戦姫絶唱シンフォギア 輝ける星の聖剣   作:茶久良丸

36 / 40
気付いたら二ヶ月も投稿出来てなかったです。申し訳ない。( ノ;_ _)ノ
なかなか書ける時間が無い中少しずつ書いてはいますがメッチャ進みが悪い。

そんな作者の愚痴を挟みつつ続きをどうぞ!


再起そして破砕

 ガリィって名前のオートスコアラーの襲撃から翌日。

 マリアさん達がナスターシャ教授の墓参りをしたいと申し出があったので護衛として私も付いて行くことになった。

 

「ごめんねマム。遅くなっちゃった」

 

 そう言いつつナスターシャ教授の墓に花束を供えるマリアさん。国連エージェントになってからあっちこっち世界を回っていたので仕方ない。

 

「マムの大好きな日本の味デス!」

「私は反対したんだけど…、常識人の切ちゃんがどうしてもって…」

 

 切歌ちゃんがナスターシャ教授の墓に醤油を供える。

 

 いや本当なんで?

 普通お饅頭とか大福とかじゃないのそれ?だけど切歌ちゃんには何かこだわりがあったらしくて助言した私も押しきられてしまった。

 

「マムと一緒に帰ってきたフロンティアの一部や月遺跡に関するデータは、各国が調査している最中だって」

「みんなで一緒に研究して、みんなの為に役立てようとしてるデス!」

「ゆっくりだけど、ちょっとづつ世界は変わろうとしてるみたい」

 

 マリアさん達がナスターシャ教授の墓にそう告げる。

 

「私も変わりたい…。本当の意味で強くなりたい」

「それはマリアだけじゃないよ…」

「アタシ達だって同じデス…」

 

 マリアさんの呟きに調ちゃん達が続けてそう呟く。その言葉は私にも突き刺さる。

 

 強く…。確かに今の私には力がある。でもそれは本来彼女(アルトリア)が持っていたモノを私が使っているに過ぎない。

 マリアさんが言う本当の意味での強さ、それはきっと心の強さのことだ。私の心は強いんだろうか?

 確かに精神的な事を言えば私は大人だ。だけど心の成長がそれに見合ってないんじゃないかと思っている私もいる。実際それが原因で幾度か失態を犯しているのも事実だ。私は彼女達の為に剣を握る事を誓った。でも胸を張って守れているとは到底思ってない。

 

 そもそもなぜ彼女(アルトリア)の体に私の精神が入っているのか、今でも考える。もちろん明確な答えが浮かぶ訳がない。一つだけ分かるとすれば体に私を入れた誰かが確実にいることぐらい。ただ、その誰かが分からない。なんとなく姿は分かるけど名前が思い出せない様なそんな歯がゆい感じが続いている。なぜ私なのか?人として生きてるとはお世辞にも言えなかった私に彼女(アルトリア)の体を使って何をさせたいのか検討もつかない。出口のない袋小路にいつまでも迷っている。

 

 気づけば雨が降っていた。私は懐から折り畳みの傘を二本取り出し一本を切歌ちゃんと調ちゃんに、もう一本を私とマリアさんとで使う。

 

「昔の様に叱ってくれないのね…。大丈夫よマム、答えは自分で探すわ」

「ここはマムが遺してくれた世界デス…」

「答えは全部あるはずだもの…」

 

 三人がナスターシャ教授の墓の前でそう誓い合う。

 

 私も答えを見つけられるだろうか…。

 

 マリアさん達三人とは違い、心の不安を残したまま雨は一掃強くなるばかりだ。

 

━━━━━━━━━━

 

「先日響さんを強襲したガリィと、クリスさんと対決したレイア。これに、翼さんとロンドンでまみえたファラと、未だ姿を見せないミカがキャロルの率いるオートスコアラーになります」

 

 S.O.N.G本部内作戦指令室。エルフナインからもたらされた首謀者キャロルとオートスコアラーの情報が整理され装者でたる翼とクリスがエルフナインから直接説明を受けていた。

 

「人形遊びに付き合わされてこの体たらくかよ…!」

「その機械人形は、お姫様(キャロル)を取り巻く護衛の騎士、と言った所でしょうか?」

「スペックを始めとする詳細な情報は僕に記録されていません。ですが…」

「シンフォギアをも凌駕する戦闘力から見て、間違いないだろう」

 

