─矛盾─   作:恋音

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3-16.コワルスキー慣れ

 

 何とかリーマス、そしてセブルスと和解した私。忍びの地図でピーターの名前を見つけたことをしつこくセブルスに問い詰めようと思ったけど、可愛い顔で『ナイショ』と誤魔化されてしまったため、誤魔化されることにした。可愛い。とんでもなく可愛い。

 

「おはようハリー。朝から運動してきたのかな、火照った肌が赤ちゃんのほっぺたみたいになっててとってもキュート。好き」

「えっと、おはようミリ。褒められてるんだよね?」

「朝練?大変ね、オリバーが今年で最後だからって燃えに燃えてるようだけど」

 

 グリフィンドール席で朝食をとっているとハリーが声をかけてくれた。早朝から練習場に向かった頑張り屋のハリーには私特製のタンパク質クッキーをあげようね。

 

 ちなみに、ハリーにはあの後すぐに忍びの地図を返した。ハリーはとってもいい子でジェームズと違って悪意ある悪戯もしないし、安心して渡せるよね。

 あのジェームズが3年生の時、全知全能みたいな地図を入手していたら一体どうなっていたことか。主にセブルスが。

 

 

「そういえば談話室に貼られてたホグズミードって所に行く日見た?」

「見たよ。ハロウィンだったねぇ」

「今年はどうしよっか。朝からホグズミードに行くんだったら難しいかな?」

 

 毎年ハリーと行っている墓参りのこと。ハロウィンになるとゴドリックの谷に向かっていたのだったけど、皆楽しみにしているホグズミードと被ってしまったのだった。

 

「うーん、どうしよう……」

「おやハリー。どうしたんだい?」

「あ、ルーピン先生」

「おはようリーマス。今日もセクシー可愛くってメロいね」

「そうだね。それでハリー、浮かない顔をしているけど」

「すごい……そんなシンプルに流せるんだ……」

 

 ハリーが感心したような声を上げている。

 リーマスは褒められて照れたように頬をかいていた。ひぇ〜〜!可愛い〜〜!

 

「今年のホグズミードがハロウィンの日と被るので、毎年行ってる墓参りをどうしようかって話していたんです」

「……もしかしてジェームズとリリーの?」

「はい。ミリと行ってたんです。1年の時は校長先生に連れて行ってもらって、2年の時はマクゴナガル先生に」

「………………なるほどね。でも、うーん」

 

 リーマスは何かを考え込むと、ハリーと私の議論を根本から覆すような事を言った。

 

「──君たち二人、多分ホグズミードにも墓参りにも行けないと思うけど」

 

「「えっ!?」」

 

 それにしたって面がいいな天使。

 

 

 ==========

 

 

 

 結論:本当に行けなかった。

 

「えっと、お土産買ってくるから」

「どんまいハリー」

「いい、ハリー。ルーピン先生かスネイプ先生を防波堤にするのよ」

「ポッター、シリウス・ブラックの件が落ち着いたらまた一緒に行こう。君を案内する下調べをしておくよ」

「皆……!」

 

 上からネビル、ロン、ハーマイオニー♡ドラコ♡である。ハリーは感動したようにお目目をうるうるさせている。

 はぁ、ここがエデン。

 

 ハリーも私も、互いにホグズミードに行けるようにサインは貰っていたのだけど脱獄犯が彷徨いているから、と言う理由でホグワーツの外へ向かうのを止められてしまったのだった。

 

 つまり、ハリーと2人きりということでもある。

 

「忍びの地図で向かえばいいのに」

「でも、ルーピン先生に止められたから」

「規則を破るなんて恐ろしいことを進めないでちょうだいロン」

 

 リーマスはハリーが忍びの地図を持っていることを知っているので、きちんと釘を刺した上監視するようだった。

 しょんぼりするハリーの頭を私はよしよし撫でる。可愛いね、ハリー。

 

「いいかコワルスキー。ポッターにも先生方にも、他の学年にも迷惑をかけるんじゃないぞ」

「分かってるわドラコ。可愛いね。任せて」

「なーーにも任せられん」

 

 ドラコのジト目も可愛いね。

 最近、幼さ故のマルっとしたフォルムが無くなってきて細くなってきたドラコ。おばちゃん的にはもうちょっと食べて欲しいし食べさせたい所です。でもシシー……いやルシーの方かな。ルシーの仕草を真似しているのか食事の仕草に緩急が付く魅せ方をしてきて、私の目に眩い光が入りすぎてちょっと目潰し。

 

 わざと切る箇所とかをゆっくりして魅せて来るルシーの良癖、ドラコも真似し始めた。無意識っぽいので自覚無しなんだろうけど、食事の度に心臓が苦しい。

 

「いってらっしゃーい」

 

 楽しんでね、という気持ちを込めて手を振ると皆手を振り返してくれた。

 

「じゃあハリーは私と何しよっか」

「ミリじゃなくてトムに変わって欲しいかも」

「トムに聞いてみようかな……」

 

 スーツケースからトムの日記を取り出して『ハリーがお話したいって言ってるけど変わる?』って聞けば『ピーブズがいるからやだ』って返ってきた。

 

「あちゃー。お茶会以外だと結構ピーブズ寄ってきちゃうし、仕方ないなあ」

 

 ハリーの残念そうな声。

 トム、どれだけピーブズ苦手なんだろう。

 

 なんだかスリザリン生は特になんだけど、私の知り合いには一定数『ピーブズ断固拒否』派がいるんだよね。こんなに面白愉快な存在なのに。

 

「あ、いたいた。ミリー!ハリー!」

「なぁにリーマス!」

「皆がホグズミードに行って時間があるんだろ?良かったら授業のサポートをしてくれないかな」

 

「ぜひ!」

 

 この間のカッパの授業も素晴らしかった。やっぱり日本で本物のカッパを観察しに行ったかいがあったよね。あ、引率役?ニュート伯父様だと思った?ヴォルちゃんだよ。

 

「次の授業のためにグリンデローを発注して届いたんだ」

 

 えっ、水魔の対処法!?

