─矛盾─   作:恋音

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5-3.不死鳥の騎士団

 

「ハリー!ロン、ハリーが居たわ!」

「知ってるよ、だってここハリーの家だぜハーマイオニー。寝惚けるにしては遅いんじゃないか?」

「そうだけど、だってハリーの両親が生きていたのよ?そんなの──夢を見てるみたい。もしかしたらあのダーズリー夫妻のところで過ごして居るんじゃないかって、ずっと思っていたの」

 

 我が家(リリーの住所)にお客さんがやってきた。ハーマイオニーが旅の荷物を持ってやってきており、ハリーの可愛い姿を見て大興奮だ。

 ハーマイオニーはぴょんぴょんと跳ねながらハリーに抱きついていた。

 

「ハーマイオニー、今日もなんて可愛いの。夏にも出会えるだなんて、まるで熱射病にかかって沸騰しているみたいで、これが恋……」

「違うわ」

「違いました……」

 

 その様子を呆れた様子で見ていたもう一人の客人がため息を吐きながら私の方を見た。

 

「で、何故コワルスキーがポッターの家にいるんだ?」

「ドラコ!きゃー、手土産を持っている姿も美しくて儚い……えっ、ちょっと儚過ぎない?大丈夫?普段の雪のような肌の白さが、白さ通り越して青白いんだけど」

「今僕がここにいることがめちゃくちゃまずくて胃が痛くてたおれそうだ。先に荷物だけあずかっててくれ……」

「どういう事か分からないけど、ドラコの頼みだから預かる。命に替えても。休める場所いる?案内しようか?」

「後でな、挨拶終わったら頼む」

 

 もちろん!ドラコの為なら世界中からシルクを集めたっていいし拘ってこだわり抜いた寝具を作成したい気持ちでいっぱい。気持ちに留めずに実行してもいいなら本気でするけど、流石に引かれそうだし遠慮しそうだから天使の精神負担的にやめておくわ……。

 

 

 

「あ、ロン、ネビル。こんにちは」

「軽いって」

「僕の存在見えてたんだ、良かった」

「オーガスタさんもいらしてたんですね。どうぞどうぞ、部屋に案内しますね。奥に素敵な部屋があるんですよ」

「あらありがとう、ミリ。ネビルと仲良くしてくれてありがとうね、三大魔法学校対抗試合お疲れ様」

「ありがとうございます!それにしても今日の服装とっても素敵だわ。オーガスタさんどこのブティックで買われてるの?」

 

 オーガスタさんとは去年のクリスマス以来かな?

 久しぶりの会話を交わしながら部屋まで案内すると、バタバタと他の人たちも集まってきた。ウィーズリー家と一緒に皆で来たみたいだ。

 

 そしてその中に一際輝く美しい、長髪をポニーテールにしている、あまりにも洗練された美がそこにあった。いや本当にあまりにも美しすぎる。

 

「こんにちはビル」

「こんにちはミリ」

「ふぅ……ちょっと待ってね、あまりの美しさに今私は理性を吹き飛ばしてしまいそうになっているから。二度目ましてでそれは無いって常識的な所が言ってる」

 

 燃えるように、美しくて。ダメだうつくしい以外の語彙が出てこない。儚さとは対極にある、生命力に溢れた力強い美しさだ。まかり間違っても儚いとは言えないのに、イケメンというジャンルではなく圧倒的な美でぶん殴ってくる。ビューティーのBはビルのB。あ、でもビルってウィリアムだからBは使わないか。ラブのLはウィリアムのL。

 

「ふふ、嬉しいな、君みたいな可愛い女の子にうつくしいって言ってもらえるなんて」

 

 

「……モリー!ごめん!この子産んだの私かも!」

「もしウチの子でミリが産んだとするならチャーリーだよ」

 

 何も否定出来ないや。

 ウィーズリー兄妹で一番私に似てるのチャーリーだもんね……。魔法生物という観点が。

 

「とりあえずビルに変態性を見せびらかしてしまう前にハリーに部屋の案内を頼むようにするわ。二度目ましてだもんね」

 

 うんうん。

 私の理性が勝っている間に早くこの美しさを手放すべきだ。

 

