ざわざわと浮かれた声で溢れる中、可愛い子センサーを働かせながら周囲を観察するためき静かにしていた私は、その周囲に変わり者を見る目で見られた。
可愛い子、可愛い子、うん、あの人も可愛い人。あ、あの人も。えっ、待ってめっちゃ美しい男の人いた、緑のローブね、覚えた。いや待てよ、緑のローブ、めちゃくちゃ美形多いな! しかもイケメンじゃなくて美しい人ばっかりだ! 万歳!
私の世界はここにあった!
「じゃあ俺監督生だから別車両行くよ、好みの子を見つけても決して迷惑かけないように。というかむしろ声をかけるなって言いたい、無理だろうけど」
「ねェアベル、ちょっと心配し過ぎでは?私はこんなにも可愛くて普通の魔女見習いなのに」
「……エミリー、俺の事、好き?」
「あざとく言ったって私は分かっているからな! 丸め込もうとしてるんだろう! めちゃくちゃ好きですけど? 伯父さん譲りの赤茶色の猫毛とか頭撫でられると目を細めちゃう癖とか」
「ハイハイ知ってるって。じゃあいい子にしてろよ、鼻血止めてから」
「私の天使が可愛すぎ……」
苦笑いを浮かべて頭を撫でるとアベルは別の車両に足を進めた。彼の黄色いローブが
やっぱりハッフルパフは伯父さんの寮でもあるから憧れるな。それにアベルは昔から兄さんよりも兄的な存在だから、やっぱり尊敬してるし。
うん、いいなぁ。あの黄色。
「とりあえずコンパートメント探すか」
そう思ったけど、周りの視線がうるさい。新入生特有の私服じゃなくて制服だから先輩達なんだろうけど。
『あの鉄仮面が笑った』とか『一体何者だアレ、スキャマンダーの年下彼女か?』とか。少なくとも、アベルの評判が私の印象と全く違う事が分かる。
……学校でどんなことしてるんだろうあの従兄。
可愛いから許すんだけどね!
それに視線の中には綺麗なお姉さんとお兄さんがいるのも高評価です! 仲良くしましょう!
今は、心の中で思うことにする。
覚えたからな、絶対組み分け終わったら実行するわ。
「あー、席、席」
空きのコンパートメントはまずない。駅から出発してる事もあって、チラホラと先客がいる。
人がいる所に入らせてもらうしかないな。可愛い子が居たらいいな。
よーし!好みの子見つけるぞー!
「うわっ!」
いきなり止まったからか、後ろからの衝突につんのめる。
「わ、悪ぃ。大丈夫か?」
「あー、こっちこそごめん。怪我は無い?」
男の子の声だったので振り返ると黒髪黒目の美形、と言うよりイケメンと目が合った。琴線に触れないな、好みじゃない。
可愛いと美しいは私の大好物だが、その花を奪うイケメンは敵だ。
「今失礼なこと考えたろ」
「滅相もない」
「どーだかな。それより、アンタもコンパートメント探してるのか?」
「うん、空きが見つからなくてね」
「俺もう1人連れが居るんだけど……。あァ、ちょうど居た、ピーター!」
「ごめんごめん、っと、その人は?」
「目的は俺らと一緒。さっき会った」
振り返るとそこにはくすんだ茶色の短髪の少年がくりくりとした青い目でこちらを見ていた。サイズは私より小さくて何が言いたいかと言うと。
「ああ〜〜〜可愛いよ〜〜〜!」
可愛さに心臓が握り潰されるかと思った。
「え、僕?」
「貴方の名前は? とっても可愛いね、その瞳を見るだけで心臓が悲鳴を上げそうだよ。あ、私はエミリー・コワルスキーって言うの。良かったらその口で名を呼んでくれないかな?」
「え、あ、え、う、ピ、ピーター、ペティ、グリュー」
パクパクと口を何度も開きながら少年は真っ赤な顔で私が距離を離すと最大距離を保った状態でフェロモン放出型イケメンの後ろに隠れた。
「えっ。その行動すら可愛いんだけど」
「なんだコイツ」
「一緒にコンパートメント探そうね。可愛いなぁ、ね、顔を見せてくれないかな?」
「ひぇえぇぇえ」
「『ひぇ』が似合う男の子とか中々居ない」
思わず真顔になった。
「あーー……。えっと、Ms.コワルスキー?」
「なぁに、90点」
「…………なんだよそのあだ名」