 先日のガリィとの戦闘ですでに実証されているように現状のシンフォギアの性能では全く歯が立たないのが明白であった。

 

「超常脅威への対抗こそ俺たちの使命。この現状を打開するため、エルフナイン君より計画の立案があった」

「「「っ!?」」」

 

 翼達が驚愕すると同時に前面の大型モニターにその計画名が表示された。

 

Project (プロジェクト)IGNITE(イグナイト)だ」

 

 モニターに表示された計画の概要をエルフナインは細々と説明していく。現状、戦力として期待できるのはセイバーのみである以上、自分達も戦える力が欲しいと望む翼とクリスはエルフナインの説明を一言一句逃さす聞く。

 

「[イグナイトモジュール]…。こんな事が、本当に可能なのですか?」

「錬金術を応用する事で理論上不可能ではありません。リスクを背負うことで対価を勝ち取る…、その為の魔剣[ダインスレイフ]です…!」

 

 エルフナインがそう宣した次の瞬間…

 

 ビー!ビー!ビー!

 

 指令室内をアラート音が響き渡る。

 

「アルカ・ノイズの反応を検知!」

「位置特定!モニターに出します!」

 

 藤尭と友里の二人がすぐさま対応する。モニターに映されたのは何かから逃げる響と未来。そして真っ赤な髪を大きなリボンでツインテールにし、人のモノとは明らかに違う鋭利な両腕を持ったオートスコアラー[ミカ]の姿であった。

 

「ついに、ミカまでも…」

 

 翼とクリスが驚愕の声を上げるなかエルフナインは静にそう呟いた。

 

━━━━━━━━━━

 

「…はい、…はい、分かりましたすぐに向かいます!」

 

 ナスターシャ教授の墓参りを終え、S.O.N.G本部に向かおうとした矢先、セイバーの元に通信が入る。内容はもちろん響と未来がオートスコアラーの襲撃を受けた事である。

 

「行くのね?」

 

 通信を切るとマリアがセイバーにそう問う。通信の詳細な内容は分からないものの何かしらの緊急事態であることを察しての確認であった。

 

「はい。すぐにヒビキ達の所に向かわねばなりません。私はこのまま現場に急行します。マリアはキリカとシラベと共に急ぎ本部に向かってください」

「わかったわ」

「響さんと未来さんをよろしくデス!」

「頑張って」

 

 切歌と調の激励を受け力強く頷くセイバー。そのまま路肩に停めてあった自身のバイク(V-MAX)に跨がりエンジンを起動、全速力で響達の元に向かう。

 

(響ちゃん、未来ちゃん、私が行くまでどうか無事で…!)

 

 降りしきる雨の中を颯爽と走るバイクの上でセイバーは心から強くそう願った。

 

━━━━━━━━━━

 

「逃げないで歌って欲しいゾ?」

 

 雨の中を走る響と未来。その後ろをオートスコアラーのミカとアルカノイズが追う。

 

「あ、それとも歌いやすい所に誘ってるのカ~?」

 

 ミカの目的は飽くまでも響が歌を歌ってくれることであるため何故逃げているのかミカなりに考えその結論にいたった。

 

「う~ん、オォウ!それならそうと言って欲しいゾ!」

 

 自己完結したミカは鋭利な両腕を合わせ一人納得する。

 

「それ~!」

 

 ミカの号令と共に取り巻きのアルカノイズが一斉に響と未来に接近する。

 だがそれを良しとしないモノがいた。

 

 ザシュッ!

 

 アルカノイズの一体が頭から食いちぎられそのまま消滅する。響と未来は立ち止まり後ろを振り返ってその正体を目にする。

 

「カヴァス君!」

「ワンッ!」

 

 その正体は[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]であった。[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]は今日もセイバーの指示により響達の護衛として側で待機していたのだ。

 

「お~!お前がガリィの言ってた邪魔くそなわんこカ?」

「グゥゥゥッ…!」

 

 ミカはどこか嬉しそうな顔で[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]を見るが、当の[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]はミカに唸り声を上げ威嚇する。

 

「アタシの邪魔をするならお前も解剖だゾ!」

 

 ミカは追加の召喚石を懐から取り出しアルカノイズの増援を呼ぶ。流石に数が多く対処が出来ないと判断した[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]は攻撃してくるアルカノイズの足元を縦横無尽にすり抜け響達と合流、ミカとアルカノイズから退却し出来るだけ時間を稼ぐ考えに移行した。