 すると横から来客対応をしていた友人が顔を出した。

 

「へぇ、君にそんな殊勝な心がけができるだなんて思っても見なかったよ」

「酷いわジェームズ、一旦黙って」

「お前に礼儀なんかあってたまるかよ」

「わかったわシリウス、グーチョキパーでどれがいいか選ばせてあげ──」

「プロテゴ」

 

 早いってば。最初は防御すぎる。

 

「よー、ミリ・コワルスキー!」

「元気してた?」

「はぁいフレッドジョージ。どっちがどっちか分からないから、どこかに違いを付けてほしいところだわ」

「服がちがうじゃん。それで見分けてくれよ」

「やだ、どうせ入れ替わるじゃない。そこにいるジェームズとシリウスもお互いのポリジュース薬飲んで入れ替わってたことがあるんだから、顔がそっくりの貴方達なんて薬を飲むまでもないじゃない。悪戯仕掛け人の双子は決まって入れ替わるのよ」

 

 あの時はジェームズがちょっとかっこよくなって女子にウケてたし(その代わりリリー(ほんめい)には白い目で見られていた)シリウスがナンパしながら鼻ほじったりするせいでモテなくなったりと、お互いに嫌なことをしあっていたらしい。

 

 らしいというか、私は勿論気付いていませんでしたよ?だぁって可愛くないもの。二人とも。

 

「そりゃいい話を聞いた。俺たちも入れ替わろうぜ」

「じゃあ今日から俺がジョージ」

「そして俺がフレッドだ」

「ん。さっきと名乗っている名前が同じじゃなかったか?」

「そうだったかもしれないな!」

 

 どっちでもいいよ。ニコイチなんだから。あと可愛くないし。

 

「食材は適当に置いておくよ。にしても、あぁリリー!ジェームズ!あんた達元気そうで何よりだよ!」

「モリーさん、お元気そうで何よりです」

「アーサーさん!相変わらずご夫婦仲良さそうで、安心しました」

「おおジェームズ…!良かったよ生きてくれていて。本当に良かった」

 

 リリーがモリーやアーサーと抱き合っていて、幸せそうだ。私たちの在学中はあの二人と被っていなかったと思うのだけど、あれかな、不死鳥の騎士団時代に出会って仲良くなっていたのかな?

 

「ミリ、何で貴女がハリーの家に我が物顔で既に居たのかだけ聞いてもいい?」

 

 少し遅れて家の中に入ってきた努力の天才プリティガールジニーが、ツンケンドンに腕を組んで私をキッと見た。

 

「ジニー♡なぁに嫉妬?可愛いね、愛おしいね。大丈夫、離れていても私にとってジニーは天使だわ」

「それは知ってるから、答えて?」

「ハリーの親として私も一緒にリリーと生活したかったからやっぱりほら、大事じゃない?」

 

 リリーとハリーと私で過ごす愛おしい日々。これは避けて通れない。

 久しぶりの再会だしね。幸せすぎるわ。

 

 するとビルを案内し終わったハリーが階上から現れてジニーに笑顔を向けた。

 

「ミリは一応僕の親ではないね。ジニーいらっしゃい、部屋用意してあるよ」

「ありがとう、ハーマイオニーとも一緒なら嬉しいな」

「そういうと思って一緒にしてる」

 

 一応親ではないわ。まだね。まだ。あともう少ししたらジェームズには退いて貰うから、まだ、ね。

 

「流石ハリー。歴代屈指の空気が読めない我が道を爆走する家の青い車みたいな存在の相手をしてあげているだけあるわ」

 

 ジニーが諦めたように肩を竦めている。その仕草ですら可愛いの何。

 

「そんなはた迷惑な存在がハリーのそばにいただなんて……ハリー友達になるなとは言わないけど、悪影響を受けすぎないようにね。ハリーはハリーだから」

 

「……。分かったよミリ。忠告ありがとうジニー」

「…………。ハリーったら、本当に大変」

「分かってくれる?助かってる部分も大きいんだけどね、あの自認家族」

 

 そうしてハリーはジニーの荷物を持って案内をしていった。

 

