急募:人類種の天敵を幸せにする方法   作:「書庫」

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ACfa世界よろしくイレギュラーが連鎖しつ発生・誕生するのがこの世界です。うーん、この迷惑極まりないバタフライ・エフェクト。


room friend

 全ての授業とLHRが終わり、一夏は机に突っ伏した。常に女性からの目や、触れたこともない知識との格闘で彼の精神と肉体は、とっくに疲労のピークに迎えている。

 そんな彼の頭をづんづんと人差し指で突くヴォルフ。虫をいじめる子どものような姿だが、皆別にそれを咎めたりしなかった。

 

「イーチーカー、どーしーたーのー」

「疲れてんだよ…いた、いだだだ…」

 

 歳の離れた兄弟のような光景。周りの生徒はクスクスと笑いつつ彼らを見ているが、見られている当人達は周りから見た自分など気にしていなかった。

 そんな戯れをしている中、彼らの担任でもある山田真耶が慌てながらもやってくる。

 

「少し良いですか? お二人に渡すものがあるんです」

 

 そう言って渡されたのは、数字の札がついた鍵だ。言うまでもなくこれは寮室の鍵だろう。

 

「あれ? … 最初の一週間は家から通うんじゃ…」

「そうだったんですけど…政府とドイツからの指示で…急で申し訳ないんですが、2人は今日から寮に入ってもらう事になりました…」

 

 え、と固まる一夏。あまりにも急過ぎる。荷物なんてろくに持って来てないぞと焦り出すが、そんな思考を中断するかのように凛とした声が響く。

 その声の正体は織斑千冬だ。ヴォルフは彼女を認識した途端、すぐさま側によっていくが、伸ばされた腕に堰き止められている。

 

「此処にいたか、山田先生から聞いていると思うが、お前達は今日から寮生活となる。用意は私が既にしておいた。着替えと、携帯の充電器があれば十分だろう?」

「娯楽文化をご存知ない!?」

 

 荷物の少なさに叫ぶ一夏。彼はものの見事にアイアンクローの餌食となった。

 

「…あれ、僕とイチカって部屋一緒?」

「ああ、分かってるとは思うが、お前達の立場的な問題が理由だ」

「一纏めにして守備を固めるの? 思い切ったね…」

「正直、こうでもしないと手が届かないというのもあるがな。だがこの学園は広大だ、目も届かない場合があることを留意して動け」

「はーい」

「千冬姉そろそろ離しあだだだだ!? 千冬姉ェ!? 千冬姉ぇ!? 死ぬゥ! 俺死ぬゥ!!!」

「織斑先生と呼ばない。30秒増加」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?」

 

 解放されたのは5分後だった。

 

「頭割れるかと思った…」

「痛いよねー、チフユのアイアンクロー」

 

 廊下を歩く2人。部屋番号を確認しつつ、見逃さないように逐一通り過ぎるドアを確認していく。番号的に、そろそろ自分達の部屋に着くだろうと思っていた一夏とヴォルフだったが、彼らの視界にとある人物が入る。

 彼女は何度かドアを見つめては廊下をうろうろと徘徊し、時折悩むように何かをぶつぶつと呟き、そしてまた徘徊とドア観察に戻るのを繰り返している。

 旗から見ればただの不審者でしかない。

 

 ヴォルフの瞳孔が開く。彼は姿勢を落とし、警戒態勢に入ったが…そのすぐ後に一夏が「何やってんだ? あいつ…」と声を出す。此処で不審者を一夏の関係者だと認識したのか、ヴォルフはすぐさま警戒態勢を解いた。この間僅か1.4秒である。

 

「おーい、箒。何してんだ? 側から見ると怪しい人にしか見えないぞ」

「一夏!? 部屋に戻っていたのではないのか!?」

「さっきまでロビーで潰れてたよ」

 

 ヴォルフがそう補足すると、完全に見逃していたことがショックだったのか、その場で固まってしまったのは篠ノ之箒。織斑ー夏に好意を寄せており、今回部屋の前まで来たのもその一環ではある。