「顔の系統があと10点可愛いに近ければ好みの子と似た顔立ちになってたから。兄さんの同級生である近所のお姉様がほんとに美人なんだよォ!」
「お前が大変失礼で変な奴だって分かった。とりあえずもうそろそろコンパートメント探そうぜ?」
近所に住んでる美女と似た顔立ちをしているイケメンは呆気なく私を誘った。その呆気なさに思わず私がポカンとする。
「なんだなんだ」
「いや、私初対面でやらかしたと思ってるから、この状態で引かれて無いのが驚きで」
「まぁ、俺はキャーキャー騒ぐ女には慣れてるから。俺目当てでだけど」
「そういう子ってやっぱり可愛い?」
「身なりに気を使ってるから見てくれは良い方だろうな」
「許せん、その可愛い子ちゃん達紹介しろ」
「どうせホグワーツ生」
「許した」
伯父さんの話通り好みの子が沢山居そうだ。幸せかもしれない。
「あの、Ms.コワルスキー?」
「エミリーでいいよ!」
「……エミリー、コンパートメント探そ?」
「全力で探しますとも、姫」
イケメンの影から覗く可愛い子に笑顔を捧げる。守ってあげたいこの子。
「俺はシリウス・ブラック、婚約者は作る気ねェから求婚お断り」
「何それナルシストなの? 私が求婚したいのはピーターの方なんだけど」
「お前、実は魔法界の事良くわかってねェだろ」
「うっそ、もしかして魔法界の有名人? サイン頂戴。プレミアム価格で売り払うから!」
「売るな。有名ってレベルじゃなくて、俺の名前は魔法界での常識なんだよ。高貴なる由緒正しきブラック家ってのは」
「へぇー」
てくてく歩きながら軽く自己紹介を交わし合う。ピーターとシリウスはダイアゴン横丁で出会ったばかりだそうだ。
私はコワルスキー一家とスキャマンダー一家で揃って買い物に行ったんだけど、伯父さんの二フラーが脱走したくらいで運命的な出会いが無なかったんだ。羨ましい。
「あ、ここ丁度いいかもな」
ボソリとシリウスが呟いた。
「ここ?」
視線の先にある扉の中には2人の男の子が座っていた。ペラペラと何かを話している男の子と、それを笑顔で聞いている男の子。
顔を確認しようと思ったがシリウスのノック音に意識を戻された。
「ここ、3人入ってもいいか?」
「キミは…….。あァ、ブラック家の。久しぶりだね、なにをしてたのか知らないけど、女の子引き連れて随分と遅いコンパートメント探しじゃないか」
天然パーマの男の子がシリウスにそう返す。なんだかトゲトゲしい言い方だ。
発言内容にブラック家とあるから、家の繋がりがあるのかもしれない。魔法界は純血だとかそういう血にこだわる単語があるから。
「はは、随分な嫌われようだな。一体俺がなにをした、ポッター家の。じゃあお姫様だけでも入れてくれよ」
チラリと視線がこちらに向いた。
イギリス人ってなんでこんなにまどろっこしいやり取りを好むんだろうか。仕方ないなぁ。
「そうだね。──お先にどうぞ、姫」
「姫、足元にお気を付けて」
「うぇええぇ!?僕なの!?そこはエミリーじゃないの!?」
手を差し出してエスコートしようとしてみたが狼狽えるピーターが可愛すぎて辛い。シリウスはイケメンフェロモンヲ盛大に振り撒きながらピーターをきちんとエスコートしていた。
「ンブフ!ん、んぐ、そっ。そっち……!」
天然パーマの子が耐えきれなくなって吹き出した。
「キミはそれで、いいの?」
「……天使を愛でるのに性別なんて関係ないから己の性別に執着がない」
「アッハッハッハ!もうダメだ!お腹痛い!さ、入りなよ!姫もどうぞ」
「良かったな、姫」
「もー!」
プンスカプンと不服そうにしながらピーターが入る。そしてようやく天然パーマの子の目の前に居た子と目が合った。
「可愛いの暴力」
膝から崩れ落ちた。
「今度は何が琴線に触れたんだよ」
「傷の子が可愛い。ピーターと揃うと威力が倍増して心臓に銃弾が埋め込まれたみたい」
ホグワーツ生活初っ端からコレって私生きていけるのか心配。上手く言葉に出来ないが草木が芽吹くような清清しく深い愛情を抱いた。誰かこの感情に名前を付けるべきだと思う。もう私が付けよう。
