バイトと大学が某ウィルスのせいでクッソごたついたので初投稿です
だがしかし、私もただ忙殺されただけではねぇのです(特訓)
リハビリ中だから続きはまだよ
「はぁぁ…! 良い!良い!私の探していたモデルそのものだよ! あっやばいまた良いの浮かんだッハァァァァァア‼︎‼︎
今度こっち着て! 白チャイナ! ハイ!」
「…協力するとは言ったけどさ…要望が多すぎない?」
とある日、IS学園寮の某所。
白い髪に、紅玉の瞳を持つ中性的な“彼”は、自らの装いと視界にある数多の服を眺めつつため息を吐く。
その全ては“女性モノ”であり、性別的な観点からすれば“彼”が纏うに適さないはずである。
しかしながら、“彼”もといヴォルフガングは前述の通り中性的な容姿を、ともすれば少女と見紛う顔立ちをしていた。体躯も容姿に倣い、矮躯と呼ぶに相応しい細くすらりとした手足、そして白い肌を持っていた。
ここで一つ質問。
前提として、あなたは準備も何もかも整っており、後は材料が揃うだけで、その状態で長い時間を過ごしました。
そして今、眼前に材料に最適過ぎる物があります。
あなたはその瞬間に湧き出るであろう創作意欲をねじ伏せることができますか?
───無論、多くの人が即座に“否”と答えるであろう。
奇声を上げながら手元ノートにガリガリと新たな服の図案を書く少女。彼女もこの学園にいる以上、IS操縦者或いはそれに携わる者だが、それはそれとして服そのものへの興味と創作意欲があった。
とうとう爆発したそれは、理性を道連れにし、少女に“懇願”という選択肢を与えたのだ。
即ち“自分のデザインした服を着て欲しい”という願いを。
そしてそれは、幾つかの約束の元で叶えられた。
「…よっと…」
故に、今ヴォルフガングが袖を通すチャイナ服も、彼女が手ずから作成したもの。なかなかのハイクォリティさとサイズのちょうど良さに少年はかなり引く。作成者曰く、目測で作ったと言うのだから気持ち悪いことこの上ない。
そもそもチョイスからして趣味が全開すぎる。それなりに雑誌の部類を読んだ彼自身、白いチャイナ服がマニアックな代物だとは把握可能だ。
これらの物的、或いは状況的な証拠により少年は「ああ、この女の人は色々と危ないんだ」「こうしてガスを抜かないと破裂して何かしでかすんだ」と半ば諦めに近い思考で粛々と服作りの変態(仮称)の要望に応え続けていた。
「ゔぉるゔぉるも大変だねぇ〜」
「訓練場も空いてなかったから、ちょうど良いよ。
それにお菓子もらえるし」
「おっとちょっと不安になって来たよ?」
のほほんとした雰囲気が特徴の布仏本音が、ヴォルフの着替えるパーテーション越しに声を投げる。彼女は少年と友好的な関係を持つ人間の一人であり、彼の隣席の人物だ。
服作りの変態がヴォルフを連れ込むのを目撃し、成り行きという名の“諸事情”で彼等に同行した。
「…よし、あとタイツ履いて…、と」
そうこうしている内に、着替えを終えた少年。
服作りの変態と、布仏はパーテーションから姿を見せる女装少年の姿を見る。
長い袖は所謂“萌え袖”というやつで、細い指だけがチラリと見える。
胸元の露出は極力少ないが、身体にフィットした構造は、ただでさえ線の細い矮躯を克明にし、儚さとたおやかさを感じさせた。
裾は長く、足首まであるがスリットは大胆に。歩く都度、揺れるそれは隠していた太腿を覗かせるが、それも服と同色のタイツで覆われている。
少年と服の変態には一つの約束があった。
それは“着る服は露出の少ない服のみ”というもの。
しかし、それは服の変態という魚に水を与える様なものだった。
“見せないエロス”───それが彼女の専攻分野であった。健全さに隠れたドスケベパンチ、理性崩壊RTAの加速装置。背徳と道徳を備えたロマン。
着用者がそれに無自覚なのも良いし、自覚した瞬間恥じらうのも良い。それを利用し煽ってくるのは最高にして最高、すなわち甘美そのものである。
高露出なぞクソ喰らえ、真なるエロとは獣が如き一矢纏わぬ姿などでは無く───人が得た文明の産物、即ち服にこそ宿るものなのだから。
