─矛盾─   作:恋音

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3-17.過去を知る魔法生物

 

 ハリーとリーマスとセブルスと私という私得すぎる空間で穏やかにお茶会をしていた。

 闇の魔術に対する防衛術の授業で水魔の次に使う魔法生物をやんやと語り合ったり。

 

「あの、聞きたかったことが」

 

 ハリーがとある話題を切り出した。

 

「ルーピン先生の最初の授業であった真似妖怪の事で……」

 

「ガートの事?」

「……ごめんなさいちょっと待ってください。ミリ、なんで、名前がついてるのか聞いてもいい?」

「ボガートならスーツケースの中よ」

 

 ハリーが頭を抱えてしまった。

 リーマスに交渉して、授業で学び終わった魔法生物は私が引き取るという契約になったの。

 嬉しい、とんでもなく嬉しい。世界中の皆さん!これが私の愛しのリーマスの実力です!魔法生物飼育学を取っていないながらもなんの問題もなく生徒たちに貴重な経験をさせたいという清らかな心とそれを実行しちゃう優秀な才能!皆様、リーマス・ルーピンを!リーマス・ルーピンをよろしくお願いします!

 

 というかリーマスが心を込めてお世話した魔法生物を私が引き取っていいってどういう幸せな世界線?ここ本当に本編でいい?大丈夫?バイブスぶち上がってるんだけど、このまま上げ続けても大丈夫そう?だって、この後ピーターもどこかで控えてるって考えたら私死ぬかもしれないわ。

 

「ハリー、無視していいんだよ」

「脳内で適当にひとり会話だけだ。どうせこっちの会話は聞こえている」

「それ、ドラコのお父さんも言ってました……」

「えっ、マルフォイさんが?」

「昨年のクリスマスはこやつらもルシウスのところに招かれている。リーマスも今後関わる様なら覚悟しておくように」

「うわぁ、貴族とか苦手なんだけど……」

「リーマス、非常に残念なことを言うが、我輩も貴族だ」

「あれ!?そうだっけ!?」

 

「えっ!!!??」

 

 脳内トリップから抜け出しておもわず驚く。

 あれ、セブルスって一般家庭の出でしょ?貴族はシリウスとジェームズくらいなはずじゃん。

 

「僕はプリンス家だ」

「あっ、あー、確かに?」

 

 ヴォルちゃんのお友だちの魔法薬学オタクMr.プリンスは、セブルスのお母さんであるアイリーンさんのお父さんだったっけ。

 

「相続されたんだ?」

「あぁ。お爺様が僕を指名した。というか僕しか残ってなかったから自動的にな」

 

 セブルスのお爺様って単語の破壊力で髪の毛全部どっか行っちゃった。

 ということはセブルスって正式な名前はセブルス・プリンスなんだァ。世界で1番綺麗な名前爆誕しちゃったじゃん。世界を手に入れるべき。

 

「ごめん、話がどっか行っちゃってるね。それでハリーは何が聞きたいんだい?」

 

 リーマスがおかわりの紅茶を入れると、ハリーは首をかしげた。

 

「ボガートが変身したものが、なんだか不思議で」

「「「あー……」」」

「声、揃うんだ」

 

 曖昧な言い方だけど、言いたいことは分かった。

 

「……私のボガートは、人生を大きく変えた出来事だったの」

「そうなの?」

「あの子は傷付けたくない人を傷付けてしまう悲しい性質を持ってるの。あの子が他の子を傷付けて、一人になるのがとっても怖かった」

 

 力があるって怖いよ。リーマスは本当に頑張ってる。

 

「今でもずっと、友が血塗れで倒れて泣きそうだったあの子の姿が鮮明に思い出せる」

「………………それはミリの記憶力のせいもあるんじゃない?」

「うん、そうとも言う。傷付いた子の顔もそれはそれで最高に腰にきた」

 

 スパン!スパン!

 

 セブルスとリーマスにほぼ同時に叩かれた。いや、むしろ叩いていただけた。

 

「とにかく、私はあの子が大好きなの。優しいあの子が誰かを傷付けて自傷する、なんて。本当に……己が許せない」

「君なんだ……」

「そうよ!勘違いさせかねない事を引き起こしたこともそうだし、もっと早く気付けていれば……!」

 

 これで魔法生物学者になろうってんだから呆れた女だよね!

 情報はあったのに気付かず叫びの小屋で人狼に出くわさせてセブルスに傷を負わせ、なんで事前に気付かなかった?

 怖いもの、でリーマスの姿が出たことによってリーマスが『僕が怖いんだ』って勘違いしたらどうするつもりだった?

