第三課題が始まる。
夜という視界も悪くなる時間帯に敢えて課題を行うとこ。ちょっと良くないですね。
「ミリ、頑張ってね」
「ハリー、ありがとう。トム預かっててね」
「うん。大事に預かっておくよ」
ハリーに応援を貰って最後の課題の会場、クィディッチ競技場へ向かった。
クィディッチ競技場では草木が生えていて、ジャンプしても頭が出ない塀が出来ていた。6メートルくらいかなぁ。まるで迷路みたいだった。
「迷路の中にはあなた達のゴールを邪魔する闇祓いの方々や様々な妨害があります。なにか危険に巻き込まれて助けを求めたい時には、空中に赤い花火をうちあげなさい。外を巡回する私たちか闇祓いの方々が吸収します」
「「ミリは」」
「彼女は多分打ち上げられません」
マクゴナガル先生の説明にフラーとその他2名が手を上げた。
「ミリ・コワルスキーには──大声で叫んでいただきます」
「げ、原始的だ……」
「何かしらの道具を使わせても魔法がからめば出来ないことはわかっています。箒に逃げられる子ですよ?」
初耳ですと言いたげなビクトールの仰天した顔。
事実ですけどぉ?エミリーの頃からの現実ですけどぉ?箒はもう諦めたよ。私はドラゴンに乗るんだい!
「あの、ところでなんで頬にボーバトンの校章貼ってるのか聞いても?」
「私はフラーの応援をした」
「スコージファイ」
「ああ!!??私の一時間の格闘が!!!」
「ではそれぞれ持ち場につくように」
と、言うわけでまぁなんやかんや4人は違うスタート位置に運ばれたようで、フラー以外の位置は分からなくなっていた。
「一位、ミリ・コワルスキー!88点!」
第一課題が足を引っ張っていたから思っているより点差は出来なかったのだけど。
観客席の方ではハリーとハーマイオニーとドラコ、それから親戚席に、あ、ちょっと後ろにネビルとロンもいるや。同学年はだいたい同じ位置に固まってそうかな。
私がぴょんぴょん跳ねて手を振ると、皆が手を振り返してくれた。もちろんホグワーツだけじゃなくてボーバトンの美人さんたちやボーバトンのむさ苦しい男共まで。
「ではホイッスルが鳴ったらミリ!」
「はいは〜い」
ピッとホイッスルが鳴る。
第三の課題は迷路に置かれてあるゴールを掴んだものが勝ちで、スタートは得点1位から始まるようなの。
元々スタート位置は一緒になる予定だったらしいけど、何故かバラバラになったのはわけがある様子。
迷路は壁が高いからか暗く、防音の魔法のせいで歓声も聞こえなくなる。
「よし、この迷路が変化することも視野に入れて、ガンガン進みましょ」
杖なんて持ってたって使えないので私は代わりに手袋を装着する。
「魔法生物いるかな〜♡♡♡♡」
「残念ながら、いるのはお巡りさんだ」
「っ!!!」
魔法が私目掛けて放たれた。
間一髪で避けると視線の先には壮年の男が杖を持って構えていた。
「おっっと、闇祓いのお兄さん?」
「そうだ。君がマグル生まれだからマグル知識に詳しい私が選ばれた。ジョン・ドーリッシュだ。ギブアップを期待してるよ」
「アメリカのマグル舐めないでちょうだいよね……っ!」
Mr.ドーリッシュがステューピファイを放ってくる。ええい、イケメンには興味無いのよ。
「ちょこまかと……!」
私は彼の股下を潜り、そのまま股の下で立ち上がった。
「ぐ──ッッッ」
「ごめんあそばせ〜〜!!」
なんでも使って喧嘩するマグル式の喧嘩、魔法使いのお利口さんたちに見せてしまいますわ!
てわけで悶絶するMr.ドーリッシュを無視してさっさと進む。
ルーモスの光で本当は見るべきなんだろうけど、ルーモスは私多分あまり使えないので。
使えるようにはなっているけど時間がねぇ。
「なので走って進むしかないよねぇ」
とりあえず可愛い子の気配がする方向へ向かおうと思います。
実は私は必ず一着ゴールしなければならない理由がある。
『コワルスキー、お前が僕の相棒ならもちろん優勝するだろう?』
『もちろんよセブルス!!!!!』
こんなのもう優勝するしかないのよ。
「こっちに可愛い子の気配が!」
「うわぁ!?」
「えー!すっごく可愛い!ピンクの髪がすごく素敵ね、若いから新米の闇祓いかなぁ?ねぇ可愛いあなた、名前を教えてくれないかしら。私ミリ・コワルスキー!」
「ホグワーツからのイレギュラーな代表選手は元気な子だね。トンクスよ。推測通り今年闇祓いになったばかりなの。でも、学生相手にはちょうどいいかもね…!〝イモビラス〟!」
縛り上げられそうになったので私はその呪文を避けて手を取った。
すると驚いたのか彼女の髪色が急に変わる。ピンクから紫に変わったので目を見開く。
「素敵!髪色が変わるの?」
「そう、変装隠遁術は最高得点でね。七変化なの」
「素敵だわ、紫が似合うのね。ピンクも似合っていたけど青系統も似合うの最高の才能だわ、ねぇ、私の髪色とかにできる?」
「出来るけど」
「すごいすごい!うっっっわ、素敵。素敵という単語しか生まれないくらい最高だわ」
え〜〜!可愛い〜〜!!!
