Lostbelt No.8 「極東融合衆国 日本」   作:萃夢想天

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どうも皆様、お久しぶりでございます。
明けましておめでとうございます。

気付けばほぼ一年が経過していた萃夢想天です。

こちらの作品の更新を望まれる方の声は届いていたのですが、ifオリオンの方が更新ペースを上げやすく後回しにしていたらこの体たらく。

恥の上塗り回避のため、新年最初の投稿とさせていただきます。

新年鯖はまさかの闇コヤンスカヤ。しかもフォーリナー。やはり破格の性能ですね。実に私好みです。


それでは、どうぞ!





第八章三節 天地に在って、種は樹へ至る #4

 

 

 

 

 

日本異聞帯、名前すら剥奪された無名の海。その沿岸部。

数刻前までは穏やかな凪であった海は、今や荒れ狂い逆巻いている。

 

暗雲立ち込める夜空に届かんばかりの大竜巻の中心に、彼はいた。

 

 

「これぞ、これぞッ‼ 天下に名立たる我が槍の神髄なれば‼」

 

 

汎人類史においては武士と呼ばれた鎧姿の大男は、大口を開けて天を仰ぐ。

 

その手には、漆塗りの東洋造りの槍が握られている。

 

 

「此度の戦こそは、我らの勝利よ‼」

 

 

ランサーのクラスで現界した英霊である彼は、そう宣う。

ごうごうと唸る大渦の中で、積年の思いを吐き出すように叫んでいた。

 

彼は日本に生まれ、そして武士として戦場を駆けた英傑である。

闘い、誇りと共に命を落とすは誉れなり。そう信じてきた。

武士の戦とはそういうものだったし、それが当然の価値観だった。

 

だが、彼は英霊として【座】に刻まれる事となる。

そこで知った。死後の世、遥かな未来に起きる数多の悲劇とその結末を。

 

嘆くより、悲しむよりも。

彼はまず何よりも、憤りを感じた。

 

 

「――ふざけるな」

 

 

腹の底が煮えくり返るような、燃え盛る憤怒。

ランサーは激怒する。御国を想い命を賭した兵無き日本の有り様に。

 

犠牲に犠牲を重ね続け、それでもなお辿り着けない愚かさに。

 

 

「だが、それも此処で終いだ!」

 

 

彼が召喚されたのは、行き止まりの未来へ進んだ有り得ざる日本。

まさに天啓。この機を逃せば、他にはないと覚悟を決めるほどに。

緩やかに腐る世を憂う、仕えるに値する主君とも巡り合えた。

 

このランサーたる仮初めの名に、敗北は許されない。

 

 

「退け、汎人類史! 退け、怠惰なる子々孫々! 貴様らにくれてやる明日は無い! 成すがままに貪られる明日は、新たなるこの世にこそ相応しかろう!」

 

 

槍持つ手に力が入る。無駄に力む必要はないと知りながら。

己に与えられた使命。何が何でも遂行しなければならない。

 

ランサーの使命とは即ち――宝具開帳による、日本列島との同期。

 

魔術世界において、「名前」には意味と力が宿るものである。

抗うことなどできない大いなる力。「起源」を表すからだ。

 

彼の宝具は、逸話に名高い奪い取った槍。

その名も『日本号(ひのもとごう)』という。

 

槍に与えられた名は彼の愛する御国と同じもの。

そこには繋がりが生じる。決して無視できない繋がりが。

 

 

「この槍を持ち上げるということは、槍に刻まれた名を支え掲げるということに他ならぬ! 然らば‼ 我が両の手にかかる重みは、御国の重みとなる!」

 

 

ただ宝具の真名を解放するだけであれば、サーヴァント当人やそのマスターからの魔力さえあればいい。ましてやランサーの宝具は槍。それも対人宝具という分類で、魔力の必要量も少なくて済むものである。

 

しかし、それだけでは魔術的な繋がりを利用した彼らの大いなる策が実らない。その為のフォーリナーの眷属、大多量の魔力であった。

 

 

「このまま国を持ち上げるッ! さすれば我が同胞の力で、()()()()()()()()()()()()‼」

 

 

槍を持ち上げることで、刻まれた名と同じ国を同様に持ち上げる。魔術的な繋がりがあったとしても、荒唐無稽で成功率の低い賭けの様な、策とは呼べぬ行い。だとしても、それに全力を注ぎ此れを果たすのが真に国を想う武士の成せる業とランサーは信じて疑わない。

 

現に日本列島は持ち上がり、今では海面から僅かに離れて浮いている状態だ。地殻変動待ったなし、といった具合だが、国の興りからして自らの知る歴史とは異なる道筋を辿った世である。気にかける必要もあるまいと、ランサーは雑念を振り払う。

 

 

「もうすぐだ、待ち遠しいぞ……おおおッ‼」

 

 

胸の高鳴りが治まらない。ランサーは興奮していた。

自らの行いの壮大さに。そして、計画の足掛かりの成就に。

 

