─矛盾─   作:恋音

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1-11.魔法生物と罰則

 

 

「え、ニコラス・フラメルの事を探してたの?そのジジイなら賢者の石を作った錬金術師だね。ダンブルドアのお友達の。今も生きてるよ?」

「早く聞けば良かった!!!」

 

 ロンが叫んだ。

 

 

 クリスマス休暇も終わり1年から7年まで誰一人かけること無く新学期が始まった。スリザリンが多かったけど、全ての寮の年齢問わず色んな人から奇っ怪な目で見られていたけど、なんでだろう。文句があるというよりは不思議なものを見ている目だったけど。

 

 とにかく、そんなこんなでハリー達は最近ずっと図書館に篭もりっぱなしだった。クィディッチの試合があっても、試験も2ヶ月前になり課題が増えてきたとしても。

 

 そういえばクィディッチの試合はハッフルパフVSグリフィンドールだったのだけど、審判がまさかのセブルスだったの!箒に!乗って!!!

 裏切り者!!!私たち空飛べ泣き同盟結んでたじゃん!!!!

 

 いいもん、別の手段で飛ぶもん……。写真は撮りまくった。多分、ハリーが別の手で襲われないように監視する為だったのだろう。

 

 そして今。

 痺れを切らしたのか諦め交じりに『君がニコラス・フラメルのこと知ってるわけが無いよねぇ』とロンに呟かれた。

 

「僕らの時間を返してよ……!!!」

「確かカエルチョコのダンブルドアカードにも名前載ってたはずだけど」

「君の作るお菓子が美味しすぎるせいで市販のお菓子を全然買わなくなっちゃったからだろ!!!」

 

 コワルスキー月1クッキング、人気すぎて金曜午後のイベントになってるもんね。

 まぁ私レベルの腕ならメシマズ国のイギリス人の胃袋を掴むなんて造作もないことよ。

 

 ところで小耳に挟んだのだけど三大欲求の一つである食欲を握られている状態って大変にえっちだと言う意見がたまたま聞こえてきたの。私もそう思う。

 

「なんだ、解決したのか」

「マルフォイ」

 

 ドラコがハリーを連れてやって来た。

 

「おはようドラコ。今日もとっても可愛いね。ハリーもおはよう。最近睡眠時間が減ってる顔してたから心配してたの。あれ、ハーマイオニーは?」

「挨拶に変態を混ぜないで」

「グレンジャーなら図書館だ。ニコラス・フラメルについて調べるのと、試験勉強だな」

「勉強熱心なハーマイオニー偉すぎてイギリス魔法界の未来は明るい……」

 

 私の同級生にそんな勉強熱心な人は居なかったから、尊敬に値する。

 ……学年1位がジェームズだった時点で終わってたけど。本当に納得行かないあのオールマイティ平均男が。セブルスや私といった得意科目がある特化知識には敵わないけど、苦手科目で大きく差をつけて来るから総合点で敵わないという。

 

 私の総合点はまぁ、ギリ及第点みたいな……。

 

 魔法生物学はダントツだったんだけどね。

 

「で。ニコラス・フラメルが賢者の石を作った錬金術師だって?」

「うん。彼、600歳以上なのだけど、賢者の石を作ってるから長生きなの」

「600歳!?」

「そうなの。そもそも14世紀生まれだから。細かい年齢は670行くくらいだったかな……?あまり細かい数字は覚えてないけど。ボーバトンって魔法魔術学校出身でたぶんフランスのパリに居るジジイよ。何、会いたいの?」

「や、そうじゃなくて賢者の石について……」

「賢者の石について知りたいの?」

 

 驚きを浮かべる男3人。ハリーは慌てて『ちょっと待って!』と私にストップをかけた。待てと言われたら可愛いハリーのためだもの、いつまでだって待つ。

 

「ウィーズリー、グレンジャーを連れて来い!」

「だよね!」

「ハーマイオニーが居た方が絶対いいし、仲間外れにしたら怒るよね」

「あとなんかとんでも発言出てきそうだから普通に巻き込みたいな」

 

 数分後、急ぎ足でハーマイオニーをロンが連れて来た。ハーマイオニー、息が切れてても可愛い。

 ロンにある程度説明されながら引っ張られてきたのか、ハーマイオニーは息と髪を簡単に整えて私の肩を掴むと説明を求めた。

 

 

「ニコラス・フラメルはニコラとも呼ばれていて、14世紀に生まれの現在600歳以上の老人。その年齢の高さから察せられるように、今のところ現在唯一賢者の石の作成に成功したと言われてるの」