 

「ワンッワンッ!」

「付いてこいって言ってるの?」

 

 響の疑問に強く頷き、肯定を示す[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]。響と未来はそれを信じ先へと進む[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]の後ろを追う。そしてミカもそれを追いかける。

 

 [従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]は時に狭い路地裏の道や人気の無い入り組んだ街路などを利用し、ミカ達の追跡をまこうとする。だがミカ達もそう易々と逃げ果せまいとアルカノイズを先回りや解剖器官による攻撃で道を塞いだりなど妨害行為をしてくる。

 

 やがて逃げ道を寸断された[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]達は工事中のビルの中へと入っていく。元陸上部と言うこともあり響より多少走る速度が速い未来は[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]のほぼ真後ろに付き、響は少々遅れていた。[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]が上の階に続く階段を上り未来もそれに続く。響また階段を上ろうとした瞬間…

 

 バション!

 

「うわっ!?」

「響!?」

 

 アルカノイズの一体が解剖器官を伸ばし階段を分解。上り途中だった響はそのまま下の階に落ち落下防止用の柵に激突。だが工事中と言うこともあり設置が甘く簡単に外れてしまい響の体は柵ごと更に下へと落ち、一階の地面まで叩きつけられてしまう。

 

「ぐ…!未来…!」

 

 日頃訓練をしている成果か軽傷で済んだものの背中から落ちた衝撃で軽く脳震盪を起こした響の視線はボヤけていた。

 

「いい加減戦ってくれないと、君の大切なモノを解剖しちゃうゾ?」

 

 その視線の端にミカが写る。

 

「友達バラバラでも戦わなければ、この町の人間をイヌをネコをみ~んな解剖だゾ~?キャハハハ!」

 

 残忍な事を口走りながらまるで子供の様に笑うミカ。響はすぐさま体を起き上がらせスカートのポケットからシンフォギア(ガングニール)のペンダントを取り出す。そして聖詠を歌おうとする。だが…

 

「あ…が……くっ………!」

 

 まるで喉に何か詰まったかの様に歌を口にする事が出来ずそのせいで呼吸が苦しくなる一方。

 

「ん?本気にしてくれないなら…」

 

 それを相手にされてないと考えたミカは上の階にいる未来に視線を向け眼を細目ながらほくそ笑む。

 

「グゥゥゥッ…!」

 

 上の階では[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]が未来の前に出て一つ下の階で解剖器官を動かしながら今か今かと待ち構えるアルカノイズに威嚇をしていた。

 

「あのね、響!響の歌は誰かを傷つける歌じゃないよ!」

「っ!?」

 

 その時、未来の声が響く。未来は押し潰されそうな死への恐怖を抑え込み響に自分の思いを伝える。

 

「伸ばしたその手も誰かを傷つける手じゃないって私は知ってる!私だから知ってる!だって私は響と戦って、救われたんだよ!私だけじゃないよ!響の歌に救われて今日に繋がってる人はたくさんいるよ?!だから怖がらないで!」

 

 いつも隣で見てきたからこそ分かる親友()の歌。それが誰かを助けたい・救いたいと言う純粋な想いである事を未来は知ったいた。だから断言出来るのだ、その歌は間違ってないと。その手は恐れるモノではないと。

 

 だが無情にも時は待ってはくれない。

 

「バイナラ~!」

 

 ミカの指示によってアルカノイズが一斉に未来に襲い掛かる。辛うじて攻撃は回避出来たもののアルカノイズの解剖器官によって足場が解剖され崩れていく。空中に身を投げ出されてしまう未来と[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]。未来は咄嗟に[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]を抱き締める。

 

「ああああああああああっ!!!」

 

 響が絶叫しながら未来に手を伸ばす。届くはずもない事を分かっていても伸ばさずにはいられなかった。自分の迷いと覚悟が無かった所為で大切な親友が命を散らそうとしている。そんな事、彼女()自身が許せるはずがなかった。

 だからだろう…

 

「Balwisyall Nescell gungnir …トロォォォォォォン!!!」

 

 その胸に聖詠が宿った。

 

「私の大好きな響の歌を…誰の為に歌って…」

 

 死を覚悟した未来は心からの願いを口にする。そしてせめて[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]だけは救おうと背中を地面に向け、[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]に来る衝撃を緩和しようとする。

 

 だがそれは杞憂に終わる。

 

 ドゴォン!