主君の望む計画の完遂が既に成ったと確信するランサーの耳に、逆巻く波と渦以外の音が届いた。

 

 

「…………む? 何事だ?」

 

 

大きなもの同士が衝突し合う轟音。

そして、ギチギチと何かが突っ張るような怪音まで。

 

何かが起きている。そう判断したランサーは、魔力が集中して流れ込む関係上、絶え間なく逆巻き続ける渦の中心から覗く隙間から目を凝らす。

 

彼の目に飛び込んできたのは、余りに衝撃的な光景だった。

 

 

「な――何なのだ、アレは!?」

 

 

うねり、脈動する何かが、海から島へ伸びている。

初めはそう認識した彼だが、すぐにそれが誤りだと気付く。

 

()()()()()()()

 

おどろおどろしい、滑る紫紺の巨大物体が日本列島に巻き付いているのだと。ランサーが気付いた時には、島の緩やかな浮上が完全に停止してしまっていた。

 

それが何を意味するか。分からぬ彼ではない。

 

――誰かが力ずくで引っ張っている。

 

 

「そんな、莫迦な……!?」

 

 

理解は出来ても、受け入れられるはずもない。

島国と言えど、人間サイズで測れば広大という言語ですら当てはまらない程に、日本は巨大な土地だ。浮かび上がる巨大な列島を、物理的に捕縛して引き留めることが可能であるのか。

 

現実離れした光景に目を見開く。

しかし、その結果。彼の目には陸地からこちらへ迫りつつあるソレが映った。

 

およそ、この世のものとは思えぬ醜悪さで構成された不浄なる異形。見上げるほど巨大に聳える、悍ましき魔天楼が。死の恐怖を飲み干せる武士の前に姿を現した。

 

 

「ふふふははハハハ、アーーッハッハッハッハッハ!」

 

 

ずずん、と。

紫紺の肉塊が波を掻き分けながら海を進む。

うねうねと揺れる触手の中から、混沌に溺れたような、恍惚とした哄笑が響き渡る。

 

迫る醜い肉柱に怖気を感じて止まないランサーだが、勇気を奮い立たせ槍を持ち上げ続けた。

 

此処で槍を手放せば、浮かび上がった列島は海へ堕ちる。そうなれば計画は台無し。また膨大な魔力を集めることも、宝具発動の隙を作ることも、敵である彼らカルデアは見逃しはしないだろう。

 

歯を食い縛る。ぎしり、と奥歯が鳴った。

それが勇猛からか、恐怖を噛み殺した為か。

ランサー自身にすら定かではなかった。

 

 

「―――拠り所無き者は集うがいい」

 

 

地の底から響くような、声がする。

 

 

「―――望郷に想い馳せる者も集うがいい」

 

 

不気味に蠢く肉塊から、その声は聞こえてくる。

 

 

「―――私が率いる! 私が統べる!」

 

 

烏賊(イカ)という生物を極限までグロテスクに魔改造したかのような、見るに堪えぬ悪徳の化身の頭頂部が花弁の如く開き、中から一人の男が姿を現す。

 

 

「我ら明日を望む者達の祈りは、必ずや『神』に届く!」

 

 

痩せ細った四肢、削げ落ちた顔、飛び出た目。悪魔を人の体に押し込んだとでも例えようか。そんな男――魔術師(キャスター)クラスの英霊【ジル・ド・レェ】が其処にいた。

 

自らの宝具である『螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)』を暴走寸前まで稼働させる事によって、身の丈を優に超す巨大な海魔を召喚。その身を供物として捧げることで、マスターからの支援無しでも独立して現界する怪物と成り果てていた。

 

そしてこの姿は、彼自身が望んだものだった。

 

 

「おお、天上の主よ! 今や地に堕しておられる主よ! 我らは今一度、糾弾を以って御身を讃えようッ!」

 

 

触手がジル・ド・レェの身体を縛り上げる。エーテルの肉体であれ、骨組みとするには十分な素材である以上、召喚された大海魔は彼を逃がさない。ずぶずぶと肉塊の檻へ沈みゆく彼はまるで、怪物に飲み込まれる哀れな魔術師のようだ。

 

けれど、その表情に悲観はない。

悲愴もない。悲憤もない。絶望もない。

 

ただ燦然と、彼の瞳には希望の光が宿っていた。

 

 

「今再び! 我らは救世の旗を掲げよう!」

 

 

左手に宝具の『螺湮城教本』を持ちながら、右手で白銀に煌めくソレを掲げる。

 

其は――人理継続を保証する、汎人類史を取り戻す善き人々の証が刻まれた御旗。

 

カルデアのシンボルマークが、月の見えない夜の海でも輝きを放って見えた。

 

 

「さぁ! 異星の神をも嘲る、愛と希望に満ちた喜劇の幕開けですッ‼」

 

 

