは絶叫、何らかのエラーが生じたのか数十秒ほど激しく機体を痙攣させた。やがてツインアイから一切の光が消え失せ、全機能を停止、動かなくなってしまった。

その時、機械教廷の空を白い影が覆い尽くした。

 

 

 

13.空中艦隊

・ソロモンの襲撃を受け、陥落寸前の機械教廷。

今まさにソロモンの牙がスロカイの首元を捉えようとした……まさにその瞬間、戦場全体を巨大な影が覆い尽くす。

スロカイ「ふん、やっと来たか」

それの存在に気づいたスロカイは天を仰いだ。

ステルスシステムが解除され、白い鯨たちが続々とその姿をあらわす。エイハブ(指揮官)の指揮する『白鯨』の空中艦隊が、機械教廷の空を埋め尽くしていた。艦隊旗艦である司令艦ピークォドを中心に、全長1200メートルのスターバック級空中空母(マザーシップ)、5隻のクィークェグ級空中戦艦、そして20隻の護衛艦で構成された大規模空中艦隊である。

指揮官はソロモンに対して即時の戦闘停止と降伏を促す、やがてそれが聞き入れられないと見るや、艦隊全体に降下作戦開始の司令を伝達し、ソロモンの殲滅を図る。

空中空母スターバックから無数の量産型ウァサゴが発艦し、さらに空中戦艦と護衛艦から厚い砲撃が開始される。

形成は逆転し、ソロモン機は次々と炎上。

グシオンとフラウロスは白鯨相手に善戦するも、多数の量産型ウァサゴに取り憑かれ、さらに無数の砲撃にさらされ身動きが取れなくなる。

死に体だった教廷の戦力も息を吹き返し、ソロモンは撤退を余儀なくされる。かくして機械教廷とスロカイは壮絶な戦いを無事に生き延びるのだった。

・[解説]量産型ウァサゴ

スターバック級空中空母の制式艦載機。

葵博士から脅し取ったウァサゴの設計・運用データを元に、そこへバルバトスを解析して得られたアイデアを組み込み、数十年先を行く白鯨のテクノロジーを結集して量産された超高性能無人機。

フライトユニットを標準装備していることで長時間の滞空が可能。さらに短時間ながらアウェイク状態への移行も可能、その際のカタログスペックはベカスの駆るウァサゴ・パワードと同等とされている。

(それでも準量産機であるICEY-Vよりは下)

オリジナルと同様、戦況に合わせて武装の換装が可能となっている。(以下はその一例である)

・A型(バランス型、アベレージ)

・B型(斬撃特化、ブレード)

・C型(砲撃特化、キャノン)

・D型(防衛特化、ディフェンス)

 

 

14.幻肢痛

・先の戦争から1週間後……

スロカイ「エイハブとやら、久しぶりだな」

指揮官「お元気そうで何よりです、スロカイ様」

戦後の復興が進む教廷にて、スロカイは指揮官と対談する。マティルダやウィオラも同席し、軽く差し障りのない会話を繰り広げた後、いよいよ本題に入る。(シンシア復帰イベントと回想)

・一方その頃、三日月。

ファントムとの戦闘で負傷した三日月は、空中空母内の医務室へと運ばれていた。眠り続ける三日月を見舞うテッサ、やがて意識を取り戻した三日月は自分の体に違和感を覚えた。

 

三日月「右腕がない……?」

 

三日月の右腕は、右肩から先がなくなっていた。

バルバトスごとファントムのテールブレードに貫かれたことで壊死し、切断を余儀なくされたのだ。三日月の身を案ずるテッサを横目に、しかし三日月は大して気を病むこともなく淡々としていた。

三日月「前にも動かなくなったことがあるから」

三日月の言葉に、テッサは愕然となる。

・場面が切り替わり、格納庫内のバルバトス。

三日月が意識を取り戻してもなお、バルバトスの右腕は喪失したままだった。(いつもであれば三日月の回復に応じて自動的に修復される)まるで三日月の状態と連動しているかのような現象に関して、ミドリはバルバトスの正体を「三日月くんの影ようなもの」であると推測する。

 

 

15.さきがけ

・『白鯨』はソロモン殲滅へと動き出す。

世界各国の放送局とネットワークを同時多発的に電波ジャックし、そこで世間に秘密結社ソロモンの存在を暴露する。そして現在までに至るソロモンの悪行の全てを告発し、全世界に訴えかけた。さらにソロモンの関係者・関連企業を全てリストアップすることで追撃、そこには政財界の大物や法の番人、大企業のトップ、さらにはグレートブリテン帝国の教皇の名前もあった。

この一大スキャンダルに世界は大混乱に陥る。

関連企業の株価は大暴落、倒産が相次ぎソロモンは苦境に立たされることになる。

オーシンと賢人たちは慌てて情報統制を試みるも、シャラナ姫や女王ヴィクトリア、合衆国大統領など世界各国の要人たちが『白鯨』に対して公式の場で同調を示したことで一転。急速に立場を失っていくソロモンとは正反対に、『白鯨』は世界での発言力を急速に高めて行く。

ついに極東崩壊におけるソロモンの暗躍の証拠(ファントムの派遣を示唆する映像)が公開されたことで、オーシンとリヒャルトは全世界からの指名手配されることになる。各国でも、ソロモン関係者や関連企業に対して制裁を取る形となっていく

・[解説]ソロモンの悪行

武器を売りたいがために大陸間戦争を起こした

私兵を用いた各地での虐殺行為、テロリストへの武器の横流し、民族浄化、暗殺、人身売買、インサイダー取引の横行、賄賂と献金、情報操作、犯罪の隠蔽工作など数を上げればキリがない。

そして極東におけるファントムの投入……とくに、これを知った極東人たちの憎悪は凄まじく、ソロモンと癒着のあった極東の政治家や裁判官、警察署署長など数十名が処刑される事態となる。

 

 

16.ソロモン降下作戦(前編)

・世界各国の要人たちからのお墨付きを貰ったことで、こうして『白鯨』は全世界からの支持を得ることとなった。総司令官であるエイハブ(指揮官)は犯罪組織であるソロモンを殲滅するべく、空中艦隊を抜錨させた。目指すはソロモン本部のあるオーストラリア大陸。

・その頃、ソロモン本部では内部情報を流出させたとして(しかし、これはメルのでっちあげである)、リヒャルトがメルから尋問を受けていた。拷問として指を折り、暴行し、電磁くすぐり棒の刑に処される。

リヒャルト「ワシを殺せば世界最高の頭脳が…」

メル「お前の代わりなどいくらでもいる」

自身の頭脳と引き換えに延命を望むリヒャルト。それに対し、メルは彼の弟子であり後継者として全ての研究を引き継いだセインを尋問室へと呼び出し、自身の銃を手渡す。

セイン「師匠に出来て私に出来ないことはない」

メル「弟子は師匠を超えるものだ、やれ」

セイン「じゃあね、師匠」パンパン…

リヒャルトを殺害し、セインは無邪気に笑う。

遺体を踏み潰してメルは顔を残酷に歪める。

メル「クソ老害が、二度と出てくんじゃねぇ」

・その時、ソロモン本部に警報が鳴り響く。

黒猫キャルの能力を応用したゼロ次元空間跳躍を用いてソロモン本部の上空に出現した『白鯨』の空中艦隊。マザーシップから次々と発艦する無数のウァサゴ量産型、空中戦艦と砲艦から放たれた無数の火線が地上を抉る。

 

 

17.ソロモン降下作戦(後編)

・広域にわたってECMを展開し、続々と降下してくる『白鯨』の部隊。これに対処すべくオーシンは防衛部隊を発進させる。しかしカタログスペックがウァサゴ・パワード並みという破格の性能を持つウァサゴ量産型の群れに敵うはずもなく、防衛部隊は次々と撃墜されていく。まもなく地下へと侵入した量産型によってソロモン本部は徐々に制圧されていくことになる。中には投降しようとするソロモンファミリーの姿もあったが

オスカー「ソロモンは一兵たりとも逃さぬよ」

白鯨は容赦がなかった、量産型に踏み潰され、銃撃を受けるなりして全員が殺害された。

・機械教廷での戦役以後、機能停止に陥ったファントムは未だ起動せず、勝てる見込みがなくなったことからオーシンはソロモン本部の放棄を決定する。賢人たちと共に脱出を試みるも、メルの裏工作がここで牙を剥くこととなる。

メルル「指揮官様のところと比べて、オーシンのところのご飯は見栄えばかりで冷たくて美味しくなかったにゃ、バイバイにゃ」

裏切って白鯨側についたメルルのサボタージュにより、緊急用の地下リニアカーは先に避難していた賢人たち諸共爆破され、さらには蘇瑞、セインなどといった信頼していた仲間たちも次々と指揮官の元に参加し、NTRれていく。

・1人孤独になったオーシンは自らの境遇に嘆きつつも、せめて最後だけはソロモン当主としての力を見せつけるべく、決戦仕様に改造されたバアルに乗って戦線へと赴く……しかしエレベーターで移動する最中、機能停止に陥ったと見せかけて待ち伏せしていたファントムの襲撃を受けあっさりと撃墜、ファントムはバアルの頭部(トライアルシステムを内蔵した)をもぎ取る。

 

 

【概要:③逆襲のオルガ 編】

18.復活の鉄華団

ファントムがエレベーターを使って戦場の中央に出現する。バアルのトライアルシステムを取り込んだファントムは、その力を用いて戦場に立つ全てのソロモン所属機の(パイモンなど)コントロールを得る。さらにエイハブウェーブを使用し、付近に展開していた全てのウァサゴ量産型の動きを止める。