「それで、賢者の石って言うのは!?」

「石を黄金に変え、命の水を生み出すと言われている錬金術に必要な魔法道具だよ。賢者の石を作る為に必要な素材は殆ど600年前に滅んでいるから再現するなら遺伝子を復活させるか近しい代用素材を開発する所から始めないと難しいね」

「そ、そこまでは聞いてないんだけど。なんでそんなに詳しいの……?」

 

 ハーマイオニーが引き気味の質問を投げた。

 なんで、と言われましても。

 

「あのジジイと友達なの」

「「「「はい!?」」」」

「細かく言うと父さ……祖父が知り合いでね。会ったことがあって」

 

 懐かしい。賢者の石の再現について調べていたらジェイコブ父さんとニュート伯父さんが反応して、よくよく聞いてみれば2人は昔フランスを救うために翻弄した時にニコラス・フラメルと出会ってたのだから。

 ニュート伯父さんに頼んで、まず私がニコラス・フラメルに会いに行って、そしてピーターを紹介したのよね。普通の魔法使いには出来ない荒業だったわ。今となっては、きっと私よりピーターの方が縁深いと思う。

 

「き、君のお爺さんは魔法使いだったのか……?」

「いえ?めっちゃくちゃマグルよ。父方はどこまで遡っても生粋のマグルだと思ってる」

 

 愛され体質ってだけで。

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

「ねぇ大変だよミリ。ハリーと、ハーマイオニーと!ど、ドラゴンを!塔!!」

 

 約1週間後、ロンが医務室に泊まり込みになっていた。ハリーとハーマイオニーとドラコがソワソワしていたのが気になったけれど、日課である魔法生物のお世話もあった為、離席していたタイミングでネビルがわざわざ女子寮の扉を急いで叩いた。

 

「ど、どうしたの?」

 

 廊下にいるままだと危ないかもしれないので部屋に招き入れる。殺風景な寝るだけの部屋だけど、どうぞはいってはいって。少し躊躇っていたネビルを無理矢理引き入れて事情を聞くと、驚きの情報が私の耳に入ってきたのだった。

 

 ロンがお兄さんのチャーリーという人物から届いた手紙を見たのだと。そして、その内容はハグリッドが孵化させたドラゴンを今夜高い塔……天文台まで連れて行って回収すると言ったもの。ノルウェー・リッジバックを孵化させた事もちょっとよく分からないけれど、確かハグリッドはドラゴンキーパーの資格を取ってなかったはず。

 

 私は大慌てで追い掛け、ドラゴンが引き渡される前に無事合流することが出来たのだった。

 

「ちょーーーっと待った!」

「み、ミリ!?」

 

 ハリーの驚いた声と同時にハーマイオニーどころかドラコもいることに驚いた。赤毛の短い髪の、筋肉質な成人男性も居ることから彼が恐らくチャーリーだろうということが分かった。チャーリーは4人ほど仲間を連れていて、目くらましの呪文と鎖などを使って運搬させようとしている事が即座に判明出来る。

 

「ドラゴン輸入輸出規制!」

「う゛っ」

 

 イギリスの4国にどうしてノルウェー産のドラゴンが居るのか分からないけれど、ドラゴンはマグルに見られてはいけないという点から姿を露出させた状態での移動は規制されている。

 チャーリーもそれはきちんと分かっているから夜中に来たのだろう。だとしても、一応知ったからには止めざるを得ない。

 

「その無謀なところとか無茶な所とかは個人的にすごく好きよ。でもねチャーリー?あなた本当にドラゴン使い?こんな少人数で、暴れたら防げないような箒で、慣れてない個体のドラゴンを抑えながら夜道を行くって?目くらましは排出された炎は見えるけど、炎を吹いたらどうするの?魔力の威圧感は?かなりの高度を飛ぶけれど、準備は?そんな軽装備で?若造が魔法生物の難易度舐めてる?」

「ミリ、言い過ぎ」

「──私だってドラゴンと触れ合いたい!!!!」

「そっちが本音だな?」

 

 ワーロック法とか実験飼育規制法とか、いっぱい色々引っかかるところはあるけど、目の前にドラゴンがいて魔法生物学者の血が騒がないわけが無い!ノルウェー・リッジバックは成長が早いから成長個体以外全然見れないのに!

