戦姫絶唱シンフォギア 輝ける星の聖剣   作:茶久良丸

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お久しぶりです。
ここ一週間体調を崩していました。流行りのコロナでは無いのですが電車とかで何かしらの貰ってしまったらしいです。
皆さんも健康管理はしっかりとすることをオススメします。
それでは初の幕間の物語をどうぞ!


幕間の物語:セイバーさんのお泊まり

 つっかれた~…。

 

 私は自宅に帰るやいなやシャワーも浴びずにベットに倒れ混んだ。

 

 もぉ~最近メチャクチャ忙しい。翼さんのマネージメントもだけど二課の再編手続きがこんなに手間が掛かるなんてぇ~…。

 

 フロンティアでの戦いの後、国連からの要請で二課は国連直轄下の機動組織に再編する事が決まったみたいだ。これで国際連合安全保障理事会、長いから略して安保理で決められた規約内で海外での活動が出来るようになった。

 て、言うのは建前で本当の目的は異端技術(シンフォギア)を独占してる日本を国連下に置いて管理したいって言う周りの国の考えが大きいらしい。

 

 私はそんな国家だとか政治だとかあんまり詳しくないからよく分からないけど、今はいないノイズの対抗手段を日本だけが持ってるのはズルいって話なんだと思う。まぁ恐らく私が考えてるよりももっと深くてドス黒い考えなんだと思うけど私に分かるのはそれくらいだ。

 

 あとなんか国連入りが決定してから英国政府がやたら不審な動きがあるらしい。まぁ多分(セイバー)関連だと思うけど、その調査で緒川さんはずっと不在のままだ。

 

 なので翼さん関連の仕事はすべて私に任されている。(ただ)でさえ再編の為の書類仕事があるのに翼さんのマネージメントもしないとイケないから日中ずっと動き回りっぱなしだ。サーヴァントの体だから何とかもってるけど生前なら三日で倒れる自信がある。

 

 さてと、明日も仕事だ。とっととシャワー浴びてご飯作って寝よう。

 

 私はベッドに沈んでいた体を起こすため腕に力をいれ…られなかった。

 

 あ…、これヤバイ奴だ。疲れがピークの時に体が強制的に休ませようとするアレだ。

 

 自覚が生まれた事で目蓋(まぶた)が急激に重くなる。

 

 ふぉぉぉ、待ってちょっと待て!まだシャワーも浴びてないし、ご飯も食べてないんだ!明日の朝、大変な…事…に……な……r………。

 

 抵抗むなしく私の意識は目蓋の裏側に消えていった。

 

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 あぁ…、やっちゃったぁ~…。

 

 恐らく数時間くらい意識が無くなって、再び意識が戻ってから私はそう愚痴った。

 

 いくら忙しいからってシャワーも浴び無いなんで女性としてどうよ?普段から響ちゃん達に規則正しい生活をする様に言ってくせに自分がこれじゃあなにも言えない…。

 

 私の中で私を全力で罵倒する。

 

 とは言えやっちゃった事は仕方ない。さっさと時間確認して余裕あるならパッとシャワー済ませて、ご飯作っちゃおう。

 

 そうして私は目蓋を上にあげて見慣れた天井を………見れなかった。

 私の目の前に広がる光景は何処までも続く青い空と漂う薄い雲。

 

 あれ…、どゆこと?

 

 寝そべっていた体を起こしてみる。美しい森林が生い茂っている。

 

 あの…、え~と…。待って待って、ちょっと待って。とりあえず落ち着け。こんな時はプッ○神父を見習って素数を数えよう。素数は一と自分の数でしか割れない孤独の数字。

 

 三、六、九、十二、十五、十八…

 

 いやいやそれは三の倍数だバカ!