 

「己が、不甲斐ない……!腹を切って詫びるしか……!」

「急な解剖やめて?」

「ハリーが言うならやめる……」

 

 リーマスはクスクスと笑っていた。うっ幸せ、天使、生まれてきて良かった。この笑顔を浴びれるだけで私は……。

 

「死んでもい……生きてもいい!」

 

 セブルスの眼光が鋭くなったので慌てて言い直しました。

 

「スネイプ先生のボガートは……」

 

 言い淀んだハリーの表情。

 それに気づいたセブルスがうっすら笑みを浮かべた。

 

 なんなの?今年度入ってからずっっとご機嫌なんだけど、セブルス。心臓がいくつあっても足りない生きる。

 

「概ね推定通りだ、ポッター」

「やっぱり……エミリーなんですね」

 

 ハリーは小さく呟いた。

 

「スネイプ先生の恋人の……」

「ん!!!???」

 

「「ぶはっ!」」

 

 セブルスのそんな大きな声初めて聞いて思わずリーマスと同時に吹き出してしまった。

 待って、お腹痛い……。愛おしい……。

 

「ちょ、ちょっと待てポッター。誰と誰が何だって?」

「えっと、スネイプ先生とエミリーが恋人……」

「誰だそんなふざけたことを抜かした馬鹿は!」

「先生方が…………あ、もしかして恋人とかじゃなくて片思いとか、婚約関係とかでしたか?」

「なわけがあるか!あんな浮気性の初恋詐欺」

 

 ピーブズとかじゃなくて先生達なんだ。それはちょっと面白すぎるな。

 

「聞いた話だと。毎年夏休みはエミリーの家に泊まってたとか、毎日一緒に居たとか、愛してるとか堂々と言っていたとか」

「っ!っっ!!ーーっ!!!」

 

 あ、セブルスが怒りと羞恥でどうにかなってしまいそう。

 

「(リーマス、フォローよろしく)」

「(まっかせて)」

 

 アイコンタクトでリーマスを見ればウッキウキで割り込みに入った。

 

「あのねハリー。先生にも後で修正しなきゃいけないけど、大前提セブルスとエミリーは友人関係でその間に恋とかは無いよ」

「え……?」

「でも、言ってることはめちゃくちゃ事実。セブルスの友人代表として保証する」

「リーマス!貴様は敵対したいのか味方をしたいのかどっちかにしろ!」

「味方だよ。……で、愛してる云々なんだけど」

 

 リーマスはチラリと私を見た。

 ん?なぁに。愛してるよ?

 

 ハリーもその視線につられて私を見た。

 きゃわいい。愛してる。

 

「──あの子の愛してるって言葉に聞き覚えはあるかな?」

「あぁ……(納得)」

 

 ハリーは一気に肩を落とした。

 

「ミリの愛の言葉は鳴き声ですもんね。挨拶と一緒に出てくる」

「そういうこと」

「エミリーとミリって見た目も性格も似てるらしいですし」

「むしろほぼ一緒だと思っていいよ」

「一緒だな」

「一緒ね」

 

 思わず頷いてしまった。同一人物だもん。

 

「それにハリー。覚えておいて」

「はい?」

 

「──セブルスの現在進行で継続してる初恋はリリーだよ」

 

「リーマス・ジョン・ルーピン!」

「やばっ。私は逃げるね!」

「リリーって、え、僕の母さん……?」

 

 逃げ出したリーマスとそれを追いかけるセブルスの姿。場には混乱したハリーと私が残された。

 

「ハリー」

「何、ミリ?」

「実は私エミリーなの」

「奇遇だね、僕もエミリーなんだ」

 

 わぁおそろいだぁ!

 

 

 

 ==========

 

 

 

 狼少年っていう童話かなんかがあるみたいだし、私の妄言と処理されて何も信じて貰えず。

 ハリーと私は暇ということで禁じられた森に来ていた。

 

「ということで、来てもいい場所では無いよね」

「ハリーも度胸ついたよね。1年の時は私のローブにくっついて怯えてたのに」

「そりゃミリがいるから」

 

 その信頼を裏切れないので気合い入れていく。と言っても、浅いところでユニとニコを放してヤンチャな子達のお散歩をする。

 

「クィレル先生は?」

「あー、クィレルも放しておきましょうか」

 

「私は別にペットでもなんでも無いが……?」

 

 よっこいしょ、とハシゴを登ってきたクィレル。一応お尋ね者なのでイギリスでは好んで外に出なかった。アメリカにいる時は出してあげようかな。あとは、成人済みの男性を飼育している件について家族の了承を取らなきゃ……。

 