 

 

 今、この家には子供たちと不死鳥の騎士団が集まってきている。

 

 今の時点で私達悪戯仕掛け人の七人。

 ハリー、ハーマイオニー、ドラコ、ジニー、ビル、ロン、ネビル。

 フレッド、ジョージ。ウィーズリー夫婦、ロングボトム夫人。それからクリーチャー。

 

 クリーチャーに関しては、この家今は屋敷しもべ妖精が居ないから、シリウスが連れてきたみたい。『穢れた血がまぢ多い……遺憾の意……』みたいなことを言いながらキッチンへ消えていったから、表には出てこないでしょうね。後で差し入れでも持っていこう。

 

 あぁ、それからもう一組。

 

「や、お疲れ様」

「セドリック」

「元気そうだな」

「こんにちは、お邪魔しますね」

 

 セドリックとその親であるエイモスにディゴリー夫人だった。

 

「三人も、もしかして不死鳥の騎士団に?」

「まぁ、うちも無関係ではないからな。例のあの人の復活の現場を倅が目撃してしまったし」

「まだ学生だから僕は騎士団に入れないんだけどね。僕が居た方が、騎士団にとっても何かと役に立つかと思って」

「……セドリックよりチョウかフラーが居てくれる方が何億倍も役に立つんだけど」

「君にとってはね???」

 

 不満を顔に出して言えば、ディゴリー夫人はふふっと笑った。

 

「こんにちは、メアリー・ディゴリーよ。話は息子からよく聞いてるわ」

「こんにちはディゴリー夫人。名前でお呼びしても?」

「えぇもちろん」

 

 メアリーさんはセドリックに似ているような似ていないような、少なくとも彼の朗らかに笑う笑顔はメアリーさんに似ているのでしょうね。家族って仕草が似てくるものだし。

 

 これで招待した子供たちとその保護者は以上だろう。チャーリーパーシー辺りは仕事もあるから来れないらしい。

 

 

「コワルスキー、不死鳥の騎士団が到着する」

「はぁいセブルス。というかまだ来るの?」

「あと八名と一名だな。今のところは」

 

 セブルスは来客対応なんて好きじゃなさそうなので私が代わりに出迎えることになる。

 と言っても名前も分からないので、適当よ適当。そこまでピリピリした戦時下というわけじゃないから、クイニー母さんやニュート伯父さんがやってた秘密の合言葉みたいなのは必要ないみたいだし。

 

 

 

 そして箒で到着した騎士団の中に、私も知っている顔があった。

 

 

 

「トンクス!」

「あぁ、ミリ・コワルスキー!ホグワーツの代表選手の!災難だったね」

「トンクスの出会えた運命の日が最悪なことになんてならないわ!どうぞどうぞ、入って、リリーとハリーと「──僕の!」──私の!!愛の巣へ」

 

 えへへ、トンクスも騎士団だったのね。嬉しい。

 

「トンクスとその他大勢の皆さん、歓迎するわ。今日の夕食は私が腕によりをかけて作るのだけど、誰がいる人?」

「ミリ、それより先に自己紹介をしなさい」

「リーマス!」

 

 リーマスの指摘には従わなきゃ。

 

「初めまして、私ミリ・エミリー・コワルスキーというの。アメリカの魔女でドラゴン使いもやってる魔法生物学者よ」

 

 私の自己紹介に魔法使いの人達は微笑んだり頭を下げたり、様々な様子を見せた。そしてそれぞれが挨拶をしてくれる。

 

 言うまでもなく可愛らしい七変化の新米闇祓い。

 ニンファドーラ・トンクス

 

 ギョロ目の魔法使い。

 アラスター・ムーディ

 

 背が高い黒人の魔法使い。

 キングズリー・シャックルボルト

 

 ぽっちゃりしたハゲの魔法使い。

 エルファイアス・ドージ

 

 紫色のシルクハットの老人。

 デイーダグラス・ディグル

 

 素敵なストールを巻いた魔女。

 エメリーン・バンズ

 

 麦のような髪色の魔女。

 スタージス・ポドモア

 