 ともかくちょっとここに至るまでの記憶を思いだそう。

 え~と、仕事から帰ってきてそのままベッドにダイブして寝落ちして気付いたらここにいて…。

 …なるほど理解した。

 

 これ夢だ。

 

 そりゃそうだよね。こんなの寝落ち以外に考えられないよね。うわぁ~…、働きすぎかな…?こんな夢見ちゃうなんて…。

 

 まぁいいや。とりあえずどうしよう?このままジッとしてるのもアレだし、少し探索でもするかな。こんな綺麗な森林見るの初めてだし何だか歩きたい気分だし。

 

 何だかよく分からない冒険心が私を駆り立てきたので、私は軽率にもその場から動くことを決めた。

 スッと立ち上がりちょっとルンルン気分で足を進め始める。

 

 それにしても何か妙に体が軽いな?まぁ夢だしいっか。

 

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 向かい風が私を通り抜ける。まるで暖かい陽射しに照らされ火照った私の体を冷ましてくれるかのように。

 

 ん~、気持ちいいねぇ~。この暑すぎず寒すぎずの温度。例えるなら冬と春の間、もしくは夏と秋の間みたいな感じ。まぁ季節感的にはどうなんだよってはなしなんだけどね…。現実じゃ年末の真冬だってのに…。

 ま、夢だしいっか!

 

 そんな楽観な考えの元、私は一歩一歩ゆっくりと歩いていく。

 探検して分かったけどここはどうやら山の中みたいだ。木々の並びは綺麗だけどなんか人の手が加えられた形跡がまるでなかった。だって木の下とかにキノコや山菜とかがメチャクチャ生えてたし、しかも野生の動物みたいなのもいくつかチラッと見つけたし。

 

 私、夢の癖にリアリティーに凝りすぎだろ…。完全に大自然の中に遭難した人じゃん…。いや別にいいんだけどね。

 

 まぁそんなわけで周りの自然の美しいさを堪能しながら探索を続けていた時、ふと空に白い煙が上がっているのが見えた。

 気になった私はその煙の出ている元へと向かった。道なき道を進み、時に大きい岩や小さい川などを乗り越え、ついに煙が出ている所にたどり着いた。

 そこには…

 

 ナニコレ…

 

 建物があった。

 いやまぁ建物ではあるんだけど…。問題はその形状。まるで元々建っていた家の上に新しい家を建てて、ジェンガみたいに上に上にと伸ばし続けたみたいな形状をしている。

 

 うーん、これあれかな生前見てた神隠し的なアレかな…。だとしても想像力無さすぎだろ私!さっきまでの森林の描写とか凝ってた癖に家これかよ!

 

 なんて私が悶えていると…

 

「おや、お客ちゃまでち?」

 

 後ろからそんな舌っ足らずの声が聞こえた。

 振り返ってみると私よりも一回りほど小さい赤い髪をした愛らしい女の子がいた。そして何故か小脇におひつとしゃもじを持ってる。外なのに。

 

「歩いて森を抜けて来たでちか?それはずいぶんとご足労でちたn…ちゅちゅん?」

 

 とたん女の子は私を見て小首を傾ける。ジーっと私を下から上に眺め、私の周りを三周ほどグルリと歩く。

 

 え、なに?私の身なりおかしい所ある?

 

「む~、何やら複雑な事情がお有りのようでちね。でちゅがここに来たからにはお客ちゃまに変わりはありまちぇん」

 

 女の子は私に背を向けて建物の方に数歩歩いた後、バッと振り返り姿勢を正しす。

 

「ようこちょ[閻魔亭]へ!アチキは女将のお紅でち!」

 

 綺麗なお辞儀と共にそう言い放った。その姿に私が一番始めに思ったことは…

 

 小学生が女将ってアリかも…。

 

 と言うなんともアホは感想であった。

 

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「ではごゆるりとしてくだちゃい」

 

 座礼をしたお紅ちゃんはそのまま襖を閉める。私は部屋の中央にある高級感溢れる座椅子に(もた)れながらフ~と息をつく。

 

 結局あの後、流される形でこの[閻魔亭]に泊まる事になった。それもこれもあのお紅ちゃんのおもてなしの丁寧差が凄まじ過ぎるからだ。

 

 マジでスゲーよ、だって後光出てたし。

 

 [閻魔亭]に案内された後、部屋に案内される途中で見たんだけどなんか従業員が全員妙にまん丸な(すずめ)なんだよね。

 

