私ことオリバーには、前世の記憶がある。
幸いにも裕福な生まれとなったので、好きに二度目を生き切ったら……異聞帯でサーヴァントすることになりました。

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三度目の生はサーヴァント

 二度目の人生を経験することになった。

 

 新たに生まれた時代はよくわからないが、日本ではないことは町並みや文化を見ていてよくわかる。

 

 黒い色だった髪の毛は、今生では透き通るような銀髪に。良くもなく、悪くもなく、これと言って特徴がなかった私のソース顔は、端正な美しい西洋風の顔に変わっている。

 

 ああ、前世でこの顔であったならば、相当モテたことだろう。

 

 おまけに今生の生まれは裕福な家の出なので、遊んでいても余裕で暮らせる。ご先祖様のスネをかじり続ければ生活的問題は皆無、当然就活なんて必要ない。社会的地位も、ばっちりな生まれながらの勝ち組コースだ。

 

 白すぎる肌はまるで陶器の人形のようだと、成長した自分が映る鏡をみて思い至った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 前世はサラリーマンの息子、特に秀でたものはないが、本が好きで一週間に二三冊は読んでいた。

 自分がいくつで亡くなったかは覚えていないが、あまり長生きできなかったことは覚えている。

 

 酒も飲まず、タバコも吸わず、ギャンブルもしない。なにか趣味があったかといえば、散歩や映画を見ることが好きだった。

 

 

 

 恋人はいない。異性の友人はいたが、恋人がほしいとまでは思わなかった。

 考えてみると、私の周りの友人は恋人のあるなしの話題ではなく、政治や学問、文学に異文化理解、アニメに漫画に映画などといった話題を好んでいた。

 

 そのために特にコンプレックスに陥ることもなく、危機感を覚えることもなく、性の衝動で突き動かされることもなく。

 おまけに一人でいることが気負わずに好きだったために、恋人や配偶者を求めることはなかったのかもしれない。ああ、このままでは孤独死一直線だっただろうに。

 

 「しかし、暇だなぁ」

 

 ここは自分が生きていた世界と比べると、ずいぶんと原始的な世界だった。

 ここが今で言うところの何の国かもわからないが、蝋燭の火で部屋を照らし、キレイな星空を眺めつつ、本に視線を戻した。

 

 そうしてしばらく経った後、生きがいの一つとして自分が本を書いてみるかと思い至った。

 それは名づけて『知識の書』。安直な名前ではあるが、直球のほうがこういうのはいいじゃないか。

 書かれるのは自分にとっては、現代にとっては当たり前の雑学だが、この世界では考えられない世界の常識だ。

 

 しかしただ書くだけでは面白みもなく、見ていてわくわくもしないだろう。

 

 なのでここは思いっきり嘘を書く。どんな嘘かというと、ありとあらゆる人あらざる存在から教えられた形でその知識を綴っていったのだ。

 

 思うに、ただつらつらと自分の記憶を書き綴っても、書いてる人も見ている人も楽しくないだろう。

 所謂うさんくささというものが、人の想像を掻き立てて話題性をあげてくれるに違いない。

 

 人狼が私へ、「この世界は一つの星であり、名を地球という。そしてその星は丸いのだ」と教えてくれる。

 

 ドリアードが私へ、「この世界は地球を中心に回っているのではなく、地球が回っているのよ」と教えてくれるのだ。

 

 神の啓示を受けた聖人が「見えない小さな生物が病気となって我々を襲っている」と教え、それにどう立ち向かうのかを細かく細菌学と予防医学を教えて我々を祝福してくれた。

 

 悪辣な魔女が「人を操るのにはこうしたらいいのよ」と、魔術が使えなくとも人を動かせるように心理学や犯罪学、社会学などを教えて微笑んだ。

 

 ある翼人が人が空を飛ぶための装置を、ある神が人体の構造を、あるグールが人の体の機能を、ある戦士が武器や戦術を。

 

 現代において先人達が未来に残した知識を、思い出すままにファンタジーな存在に語らせた。もちろん、自分は天才ではないのだから細かい内容は覚えていない。覚えていないところはそもそも書かなかったり、意味深に語り人が濁したりする。

 

 そうして本を一冊作り終えて感動し、二冊目を書き終えたあたりで限界を感じた。

 

 あかん、教えてくれる語り人が全然足りない。

 

 たった二冊目にして私のキャラの発想は尽きてしまった。最後あたりは豚や牛、そこらへんを飛んでいたハエにまで語らせるという、ファンタジー皆無な無節操ぶりをさらしたのにも関わらずこれだ。

 

 そうなってくると、今度は現代における二次元のキャラクターまでパクり始める。

 

 どっかの幕末で暴れてそうな日本剣士やら、海賊王のお宝を探す麦わらの男、無鉄砲無節操な下町の兵隊に、死神の仕事を肩代わりする人間や、宇宙からやってきたサキヤー人など、もういろいろとめちゃくちゃである。

 え、どこかの少年漫画雑誌みたいだって?いやいやとんでもない、ちゃんとサンデーやらマガジンやら他からもパクっているから安心してほしい。

 

 しかも雑学のネタも尽きてきたので、今度はキャラクターという存在それ自体に焦点をあてて、自分の信念や想い、来歴まで語らせ始めることで文章を増やす。

 

 つまり、記号化されたキャラではなく、より深みをました個性や人間性をキャラにもたせたのだ。

 

 そうして5冊目を書き終えた時に、旅人がわざわざ自分のもとを訪ねてきた。なんでも自分の雑学本の読者であり、現代で言うところのファンだという。

 

 あなたは本当に彼らと出会ったのかという言われたので、いまさら嘘だと言えないからそうだと答えてあげると、彼は喜んでこう言ってきた。

 

 「私はあなたと会話したという───の話が聞きたかったのだ。是非、もっと話してはくださらないだろうか」

 

 彼がいうキャラというのは、某スタンドでオラオラ無駄無駄する漫画の主人公をぱくっ……。いや、参考にして作り上げたキャラだった。

 まるで実在するように書かれているので、旅人はその存在を確信し、より彼の人生観や戦い方を知るべくわざわざ遠くからやってきたらしい。

 

 えー、話すのは面倒くさいなぁと嫌な態度を露骨に見せてあげると、なんとお金が詰まった小袋を差し出してきた。

 

 ほうほう、こんなに、へぇ。いいとも!何でも聞きなさい!私はそういう探究心あふれる君みたいな人が好きなんだ!

