戦姫絶唱シンフォギア 輝ける星の聖剣   作:茶久良丸

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GX編突入!
色々と入れたい要素がある中、頑張っていきたいと思います!

それではGX編第一話どうぞ!


GX編
月より帰還する救世主


 [F.I.S]が引き起こした[フロンティア事変]と呼ばれる出来事から数ヶ月。とある宇宙シャトルが地球に戻るため大気圏へと突入をしていた。

 彼らは[フロンティア事変]において月の遺跡を起動し、月の地球落下を未然に防いだ知られざる英雄、ナスターシャ教授の遺体とその異端技術を回収することであった。

 

 しかし大気圏突入と同時にシステムトラブルが発生。本来の落下コースから逸脱し、ブースターから火の手が上がっている。

 

「現在の墜落予想地点、ウランバートル周辺。人口密集地です!」

「安保理からの回答はまだか!?」

「外務省、内閣府を通じて再三打診していますが、未だありません!」

「まさか見捨てるつもりでは!?」

 

 刻一刻と迫る状況に焦り始める作戦指令室。

 だがその時であった。

 

「承認降りました!安保理の規定範囲で我々の国外活動、行けます!」

「よしっ!お役所仕事に見せてやれ、藤尭!」

「軌道計算なんてとっくにですよ!」

 

 玄十郎の号令と共に藤尭が手元のキーボードを操作し潜水艦のミサイル発射口から垂直ミサイル(VLS)が発射される。

 

「システムの再チェック!軌道を修正し、せめて人の居ない所に!」

「そんなの分かってますよ!」

 

 シャトルの副操縦士は声を荒げながらも指示に従う。だが火の手が上がった箇所が大気圏突入時の熱で爆発し、姿勢制御が更に難しくなる。

 そこに追い討ちをかけるようにシャトルのレーダーが何かを捉えた。

 

「ミサイル!?俺達を撃墜するために!?」

「致し方無しか…」

 

 操縦士達の表情が絶望に染まる。だか…

 

『へいき、へっちゃらです!』

 

 シャトルの無線から女の子の声が響く。

 

『だから、生きるのを諦めないで!』

 

 するとシャトルに向かっていたミサイルの加速が止まり、外装がパージされる。そこにはシンフォギアを纏った三人の少女(響・翼・クリス)蒼い衣の上に白銀の鎧(第二霊基)を身に纏った少女(セイバー)がいた。三人(響・翼・クリス)は彼方まで続く漆黒の空に歌を響かせる。

 クリスは大型ミサイルを三発出現させ、その上に響・翼・セイバーが飛び乗ったと同時に発射される。

 

「まるで雪音のようなじゃじゃ馬っぷり!」

「だったら乗りこなしてくださいよ。先輩?」

 

 翼の言葉にやや挑発的に返すクリス。大型ミサイルでシャトルの間近まで接近したセイバー達は大型ミサイルを乗り捨てシャトルに飛び乗る。

 

「ヒビキ、ツバサ!」

「はい!」

「あぁ!」

 

 シャトルに取り付くと同時に響と翼は腰のブースターを使い減速を試みる。

 

『装者取り付きました!減速を確認!』

『墜落地点再計測!依然、カラコルム山渓(さんけい)への激突コースにあります!』

 

 オペレーター達の声をイヤホン型の通信機で聞き取りながら彼女達はシャトルを更に減速させるために手段を講じる。クリスは腰部のギアから大型のミサイル四発出現させブースター代わりに、響は脚部のギアの固定用アンカーをシャトルに打ち込み体を固定し両碗部のギアを変形させバンカーにしたそれをブースター代わりに、翼は二本の(つるぎ)を支えに脚部のギアを大型化し内蔵されているブースターを起動、セイバーは[魔力放出]で体を支え[約束された勝利の剣(エクスカリバー)]を後ろに向け[風王結界(インビジブル・エア)]の風を制御し向かい風の突風を起こしている。

 地球の大気圏を突破し確実に減速しているシャトル。しかし…

 

『シャトルの減速間に合いません!カラコラム山渓(さんけい)を回避することは不可能です!』

 

