結論をいえば、セブルスには結構序盤でバレてたし、きっと初めての罰則で行った答え合わせの内容をオブリビエイトで忘れた。
「うぐぐぐ、くやしい……」
「むしろ隠す気あったのか?」
「あった」
「必死に泣きわめきながら誤魔化す姿は……フッ……実に愉快であった。グリフィンドール2点」
「わーいセブルスからの加点だぁ!えっ、嘘、初めて貰ったんだけど」
「そうだったか?」
しれっと記憶違いだろ、みたいなことを言っているけど、私がセブルスの記憶を忘れるわけがないよね。
「僕は」
「ん?」
「本当は卒業するまで言わないつもりではあった」
「へ!?」
「『おめでとう、君の学生生活は実に良い娯楽だった』と拍手と共に出迎える予定だった」
「…………それは、とっても性格が悪い。最高、大好き」
セブルスが愛おしいすぎて世界が平和。
セブルスの可愛さのおかげで私はオールウェイズ365日3155ナンタラ秒愛おしすぎて幸せなんですけど。なんなのもう素敵なのもいい加減にしてほしい……いっぱいちゅき……はやくグリンゴッツの金庫番号教えてくれよ……。合同口座に貢ぎ物たくさん入れておくね。
「ねぇセブルス?」
「なんだコワルスキー。くだらない内容だったら無視するからな」
「また会えて嬉しい。愛してるよ」
「知ってる」
セブルスは上機嫌にニヤリと笑った。
「──貴方の忠実な愛の下僕です」
「自己紹介が出来て偉いな」
「えへへ、褒められちゃった」
馬鹿だなぁ、みたいな顔をして見られたって私の心は潤っていて、もはやオアシスに頭からズブズブ突っ込んでる幸福感しか出てこないゾ!
セブルスの作業風景を眺めているだけで幸せ満点。長年そばにいたセブルス検定1級の私から見て、一見するとセブルスの反応が薄いような気もする。だけど、3年も前から判明していて手のひらの上で私のことをコロッコロ転がしてローリンガールしていたんならその反応も分かりみが深い。
セブルスはこうして構ってくれているけど、実はリーマスとはまだ会えてない。
というかね、あの、無視とかじゃなくてもはや避けられているまである、心にくる。
「よし、リーマス探しに行こう」
セブルスときちんと再会出来たことだし、リーマスに特大の愛を捧げに行かねば。
「……リーマスも可哀想に」
「私達には圧倒的に会話が足りてないと思うの」
「ほう、流石は3年間も我輩に正体を黙っていた底意地の悪い臆病者の言うことであるな、理にかなっている」
「……セブルス私の事嫌い?」
「覚えてないのか?許さない、と僕は言った。好きだよエミリー、ジェームズ・ポッターの次くらいに」
「『好きだよエミリー』の部分だけ抜き取って大事に保管しておきたい、かな」
「キモイな」
「セブルスからの罵倒いただきました!さーて頑張れるぞ〜!」
愛って、素晴らしいわね。ダンブルドアも多分おなじ考えをしてると思うの。流石ホグワーツの校長、愛の伝道師として一緒に頑張ろうね。
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「リーマス・ルーピン見てない!?」
「見てないよ」
「先生!リーマス見てない!?」
「さっきまでいたはずですけど」
「リーマスどこ!」
「うるさいですよコワルスキー」
「──マジで見つからないじゃん!」
私の可愛い子センサーを持ってしてもリーマスのことを見つけられないの本当にバグじゃない?なんで見つけられないの……。
「今日学校に居ないんじゃない?」
「1限目は6年生の授業をしていたし3限目は1年生の授業をしていたし今日出来ただろう抜け毛もあった」
「うげぇ、きも」
ハリーとロンの席の近くで項垂れた。今日1日本当に避けられている。
「………………リーマス」
私が項垂れているとハリーとロンがこそこそと何かを話している。
「どうしたの?」
「……あのさ、ミリ。ルーピン先生の場所を探しているんだよね」
「そう、全然見つけられなくって」
「いいものがあって。これがあったらルーピン先生を見つけられるかもしれない」
「僕らも借り物だから、早めに返してよ」
ハリーが懐から取り出したのは古ぼけた羊皮紙だった。
「これ……」
「ほんと!?貸してくれるの!?ありがとう2人とも!大好きよ!」
忍びの地図だった。
ハリーが持ってたんだあ!私はハリーが差し出した羊皮紙を受け取って杖を取り出した。使えるかな、使えるといいな。私エミリー時代は実技が使えなかったから呪文らしい呪文を使えなかったのよね。だから忍びの地図も私には開けないってわけ、スクイブじゃないって本当に?
「我ここに誓う、我よからぬ事を企む者なり」
すると、羊皮紙からじわじわとインクが染み出して動く地図になった。
「嘘!嬉しい!ずっっとやってみたかったのこれ!憧れだったの……!嬉しい〜〜〜」
生まれ変わってよかった。魔法が使えるってなんて素敵なの。
「じゃあちょっと借りるわ、行ってくるね!」
リーマス・ルーピンの名前を発見したので私はそこに向かって駆け出して行った。
「あれの使い方知ってるのに初めてなんだ」
「多分、誰かから聞いたんじゃないかな。ピーブズとか」
「マグル生まれって不思議」
追いかけても追いかけても距離が縮まらない。
私が地図を見てリーマスの所へ向かっても、リーマスは私が追いつくよりも前に移動し始めてどんどん距離が遠くなる。
私の足も遅くないはずないし抜け道を使っているから早く追いつけれるはずなのに。リーマスはその手を読んでるように先々行ってしまう。
「なんで、こんなに綺麗に避けられるのよ」
さっきまで上の階にいたはずのリーマスは既に庭へと向かおうとルートを変更していた。
「……くそ、こうなったら」
私は庭に面した4階の窓から身を乗り出した。
「──リーマス・ルーピンーーーっ!!!」
私の今世紀最大の大声に鳥は羽ばたき人々は注目した。
「飛び降りるから!!」
私は一方的にそう宣言して、4階の窓から庭に向かって大きく大ジャンプした。
「っ!!???」
ところどころから悲鳴が聞こえる。けど、ようやくリーマスが私を見た。
「──ウィンガーディアムッ!レビオーサ!」
地面に着地するその寸前。
リーマスが杖を振るう。
──ドン!