セラスティア「待ってて、今対抗策を作る!」

これに対し『白鯨』側は(バルバトスを解析していたことで)事前にエイハブウェーブの存在を認識していたこともあって、セラスティアの手によってすぐさま対抗ミームの構築と展開が始まる。

・オルガと鉄華団の復活

ファントムのコックピットが解放され、中からパイロットが姿を現す。オルガ・イツカ……戦場に立つその姿を見て、いてもいられなくなった三日月は、片腕を失ったバルバトスを駆って空中空母から降り立つ。

 

三日月「オルガ!」

オルガ「よお、三日月! 久しぶりだな!」

三日月「……!?」

オルガ「お前も来るか? 三日月!」

(三日月のことを『ミカ』と呼ばないことに注目)

 

相対し驚愕する三日月の目の前で、オルガは『鉄華団』の再興を宣言。全世界に対して宣戦布告した。三日月はオルガの暴走を止めようとするも、ベリアルの妨害によって阻まれる。オルガはトライアルシステムにより全てのソロモン機のコントロール権を得たことで、パイロットであるエレインの意思に関係なく機体を操れるようになっていた。大剣を振りかざして迫り来るベリアルに対し、半壊したことで手加減の出来なくなった三日月は止むを得ず脅威の排除を優先する。ここでようやくエイハブウェーブへの対抗ミームが配布されたことで、機能停止に陥ったウァサゴ量産型も続々と再起動を始める。だがその間に、オルガは残存するソロモンの戦力を率いて瞬間移動により姿を消すのだった。

なお、この戦いでエレイン、オーランド、ブラドレイなど複数名のソロモン所属ネームドが戦死。(裏切って白鯨側についた者たちは無事)

 

 

19.ソロモンの終焉

・『鉄華団』の設立を宣言したオルガ。

「世界の敵」を騙って動き始めたオルガが最初にやったことは、世界各地に潜むソロモンファミリーに対する狩り出しだった。『白鯨』がネットワーク上に公開したリストをもとに、ソロモンの関係者および関係企業・団体へと襲撃をかけ、全ての構成員を殺害、ブリテンでは公衆の面前でこれ見よがしにブリテン教皇を惨殺してみせるなど、悪虐の限りを尽くす。それは今まで自分をいいように使ってきた者たちに対する仕返しのようだった……さらにはソロモンが世界各地に輸出してきた量産型パイモンなどのソロモン機をトライアルシステムを用いてコントロール下に収め、グシオンやフラウロスと共に『鉄華団』の戦力として組み込んでいった。

・これに対し『白鯨』は『鉄華団』を要注意団体としてマークしつつも、しかしこれほどの事をしでかしてもなお、『鉄華団』が民間人に対して殆ど被害を与えていないことに注目、さらに法律で裁くことが難しかったブリテン教皇などの重要人物を勝手に始末してくれたこともあって、味方ではないのかという見解もあり、『鉄華団』との共存の道を模索することになる。

 

 

20.「もう戻れない」

・オルガたち『鉄華団』はソロモンの残党を殲滅した後、ババラール連盟領内(旧 サイト07)に集結。以降、無人となっていたその場所を『鉄華団』の拠点として軍事基地を作り上げる。

吸収した十二巨神『シヴァ』の分身作成能力と『モデリング』という異世界の能力を用いて鹵獲した低品質の量産型パイモンを鉄血世界の『獅電』『ランドマン・ロディ』『グレイズ』『辟邪』などへと変換、飛行機は『クタン』へと作り変えることで戦力を整えていった。

・エイハブ(指揮官)はオルガの意図を探るべく、直接『鉄華団』の基地へと赴き、オルガと対談する。話し合いの末に、そこでオルガのやろうとしている事を完全に把握した指揮官は、『鉄華団』との共存の道はないと判断し、両陣営は正式に敵対関係となってしまう。

・基地から脱出する指揮官。その支援の為に出撃した三日月は、僅かながらオルガと話す時間を得る。

 

三日月「オルガ、何で……ッ!」

オルガ「三日月、オレはもう奪われるのは嫌なんでな。だからこれからは奪う側へと成り上がる、そして俺はこの力を用いて世界の王となる! 俺の道を邪魔をするものはなんだって潰す。例え三日月、お前だったとしてもな……それとも、お前も来るか!? 鉄華団に!」

 

人が変わったように力を求めるその姿は、三日月の知るオルガ・イツカではなかった。

 

三日月「もう、戻れないんだね……」

指揮官と共に鉄華団の基地から撤退する中、三日月はオルガの打倒を決意する。

・[解説]サイト07について

オルガが鉄華団を再興した場所は、もともと三日月が基底現実世界(アイサガ世界)へと流れ着いた地点であり(第10話:バースデイを参照)、そして2週目の世界線においてSCP−295−ISが収容されていた場所。

・[解説]鉄華団MS

オルガがモデリングによって生産した『獅電』『ランドマン・ロディ』『グレイズ』『辟邪』など。量産機ながらも一機あたりのカタログスペックは初期のファントムとほぼ同等。さらに次元連結システムのコピー品を動力源としており、通常攻撃ですらゼオライマーの次元連結砲並みの威力がある。

 

 

21.殺戮の天使

・鉄華団の拠点内にある格納庫で、ファントムの中から取り出した次元連結システムのコアをベースに『モデリング』で新たな機体の建造を始めるオルガ。「アキヒロ、シノ……俺は今度こそやってやるからな。待ってろよ……」背後に控えるグシオンとフラウロスにそう語りかけながら、オルガは建造を続ける。

・一方、三日月のいる『白鯨』では、鉄華団との戦闘に備えて着々と準備が進められていた。しかし、最先端の再生治療で手を尽くしても喪失した三日月の右腕は再生せず、同時に唯一ファントムに正面から対抗できるバルバトスは白鯨の持つオーバーテクノロジーを駆使しても修理できなかった。

(三日月とバルバトスの状態はシンクロしている)

・その最中、突如としてオーストラリア大陸にあるソロモン本部の跡地が高エネルギー兵器の照射によって地下施設もろとも完全に蒸発したという報告が入ってくる。(指揮官の指示で現場は封鎖されており犠牲者こそいなかったものの…)薔薇十字騎士団の斥候により、その原因が鉄華団の基地に突如として出現した超大型機甲からの砲撃によるものだと判明する。斥候から送られてきた映像を見て、三日月は驚愕する。それは三日月たち鉄華団が火星にて死闘を繰り広げた異形の機体、モビルアーマー・ハシュマルだった。

・[解説]強化型ハシュマルについて

オルガ/ファントムによって建造された超大型モビルアーマー。その大きさは鉄血本編で三日月たちが倒したものの3倍。ファントムから次元連結コアを移植されたことで世界を震撼させる程のカタログスペックを持つ。配下ユニットであるプルーマと共に飛行能力を持ち、最大の特徴であるビーム兵器はオリジナルの数十倍の威力を誇り、かつ地球の裏側ですら攻撃可能なホーミング機能を持つ。攻撃能力もさながら、防御面ではナノラミネートアーマーを使用していることもあり全くと言って良いほど隙がない。

・[解説]オルガのチート能力について

オルガは様々な世界線のオルガの記憶を保持している。その記憶を頼りに次元連結システムを応用することで、様々な異世界の特殊能力(チート)を再現することができる。具体的には某スマホ野郎どもの能力を全て扱える(強化型ハシュマルを建造した『モデリング』や、ソロモンファミリーの狩り出しで正確に位置情報を掴んでいたのも『検索』能力を使っていたため)ほか、異世界オルガに登場したありとあらゆるチート能力を扱うことすら可能。(具体的なチート能力については後述)

もともと(異世界)オルガという存在そのものがチートなんだから、今更これくらい盛っても別に構わんでしょ? (といっても本作では敵なのだが)

盛るペコ とにかく盛るペコ

 

 

22.新たなる力

・蒸発したソロモン基地の様子を見せしめとして公開し、全世界に向けてオープンチャンネルで降伏を呼びかけるオルガ。それと同時に、オルガは三日月のいる『白鯨』の艦隊に向けて攻撃を始める。指揮官は空中艦隊とウァサゴ量産型で応戦、三日月もそれに加わろうとするが、バルバトスは飛べない上に半壊していることもあって、思うように戦うことが出来ない。

・テッサやアイルーも戦っているのに……と、三日月は何も出来ずにいる自分の無力さを痛感する。しかし、そこへミドリが率いる支援艦隊が到着。

 

ミドリ「力が欲しいですか?」

その言葉に三日月が頷くと、彼女は巨大な工作艦の中に三日月を案内し、力を失った三日月の為に用意した『新たな力』を授ける。

 

三日月「ありがと、ミドリちゃん……」

新型機『ソリダスバルキリー』に乗り込んで出撃した三日月、初乗りであるにもかかわらず戦場を埋め尽くさんとばかりに迫るプルーマの群れを、その圧倒的な火力で殲滅するのだった。

・[解説]ソリダスバルキリー

リキッド、ソリッドに次ぐ3機目のバルキリー

その正体は特殊兵装『ソリダス』を装備したバルキリーSC改。ソリダスとは『気体』、『気体』とは即ち空間全体を満たしているもの……『気体』が世界を支配しているように、圧倒的な火力で戦場の全てを支配するというコンセプトの下で開発された大型機甲。複雑かつ大きすぎる機体構造のため制御にはAICが導入されているものの、起動とコントロールには阿頼耶識システムが必須であるため実質的な三日月専用機となっている。

ソリダスの外見は、いわゆる『デンドロビウム』のようなものだと思っていい。

・[武装]ソリダスバルキリー

ロングレンジメガビームキャノン×2

→大型ビームソードを形成可能

武装コンテナ×12

→各種ミサイル兵器と専用バズーカ&投擲斧

Xフィールドユニット

→ウァサゴ量産型10機分の出力

近接対空防御兵装ホーミングレーザータレット

ダインスレイブ(タービンズ製)