狂言師のように、あるいは宣教師のように。

清廉なる呪言を振り撒きながら、肉塊と同化したジル・ド・レェが大渦に近付く。

 

このままではあの大質量に押し潰されるか、それとも無数の触手に絞め千切られるか。どちらにせよ、誉れや誇りとは無縁の死に様を晒すことになる。それでもこの場を離れることは出来ない。少なくとも、仲間であるライダーとキャスターからの連絡が無い限りは。

 

総ては、争いのない平和な世を築かんとする主君の理想の為。その為だけにランサーは、異形に飲まれる恐怖に耐えていた。

 

 

「引け、ぬ。退けぬ。そうだ、某は…殿の理想を果たす礎であらねばならぬのだぁッ‼」

 

 

戦国の世を生きた英傑である自負。

死後に英霊へと昇華された武への誇り。

 

そうした一切合切を心胆に注ぎ、薪として不屈の炎を滾らせる。

 

 

「参れ! 魑魅魍魎悪鬼羅刹、奇々怪々何するものぞ‼ 我こそは出雲尼子を源流とせし、天下に名立たる黒田武士‼」

 

 

逆巻く渦の音にかき消されないよう、張り上げられた大咆哮。自らを鼓舞する名乗りを上げ、右手で脇差を抜き放つ。

 

 

蛇蝎磨蝎(だかつまかつ)の類であれど、我が名を聞かせてくれようぞ!」

 

 

直視する事すら憚られる、妙なる生き物。眼前まで迫ったソレに、ランサーは勇猛にも脇差を突き付けて己の真名を明かした。

 

 

「某は――【母里(もり) 友信(とものぶ)】、母里但馬守友信なり‼」

 

 

槍術に優れた剛力の勇将として知られる、戦国の魔王【織田信長】一派に属する苛烈な武者。それこそがランサーのサーヴァント――否、母里友信である。

 

ごうごうと空へ昇る竜巻を片手で支えながら、手にした脇差を雄叫びと共に触手へ突き刺す。無抵抗のまま犬死にをするつもりはない。せめて相手に食らいつき、仕える主君の悲願を果たす為の時を稼ぐ。ただそれだけの思いで、母里友信は勝ち目のない戦いを挑んだ。

 

当然、召喚された海魔と言えど生命体。痛みを感じ、悶絶する。途端に突き刺されたものを含めた全ての触手の矛先が、一斉に母里友信へ向けられる。一瞬の後に殺戮されるとしても、この選択を悔いる様子はない。

 

それどころか母里友信は豪快に笑ってみせた。

 

 

「あな悍ましや! 某が相手取るはまさに、人の業が世に齎す呪いの権化よ! ふはははははッ! 何が救世! 何が喜劇の幕開けかッ‼ 骸を山と積み上げ血河を幾筋も開いてなおも飽き足らぬ! そのように蒙昧なる人の世なぞ、根っから腐り落ちるが道理であろう‼」

 

 

彼は、嗤っていた。

目の前に現れたのは、汎人類史が汎人類史であるが故に生まれ落ちた怪物だと。その醜さが証明に他ならないと嘲っていた。

 

この日本異聞帯には、フォーリナーの生み出す怪異以外に、人間を害するものは存在し得ない。そういう成り立ちだからだ。人も、獣も、相争うことのないまさに平和の国。

血で血を洗う戦国を生きた母里友信が夢に見続けた、理想の日本。そこにこのような化物が現れること自体、汎人類史の悪性を主張する行為だと彼は捉えていた。

 

 

「某は果てぬ! 延々と諍いを繰り返す貴様らとは違うのだ! 某らは、ついぞ人の治める世では叶わぬ楽土を築く為に戦う! 散れ、散れぇい‼ 存続すら犠牲無くば成り立たぬ汎人類史、悉く散るがいい‼」

 

 

脇差を何度も突き刺す。黒々とした体液で鎧を汚そうとも構わず、怨敵を誅するような顔で触手に傷を刻む。

 

それをどれほど続けたか。母里友信はふと、怪物からの反撃がない事に戸惑い顔を上げる。

 

視線の先では、悲し気な瞳を向けてくる痩躯の男がいた。

 

 

「……おお、勇敢なる護国の士よ。異邦の騎士よ。尋常に名乗るのであれば、此方も誠意を以ってこの悪名を掲げましょう」

 

「なに…?」

 

「我が名は【ジル・ド・レェ】、守るべきものを見失い堕落した、悪徳の体現者なれば」

 

 

左手に人の皮で出来た魔本を、右手には白銀に揺れる旗を持つ汎人類史の英霊が、母里友信を見下ろしていた。

 

けれど、その眼には如何なる悪感情も宿ってはいなかった。嘲笑も、侮蔑も、同情も。何もない。あるのはただ、対等であろうとする誠実さ。一人の戦士に対する敬意。ただそれだけだった。

 

 

