やはり自分の作品に興味を持ってもらえるってのは、中々嬉しいものですね。
拙い文ですが、これからもよろしくお願いします。
今回のは特に駄文なので何卒ご容赦ください。
チュンチュンと雀の囀る音が聞こえてくる。
「…朝か。」
ベッドから体を起こし、カーテンを開ける。眩しい光が俺の目を焼くと共に、雲一つない青空が広がっていた。
「しかし目覚ましを使わずに起きれたのは久しぶりだな。」
相当緊張しているのだろう。昨日も興奮やら不安やらで中々寝付けなかった。俺は遠足前日に眠れない子供か。子供だったわ。
そんな事を考えながら洗面台に向かい、顔を洗う。脳内で自分に対してツッコミを入れられるんだ。緊張はしているが動けないって程でもない。寧ろ、諦めの気持ちが強いのか楽しんでいこうという自分がいる。きっと大丈夫だ。
「おばあちゃん、応援しててな。」
仏壇に向かい、額縁に飾られている祖母の写真に話し掛ける。心なしか、いつもより笑っている様に見える。気のせいか。
そのまま朝ごはんを食べ、歯を磨き、制服に身を包む。
「じゃ、おじいちゃん行ってくるね。孫の見事な負けっぷりをテレビの前で見といてくれ」
まだ寝ているであろう祖父に対し、そんな言葉を残して家を出る。外に出た途端、五月特有の生温い風が吹いた。
そんな風に行ってらっしゃいと言われた気がして。
「…よし!」
自分の頬を叩き、気合いを入れ、俺は駅まで走り出した。
今日は体育祭。俺たち
初陣だ。
「うぉー!緊張してきた〜!?」
「俺、この二週間言われた通りに練習してきたが大丈夫かな…」
「私結構個性上達したよ!もしかしたらいけるかも知んない!」
「せめて2ndステージには行ける様に頑張るわ。」
「まぁどうせ勝てる訳ないんだから、気楽にいこうぜ〜」
控え室に着くと、もう殆どの人が集まっていた。皆早くね?俺今日6時に家出たんだけど?
「よっ!障助!おはよう。遅かったな。」
「あぁ木津か。おはよう。お前らが早すぎるんじゃねえか?」
「まぁ皆緊張して、寝られなかったんだろう。」
「おぉ心操。いつもに増してクマがすごいことになってるぞ?」
「……」
「おはよう不和。今日も平常運転だね。」
近寄ってきた幼馴染達と挨拶を交わし、控え室を見渡す。
緊張を紛らわす為、声を大にして叫ぶ者。
個性練習が上手くいってるか不安な者。
逆に個性練習が上手くいって自信を持つ者。
せめてどこどこまでは…と目標をたてる者。
勝てる訳がないと、皆を落ち着かせる者。
人によって様々だが、やはり前例が無い分、皆不安なんだろう。こればっかりはしょうがない。誰でも初めてってのは、怖いし緊張する。俺だって力を入れないと脚が震えてしまう。
『ーーーーーーーーーーー!!!』
外から大歓声が聞こえてくる。大方、A組が入場したのだろう。そろそろか。
「よーし皆、そろそろ入場だ。その前にちょっといいか。」
外の大歓声を入れ聞いて萎縮してるクラスの奴らに声を掛ける。
「始まる前にあれこれ言うとあれだから簡潔に言うわ。
思いっきり空振っていこう。」
俺の声が控え室に響く。
「たとえ当たらなくても、あぁ
皆の拳に力が入る。顔つきも変わった。
「
頭が、火を付けたエンジンの様に熱い。気分がグングン高まっていく。
「よし!一年C組、いくぞ!」
『オォー!!!』
さぁ始めよう。俺たちの戦いを。
「選手宣誓!!選手代表、爆豪勝己!!」
おぉ、18禁ヒーローのミッドナイトだ。相変わらずエロいな。子供に見して大丈夫なのか?
「……」
「イテテっ!?」
不和が俺のケツを抓ってくる。女の人って視線に敏感なんだな。でもあれは反則だろ。健全な男子ならついつい見ちゃうでしょ。
「せんせー」
そんな事をしてると、ツンツン頭が朝礼台に上がり、選手宣誓をする。あいつ爆豪勝己って言うのか。初めて知った。
「俺が一位になる」
「絶対やると思った!!」
爆豪に対しブーイングの嵐が巻き起こる。
え?え?あいつ凄いな。自信過剰どころの話じゃないだろ。
「せめて跳ねの良い踏み台になってくれ」
クソムカつくなあいつ!誰が踏み台じゃボケェ!大方合ってるから全然言い返せねぇし!っといかんいかん。弱気になるな俺。こいつらを見返すんだろ。
「さーて早速第1種目いってみましょう!毎年ここで多くの者が
主に俺たちがね。
「運命の第1種目は〜コレ!障害物競争!!」
モニターに大きく障害物競争と出てくる。良かった。これなら作戦を活かせる。あとは…
「我が校は自由さが売り文句!フフフ…コースさえ守れば〝何をしたって〟構わないわ。」
よし!