 

「ずるい!ずるい!私も孵化見たかった!!」

 

 というわけでリッジバックは私が預かります。ちゃんと魔法省に申請して私が育てるんだもん。こんな1年目の新米ドラゴン使いに譲ってたまるか。

 

「あのねミリ。貴女育てるって言ったってドラゴンは魔法使い殺しと言われてるくらい危険なのよ?それにチャーリーみたいに資格が必要だって……」

「そうだぞコワルスキー。マグル生まれのお前には難しい事だ」

 

 ハーマイオニーの言葉に私はグローブを付けてリッジバックの顔付近をマッサージした。

 

「アメリカ魔法省でドラゴン使いの資格取ってるから申請出せば私も飼育出来るよ」

 

 リッジバックは私のグローブ事甘噛みし始めたので親が怒るようにたしなめ、躾をし始めたら3人はすごく怪訝な顔をしたけれど、チャーリーの目は輝いた。

 

「……もしかしてニューヨークのミリ・コワルスキー!?」

「ミリの事知ってるの?」

「もちろんだよ!歴代最年少というわずか10歳にしてドラゴン使いの資格を、しかも最高得点を叩き出したって噂なんだ!すごい、実在したんだ」

「ドラゴンでは無いけど既に危険生物の飼育例があると聞いているんだけどほんと!?」

「噂では聞いていたけどホグワーツに居たんだ。てっきり他の魔法生物特化の学校に行っているとばかり……」

 

 チャーリーのお友達が大興奮したように私に詰め寄って来た。そ、そこまでおだてられても。そんな、事実としか言い様が無いし。

 

「──なるほど、ネビル・ロングボトムの言っていることは、この目を見る限り正しいということですね?」

 

 ミネルバ・マクゴナガル先生が、気絶したネビルを携えて天文台に現れた。

 

「チャーリー・ウィーズリー?状況の説明を、願いますよ?」

 

 わぁ。

 減点50も一気に食らうとか、久しぶりかも。

 

 

 

 

 

 

 

 一晩経てばハリーとドラコとハーマイオニーとネビルと私が1人50点減点されたという話題で持ち切りだった。

 グリフィンドールはハリー達を嫌い、スリザリンはドラコに何も言えないのでハリーをからかい。居心地の悪そうな彼ら。

 

 特にネビルなんて、動揺して私を追いかけている時にマクゴナガル先生に捕まって嘘を付けなくて情報を零した、という負い目から地面に沈み込むんじゃないかと言うほど落ち込んでいた。

 

「え、でも私が1ヶ月でスネイプ先生に引かれた点数とそう変わらないけれど?むしろトータルで言えばスネイプ先生だけで255点私が減らしてるの、すごいと思わない?」

 

 その分稼いでいるとは言え、減らされていることに変わりない。ホグワーツ内でその4人に向けられた視線は、私の一言によって終息した。

 むしろ私への視線が倍増したけど、可愛い子に向けられる視線ほど堪らないものは無い……!

 

 

 とにかく、流石の減点数に先生も罰則を設けた。

 

 

 

 

 夜中の11時に罰則があるということで玄関ホールに向かうとセブルスとマクゴナガル先生とフィルチ。そしてハグリッドがいた。ハグリッドはファングを連れている。

 

 セブルス、夜中でも可愛い。

 ちなみに挨拶に向かったけど普通に無視された。

 

「それで、罰則って何をすればいいですか?」

 

 私のローブを握っているのはドラコとハリー。私の手を握っているのがハーマイオニー。ハリーのローブを握っているのがネビル。

 団子とはまさにこの事。また食べたいなぁ。

 

「Mr.マルフォイ」

「うっ、スネイプ先生……。すみません、スリザリンの点を……」

「それについては構わん。まさか聡明な君が、グリフィンドールの馬鹿どもと付き合ってこの様に愚かな真似をするとは、思ってもみなかったがね」

 

 説教するセブルスも可愛ければ、ハリーが罪悪感のある表情をしているドラコの手をぎゅっと握ったのも可愛い。

 

「そうですよ貴女達!」

 

 マクゴナガル先生が追撃と言わんばかりに口を開いた。

 

「グリフィンドール生とスリザリン生が夜中に出歩いて!多くの点を引いて!危険な生物と会っていたなんて!」

「ミネルバそこら辺で」

 

「──怪我でもしたらどうするんですか!!」

「ミネルバ!」

 

 夜中に出歩いて減点食らって怪我を負った事があるセブルスが眉間にシワを寄せてマクゴナガル先生に注意している。必死ですごく可愛い。

 

 ハリーとドラコとハーマイオニーとネビルはビクビクと怯えていてそんな余裕は無いけれど、私としては内心大爆笑。外見はニッコニコだ。

 

「笑うなコワルスキー!」

「いやぁ、スネイプ先生が可愛すぎる……」

 