 

 未来は何者かに抱き止められた事で救われる。着地の衝撃で地面は抉れ、アルカノイズの攻撃によって崩れた足場からは貯められていた雨水が未来達の後ろで滝の様に流れ落ちる。

 

 未来はゆっくりと眼を開ける。そこにはシンフォギア(ガングニール)を纏った大好きな親友()の姿があった。

 

「ゴメン…。私この力と責任から逃げ出してた…。…だけどもう迷わない。だから聞いて、私の歌を!」

 

 そこには先程までの迷いや苦悩が無くなり晴れやかな顔つきとなった響が雲の隙間から漏れでた太陽の光で照らされていた。

 

「行ってくる」

「待ってる」

 

 未来を下ろした後、一言だけの会話を済ませる二人。響は未来に抱かれたままの[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]に眼をやる。

 

「未来の事、お願いね?」

「ワンッ!」

 

 力強く吠える[従順たる魔猪を狩りし猟犬(カヴァス)]に笑顔を向けた後、ミカの方に振り返り走り出す響。

 

「そぉらー!」

 

 ミカは接近してくる響に対処するため追加のアルカノイズを呼び出す。だが響は己の拳を使いアルカノイズを瞬く間に倒していく。迷いの晴れた響の前ではアルカノイズ程度、屁でもなかったのだ。

 瞬く間にアルカノイズを撃退した響は腰のブースターで加速しながらミカに突っ込み拳を突き出す。ミカは手の平から高圧縮カーボンロッドを一本射出し響の拳を受け止める。

 

 カギュン!

 

 拳とカーボンロッドがぶつかり火花を散らす。ミカは響の拳を受け止める事は出来たが勢いを殺す事が出来ずそのまま後ろに滑り続け、響は逆に押し続ける。

 

「コイツへし折り甲斐があるゾ!」

 

 劣勢に見える状況で笑顔を見せるミカは、自身の髪の毛に内蔵されているブースターを使い響を押し返す。押し返された響は一度空中で宙返りをしながら後退し、地面スレスレで脚部の固定用アンカーの反動を利用しミカに急接近、同時に遠心力による回転を加え威力を増した左肘をミカの腹に打ち込む。

 

 ドボンッ!

 

「あ、が、が!?」

 

 ガードも取れずまともに入れられた一撃に顔を歪めるミカはそのまま後方にぶっ飛んで行く。だが響は追撃の構えであり再び脚部の固定用アンカーの反動で急加速し左のストレートを叩き込む。

 

 筈だった。

 

 バシャン!

 

「なっ!?」

 

 響が拳を叩き込こんだ瞬間、ミカの体が水になり弾け飛んで行く。水滴が宙を舞う仲、響の視線のすみにある人物を捉える。

 

「ざーんねぇん。それは水に移った幻…」

 

 そこには昨日、響を襲撃したガリィの姿があった。そう先ほどの水はガリィの錬金術によるダミー。では、本物のミカはどこに行ったのか?答えは響の真下にあった。

 

「アハハハハハハ!」

 

 響の真下には手の平を自分に向けているミカがおり、ミカはそのまま響に向けカーボンロッドを打ち込む。

 

 ガキュイ!

 

 カーボンロッドがガングニールのペンダントに直撃する。

 

「があああああ!」

 

 勢いそのままにビルの屋上まで飛ばされる響。それと同時に砕け散るシンフォギア。

 

 その時であった。

 

 ヴオオオオオオオ!キキィィィ!

 

 バイク(V-MAX)のスキール音と共にセイバーが現場に到着した。

 

「なっ!?」

 

 だが時すでに遅し。セイバーが見たのは体を空中に投げ出され、砕け散り分解されていくシンフォギアと共に落ちてくる響の姿だった。

 

「ヒビキィィィー!!!」

 

 廃墟のビルの中、セイバーの叫び声だけが虚しく響いた。

 

  

   




次回は早めに投稿出来ると思います。

多分…

追記
良く見たらお気に入りが2000人を突破していました!まさかここまで皆さんに気に入られる作品になるなんて思っても見ませんでした!今後も皆さんの期待を裏切らないようがんばります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。