「きいたか、皆。コースさえ守れば何してもいいってよ。作戦通りにいくぞ。」
「わかった」
「よーし」
「了解!」
「さぁ位置に着きなさい…」
ゲートが開き、スタート信号が点滅する。多分きっと最初は…
『スタート!!!』
「グッ…!」
スタートの合図が鳴った途端、足が凍りついて動かなくなる。
やはり氷結がきたか…だが!
「体川!!」
「任せろ!」
体川が手を強く擦り、氷を触る。全てを凍てつかせる氷はあっという間にちょうどいいお湯に変わった。
自分の体温と触れたモノの温度を同じにすることができる!
彼といれば冬でもあったかいぞ!
やはり体の一部の温度だけでも移せることが出来たらしい。
この二週間で自分の個性の出来る範囲を調べておいてくれと言った甲斐があった。
「金子!」
「よしきた!お前ら全員…」
耳を塞ぐ。C組以外の奴は何やってんだという目で見てくるが気にしない。
「『動くな!!!』」
「!?」
彼の声を聞いてしまった人は、まるで金縛りにあったかの様に動けなくなる。
彼の言葉を聞いてしまった者は行動を制限されてしまう!
制限される行動は、彼の発した言葉に左右されるぞ!かなりの強個性だが、自分は必ず声が聞こえてしまうため、彼自身も個性にかかってしまう!使い所には気をつけよう!
「なんだコレ…!?」
「体が…!」
他の普通科はほぼ行動不能にできた。ヒーロー科は…B組は何人かいるが、A組は殆どのいない。ベルトつけている奴と透明な奴だけだ。やはり、向こうのほうが一枚上手か…。
「足遅い奴はどんどん先行って!飛石!金子と不和を担いで走れ!」
「オッケー。よいしょっと」
「すまん助かる!」
「……」
二人を担いだ彼は、ものすごい速さで走って行く。
ものを持った状態に限り、脚がとても速くなる!持つものが重ければ重い程、それに比例して脚の速さも上がっていくぞ!
ただし、身体能力が上がる訳ではないため、個性を扱うためには物を持つための筋力と長時間走るための体力が必要だ!頑張れ!
本来の作戦は、金子がスタート直後に個性を発動し、皆を止めた後、飛石が固まっている金子と腕のことがあり速く走れない不和を持ってトップへ…という感じだったんだが、そう簡単には勝たせてくれないらしい。
『さぁいきなり障害物だ!まずは手始め…』
どうやら先頭が障害物のある所に着いたらしい。遅れて俺たちも追いつくが…
『第1関門 ロボインフェルノ!!』
入試の時にあった仮想敵がウジャウジャいる。まじかよ…だから対物戦は苦手だといってるだろ。金子はまだ個性発動したばっかりだからインターバルがあるし…1、2、3ポイントは何とかなるが、0ポイントはどうしようもない。早速詰んだか?
「あいつが止めたぞ!あの隙間だ!通れる!」
ふと顔を上げてそちらを見ると、先頭の奴があの0ポイントロボを凍らしていた。まじか。
「やめとけ。不安定な状態で凍らせたから」
グラッとロボが傾く。
「倒れるぞ」
もの凄い地響きを鳴らして、ロボが倒れてきた。あぶねぇな!普通に死ぬぞコレ!
『1ーA 轟!攻略と妨害を一度に!こいつはシヴィー!コレはあれだな!もうなんか…ズリィな!』
クソ、やっぱりA組か…
「おい!だれか下敷きになったぞ!」
「死んだんじゃないのか!?死ぬのか!?この体育祭!?」
え?本当に死ぬの?嘘だろ!?
「死ぬかぁ!」
そんな、死ぬ可能性がある体育祭に戦慄していると、ロボの中から人が出てくる。どういう個性だ?見るからに…自分の体を硬くする系か?あ、もう一人出てきた。あいつら個性ダダ被りじゃん。
「いいよなぁあいつらは…。潰される心配ないもんなぁ」
「とりあえず俺たちは一時協力して道をひらくぞ!」
そう言ってヒーロー科の奴らが主導でドンドンロボを壊していく。俺たちは…どうするか。
「おい障助どうする?俺たちこのままじゃ…」
クラスの奴らが不安そうに声をかけてくる。
…仕方ない。とてもヒーロー科志望がやることじゃないが、背に腹は変えられないか。
「俺に考えがある。」
「オラオラ、クソロボット供!こっち来い!」
広場を駆け回り、ロボット供を挑発する。
『標的発見!ブッ殺ス!!!!』
なんかブッ殺スの部分だけ強くない?俺の気のせい?
