仕事の環境が変わったり、病院に通院するはめになったりで書く時間が無かったのが原因です。
今後も遅れそうですがよろしくお願いいたします。
それでは続きをどうぞ!
「罰則を与えて欲しい…だと?」
「はい」
決闘の日から翌日。仮設本部内指令室で私は弦十郎さんにそうお願いしていた。
「以前のアジト調査の失態、今回のウェル博士の逃亡の見逃しとヒビキの負傷。全て私の現場判断の軽率さによるものです」
「軽率…だがあの時君は…」
「例えどんな理由があろうとも結果と事実は変わりません。更に言えば私はあの時、捕縛対象であったウェル博士の殺人未遂も犯しています。ツバサとクリスが止めてくれなければ間違いなくそれは未遂では終わっていなかった」
「どうか、私に処罰を。愚かな私が猛省できるだけの罰を与えてください。お願いします」
「ふ~む…」
弦十郎さんは座っている椅子に大きく体を預け、腕を組んで考え込んでいる。奥の席で友里さんと藤尭さん、緒川さんの三人が心配そうにこっちを見ている。
あぁ…、今回の件で私は信用を失った。
取り戻すには相当苦労するだろう。だけどこれは今後の為にも私が受けないといけない罰だ。
「…分かった。そこまで言うのならお前に処罰を下そう」
弦十郎さんは椅子から立ち上がって私の目の前にまで歩いてくる。私は手を後ろで組んで姿勢を正す。
「セイバー、二課の責任者たる俺からお前に対する罰則を言い渡す」
「はい」
果たしてどんな罰だろう…。良くて謹慎、悪くて二課を辞めさせられて警護と言う名の軟禁かな…?
「今度響君達とトレーニングする時にお前も一緒に参加する事だ」
………へ?
「実は前々からお前の身体能力が気になっていてな!戦闘訓練はしているが純粋な運動力はどれ程のもんかと思ってな!いい機会だから測定も兼ねてやろう!あぁもちろん、設備はこっちで揃えておくかr」
「ま、待ってくださいゲンジュウロウ!」
ウキウキで喋る弦十郎さんに私は制止の声を上げた。
「ん?どうした、何か不満か?」
「不満もなにもありません!なんですかそれは!」
「何って俺が今さっき考えたお前への罰だが?」
「それは罰ではありません!私は自分を諫める罰を与えて欲しいと言ったのです!」
「なら僕からも一ついいですか?」
私が弦十郎さんに抗議している間を緒川さんが割り込んできた。
「実は今度、翼さんの写真集を出す事になりまして、その友人役のエキストラをセイバーさんにお願いできますか?」
これまた罰とは程遠い提案が出てきた。
「あ!それなら私この前、新しいコーヒー豆を買ったので味見役をセイバーさんにお願いします!」
「じゃあ俺はクリスちゃんの為に作ってるって聴いた料理のレシピとか教えて欲しいです!」
今度は友里さんと藤尭さんまでもそんな
「み、皆さん…」
胸の奥がジーンとする。てっきり失態続きの私に失望したんじゃないかと思っていたのにそれをいい意味で裏切られたからだ。
徐に弦十郎さんの手が私の肩の上に乗る。
「誰もお前の責任なんて思っちゃないさ。むしろお前の活躍で[ネフィリム]の撃退に成功している。[F.I.S]が何を企んで月の落下から人類を救おうとしているかは未だに分からないが、子供を犠牲にしてまで救った世界を俺は大手を振って歩きたいなんて思わん」
「はい。そうならない為にも調査部も今全力をもって調査中です」
「そうそう!それにここだけの話、セイバーさんがウェル博士をぶっ飛ばす所、あれ結構スカッとしたんですよね!」
「まぁ、あんまり大人が言う事じゃないけどね」
あぁ…、私はなんて恵まれてる人間なんだろう。こんなにも慕って、こんなにも信じてくれる人達がこんなにもいるなんて…。
「おっとセイバー!今言った内容は全部お前に対する罰則だからな!拒否権は無いと思え!」
「はい…!」
彼らの為にも私は頑張らないと!