 セイバー達の奮闘虚しくK2を避けるコースには入れなかった。

 

『なんとか船内に飛び込んで、操縦士達だけでも!』

 

 作戦指令室で状況をモニタリングしていた緒川がセイバー達にそう具申する。

 だが…

 

「そいつは聞けない相談だ」

「人命と等しく、人の尊厳は守らなければならないモノ」

「ナスターシャ教授が世界を守ってくれたんですよ?なのに、帰ってこれないなんておかしいです!」

「教授もまたこの(地球)で産まれ落ちた命。ならばこの(地球)の大地に還すが道理と言うモノです」

 

 彼女達は諦めなかった。

 たった二人の生存者と一人の遺体。それを守るため命を燃やす四人。彼女達の覚悟を聞き届けた緒川はそれ以上の抗議をしなかった。そしてその様子を収容施設のモニター越しで見ていたマリア達は歓喜に震え目尻に涙を流した。

 

「燃え尽きそうな空に歌が響いているんだ、諦めるな…!」

 

 そしてそれはシャトルの操縦士達にも響いた。諦めかけていた副操縦士の震える手を操縦士が上から重ねる。その顔は先程まで絶望に染まっていたモノではなく最後まで諦めない覚悟のある顔であった。

 

『K2への激突コース、避けられません!』

『直撃まで一キロを切りました!』

 

 しかし依然としてK2への激突コースに入っているシャトル。

 

「お任せください!」

 

 するとセイバーが動く。セイバーはシャトルの先端部分に立つと[約束された勝利の剣(エクスカリバー)]を構え魔力を送る。[風王結界(インビジブル・エア)]が解除され刀身が(あらわ)になった[約束された勝利の剣(エクスカリバー)]は徐々に黄金の光を放ち始める。やがて臨界まで辿り着いた光は膨張しセイバーの身の丈を遥かに越えるほど巨大化する。

 セイバーは[約束された勝利の剣(エクスカリバー)]を右肩に担ぐ様に振りかぶり…

 

「やぁぁぁ!!」

 

 そのまま横に振り下ろす。黄金に輝く斬擊がK2に向かって真っ直ぐ飛び、K2の表面を貫通すると同時に…

 

 ドゴォォォン!!!

 

 横一線に大爆発が発生する。そうセイバーはK2を文字道理真っ二つにしてみせたのだ。

 

「ヒビキ、お願いします!」

「えぇぇぇ!ここで私ですかぁ!?」

 

 突如声をかけられた響は動揺しつつも刻一刻と迫るK2に向かって拳を構える。

 

「くっ!?どりゃああああああ!!」

 

 バシュン!!

 

 雄叫びと共に放たれた響の拳と腕のバンカーはK2に命中し、セイバーが切り分けた山の表面を削り一瞬だけ山頂部分がフワッと宙に浮かぶ。その空いた空間を高速のシャトルが通り抜け、見事カラコラム山渓(さんけい)の激突を回避した。

 だがその代償として…

 

『K2の標高、世界第三位に下方修正!』

 

 K2の標高が著しく減ることになった。

 

 余談ではあるがこの事態に安保理からの苦情が殺到したが…

 

「人命優先だった為。何より定められた規定にK2を削ってはならないとは書いて無い」

 

 となんとも子供っぽい屁理屈をゴリ押して、なんとお咎めなしをもぎ取った。

 なおその後、安保理の規定がかなりマニアックな部分で厳しくなったのは完全にどうでもいい話である。

 

『シャトル、不時着を強行します!』

 

 場面は戻って現在。K2を避けたシャトルはそのまま山の斜面を滑りながら下る。衝撃で飛ばされそうになったクリスをセイバーが背中から支える。

 だが一難去ってまた一難、シャトルの前方には緑が生い茂る森林群が現れる。

 それを確認した翼はシャトルの先端部分に立ち、(つるぎ)を霞の構えで持ち刀身を変化させる。みるみる巨大化した刀身はシャトルの速度と相まって森林をバッサバッサと切り裂いていき無事に森林群を抜けていく。

 