 

 それ以降はその旅人と同じように、様々な人間が私の下を訪ねてきては、本の雑学やキャラのことを質問した。自分の知識は完璧ではないが、わからないところは聞かなかったり濁されたように伝えればいい。人によっては全く答えが違う話を伝えたかもしれないが、インターネットも録音機もないのだから誰に何と言おうと確かめられはしないさ。

 

 ただ、そういうやりとりを続けて生きる中で、何度かどこかの国の王族が現れた時には驚いた。なんとか違和感なくそれらについて語り、満足して帰って頂けたが、心臓はなりっぱなし顔は引き攣りっぱなしである。

 

 こう考えると、自分は役者として才能があるのかもしれない。あ、そうだ。今度はアイドルやら歌手のキャラと語らせよう。それがいいや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第二の人生はだいぶ無責任に生きた。

 

 好き勝手言いまくり、好き勝手書きまくった。こんなことでも金になって生活に困らず、賢者扱いされてちやほやされるもんだから最高だった。

 

 しかし、最後まで人生とは上手くいかないものだ。

 なんとどこかの宗教戦争に巻き込まれ、異端者認定されてしまったのだ。

 

 逃げに逃げたが異国の地で追い詰められてしまっている。そのうちもう十分かと思い至り、二度目があるから三度目の人生もあるだろうと勝手に信じて、目の前に毒の入った酒を用意した。

 

 下戸なんだか、手元にあるのが先程ファンからもらった酒しかないのだからしょうがない。

 ま、人生なんてこんなもんだと一気に酒をあおり、苦しみに苛まれながら血を口から吐き出した。

 

 人間五十年と言ったのは信長だが、それより少しは長く、前世よりは二倍以上も生きられたから上出来だ。次は願わくば寿命で死にたいと願い、壁に寄りかかりながら笑い、意識が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……お前が、あの、【真理の求道者】なのか」

 

 随分とまた、自分に似合わない名で呼ばれたものだと苦笑する。

 

 目の前には二人の男女。

 ボサボサの髪、感情の激しい目の下には黒い隈が見える少年。

 美しい顔と白い肌、ひと目見て王族の威厳を佇まいから感じさせる少女。

 

 「……ん?ああ、知識があるのか。私程度が世界に記録され、しかも大それた名前で呼ばれ、こうして請われるなどあっていいものなのやら。しかも私は……キャスターなのか。性能で文句言われそうだなぁ、そのクラスは魔境だというのに」

 

 警戒する視線を浴びながら、服装を確認するとなんともや痛々しい格好であった。なんだこれは、何かのコスプレだろうか。私は顔の面の厚い人生を二度目に送ってしまったが、心はガラスなんだぞ。

 

 手を目の前で回してみれば、シワはなくはりのある肌だった。

 

 サーヴァントは全盛期の姿で降臨するらしい。ならこの本を書き始めた時の若い私が、最も完成されて成熟した姿なのだろう。

 

 生涯中二病になっていたようなものだったからしょうがないのだが、なんかもやもやするぞ。

 

 「まぁ、いいさ。全て知っているから大丈夫だ。しかしそうか、そういうこともあるのだなぁ。異聞帯で、それもクリプター側に立つなどよう意味がわからない。ああ、だいぶ前だから記憶が曖昧だが、こういうのは普通は人理焼却からはじまってゲーティアを倒す旅を始めるのが通例じゃないのかね」

 

 二人揃ってたいそう驚いた顔をされたが、それよりも寒さだ。寒くて死にそうだ。

 

 「お前は、全て、全て知っているのか」

 

 「それは空想樹か?せまりくるカル、カル、カルデア……あってるのかこれ?ん、あってるのか。そう、そのカルデアとこれからやり合うことか?お前があの雷帝とやり合う機会を伺っていることか?」

 

 どれなんだと尋ねても、絶句するばかりで言葉が帰ってこない。

 

 お隣のラーメン大好き少女だったかに視線を向けても、マスターの前に出て私を警戒するばかりだ。お前らが接触を図ってきたのだろうに、なんか酷くないか。

 

 「まぁいい。こんな寒いなにもない雪山から離れることができれば、私程度のメンタル弱小サーヴァントはすぐに手を貸してあげるとも。ああ、自己紹介がまだったか。カドックとアナスタシアで良かったか?私の記憶に誤りはないか?無いようだな、うん、そう何度も驚かなくていいよ、どうにもスキルで勝手にわかってしまうのさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私はキャスターのサーヴァント、真名はオリバー、ただのオリバーだ。よろしく頼むよ、ロックを愛する青年よ。そういえば、人類史をぶっ飛ばしている現状でロックという趣味の継続はできるのかい?」

 




そういえばfate系二次創作オリ主ものやったことなかったと思いたち、一時間半かけて作りました。
また時間ができたらぼちぼち頑張ろう。

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