私は一歩さがってから片膝を着いて俯いて忠誠を誓う姿勢を取る。たぶん
「
そんな私の姿に弦十郎さん達は、少し苦笑しつつも暖かく見守ってくれた。
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私が罰を宣告されてから更に翌日。私は新しい任務に就いていた。
響ちゃんの監視だ。
別に響ちゃんが何か悪いことをしない為に監視してる訳じゃない。決闘の日、暴走した響ちゃんをメディカルチェックした結果、響ちゃんの体内にある[ガングニール]の破片が響ちゃんを蝕んでいた事が分かった。それはシンフォギアを纏う度にその侵食速度を早めているらしい。このまま侵食が進めば少なからず響ちゃんは死ぬ事になる。だけど響ちゃんの性格上、一般市民が巻き込まれている現場を見たら一目散に戦う事を選ぶのは目に見えていた。
そこで私が近くで響ちゃんを監視して、もしもノイズが出た時は即座に避難させる事が出来るようにと弦十郎さんに任務として頼まれたのだ。
一緒に戦う仲間を監視するのは正直いい気分ではないけどこれも響ちゃんの為だと割りきって任務に就いている。
ただやっぱり響ちゃんも女子高生。放課後は友達と食べ歩きだったり寄り道だったりでお店の中に入ったりするので[
そこで今回は別の宝具を使っている。
[変身の指輪]
円卓の騎士の一人[ガレス]ちゃんが使ってた宝具の一つだ。姿を変える事が出来る指輪で、これのお陰で響ちゃん達にはただの通行人や旅行者として見えている。
さっき入っていった[
で、今響ちゃん達は[ふらわー]を出た後、少し寄り道をしながら仲良く帰路を歩いていた。私はその少し後ろをガレスちゃんの姿で見守っていた。
出来ればこのまま何事もなく一日が終わって欲しい…。これが本来あるべき響ちゃんの日常なんだから…。
だけど
響ちゃん達の前を黒塗りの車が横切る。その車が走り去った次の瞬間…
ドガーン!
突然の爆発。響ちゃん達は爆発が起きた現場に走る。私も響ちゃん達の後を追う。そしてその爆発現場には…
「誰が追いかけて来たって
ウェル博士がいた。博士は布に包まれた小さい物を抱えながら[ソロモンの杖]で呼び出したノイズを使って黒塗りの車を破壊した様だ。
私は[変身の指輪]を外し、第二霊基になりながら響ちゃん達の頭上を飛び越え、ウェル博士と響ちゃん達の間に割って入った。
「ひぃぃぃ!?な、なんでお前がここに!?」
ウェル博士が相当怯えてる。だけど今は無視する。
「ヒビキ、ミク達を連れて避難してください」
「セイバーさん!で、でもウェル博士が…」
「いいから行きなさい!」
「は、はい!」
[カリスマ]スキルを使って強引に言うことを聞かせて響ちゃん達を避難させる。響ちゃん達が真っ直ぐシェルターに向かっていくのを見届けた後、[
さてと、それじゃこの前の汚名返上と行きますか。
「何時も何時も!都合の良い所でこっちの都合をひっちゃかめっちゃかにしてくれる!お前はぁぁぁ!!」
ウェル博士が[ソロモンの杖]を使ってノイズを呼び出す。私は[
「何時も!何時も!何時も!何時も!何時も!」
なんかもう錯乱したみたいにウェル博士は[ソロモンの杖]を乱発してノイズを出し続ける。
不味いな…、この数のだと苦戦はしないけど相手するのがめんどくさい。ウェル博士は私が来てから大分動揺して、逃げるよりも私に近づけさせないようにノイズを壁として呼んでるみたいだ。
ならチャンスだ。壁になってるノイズを突っ切ってウェル博士を確保しよう。
私は[魔力放出]で一気に加速し、ノイズの壁を真っ正面から突き抜けウェル博士に肉薄する。
「ひゃぁぁぁ!来るなぁぁぁ!!」
再びウェル博士は[ソロモンの杖]でノイズ呼び出そうとする。
だけどそうはさせない!