捕縛用大型アーム×2(スーパーブレイザー内蔵)

補助アーム(ランディング兼用)×4

 

 

23.絆

・鉄華団の先鋒を撃退した『白鯨』

空中艦隊にて戦力の再編成と決戦に向けての準備が再開される中、三日月は息も絶え絶えといった様子でソリダスを工作艦へとドッキングさせる。AICによる補助がありつつも、ソリダスの運用がパイロットの脳や体に対して与える負担は凄まじいものだった。直ちに医務室へと運ばれ、増血剤と投薬による治療が行われる。

・決戦前のひととき

旗艦ピークォドにて綿密な作戦会議を展開する指揮官、そしてセラスティア、オスカー、ハインリヒら四重奏の面々。戦いの行く末を見届けるべくピークォドに乗船するスロカイ一行。ネームレスら薔薇十字騎士団のメンバーは既にICEY-V(決戦仕様)に乗り込み待機している。前倒しで製造された新型機ICEY-Zを前に、開発担当のポヨーナから機体の説明を受けるICEYとカロル。ベカスと影麟も艦隊に合流し、葵博士の元で機体を空戦仕様にチューンさせてもらう。アイルーはミドリのそばでメカニックの仕事を手伝い、ソリッド、リキッド、そしてソリダスの最終調整を完了させる。

・治療を終えた三日月はすぐに戦線へと復帰するべく準備を始める。そんな彼のためにテッサは着替えを手伝う(片腕ではパイロットスーツは着づらいため)ものの、本当はこれ以上戦って欲しくない気持ちでいっぱいだった。肉体的にも精神的にもボロボロになりながら、右腕を失いながらもそれでも戦うのを止めようとしない。その瞳は死んだように淀みきってしまっている。このままだと、次の戦いでは死んでしまうのではないか……そんな予感がテッサの脳をよぎる。

 

テッサ「三日月さん、聞いて……!」

 

しかし、三日月を止めることは出来ないのだろう。ならばせめて……テッサはずっと自分の心に秘めていた、『事実』を口にする。

 

テッサ「そんなこと言わないで……!」

三日月「テッサ?」

テッサ「お腹の赤ちゃんが可哀想だよ……」

三日月「……! 本当に?」

テッサ「そうだよ。三日月さんの赤ちゃんだよ」

 

自らの妊娠を告白するテッサ。

新たな絆の芽生え…それ自体は喜ばしいことではあったものの、自らも孤児だったことに加えて、決戦を控えた三日月にとって重荷や迷惑に思ってしまうのではないかという懸念から(無論、そんなことはないのだが)、ミドリ以外には(シスター・ノエルは44話の時点で認知していた)今まで妊娠を報告出来ずにいた。

 

三日月「そうか……!」

三日月はテッサの体を抱きしめつつ、力強く頷いた。その瞳には、先ほどまでと違い『生きる意志』に満ち溢れていた。必ず帰ってくることを約束し、三日月はテッサを船に残してソリダスで出撃する。

・[解説]テッサの妊娠について

テッサの43と44話における意味深な行動の理由

逆シャア(ベルチル版)のオマージュ

(第3部の『逆襲のオルガ』というタイトルも)

また40話でマキャベリの精神干渉からテッサが単独で脱却できたとみられていたものも、実はお腹の中に宿っていた新しい命が護ってくれたから。

 

 

 

24.進軍

・『世界の敵』オルガを倒すべく、指揮官は鉄華団の拠点に向けて進軍する。迫り来るプルーマの群れ(マトリックスのワームを彷彿とさせるほどの量)と鉄華団製MS、対する空中艦隊は指揮官の乗る旗艦ピークォドを筆頭に、3隻の空中空母と7隻の空中戦艦そして1500機の量産型ウァサゴを率いて攻撃陣を展開する。

三日月も遊撃隊として戦線に加わり、白鯨のエースパイロットであるネームレスやICEYらと共にソリダスの持つ圧倒的な火力で敵機を退ける。

・補給のために工作艦へと戻る三日月。

豊富な武装と複雑な機構故にオペレーターとメンテナンスクルー総出でソリダスの補給と応急処置が行われる中、三日月はコックピットの中でテッサから食べ物と飲み物を受け取る。これが最後になるかもしれないと、三日月はテッサのお腹に手を当て新たな絆の存在を確かめながら、戦いが終わった後のことを楽しく話し合う。

テッサ「三日月さん、これを……」

三日月「いいの? これ大事なものなんでしょ?」

テッサは母親の形見であるルビーのネックレスを三日月へと託す。火星の大地を彷彿とさせる赤色のそれを彼の左手首へと巻きつけ(これが後に、三日月の運命を大きく左右することとなる)、出撃する彼の後ろ姿を見送る。

 

三日月「三日月・オーガス、ソリダスバルキリー……出るよ」

テッサがくれた手首のネックレスに口付けし、工作艦から発艦する三日月。空中艦隊と薔薇十字の支援を受けることで防衛網を突破、鉄華団の本拠地へと強襲をかけるのだった。

 

 

25.不退転

・三日月が防衛線を突破してもなお、鉄華団の統制は保たれたままだった。そのうち、陸戦形態のフラウロスがクタンを空中の足場として空中艦隊へと肉薄する。フラウロスは前衛のウァサゴ量産型を蹴散らし砲撃の波をすり抜けると、艦隊の旗艦ピークォドめがけてダインスレイブを投射。超高威力の一撃は三重に渡って広範囲に形成された防御兵装・Xフィールドをいとも容易く貫通し、白鯨の艦隊防衛に大きな穴があく。

・フラウロスによるダインスレイブの第二射、その動きを察知した白鯨側に動揺が走る。ピークォドの舵をとるシェロンは慌てて回避行動を実行しようとするも……

指揮官(進路そのまま! 我がピークォドは一歩も引かん!)

なぜか指揮官は、ダインスレイブの威力を前にしても回避行動を取ろうとしない。やがてフラウロスから放たれたダインスレイブはピークォドへと飛来……そして艦橋から僅か数十メートル先を掠めて消えた。ダインスレイブが命中しなかったことを見届けたフラウロスは、まるで何事もなかったかのように後退を始める。

指揮官(舐められたものだね……)

騒然とするピークォドのブリッジの中で、ただ1人指揮官だけはニヤリと笑ってフラウロスの撤退を見送った。

・一方その頃、三日月

直掩のウァサゴ量産型か次々と離脱していく中、三日月はただ1人、鉄華団の本拠地へと辿り着いていた。基地の中から無数に湧いてくるプルーマを処理しつつ、メガビームキャノンと対艦ミサイルで拠点攻撃を実施していると、ついにその時が訪れる。突然周囲に暗雲が立ち込める中、空間がまるで窓ガラスのよう割れ、亜空間から盛大な金切り声と共に、強化型ハシュマルが出現した。

 

 

26.ダインスレイブ

鉄華団の基地上空にて、三日月の乗るソリダスと強化型ハシュマルが激しく砲火を交える。遠距離戦ではビームでビームを打ち消しあい、接近戦ではビームソードとテールブレードで斬り結び、ほとんど互角の戦いが繰り広げられる。しかし、ハシュマルは狡猾だった。空間跳躍の能力を応用して三日月の意識外にビームやプルーマを転送して奇襲をかけ、さらには三日月が放ったメガビームとミサイルの弾幕を複数のプルーマを重ねて盾にしてやり過ごすなど、オリジナルには見られなかった戦術や戦法を駆使するようになっているのだ。

・高火力を誇るソリダスだが、ハシュマルへの決定的な一撃を放てぬままジリ貧に陥る。そのうち武装コンテナの半分をもぎ取られ、ビームキャノンは砲身をやられ収束率と威力が低下、被弾によりXフィールド発生装置も出力低下に見舞われる。さらにはエンジンの半分をやられ失速し、バランスを崩しかけたところをハシュマルに狙われるも……しかし、そこで救援が到着。防衛網を突破しクィークェグを始めとする空中艦隊が鉄華団基地の上空に展開する。そこからベカス、影麟、アイルー、そしてテッサが発艦し、三日月の戦闘を支援する。

・三日月はソリダスに残された最後の力を消費して攻撃をしかける。テッサたちがハシュマルとプルーマを引き付けている間に高高度へと上昇、自由落下による加速力を得ながらハシュマルに対して高高度からの特攻。意識外からの特攻にハシュマルは対応できず、三日月は2本の大型アームでハシュマルを拘束、そのまま地面へと叩きつけた。

 

三日月「これなら……殺しきれる……!」

ハシュマルの動きを封じた三日月は、コンテナからソリダスに装備された最大最強の武装『ダインスレイブ』を取り出し、バルキリーの最大出力を持ってハシュマルのコアへとゼロ距離で発射する。狙い違わずダインスレイブはコアごとハシュマルを貫通するが、それでも殺戮の天使が機能停止することはなかった。ソリダスからバルキリーを分離させた三日月はダインスレイブの風穴に身を投げ、コアの摘出を試す。

 

三日月「……ッ!」

だが、ここでハシュマルは最後の悪あがきとでも言うように、テールブレードをバルキリーのコックピットへと突き刺す。しかし、下半身を両断されようとも三日月は止まらない。ソリダスを遠隔操作し砲身の折れ曲がったメガビーム、コンテナのミサイル、ホーミングレーザー、大型アーム内のスーパーブレイザー、自身の損傷を気にすることなく残されたその全弾をゼロ距離で叩き込む。