「ぎゃっ!」
「う、ぐっ」
私は必死に手を伸ばしてリーマスを掴んだ。リーマスも、浮遊させたとはいえそれなりに重力のかかった私を取りこぼさない様に手を伸ばした。
結果、2人して思いっきりぶつかって地面に倒れた。
バサ、と2枚の羊皮紙が転がり落ちる。
「何っ、何をしてるんだ君は!あんな所から飛び降りて、身の危険なんか考えず!本当に、本当に命がいくつあっても足りない!」
「ふふ、あはは」
「何がおかしい!笑い事じゃないんだ!頼むから」
リーマスは私をぎゅっと捕まえたまま涙目で縋るように言った。
「頼むから、生きて…………」
「生きるよ」
私はリーマスの頭を撫でた。
「私の可愛い天使のお願い事だもん。生きるよ。約束、守れなくてごめんね」
「……ミリーっ」
「ただいまリーマス」
「おかえり、ミリー……。僕こそ、逃げてごめん」
「鬼ごっこなんて久しぶり!リーマス逃げ足早いのね」
「まぁね……地図、作ったし」
地面を指さされたので見てみれば、忍びの地図に似た地図が一つあった。
「流石忍びの地図の製作者……。あれ、でも動いてる名前無い……?矢印が一つだけ……」
私が体の向きを変えてみれば、リーマスの地図と連動して矢印の向きも変わった。
あー、私専用の忍びの地図ね。それで逃げてたってわけか。
「リーマス、なんで私を避けてたの?そりゃ、私は亡霊みたいなもんだし、リーマスとの約束を破ったし、君が一人で頑張っている中何も知らずにアメリカで過ごしていたし……薄情者だと言われてもおかしく無いから……」
「違う!」
リーマスは必死の様相で否定した。
「違うよ、違うんだ。君が、居るのはすごく嬉しい。君が居なくなってずっと、ずっと苦しかった。だからアメリカからわざわざ僕らに会いに蘇ってくれた君のこと、嫌がるわけがない…………」
顔を覆ってリーマスは弱々しくつぶやく。
「…………だってミリが僕らのスパイラルホーンだなんて思わないじゃん……なのに僕、僕……」
「リーマス……?」
「──初恋がどーとか君に言っちゃったんだよ!?どんな顔して会えばいいわけ!?」
「どんな顔でもリーマスどえらい可愛いな……どうしよう……世界征服する?」
「もおーーー!!ほんっっっとに!!」
リーマスのもぉっていい方あざとくない?
誘拐されそう。
「いっそ死ぬしか……いやオブリビエイト……?」
「そうだ聞いてよリーマス、私どうやらオブリビエイトに耐性があるみたいでね」
「えっ」
「ダンブルドアのオブリビエイトは効かないけど好みの人のオブリビエイトは効くの。不思議よね」
「うん、摩訶不思議」
ゴロン、と地面にリーマスが転がった。
く、地面め……。私の愛しのリーマスの全身を思う存分受け止めやがって……。
「私、リーマスの孫を見るまで死ねないかも」
「……はは、それは僥倖。一生独り身で居ようかな」
「そんな……!リーマスには健やかに幸せな人生を歩んで欲しい……!あとリーマスの子供絶対可愛い」
「今更僕を恋愛として意識して欲しいって事はこれっっぽっちも思って無いんだけど、それこそ1年の時にドブに捨てたけど、君って本当に初恋詐欺」
「よく言われる」
「知ってる」
「──おい、そこの馬鹿二人」
セブルスだ。
仁王立ちのセブルスも可愛いのね。
「こんな往来の激しい場所で何馬鹿やっている。人払いをするこっちの身にもなれこの馬鹿共」
「馬鹿馬鹿言ってる」
「あーこれこれ、これこそセブルスだよ」
「で、リーマス。動揺ターンは終わったか?」
「まぁね……」
セブルスがリーマスに手を伸ばし、リーマスが手を掴んで起き上がった。
ふたりが揃うと美の飽和水溶液が作れちゃうのだけど、やばいわね、何がって、私の心臓の悲鳴。
「……これは」
セブルスが2枚ある地図を手に取った。
「あ、ダメよ。忍びの地図、借り物なんだから。没収はやめてね」
「いや流石に没収するよ?それをシリウスが手に入れたらハリーもミリーも危ないじゃないか」
「…………それは問題あるまい」
セブルスが私に地図を返した。
「いたずら完了」
すぅ、と羊皮紙になっていく姿を見て私の心はさらに沸き立つ。くぅー!やりたかったんだぁ!
「すごい、魔法使えてる」
「ただの呪文ではあるが。エミリーでは無理だったな」
「そうなの〜〜。ふふっ、使えちゃうの。あ、そうだセブルス」
私はセブルスを見上げた。
「──地図にピーターの名前があったんだけど。それも、セブルスと同じ所に」
「見間違いであろう」
「…………セブルス、ねぇセブルス?あっガン無視ターン入った!ねぇー!セブルス!無視しな……」
「待って待って待つまでほんとうに追い付かないんだけどピーターって言った!?」
「シレンシオ!!!!」
セブルスの堪忍袋の緒、長いのか短いのかわかんない……。