 チークが素敵な黒髪の魔女。

 ヘスチア・ジョーンズ

 

 ……。

 うん。

 

 

「ごめん、トンクスから以下の名前が全然頭に入ってこない……」

 

 本当にトンクス以外好みじゃないから全然覚えられない……。

 

「せめてマッドアイ・ムーディ位は頭に入って欲しいんだけど」

「それはギリギリなんとか。あぁでもスタージス・パドモアは知ってるかも、ハッフルパフだったわよね?リーマス覚えてる?5年の時にハッフルパフの監督生だった人」

「……。ごめん、覚えてない」

「貴女まさか、いや、さすがに、えぇ……?」

「スタージスって呼んでも?」

「いいけど……」

 

 混乱した様子のスタージスは私を見て首を傾げていた。在学期間被ってるもの。ほぼほぼ同級生みたいなものだわ。あっちも私のこと知ってるみたいだし。

 

「スタージス、混乱は凄くわかるから、とりあえず後回しにしてもらえると助かるな」

「……あなたの学年、派手だったものねぇ」

 

 リーマスの苦悩顔が愛おしくて可愛い。

 

「あとはマンダンガス・フレッチャーが到着すれば全員かな……」

「マンダンガス程度なら先に始めていいだろう。俺は気に食わん」

「まぁそれもそうですね」

 

 リーマスの悩ましげな顔から察するに、マンダンガスという男はこまったさんらしい。ならいいか。

 

 

 

「では早速会議を始める。いつまでも玄関で赤子のように喚いてないで早く入ったらどうだ」

「セブルス、口が悪いよ」

「知らん」

 

 

 

 どうやら会議が始まるらしい。なんの会議かあまり細かく知らないのだけど、ピーターがいる事だし闇陣営関することなんだろうなぁ。

 まぁ、どうなっても私は愛しの天使たちの味方をするからね。セブルスの立場とか、ダンブルドアに開心術かけられても誤魔化せる技術は持ち合わせてるからね。

 

 

「あ、そうだミリー。ワーミーちょうだい」

「もちろん」

 

 私のポケットからピーターを手に乗せ、宝物を扱うようにリーマスの手に乗せた。

 

「ん? ネズミ? ミリ・コワルスキーは魔法生物学者だって言ってたからペットか」

「まぁそんなとこ、(私が)ペットなの」

「……。そうだね、君、(が)ペットだね」

 

 ピーターを受け取ったリーマスは、ピーターを襟元に乗せてトンクスを案内しながら私の前を歩いた。

 

 会議本部はポッター家の会議室を使うらしい。

 モリーが子供たちは降りてこないようにと警告をしている。ジョージフレッドが姿くらましでバシバシと参加したさそうにこちらを見ている。

 

 まあまあ、後で教えてあげれそうなら教えてあげるから。

 

 

 

「あ、()()

 

 扉を潜ったリーマスが最後尾の私を振り返って言った。

 

「今日のディナー、楽しみにしてるね。──じゃあまた後で」

 

 

──バタン

 

 

 目の前で閉じられた扉を前に、私は呆然と立ち尽くした。

 

 

「まぁまぁミリ・コワルスキー、落ち込む気持ちも分かるけど」

「未成年は騎士団に参加しちゃいけないんだってさ!」

「ったく、残念だ」

 

 フレッドかジョージのどちらかが私の肩に手をかけ、私の目の前でおどけて見せる。

 

 私は肩を震わせた。

 拳を握りしめる。

 

 

 

「……──リーマスが私のディナーを楽しみにしているって言ってたのよ!?こうしちゃ居られない、私、とびっきりのディナーを作ってくるから!手伝い募集中ね!!」

 

「「こういうやつだよホント」」

 

 えー、なんにしようかなぁ。モリーが材料を買ってきてくれたみたいだから、その中とこの家にある食材と私の手持ちを使って……。

 

「クリーチャー!クリーチャー貴方の手も貸して!とびっきりの作るわ!」

「おお穢れた血めが……クリーチャーに命じる……」

「お願いよお願い、さぁ、頑張るぞー!」

 

 晩御飯ができるまでは、愛しの友人に誤魔化されてあげましょう。

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