燃え死ぬが1番しっくり来る。可愛すぎて燃え死ぬ。
「……コワルスキー、お前早く入れよ」
「おぉ、英国紳士。ありがとう」
呆れた表情なのは触れないであげる。
扉に手をかけたシリウスが促すので素直に足を進めようとする。しかしその時、コンパートメントに入ってない私は特急列車の揺れがモロに影響を受けた。
「うお」
後ろから派手にぶっ倒れるかと思ったが背中を支えてくれた存在があったので倒れずにすむ。
私の後ろで毒々しい色を放っているその生き物は己の行動を称えるように小さく鳴いた。
「──いやなんだよそれ!」
私を見ていたシリウスは舌を噛み切りそうな顔して言った。中途半端に伸ばされた手が哀れでしかない。
支えようとしてくれたけど、その手より先にエヴィルが助けてくれた。
「スウーピングエヴィルのエヴィルです。ちなみに雌」
「なんつー危険生物持ってきてんだよ!」
中に入った入ったとシリウスの背を押してコンパートメントに入る。流石に外でゴタゴタする気は無い。
「あ、待て、お前はピーター達の隣に座るな。ポッターの隣に行け」
「合法的に視界に入れられる……!」
「こいつどこに行かせても肯定的な変態か」
しまった、選択肢ミスった。と言わんばかりにシリウスが頭を抱えてる。怖がっているピーターが傷の子にくっつく姿が2人まとめて可愛いしか感想が出てこない。燃え上がって死ぬ。
「で、そのスウーピングエヴィルは?」
「多分許可は伯父さんが取ってるよ。小さい時から一緒にいた家族の1人。いつも腰にいるから気を付けてね」
「……具合的には?」
「──天使傷付けようとしたらその脳みそ吸う」
表情は真剣そのものだ。スウーピングエヴィルは人の脳みそが大好物で、何もしない時は手のひら大のトゲトゲした繭になっている。
毒は人の記憶を消し去るものだから余地なしで危険生物だよね。こんなに可愛いのに。
「脅しだ」
「脅された」
「所でMr.ポッター、だったっけ。そちらのかわい子ちゃんを紹介してもらってもいい?私はエミリー・コワルスキー!自由に呼んでね」
「初めましてMs.コワルスキー。僕はジェームズ・ポッター、婚約者は募集してないよ。ミリーって呼んでも?」
「もちろん」
握手を交わして自己紹介を終える。仕方ないと言いたげにだったが傷の子が自己紹介をしてくれた。
「僕はリーマス・ルーピン。これからよろしくね、エミリー」
「射抜かれた、胸を思いっきり射抜かれた」
名前すらも可愛いとか何それ神様が遣わした天使なの? 後々天に帰っちゃう天使なの? 儚いの? 可愛い!
ピーターとシリウスも続けて自己紹介を終わらせると、ようやく話せる、といった様子でシリウスが私に質問をぶつけた。
「お前、やっぱりポッターにも反応しなかったけど。マグル生まれじゃないのか?」
「え? ジェームズも有名人? サイン頂戴」
「家宝にしてくれるならいいよ!」
「こいつ売り捌くつもりだから是非とも止めることをオススメするぜポッター」
するとコンパートメントの扉をノックする音がした。
「失礼、お話中ごめんなさい」
「ねェリリー、やっぱり僕戻ってるよ」
「セブを1人になんて出来ないわ」
健康的な肌に、緑の目と赤毛の美少女。そして病的なまでに色白の肌に長い黒髪の美少年。
「ヒキガエルを見てないかしら」
私は2人の手を握りしめて言い放った。
「貢がせてください」
「ミリー、落ち着いて」
肩をジェームズに掴まれた。
「やァ、僕はジェームズ・ポッター。ヒキガエルを探してるのかい? もしかしてその男の? 趣味が悪いとし」
「──ジェームズ、私の天使査定にはその子も入ってるから。馬鹿にしたら、脳みそ吸うよ」
ただ抜け駆けしたいだけか!
殺気を込めて肩をギリギリと音がなるほど掴むと、私の表情が見えているシリウスが怖っ、と小さく呟いた。
「私の、ヒキガエルなのだけど」
赤毛の美少女が美少年を庇う様に立って言い放つ。えっ、カッコイイ。なんで!?