「貴方には義憤があったのでしょう。我ら汎人類史、数千年の人の歩みの中にあって、受け入れられぬ闇を見たのでしょう。しかし、あってはならぬものを見ても、見てみぬふりをしてはいけなかったのです」

 

「……なんだと?」

 

「我ら英霊は等しく人理の影法師。世界に産まれ、生き、死を刻んだ記録。()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「何が言いたい!?」

 

 

かつては少年少女の命と尊厳を玩弄し、悪魔すら怯える所業を働いたジル・ド・レェ。その顔は今や清らかに澄み渡り、一切の邪気をまとってはいない。

 

業を煮やした母里友信が粘液塗れの脇差を引き抜き様に問い質すも、異形に取り込まれつつあるジル・ド・レェは柔和な笑みを浮かべ答えた。

 

 

「確かに、見聞きに堪えぬ業と悪徳に塗れた歴史を悍ましく思うことでしょう。ですが、清らかな水にしか生きられぬ魚は数を増やせません」

 

「……なに?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()退()()()()()()()。人は悪を為し、善を行う生き物なのです。どちらか片方のみでは、歴史を紡ぐことなど不可能だった。善性のみの者は夢物語の中にしかいないように、悪性のみの者もまた御伽噺の中でしか生きられません。どちらも有して初めて、人は人足り得る」

 

「……ではなにか? 間違いを犯し続けることも人である証だと、そう宣うか気狂い!」

 

「ええ、そうですとも! 己の行いを()()()()()()と認められるのが、人の唯一の美徳に他なりません‼」

 

 

怒りのままに弾劾するが、ジル・ド・レェはそれを肯定する。

言葉に詰まったのは、肯定された母里友信の方であった。

 

 

「美徳…? 美徳だと!? 同じ過ちを繰り返す人の、唯一の美徳とほざいたか‼」

 

「人は変わります。良くも悪くも、望もうと望むまいと、前に向かって変化し続けているのです」

 

「知ったような口を‼」

 

 

攻撃らしい動きを見せてこない事を不審に思いながらも、母里友信は脇差で怒りのままに触手を切りつける。それしか出来る事がないとはいえ、死を恐れない抵抗を続ける事に意味を見出そうと必死になっていた。

 

大海魔の頭頂で触手に縛られているジル・ド・レェは、その様子を静かに見つめるばかり。

 

 

「誰しもが夢に見るでしょう。過ちを犯さぬ理想の世、罪業の起こり得ぬ清浄なる治世。後悔を抱える事も無く、悲嘆に暮れる事もない。そんな世界が実現されるというのなら、例え異聞の世であろうとも手を貸そうと思うのも道理」

 

「ええい黙れ気狂いめ! 某や殿の尊き理想を、戯言で穢すでない!」

 

「ですが……過ちを、間違いを抱え苦しみながら生きるのが人なのです。そうでなければ、暗鬱たる歴史を記し、刻むことなど出来ないのですから」

 

「口を閉じろ化け物‼ 某は、某は何としても…‼」

 

「己が行いを『過ち』と認め、間違いを繰り返さぬよう後世に伝える為に歴史を紡ぐ。それこそが人に与えられた贖罪。生きるだけで多くの罪を重ね続ける人間に課せられた、永劫の枷というもの。ですので、貴方の『過ちを正したい』という強い想いそのものが、何より善性である証明に他ならない」

 

「っ…‼ 黙れ、黙れ黙れ黙れぇい‼」

 

 

ゆっくりと諭すような口調に、頭に血が昇った母里友信は怒りを更に燃え上がらせる。

 

聞きたくない。聞いてはならない。

母里友信は、自身が汎人類史の英霊であることを恥じていた。

争いのない世界に召喚された自分が、過ちの証明である気がして。

 

だから、同じ汎人類史の英霊に「そう思うのは当然だ」と認められてしまう事が、何より辛く感じた。

 

 

「何故、何故だ! 何故貴様らは汎人類史に拘る!? 争い無き世のなんと素晴らしき事か‼ 戦の終わらぬ世の、なんと苦しい事か…‼ 某は終わらせるのだ! 戦を、争いを、人の業を‼ 正しく非ざる世界にこそ、救いはあるのだ‼」

 

 

気付けば涙を流していた。

天下統一という野望に燃える、各地の大名らが犇めき合う群雄割拠の生き地獄。人として生まれた者は、大名だろうが平民だろうが分け隔てなく戦乱の坩堝に飲み込まれ、命を落とした。

 

生きることが希望に繋がらない、救い無き時代にあった。生まれてきた時代を間違えたと思うくらいなら、「そんな時代が存在する方が間違いであるべき」と考えるくらい許されてもいいだろう。

 

 

「故に某は立ち上がった! 醜き戦乱、悍ましき闘争繰り返す汎人類史は、いっそ今ここで潰えるがいい‼」

 

 

滂沱の如く泣き喚く母里友信の姿を、ジル・ド・レェは決して笑わなかった。笑うことなど出来なかった。彼の言葉は全て、過去の自分に当てはまるものだから。

 