血の海となったコックピットの中で、胴体に左腕が生えるだけとなった三日月は残虐に嗤う。ハシュマルから摘出したコアを天高く掲げ上げ、握りつぶす。

[解説]ダインスレイブ(ソリダス装備)について

フラウロスが装備していたものとは違い、こちらはタービンズ製。最終話内の外伝2ー1『銀幕の再会』において、破損したシルバーランサーの大槍をベースに、タービンズによって作り変えられたものをミドリ経由でソリダスに装備されていた。配備数は1発のみと少ないが、仮にも12巨神の槍を素材としている事で、鉄血世界にあるオリジナル以上の威力を誇る。

 

 

27.同化

三日月の活躍によりハシュマルは機能停止に陥る。それに連動して、配下ユニットであるプルーマも次々と機能停止・墜落していく。

コアの爆発に巻き込まれ、三日月は遠くへ吹き飛ばされる。乗っていたソリダスおよびバルキリーは大破、そして三日月自身の命もまた、風前のともし火の状態に陥っていた。血に塗れ、左腕以外の四肢を喪い、もはや生きている事さえ不思議な姿の中、消えゆく意識の中で三日月は最後にテッサと彼女が身篭った自分の子のことを考えていた。

 

三日月「ああ……こんな身体じゃ、もう子どもを抱いてあげられないな…………」

 

その想いを最後に、三日月の意識が闇に呑まれようとした、まさにその時……まばたきする僅かな瞬間、眼前にファントムが出現。三日月のことを見下ろすかのように紅い瞳を光らせた。

 

オルガ「無様な姿だな、三日月」

コックピットハッチが開き、オルガが現れる。

(この時、ほんの一瞬だけオルガの顔に悲しみと焦燥の色が走る)

瀕死の三日月の前で、オルガは真相を語り始める。自身を形作るオルガという存在も、鉄華団という組織の名称も、全ては三日月というたった1つの獲物を釣り上げるだけの疑似餌に過ぎなかったということを

 

オルガ「お前はまんまと俺の罠にはまってくれたというわけだ。お陰で、こうして俺は苦労する事なくお前を手にすることが出来た。そしてお前を喰らうことで俺はようやく本来の力を取り戻すことが出来るのだ」

 

そう言ってオルガはバルキリーを引き裂きコックピットから三日月の体を引き上げると、ファントムの口に放り込み……三日月を捕食した。

ようやく爆煙が晴れ、三日月の姿を捜索していたテッサはその惨状を目の当たりにし、絶叫する。

テッサ「よくも三日月さんをッッッ!!!」

発狂したテッサは特攻の後、怒りに身を任せてバヨネットによる追撃をかけるも、オルガは『ゲッターチェンジ』で難なく回避して距離をとってみせる。続くバスターライフルによる全力射撃を『反射』し、逆にテッサのバルキリーの頭部を根こそぎ吹き飛ばしてみせる。

オルガ「見ろ! これが俺の真の力だ!」

黒いバルバトスルプスレクスへと変貌を遂げたオルガは、五本の指から『レールガン』を連射しウァサゴ量産型を次々と撃ち落としていく。レールガンの雨を掻い潜り、ベカスは影麟と共にオルガへと肉薄するも……

ベカス「あの剣は……ッ!?」

亜空間からオルガが取り出した2つの剣を見て、オルガは驚愕する。それはバルバトスが装備していたはずの『飛翔(アマテラスの化身)』だった。しかもそれをシヴァの能力で2本に増やしている。

オルガ「ヒノカミ神楽・双刀炎舞!」

ベカス「ぐっ……!」

さらに『双剣スキル』の恩恵で銃弾すら難なく撃ち落とせるほど技量を発揮、卓越した剣技でベカスと影麟を圧倒する。致命傷こそ避けられたものの、フライトユニットが破損したことで両名は戦線からの離脱を余儀なくされる。

オルガ「見たか!?これが鉄華団の力だ!」

さらに『断空砲』『螺旋力』『サイキックパワー』そして『ブレストファイアー』を使用。一度に多数のウァサゴ量産型を撃墜し、クィークェクを含む空中艦隊に大きなダメージを与える。

さらにオルガの動きに呼応するかのように、ここまで目立った動きを見せてこなかったグシオンとフラウロスも鉄華団基地より出撃、エイハブのいる後方の本隊に向けて対艦攻撃を目論む。

・[解説]オルガの異能について

三日月(バルバトス)を吸収し、完全なる力を取り戻したオルガ。そんな彼が使えるのは『モデリング』や『検索』などと言ったイセスマの能力だけではなく、『異世界オルガ』の中でオルガが見てきた、(主人公・ライバル問わず)全ての異能を扱うことができる。

例を挙げると、とあるシリーズより『反射』『レールガン』条件さえ揃えば『幻想殺し』すら可能。異能同士を組み合わせることも可能であり、アマテラスの化身である『飛翔』をSAOより奪取した『双剣スキル』と鬼滅の『ヒノカミ神楽・炎舞』と組み合わせ三種同時に併用していた(なんならツイン・エクスカリバーとしても放てる)。それら全てはあくまで異世界の技を模倣しただけのコピー品に過ぎないものの、ファントムが扱うことでオリジナルとは比べられないほどの威力かつ使用回数に制限のない、そして高い完成度で行使することができる。

メタ的なことを言うと、動画投稿者たちによって作られた『異世界オルガ』の数だけ新しい力を得る(某ディケイドの如く)。まさしくオルガは『世界の破壊者』となったのだ。

 

 

28.彼の選択

・一方その頃、ファントムに捕食された三日月。

終わりのない虚空、ヴォイド空間(亜空間)の中を漂っていた。闇しかない中をひたすら落下し続け、辛うじて三日月が意識を取り戻した時、彼の目の前にファントムが実体化、コックピットから飛び出したオルガが三日月の前に降り立つ。

オルガ「三日月、俺と全てをやり直そう」

そう言ってオルガは再興した鉄華団の元へ三日月を勧誘する。やり直す……その言葉を示すかのようにオルガは1人の人物をヴォイド空間の中に召喚する。

三日月「ビスケット……?」

それだけではない。アキヒロやシノを始めとして、鉄華団として戦いの中で散っていった者たちの姿が闇の中に次々と現れる。仲間であり家族だった彼らを背に、オルガは三日月に向けて手を差し伸べる。

オルガ「オレたちが歩んできた道のりは全部悪い夢だったんだ。この通り、オレたち家族は誰1人として死んでいねぇ、だからオレと、いやオレたちと全てを無かったことにして最初からやり直そう、なあ三日月!」

オルガの洗脳に三日月の心が揺れ動く

ビスケットが、シノが、アキヒロが、みんなが三日月の元へ手を差し伸べる。差し出された彼らの手を取るべく、三日月は力を振り絞って左腕を上げ……

 

三日月「……ぁ…………」

 

その時、三日月は自分の左手首に何か光る物があることに気づいた。あらゆる光を吸収する亜空間ヴォイドの中でも、それは力強く赤色の輝きを放っていた。それは出撃前、テッサが自分の左手首に巻きつけてくれたルビーのネックレスだった。

それを見て、三日月は我に帰る。

 

三日月「違うよオルガ、夢なんかじゃない」

オルガ「三日月……?」

三日月「みんな死んだんだ。オルガも俺も!」

オルガ「…………」

三日月「無くなった命は戻らない、やり直せない」

オルガ「…………」

三日月「だから俺は未来を生きる! 今を生きる命と」

 

三日月は左腕でオルガの胸ぐらを掴む。

その瞬間、三日月の背後にバルバトスが出現。三日月と体を共有しているため右腕が欠損し、上半身だけの姿となったその姿はまさしく幽鬼と呼べるものだった。

 

三日月「…お前も『バルバトス』なんだろ!?」

オルガ「な!? 三日月、まさかお前……!?」

三日月「…………だったら、寄越せよ!」

 

三日月のバルバトスが左腕でファントムの胸ぐらを掴む。その瞬間、ファントムの中に渦巻いていた膨大な力の一部がバルバトスの中へと流れ込む。

次の瞬間、ヴォイド空間が膨大な光に包まれる。

・現実世界

依然として異世界の圧倒的な力を用いて空中艦隊を翻弄するファントムだったが、突如としてファントムの体が2つに割れ、中から白い機体(バルバトス・ルプス)が出現、ファントムの追撃を振り切って戦場の片隅へと移動する。

ルプスのコックピットには完全回復した三日月の姿、喪った右腕と下半身が元どおりになっている。ファントムから奪取した再生能力を自分自身に発揮したのだ。

三日月は機能停止に陥ったテッサのバルキリーの元へたどり着くと、コックピット付近へそっと手を差し伸べる。次の瞬間、バルキリーの損傷した装甲と頭部が元の形へと再生し、テッサは意識を取り戻した。

三日月「テッサ、生きてる?」

テッサ「み、三日月さん……!? 生きて……」

三日月「うん、俺は生きてる。テッサの想いが俺を守ってくれた……だから、ありがとう。俺に今を生きる意味を与えてくれて、未来を歩む希望をくれて……だから俺は」

テッサの目の前でルプスが飛び立ち、空中を自由自在に移動する。その間、三日月は同じく行動不能に陥ったベカスや影麟、さらに空中艦とまだ生きている量産型ウァサゴを見つけては、ファントムから奪取した力を活用して機体の修復とパイロットの治療を行った。

三日月「だから俺は、今を生きる仲間たちのために戦う。俺を受け入れてくれたみんなと、この世界への、俺からの祝福」

そこへグシオンとフラウロス、そして鉄華団の残存戦力が襲来。三日月は彼らの相手をテッサやベカスたちに任せ、自身はオルガとの決着をつけるべく空中に佇むファントムめがけて飛翔した。