私は[ソロモンの杖]を狙って[
そう思っていた直前、
ガキュイン!
私の[
「っ!盾!?」
「なんとノコギリ!」
そこには切歌ちゃんと調ちゃんがいた。調ちゃんが頭に付いたアームドギアを変形させて大型のノコギリを出して私の[
たぶんウェル博士を保護するために出向いたんだろうね。
「この身を鎧う[シュルシャガナ]はおっかない見た目よりもずっと汎用性に富んでいる。防御性能だって不足なし!」
確かに本気ではないとは言え[
だけど私も退く訳にはいかない!
私は調ちゃんのノコギリと鍔迫り合いの状態にある[
「風よ、荒れ狂え![
「「っ!?」」
バシュン!
[
「ふ、二人掛りでも…止められないデスか…」
「でも…ここで負ける訳には…」
ヨロヨロと立ち上がる切歌ちゃんと調ちゃん。
…正直見てられない。
人類の救済なんて大義名分をなんでこんな十代の女の子が背負わないといけないんだ。しかも協力しているのは目的のために子供を平気で犠牲に出来るヤツだ。
こんなの絶対間違ってる。
何とかウェル博士と
あれこれ考た私は少し強引な手に出ることにした。
徐に[
「警告します。今すぐにギアを解除してウェル博士の身柄を此方に引き渡しなさい」
「な、何を言っていやがるデスか!?」
「私達を侮ってi」
「侮ってなどいません。ですが、例え貴女達二人が同時に挑んだとしても私には敵わない。それは貴女達が一番良く分かっている筈です」
「「っ!」」
こんな事本当は言いたくない。でも
「二度目の警告です。ギアを解除してウェル博士を引き渡しなさい」
「三度目です。シンフォギアを解除してウェル博士を此方に渡しなさい。これ以上は警告無視とみなして貴女達を制圧します…!」
私は[カリスマ]スキルを発動させながら強めに言う。流石にこの一言は大きかったみたいで二人ともどうするか迷ってる様に見えた。
だけどそれに水を差す人物がいた。
「迷えるお二人に僕からプレゼントですよ」
ウェル博士が懐から銃の形をした注射器を取り出して二人の首筋に当て、何かの薬品を流し込んだ。
「な、何しやがるデス!」
「[LiNKER]!?だけど効果時間にはまだ余裕が…」
「だからこその連続投与ですよ!あんな桁外れの力を持った化物を相手にするんです!無理にでも適合系数を上げなければヤられるのは貴女達なんですよ!」
なんだか内々でもめてるみたいだけど、警告した以上容赦はもうしない!
私は[
「やぁぁぁ!」
「っ!?くっ!」
ガキュイン!
私の接近に間一髪の所で気付いた切歌ちゃんが鎌で防御する。両肩のアームドギアを地面に突き刺してアンカー代わりにした為吹き飛ばされずになんとかとどまったみたいだ。
「ウェル博士!二人に一体何を投与した!!」
「ひぃぃぃ!!さ、さぁやるんですよ!貴女達が来た理由なんてどうせあのオバハンの容態が急変したからなんでしょ!?ここでもし僕が捕まる事になれば人類は救済できず、オバハンの治療も出来なくなるんですよ!?」
ウェル博士は私の問いに答えず二人にそう指示を飛ばす。オバハン…、誰の事だ?
なんて考えている所で調ちゃんが無数の小型のノコギリを私に飛ばしてくる。
【α式・百輪廻】
「ちぃ!」
私はバク転でノコギリを避け、バックステップで距離を取る。
「切ちゃん…!」
「…やらいでかデェェェス!!」
「「Gatrandis babel ziggurat edenal―」」
この歌…、まさか絶唱!?