「可愛いのにかっこいい……結婚してください」
「あら可愛い。男の子ばかりの所で窮屈じゃない?私たちの所に来る?」
「リ、リリー!?」
「是非とも」
「抜け駆けはダメだよミリー……!」
「く、ジェームズ貴様、力強っ」
「ミリーこそ力強いね……。腹が立つ程ビクともしないよ」
「兄さんみたいな性格しておきながら負けず嫌いかジェームズ!」
「キミ兄さんがいるの?」
「ジェームズそぉっくりなのがね!」
「お前らやめとけよ」
「ブラックは少し黙ってなよ! これはミリーと僕と運命の人の大事な話だ」
「黙ってシリウス! ついでにその無駄に整った顔面永久的に潰れてろ!」
「上等だ表出ろポッター、コワルスキー!」
「リリー、帰ろう、戻ろう。関わっちゃダメだ」
「ねぇねぇそこの男の子! 可愛いね! 私エミリー・コワルスキー! 貴方達の名前は?」
「ミリー!」
「コワルスキー! こっちが優先だろうが!」
「ぼ、僕らに関わらないでくれ!」
「まぁセブ……」
段々と大きくなってくる騒ぎ声に傍観の姿勢を保っていた1人の人物が。
──キレた。
ドン、という足踏みの音。思ったより大きな力で踏み込まれたのだろう。
その音に思わず全員の肩が跳ねる。
恐る恐る音の発生源を見るとそこにはリーマスが笑顔で笑っていた。
「……キミ達さァ」
「「「「は、はい!」」」」
ジェームズとシリウスと私、あとついでに色白美少年が声を揃えた。騒いでた自覚のある人間ばかりだ。
「近所迷惑、考えてる?」
底冷えする様な冷たい笑顔で告げられた忠告を聞いた私達4人は後に語る。その姿はまるで魔王の様だったと。
踏んでください。
==========
結局ヒキガエルはリーマスがカエルチョコだと思って捕まえておいたらしいのでリリーの元に戻った。
そのままなし崩しで2人をコンパートメントに招く事に成功した私とジェームズは共闘の末に戦友の様な関係になった。やるじゃないかイギリス人の口車。
2人は自己紹介をしてくれて、赤毛の美少女はリリー・エバンズ。色白の美少年はセブルス・スネイプという素敵な名前だった。世界はこの2人を産んだことを誇っていい。
「ヘェ、ブラックとポッターってそんなに有名なんだね」
マグル育ちということでリリーとセブルスと私に説明してくれた。
ぶっちゃけビクビクしてるセブルスが可愛すぎて、もう純血とかどうでもいい。
「そう言えばブラック、キミはマグル生まれに寛容だね」
「今更かポッター。俺は実家の方針が気に入らない異端児だよ、だから純血と言われているのに出身気にしないポッターと話してみたかったんだよな」
「それを言うならウィーズリーもじゃないか?」
「同年代に居りゃいいけど。ま、だから俺はグリフィンドールに行きたいけどな」
「ハハ!キミって最高だよブラック!あの家にもこんな人間がいるだなんて!交流しなかった過去の僕が哀れだ!」
シリウスとジェームズが意気投合したみたいだけど私は恋のライバルらしいセブルスとジェームズの仲が不安でたまらない。
「エミリーもマグル生まれなの? セブはお母様が魔法族らしいけど」
「私は母親が純血、父親がノーマジ。セブルスと一緒だね! でもノーマジ、あ、マグル育ちだから2人と一緒だよ!」
アメリカ出身だから少し英語に差がある事を訂正してセブルスに笑いかけた。一緒、という所でセブルスがほんの少しだけ安心したように微笑んだのを私は1ミリたりとも見逃さない。可愛い!
可愛いがすぎるぞセブルス・スネイプ!
「あー、エバンズ。スネイプとはどういう関係かい?」
「……幼馴染よ、ポッター」
セブルスに敵対心持ってると分かったリリーはジェームズを警戒してる。私はされてない! ははは! 同性というアドバンテージ万歳!