「コホン。ですが、事情はチャーリー・ウィーズリーとミリ・コワルスキーから聞きました。元はと言えばハグリッドが違法なドラゴンの卵を買い取ったからだと。引き取ったMs.コワルスキーと、相談を持ち掛けれるMr.ロングボトムに感謝することですね」

「はい……。ありがとうネビル、ミリ」

「こちらとしても貴重なドラゴンの飼育許可が貰えるから、すごく助かったわ。……最初から誘って欲しかったけど」

「未だにコワルスキーがドラゴン飼育の専門家だなんて信じられない」

「ドラゴン専門家じゃないよ、ドラコ。ドラゴンキーパーは他の魔法生物の飼育許可に有利に働くから。ただの手段だよ」

 

 そういえばドラコの名前ってドラゴンから来てるのかな。名前の由来ですら美しいのどうして。人類格差だよ。

 

 私の名前なんて……絶対呼びやすさと呼び間違え防止じゃん……。あとリアム父さんのエミリーへの愛情。

 

「で、先生達。罰則は?」

「あぁそうでしたね。ハグリッド、説明を」

「分かっとりますわい。あー、えっと、禁じられた森にここ最近2回ほど銀色に輝く血が落ちていたんだ。恐らく襲われたんだろう。水曜日には死骸も見つけとる」

「……ユニコーン?」

「そう、ミリの言う通り!そこでお前さんらには禁じられた森で怪我したユニコーンを見つけて欲しいんだ。場合によっちゃ、楽にしてあげる必要があるからな」

 

 生徒一同、震え上がった。危険な森だもんね。

 それよりユニコーンが傷付いてると聞いていてもたっても居られなくなってきた。ちょっと許せねぇなぁ。

 

「大丈夫、禁じられた森なら俺かファングが付いとったら襲ってくる奴らは居らん」

 

 罰則の中でもまだ比較的軽い方で安心したけれど、初めての罰則にみんな怯えていた。

 

「2組に別れてくれ。……っと、皆ミリにくっ付いちょるな」

「(デレッ)」

「見せられん顔もしちょるな」

「……す、少なくともミリはドラゴンを手なずけられる知識があるから、安心するの」

「……困った時、助けてくれる、から、ミリと一緒がいい……」

「僕も。普段は腹立つけどコワルスキーの度胸が今は助かる」

「ハグリッド、皆一緒でいいでしょ?」

 

 ハリーのきゅるんきゅるんなおねだりにハグリッドは先生方を確認した。

 ひょっとしてここに楽園が造られたのでは?

 ロン、一足先に楽園で暮らしてるから。そういえば、ロンが医務室にいる原因はリッジバックに噛まれた怪我らしいじゃん。そっちも楽園だったかもね。

 

「私としては、一人一人バラバラでしてもらいたい所だがな」

 

 フィルチは性格が悪いので脅かす様に言う。

 セブルスは眉間にさらに皺を寄せて『良いのでは?』とマクゴナガル先生に言った。

 

「……そう、ですね」

 

 マクゴナガル先生は禁じられた森の目の前の広場に視線を向けた。

 

「…………この場に免じて、全員揃っての罰則をみとめます」

 

 

 あ、ここ。エミリーが死んだ場所か。

 

 

 

 

 

「──ハグリッド、ストップ」

 

 禁じられた森でファングとハグリッドの背中を追いながら歩いていると、ガサゴソと音が聞こえた為静止をかけた。

 

 蹄の音が聞こえる。ケンタウルスだった。

 ケンタウルスは決まって『火星が明るい』と言っていた。そしてハグリッドと会話をした後、ふと私の方向を見て驚いた顔をする。

 

「エミリー・コワルスキー?」

「えー、と。はい?正確に言うとミリなのだけど」

「君はどうして生きているんだい?星の法則は…」

 

 

──……!ッ!

 

 ケンタウルスの話を遮って私は皆を置いて走っていった。夜目が効くから木の隙間を縫って駆ける。

 

 今、ユニコーンの悲鳴が聞こえた。銀の血の匂いと悪臭が鼻についた。

 急がないと……!手遅れになる前に……!

 

「ミリ!?」

 

 皆に掴まれていたローブを一気に脱いだので肌寒さが身に染みるけれど、私は悲鳴が聞こえた方向に着いて……。

 

 

 

「──くたばれこのクソ野郎!!!」

 

 ユニコーンの生き血を啜ってるクソ汚ぇマント男に、誤魔化しではなく精一杯の恨みを込めて今年度2回目の飛び蹴りを喰らわせるのだった。

 

 絶対助けるからね、こんな処女厨みたいなやつに負けないでね!ユニコーン!!

 




ここ連日ランキングに乗って凄く嬉しいです。
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