─矛盾─   作:恋音

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3-14.気付いた嘘

 

 今日も天使達が可愛くて麗しくて幸せ。

 エミリー・コワルスキーことミリ・コワルスキーです。

 

 私の素性ことはどうでもいいんだ。

 それよりもショックを受けていることがあって。

 

「──あの二人に避けられてる……!」

「何したコワルスキー」

 

 ドラコの席の隣に陣取っておいおい泣き出した。

 

 

 

 リーマスの授業はユニークでありキュートであることからあっという間に人気の授業になった。特に高学年は『これまでで一番の当たり年』と言うほど。そうでしょうそうでしょう。勝手に鼻高々になっていた。

 

 

『あ、ルーピン先……』

『そうだマクゴナガル先生に呼ばれてるんだった』

 

『ルーピ……』

『(脱兎)』

 

『リーマス……』

『(無視)』

 

 

『ねぇスネイプ先生』

『(最初からガン無視)』

 

『セブルス』

『(一瞥もせずガン無視)』

 

 

「──無視が一番堪える!」

「いいことを聞いた」

「ドラコ……?ねぇドラコ?」

「……。」

「ひぃん!ドラコが私を無視するー!あっ、でもチラチラ様子を伺ってる視線、無視に慣れてなくって最高に可愛い♡」

「……これを無視できる先生たち凄すぎないか?」

 

 ドラコはあまりにも優しすぎるのでガン無視するのは紳士のすることじゃないと思っているのか、無視は一瞬にして終わった。きゃわいい。

 

「やぁドラコ。おはよう」

「やぁポッター。回収か?ありがとう」

「グリフィンドールを勝手に代表して言うけど、スリザリンにあげるよ」

「要らない。心底」

「転寮制度作ってくれないかな……」

「グリフィンドール以外の結束が高まるぞ」

 

 きゃわいいハリーがスリザリン席に現れた。その後ろにはハーマイオニーとロンとネビルもいる。

 

「おはようハリー、今日も可愛くって誘拐されそうね。大丈夫、シリウスなんかに渡したりしないからね。後見人になろっか」

「おはようミリ。君が後見人になるくらいだったらロックハートに頭下げた方がマシだよ」

「分かるわ、ギルデロイに跪きたいわ」

「なーんも分かってないね?」

「はぁいミリ、ドラコ」

「おはようハーマイオニー。今日はポニーテールにしたの?後れ毛の癖感があまりにも可愛すぎるわ。最高」

「相変わらずね」

「おはようグレンジャー」

「朝からスネイプ追いかけ回してたみたいだけど、何してんの?」

「おはようロン、ネビル。愛を、囁いてた」

「むしろ叫んでたような気がするんだけど……」

 

 今朝から『愛してる!世界の中心がもはやセブルス・スネイプと言っても過言ではないわ!』なんて言っていたのだけど、普段なら頭叩いて止めるところだけどガン無視された。

 く、私の愛の言葉とセブルスの無視、どちらが強いか確かめようじゃない……!今朝はマクゴナガル先生に止められたせいで最後まで戦えなかった。残念。

 

「あぁ……無視が堪える……」

 

 私は机に突っ伏した。

 

「どうせお前が何かしたんだろ」

「犯人はミリ」

「スネイプ先生とルーピン先生が可哀想だわ」

 

 天使達がそう結論付ける。可愛いね。

 

「そうだ、ミリって悪戯仕掛け人って知ってる?」

「え、うん。もちろん」

「フレッドとジョージじゃ無い方だよ?」

「分かってるってロニー坊や。と言っても可愛さくらいしか私は語れないけど」

「あっ、じゃあいいや」

 

 ハリーはしれっと話題をキャンセルした。しかし、そのキャンセルを私はキャンセルする!

 

「でも、急になんで?」

「ピーブズに『悪戯仕掛け人について聞いてみろよ』って言われたんだ。誰に聞けばいいのか分からないけど、とりあえず調べてる途中」

「でも少し有意義かもしれないわ。シリウス・ブラックが脱獄した話で魔法界は持ち切りだもの。彼の過去を知るのはいい事だわ」

「あんな寂れた王冠被った元気だけが取り柄の脱獄男のことを調べるなんて、ハーマイオニーの脳みその容量が勿体ないわ」

「嫌いなの?」

「ハリーの後見人なのが気に入らない。私が後見人になりたい」

「圧倒的に私怨」

 

 だってぇ!

 私だってハリーの親気取りたいんだもん!ジェームズ代われ!百歩譲ってシリウス代わってよ!

 

「やだぁ!ハリーをうちの子にするの!」

「それはちょっと……」

「じゃあハーマイオニーの後見人させてよ!ハーマイオニーマグル生まれだから後見人いるでしょ!?私がなる!」

「ありがとう。でもよく考えて、私も貴女も、同じ学生。しかもマグル生まれ」

「ヒィン」

 

 ハーマイオニーのド正論にしくしく泣いた。私がエミリーだったら!

 

「わかった、じゃあニュート・スキャマンダーを後見人にしよう」

「私魔法生物そこまで得意じゃないわよ?」

「わかった、ルシウス・マルフォイに」

「僕の家を巻き込むな」

「ならノットの親にお願いしましょう」

「……!??!急に巻き込むな!?」

「セオドール可哀想……」

 

 他にハーマイオニーの後見人になりそうなお金持ちって誰がいる?