「ミリィ……。もうスネイプに嫌がらせしないから手の中でエヴィル転がすのやめてよ……」
繭状態のエヴィルをジェームズに見える様に転がしていた。
遠回しな脅しだ。天使を傷付ける奴は容赦しない。
「それって何?」
「伯父さんから貰った子達の1人。このスーツケースには拡張魔法がかかっていて、その中にエヴィル以上のクラスが複数居たりする」
「魔法動物?」
「案外生物もいるよ、ポケットには私を宿り木として認識してるボウトラックルのウトラもいるし」
呼ばれたと分かったウトラは枝のような体をピョンと跳ねさせて私の指に乗った。可愛い。
「な、なァ。お前達は魔法界に詳しいのか?」
指遊びしていた可愛い2人は首を横に振り、ふてぶてしさの勝る2人が首を縦に振った。
「これ、教科書じゃないけど気になって買ったんだ。魔法族のマ、母が頭抱えたんだけど」
セブルスが取り出した本を見て、ジェームズとシリウスは頭を抱えた。
「おぉ、ママと全く同じ反応……」
小さく呟いたセブルスの母親の呼び方が可愛すぎて幼女かなって思ってきた。可愛い。
「あら、それってセブが迷子になった時に手に入れたっていう──」
「リ、リリー!」
私の指に乗ったウトラと遊んでいたリリーはその本を見てそう言う。真っ赤になったセブルスはワタワタと手を振りながら話を遮ろうとしていた。可愛い。2人を永遠に見ていられる。
私が燃え死んでいるとジェームズがため息を吐いてセブルスの本を取り上げた。
「これ、キミの家関連のものだろ」
「間違いなくブラック関連。これ闇の魔術の、なんつーか、深い所まで関わってる本の完全版。どこで手に入れたんだよ」
「え、分からないが」
「もしもあるとしたなら」
「あァ──」
「「夜の闇横丁」」
「いい加減に返せっ!」
セブルスがジェームズから本を取り返した。不服そうな顔をしてジェームズを睨みあげる。
そんなジェームズも嫌悪感をにじませた顔をした。恋のライバル(仮)お互いを意識しまくってるね。とりあえずジェームズ、セブルスを傷つけたら、私が許さん。泣かせたら覚悟しろよ、なんかこう、ギッタンギッタンにしてやるからな。
「スネイプ……。それ気に入ってんのか?」
「あぁ! すっごく興味深い!」
「うっわぁ、趣味悪ィ。闇の魔法族にでもなるつもりかよ、ホントにマグルで育ったのか? この本俺の家でも手に入らねェ、運がいいのか悪いのか」
「──シリウス・ブラックゥ?」
「OK、その手に持った繭は仕舞おうか」
「ならリーフとマンティ。どっちがいい?」
「…………お前、確かスウーピングエヴィルはエヴィルでボウトラックルはウトラだよな」
「そうだね」
「名付けの法則から俺には嫌な予感以外しないんだが」
「だろうね。流石生粋の魔法族」
お察しの通り、ヒッポグリフとマンティコアだ。敬意を欠く者には情け容赦は無用!とばかりに敵意を向けるらしい。らしい、というのも伯父さんから譲り受けた彼らは赤ん坊の頃からスーツケースという隔離された空間で面倒を見ているので気性の荒い所を見たことがないんだよな。文字だけの世界でしか知らない。
確かリーフは魔法省分類でXXXだから優秀な魔法使いのみ対処可能で、マンティがXXXXXだから魔法使い殺し……。
えっ、伯父さん強過ぎない?えっ、伯父さんのスーツケースにはもっと危なっかしいのゴロゴロいるんだけど。
何十倍もの数と危険性の魔法生物相手に、あのニュート・スキャマンダーはあまりにも非常識すぎるコミュニケーション力。
伯父さんは己を天才という言葉で当て嵌められる事が嫌い。私は有り得ない程の才能を持っているらしいから、こんな歳でも魔法生物相手に立ち回れる言わば鬼才。でも伯父さんは秀才だ。ずっと努力してきた。
「……私、ハッフルパフに入りたいなぁ」
「突然どうしたんだい?」
何を言っているのかわかんない、むしろ思考が読めない。といった様子でジェームズが首を傾げて見てきた。我ながら己の思考回路が読めたらびっくりなのだが。
「憧れの伯父さんがハッフルパフ出身なんだ。親とか親戚とか、身近な人が居た寮だと憧れるよね」
「そうかぁ?」
シリウスがその感覚は全く分からんと言わんばかりに腕を組んでいい放つ。
私、親戚仲は二代揃って良好だから。
「……じゃあ、僕がスリザリンに入りたいと思うのも正常なことか?」
「うわっ、趣味悪っ」
「お前スリザリン希望かよ、頭どうかして…──ないな、うん、いやぁははは!なぁポッター!」
「そうだねそうだね!ブラック!」
ハハハとから笑いをしながらジェームズとシリウスが固い握手を交わす。君ら失言癖どうにかした方がいいと思うよ。大事に抱え直したスーツケースに何かあると察したのだろう、チッ、勘のいいヤツめ!
