stardustでも流しながら読んでもろて
コメントはちゃんと返信するのでマッテローヨ‼︎
「ファットマン…ああ今はフェットだったっけ? あの人なら今日みたいな日を最期にすんのかな」
「さあね、ともかく晴れた日以外なら仕事は辞めないわよ」
MSF“国境なき医師団”の活動は多岐に渡る。紛争被害を受けた地域への支援。医療福祉。学校・水道設備の普及。難民保護など様々だが、一括して慈善事業を行なっている。
当然、紛争地域にも出向く以上、安全とは程遠い仕事だ。爆撃の煽りを受けたり、スタッフ本人が紛争被害を身を以って体験することだってある。
しかし、医者らしからぬ言動をするこの二人は違う。
灰を被ったような男。青い花のような髪の、隻腕の女。二人はそれぞれ、その手に極めて普通な鉄の棒を持っていた。二度三度それを振り回し、男は顔をしかめる。
「オイ、マギー。ちょっと俺のと交換してくんない?」
「あなたがそっちが良いって言ったじゃない」
「いやこっち何かぶん回し辛いわ」
ぶすっとした顔をするマギーという青い女に対し、ケラケラ笑って懇願する灰色の男。
二人は現在MSFの派遣先である病院に居たが、そこは明らかに異常だった。
周囲に同僚や上司の存在は愚か、患者の一人すらいない。もぬけの殻というのが相応しいだろう。
「あー、あー、こちら“アッシェ”避難完了しましたか、どーぞ?」
『こちら本隊。患者及び職員は近隣国への避難完了しました。あなた方も一刻も早くそこから離脱して下さい。どーぞ』
灰髪の男“アッシェ”はトランシーバーから患者達や、仕事仲間が安全圏に入った事を知ると、トランシーバーを床に落とし足で踏み砕いた。その様をマギーはドン引きしたかのような顔で見ている。
「あなたね…」
「良いだろマギー、聞かれてたらまずい」
「救援の一つでも頼んだら良かったのに」
「お? 日和ったかマグノリア・カーチス?」
「別に。あなたの死体は重そうだから運びたくないだけよ」
軽口を叩きながら、二人は背中合わせになる。
「先ずは先鋒をやって、肉盾と武器ゲット」
「時間があれば敵の規模も聞きたいところね」
「前に回収した爆薬あったよな、とってくる」
───彼等はつい先日、突如出没した「二つの兵器」を相手取り、粉砕した。丁度ISにも似たような、ISと呼ぶにも厳ついようなそれは、人の言葉を話しながらもパイロットが存在していなかった。
否、この言い方には語弊がある。正確には“パイロットの肉体”が存在しなかったのだ。
残骸にあったのは、脳が収められた金属製のケースだけ。
これは何だと現場の医師達が困惑する中、マギーとアッシェだけが別の可能性を懸念していた。
狙ったように到来した二機の兵器。一機ならば偶然や、進路上の衝突という事でまだ飲み込めた。だが2機ともなれば、その可能性はほぼ無いと言って良いだろう。最早故意に此処を潰しに来たと断言していい。
それが叶わなかった場合、何が来るか? 語るに及ばず“追撃”だ。その懸念は当たっており、新たに運び込まれた患者や周辺部族から“妙な格好の奴らが来て、それを見た仲間が皆殺された”と情報が入る。
事態を重く見たマギーとアッシェは、“緊急避難”の予定を前倒しに実行。幸いにも近隣には連盟加盟国があったため、早期に交渉を終え避難先を獲得。少しずつ、しかし確実に避難を進め、無事に終わらせた。
「…お、来てるな」
「始めましょうか」
どんな手段か、敵が来た事を察知したマギーとアッシェはその場から散開する。
二人とも、死ぬなよだとかそう言った言葉も言わない。
というか、そもそも医師がこの状況に対処している事自体おかしいのだが。
「やー、やっぱ戦いはやめられないな!」
「離れられないわね、私もあなたも」
───
数十分後。病院外。そこにはうんざりした顔のアッシェと、不満そうなマギーが鉄パイプを片手に何やら地面や、倉庫をガチャガチャとかき回しつつ、病院の周囲を回ったり、内部に入っては何度かグルグル回ったりとして居る。
「いやー、変わった格好ってISのことだったのか」
「もっと色々聞いておくべきだったわね」
愚痴るようにぼやくアッシェ。彼とマギーが相対したのは、今や最強の兵器と名高いインフィニット・ストラトスだった。ステルス機能を持ったそれから逃げおおせている時点でだいぶおかしいのだが、今この場にその異常性を突っ込む人間はいない。
「や、鉄パイプ一本で勝てるかぁぁぁあああ!!!!!」
そして痺れを切らしたのか、アッシェが心の底からのシャウトを放つ。ご丁寧に鉄パイプを床にまで叩きつけて。
もちろんやけくそから来る行動ではない。
「…さて、来るな此処に」
「スイッチは?」
「もう持ってる」
此処はかつて病院だった。人の命を救うべき場所は、今や戦闘痕が痛ましく残る戦場であり、それはいかなる地獄絵図よりも地獄を表した。
