座談会ではかなり充実した時間を過ごすことが出来た。1匹に対してあーだこーだ話し合ったり。まぁ色々したのだ。
「少し部屋で待っていろ」
そう告げられてセブルスに放置されている現状だ。セブルスの匂いがする空間に待機というのはある意味ご褒美でもあり拷問でもある。こんな空間で何もしないだなんて美学に反するよね。
眠ります。
セブルスの気配に包まれてセブルスと一緒に寝ている錯覚に陥りながらセブルスの夢を見るのだ、すやぁ!
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夢を見ていた。
私のお墓の前で泣き崩れるリリーやピーター、耐え忍ぶリーマスやセブルス、激昂するシリウスに、暗い顔のジェームズ。
なんて幸せなんだろう。
なんて素晴らしい光景なんだろう。
私のためを想って、私のために集まって、わざわざアメリカまで来てくれて。
そして悲しんでくれている。
私が居ない未来を想像して泣いて苦しんでいる。
苦しませてしまってごめんなさいという気持ちはすごく沸き起こってくるし、悲しんでる天使はまじで宗教だなと思うし、何より悲しんでくれている事が……とんでもなく幸せなのだ。
私の墓の下には私が埋まっている。
なんとも不思議でなんとも滑稽な話だ。
近親すぎる黄泉がえりの理由は未だに分からないけど、泣いている彼らの涙を拭うために私は蘇ったのかもしれない。
何よりハリーと一緒の日に生まれ直したし!
……ごめんなさい、リリー、ジェームズ。
あなた達二人が元気な内に会いにいかなくて。
本当は怖かったの。
私が居ない世界で、私が居ないことが当たり前になって生きるあなた達を見るのが、怖かったの。
家族に止められているという理由も相まって、私は怖くて足を踏み出せなかった。
通うならホグワーツ以外は嫌だと、私の母校はホグワーツだけだと思っていたからイギリスに行くことは決定していたけど。ズルズルと十一年も会いに行けなかったのは、私が弱いせいだわ。
愛しい私の友達。
愛してる、すごく、愛しているわ。
ちょっとばかり不服だけど、ジェームズとシリウスもよ。
私は皆に出会ってから、本当に毎日が楽しいの。
『私に影響を与えられた』と皆は口々に言うけれど、私だって影響を与えられた側だわ。
特別大事な友達。本当に。ほんっっとうに、大好きなのよ。
会いたい……。
今すぐ会って抱きしめて、この溢れんばかりの愛を捧げたいの。
みぞの鏡が教えてくれた。
私の本当の望み。
でも、何も予想外な事は無かったわ。
私が心の奥底で浮かんでいる望みは、私が全身全霊で祈っている望みと同じだもの。
愛してる。みんなに会いたい。
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「──エミリーッ!」
「今セブルスが私の名前を呼ぶ声が聞こえた気がした!セブルスの名前呼びは貴重すぎて脳裏に焼き付いたわ!?」
弾かれるように上半身を起こすと、肩を両手で掴んでいるセブルスがいた。黒衣は乱れ、呼吸は荒く、瞳には普段の鋭さが影を潜めている。まるで深い悪夢から飛び起きた直後の人間そのものだった。
「どっ、どうしちゃったの?何か嫌なことあった?大丈夫?」
「…っ、……はぁ……はぁ……っ!」
荒く息を吐いているセブルスは不思議なことに、私より寝起きのような表情をしていた。カタカタと震える手は、親を見失った子供の様にウロウロと宙をさまよっていた。
「お、ねがい、お願いだ……エミリー……」
「任せてセブルス、私ね、貴方のお願いならなんだって叶えてしまえるのよ」
「お願いします……お願いします……エミリー……お願い……もう、僕を1人にしないで……」
怯えていた。
祈るようなセブルスの姿に私の胸の奥は萌と罪悪感でぎゅっと締め付けられた。
いっ、愛おしい……!
「もう、もう、セブルスの事一人にしない」
「…………そう、してくれ」
「絶対に。約束するわ。貴方を一人にしない。寂しい思いをさせてごめんなさい」
そうよ、セブルスは依存体質の寂しがり屋なのよ。リリーとずっと一緒にいて、悪戯仕掛け人ともずっと一緒にいた。
そんな彼が、私も、リリーもジェームズも、ピーターも、シリウスも。友を一気に見失って寂しくなかったわけが無い。
貴方がリーマスやシリウスをそばに置かせたり、いつも共にいたのは、寂しがり屋だからにほかならない。
「僕は……っ!」
セブルスは吐き出すように言葉を零した。
「コワルスキーや、リリーが、無事ならそれで良かったんだ。でも……っ」
責める様に私を見る。
「お前が!……大事にする事はどういうことなのかを教えてしまうから」
「セブルス……」
「僕は卿と違って愛情とは何なのか知ってた。でも、大事にするって事は一切!何も!分かっちゃいなかった!」
叫ぶようなセブルスの慟哭を私は手を握りしめて聞く。
「コワルスキーがだいじなものをどうすればいいのか、もう、この身に染みるほど分かっていた。僕はっ、相棒だ」
「はい、相棒です」
「僕のちっぽけな世界に僕ら以外は要らない。でも、お前の世界はすごく大きくて……僕はお前の大事なものまで大事にしなければ、僕にしてくれたように、コワルスキーがするように」
話の順序立てもできないほどセブルスは心の思うがままに吐き出している。
その姿はなんとも珍しく、そして愛おしい。
「コワルスキー、コワルスキーお願いだ。僕を助けてくれ。僕のお願いを聞いてくれ。もう二度と、僕が名前を呼んでも無視なんてしないでくれ」
「えっ、私がセブルスの呼び声を無視したですって……!?そんな罪深いことをしたっていうの!?」
それはもう大罪が過ぎる。
「そうだ、大罪なんだ。だからコワルスキー──お前はハリーポッターを守るために、どうか暴れてくれ。お前ってだけで、全ての理由が上手くいく」
「えぇ任せて!私、セブルスのお願いならなんでも叶えるや!」
「……あぁ、知ってる、未来永劫変わらないだろうって事くらい」