ジル・ド・レェは聖女ジャンヌ・ダルクに付き従い、フランスに革命を起こさんと戦った。全ては主の御名のもと、誰もが平和に生きられる祖国を取り戻さんが為であった。そのはずだったのに。

 

あれほど愛した国を、己は最期に憎み、呪った。

聖女を奪い、殺した裏切り者。自らの弱さから眼を逸らして。

 

外道に堕ちた。悪魔を宿した。修羅と果てた。

それこそがジル・ド・レェという人間の犯した過ち。

 

誰よりもそれを理解して、誰よりもその結末を悔いているからこそ、ジル・ド・レェは日本異聞帯の在り方を「美しい」と思った。

 

 

「正しいか否か。この二つで、我らと貴方がたを語らう必要はない。汎人類史と異聞帯。双方の生存競争である以上、我らが戦う理由に正否は問われません。在るのはただ、『生かそう』という意思のみ!」

 

 

黒魔術に傾倒した聖なる怪物は、旗を掲げ声を上げる。

 

 

「一度ならず二度までも〝私〟は聖女を裏切った‼ 救うべきを救わず、守るべきを守らず。己こそが何より不条理に苛まれた被害者であると嘯いて! 彼女が護ろうとしたあらゆるものを切り捨てた! ああ、確かに私は悪徳の体現者なれば! 最早神すらも、斯様に穢れた魂に救済の手は差し伸べますまい‼」

 

 

夜空の星々が、小さく瞬く。

彼の掲げる旗に、光の粒が吸い込まれていく。

 

 

「――然らば! 私は例え救われずとも、報いを受けようとも! 今度こそ私は、少女の愛するものを守り通そう!」

 

 

やがて手にした旗から、極彩色の光が放たれる。

黒く染まった空と海の狭間にて輝く其は、まさに救世の御印。

 

 

「救世の聖女の従僕たるジル・ド・レェの名に於いて! 我が身の総てを捧げ、マスターの道行きを、少女の未来への歩みを……身命を賭して繋ぎ止めよう‼」

 

 

神の宣告と慈愛を以って衆生を救済す。

それこそが、彼の愛した聖女の在り方。

聖女の信仰に殉じる従軍の長たる彼に与えられた、もう一つの宝具。

 

――『神聖なる旗に集いて吼えよ(セイント・ウォー・オーダー)

 

本来は剣士(セイバー)クラスのジル・ド・レェが保有する自己強化型宝具である。

自身が最も輝いていた聖女の従僕時代の在り方を再現するもので、ステータスアップ効果と共に、目標敵の完全沈黙まで自動攻撃を行う。

 

だが、それはあくまで宝具としての効果。

魔術師クラスの彼には失われた宝具であり、正確な意味では効果が発動しているわけではない。

 

これは言わば、ジル・ド・レェの決意表明。

神に、聖女に、この場に居ないマスターに。そして、異聞帯の為に矛盾を抱え戦おうとする目の前の戦士の為に結んだ誓い。

 

彼は、見せつけた。

汎人類史の英霊として、過ちを犯し続けた反英霊として。

間違いを認める善性を。報われないとしても歩き続ける強さを。

 

 

「――貴方は赦せないのだろう、己の過ちを。されどそれは私も同じ。私は私を赦さない。神も、人も、後世まで続く歴史すらも私を決して赦しはしない。ですが、このように。赦されずとも、『そういう者がいた』と残ることは許される」

 

 

巨大海魔の膨大な触手は、母里友信に一本たりとも向いていない。全ての触手は、空へ浮かび続けようとする日本列島を縛り、引き留めることに全力を注いでいる。

 

真の意味で、母里友信とジル・ド・レェの戦いに勝敗は着かない。どちらも相手を攻撃できず、逃げることも不可能。だからジル・ド・レェは語ることにした。

 

異聞帯に手を貸す者に、汎人類史の「汚点」に数えられる己が。

 

 

「そうです。私も貴方も気付かなかっただけで―――世界はこんなにも、愛に満ちていたのです」

 

 

赦されぬ者にも居場所はある。救いはなくとも、救えはする。

悲観ばかりに囚われず、その眼を向けるべき場所は広く大きい。

 

闇に堕ちたはずの元帥は、三度目の過ちを繰り返さぬ為に世界を支える人柱を望んだ。

 

いくら令呪による魔力のブーストがあっても、特大の海魔を召喚し続けながら、浮かび上がろうとする列島を丸ごと力づくで引き留めるという行為が命取りにならないはずもなく。

 

既に海魔へ霊核すら食わせて現界を保っていた彼も限界を迎える。少しずつ、ジル・ド・レェの肉体が光の粒となって綻んでいく。サーヴァントとしての仮初めの生を終えた証、明確な死の前兆だった。

 

 

「なっ……貴様、正気か!?」

 

「気狂いだと仰っていたのはそちらでしょう?」

 