 

「…僕邪魔かな?」

「ん? そんな事ないぞ? で、どうしたんだよ箒」

 

 何となくそれを察知したのか、ヴォルフは一応の気遣いを見せたが一夏は見事にそれを一刀両断した。それに対して気の毒そうな顔を箒に向けるヴォルフ。

 

「…一夏、少しいいだろうか? 出来れば2人で話したい」

「別にいいけど…ヴォルフ、一人で平気か?」

「ねぇ僕のことを身長通りの年齢だと思ってない?」

「いっだぁ!? いきなり頬をつねんな!!」

 

 むくれたようにそそくさと部屋に入っていく白髪の少年。低身長は割と気にしていたのか“もっと伸びれば…”なんて独り言も聞こえてくる。やや乱暴にドアを閉じる音が廊下に響き渡り、一夏と箒だけがその場に取り残された。

 

「…今の俺が悪い?」

「あたりまえだ」

 

 ただ、微笑ましそうな顔をドアに向ける一夏は、どうしようもないほどにじじくさかった。

 

 

 ───

 

 

 ───自室に入ったヴォルフは、即座にチョーカーに指を押し当てる。

 

 彼の身を包むのは漆黒のISである“ストレイド”だ。

 ヴォルフはこれを脱ぎ、装備の見直しと全体的な点検を始める。

 とは言っても、製作者であるアブ・マーシュにより渡されたマニュアルに従って見直すだけであるが。

 

 武装であるエネルギーブレード、マシンガン、プラズマ砲に不備は見られない。独自の機能であるプライマル・アーマー、アサルト・アーマー機構に問題は確認されない。

 本職ではないので、不安はあるがマニュアルに従えばきっと問題はないだろうと思いつつ、ヴォルフはストレイドの調整を進める。

 

「…楽しそうでは、あるんだよね」

 

 上機嫌に、鼻歌を歌いながら。

 まさか入学早々、戦う場が設けられるとは夢にも思わなかった。ああ、だめだ、興奮して来た。今からでも戦いたい、体が熱いし疼く。未知の敵との戦闘ほど昂ぶるものはない。どんな攻撃をしてくるのだろう、どんな動きで追い詰めてくるのだろう、待ち遠し過ぎて気が狂いそうだ。

 しかも楽しみは今回二回もある。セシリアとイチカで、合計で二回も戦える。

 

 気分の上昇のせいか、調整のスピードが上がる少年。戦うことに対しての意欲に関しては人一倍どころではない。

 ストレイドも心なしか、その機体独特の輝きを増しているかのように見えた。

 

 このISは、あらゆる世代に該当しない例外だ。

 これは「天才」による「天災」への反抗心。

 開発済みのパーツや武器を粒子化させるという工程に、データ化という手順を追加。そうすることで心臓部であるコアへ各種武器とパーツの搭載を可能にした。

 それにより、状況に応じてアセンブルを変更可能なのがこの機体の真骨頂。変幻自在の姿にして複雑怪奇な戦術を取るこの機体に、あるべき形など存在しない。山猫とは太古より自由な生き物だ。

 とはいえ、容量の問題はつきものである。搭載できるパーツと武装はせいぜいそれぞれ2、3個程度。ただそれでも十分驚異的だ。

 

「…今開発出来てるのが… 」

 

 マニュアルに添付されていたデータを見る。どうも開発が出来次第パーツのデータを送ってくれるらしく、その中で欲しいものがあれば逐一コアに搭載し直しに来てくれるそうなのだ。

 至れり尽くせりだなと思いつつ、現在搭載されているパーツを見る。その中で二つほど、ヴォルフの目を引くものがあった。

 

 CR-LAHIRE

 BOOSTER-SERIES: LAHIRE

 

 高機動かつ軽量機体の基礎となり得るパーツ。今ある武装との相性も考えつつ、久しぶりにスピードを体感したいという欲望が、彼の中で芽生え始める。調整のスピードが更に速くなり、わずか5分後には戦闘機に近しいフォルムとなったストレイドが部屋に立っていた。

 

「…ふっふーん」

 

 ISを待機状態であるチョーカーに戻し、ベッドに寝そべる白い髪の少年。長いそれは、真白なシーツの上で乱れている。彼の紅玉にも似た瞳は恍惚に歪んでおり、写真にもすればそれなりの額で売れそうな姿となっていた。

 

 戦いは、やはり楽しい。

 それでも、奇妙な実感が確かにあった。

 今日は、戦いもなかったはずなのに───どうしてこんなにも胸が弾むのだろう?