すっごく似合う〜〜!!
神様こんな可愛い天使に出会えたこの奇跡と課題に感謝します。
「トンクス!」
「エルファイアス!」
「トンクスから離れてもらおうか。エクスパルソ、爆発せよ!」
私は閃光を──掴んだ。
「ん?」
「え????」
「あいててて、エクスパルソみたいな攻撃魔法だとちょっと衝撃くるな……」
手袋から少し焦げた匂いがする。
手が痺れているのでブラブラと力を抜くと可愛い天使ちゃんと冴えない男は驚いた顔を浮かべている。
「な、なんで掴ん、だの?なんで掴めるの?」
「うーん。魔法生物って、ドラゴンやマンティコアの皮って殆ど魔法を通さず跳ね除けるんですよ。テボとかも姿を消す特性があるのに皮が丈夫で盾に使われたりとか」
私は手につけた装備品。手袋を二人と、そして観客に見せた。
「この手袋、マンティコアの皮を使っているので」
これはマンティがリームと喧嘩したときの産物です。貴重な皮だけど魔法薬には敵さないから許可取って手袋を作らせてもらったのよ。うちの子を身につけれるだなんて光栄。
「そ、それは便利だ!魔法生物の皮で防護服を作れば死者の数も減るのでは!?」
「いえ学生の制服にこそ使うべきよ!?」
「量産が難しい素材よ、現実的じゃないから別の方法を探してね」
言い争いを始めた二人を置いて私はフラーの所へ駆けつけようとした。
「あ、そうだ。七変化の可愛い人」
「え、私?」
「むしろ貴女以外に誰がいるの?そこのくたびれたゼェゼェ声のおじさんを可愛いと社会的に言える?」
「……言えないわね」
「でしょう。Ms.トンクスと言ったかな?Ms.トンクスって言うとアンドロメダ・ブラックの娘さん?」
私の問い掛けにMs.トンクスは驚いた顔をする。え、キュート。あまりにも可愛い。
「母を知ってるの?」
「もちろん。シシーとベラのお姉さんよね。きっと美しい方なんだろうなぁってずっと思ってたんだけど、Ms.トンクスがここまで可愛いのであれば期待は高まるかも。んふふっ、今度遊びに行きましょ〜。もちろん、貴女と私で」
「シシーとベラ……?誰…………」
「まさかナルシッサ・マルフォイとベラトリックス・レストレンジの事を言っているのか」
「もちろんよ。仲良しだもの。あぁでもシシーには近寄るなと言われてることをちゃんと伝えろって言われてたからなぁ」
シシーは私に事前に『いいですかミリ。貴女は私に近寄らないでください。──と、いう言葉を必ず私のことを話題に出す時に伝えるように。ちゃんとですよ』と会話していた。クリスマスの時にね。
多分立場を気にしてのことだろうけど、気遣い屋のところもだーいすき!
そういえばMs.トンクスもブラックの濃い血筋ってことは私とも親戚って事、よね!?最高だわ。
「〝ステューピファイ〟!」
道の先からもう一人やってきた。フランス訛りの闇祓いだ。
私はその呪文も掴んで投げ捨てる。
「愛しのフラー!今、貴女の愛(概念)が会いに行くわ!」
「は、え?なぜ掴んで」
「ステューピファイは正面から直に受けなければ、効かないって知ってるのよ!」
もうそのやり取りは終わったからさっさと撒かせてもらいます!
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「で、私から逃げられると思う?」
「ティナ伯母様には喜んで捕まりたいところ、かなぁ」
私史上最大の敵と対峙する。
「……ハリー?」
ふと、心の奥の深くて柔らかいところがざわめいた。
「伯母様、胸をお借りするわ」
何かの予感に私の心中は穏やかではないけれど、ティナ伯母様が美しすぎて心中穏やかじゃなくなって来ちゃったな。