「幼馴染のリリーさん、どう思いますか?」
「セブはどこの寮に入っても似合うんでしょうね。でも、闇の魔術っていうのはあんまり好きじゃないわ」
「リリーはどこに入りたいの?」
「ポッターと別のとこならどこでも。なら、ポッターの嫌うスリザリンに入るっていうのも手ね」
「なんてむごい事を!」
このかわいい幼なじみ強い。
「ピーターとリーマスは?」
「僕は割とどこでも。魔法魔術学校に通えるだけでも素晴らしいことだからね」
「そこら辺私にを理解できないわ……」
リーマスが可愛く笑いながら小さく胸を張る。可愛いの極み、燃え死ぬ。やはりマグル出身と魔法界出身では価値観に相違が見られるらしい。リリーはうーんと唸りながら考え込んだ。
「ぼ、僕はグリフィンドールに入りたい」
「ピーターには赤が似合うんだろうなぁ!可愛い!」
「……でも僕何も取り柄がないし、勇気なんてないからきっとハッフルパフだ。落ちこぼれの寮」
しゅん、と可愛くしょげるピーター。天使が自信をなくしている!今こそ、私の立ち上がる時だ!
「心配しないで、ピーター!」
私は笑顔でピーターに告げる。
「私の尊敬する伯父さん、ハッフルパフ出身なんだよ?大事なのはどこの寮に入るかじゃない、その寮でどう生きるか!」
周囲は目から鱗が落ちたかのような顔で私に注目していた。
えっ、何、そんな可愛い顔で見られたらあたし理性蒸発する。ジェームズとシリウス以外だけど。
「俺、実家がスリザリン家系なんだ。そんなこと考えたことなかった」
「僕もグリフィンドール家系だから、グリフィンドール出身は偉大な人が多いし」
「……──だって私どこの寮に入っても可愛い子は愛でるもん」
「「「「あぁ……」」」」
すごく腑に落ちた感じに納得された。虚しいです。
寮は、最後に名前を呼ばれたセブルス・スネイプ以外、皆グリフィンドールだった。私はハッフルパフを希望したはずなのに思いっきり『お前馬鹿だからこっちの方がピッタリだ』とかって帽子に決定させられた。先に終わっていたリリーとシリウスに止められるという痴態を晒す羽目になったけど女の子に触れて嬉しいです。
1人スリザリンのセブルスは組み分け終わりにリリーと離れたことによるショックか、知り合いが1人も居ない場所に入り込む先行きの不安からか。表情に影が差していた。
この展開を予想していたのか、ジェームズとシリウスは薄まってきた嫌悪感を表情から隠し「アイツ大丈夫かな」と小さく呟いていたのを私は知っている。
「まぁアメリカ魔法学校出身の伯母様の調べによると、グリフィンドール贔屓のアルバス・ダンブルドアってホモ疑惑があるんだけどね」
「「えっ」」
「お気に入りは30年くらい前にスリザリン生が居たくらいで、だいたいグリフィンドール。しかも全員顔がいい」
「「えっ」」
「だって、未だに贔屓されている伯父さんが私をアメリカじゃなくてイギリスに入学させた方法って、どう考えてもダンブルドアだもん」
「「……えっ」」
「大丈夫はこちらのセリフだよ、美形家系の、グリフィンドールくん」
さぁ……、と
一応英語圏の話なので日本語のニュアンスが難しいぞ。『ヴォルちゃん』なんて表現は英語で出来ないし、なんなら『一人称』だってひとつだけ。『先輩後輩』なんて感覚すらない。ここが難しい所。
なので『母』の呼び方は『mother=母or母親』『mam=母さんorお母さん』『mommy=ママ』という三段階分けにしてます。
今はまだ物理で無理矢理仲の悪化を防いでる変態脊髄反射式脳筋主人公。相手が1年生という未熟だからこそ出来る策。知ってるか、これ別に狙ってないんだぜ……?
己の欲望に忠実なだけ。
【コワルスキーさんのスーツケースにいる動物さん】(まだ数匹いるヨ)(ゆっくりそれぞれの説明は追加していくヨ)
・デミガイズ(イズ)xxxx
・ボウトラックル(ウトラ)xx
・スウーピングエヴィル(エヴィル) beast
・オカミーxxxx
・ピッポグリフ(リーフ)xxx
・マンティコア(マンティ)xxxxx