Lostbelt No.8 「極東融合衆国 日本」   作:萃夢想天

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懲りもせずにまたFate関連の作品を作ってしまいました……。

けどせっかく考えたので、少しでも多くの方に知ってもらいたいし、
またこんな拙い作品から少しでもこういった作品に興味を抱いていただけたらなって
思います。


この序章は、主人公の簡単な説明と相棒サーヴァントの召喚です。


それでは皆様、どうぞ!


序章 種を植えるのではなく根を落とすタイプだとは知らなかった

空想の根は落ちた。

 

創造の樹は地に満ちた。

 

されど具現の花は未だ開かず。

 

呼応せよ、我等が問いに答えたまえ。

 

審問せよ、我等が贖いを許したまえ。

 

新生せよ、我等が報いと認めたまえ。

 

選ばれる事なく閉ざされた末端の世界は、今こそ目覚め歩み始めるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼベル・アレイスターとは、魔術師の家系に生まれ落ちた六人目の長男である。

 

つまり、アレイスター家の六代目当主となる未来が確約された、誇りと実力を兼ね備えるべき人物

なのだ。故に、幼い頃より魔術の教育と修業を山のように課せられ、その才能を磨き上げられた。

 

その事に関して否やは無い。というかむしろ感謝すらしている。強くしてもらったんだしな。

 

しかしこのゼベルと呼ばれる男。まぁ俺なんだが、魔術師としては重大な欠点を抱えていた。

 

 

一言で表すなら、「独占欲が薄過ぎた」のだ。

 

 

自分で言うかフツー、って思うだろ? そりゃ確かに自分で言うと信憑性が半減するからあんまり

言いたかないけどね。でも実際そうなんだからしょうがないじゃん。俺という男は兎にも角にも、

どんな成果を上げようとも「俺の手柄だ!」と威張り散らすことが出来ない、善良な性根なわけ。

 

ハイそこ、単に「小心者だから」とか言わない。その通りだけど他人に指摘されるのはなーんか

気に食わないから、とかじゃないから。自己顕示欲が薄いんです、本当なんです信じてください。

 

まぁとにかく、そんなこんなで魔術師の家に生まれ、家の恥だとか言われない程度に平凡な成果を

残し続けた俺は悠々自適に暮らしていた。魔術師の家系と言っても全員が貴族みたいな生活をして

いるわけじゃないが、それでも明日の晩飯は何かなって下らない事を考える余裕はある家だった。

 

そんなある日。先代当主こと我が父上から、ある手紙を受け取った。

 

その内容曰く。

 

 

「アレイスター家は、同門の魔術一族『アニムスフィア』に対し友誼を結ぶ家柄にして、

同一族の所属する魔術協会・天体科に多大なる借りがある。よって我等はその恩赦の代わりとして

アニムスフィア有する天文台【人理継続保障機関 フィニス・カルデア】への招集を命ずる」

 

 

との事らしい。

 

先代やら先々代の頃からのツケを俺が支払う事になってるのは納得いかないが、理解はできる。

俺は気配りもできる紳士ゆえな。別に父上や死んだ御爺様が怖い訳じゃないんだ、うん。

返すべきものはきっちりと返す。そうすべきだと思った俺は、カルデアとやらの招集に応じた。

 

どうやらそこには俺だけではなく、魔術界隈から選りすぐりの人材がかき集められているらしい。

ならばそれは逆説的に、俺はそんな魔術師のオールスター軍団にドラフト指名された、という

認識でいいのだろう。決して凄い逸話や伝説があるわけじゃないし、魔眼やら魔術礼装を保有

してもいない。魔術師としては中の下か下の上辺りが関の山な俺が、そんな場所に行く意味など

あるのだろうかと不安に駆られもしたが、呼ばれたのだという御題目があるんだ。怖くないぞう。

 

こうして俺は、人理継続保障機関 フィニス・カルデアの一員となり、紆余曲折を経て

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

唐突に、終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訳も分からないまま、俺の長くも短くもない中途半端な生涯は跡形も無く吹き飛んだ。

 

___________素に銀と鉄

 

 

あれやこれやと周りに流されるばかりだった、楽しいと言い切れない一度きりの人生が。

 

___________礎に石と契約の大公

 

 

生き抜いた達成感も、耐え切った充足感も、何一つ得られぬままに永遠の暗闇に溶けた。

 

___________降り立つ風には壁を

 

 

結局のところ、俺という一人の人間には、価値など無かったのだろうか。

 

___________四方の門は閉じ、王冠より出でて、王国に至る三叉路は循環せよ

 

 

そもそも、俺たち人間が日々を生きて何かを残すという行為に、正しさがあったのか。

 

___________閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

 

 

何かを消費し、何かを浪費し、何かを想像し、何かを創造し、何かを信仰し、何かを侵攻し。

 

___________繰り返すつどに五度

 

 

この世界に生を持つ命の中で、何故人間だけがこれほどの行いを許されているのだろう。

 

___________ただ、満たされる刻を破却する

 

 

その行いが許された結果が今の世界の有り様ならば、きっとこれは不正解だったのだ。

 

___________告げる

 

 

人が間違えたのではない。歴史が間違っていたのではない。

 

___________汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に

 

 

ならば間違いだったのは、世界の方だ。世界は、スタート地点で間違いを犯した。

 

___________聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

 

 

人が単独で世界の歴史を背負い立つ必要があったか。その問いに、俺は否と答えよう。

 

___________我は常世総ての善と成る者

 

 

全人類によって拓かれた未来が破滅を迎えるならば、全生命をもって未来を勝ち取ろう。

 

___________我は常世総ての悪を敷く者

 

 

この世で最も罪深い事が無知ならば、我等は知る事の恐怖に耐え、知性を分け合おう。

 

___________されど汝はその理を混沌へ誘い侍るべし

 

 

一つの種族が頂点に座す時代は正しくなかった。よって、数多の種族が円環に並ぶべきである。

 

___________汝、深淵の果てより来たりし者

 

 

意味の無いものなど一つも無い、価値無き命などありはしない、全生命が構築する世界を。

 

___________我はその眼を覆う者

 

 

共に手を取り合い、助け合い、支え合い、誰かが誰かを必要とする、そんな理想の新世界を。

 

___________汝三大の言霊を纏う七天

 

 

何も成せずに消えるはずだった俺が、必ずや創り上げてみせよう!

 

___________抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「問いましょう_____________其方が妾を喚び出したる、主人(マスター)なのかしら?」

 

 

 






さぁ、真名当てクイズの始まりだっっ!!(横暴)


ご意見ご感想、並びに型月ファンの方々の中で
「これは違うぞ」などのご指摘があれば遠慮なく教えてください。

これで真名当てられたらもうどうしようもない……



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