やっぱり待ち時間は良い執筆時間です(笑)
出来れば年内にもう一話ぐらい投稿したい…
そんなこんなで続きをどうぞ!
スカイタワーの襲撃から一日後。仮説本部内に私と響ちゃん達シンフォギア装者が集められていた。
「師匠、これは…?」
「スカイタワーから少し離れた地点より回収された未来君の通信機だ」
あれから私と緒川率いる調査部が周辺の調査をした結果、近くの水路で
「発信記録を追跡した結果、破損されるまでの数分間、ほぼ一定の速度で移動していた事が判明した。未来君は死んじゃいない。何者かによって連れ去られ、拉致されたと考えるのが妥当だろうが…」
「師匠!それってつまり!?」
「こんなところで呆けてる場合じゃないって事だろうよ!」
良かった。本当に良かった。十中八九何者かとは[F.I.S]で、拉致された事を考えると手放しで喜べないのが残念だけど、それでも未来ちゃんが生きている事実があるだけで希望が見えてきた。
「さて、気分転換に身体でも動かすか!」
「はい!」
ん?ちょっと待って。何か嫌な予感がするんだけど…。
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そして翌朝。
「~♪」
私と響ちゃん達は走り込みをして、弦十郎さんが歌いながら走ってる。
…いや、ちょっと何言ってるか分かんないかもしれないけど現在進行形の事実をそのまま言ってるだけだからね?
しかも弦十郎さんが歌ってるのアレだ…、世界的に有名なカンフーアクション俳優主演のヤツだ。
「何でおっさんが歌ってんだよ!てか、そもそもこれ何の歌だ?大丈夫か?」
まぁ何て言うか…、弦十郎さんってどこか青春ドラマとかで出てくる教師っぽいからこのノリも分かってはいたけど…。むしろクリスちゃんがこの歌知らないのにちょっとビックリしてるよ。割と一般的にも知られてる歌だと思ったんだけど?
「つーか、
あ、やっぱり気になる?何となく自然に溶け込む感じで隣走ってたんだけど。まぁ私の場合は
ちなみにだけど私も響ちゃん達と同じでジャージを着てるんだけど何故かキャップとブルマ付きで、まぁ簡単に言っちゃうとどう見ても謎のヒロインXの格好なんだよね。ご丁寧に体操着に“
「良いではないですか。友と共に汗を流し身心を鍛え合う。なかなかどうして気分が良い」
「んなもんかねぇ?」
クリスちゃんが呆れ顔をする。実際こうした運動する機会ってあんまり無かったしちょっといいかなって思ってる私もいる。
「「~♪」」
あぁ…なんか響ちゃんもノってきて弦十郎さんと一緒に歌い始めたね。さすが師弟関係。
その後も特訓は続き、響ちゃん達は普通の二重飛びなのに何故か私だけバク転しながらの二重飛びだったり、中腰の姿勢で耐える特訓で私だけ両手に水いっぱいのバケツ持たされたり、響ちゃん達冷凍の肉殴ってたのに私だけマジ物の熊と戦わされたり、…ところで何で私だけちょっとハードル高めなの?
ちなみにだけど案の定生卵をジョッキで飲まされそうになったけどそこは怒っておいた。弦十郎さんだけがやるなら自己責任だけど育ち盛りの響ちゃん達にそんな衛生上良くない事はさせられない。なので代わりに濃度高めのプロテインと私が作った卵料理で手を打った(使用した卵はジョッキの中に入ってたヤツ)。
まったく弦十郎さんもいい大人なんだから映画の演出と現実をゴッチャにしないでもらいたいよ。
そんなこんなな事もありつつ特訓は終了した。
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その数日後。
[F.I.S]の捜索中にトラブルが発生した。
「ノイズのパターンを検知!」
「米国所属艦艇より応援の要請!」
正面の大型モニターには米国の大型空母が写り、その甲板上に多くのノイズと十数人の米国兵が銃で応戦していた。だけどノイズは通常の兵器だと太刀打ちできない。あのままだと全滅する。
「この海域から遠くない! 急行するぞ!」
「応援の準備に当たります!」
弦十郎さんが指示を飛ばして、翼さんが走って作戦指令室を飛び出す。
「翼さん!私m」
「死ぬ気かお前!」
響ちゃんが翼さんを追おうとするけどクリスちゃんがそれを止める。
「ここにいろって、な?お前はここから居なくなっちゃいけないんだからよ」
クリスちゃんの説得にどこか不満の顔をする響ちゃん。未来ちゃんが心配なのは分かるけど今の響ちゃんの状態で無理をさせる訳にはいかない。
「ヒビキ」
「セイバーさん…」
私は振り返った響ちゃんの両手を包む様に手を繋ぐ。
「ヒビキはミクを信じていますか?」
「…はい。未来ならきっと大丈夫だって信じてます」
「それは私達も一緒です。だからこそミクを信じる様に私達も信じてください。彼女を助けたい想いは皆同じなのですから」
「…分かりました。私、皆さんを信じます!」
そう答える響ちゃんに私は少し微笑んでからクリスちゃんと一緒に翼さんの後を追う。
だけど何だろう…、すごく嫌な予感がする。あの米軍艦隊にいるノイズからじゃない。もっと別の…、ドス黒い意思みたいなのを感じる…。
駄目だ怖じ気付いてても仕方がない、今はノイズの撃退に専念しよう。
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「あたし、あたしじゃ無くなってしまうかもしれないデス…。そうなる前に何かを残さなきゃ…。調に忘れられちゃうデス」
「切ちゃん…?」
[Acti LiNKER.]を打ち込まれた調は体の脱力感と共に切歌の語りを聞く。切歌の表情は何処か寂しく、儚く、何かに追い詰められているかの様に差し迫っていた。
「例えあたしが消えたとしても世界が残ればあたしと調の想い出は残るデス…。だからあたしはドクターのやり方で世界を守るデス…。もうそうするしk」
ザバァン!!