 

微笑みながら消えていく相手に、母里友信は槍を握る力をなくしていく。

 

初めから奴は、敵対する為の姿を見せたのではない。話す為に、話し合う為にやって来たのだ。どうあれ己が死ぬと理解していながら、それでも。

 

 

「何故だ!?」

 

 

問わずにはいられなかった。

敵対しているのに、何故話し合おうとしたのか。

身動きの取れない自分を、押し潰すこともできたのに。

 

母里友信の問いかけにジル・ド・レェは優しく答える。

 

 

「私も、当初は海魔の質量に任せて貴方ごとその槍を砕くつもりでした。ですが、何と言うべきか。神を呪い果てたはずのこの霊基であっても、聖女と在った頃の精神性を取り戻す稀有な状態でいられた。この偶然の様な奇跡に、私は賭けてみようと思ったまでです」

 

「賭ける…? 何に?」

 

「………愛に」

 

 

真っ直ぐな瞳を向けられる。

母里友信は、槍から手を放しそうになった。

 

愛。愛。この男は、愛に賭けたと宣った。

それが、()()()()()()は、言葉にされずとも理解できた。

 

 

「……くっ」

 

 

きっとこの男は、押し潰す為にやって来た。

しかし、愛に賭けて語らう事を選択し、結論付けたのだ。

 

母里友信と言う英霊の、人類への愛に賭けた。

 

間違いだらけで救いようがない、と彼は叫んだ。

言葉の裏に見えるのは、人類への期待と慈愛。

 

愛が無ければ憎しみは生まれてこない。

憎む感情こそ、愛の裏返しである証明。

 

ジル・ド・レェはその一握りの愛に運命を委ねた。

 

 

「汎人類史と異聞帯。生存競争である以上、立ち塞がる者を倒して進むは必定。しかし、語らい、分かり合い、心を通わせることも主が人に与えたもうた奇跡なのです」

 

「………某に、槍を捨てろと申すか」

 

「過ちを見続けた貴方だからこそ、これからを歩む人の道標に相応しい」

 

「……それで、貴様はその歩みの礎にでもなろうという腹か?」

 

「罪には罰を、悪徳には裁きを。赦されないとは、そういう事ですので」

 

 

輝きが増していく。体の輪郭が解けていく。

反英霊ジル・ド・レェは、ここで終わる。

 

母里友信は、目の前で消えていく男の表情を目に焼き付ける。

 

 

――悔いなく逝くとは、こういうものか。

 

 

同じ汎人類史の英霊でありながら、敵同士という関係だった。

言葉を交わした回数など両指もあれば事足りる。その程度の関わり。

 

 

「ともに、世界を……救いましょう」

 

 

それでも母里友信は、英霊ジル・ド・レェの消滅を見送った。

 

 

「……………」

 

 

霊核の崩壊に伴い、大海魔も同じように霞と消える。

後に残ったのは、未だに天へ逆巻く大渦と、微かに握った槍のみ。

 

母里友信は、思考する。

 

 

「…………」

 

 

汎人類史は争いが絶えず、己が没後の遥か未来にまで戦乱は続いていた。それもより広大に、より冷酷に、より自動的になって。失われる命の数も規模も、増していくばかりで減ることはない。

 

呆れ果てた。見下げ果てた。だから異聞帯に希望を見出した。

そのはずだった。第二の生における主君との出逢いもあった。

だというのに今は、自分の行いが「正しい」ものかも分からない。

 

 

「………某は」

 

 

何度も見た。繰り返される流血を、嫌になる程の殺戮を。

戦いたくて戦ったのではない。理想を、平和を勝ち取らんとした。

ただそれだけに命を燃やして槍を取った。命を、奪った。

 

その末路が、打ち捨てられた世でのやり直し、だと?

 

 

「――()()()()()()

 

 

ぎゅっ、と。

槍を握る手に力がこもる。

 

 

「ああ、そうだ。それは間違いだ」

 

 

母里友信は血が昇り切っていた頭を振り、冷静さを取り戻す。

教え諭され、此処で彼はようやく自分らしさを見つめ直した。

 

 

「出来ぬから諦めるなど、孝高(よしたか)様に首を撥ねられてしまうわ」

 

 

心の奥底から漏れ出たような、柔らかな笑みを溢す。

 

 

「そうでは、ないな。ああ、出来るまで諦めぬのが真の武士よ」

 

 

斬るべきものを誤っていた脇差を戻し、両手でしかと槍を握り直す。

そして一息の間をおいてから――槍を横薙ぎに振るい、大渦を断った。

 

 

ごうごうごう………びゅおおおぉぉ‼

 

 

海水が弾け飛び、彼の周りにだけ大雨が降り注ぐ。

その中で鎧をまとう大武者は独り、清々しい面持ちで笑っていた。

 

 