・[解説]バルバトスが得た再生能力について

ファントムから奪取した強力な再生能力を活かして三日月は自分自身を治療し、そして他者(機体どころかパイロット、AI問わず)すらも回復させてみせた。これは自分に居場所を与えてくれたこの世界に対する、三日月なりの『感謝』と『祝福』からくる変化した能力だった。

一方、オルガのファントムは能力の半分を三日月のバルバトスに奪われてしまったため、異世界の能力や驚異的な再生能力などを喪失している。

 

 

29話:落日の鉄華団

・空中艦隊(本隊)

その中心で戦いを見守る指揮官と四重奏の面々

ハインリヒ「薔薇十字を向わせますか?」

セラスティア「機動部隊もまだ全然余裕だけど?」

指揮官(その必要はないよ。もう雌雄は決した……いや、最初から勝負はついていたんだから)

オスカー「エイハブ? あなた様は……」

指揮官は戦闘の終結を予感し、小さく笑った。

 

・一方その頃、鉄華団基地周辺

激しく砲火を交える鉄華団と空中艦隊

果てしない撃ち合いと斬り結びの末に、戦力優勢となった空中艦隊は鉄華団製MSたちを撤退させることに成功する。

テッサはアイルーと共にフラウロスを相手にする。フラウロスの高い機動力に翻弄されるも、2機のバルキリーをドッキングさせ、一瞬の隙をついてゼロ距離でライフルを発射。相手のナノラミネートアーマーを撃ち破ったことで、撃退に成功する。

・ベカスはグシオンと死闘を繰り広げる。一時はグシオンチョッパーで拘束されかけるも、最終的に影麟の捨て身の一撃により脱出、その後、起死回生の一手を放ちグシオンを機能停止へと追い込む。鉄華団への怒りと憎しみに駆られたベカスはとどめを刺すべく、スーパーブレイザーの砲門をグシオンのコックピットに突き刺す。そしてトリガーを引こうとした、その瞬間……ベカスの脳裏にグシオンのパイロットらしき人物の記憶が映り込む。

ベカス「なんだ、人の心を感じる。これはお前の記憶なのか……? だとしたら、そうか……お前も大切な人を喪って、何度も虐げられてきたんだな」

師匠の仇を討つべく戦いに望んでいたベカスだったが、かつてエイハブ(指揮官)に指摘されたように、自分の考えが浅はかだったことに気づく。そしてベカスは、自分自身を裏切ることを決意する。スーパーブレイザーの砲門が逸れ、地面を穿つにとどまる。

ベカス「……行けよ、お前」

グシオン「…………?」

ベカス「いいから早く行けッ!!」

グシオン「…………」

機能停止から回復したグシオンが撤退を始める。側に寄ってきた影麟に支えられながら、ベカスはその後ろ姿を見送った。

 

 

30話:オルガ・イツカ

・三日月とオルガ、最後の戦い。

上昇するバルバトスルプスとファントムレクス、やがて成層圏付近にまで上昇した2機は壮絶な死闘を繰り広げる。大型メイスとソードメイスが衝突、激しい火花を散らす。中距離では指鉄砲と機関砲を撃ち合い、お互いのメイスを弾き飛ばす。その間にオルガは三日月の背後へテールブレードを忍ばせるも、三日月はそれを見抜き、太刀と飛翔を用いた回転斬りでケーブルを両断、使用不能にしてしまう。

オルガ「なんだよ、やるじゃねぇか……」

ファントムの中で、オルガは静かに三日月の腕前

を賞賛する。負けじとオルガもコピーした2本の飛翔で三日月の飛翔をはたき落とすが、三日月は残った太刀で『雷電』を使用、オルガの飛翔をバラバラに粉砕する。続いてオルガはバスターソードを展開、三日月はボロボロになった太刀を捨ててツインメイスを取り出し、両者は再び激突する。

・一進一退の攻防戦が繰り広げられる。ついに両者ともに全ての武装を喪失し、そして徒手空拳による格闘戦へと移行、ブースターによる加速を活かし、装甲の破片を撒き散らしながらも、すれ違いざまに何度も拳を叩き込む。

オルガの放ったクローによる一閃がバルバトスのコックピットを真一文字に掠め、お返しとばかりに三日月の放った鋭い手刀がファントムのコックピットを縦方向に掠める。それから距離を取り、三日月とオルガはコックピットの亀裂越しにお互いを見つめる形となる。

 

 

三日月「オルガァァァァァァァァッッッ!!!」

 

オルガ「ミカァァァァァァァァァッッッ!!!」

 

 

夜明けの天空を背景に 両者の絶叫が響き渡る。

ブースターを最大出力で燃焼させ、超加速のまま

拳を衝突させる。衝撃で両者の右腕部が損傷、弾き飛ばされるも、残った左腕を用いて拳を叩きつけ合う。打ち勝ったのは三日月、ファントムの左腕を吹き飛ばし、再度攻撃モーションに入る。

 

オルガ「やっぱスゲえよ、ミカ……」

 

バルバトスのアームがファントムの頭部にクリーンヒット、首から上を削ぎ落とす。頭部を失ったファントムは力を失ったように落下、鉄華団基地の中心部へと勢いよく叩きつけられる。

・ファントムが機能停止に陥ったことを確認し、三日月はオルガの元へと近づく。コックピットの亀裂からオルガの姿を見つける。

オルガ「み、三日月……」

意識を取り戻したオルガは、三日月が自分のすぐ近くにいることを知ると、弱々しくも不敵な笑みを浮かべた。散々ファントムでやっていたように、体を再生させるべく三日月のことを再び吸収しようというのだ。

 

オルガ「最後に……三日月、お前だけでも吸収して」

 

三日月「…………」

 

しかし、三日月はオルガの手から逃れない。それどころか吸収される恐れがあるにもかかわらず、寧ろ自分からオルガの腕を掴みに行った。

 

三日月「もういいよ……やめて」

 

オルガ「……?」

 

三日月「もう、オルガじゃないフリをするのは」

 

オルガ「……!」

 

三日月「待ってて、今治すから」

 

オルガ「いや、それは駄目だ。それよりもミカ……最後に、オレをここから連れ出してくれ、せめて陽の光が当たるところに」

 

三日月「……うん、分かった」

落下の衝撃で脊椎を損傷したのか、血塗れで殆ど動かなくなってしまったオルガの体を引き上げ、三日月は彼の肩を支えながら少し離れた場所へと移動する。今まさに地平線の彼方から萌え出づる、太陽が見える場所へと

 

・三日月とオルガ 最後の語らい

三日月はオルガの意図に薄々気づいていた。ソロモン本部にて、突如として覚醒した彼が(明らかに常軌を逸した言動を見せていたものの)実際にはファントムによって操られていたわけではないということも。「なら、やるべきことは分かるな?」オルガは懐から一丁の銃を取り出す、言わずもがな、それは鉄血世界の頃から借りっぱなしだった三日月の拳銃だった。

三日月「……うん」

拳銃を受け取り、スライドを引いてチャンバー内に弾丸が入っていることを確認すると、マガジンを取り出す。

そこから2人は、僅かな時間語り合った。

2人が始まったあの日のこと、鉄華団で苦楽を共にした日々、結果的に2人の物語は破滅の運命を辿ることになるものの、三日月はオルガが切り開いてくれた道を否定することなく「オルガと一緒の道を歩めて、俺は多分、幸せだったと思う」と告げた。

そうしているうちにオルガの容体が悪化、三日月に再生能力を奪われた彼にはもう、残された時間は僅かしかなかった。

「だから、せめてお前の手で、俺を終わらせてくれ……!」

「…………」

三日月は躊躇いつつも、ゆっくりと銃口をオルガに向ける。

 

オルガ「三日月、止まるんじゃねぇぞ……」

三日月「分かった。俺は前に進み続けるよ」

オルガ「…………ありがとな、ミカ」

 

次の瞬間、1発の銃声が響き渡る。

三日月はオルガを射殺

 

 

オルガの心臓が停止する。

世界が暁の時を迎え、眩い輝きで2人の体を紅色に包み込む。動かなくなったオルガを前に、三日月は何かを感じ取ったのか空を仰ぎ見る。そこにはただ、うっすらと朱に染まった青空がどこまでも広がっているだけだった。

 

 

 

『希望の華』は、もう咲かなかった

 

 

 

31話:三日月

・こうして鉄華団との戦争は幕を閉じた。

その後、『白鯨』総司令官エイハブは鉄華団およびソロモンの壊滅を宣言、世界から英雄として讃えられるようになる。ソロモンの消失により機能停止に陥った世界循環システムは、『白鯨』の用意した新たなるシステムへと移行されることでことなきを得た。これを機に『白鯨』は世界の調停者として台頭、(現実世界の国連または鉄血世界のギャラルホルンのように)各国が抱えるテロや国際紛争を終結させるべく積極的に関わっていくこととなる。

鉄華団の機体は散り散りになって逃亡、追跡は困難だった。ファントムレクスの残骸は『白鯨』によって回収、厳重に隔離された。そして戦犯であるオルガの遺体は極東へと運ばれた。

・ソロモン残党殲滅

命からがらソロモン本部の消滅から逃れたオーシンは、メルを始めとする僅かなソロモンの生き残りたちと共に逃走していた。メルは『白鯨』への投降を提案するが、オーシンはそれを良しとせずソロモンの再興を宣言する。部下たちもそれに同意を示し、新たな道が開かれる……かに思われた、その時

 

メル「そうか……フフフ、あはははははは!」

オーシン「何がおかしい?」

メル「茶番がおかしいのは当たり前だろう?」

オーシン「メル、まさか……貴様もか!?」

 