切歌の語りは突如して海から出現した物によって掻き消された。それはミサイルの様な形をした物であり、海面から数十メートル地点で上部ユニットが展開しブースターによる逆噴射によりゆっくりと自由落下を始める。さらにそこからミサイルの外装がパージされ中にいた翼・クリス・セイバーの三人の姿が露になる。
三人は同時に甲板に飛び出し、クリスは調の確保に翼とセイバーは切歌の確保に向かう。
「邪魔するなデス!」
切歌も翼とセイバーの迎撃に入るが2対1と言う数的不利と二人の連携、なにより圧倒的な実力不足により早々に追い込まれ始める。
「おい、ウェルの野郎はここにはいないのか!?
ソロモンの杖を使うあいつは何処にいやがる!」
クリスが調にそう問いただす。シンフォギアを纏っていなければ一般人と変わり無い調を取り押さえるのは余りにも容易だ。
「抵抗は無意味です。大人しくしなさい」
「うぐ…」
そしてそれは切歌も同様であった。容易に懐に潜り込まれた切歌はセイバーの[
圧倒的優勢。まさにそこの言葉か似合う状況であった。
だがその天秤を覆す存在が空から降ってきた。
「Rei shen shou jing rei zizzl」
聖詠と共に降りてきたそれは空母に着地、煙を上げる。やがて煙が晴れていきそれの正体が露になる。
そこには…
「ミク…?」
紫色のシンフォギアを纏う小日向 未来の姿があった。
彼女は光の無い目でセイバー達を見定めた後、ギアから鈍器の様な武器を取り出す。
「うおおおぁぁぁーーー!!!」
未来の雄叫びがまるで獣の様に響く。
「小日向が!?」
「何でそんな格好してんだよッ!?」
突然の事態に動揺を隠せない翼とクリス。
「あの装者は[LiNKER]で無理やりに仕立て上げられた消耗品。私たち以上に急ごしらえな分、壊れやすい…」
クリスに拘束された調が静かにそう語る。
「ふざけやがって!」
「行方不明となっていた小日向 未来の無事を確認。ですが…」
「無事だと!?アレを見て無事だと言うのか!?だったらアタシらは、あのバカに何て説明すればいいんだよ!」
クリスがそう叫ぶ中状況は動く。未来の目元にバイザーの様なパーツが起動しホバリングしながらセイバー達に接近する。
「っ!ツバサ、
「セイバー!」
セイバーが切歌から離れ未来の迎撃に入る。未来は手にした武器からエネルギー弾を放ちながらなお接近してくる。
セイバーはそれを[直感]スキルと[魔力放出]スキルで回避しながら未来に接近する。
両者が間近まで接近したと同時に未来は手にした武器を上段から振り下ろし、セイバーは[
ガキゴン!
甲高い音と共に衝突する二つの武器、だがそれと同時に吹き飛ばされる未来。いくらシンフォギアを纏った事で強化されているとはいえ筋力:Bと[魔力放出]によるブーストがかけられた[
吹き飛ばされた未来は空中で立て直し海上に着地、海面をホバリングで滑り出す。セイバーもまた[湖の精霊の加護]による恩恵を使用し海面を走りながら未来を追う。
未来は近接戦は不利と判断したのか手にした武器からのエネルギー弾による遠距離戦に戦い方を変えてくる。しかし未来予知にも匹敵するセイバーの[直感]スキルの前では命中などする筈も無く、容易に懐に入られてしまう。
ガキュンッ!ザッ!ガキュイン!