 

「リーマス……♡♡♡♡♡♡」

「ルーピン先生すみません」

「いや、うん、なんかこちらこそごめんね」

 

 リーマスの授業が呪文じゃなくて魔法生物対策をメインに据えているのが愛おしい所。

 

「先生、グリンデローってなんですか?」

「水魔だよ。あまり難しくないはずだ」

「そうなんですね」

「ミリー、今度魔法生物誰か借りれるかい?」

「ドラゴンでもマンティコアでもなんでも!」

「高学年向けかな……」

 

 リーマスの後をついて行けば、リーマスの部屋におおきな水槽が置いてあり、グリンデローがいた。表情豊かな子だ。

 私は意気揚々と水槽にへばりついた。

 

「可愛い〜〜。可愛いね。可愛いね。とっっっても可愛いね」

 

「ハリー、紅茶はどうかな?」

「いただきます」

 

 他愛もない雑談をし始める可愛い2人を尻目にグリンデローに指を掴ませたりして楽しんでいたら、扉をノックする音が聞こえた。

 

「リーマス」

「やぁセブルス、どうしたんだい?」

 

 セブルスが現れたのだった。ハリーは夏休みにセブルスと一緒に過ごしたからか特に緊張する様子もなく紅茶を飲んでいる。

 

「鍋一杯分を煎じた。さっさと飲め」

「はいはい。砂糖は……」

「なしだ」

「ダメだよ」

「吐いたら……」

「無理矢理戻すから安心しろ」

 

 脱狼薬だろう。毎月飲む羽目になる薬、セブルスが作ってるのを見たなぁ。

 

「スネイプ先生も紅茶を飲みませんか?」

「は、いや、我輩は」

 

 いい子のハリーがセブルスにもすすめる。

 躊躇い気味のセブルスに私はニコニコと援護射撃をした。

 

「いいじゃんセブルス。飲みなよ。リーマスが自ら入れてくれた貴重な聖水だよ」

「ティーバッグだがな」

「しかも安物だよ」

「リーマスは早く飲め」

「はぁい……」

「それでも、リーマスという付加価値が着くだけで私にとっては聖水だしいくら出しても構わない。むしろ天使たちに囲まれてティータイム出来るこの時間に金銭が発生していないだなんて、なにかのバグ」

「我輩はリーマスに付加価値を感じていないため貴重さが分からぬな」

「ふっ……まだまだね」

「その領域には辿り着きたくない」

「えー、素質あると思うのだけど」

「やめろ!」

 

 絶対的に拒否の姿勢だ。くぅ、くやしい。

 

 涙目になりながらゴブレットを傾けたリーマスがぶは!と止めていた息を吐き出した。

 

「うぅ、酷い味」

「改良しなきゃねぇ」

「あぁ。効果が最優先ではあるが、味もそこそこ何とかしなければ」

「僕としては最優先で改良して欲しいところではあるけどね!?難しい薬をどうもありがとう!」

 

 少しおこ気味のリーマスの叫びにニヤニヤとセブルスが笑う。かっっっわいいな君たち。右を向いても左を向いても可愛いんだけど。

 

「ルーピン先生、それは毒ですか?」

「一応薬だよ。砂糖を飲めないことが難点だけど、セブルスくらいの腕前が無いと作れない難しい薬なんだ。僕の持病はこの酷い味の薬を定期的に飲まなきゃいけなくてね」

「そうだったんですね」

 

 ハリーは私たち3人を見回して、感想を口に出した。

 

「僕てっきり、ミリが先生2人にやらかしたんじゃないかと思っていたんですけど、仲直りしたんですね」

「いやしてない」

「してないねぇ」

「えっ!!!???」

 

 今世紀最大のびっくりなんですけど。

 

「そもそも喧嘩なんてしてないからね」

 

「泣いた、全人類が泣いた、あと、少しでも疑いの心を持ってしまった。私を殺したい」

「コワルスキー」

「り、リセットボタンを押したい」

「ギリギリ赤点回避と言ったところか」

 

 私が死んだことに対して、悲しんだり怒ったりした二人。さすがに自ら『自分を殺したい』だなんて言ったら怒るに決まってますよね。はい。ごめんなさいセブルス。

 

「スネイプ先生とルーピン先生は同級生なんですよね」

「まぁ、たまたま」

「私は親友だと思ってるよ」

「いや全然」

 

 全否定面白すぎる。好き。

 

「後不思議な事を聞いてもいいですか?」

「なんだい?」

「なんで先生達はミリの扱いに慣れてるんですか?ミリもなんだか友達みたいに調子乗るから」

 

 リーマスとセブルスは目を合わせた。

 

 そして自然な流れで2人してハリーの肩に手を置いた。

 

「えっ、えっ」

「ポッター、慣れる」

「ハリー、頑張るんだよ」

 

「そこ!コワルスキー慣れ!!!」

 

 辛辣なところも大好きです!

 ところで、セブルス。忍びの地図にもピーターの名前が乗らなくなったってことは必要の部屋か秘密の部屋行ってる?

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