 純血でお金持ってそうで。

 

 うーん。

 

「マルフォイ、ポッター、ブラックはお金持ち三銃士なのだけど…………」

「やめろやめろ貴族」

「……は!レギュラス・ブラックとか」

 

 スパーン!スパーン!

 

 近くにいたセオドールとドラコに頭を引っぱたかれた。

 

「ご褒美!?」

「やれ、セオドール」

「OK」

 

 スパーーーンッ

 

「痛い!」

 

 しかもドラコじゃなくてセオドール。

 これがドラコだったら喜んだのに。

 

「ブラック家の当主に話しかけるマグル生まれが居るか!」

「じゃあオリオンさ」

 

──スパーーーーン!

 

「ちょっと、セオドール・ノット!?」 

「あぁすまない。手加減したかもしれない」

「謝る箇所が違うんだけど」

 

 こんな可愛くない野郎に叩かれても嬉しくもなんとも無いんだけど。

 

「うっうっ、セブルス……リーマス……」

「先生をファーストネームで呼ぶな。友達か」

「友達だもん……」

 

 無視は困る。ぜっっったい、あの二人閉心術使って反応しないようにしているに違いない。不自然に表情が無だったから。

 

「そういえば、私の1番最初の罰則って覚えてる……?」

「1番最初って言うと……」

「あぁ、スネイプ先生の初めての授業の後で受けた罰則がそうね。グリフィンドール生どころか全学年の中で最も早い罰則だったわ」

「それ!さっすがハーマイオニー!記憶力の天才ね」

「貴女の変態的記憶力には負けるけど」

 

 ハーマイオニーは純血貴族の学力をぶっちぎってトップに踊り立った。ちなみに2位はドラコ。満点以上の点数をどうやって取ったのか分からないけど、2年連続で満点以上の点数を取ったのだから今年も取るだろう。

 そんなハーマイオニーの記憶力に比べたら私なんて、好みの人が喋った言葉くらいしか覚えられないもの。

 

「そんな……セブルスから頭を叩かれて『ほう…選ばれたと勘違いし傲慢になった貴様の目にはどうやら廊下の大部分を占領する赤いローブの存在が見えぬらしい……。己が正義だと疑わずに一方的な意見を仰るなど、どうやらさぞかし優秀な頭脳をしているようだ』って可愛く言われて5点減点された事くらいしか覚えてなくって」

「そんなこと仰ってたかしら……」

「うん(確信)」

「その後の会話も、もしかして覚えてるの?あ、要約でいいわ」

「ハリーが『センスと頭が悪いよ』って私に言ってきて、それでセブルスに謝って。そしたらセブルスは……──」

 

 あ、そうだ。セブルスは『そんな事、とっくの昔に』って言ったんだった。

 とっくの昔に、私のことなんか知ってるって。

 

「あ、そうよミリ。貴女嘘ついたわね?」

「へ?」

 

 ハーマイオニーに私が嘘をつくなんて、そんなことある?

 

「あの時、猫が虚空を見つめる現象について教えてくれたじゃない?」

「フェレンゲルシュターデン現象?」

「そう!それ、存在しなかったのよ。貴女がしゃあしゃあと言うから騙されてたけど、ドイツに着いて調べてたらそんな名前無いって!」

「えぇ!?無いの!?」

 

 驚きの新事実なんだけど。

 名前が変わったとか?

 

「……は!」

 

 私はついにひとつの真実に気付いてしまった。

 

 そんな、まさか。

 

「あの、私罰則について何も覚えてないの」

「え?ミリが?どれだけの衝撃を受けたんだよ」

「私、そんな。可愛くない子の事は忘れても可愛い子の事なんて……()()()()()()()忘れたりなんかしないわ」

 

 ロンの言葉に否定する。私が自ら記憶を手放すだなんて。そんなあるわけが無い。

 

「確かに、戻ってきた時はケロッとしてたわね」

「え……でも1年の初めの頃でしょ?僕そんなこと覚えてないなぁ」

「僕も忘れちゃった。せいぜいドラゴンに噛まれた事くらいだよ、最初に覚えてるの」

 

 やっぱり、覚えていない。向かう背中と部屋を出た瞬間しか覚えていない。

 そういえば、と思ってネビルをみる。

 

 罰則(推定)後。飛行術の時思い出し玉が真っ赤になっていたことを思い出した。

 

「もしかして……」

 

 ちょうど、朝食にしては遅い時間に大広間に入ってくるセブルスが見えた。

 ピーブズが面白そうにまとわりついている。

 

 

 きゃわいい。

 私は焦って彼の元へ向かった。

 

 

「セブルス!もしかしてフェレンゲルシュターデン現象なんてもの、無い!?」

 

 それが嘘だったら、セブルスにとっては合言葉にも等しい会話になる。

 

 常に無表情だったセブルスは、ここ数日で無視し続けた私の瞳をようやく見た。

 そして悪戯っぽく口角を片方ニヤリとあげた。最高に上機嫌の時に見せるスニベリーの笑顔。

 

 うっ、心臓がやばい。

 

「ようやく気付いたか。……本当に、馬鹿だなぁ」

 

 心臓が時を止めた。

 そして再び不死鳥のように、ユニコーンの角のように激しく鼓動が暴れ始める。

 

 はわ、はわわ。

 

「私今ならヴォルちゃんにアバダ喰らっても生きれる気がする」

「笑えんぞ、そのアメリカンジョーク」

 

 セブルスの愛のこもった馬鹿だな、いただきました!

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