かつかつと軽快に鳴る少年のハイヒールの音、その一つ一つに変態は自らの成功を確信し、恍惚とする。脳内に溢れ出すアドレナリンが、息を荒くさせる。
やがて、自らが編み出した至高の服を纏った少年が、上目遣いで、化粧で小綺麗になりつつも中性的な顔を保ったままの顔を、小悪魔の様に歪ませてくれた。
そして少年特有の声でこう言ったのだ。
「はーい、こんなのだけど感想は? 変態さん?」
「罵ってもらえる幸福、誉高い。
いくら払えば良いかな」
もはや犯罪スレスレどころかアウトコース一直線の発言である。
「うっわ本当にどうしようもないなぁ…」
「おっと良いのか?それ以上は私も理性を保てないぜ?」
「真剣にキモイからやめよっか〜」
思わず真顔になる二人。その視線は絶対零度どころか全球凍結レベルである。クマも殺せそうな冷たい目に当てられても、変態は多幸感に胸を弾ませたまま「うへへ、ふひひ、ぐふっ」ときったない笑い声をあげている。
布仏は「この人無敵?」と内心でドン引きしつつ、完全に白チャイナのドレスを着こなしている少年へと視線を向ける。
…恥じらいが一切見られない。それどころか平常そのものであり、動揺のかけらも無かった。
「………ゔぉるゔぉるは抵抗とかないの?」
「あまり。服なのは変わりないし…それに、───似合ってるでしょ?」
心無しかドヤ顔の少年。
ちろ、と赤い舌を口元へ運んだ自分の指に這わせるその姿。
幼さと身に纏う服によって生まれた独特の色気に、布仏は謎の罪悪感と高揚感に襲われる。
「……………それ、その服着てる時は禁止ね〜」
「えー、なんで?」
「なんでも〜…」
この破壊力は、いけない。色々とアウトだ。
過半どころか二人しか男性のいないこの学校で、こんな事をされてみろ。ものの数秒でこの学校は水滸伝や失楽園よろしく伏魔殿へと変貌しかねない。
当人はこれを無自覚というか、「こうしたら良いんだろうな」みたいな感じでやってくるからなおいけない。
「無知シチュ傾国属性いい…」などとほざき回る服作りの変態こと“業の塊”を見なかったことにしつつ、自分より美麗な服を着こなす少年を眺め、布仏は複雑な感情を込めてため息を吐く。
「よし! 最後にこれお願い!シンプルイズベストってね!」
「これ…スカートか…。本当にシンプルだなぁ…」
新たに服を渡され、さっさとパーテーションで身体を隠して着替えを始める少年。
布ずれの音が、部屋に染み渡る様に響いた。
そして、しばらくしてからのタイミングだった。
忙しなく動く靴の音と、それに続く走るような足音。
勢いよく扉が開き、足音の主人である二人がエントリーする。
人類最強たる鋼の女こと織斑千冬と、その弟である一夏。姉弟の二人であるが、姉の方は何やら剣呑な目つきであり、弟の方はややくたびれた顔色である。
どうしたのか、と布仏が尋ねる前に千冬が口を開いた。
「お前達、ヴォルフの奴を見てないか? 先日のレポートに不備があってな、いや大したミスじゃないんだが…」
「彼ならここにいますよ! ちょっと私の野暮用に手伝ってもらってるんです! それももう終わるので、少しお待ち下さい!」
「あ、ああ…」
得体の知れない熱意の籠った目にぐいぐいと迫られ、つい気圧される織斑千冬。
彼女の強さを知る人が見れば、目を疑う様な光景だ。下手をすれば、この服作りの変態は称賛と畏敬の念を貰うだろう。
そんな彼等とは別に、一夏と布仏は談笑を始めていた。
「おりむー、どうしてそんな疲れてるの?」
「…俺、何故かヴォルフといつも一緒にいる、思われてる、朝からずっと探してる、俺、疲れた」
「言語能力が減衰するまで頑張ったんだねぇ〜」
真っ白に燃え尽きた某ボクサーの様な顔をする織斑一夏。彼は彼で災難だった。
折角の休みだし、程々に勉強をして何処かふらつこうとしたらいきなり姉から「ヴォルフが何処に行ったか知らんか」と捕まり、そこまではまだ良いのだが、知らないと答えたら「いつも一緒にいるならある程度目星もつくだろう」という理由で手伝わせられる。