ついにメルが本性を現す。ソロモン崩壊の原因となった機密情報漏洩、部下の裏切り、そしてリヒャルトに情報漏洩の罪をなすりつけて尋問の末に殺害したのも、全て自分がやったのだと堂々自白する。その後、パイモンに偽装したウァサゴ量産型に乗り込んだメルは予め手を組んでいた極東軍の残党たちへ合図を送り、元凶であるオーシンがここにいることを伝えた。

 

メル「お前たちはもう救えない。無残にシネ」

オーシン「メル! 貴様ぁぁぁぁ!!!」

 

メルの言葉に憤慨するソロモン残党、まもなく現れた極東軍の残党と交戦状態に陥る。オーシンらは死にものぐるいで抵抗するも、極東軍による数の暴力と故郷を滅ぼされた怒りの前に押され、抵抗むなしくやがて一蹴される。

男はその場で射殺され、女は兵士たちに輪姦されたあげく殺害、オーシンは生きたまま全身を引き裂かれ、最後には首を刎ねられ、まるで神への供物かの如く天へ掲げられる。凄惨で血みどろの光景、ソロモンの最後を見届けた後、メルはその場を後にする。

 

・一方その頃、三日月

仕方がなかったとはいえオルガをこの手で殺めてしまったことで塞ぎ込み、1週間近く何も食べずに自室で閉じこもっていた。灯りもつけず薄暗い部屋の片隅で死んだようにうずくまる三日月、そんな彼の元へ、今日もご飯を届けるテッサの姿。いらないと断られつつも彼の側にトレーを置き、ついでにミドリから預かった『とある音声記録』の入ったレコーダーを三日月に手渡す。

テッサが部屋から立ち去った後、三日月は何気なくレコーダーを再生した。するとレコーダーからエイハブ(指揮官)の声が響き渡る。そして、彼の口から真実が告げられる。

 

・「全ては演習だった」

 

同時刻、指揮官は旗艦ピークォドのブリッジにc4メンバー(セラスティア、オスカー、ハインリヒ)と、そしてスロカイら必要最低限の仲間たちを集め、全ての真相を語っていた。

 

オルガ・イツカは最初から……正確にはソロモンの頂上で鉄華団の再興を宣言したあの時には、既にファントムの支配から脱却していた。今までファントムの中で生きたまま眠らされ続けていたオルガだったが、機械教廷での戦闘の際、オーシンがバアルの絶対命令権を強制使用したことでファントムのAIが沈黙、全てのシステムがシャットダウンしたことで、オルガの覚醒へと繋がる。

自分自身のコントロールを取り戻したオルガだったが、自分が既に取り返しのつかない所まで来ていることに気づく。ファントムに乗っ取られていたとはいえ極東共和国では罪なき多くの人々を虐殺し、一国を崩壊へと追い込んだ。さらにチュゼールの大地を核の炎で汚染した。自らが背負う罪の大きさは、今更謝ったところでとても償い切れるものではなかった。

……もう、戻れない

その事実に気づいたオルガは、ならばせめて、この世界に存在するたった1人の家族……三日月が安心して暮らせる世界を作るために、残り僅かな自分の命を使うことを決意した。(三日月のことを裏切るような態度を取ってみせたのは、自分と同じ道を歩ませては鉄血世界の最後と同様、また同じ過ちを繰り返してしまうのではないかという恐れがあったから)

 

そしてオルガは『世界の敵』となった。

 

手始めに、この世界に存在する最大の腐敗であるソロモンを一掃。ソロモンの息がかかった企業を跡形もなく消滅させ、さらにブリテン教皇を始めとするソロモンと深い関係を持つ各国権力者らを惨殺してみせる事で、自らの残虐性と強大さを世界に誇示した。これによりオルガ率いる鉄華団には世界中からヘイトが向けられることとなる。

 

そして自分がいなくなった後のことは、同じくソロモンという世界の巨悪に立ち向かった『白鯨』に任せ、自らは滅びの道を突き進む。先の会談においてオルガの意図を汲み取った指揮官は、彼の望みを叶える代わりとして、(世界終焉シナリオ『星喰らい』の再来に備えて)『鉄華団掃討作戦』という名の大規模な演習の場を提供してもらうことで合意、密約を交わした。

鉄華団やモビルアーマーとの戦闘で得られたデータから、指揮官は新たな戦術の考案、または空中艦隊およびウァサゴ量産型の改良に繋げることができたと語る。(そのため激戦だったにもかかわらず、指揮官率いる『白鯨』側は1人の死者も出ていない。)

地球の裏側まで狙えるハシュマルがあえて主要都市などではなく無人となったソロモン本部を砲撃したことも、鉄華団MSやモビルアーマー(プルーマ)が無人機を優先的に攻撃したのも、さらにフラウロスがダインスレイブの2射目をわざと外したのも、全ては『白鯨』側を『英雄』として世界から認めさせるため、最初から結果の見える戦いだった。

 

なので例え三日月がハシュマルを倒せなくても、そして吸収された際にオルガの提案に乗ることを選択しても、どちらにしろ鉄華団は壊滅する運命にあった。しかし三日月は、オルガの目論見通り自らの役割を十分に果たしてくれた。

 

他の誰でもない、大切な人からの『裏切り』

たった1人の家族に討たれる……

それが、オルガの最後の望みだった。

 

極東では『史上最悪の殺人者』として、チュゼールでは『核を撃ち込んだ狂人』として、そして人々からは『世界の敵』として……1人、後の世にまで悪名を背負い続けることになる。常人にはとても耐えられない重荷、それでも最後に三日月と決着をつけようとしたのは、彼の中に残りたかったから

 

『最高に強くてイキがっているオルガ・イツカ』

として

 

レコーダーの再生が停止し、機密漏えい防止の為のシステムが起動。自動的に音声ファイルが削除される。再び静まり返った部屋の中、三日月はテッサが持ってきた食事を口にする、ファントムから受け継いだ再生能力の恩恵で空腹を感じることはなかったが、今の三日月には食事を必要としていた。

食事を終えると、三日月は彼女へ感謝の意を示すかのように左手首に巻きつけられたルビーのネックレスを胸に抱く。そして、いつものジャケットを着込んだ。

内側のホルスターから(オルガから返して貰った)拳銃を取り出す。下がったままのスライドを元に戻し、安全装置を入れ、マガジンを装填した後、再びホルスターに収める。

 

三日月「ありがと、オルガ……」

そうして三日月は光の中へと歩み出すのだった。

 

『希望の華』はもう咲かない。

しかし、そこから零れ落ちた種は受け継がれ、新たな持ち主の元で新たなる解釈の下、新しい『希望』を開花させた。

 

 

 

機動戦隊アイアンブラッドサーガ

第3章ー完結ー

 

 

 

 

【解説】

・『裏切り』の本当の意味について

第3章のテーマであった『裏切り』

ひとことに『裏切り』というと、つい悪いイメージが頭をよぎってしまうものだ。しかし実際にはそんなに悪いものでもなく、むしろ日本古来の師弟関係において、弟子の師匠への裏切りは師弟関係における最終到達点であるとされていたりする。弟子は自分なりの考えを持ち師匠を裏切ることで初めて一人前となれるということだ。

 

師弟関係とは違うものの、本作ではその考えの元、三日月による『裏切り』=『オルガの討伐』となることを最終到達点としていた。過去の栄光も良い、だがそれに縛られてばかりでは人は前に進むことが出来ない

 

因みに、中国の師弟関係は完全にイエスマン(全肯定)である。『孔子』がその良い例だ、あれは結局、師匠の言葉を弟子が一字一句そのまま語り継いでいるだけ。普遍的な教えではあるものの、それ以上の発展がない→過去の栄光に囚われているようなものではないか? 果たして本当にそれで良いのだろうか?

 

 

 

・エイハブ(指揮官)について

アイアンサーガの真の主人公(=プレイヤー)であり、世界最強の傭兵部隊『白鯨』の最高司令官。戦術指揮や部隊運用に関する天才、多くの人を惹きつけるカリスマ性がある(関係者いわく、見てくれも良くて非常にモテるらしい)。3周目からは新たに、手を触れた相手と記憶や意識を共有する特殊能力を獲得している(ニュータイプのような)。この力を用いて多くの仲間たちとの絆を取り戻したことで、これにより2週目の世界線よりかなり早い段階で組織の拡大を果たすことができた。

ブースト能力により乗機の性能を100%向上させる特殊能力を持つが、ただしパイロットとしての能力は平均以下で、機体の操縦はベテランパイロットに任せて、後部座席からそれを補助するというやり方を取っている。

主な搭乗機は強化型ウァサゴG

 

 

 

・c4メンバーについて

『白鯨』において、総司令官であるエイハブの次に決定権を持つ4人の幹部。組織内では四重奏と呼ばれている。同列の存在ではなくそれぞれ出資額に応じた序列があり、数字が小さければ小さいほど組織内で高い発言力を持つ(上から順にセラスティア、オスカー、ハインリヒ)。

4人目については事情により欠員となっている。

元々は2週目における、指揮官の下で謎の存在を収容・研究するべく発足された『SCP委員会』内の最高意思決定機関「O5評議会」からきており、3週目となる現在はその流れを汲んでいる。

 

 

 

・3週目の世界について

本作、アイアンブラッドサーガは実は3週目の世界線という設定だったりする。つまり1周目と2周目という失われた時間軸の上に成り立っている。

1週目はアイサガ本編、指揮官のいない世界線で世界統一がなされることなく、異世界からの来訪者への(お友達ごっこに夢中で)対策を怠ったことで、物理法則や環境のバランスが崩壊、地球全土が現実改変を誘発する低ミーム空間の温床となり世界滅亡に陥った。

2周目は指揮官の魂とSCP-169-IS『ノアの箱舟』が共鳴したことによって生み出されたパラレルワールドが舞台。(早い話が、ムジナがこれとは別に書いているアイサガ外伝系作品のこと)

規定現実に蘇った指揮官による世界統一が行われ、世界滅亡の運命を回避するべく、来訪者への対策が行われた世界線。さらに機動部隊や空中艦隊など創設により膨大な戦力を保有するに至るのだが、1周目の世界線で確定してしまった『来訪者』イベントが、想定していたよりも早く発動してしまったことで人類軍は準備不足の状態での決戦を強いられることとなる。『星喰らい』を前に手も足も出なかった1周目とは違い、開戦当初は善戦するも無尽蔵に増殖する敵の圧倒的な物量を前に人類は敗北、世界滅亡というエンディングを迎えることとなった。

(外伝『水の星におやすみを』では2周目の世界線が終わりを迎える前日の出来事が描かれている)

最終的に指揮官は とあるアノマリーの力を借りて大規模なタイムスリップを実行、土壇場で滅亡の運命を先送りすることに成功する。1匹の黒猫と共に過去世界へと降り立った指揮官は、これまでの経験と知識を活かし、そして新たに授かった能力を用いてかつての仲間たちを招集。今度こそ世界滅亡の運命を生き残るべく、キャプテン・エイハブを名乗り世界最大の傭兵組織『白鯨』を結成、全世界に対して覇を唱える。

そして本作、3周目の世界線へと繋がる。

 

 

 

・『メル』とは一体何者だったのか?

