感想も返したいのに出来てません。すみません…。
そんなダメダメな作者(茶久良丸)の話は置いといて続きをどうぞ!
不気味な静寂が場を支配する。先程まで起きていた発電施設の戦闘がまるで嘘の様にも思えるほどだ。
「い、一体何が起きているんだ…!」
最初に静寂に異議を唱えたのは弦十郎であった。指令室のメインモニターに写し出される誰しもが疑問を浮かべるそれに答えを求めて。
「これは僕の推測ですが…」
それに答えたのはエルフナインであった。彼女の顔も驚愕と混乱に染まり切っていた。
「セイバーさんはイグナイトのフォニックゲインを吸収したのでは無いかと思われます…」
「フォニックゲインを吸収…だと…!?」
「例の[
弦十郎の喫驚の言葉に続く様に緒川がエルフナインに問う。
「はい。ですが[
「だが、実際にセイバーはイグナイトのフォニックゲインを吸収し、能力が暴走している様に見える…」
指令室のメンバーが再びメインモニターを見る。漆黒に染まったセイバーが画面いっぱいに写り込む。
「どうしたのカヴァス君!?」
不意に未来の声が指令室に響く。一同が振り向くと[
「クゥ~…クゥ~…」
「苦しいの?どこか痛いの?」
「これは…」
「恐らくですが今のセイバーさんの状態が大きく関わっているものと考えられます」
エルフナインの言葉に弦十郎達は納得するほかなかった。
だが現状、一同に出来ることはただモニター越しに状況を見守ることだけであった。
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「フンッ、オレと同じく
静まり返った発電施設。装者達を挟む形で一定の距離まで離れているキャロルは漆黒に染まったセイバーにあからさまな挑発をする。
「…」
だがセイバーはただキャロルを見据えるのみでまったく反応しない。
「愛想の無さも健在と見える」
そのセイバーの反応にキャロルはつまらなさそうな顔をする。
すると徐にセイバーが歩き出す。一歩、また一歩と身に付けた漆黒の鎧を軋ませながらキャロルに向かってゆっくりとその足を動かす。
「あ…あの、セイb」
セイバーが装者達の間横に迫った際、響がセイバーに声をかける。だがセイバーは見向きもせずに響達を横切る。まるで視界にすら写っていないかの様に。
ゆっくりと進行してくるセイバーにキャロルは思い出を焼却し陣を展開、錬金術で形成され火をセイバーに向け撃ち込む。火は渦を巻きながら一直線にセイバーに向かい…
バシュゥゥゥン!
「何ッ?」
キャロルは顔には出さないものの驚愕する。自身の思い出を焼却した錬金術がものの簡単に弾かれたのだから。弾かれた火の錬金術は明後日の方向に飛んでいき爆発を起こす。
ドゴォォォン!
爆発の威力を見る限り錬金術その物に問題があるわけでない事を再認識するキャロル。攻撃を受けながらもまるで意に返さず歩みを止めないセイバー。ならばとキャロルは水・風・土と連続して錬金術の攻撃をセイバーに撃ち込む。
バシュゥゥゥン!
しかしいずれの攻撃も全て弾かれてしまう。だがその攻撃でキャロルはある事に気づく。セイバーに攻撃が当たる瞬間、セイバーの周囲を黒い霧の様な物が覆い攻撃が反らされている事に。
(あれは
キャロルが思考も巡らせているその間も歩みを止めず進んでくるセイバー。
(ならば思い出であの黒い霧と同じ濃度・密度にすれば!)
打開策を直ぐに考案し、実行に写すためキャロルは[ダウルダブラ]の弦を強化しようとする。
だがここでセイバーが動く。セイバーは一度立ち止まり右手に持つ漆黒に染まった[
禍々しい漆黒の斬擊がキャロルに向かい襲い掛かる。キャロルは両手の指先から[ダウルダブラ]の弦を伸ばし斬擊を防御する。
ガキュイ!
斬擊と弦がぶつかり合うと同時に弦が一本ずつ千切れ始める。
(抜かれるッ!?)
防御は無理と判断したキャロルは直ぐに体を翻し斬擊を回避する。間一髪避ける事が出来た斬擊はそのままキャロルの後方にて爆発する。
ドゴォォォン!
その威力は先程のキャロルの錬金術によって生み出された攻撃による爆発よりも数段も強力であり、黒煙が天高く舞い上がる。キャロルはその威力を目の当たりにし唖然とする。
(
そこまで思考していたキャロルの全身を寒気が襲う。それは生き物なら誰しもが持ち合わせる生命への危険信号であった。キャロルは首をセイバーのいた方角に向ける。そこには低い体制から[
キャロルは咄嗟に左足を軸に右足を後ろに回すことで体を逸らす。刹那、セイバーの[
ガゴンッ!
[ダウルダブラ]の弦で作られたプロテクターと[
(お、重いッ!!)