「チュ~~~ン!お客様チュン!」

「随分珍しいお客様チュン!」

「とっても細いチュン!ちゃんとご飯食べてるチュン?」

 

 なんて会話が聴こえたけどあえて無視した。

 部屋に到着したら浴衣が用意されててお紅ちゃんに着付けを手伝ってもらい今に至る。

 

 そう言えばこんな風にゆっくりするの初めてかも。普段は仕事で忙しいし、今でこそノイズの被害が無くなったけど前は出てくる度に戦ってたし。稀の休みも特にすること無くって部屋の掃除と食材の買い出しくらいだし。

 …あれ、考えたら私かなり拗らせた社畜なのでは?

 

 ま、まぁ今ぐらいは仕事の事考えるのを止めよう…。夢とは言え折角こんな高級そうな旅館に泊まれてるんだから。

 

 私は頭を横に振りつつ机の脇に添えられた湯飲みと急須を使ってお茶を用意する。

 

 ともかく泊まってる間は羽を伸ばそう!まずはお紅ちゃんにオススメしてもらった温泉!その後、宿の探検でもしよう!

 

 私は湯飲み入ったお茶を飲みつつそう考えた。

 

 あ、茶柱立った。

 

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 その後、私はお宿を満喫した。

 温泉は広々とした露天風呂ですごく気持ちよかった。

 

「絶対に嫌だ!美男美女と混浴するまで私は絶対にお風呂から上がるもんか!!」

 

 なんかやらた美人なお姉さんが大声でそんな事言ってたけど関わりたくないから遠くで入ってた。

 

 それからお料理も旬な食材を使っていてとても美味しかった。

 

「いぇ~い豚ども!飲んでるか~い!!」

「「「「「■■■■■■!」」」」」

「乗ってるか~い!!」

「「「「「■■■■■■!!」」」」」

「皇帝刺したいか~い!!」

「「「「「っ!?」」」」」

 

 なんか隣の部屋からそんな音頭が聴こえたけど関わりたくないから無視した。

 

 あと宿の外に野生の猿がいっぱいいた。可愛かったから手招きしてたら…

 

 ゴッ!

 

 猿の顔面に泥団子がクリーンヒットした。

 

「フッフッフッ…ガッデム。やられたら億倍返ししなければね?とりあえずそこに(ひざまず)いてもらおうかしら、お猿さん?」

 

 後ろを振り向くとクリスちゃんと同じ白髪の女の子が泥団子片手に立っていた。

 

 怖い怖い怖い。優しく微笑んでるけど目が笑ってなくてメッチャ怖い。てかその泥団子やたらキラキラした石がはみ出てるけど違うよね?宝石とかそう言うのじゃないよね!?

 

「貴女もお一ついかが?」

 

 え、あいや、結構です…。

 

 手渡してきた泥団子を丁重にお断りして私はその場から離れた。

 いやだって関わりたくないもん!怖いし!!

 

 あ、あと宿の中でお料理教室をやってるみたいだから参加してみた。

 みたんだけど…

 

「お前ちゃま達はまず食われる側の気持ち味わうでち!!」

 

 いきなり(ワイバーン)やら獅子(キメラ)がいっぱい入る場所に移動(転移)?させられて危うく本当に食べられるところだったけどなんとか一発合格(・・・・)できた。その後お紅ちゃんからいろいろと料理のいろはを教えてもらったりした。

 

 そして何やかんやで一日くらい過ぎた。

 

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 身支度を整えた私は宿の出入口で出迎えをしてくれているお紅ちゃんと(すずめ)達に挨拶をする。

 

「またご縁がありまちたらぜひご利用くだちゃいまちぇ!」

「チュンチュン、また来るチュン」

「何時でも来るチュン」

 

 うん、いつかまた来れたら(見れたら)きます。

 

 私はお紅ちゃん達にそう言ってから宿の出入口を潜る。眩しい朝日が私をつつんでいく。何となくだけど夢から覚める予感がする。でもそれでいい。私にはやらないといけない事がある。いつまでも覚めない夢に居続ける大人なんて恥ずかしくてあの子達に会わせる顔がない。