本作で度々登場する謎の男『メル』

アフリカではスロカイにハンニバルの設計データを提供し、ありもしないサボタージュをでっち上げてカーズを殺害し、ソロモンにおいては寝返り工作、機密漏えい、そしてソロモンの崩壊に大きく関わった人物。

その正体は……2周目の世界線で度々登場していたタヌキ型BM(ムジナ)のコピー体。識別番号は746、仲間たちからはイシュメール博士と呼ばれていた存在(分かりやすく言えば作者のアバターの暴力担当アバター)、それが3周目の世界線において姿形を変えて出現したもの。2周目の時点で異世界人の存在が世界崩壊に繋がることに気づき(『ムジナ・イシュメール事件』)それ以来、多くの異世界人もしくは異世界機体・異世界怪獣などを秘密裏に抹殺・破壊してきた。

いわゆる『異世界人絶対殺すマン』

イシュメール博士の存在と人格はタイムスリップにより2周目の時間軸ごと消滅したものの、全ての異世界人を抹殺するという執念により、3周目においてもある程度2周目の記憶を持っている。

一時期は指揮官(エイハブ)の元でc4メンバーとして活動していたものの、とある理由から脱退し、以降はスパイとしてソロモンファミリーの中へ潜り込み、対異世界実体専門のハンターとして暗躍、3周目の世界線においても多くの異世界存在もしくは異世界実体を規定現実に呼び込む恐れのある危険人物(カーズやリヒャルトなど)を暗殺・破壊してきた。

実は、第10話『バースデイ』において目覚める前の三日月(異世界人)に襲撃をかけたのもメルだったりする。しかし三日月とバルバトスが覚醒したことで暗殺作戦は失敗、次の襲撃を計画していたところを指揮官に止められる。

メルという名前の元ネタは、小説『白鯨』の作者であるメルヴィルからきている。指揮官(エイハブ)の活躍を見届け、それを記録する者という意味(名前が似てはいるが、猫娘のメルルとはソロモンに所属していたという以外で全く関係ない)

 

 

 

・『ファントム』とは結局なんだったのか?

→その正体はSCP−295−IS『ただのオブシダン』

(こちらも外伝が大きくかかわっている)

 

SCP−295−IS『ただのオブシダン』は、アイサガ内に登場する異常存在を収集・確保・研究するSCP委員会の活躍をレポート形式で描いた『SCP−IS』内に登場するアノマリーの1つ。

見た目は普通のオブシダン(豆戦車)と変わらないが、その正体は他者からの認識によって自由自在に姿形や性質を変えられる超危険な存在。しかしその性質に価値を見出され、本機は2周目における『星喰らい』との戦闘に投入されるも、激戦の末に破壊され亜空間を漂うこととなった。その後、タイムスリップの影響で3周目の規定現実へと漂着、機能停止状態となっているところをアフリカで発見され、ソロモンによって回収された。(メルがソロモンへ潜入したのも、回収されたSCP−295−ISを監視・可能であれば強奪するため)

その特異性に気づいたソロモンがSCP−295−ISを用いたさまざまな実験を行う中、時を同じくして某所より回収されていた『ジョン・ドゥ』(オルガの遺体)とSCP−295−ISの残骸がとある実験の中で突如として共鳴。SCP−295−ISはオルガを取り込み、オルガの残留思念から三日月の乗る『バルバトス』という最も彼の印象に残っていたモビルスーツの情報を抜き取り、ファントムとして新たに自身を生まれ変わらせたのだった。『ファントム』が『バルバトス』の外見に酷似していたのも、その為である。

 

つまりファントムはアイサガ世界のバルバトス(ガンダムではない)とは無関係。その後、ファントムは自身のことをLM08?バルバトスと認めたことで、ソロモンメンバーからゴエティア(古代兵器)の内の1機として認識的な擬態を果たしていた。

 

当初、ファントムに他者の能力をコピーしたり吸収する力はなかった。生まれたばかりのファントムは圧倒的なパワーと野獣の如き俊敏性を兼ね備えた、まさしくパイロットであるオルガが認識していた『三日月×バルバトスという最強の組み合わせ』を再現したものだった。しかし単純な強さのみで特筆すべき特殊能力もなく、なので組み合わせで次第では簡単に打ち倒せる存在であった。(実際に、日ノ丸では三日月に追い詰められ、極東共和国では極東武帝に一度破壊されている)

オルガの認識だけでは力不足であると判断したSCP−295−ISは、そこで周囲の認識を利用することにした。自身がゴエティアであるとソロモンファミリーが認識していたことでFSフィールドを獲得、さらに何度もソロモンの施設から脱走してみせることで「人間の手には負えないシロモノ」だとアピールし強大な力を持っていると認識させることで、ファントムは自身の強さを固定させていった。

そしてゼオライマーとそのパイロット及びコアをベカスたちの目の前で残虐に捕食して見せたのも「捕食したことでその能力を得たのではないか?」と周りに認識させることを目的としたファントムなりのパフォーマンス(演出)だった。極東共和国で影麟やベカスをあえて殺さなかったのも、殺してしまったらその認識が外れて弱体化してしまうからだった。

その能力はゲッターロボ襲来の際にも上手く機能し、後にファントムはゲッター線の能力をコピーすることに成功したのだった。

 

唯一の弱点は、周囲からの認識がなければ強くなれないということ。それは逆に言えば、「周囲がSCP−295−ISを弱いと認識すれば認識するほどファントムは弱体化する」ということ。3章で『白鯨』がソロモンに対して宣戦布告、一方的な虐殺を行ったのは「ファントムは強い」と認識しているソロモンファミリーを1人残らず殺害することで、ファントムの強さをオルガの認識に頼るまでに弱体化させることが目的だった。

その後はSCP−295−ISの力の源である「他者からの認識」の対象外となるAI(無人機)を搭載したウァサゴ量産型による飽和攻撃でSCP−295−ISの無力化を図っていた。(ベカスなどの味方に対しては、記憶処理を行ってファントムに関する記憶の消去または改ざんが検討されていた)

 

先ほど言ったように、ファントム=アイサガ世界のバルバトスではない。つまりゴエティアではないので、バアルのトライアルシステム(全ソロモン機への絶対命令権)は本来効くことはなかった。しかし、SCP−295−ISは自身を強化する(FSフィールドを手に入れる)ために、自身がゴエティアの内の1機であるとアピールしたことで、ソロモン内でファントムはゴエティアであるという認識が広まってしまった。それにより、バアルの絶対命令権も当たり前に効くのだという認識が紐付けされてしまい、結果的にファントムはソロモンの管理下に置かれることになった。(これは完全にSCP−295−ISの誤算だった)

因みに、ソロモンはファントムがコピーした次元連結システムやゲッター線の技術を抽出しようとして絶対命令権を行使するのだが、ソロモンに潜伏していたメルのサボタージュ(命令コマンドの改ざん)などにより、ソロモンへの異世界技術の流出は阻止されていた。

 

それが致命的となったのは3章における機械教廷での死闘。バルバトスを中破させ、三日月に勝利したファントムがそのままトドメを刺そうとした時、突然ファントムの中に眠っていたオルガ・イツカの意識が蘇りSCP−295−ISの行動に抗うような素振りをみせた。しかしSCP−295−ISにしてみればいつもの事なので、今回も押さえつけようとしていた。

しかし、バアルのマスターであるオーシンが功を焦ったことにより絶対命令権を発動したことで、それどころではなくなってしまう。徐々に再生しつつあるオルガの意識を封じ込めることに必死なのに、バアルの絶対命令権が邪魔をする「絶対命令権を優先すればその隙にオルガに機体の制御を奪われる」しかし「オルガを押さえつけなければ絶対命令権に背くことになる」という矛盾にも似た決断を迫られる形となり、SCP−295−ISの思考回路はショートしてしまう。

結局……ファントムは三日月を殺すことが出来ず、そしてオルガに機体のコントロールを乗っ取られてしまうという結末を迎えたのだった。

 

 

 

 

・『バルバトス』と『ファントム』の関係

「お前もバルバトスなの?」

第10話ラスト、ファントムとの初戦闘時において三日月が発したこの言葉。先に述べたように、ファントムの姿形とスペックはSCP−295−ISがオルガの残留思念を読み取ったことにより形成された、いわば三日月の分身とも呼ぶべきものである。

……なのだが、実はそれだけではない

 

そもそも、なぜファントムは三日月に対して執着していたのか?また、SCP−295−ISは単騎で世界を滅亡へと追い込むほどの力を持っていた。にもかかわらず、2週目の世界線で『星喰らい』の襲来があった際にいとも容易く撃破されてしまったのは何故か?