「クィレル、本格的に私の助手にならない?」

「急になんなのだ……」

「トロール達も懐いてる事だし、クィレルならバイタリティあるし。あ、でも私リーマスも雇うつもりだから三人になるかな」

「話を進めるな」

「給料とかはどうしよう。今は匿うことの対価として働いてもらってるけど」

 

 リーマスとクィレルを雇えたらどれだけ行けるだろう。私は魔法生物しかできないけれど、ふたりがいればポートキーでどこへでも行けるし野宿とかも出来るだろう。二人ともDADAの教師の経歴があるんだからさ。

 

「楽しみね、クィレル」

「…………だから、勝手に決めるなと」

 

 クィレルの苦虫を噛み潰したような表情は一旦無視して、くつろいでるうちの子達を眺めていた。

 

 ブラッシングもしようかな。

 

 そう思った時、バウ!と大きな泣き声が響いた。

 

「……黒い犬?」

 

 うちの子たちの中にうちの子じゃない犬が混ざっている。えーっと、どこの子?

 

「ダドリーの家で見かけた子かな?」

「そうだね」

 

 ハリーがそう言うので反射的に答えたけど、現実問題ただの犬が特急で半日かかる道のりを歩けるとは思えないので犬違いか魔法生物の血が混ざってるかのどちらかだろう。

 

 ヨシヨシと撫でればクィレルが不思議な顔をした。

 

「どうしたの?」

「いや……なんだか人臭いというか……」

「そう?まァ普通の犬より知性は高いんでしょうね。よーしよしよし」

「くぅん……」

 

 感情は伝わりにくいけど表情豊かなこだ。伺うような観察するような視線を私に向けている。

 

「僕も触る〜」

「わん!」

 

 その代わりといっちゃなんだけど、ハリーにはしっぽを振りながら腹を見せている。

 

「ミリ、この子飼う?」

「んー。外飼いの番犬としてはアリかな。スーツケースの中は危険だから行動力ありそうなこの子だと危険なところに突っ込んで行っちゃうかも」

「あぁ、たしかに。でもそれならハリーに飼わせた方がいいんじゃないか?」

 

 クィレルの発言に犬はしっぽを振ってハリーは顔を上げた。

 

「今シリウス・ブラックに狙われてるのはハリーなのだろう?」

「そうね」

 

 私の写真で脱獄した可能性は高そうだけど、シリウスが誰に会いたいかと考えたらきっとハリーだもの。むしろそれ以外考えられない。こんなキュートな愛し子を名付け親の後見人たるワンちゃんが見逃すはず無いし。

 

 

「ワンちゃん……?」

「どうした?」

「いえ、確か、動物もどきだったような……」

 

 多分。ピーターがネズミに変わって、リリーが雌鹿に変わって。ジェームズとシリウスも何かに変わってた様な。なんだっけ。

 

「それ、本当か?」

「うん」

「ハリー、後ほどスネイプ先生かルーピン先生にシリウス・ブラックが動物もどきだったか確認することだ。あの2人ならどちらかは知ってるだろう。……でも、そうか。そうなると脱獄した方法は動物になって紛れた可能性があるのか」

 

 クィレルが先生みたいな事してる。

 DADAの教師だったことに嘘偽りは無かったのね。

 

「あ、思い出した、犬だ!」

 

 ジェームズが牡鹿でシリウスが犬だった。

 どうりでこのワンちゃんで引っかかったんだ。

 

「犬?」

「……犬とな」

 

 この場の視線は、腹を見せていた黒い犬に注がれた。

 

「「「…………。」」」

 

 黙って観察するハリーも可愛いね。

 

「クゥン……クゥン……」

 

 キューキュー鳴き始める犬。私はひとつ解決策を思いついた。

 

「ほら、ハリーって忍びの地図持ってたじゃない」

「うん、持ってるけど」

「あれ使えば名前分かるんじゃない?魔法生物は引っかからなかったから動物もどきが引っかかるか分からないけど」

 

 リーマスが作ったんだから多分引っかかるわ。

 

「あ、逃げた」

 

 クィレルが危機感なく現状報告をした。

 

「………………それで逃げるってことは、つまりそういうことだよなぁ」

 

 ハリーはそう小さく呟いたクィレルを見上げる。

 

「報告、すべきですよね?」

「……とりあえず、シリウス・ブラックならスネイプ先生かルーピン先生」

「分かりました」

 

 クィレルは隠れてなきゃいけないからね。

 

 

 

 

 ちなみに、『シリウス・ブラックっぽいわんちゃんが禁じられた森にいたよ』って報告するとセブルスはロングトーンの深すぎるため息を吐いたしリーマスは頭を抱えて1分は苦しんだよ。二人とも個性のある悩み方で胸がキュンキュンするね。愛してる。らぶちゅっ。

 

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