 私は一歩一歩確実に前に進んでいく。あの子達が待つ現実(未来)に向かって。

 

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「いいチュン行かせて?」

「あの人もう死んでるチュン。本当なら大王様(・・・)の所に行ってる人チュン」

「なのにまだ生きているチュン。摩訶不思議な人チュン」

「たちかにあの魂は既に落とされた(・・・・・)モノでち。おちょらく洗い落とす(・・・・・)直前(ちょくじぇん)に何かしらの干渉(かんしょう)かそれともあの魂が未練を残ちていたか…。何にちぇよアチキはそれ以上の詮索(せんちゃく)はしまちぇん。ここに来たモノ全て平等にお客ちゃまでち。お前達もそれ以上はお客ちゃまの失礼にあたるでちよ」

「チュンチュン、女将がそう言うなら文句はないチュン」

「チュン、仕事に戻るチュン」

 

 パタパタパタ

 

「…お前ちゃまの数奇な運命、それがどうなるかアチキの与り知らぬ所でちが。お前ちゃまが向こうで幸福でいられる事をここから祈ってるでちよ。だって雀のアチキですら素敵な御縁がありまちたから。お前ちゃまの様な良い人が幸せになれないなんてそれこそ閻魔が許ちまちぇんから」

 

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「こ、こんなもんでいいのか?」

「はい、多少大きさはバラバラですがそれで大丈夫です。それをボウルにいれて水気を切りながら塩と一緒に揉み混ぜてください」

「お、おう」

 

 ぎこちない手つきだけど一生懸命に作ってるクリスちゃんを見て私は少しだけ微笑ましくなる。

 

 今私は自宅でお正月にマリアさん達に振る舞うおせち料理を作っている。何故だかは分からないが数日前から料理の腕が飛躍的に上がっていた。時期的にあの寝落ちをした翌日辺りからだ。せいぜい一人暮らしで困らない位の料理の腕が今ではおせち料理もバッチコイと言えるほどだ。夢の中で料理教室でも受けてたのかな?な~んてこと無いか。

 

「セイバーさん、黒豆のアクってどれだけ取ればいいんですか?」

 

 と、未来ちゃんそう私に言ってきた。本当は響ちゃんも誘ったんだけどなんか期末テストで中々にヤバい点数を叩き出したらしく今現在学校で補習を受けているらしい。まぁこう言っちゃ何だけど普段からあんまり頭は良くなさそうだからねぇ…。

 

「アク抜きは出なくなるまで続けてください。出なくなりましたらクシャクシャにしたアルミホイルを落とし蓋にして鍋蓋をしてから弱火で五~八時間ほど煮めば手で簡単に潰れるほど柔らかくなるはずです」

「分かりました。それにしてもセイバーさんて日本料理に詳しいですよね」

「だよなぁ、元がイギリスの王様なんて考えられねぇよ。実は皮だけイギリス人ってオチじゃねぇよなぁ?」

 

 割りとその推理当たってたりするんだよねクリスちゃん…。

 

「…まぁ別にいいんだけどよ。お前(セイバー)お前(セイバー)なんだしよ」

「あれ、もしかしてクリス照れてる?」

「てて、照れてなんてねぇし!」

「そう言って貰えるだけで私は嬉しいですよクリス」

「…うっせぇよ、てか揉んだ後どうすりゃいいんだよこれ!」

 

 クリスちゃんが照れ隠しになますの作り方を急かす。可愛いなぁ。

 

「揉み終わったら酢と砂糖をいれて混ぜ合わせてください。それから冷蔵庫に入れて味を染み込ませれば完成です」

 

 こうして私達は他愛ない話をしながらおせち料理を作るのだった。

 

 

 




 オマケ
 女将の評価
「基礎が若干大雑把な所があるでちがそれ以外は期待以上のできでち。とくに飾り付けにかんちては芸術と言っても過言ではないでち。栄養バランスもよく考えられていてこれなら人前に出ちても安心でち。ただ献立が食べ盛りの子供寄りでちので味付けが濃い目になってちまうのが唯一の欠点でちね」

前回に続きアンケートにご協力くださいm(_ _)m

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