数度のつばぜり合い、飛び散る火花、荒れる海上、激しい戦闘が続く。
だがそれは明確に終わりに近づいていた。
打ち合いの中で徐々にギアの一部を破壊されていく未来、無傷のセイバー。誰の目から見ても差は歴然であった。純粋な力と戦闘経験の豊富差が露骨に現れていた当然とも言える状況でもあった。
セイバーは再び[
ガキゴン!
「すみませんミク!少しの辛抱です!」
セイバーは[
ドゴンッ!
[
ドガシャン!
空母の破片が飛び散り、煙が上がる。セイバーが空母に降り立った時には未来は破片と共にうもれていた。
セイバーは未来に近づきシンフォギアの[マイクユニット]に手を伸ばす。
『女の子は優しく扱ってくださいね』
「っ!?ウェル博士!?」
突如未来のシンフォギアから無線越しのウェル博士の声が聞こえてくる。
『乱暴にギアを引き剥がせば、接続された端末が脳を傷つけかねませんよ』
「何!?」
ウェル博士の言葉に動揺するセイバー。その瞬間、未来が起き上がり手にしていた武器を扇状に展開、円の形を形成した物を構える。
「避けろセイバー!」
翼の声に正気に戻ったセイバーは[直感]スキルの赴くままに距離を取る。すると円の形をした武器の鏡からエネルギー弾が散弾の様に飛んでくる。
【閃光】
セイバーはそれを辛うじて全て避ける。
たが未来の反撃はこれで終わらない。
エネルギー弾を撃ち終わると同時に手にしていた武器を収納し脚部のパーツから鏡が出現、自身を中心に円形に展開する。展開完了と同時に紫色の光を放ちながらエネルギーが溜められていく。
ここでセイバーは違和感を覚える。先程まで感じていた自分に対する敵意が無くなっていた。セイバーは未来が向けている目線の先を追う。そしてその狙いを突き止めた。
「クリス!」
「っ!?狙いはこっちか!」
セイバーがクリスに向け声をかけた瞬間、未来がエネルギー弾を発射する。
【流星】
「だったらリフレクターで!!」
クリスは腰部のパーツからリフレクターを展開する。エネルギー弾はリフレクターにより弾かれ四方に枝分かれしていき空母を破壊していく。
「調、今のうちに逃げるデス!消し去られる前に!」
「どう言うことだ!?」
切歌の叫びを驚愕する翼。だが悠長に驚いている暇は無かった。
未来から放たれたエネルギー弾は衰えること無く放ち続けている。それをリフレクターで弾き続けているクリスではあったが…
「て、何で押されてんだよ!?」
リフレクターで弾き続けている筈のエネルギー弾は徐々にクリスに迫っていた。
「無垢にして苛烈。魔を退ける輝く力の奔流…。これが、[神獣鏡]のシンフォギア」
調が静かにそう語る。
「リフレクターが分解されていく!?」
やがてリフレクターがエネルギー弾によって弾けるように分解されていき、光がクリスを包む直前…
ヒュー…ガキュン!
クリスの眼前に身の丈を遥かに越えた剣が突き刺さる。刺さった衝撃でバランスを崩すクリス、それをセイバーが腰に左手を回し体を密着させることで固定したいわゆる横抱きの状態で受け止めた。
「セイバー!?」
「呆けない!!」
セイバーの横で調を肩に担いだ翼がそう叫ぶ。セイバーと翼は共に大型の剣を背に走る。だがエネルギー弾は大型の剣を貫通しセイバー達に迫る。それを翼が先程と同じ様に大型の剣を盾にして防ぎまた貫通し剣で防ぐ。幾度もそれを繰り返していく。だがエネルギー弾は未だに衰える事を知らない。
「ツバサ!」
「っ!」
セイバーが翼を呼びその目を見る。翼もまたセイバーの目を見てその思考を読み取る。瞬間、翼は自分達の前方に大型の剣を出現させた。
「どん詰まり!?」
「喋ると舌を噛みますよクリス!!」
セイバーは右手持っていた[
「しっかり掴まってください!」
セイバーの言葉にクリスは自分の両手をセイバーの首に回し更に密着する様にする。そして大型の剣が眼前にまで迫った瞬間…
「風よ、吠え上がれ![
[
駆け上がった直前、エネルギー弾が大型の剣を貫通する。
セイバー達は間一髪エネルギー弾の回避に成功したのであった。
次回皆様(たぶん)お待ちかねの”アレ”が出てきます。
お楽しみに!