それではどうぞ!
空っぽの人生だったと言えた。
この世にごく普通の人として生を受けてここへ至るまでの軌跡をなぞって行くとその答えにたどり着いた。
親に愛されて無かった訳ではない。寧ろ両親は私を大切にしてくれていっぱいの愛情を注いでくれた。
友達がいなかった訳でもない。少なからず心を許して話せる友達も親友もいた。
好きなモノが無かった訳でもない。趣味と呼べるモノは色々とあった。
ただ、私には一つ人として欠けているモノがあった。
私には夢や目標が無かった。
小学生の時、「将来なりたいモノは何?」と聴かれた時、私は答えられなかった。それなら良くあることだと思うかもしれない。時間がたてば解決することだと思うかもしれない。
だけど、中学、高校、大学に進んでも私は夢を見つけられなかった。
漠然とした未来にただただ年を取っていくだけの人生。気付けば私は大人となって、何処にでもある中小企業に就職。毎日をただ機械の様に同じ仕事を繰り返し、繰り返し、繰り返し行う。
それを私は…
「こんなものか」
と受け止めた。そこで気付いた。
私には生きることへの執着が無いことに。
きっと今この場で死んだとしても私は後悔もなく死ねるのだろう。…いや、訂正しよう。少なからず後悔はすると思う。だけどそれも結局、私にとっては小さいことでしかない。だから私は死でさえも簡単に受け止められてしまうのだろう。
そして私は今日も機械の様な毎日を繰り返す。
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その日の帰り道。珍しく定時に帰ることができた私は自宅に向かって歩いていた。帰路は体が覚えてくれているので私はただ車などが来たときの為に少し周りを注意していれば良い。
あぁ、きっと私はこの同じ動作を死ぬまでつづけるんだろうな。
ふとそんなことを思った。別段それが嫌な訳ではない。ただ当然と受け入れられる未来を口にしただけだ。特に悲しいとか辛いとかそう言った感情は沸かない。
単にそれが“普通”と思う程度だ。
そんな時、視線の隅でボールが転がっているのが見えた。よく子供が遊ぶ時に使うような物だ。それを追いかける小さい女の子。
そして
そこで私の意識は一度暗転した。
気づくと私は地面に倒れていた。
一体何が起きたのだろう?
体を起き上がらせる為に腕に力を入れる。が、上手くいかない。むしろ体に力そのものが出ない。状況を確認するため目線を頼りに周りを見る。
地面には真っ黒な跡と真っ赤な液体、壁に座り込み此方を驚愕の眼差しで見つめる女の子、そして地面に倒れ動かせない私の体。
それだけで十分だった。
あぁそうか…、私は轢かれたのか。
酷く冷静だった。普通ならもっと取り乱したり叫んだりするはずなのに私はそれをしなかった。轢かれたと自覚してから体中のあちこちに激痛が走る。特に頭は別格に痛い。とても熱いので血が出てるんだろう。
ジリジリと死が迫っているのが感じられた。脳裏に私のこれまでの人生…二十数年の走馬灯が足早に流れる。
死ぬのかな…いや確実に死ぬんだな。
流れ終わった走馬灯を見て死を実感する。それを私は…
「…まぁ、いっか」
受け止められてしまった。徐々に冷たくなる私の体。周りが騒がしくなる。散歩途中の老人や部活帰りの学生などが集まり私の安否を必死に確認していた。顔も知らない人であれ最後に誰かに看取られて死ねるのが嬉しい事を感じながら私は意識を手放そうとした時…
女の子の母親と思われる女性が女の子を強く抱き締めているのが見えた。女の子は依然として私を見ている。
そうだ、あの子の人生はどうなるんだろう?
きっと私が死んだことを負い目に感じるのだろう。心に一生取り除けない傷を抱えて生きていくことになる。もしかしたらそれが原因で不幸な人生を送るかもしれない。
それはきっとダメだ。私みたいに夢を持てなかった人生なんて歩ませちゃいけない。だけど今の私にはどうすることも出来ない。意識が薄れていく。
ならせめて願おう。神様でも仏様でも何だっていい。だからどうか…
あの子の人生が幸せなモノになりますように。
そして私の人生は終わった。
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―うん、その願いはとても美しいと僕は思うよ。
―夢を持つことのなかった“君”が最後に一人の少女の夢を願う、とても美しい光景だ。
―だけどそれはトゥルーエンドではあるけどハッピーエンドではない。
―幸せに輪が存在するのならその輪に君自身が入らなければハッピーエンドには至らないんだ。
―だから僕は君に
―実は此処とは違う別の世界でちょっとした厄災が迫っていてね?それもその世界の星がまるごと星としての機能を滅ぼすほどのね。
―本来なら
―まぁ~ぶっちゃけた話、件の問題が出てどうしよっかな~て考えてる時にちょうど偶然君が此処に迷い混んだから押し付けようとs痛っ!?
―こら、キャスパリーグ!人が話してるときに鼻の先端を引っ掻くとは何事だい!?
―何?そんなんだったら私が行けって?
―HAHAHA、
―止めないかキャスパリーグ!その鼻の先端に当たるか当たらないか微妙な距離で引っ掻くのを止めないか!地味に痛い!
―ん″ん″!とまぁそんなわけで代役をよろしく頼むよ。
―あぁもちろん。身一つでなんて行かせないよ?どうやら向こうの世界には
―僕がちょっといじって
―世界そのものが違うのならサーヴァントの制限も大分緩くなるはずだからね。
―僕としても出来るだけいじりやすいモノを用意するつもりだから。
―さて、それじゃそろそろ行くと良い。文字道理の第二の人生をね。
―願わくは向こうの世界で君が幸せを掴めることを祈ってるよ。
―じゃ、いってらっしゃ~い!
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目が覚める。
なんだかとても大切な夢を見ていた気がする。だけど内容はほとんど覚えてない。所々に
とりあえず周りを見渡し状況を確認する。
ベッドに横たわっている私。色々な計器が周りをひしめき合っている。点滴と思われるモノが私の腕に繋がれている。
それらを見渡した後、上を向いて一言。
「…知らない天井ですね」
[リディアン音楽院地下、特異災害対策機動部二課元本部、医務室]にて私はそう呟いた。
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