秋になると、朽ちた木に触りたくなる。

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この遺書はフィクションです。


秋姫

目を閉じて、目の前の朽ちた木を触る。

 

たったそれだけで、僕の欲求に収まりがつく。

 

特に、秋の朽木はとても良い。

ひんやりと冷たく、適度に柔らかい。

健康的な女性の太腿を触っているかのような、そんな感覚。

 

何度も何度も繰り返し触れていると、自分の体温が伝わって、朽木にもほんのり温かさが出てくる。

そこでもう片方の手を出して、充分に外気で冷やしたところで朽木に触る。

 

つい先程まで自分が触っていたところは暖かく、自分の体温だった筈なのに、他人の体温を感じているかのように感じてしまう。

恋人同士で手を温め合っているいるかのような、そんな感覚だ。

そんな事、生まれてこの方した事は無いのだが。

 

目を閉じているのだから、朽木に巣食っている虫たちに触れてしまう事だってある。

そんな時は、なんだか恥ずかしくなってしまって、つい、手を引っ込めてしまう。

うっかり胸を触ってしまったかのような、そういった類の恥ずかしさだ。

とても紳士的では無いとは思うが、これ以外にこの気持ちを表現することは出来ない。

 

と、こういう風に、僕は朽ちた木が好きな訳なのだが。

それらを探し出すのには苦労するのだ。

 

人様のところに勝手に踏み込み、好みのものを探していると流石に警察を呼ばれてしまう。

かと言って、この癖を止める事は出来ない。

 

ここで名案を思いついた。

未だ小さな木を持ち帰り、それを好みのものになるまで育て、それを朽ちさせれば良いのだ。

こうして上手く行けば警察を呼ばれることもないし、 簡単に僕好みのものができるという訳だ。

 

朽ちさせる方法も多々あるのだが、別に僕は朽ちさせるのが好きな訳ではない。

サクッと根を取るだけで終わりだ。

 

そうして充分にそれを楽しんだ後、趣味の園芸の肥料にして無駄無く終わることが出来る。

 

一応、釘を刺しておきたい事が一つある。

 

僕は朽木に性的な興奮を覚えているのではない。

覚えるのは、ただただ趣味的な興奮だけだ。

 

僕は家庭を持ってはいないし、日常生活でなにか問題がある訳でもない。

本当に、趣味の一部としてこう言ったことをしているだけなんだ。

僕に罪があると言うような方々は、きっと熱狂的にのめりこめる趣味を持ったことが無いのでしょう。

 

何故、僕が死ななくてはいけないのでしょうか?

 

ああ、もし神がいるのならば教えてほしい。

 

僕の罪を。

 

僕が罰せられる理由を。

 

最後に、小さな木を育てていてくれた親の方々へ感謝を。

 

蘭ちゃんは、元気いっぱいで見ている私も元気になりました。

朽ちた後も、なんだかエネルギーが溢れていた気がします。

 

理央ちゃんは物静かで、 怖がりで、僕の中に眠る嗜虐欲をそそらせてくれました。

朽ちた後の恐怖の滲んだ表情は、とても素晴らしかったです。

 

千尋ちゃんは大らかで、とても天然な性格で、癒されていました。

朽ちた後も、ふかふかの身体に癒されました。

 

ありがとうごさいました。


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