「はっはっはっは! そうであったわ! 某は母里友信なれば! 何より某の信ずるものが、日本(ひのもと)一であらねばなるまいよ‼ そうとも! 初めから某は、日本の武士なり!」

 

 

日本は戦国の世を終えてなお、戦火に飲まれ悲惨な未来を迎えた。

辛かろう。苦しかろう。嘆かわしかろう。痛ましさに涙も流そう。

そんなものの無い世界があれば、そちらの方が断然良かろう。

 

だが、血みどろの沼底にあってなお、人々は幸福に邁進した。

希望を胸に、苦労を抱え、それでも未来に向けて歩む人の、なんと強壮たる様か。

 

死人のお節介なぞ、無用の長物。

無益に続く鉄火場を作ったのも人だが、そこから平穏と幸福を祈り掲げて未来を創り上げたのも人であった。

 

それが、それこそが己の産まれ落ちた汎人類史なのだ。

 

 

「何が強き日本、何が不敗の日本! くだらぬ! まっことくだらぬわ!」

 

 

最初からずっと、日本は強い国だった。

 

 

「戦の無い泰平の世なぞ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()‼」

 

 

呵々大笑、そうやって笑い飛ばす。

もう、宝具の真名解放は取り止めた。

そうなれば日本列島を浮かび上がらせる力は無くなる。

 

島と同じ名前の槍、【日本号】を膨大な魔力によって島と同期させ、それを持ち上げることによって島を浮かばせていた。

 

それこそがゼベル・アレイスターの目論む『人理抹消』計画の先駆け。最重要点であった。

 

何が何でも守り抜くべき場であったにも関わらずランサーに任せた。その驕りこそ、最大の失態。

 

 

「主君を裏切るなぞ、生前であれば考えつきもせなんだが……今の某は影法師。なれば武士の名に恥じようと、母里友信の名に恥じぬ行いをせねばなるまいて! ふははははっ!」

 

 

そして――背反が何を意味するか。

考えの及ばぬほど母里友信は莫迦ではない。

 

 

ぞぞぞぞ………じゅぐぐ、ごぼぉっ

 

 

何処からか、這いずるような音が聞こえる。

波ではない。風でも、潮騒でも、どれでもない。

音は彼の体の奥、霊核の中心から響いていた。

 

 

「ああ――然り。裏切者には当然の報いよ」

 

 

霊核が内側から、何かに侵されていく。

心臓の鼓動とは異なる、不規則な胎動を感じる。

胃の内容物が血管に入り、全身を巡るような不快感。

悪寒が渦を巻き、徐々に体外へ染み出ようとしている。

 

母里友信は瞳を静かに閉じ、再び目を開いて身体を見下ろす。

 

じゅる。ぐじゅる。

ぼこぼこっ。ぷちゅっ。

ぐちゅぅ。ねちょ。

 

鎧や具足の隙間から食み出るは、黒々とした異形の四肢。

いや、腕とも足とも判別のつかぬ肉の枝が皮膚を突き破り出てきた。

 

 

『力及ばず倒されたなら分かるがな。寝返り、役目を放棄するとは思わなんだぞ。まさに役立たずとはこの事よな、ランサー』

 

「……何とでも申せ、悪鬼め。某は目覚めたのだ」

 

『ほう? 何に目覚めたという? 己が浅はかさにか?』

 

 

聴覚からではないが、声が聞こえた。

内側からじわじわとエーテルの体と霊核を浸食する不快な力の根源に、無理やり声を聴かされているような感覚に、母里友信は吐き気を堪えて虚勢を張った。

 

 

「悪魔のような男によって、某は愛に目覚め申した」

 

『………愛、だと?』

 

「然り」

 

 

頭蓋に釣りたての魚を突っ込まれたような、臓腑が四方八方へ膨らみ跳ねる感覚を味わい、穴という穴から血を吹き溢す。

 

視界が赤く染まり、耳は遠のき、思考は靄がかかって回らない。

それでも母里友信は、立ち続けた。

 

理由はない。ただの意地だった。

 

 

『……戯言を。(ゴミ)のように死ぬがよい』

 

 

ごぼごぼぼっ! ぐじゅぐじゅじゅるっ!

 

 

そして、冷淡な()()()を最後に、母里友信の意識は潰えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こえが、きこえる

 

 

「――何故だ。どうしてうまくいかない!?」

 

 

こえが、きこえる

 

 

「これまでで一番の出来だったはずなのに! 魔力の質も出力も全てが今までで最高値だった! どうしてこうなるんだ! 何故、何故弱ってしまうんだ…‼」

 

 

こえが、きこえる

 

 

「私の理論は、一族の研鑽は完璧なはず…‼ お前が、お前の存在がやっとこの果てしない魔術の道程に光を照らしてくれたというのに…‼ 何故だぁッ‼」

 

 

こえが、きこえる

 

 

「間違ってはいない…間違いなんかじゃないんだ。出来損ないでも弱小だろうと、使ってきた魔術師どもの魔術回路は全て癒着した! それらを十全に扱えていた!」

 

 

こえが、きこえる

 

 

「動物実験は上手くいってた! 動植物の優れた部品は組み込んでやった! 筋繊維、血管、臓器、使い魔の骨肉まで使ったんだ! 〝器〟は充分なはずだろう!?」

 

 

だれの、こえだろう

 

 

「どうして次第に弱るんだ……また元の様に痩せ細るんだ!? 何が足りないというんだ!? いったい何が‼」

 

 

だれの、こえだろう

 

 

「……すまない。分からないんだ。どうしてもお前を救えない。不甲斐ない父を赦してくれ、赦してくれ…!」

 

 

おとう、さん?