まぁいい。俺の安っぽい挑発に乗ったのか、複数のロボが追っかけてくる。お陰で道が空いた。クラスの奴らにはそこ通って先に行けと伝えてある。木津や心操もいるし、統率の面では大丈夫だろう。
かくして、俺はクラスの勝利の為、皆の犠牲となったのだ……
まぁそんないい奴じゃないんだけどね、俺。
スタートから遅れちまった今、形振りなんて構ってられない。
強く想う
全てはヒーローになる。その為に。
「そーら、お届けものでーす!」
「うお!?こっち来んな!?」
近くにいたヒーロー科の奴に、ロボットを押し付ける。
いわゆるゲームでいうタゲ移し行為だ。やり過ぎると友達無くすからやめようね?ソースは俺。
作戦は成功し、ロボは標的をそいつに変えた。そのまま俺は第2関門に向かって走り出す。随分と遅れちまった。あいつら大丈夫かな?
「障助の奴、大丈夫かな…」
障助の囮お陰で無事に第1関門を突破し、あたし達は底が見えない崖に細いロープが吊るされた第2関門、『ザ・フォール』に来ていた。
「さぁ…でもあいつが言ったことだし、何か考えがあるんだろ。そんな事よりもコレどうすんだ…?底見えないんだが…」
「そんな事って…そりゃないだろ心操。あたし達の為に囮を買って出てくれたってぇのに」
「あいつなら大丈夫だと思って言ってんだ。お前はいつもあいつの事になると頭まわんなくなるんだから。もう少し信用してやれよ」
「グッ……そうだが」
しかし心配だ。あいつの個性は対人には物凄く有利だが、ロボ相手には全く効果を発揮しない。本当にどうするんだろうか。まさか本当にあたし達を行かせる為だけに、自らを犠牲にしたんじゃ…あいつならあり得る。今からでも戻ろうか。
『木津ちゃん。もう大丈夫だよ!』
過去の昏い記憶が呼び覚まされる。
だってあの時もあいつは自分を…
「おい。」
「!?」
不意にかけられた心操の鋭い声に、昏い思考の海から引きずり上げられる。
「ボサッとすんな。障助がいない今、俺たちでクラスの皆を纏めないと行けないだ。しっかりしてくれよ。」
「…そうだな、悪かった。」
そうだ。今はあたし達がリーダーだ。しっかりしなくては。
「ったく、世話の焼ける奴だ。あいつにうつつを抜かすのは構わないが、今は勘弁してくれよ。」
「べ、別にそんなんじゃねぇよ!」
本当だぞ!?本当だからな!?
「や、やっと追いついた…」
皆速いな。きっと木津達が迅速に指示を出したに違いない。
「しかしお前の個性って便利だよな。あんな細いロープの上も歩けるなんて羨ましいぜ。」
「まぁな。俺はコレくらいしか活躍できないから。」
「そういうなよ、安藤。自信持てって。」
歩く事に限り、どんな道でも安全に移動することができる!近くにいるだけで他人にも効果があるので、山登りの際、一緒にいてくれると心強いぞ!
しかし、第3関門は…コレまたきつそうだな。一面地雷原か。
踏んでも命に別状はないが、派手な音と衝撃がくるらしい。大丈夫かな。失禁しないように気をつけないと。
「こっからは各自で進んでいるらしいが…」
「まぁ集団だと不利だからな。体川や金子、飛石とかは木津達がゴールできるように他の奴らを妨害して回ってるぞ。なんでも、『俺たちじゃ2ndステージ行っても活躍できないだろうから』だそうだ」
「あいつら…」
「2ndや3rdからは戦闘系の競技が出てくる可能性が高いんだろう?まぁ木津や不和、心操にお前の方が戦闘に向いてる個性だし、個性抜きでも身体能力高いからな、お前らは」
「けど…」
「それにお前らが良い成績取れば、間接的に俺たちの活躍も目立つんだ。本当、頼むぜ?」
「あ、あぁ任せろ。」
「個性の効果はまだ残ってるだろうから、有効活用してくれ。じゃ、俺も妨害に混じってくるから。」
そう言って目の前の地雷を踏み抜き、自分諸共周りを巻き込んで吹っ飛んでいく。すげえなお前。
「本当は自分も勝ち上がりたい癖に…」
安藤も、金子も、体川も、飛石も、他のクラスの皆だって本当は勝ち上がりたいに決まってる。自分の手でヒーロー科を倒したい、そう思ってるに決まっているのだ。
そんな中、俺に、俺たちに任せてくれるなんて、
「頑張っちゃうしかないだろ!」
皆の気持ちを、期待を、想いを背負ってしまった。もう下手な事はできない。
「なんとか先頭に追いつかなくては…!」
何位までが上のステージに上がれるかわからない。
前には、皆が妨害してくれるとはいえ、まだかなりの人数がいる。何か、何か方法は……
ボンッ!!!っと一際大きな爆発が起こる。
何事だと後ろを振り返ると、緑谷が鉄板に乗って吹っ飛ばされているところだった。そのまま先頭二人を追い越し、一位に返り咲く。そんなのありかよ。
「クソ、ヒーロー科の奴らは一々やる事がカッコいいな!」
このままだと、皆の頑張りを無駄にしちまう。
こうなったら俺も、賭けに出るしかない!
そう、一気に抜かされたことを焦った俺は。
目の前地雷を思いっきり踏み抜いた。
個性の出し方やら、戦闘描写?やらを書くのって難しい〜!