 だがまだまだ苦難は続く。森林群を抜けた先には岩山が立ち並ぶ渓谷であった。

 

「ぶっちぎぃぃぃる!!」

 

 翼と交代するようにシャトルの先端部分に立った響は岩山を殴り、強引にシャトルの進路を変更する。

 

「次は左だ!立花!」

 

 翼の指示を聞き取りながら再び岩山を殴る響。その後も目の前の障害を時には(ガングニール)、時にはミサイル(イチイバル)、時には(天羽々斬)、時には聖剣(エクスカリバー)を使い道なき道を切り開いていく。

 

「この調子で(ふもと)まで行ければ!」

 

 響が作戦の順調具合を見てそう呟く。だが…

 

「っ!?ヤバい!!」

「ゑ?」

「村だ!」

 

 クリスの指差す方角には小規模ながらも村が立ち並んでいた。それを見た瞬間の響とセイバーの行動は早かった。響とセイバーはシャトルを飛び降りる。

 

バカ()!!セイバー!!」

「何を!?」

 

 驚愕するクリスと翼を置いて、シャトルを押し返して止めようとする二人(響・セイバー)

 

「くぬうぅぅぅぅぅぅ!!」

「くおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 しかしシンフォギアで強化された身体能力とサーヴァントのステータスをもってしてもシャトルは止められない。

 シャトルはそのまま村の大通りに突入し、村人達が慌てて逃げ出す。家や車を押し退けながらもその速度が落ちないシャトル。だが響とセイバーは諦めずにシャトルを押し返し止めようとする。

 

「立花!!セイバー!!」

『南無三!!』

 

 目まぐるしい状況の中、翼と弦十郎が叫ぶ。

 更にここでアクシデントが発生する。シャトルの進行方向の先にT字路がありその真正面に大型の建物があった。中には恐らくまだ人がいる。このままではシャトルが建物に衝突してしまう。

 それを確認した二人(響・セイバー)は意を決っする。響は脚部の固定用アンカーを地面に打ち込み、セイバーは[魔力放出]で足を地面にめり込ませる。お互いが体を強引に固定させた後…

 

「「光あれぇぇぇぇぇぇ!!!」」

 

  二人(響・セイバー)はシャトルごと体を思いっきり仰け反らせる。それによって投げ飛ばさせたシャトルは空中で半回転しながら建物の屋根を飛び越えるが僅かに飛距離が足りず建物の屋根の先端に船体がめり込み始める。

 だがここで副操縦士の機転が冴える。投げ飛ばされたにも関わらず状況を理解していた副操縦士はシャトルのジェット噴射を数分だけ行う。推力を得たシャトルはそのまま屋根の先端を支点にゆっくりと重力に従って落ちていく。やがてシャトルは建物の真後ろで直立、完全に静止した。

 

「だはぁ~…」

「任務完了しました」

 

 翼の報告に作戦指令室のメンバーはホッと肩の荷を下ろす。収容施設のマリア達も作戦の成功を静かに喜んでいた。

 

 翼達はシャトルを降り、地面に大の字で寝そべっている響とその場に座り込んでいるセイバーに駆け寄る。

 

「無事か、立花?セイバー?」

「えぇ、私の方は問題ありません」

 

 翼の問いに微笑みながら答えるセイバー。

 

「へへへ、あははは!」

 

 すると不意に響が笑い始めた。

 

「可笑しな所でもぶつけたか?」

「私、シンフォギアを纏える奇跡が嬉しいんです!」

 

 響の答えに翼達は多少呆れた、けれど何処か充実した顔で互いを見合わせる。

 

「お前、本当のバカだな」

 

 クリスがそう呟く。そして全員が目の前の光景を見る。そこには自分達が切り開いてきた道筋と山頂部分が極端に削れ不恰好な形の山となった元K2の姿かあった。

 

 

 




最初の段階だとクリスちゃんがセイバーの顔面にだいしゅきホールドする予定でしたがそれだとセイバーの活躍が無くなってしまうので取り止めました。(個人的にはメッチャ書きたかったんですが…)

次回は補足説明を含めた《絶唱しない小話集》です。
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