ただ、一つ。どうにもおかしな事があるとすれば───これ見よがしに転がって居る、薬品の山や、油、千切れた電線、火薬の匂いがする小箱などなどが目立つところだろうか。
アッシェはガレージから病院内まで引っ張り出したバイクにまたがる。マギーも同じバイクに乗り、アッシェの背中に片腕でしがみつく。更にそれを、アッシェはベルトで自身の体にマギーを縛りつけ固定した。
「物音がしてる! 早く行かないと追いつかれるのも時間の問題よ!」
「今蒸す! 振り落とされんなよマギー!」
ドバンっ! と物々しい爆音が聞こえたと同時に、バイクが疾走する。その進路上には、油と窓ガラスがあった。
…本来なら、油にタイヤを滑らして横転するのが普通だ。
しかし、アッシェという男はどこまでもイレギュラーであり、そんな男の背にしがみつくマギーもまたそうであった。
結論から言って、バイクは油によるスリップを起こさなかった。その代わりに滑った勢いを借りて、むしろ爆発的に加速し───そのまま窓ガラスをぶち破り、病院外へと疾走する。
だがその疾走痕に奇妙なコードが伸びて居る。それはアッシェの手元まで繋がって居る。彼の手元にはオンオフスイッチがあり、カードはそこから伸びていた。
チュン、と後輪間近に殺傷性の高い何かが掠めた瞬間、アッシェは手元にあったスイッチを握り直す。そこには「延長電線」というシールが貼られている。
「生きてたら良いなぁ」
そんなボヤキと共に、彼はスイッチをオンにした。
するとどうだ。コードに火花が走り、廃病院にまでたどり着く。その瞬間と全く同時、廃病院は音を立てて爆散を始めた。
紅蓮の炎と、灰色の煙を巻き上げ、瓦礫を撒き散らし、内部にいるものの生存を許す事などないほどの破壊をもたらしていく。
それを背に、男女を乗せたバイクは疾走する。まるで映画のワンシーンかのよう。二人は振り返ることもせず、ひたすらにバイクを走らせていく。
そうして、逃げ出してから幾ばくかの時間か流れ終えた時、追撃の兆しも見られなくなった頃に、マギーはアッシェに尋ねた。
「貴方ならどう見る?」
「生きてるだろ、ISなら尚更だ」
ISならば生きている。それは間違っていない。そもそもあれは、極限環境下での運用を想定されたマルチフォーム・スーツだった筈だ、とアッシェは思考を走らせる。
ならば生きている。どれだけ爆薬を撒こうと、即興の毒ガスを撒き散らそうと、あれらは確実に生きている。追撃が来ないとは、単に割りが合わないと踏んだが、それとも警戒されたのか。
「でしょうね、でなきゃ天災が顔負けだわ」
「しかし、どうしてわざわざISまで持ち出して此処に襲撃しに来たんだか」
「大方、この前の奴の回収じゃない?」
ああ、アレか。とアッシェは思い出し直す。
“アクアリウス”と“ゲミニ”
いきなり襲撃しに来た何か。闘争に囚われた同じ穴の狢。脳は埋葬し、他のパーツは患者と共に移動させたが、あれは何だったのだろう?
「ま、良いか。細かいことは性に合わねえ」
「取り敢えず、逃げ切るのが先決ね」
「おう、一緒に生き残ろうぜ?
灰色の男と、青髪の女は疾走する。
夕暮れの日を浴びながら、満足そうに笑って。
アッシェ…ドイツの太った医師の弟子。名前の由来は灰色の髪から。生来の少年兵だった。価値観は真っ当ではない。死にかけていたところを太った医師に救われ、医学を志す。好きな色は青。紛争地域にて素性を隠し、セーフキャンプを離れて戦いながら難民と怪我人を確保し、病院まで連れて行っては治療という行動をバレないように続けているロクデナシ。
マグノリア・カーチス…ドイツの太った医師の養子。名前は死別した親から与えられたもの。生まれは真っ当なものではない。死にかけていたのをアッシェに拾われ、太った医師に保護された。初めてアッシェと太った医師を見たときは“何故か”号泣した。好きな色は灰。
ちなみに養父とは喧嘩別れの真っ最中。理由は太った医師が「胸は俺の方が上だな(着替え中に偶然鉢合わせてしまった時に言われた)」と言葉のナイフを叩きつけたことに起因する。貧しいむ(BREAK DOWN)
追撃者達…とある国のとある部隊。原作にも出ている。分かる人はピンと来る。目的は迎撃された兵器の残骸を回収する事及び目撃者の始末だったが、作戦エリアが爆散するわ目撃者には逃げられるわ散々な目にあった。というかステルス機能が付いたISで対応したのに灰を巻かれてメタられたし、何ならバリアが破られる前で行った。何なのあのモンスター医者、泣いていい?
アッシェ「灰を撒いて炙り出し…ISじゃねぇか撤退撤退!!(爆薬を的確にばら撒きながら)(バイクを引っ張り出しつつ毒物を作成したり、爆薬を設置しながら)」
マギー「この野郎…このクソ野郎が!(盛大な舌打ち)(中指おっ立てながら油やら爆発物や電線や薬品を撒く)」
追撃犯達「何なのだ、これは!どうすればいいのだ?!」
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