「止めなさい!それは起死回生の一手でもなんでもない!無闇に自らの命を削るだけのただの
「「Emustolronzen fine el baral zizzl―」」
私の制止を聴かず絶唱を歌い続ける二人。まずい、報告でマリアさんを含む[F.I.S]の装者三人の適合係数は[LiNKER]って言う特殊な薬を使って強引に引き上げてるって聞いてる。[LiNKER]無しの絶唱で翼さんがあんなにボロボロになるんだ、
まさかさっきウェル博士が投与した薬って!?
「適合係数が上がるほど絶唱のバックファイヤを軽減するのは実証済み![LiNKER]をぶっこんだ直前の今なら絶唱歌い放題のやりたいほぉだい!!正しくこの場での最適解!!」
やっぱりさっきのは[LiNKER]!くそ!ウェル博士、子供にばかり命を散らせて自分は逃げる算段か!?どこまで腐れば気がすむ!!
そうしてる間にも
こうなったらもう傷付けないなんて言ってられない!気絶させてでも絶唱を止める!
私が[
「Gatrandis babel ziggurat edenal―」
この歌声…まさか!?
私は後ろを振り向く。そこには…
「二人に絶唱は使わせない!!」
「ヒビキ!?」
[ガングニール]を纏った響ちゃんがいた。
どうしてここに!?さっき未来ちゃん達と一緒に避難したはず!まさか戻ってきた!?
混乱する私を置いて行きながら響ちゃんは絶唱を歌い切る。
「エネルギーが絶唱発動にまで高まらない!?」
「減圧!?アイツがエネルギーを奪い取ってるデスか!?」
響ちゃんの絶唱でエネルギーを吸い取られた切歌ちゃんと調ちゃんは絶唱を発動させることが出来なくなったみたいだ。
「セット!ハーモニクス!!」
響ちゃんはそのまま腕のハンマーパーツを連結、右腕にエネルギーを集中させ得られたエネルギーを全て空に向かって解放する。解放されたエネルギーがライブ会場の時と同じ様に虹色の竜巻となり天に上っていく。
エネルギーを解放し終えた後、響ちゃんはその場に膝を着いて動かなくなる。
「ヒビキ!ヒb熱っ!?」
私が響ちゃんに駆け寄ろうとするも響ちゃんの体からとんでもない熱量が出てサーヴァントの体であるはずの私ですら触れることが出来ない。
「響!?響ぃぃぃーーー!!」
そこに未来ちゃんが走ってくる。未来ちゃんは真っ直ぐに響ちゃんの元に行こうとしていた。私は未来ちゃんを抱き止める。
「いけませんミク!今のヒビキに触れては!!」
「離してください!響、響ぃぃぃ!!」
ダメだ完全にパニックになってる!
「オイ!こいつはどういう状況だよ!」
そこにクリスちゃんが来てくれた。
「クリス!ミクを押さえてください!」
「っ!おい、落ち着けって!」
「クリス!だって響が!!」
クリスちゃんが未来ちゃんを羽交い締めにして止めてくれる。
未来ちゃんのことはクリスちゃんに任せるとして、響ちゃんをどうにかしないと!
私が解決策を考えてる最中…
「Imyuteus amenohabakiri tron」
翼さんが[天羽々斬]を纏いながらバイクでやって来た。翼さんはそのままバイクを跳躍させて雑貨ビルの屋上にあった給水塔を切り裂く。
【騎刃ノ一閃】
給水塔に貯蔵されていた水が響ちゃんに降り注ぐ。やがて水が切れる頃には響ちゃんのギアは解除されてその場に倒れ込んだ。
「響!響ー!!」
「ヒビキ、しっかりしてくださいヒビキ!!」
私と未来ちゃんの声も届かず響ちゃんは気絶していた。
その後、二課のスタッフがやって来て響ちゃんは緊急搬送されて行った。切歌ちゃんと調ちゃん、ウェル博士の三人はどさくさに紛れて退散していたようだ。
結局、私は守ろうとしたモノも守れず、捕らえようとしたモノすら掴めず、なんの成果も得られなかった。
そんな自分の無力感に私は苛まれるのだった。
感想も徐々に返していきます。