 

 おそらくは、新しい環境のせいだろうと考えたヴォルフは、しばし睡眠をとってからシャワーを浴びることにしようと、ゆるりとまぶたを閉じた。

 

 

 ───

 

 

「いつ動くか、だって? ───そうだね、先ずは“天災”の動きを待とうか。彼女の特異性は厄介だ、だから企みのキーを壊すとまではいかないけれど、徹底的に邪魔をするさ。他に質問はあるかな、“レオ”」

『では答えて貰おう。アイザック、私達はこの体でも十分戦う事は可能なのかを』

「それは君達次第だ。ああ、でも“アクアリウス”と“ゲミニ”に関しては無理もない。まさかMSFにあんなイレギュラーが存在するとは思わなかったんだ。別に僕に怒ってもいいよ? それは契約に入れてなかった」

『いや、その件でお前を責める気はない。彼らは戦って死ねた、本望だろう』

「なら結構。君も仕上がったみたいだし、そろそろ僕等も動き始める。先方はカプリコルヌスに任せるよ、彼ならまぁまぁの戦果をとってくれるかな? ま、なんでも構わないけどね、滅茶苦茶にしてくれるなら」

 

 

 パチン、と宵闇の中で指が鳴る。

 音を合図に電灯に明かりが灯される。

 血と臓物と鋼が転がる無機質な部屋の中、9つの鉄の人形が待機している。一見、ただの無人兵器にしか見えないが、その実“脳と脊髄”を搭載している極めて非人道的な兵器の群だ。

 彼らの中央に座すのは緑髪の男、アイザック・サンドリヨン。彼の貼り付けたような笑みの裏側からは、この世の全てを憎む怨嗟に塗れていた。

 

「とは言え、生身であの二人を打ち破るとはね…あの灰髪の男と青髪の女、いったい何ものだい?」

『それは我々も知りたいところだ。現地の兵と結託し、火器を集めたとこまでは納得できる。だがそのままあの二人を倒すとはどういう事なのか…』

 

 

 




織斑先生はドイツにいた頃から「先生」呼びがなかなか定着しない事をちょっと気にしてます。
ヴォルフは千冬の事はあくまで「チフユ」と呼びたい。距離を自分から作りたくないという気持ちが芽生えているので、無意識のうちに大体の人の名前を下の方で呼んでいる感じ。

一夏→今回のファインプレーは箒への声掛け。これがなかった場合再走確定だった。

ヴォルフ→チャート粉砕ショタ。既に束さんのチャートはズタボロ。

箒→チャート粉砕ヒロイン。下手をすると束さんが緊急発進。

束さん→ストレイドのコアから通信拒絶されてるしコア・ネットワークにも居ないしキレそう、マジふざけんなよ束さんのものだぞ返せよクソアブ。

ストレイドのコア→武器と装備データが来てご満悦。ドイツにいる頃から自己進化して保存頑張っちゃうぞー状態。今の主人とは気が合う。たたかうのもたのしいね!殺し合おうぜ兄弟!そして俺はアイツと██に飛ぶんだ(どうでしょう感)何気に完全独立化しつつある。

アブ・マーシュ→なんかやったら出来ちゃった、コアについてはAI付きサーバー程度にしか見てなかったからマジで知らない。あのコア本当にタバネの作成物?

UA20000記念話

  • ドイツ大人組飲み会
  • IS学園掲示板
  • レイヴン押し倒され騒動
  • ヴォルフ女装話
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