 

事実はこうである。

2週目の世界線において『星喰らい』の侵食からギリギリのところで(収容サイト07)より回収されたSCP−295−ISだったが、その一部分が亜空間(ヴォイド空間)へと落下してしまったことで、実戦投入された際に完全な力を発揮することができなかった。それによりアフリカ戦線において戦闘の最中機能停止に陥り撃墜、一部分と同様に亜空間へと落下してしまった。

亜空間を漂っていたSCP−295−ISはタイムスリップの影響を完全に受けることなく(搭乗していたパイロットの影響により)、そのまま2つに分かれた(一部と大部分)状態で世界崩壊前の場所に出現した。大部分は戦場となったアフリカ大陸に、そして一部分はサイト07(2週目の世界線においてSCP−295−ISが収容されていた場所)があった大陸中央部に

その後、大部分の方は規模が大きかったこともありソロモンによって回収された。(白鯨側も認知していたが、まだ結成間も無く確実な収容が見込めなかったことからスルー)

その際、ソロモンに潜入していたメルの調査によって回収されたSCP−295−ISが完全体ではないことが明らかになり、メルは異世界人の排除をする傍ら残る一部分の捜索を開始する。

その頃、大陸中央部に出現したSCP−295−ISの残る一部は、その能力を用いて大規模な空間震を引き起こし、それによって出現する異世界からの漂着者と融合することで、自律行動する力を得ようとした(人のいない辺境の地だったこともあり)。

その漂着者というのが、他ならぬ三日月だった。

 

時を同じくして空間震の存在を探知したOATHカンパニーは、現場にミドリら調査隊を派遣し、そこで謎の白い大破した機甲(バルバトス)と身元不明の少年(三日月)を発見することとなった。

遅れてソロモンに潜入していたメルも空間震を察知し、その原因がSCP−295−ISの残る一部によるものだと結論づけ、SCP−295−ISの回収および漂着者(三日月)の抹殺のために部隊を派遣した……

そして第10話の回想へと繋がるのである。

 

つまりバルバトスもまた、SCP−295−ISという異常存在(の一部)が、漂着した三日月の思念を読み取って作り出したものに過ぎなかったということ。

(=完全にオリジナルの鉄血バルバトスではない)

ただし一部分だけということもあり、大破したバルバトスと三日月の体を依代にしなければ形を保つことが出来ず、そのため宿主の体が欠損した際にはモロにその影響を受ける(かすり傷程度なら一瞬で完治するが、神経が切断される程の重症には対応できない)。

さらにその力はファントムに遠く及ばない。あちらがルプスやレクスといった強化形態で再生能力も殆どフルに使えるのに対し、三日月の操るバルバトスは未完成な第4形態を中心にアニメ第1期の武装しか使用できず、再生能力も低レベル。

また、非戦闘時には機体の損傷が勝手に修復されることや、亜空間のストレージから武装を取り出すという鉄血世界のバルバトスにはないオリジナルの能力を持っていたのも、そのSCP−295−ISが憑依していたからである。

ファントムが執拗に三日月のことを狙っていたのも、正確には三日月ではなく三日月の中に存在するSCP−295−ISの残る一部分を吸収するための行動だった。

(そのため三日月を取り込んだことで一時完全体となった際のファントムオルガは、テッサやベカスそして白鯨艦隊を一蹴できるほど超強化されていた)

 

 

 

・なぜオルガがファントムのパイロットに?

いくらソロモンとはいえ、これまで世界を裏で牛耳っていたということもあり、優秀なパイロットを何百人も抱えていた。それなのに何故、オルガだけがSCP−295−ISもといファントムのパイロットとして選ばれたのか?

いや、マスターシステム云々の話ではない

(SCP−295−ISは周りにゴエティアであると認識させているだけで、実際には搭乗者を選ばない規格であるため)

 

その理由が2つ……

→ファントムのコックピットについて

SCP−295−ISがソロモンによって回収された当時、機体のコックピットは異様に小さかった。それこそ身長30センチメートルほどの人間しか搭乗出来ないほどの……

これは前のパイロットの存在が大きく影響しており、当然のことながらソロモンの中でSCP−295−ISに乗り込むことが出来る者などいなかった。

→オルガの不死性について

三日月と同様、オルガは氷に覆われた身元不明の遺体(ジョン・ドゥ)としてアイサガ世界に漂着し、ソロモンによって回収されていた。CTスキャンによる解析の結果、生前の彼は背後からの複数の銃撃を受け、それが致命傷となって死亡したことが明らかとなった。しかしながら、異世界オルガの設定でよくありがちな『オルガの不死性』(=希望の華)により、心臓は停止していても脳波だけは常に生きている人間とほぼ同じくらい観測されていた。

 

勘のいい読者ならこの時点で既にお気づきだろうが

 

何が言いたいかというと、詰め込んだんだよ。

ソロモン側にしてみれば、よくある実験の1つに過ぎなかった。SCP−295−ISの起動実験と称してオルガの体をバラバラに引き裂いて、ブロック状に切り揃えたそれらを狭いコックピットの中に無理やり押し込んだ。こうすることでようやく、SCP−295−ISはオルガの残留思念を読み取ることができ、その外見がバルバトスに酷似した『ファントム』として形成されることとなった。

 

これは明らかに死者への冒涜だった。

その不死性から道具のように扱われ、生きたまま全身を切り刻まれ、老人たちの私利私欲と知的好奇心のためだけにその存在を利用される……当然のことながら、そこにオルガの意思など介在している筈もなかった。

 

オルガはソロモンに怒ってもいいと思う

 

 

 

・【今後について】

第4章

①日ノ丸降下作戦(『白鯨』)

②神皇による『玉音放送』

③『白鯨』によって高橋重工が制圧される

④オルガ・ファントムの復活(機能制限付き)……?

⑤エイハブの推薦で三日月たちはA.C.E.学園へ

 

数ヶ月後……

 

⑥『星喰らい』襲来

⑦オペレーション『アイアンブラッドサーガ』発動

 

⑧オルフェンズ、ソラへ……

 

END




ところで電撃文庫のロボットのセンスなんとかなりませんかね?(唐突なレス) 86はメカに個性がなくてつまらんし、ヘビオはマジでクソダサ(個人の感想です)
やるきあんのかコラ

まあまあまあ……
ところで水星の魔女、凄いですねアレ……!
視聴者の予想を良い意味で裏切る展開の数々、学園と戦争という日常と非日常の緩急も素晴らしい、そして何よりもスレッタ×ミオリネ=微笑ましい百合展開(→からのトマト汁)……と最初から最後までドキドキとワクワクが止まらない作品でした。これから第2期もあるとの事なので、いやぁ非情に楽しみですねぇ……
(どうか鉄血の二の舞だけは勘弁して)

それと『鉄オルG』について
満を持してリリースしたとはいえ、最初は本当に酷かったですよね。ゲームバランスおかしいし、バグがあまりにも多い、そして何よりメンテが地獄でしたね。あとガチャも酷かったですね私なんて機体ガチャを70連くらいして、1個もSSRがでなくて盛大に爆死した時は正直スマホを投げたい気分になりましたが……
(newガンブレじゃないんだからさぁ)

それを耐えて今に至ると……
まあ多少は良くなりましたね。ガチャ確率も改善されて(天井は相変わらず遠いが)強い機体やキャラが手に入りやすくなった事で、それによってゲームバランスもある程度克服することができ、そして馬鹿みたいに長くて高頻度だったメンテも少なくなり(でもガチャのメンテってなんですかね? 前代未聞なんですが)、ミッションの報酬も追加があったことも含めて(でも達成報酬が未だにダイヤ5個のままって……)多少は遊びやすくなりましたね!

ん……いうてそんなに改善されてなくない……?
(ダイヤ300個でガチャ1回なのに、5個って……)
→感覚が麻痺してるっぽいです

しかしながら『ウルズハント』は最高に面白いですよね!
これまた先の読めない展開の数々で中々いい感じでした。最近だと、とくに598たちとの共闘と、レンジーが仲間になってアスモデウスに乗ったところで凄く熱くなれました。(ネタバレごめん)

ところで、未だにウィスタリオの声がダメ・クソって言う人がチラホラ見受けられますが……私に言わせればその人たちは負け犬です(あくまで個人の感想です)。ガチャでウィスタリオ当てられなかった腹いせで叩いているだけの、悲しい人たちなのです。

何が言いたいかというと……
私は当てたぞ、ガチャでSSRウィスタリオを……!

もうこの子には、この声しかない
声優は生駒里奈さんで正解だった!
まあ生駒さんも初心者なりに頑張っているみたいなので、ちゃんとウィスタリオの声を聞いてあげて下さい。それに何回も声を聞いていれば耳が順応してきますし……ウィスタリオの性格に声が意外と合ってるのよ。



最後に、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
これ以降、ムジナはアイブラサガとアイサガ外伝の執筆は絶対に致しません。しかし、これからも執筆活動は続けさせて頂きたいと思いますので、宜しければ別の作品を見ていただけると嬉しいです。
それでは、また……

アイサガで貴方の好きなキャラを教えてください。(回答はこちらではなく気軽にコメントの方へお願いします)

  • 境界戦機もっと流行れ
  • 鉄血・ブレットもっと流行れ
  • 水星の魔女×鉄血のオルフェンズ?
  • あと、アイサガのエンディングも作ります
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