 

 

「私はアミソーダロスとは違う、完全なるものを目指している。()()()()()()()()()んだ。誰よりも私がお前を一番分かっているというのに、どうしてお前は完全なるものにならないんだ…」

 

 

おとうさん、おとうさん

 

 

「我が一族の悲願を果たすには、お前の『起源』が不可欠だ。だからお前の欲しがるものは何でも与えた。小さい頃から、私は可能な範囲でお前に与え続けてきた」

 

 

ねぇ、おとうさん

 

 

「犬が欲しいと言ってたな。五歳の頃だった。だから、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

くるしい

 

 

「七つの時は母親が欲しいと泣いてせがんできた。だから、魔術師の女と再婚して()()()()()()()を与えた」

 

 

くるしい

 

 

「友達が欲しいと言ってたのは十歳の誕生日だった。苦労したんだぞ。お前と同年代の男の子を捕まえて、()()()()()()()()()()()()()()を縫合するのは」

 

 

くるしいよ

 

 

「珍しい生き物が欲しいとねだったのは、お友達を十人ほど与えた後くらいだったか。お前の気に入りそうな生き物を各地から寄せ集めて、優れた部分を与えてやった。今だってそうだ。もう何年と続けている」

 

 

くるしいよ、おとうさん

 

 

「……お前にどれだけ与えたか、数え切れないほどだ。なのにどうしてお前は、最後にはまた生まれた頃の様に白く痩せていく?」

 

 

たすけて

 

 

「何が足りない? まだ足りないものがあるのか?」

 

 

たす、けて

 

 

「――分からない。私にはお前が、分からない」

 

 

ああ

 

 

「はぁ……今日はこれぐらいにしよう」

 

 

わからない?

 

 

「気を落とすな。理論は完璧なのだ。不足しているものを見つけるだけで必ずや悲願は、『人工の神秘』が完成に至るはずだ」

 

 

わからない?

 

 

「明日からはもっと素材を吟味して――ん?」

 

 

わからない?

 

 

「どうしたゼベル、目が覚めてしまったのか?」

 

 

わからない、わからない

 

 

「心配するな。今度はうまくいく。さぁ、もう寝なさい」

 

 

わからない、わからない、わからない

 

 

「そうだ、ゼベル。明日は体調が良ければ博物館にでも行こう」

 

 

わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない

 

 

「だからいい子に………なんだ、どうした!?」

 

 

わからない

 

 

「おいゼベル! 何があった!? コレはいったいな――」

 

 

わたし は わたし

 

 

「ぁぁ、ああああッ! 私の身体が、()()()()()―――!」

 

 

わたし で ない おまえ

 

 

ゼベル! ゼベル! 止め――」

 

 

おまえ は わからない

 

 

「ぉぁ―――ぐぼ――まざ―――る」

 

 

おまえ は わたし

 

 

「ぁぁ、ぁ」

 

 

わたし は わたし

 

 

「ぉ」

 

 

わたし は わたし

 

 

ぼく は きみ

 

 

おれ は おまえ

 

 

すべて は ひとつ

 

 

「――――ぁ、ぇ」

 

 

すべて が ひとつ

 

 

「お、れは………あれ?」

 

 

まざる が まざらず

 

 

「いつの間に寝てたんだ、俺」

 

 

ほどけて とけて

 

 

「ここ、どこだ? 俺の部屋じゃねぇし」

 

 

やがて は ひとつに

 

 

「ってか親父殿の工房じゃねぇよな…?」

 

 

すべて を ひとつに

 

 

「入ったのバレたら怒られる! 戻らねぇと!」

 

 

わたし と ひとつに

 

 

「……なんか聞こえたような?」

 

 

わたし は わたし

 

 

「………ま、いっか。それより今日の昼飯なにかなー?」

 

 

すべて は わたし

 

 

 

 

 







いかがだったでしょうか!


新年初投稿が出来て良かったです!
皆様は福袋でお目当ての鯖と出逢えたでしょうか?
私はクイック四騎士でメイド王以外が出れば当たりでした!

メイド王以外が出れば当たりでした‼(血涙)


亀投稿で申し訳ありません。
ですが時間を見つけて今後も完結まで何とか続けていくつもりですので、応援よろしくお願い致します!

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