[
「ぐぅッ!ぐおぉぉぉ!!」
このままでは押し込まれると悟ったキャロルは雄叫びを上げながら右腕をセイバーに向け伸ばし錬金術の陣を展開、その場に圧縮した水と超高温度の火を出現させ接触させる。
バゴォォォン!
キャロルとセイバーの間に水蒸気爆発が起き砂煙が上がる。爆発の衝撃で両者は強制的に距離を取らされ、セイバーは[
「ゴホッ、ガハッ!ハァ…ハァ…」
軽く咳き込みながらもその場から立ち上がるキャロル。身に纏っている[ダウルダブラ]は砂や墨で汚れきっている。キャロルは目線を距離の離れたセイバーに向ける。セイバーは地面に刺し込んだ[
(何てヤツだ!威力は高が知れているとはいえゼロ距離の水蒸気爆発を受けてまったく動じていないだとッ!?)
咄嗟で実行した打開策であっても自身の思い出を焼却した錬金術は並みではないと自負するキャロルは迫り来るセイバーの姿に驚愕する。
(だが…)
だがどうじに何かに確信する。すると…
ペギッ…
セイバーの目元を覆っていたバイザーの一部にひび割れが起こる。当のセイバーは気にする素振りすら見せないがキャロルにとっては大きな収穫であった。
(やはり近距離で同じ濃度と密度の思い出ならば
キャロルは両手に[ダウルダブラ]の弦を螺旋状に回転させドリル状に形成、風の錬金術を纏わせ回転速度を上げる。
(近接戦で隙を作り、ゼロ距離で
キャロルは自身に風の錬金術による突風を纏わせセイバーに突進してくる。
「ハァァァ!」
突進の勢いのまま右手のドリルをセイバーに向け突く。
バシュゥン!
セイバーに突き刺さる直前、件の黒い霧によってキャロルの攻撃が阻害される。火花が上がる中その場で制止する二人。だが…
バギィィィン!
キャロルのドリルがセイバーの黒い霧を突き破る。セイバーはそれに一切の動揺もなく右手の[
ガギンッ!
思い出の焼却によって強化されドリル状となった弦と
激しい攻防の撃ち合いがセイバーとキャロルの間に巻き起こる。衝撃で彼女達の周囲にあった瓦礫は砕け、大地は割け始める。
だがそれも長くは続かない。
撃ち合いの最中、キャロルは錬金術で形成した雫程度の水をセイバーの目の前で破裂させる。
「ッ…」
ほんの瞬き程ではあったがセイバーの動きが止まる。その一瞬を逃さないキャロル。左手のドリルを体を捻りつつ振り上げセイバーの[
(もらった!!)
勝利を確信したキャロルは口元を緩ませる。
だがその瞬間、
ドゴンッ!
(なに…が…)
突然の事で理解が出来ないキャロルは目線を下に向ける。そこには
それを見たキャロルは理解した。自分がセイバーに顎を
殴られた事でキャロルの思考は一時的に停止し、体はそのまま軽く宙に浮く。その隙をセイバーが見逃す筈はなかった。振り上げられた左腕をそのまま[
「
セイバーが真名を解放する直前、キャロルは悟った「これは避けられない」と。
自身の体は未だ宙を浮き、今から錬金術を錬成したとしても[
そして…
「
漆黒に染まった極光の暴力がキャロルを貫く。それは逆らえぬ激流の如くキャロルを飲み込み、肉体は底知れぬ闇の中で蒸発していった。
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戦慄。
響達の体験したことを一言で表せばそれに尽きるだろう。[
「え……………」
響の思考が止まる。それもそうだろう、何故なら目の前には漆黒の塔がそこには立てられ辺りは焼け野原と化していたのだから。その正体がセイバーの放った[
「あ……あ…ぁ…………」
余りの光景に声が出ない響。翼とクリスも同様にただ目の前の光景に恐怖するだけであった。
スタッ
不意に響達の真横に何者かが降り立つ。響はその正体を確かめるべく首を回すが…
チャキッ
同時に喉元に鋭利で冷たい感触を覚える。視線を上に上げるとそこには漆黒のセイバーが
「セ…セイバー…さん?」
恐る恐るセイバーの名を問う。だがセイバーに反応はみられない。
ペキッ
すると、セイバーの目元を覆っていたバイザーのヒビが広がり始め…
パキンッ
割れたバイザーはセイバーの目元から外れ地面に落ちる。
響はセイバーと目を合わせる。だがそこには響が知るライトグリーンの美しい瞳はなかった。まるで百獣の獅子を思わせるような猛々しく、同時に悍ましい程に圧迫感を感じる程の黄金の瞳が響を貫いていた。
「問おう」
セイバーが口を開く。その声も響が知るセイバーからは程遠い。まるで赤の他人が接してきた様に響達は感じる。
「貴様達は我が王政に従い服従を誓う者か?
それとも反逆を企て我が王道を踏みにじる者か?」
余りにも冷たく、余りにも横暴なその言葉に響達は返答できず、ただセイバーの瞳を見つめ返す事しか出来なかった。
それは実像かそれとも虚像か