一応穴埋めというか、労いの昼食は貰えそうなので、そこまで不満はないのだが、それはそれとして疲労は溜まっていた。
「あれ? チフユにイチカ? どうしたの、何か忘れてたっけ?」
そんな彼等の声を聞いていたのだろう。
怪訝そうな顔で、ヴォルフガングがパーテーションの向こう側よりひょっこりと姿を現した。
…無論、着替え終えた状態───即ち、女性服を身に纏った状態で。
下肢にはハーネス付きのパンクスカート。アシンメトリー構造で、調和の取れたアンバランスさ。柄は赤と黒のチェックで、スリットはジッパーで開封が自由だ。
靴は黒。ニーハイのコンバットブーツ。
衣服はオーバーサイズのシンプルな白シャツだが、サスペンダーとハーネスのお陰で、だらしなさはかけらも無い。
「「………………………」」
呼吸が止まる織斑姉弟。
一夏の思考はたかが一瞬、されど一瞬「誰だこの女の子」と思ってしまった。
千冬は「やっぱ似合ってしまうのか」と納得感に浸っている。
そして肝心の本人だが───意外なことに固まっていた。どうやら身を出したのは声を聞いたが故の反射的な行動だったらしく、今更自分の姿に気付いたのだろう。
そそくさ、と再びパーテーションへと隠れる少年。
千冬はそれを見て、とんでもないものを見たと言わんばかりの顔をし、心無しか頬を緩め、つかつかとヴォルフの元へと迫ろうとする。
「いや落ち着いてくれ千冬姉!?!? やばいからぁ!! その行動は懲戒免職ものだからぁ!!」
それを全力で顔が真っ赤な一夏は止めた。
「何をする離せ一夏!! あいつが“照れ隠し”だと…!? 写真の一枚でも撮って早急にドイツの奴らに報告する以外ない!!」
「心が無さすぎる! それは流石に辞めてやれよ!?」
ぐぎぎぎと拮抗する織斑姉弟。お互いに冷静じゃ無いのは「一夏呼び」「千冬姉呼び」のところから容易く読み取れるし、そもこんな馬鹿騒ぎをした時点で明白だ。
さて服作りの変態はというと、この女随分と逞しく千冬の「写真」発言に耳ざとく食いつきあれ、彼女に「今まで撮った写真を送る代わり、服のリクエストを貰う取引」を持ち掛ける始末。
それを鎮圧しようと奔走する一夏は、取引内容を聞いてからほんの一瞬思考を挟んだ姉を見て“ああ、この人は疲れてるんだ”と死魚の目で遠くを見た。
そして、そうこうしている内に布仏本音とヴォルフガングは姿を消した。
「………───…〜」
「抵抗とか無かったんじゃないの?」
食堂の片隅、乱雑に乱れた制服の少年は机に突っ伏していた。
布仏はそんな少年の戦利品である菓子の山や、ISによる戦闘関係の資料を整理しながら声を投げる。
「…無かったよ、無かったけど…チフユに見られたらすごい逃げたくなった…」
最強は、気付いていただろうか。
彼女に見られた少年が、みるみると耳を目の様に赤くしたのを。
「…怖い、感じとかして、でもやたら心臓がうるさくなって…とにかく顔が見れなくて…」
「なるほどねー…」
案外、この獣は人の情緒を会得しつつある。
否、取り戻しつつある。
それこそが彼、ひいては全体にとって最優の終わりへと向かう。
これは断章とも言える一つの話。
しかし、愛すべき日常のほんの一幕。
もしかしたら───この他にも多くのカケラを目の当たりに出来るかも知れない。
性癖博覧会
・ヴォルフ君の着た服一覧
シスター服、アオザイ、着物、レディースコート、コンバット、スチームパンク、ゴシックetc…
・ヴォルフの情緒
意外と豊かだったりする。
年単位の時間が過ぎれば当然か。
しかし火薬はしけらない。
・服作りの変態
制服改造とかも受け持つ変態。
某デーモンスレイヤーで言うゲスメガネ。
多分この後何だかんだアイアンクローの刑
・最強
最強=完璧超人では無い
暴走がひどい。
写真は買った。
・一夏
胃痛枠への誘いに屈しつつある。
それはそれとして白い美少女にドキドキした。
何がとは言わないが捻じ曲がらない事を祈る。
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